指針照明装置
【課題】指針の所望位置を簡単且つ効率的に光らせることができる指針照明装置を提供すること。
【解決手段】発光ダイオード13Aからの光を指針軸6の下端側から上端側まで第1導光部材14で導き、この第1導光部材14から出射された光を、分針1の下面に設けられている複数の光導波路17cを持つ第2導光部材である導光シート17によって、当該分針1の基端部から先端側に導き、分針1の先端部分を光らせるように構成した。このように導光シート17を分針1に添設することで、分針1の先端箇所を効率的に光らせることができると共に、導光シート17は比較的軽量であるため、分針1自体の円滑な運針を図ることができる。
【解決手段】発光ダイオード13Aからの光を指針軸6の下端側から上端側まで第1導光部材14で導き、この第1導光部材14から出射された光を、分針1の下面に設けられている複数の光導波路17cを持つ第2導光部材である導光シート17によって、当該分針1の基端部から先端側に導き、分針1の先端部分を光らせるように構成した。このように導光シート17を分針1に添設することで、分針1の先端箇所を効率的に光らせることができると共に、導光シート17は比較的軽量であるため、分針1自体の円滑な運針を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針照明装置に関し、詳しくは、指針部を効率よく照明することができる指針照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指針式時計において、時針,分針等の指針を光らせるように構成したものが知られている(特許文献1)。そして、この特許文献1に開示されている指針式腕時計では、指針がアクリル樹脂やポリカーボネ―ト樹脂等の導光部材によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−300787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、指針自体を導光部材によって構成するとすれば、指針の材料が限定されてしまうため、デザイン制約が生じてしまうという問題がある。また、指針自体が導光部材の場合、指針全体が光ってしまうので、指針の一部だけを光らせることは難しい。
この場合、指針のうちで光らせようとする部分を残して、光が遮断されるように指針に色付けすることも考えられるが、このような色付け加工を施すのは面倒である。
また、指針の裏側に上記導光部材を添設して、指針の一部だけを光らせることも考えられるが、上記導光部材は比較的重量があるので、回転トルクが大きくなってしまう。
また、上記特許文献1では、指針軸の中に発光ダイオードを組み込んだものが開示されているが、指針軸の径が大きい指針式掛け時計であるならば兎も角、指針式腕時計の指針軸は径が小さいので、発光ダイオードを組み込むことは困難である。
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、指針の所望位置を簡単且つ効率的に光らせることができる指針照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る指針照明装置は、
光源からの光によって指針の所定部分を光らせる機能を有する指針照明装置において、
前記指針を回転駆動する指針軸に、前記光源からの光を当該指針軸の下端側から上端側まで導くように配設された第1導光部材と、
前記指針に、複数の光導波路が形成され前記導光部材から出射された光を当該指針の基端部から先端側に導くように配設された第2導光部材と、
を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、指針を回転駆動する指針軸に、光源からの光を当該指針軸の下端側から上端側まで導くように配設された第1導光部材と、指針に、複数の光導波路が形成され導光部材から出射された光を当該指針の基端部から先端側に導くように配設された第2導光部材とを備えているので、光源の配置に無理がなく、また、指針の所望の箇所を効率的に光らせることができるばかりでなく、第2導光部材は比較的軽量であるため、指針自体の円滑な運針を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の第1の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【図2】図1の指針式腕時計に使用される導光シートの製造方法を示す図であり、(A)は基材シート及びアンダークラッド層を示す断面図、(B)はアンダークラッド層の上に光導波路のパターンを形成した状態を示す断面図、(C)は出来上がった導光シートを示す断面図である。
【図3】図1の指針式腕時計の導光シートを形成した分針の下面図である。
【図4】この発明の第2の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【図5】図4の指針式腕時計の二番車を斜め上方から見た場合を示す断面図である。
【図6】図4の指針式腕時計の円筒状の導光シートを展開した状態を示す図である。
【図7】図4の指針式腕時計の円筒状の導光シートを示す斜視図である。
【図8】図4の指針式腕時計の導光シートを形成した分針の下面図である。
【図9】この発明の第3の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【図10】図9の指針式腕時計に使用される導光シートの製造方法を示す図であり、(A)は帯状の導電シートの平面図、(B)は帯状の導電シートを裁断して出来た凸状の導電シートの平面図、(C)は凸状の導電シートの下半部を丸めた状態の桶状の導電シートの斜視図、(D)は出来上がった導光シートを示す斜視図である。
【図11】この発明の第4の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【図12】図11の指針式腕時計の二番車を斜め上方から見た場合を示す断面図である。
【図13】この発明の第5の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における指針式腕時計の側断面図である。
この指針式腕時計100は、複数の指針(分針1及び時針2)を動かすための機構を備える時計ムーブメント3と、この時計ムーブメント3を収容するハウジング4とを備えている。
【0009】
ハウジング4の上面側には文字板5が配置されている。この文字板5の中央部には貫通孔5aが設けられている。この貫通孔5aには、分針軸6と及び当該分針軸6を収容する時針軸7とが下方から挿入され、これら分針軸6及び時針軸7の上部は文字板5から突出している。そして、分針軸6の上端には分針1が、時針軸7の上端には時針2がそれぞれ取り付けられている。
分針軸6の下端部には二番車9が取り付けられている。すなわち、この分針軸6の下端部はハウジング4のメインプレート8の下方まで延びている。そして、メインプレート8と、このメインプレート8の下方に配置された輪列受10との間に二番車9が配置されている。
一方、時針軸7の下端部には時針用筒車11が取り付けられている。この時針用筒車11は、メインプレート8と、このメインプレート8の上方の筒車押さえ12との間に配置されている。
なお、輪列受10の下方には回路基板30が配置されている。この回路基板30の上面には各種電子部品が配置され、特に、分針軸6の真下の位置には、光源としての発光ダイオード(LED)13が配置されている。
【0010】
次に、分針軸6及び分針1について詳細に説明する。
分針軸6は中空軸となっている。この分針軸6の中心部には、例えばアクリル樹脂やポリカーボネ―ト樹脂等で形成された柱状の第1導光部材の一部分を構成している導光ブロック14が配置されている。この導光ブロック14は、分針軸6と一体的に回転するように、当該分針軸6に固定して設けられている。この導光ブロック14は、分針軸6の下端から上端近くまで延在している。そして、この導光ブロック14は、発光ダイオード13からの光を下端から当該導光ブロック14内に導入し、その導入した光を分針軸6の上端付近まで導く。
また、分針軸6の中空部の上端には、反射面15aを有する第1導光部材の他の部分を構成している導光ブロック15が配置され、この導光ブロック15は、アクリル樹脂やポリカーボネ―ト樹脂等で形成されている。この導光ブロック15は上記導光ブロック14の上端に連結され、分針軸6の上端まで導かれた光を反射面15aで分針1の針先に向けて反射させる。
また、分針軸6の上端部には、導光ブロック15によって反射した光を分針軸6の外側に放射させるための窓16が形成されている。
【0011】
一方、分針1の下面には、第2導光部材を構成している導光シート17が貼設されている。この導光シート17は、例えば、図2(A)に示すように、基材シート17aに形成されたアンダークラッド層17b上にコア材を塗布し、図2(B)に示すように、フォトマスクを介して紫外線を照射することによって光導波路(コア)17cのパターンを形成し、図2(C)に示すように、その上にオーバークラッド層17dを塗布することによって形成される。なお、基材シート17aを用いずに、分針1にアンダークラッド層17bなどを直接形成するようにしてもよい、
この導光シート17の入射部18aは、導光ブロック15の近くに位置し、出射部18bは分針1の先端部に位置している。そして、光導波路17cは、図3に示すように、分針1の長手方向に沿って延びている。この場合、複数の導波路17bの出射部18bは、例えば、図3に破線で示すように円形に光を出射するように配置されている。なお、複数の光導波路17cの各出射部18は、文字板5側に向けて光を出射するように、傾斜面18c(図1参照)を有している。
【0012】
このように構成された指針式腕時計100によれば、発光ダイオード13の光は、導光ブロック14を通じて分針軸6の上端付近まで導かれ、さらに、導光ブロック15を通じて導光シート17に導かれて分針1の先端部に達し、先端部から出射する。これによって、分針1の先端部分が光る。その結果、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
【0013】
この指針式腕時計100によれば次のような効果を得ることができる。
まず、分針軸6の内部に導光ブロック14,15を設ける一方で、光源である発光ダイオード13は分針軸6の下方に配置されているため、光源の配置に無理がなくなる。
また、分針1の基端部から先端部までの光の伝送を導光シート17によって行っているため、分針1の材質選択の自由度が増すと共に、導光シート17内の光導波路17cを自由に引き回すことが可能であり、分針1の先端箇所を効率的に光らせることができる。この結果、分針1の運針状態を目で確実かつ容易に視認することができる。
さらに、導光ブロック14,15及び導光シート18を通じて、発光ダイオード13からの光を分針1の先端部まで導いているので、効率的な光伝送が行えることになる。
また、導光シート17は比較的軽量であるため、分針1自体の円滑な運針を図ることができる。
【0014】
(第2の実施形態)
図4は、本発明に係る指針式腕時計の第2の実施形態を示している。なお、図面において第1の実施形態と同一の部材には同じ符号を付してある。
この指針式腕時計200は、分針1及び時針2の他に、秒針203を備えている。この秒針203は、分針軸6を上下に貫く秒針軸204の上端に取り付けられている。この秒針軸204の下端部は四番車205の中央部に嵌合状態で固定されている。四番車205の内部には空洞部が形成され、当該空洞部には、光源である発光ダイオード(LED)13が配置されている。この発光ダイオード13は、筒状の支持体208に支持されている。この支持体206は、四番車205と供回りしないように、例えば回路基板30に固定されている。なお、発光ダイオード13への電源の供給は、支持体206内に収容された配線(図示せず)によって行われている。
なお、四番車205の上端面には、図5に示すように、放射状にスリット205aが形成されている。そして、発光ダイオード13からの光は、スリット205aを介して上方に放射される。
【0015】
また、分針軸6には、上記第1の実施形態における導光ブロック14に代えて、第1導光部材を構成している導光シート206が添設されている。この導光シート206は、図7に示すように、円筒状となっている点を除いては、上記導光シート17とほぼ同じ作りとなっている。
この導光シート206は分針軸6の内側に嵌合状態で接着されている。
この導光シート206は、図6に示す帯状の導光シート206Aを図7に示すように円筒状に丸めたものである。
この場合の導光シート206Aの短辺は分針軸6の内周の長さ寸法とほぼ同じ寸法であり、長辺は分針軸6の長さ寸法とほぼ同じ寸法である。そして、この導光シート206Aには、短辺に平行な方向に所定のピッチで光導波路206cが並設されている。そして、この光導波路206cは、導光シート206Aの長辺に平行な方向に延在している。
そして、この導光シート206Aの両側長辺を互いに突き合わせて接着することによって、図7に示す円筒状の導光シート206が作成される。
【0016】
このように作成された導光シート206の上端部からは、図7に示すように、当該導光シート206の円周方向に所定の間隔で複数の光導波路206cの出射部207bが露出している。この出射部207bは導光シート206の円周方向に等間隔に位置している。図7では5個の出射部207bのみを図示し、他の出射部は省略している。
一方、分針1の下面に貼着された導光シート17の光導波路17cは、図8に示すように、入射部18aが上記導光シート206の出射部207bに1対1で当接するように分針軸6の円周方向に所定間隔で配置されている。
【0017】
このように構成された指針式腕時計200によれば、発光ダイオード13の光はスリット205aを介して導光シート206に至り、導光シート206を通じて分針軸6の上端付近まで導かれ、さらに、導光シート17を通じて分針1の先端部に達し、先端部から出射する。これによって、分針1の先端部分が光る。その結果、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
【0018】
この第2の実施形態の指針式腕時計200によれば次のような効果を得ることができる。
すなわち、分針軸6の内周に沿わせて導光シート206を設けているので、分針軸6の中心部には空間が形成され、他の軸、ここでは秒針軸204を貫通させることが可能となる。
【0019】
(第3実施形態)
図9は、本発明に係る指針式腕時計の第3の実施形態を示している。なお、図面において上記実施形態と同一の部材には同じ符号を付してある。
この第3の実施形態の指針式腕時計300は、第2の実施形態の指針式腕時計200の第1導光部材を構成している導光シート17及び第2導光部材を構成している導光シート206が一体となった一体型導光シート301を備えている。
【0020】
この一体型導光シート301は図10に示すようにして作成される。
まず、帯状の基材シートを用意する。この場合の基材シートの短辺は分針軸6の内周の長さ寸法とほぼ同じ寸法であり、長辺は分針軸6の長さ寸法と分針1の長さ寸法を足した寸法程度である。
この基材シートの上に、第1の実施形態におけると同様な方法で、アンダークラッド層(図示せず)、複数の光導波路301c及びオーバークラッド層(図示せず)を形成して帯状の導光シート301Aを作成する(図10(A))。この場合、光導波路301cは、その並設ピッチが基材シート301Aの下半部において広く且つ上半部において狭くなるように、途中で曲折されている。
続いて、図10(B)に示すように、導光シート301Bを凸状に裁断する。すなわち、図10(A)の光導波路301cが形成されていない領域、つまり、右上部及び左上部を破線Hに沿って裁断して取り除いて凸状の導光シート301Bを作成する。
次に、図10(C)に示すように、導光シート301Bの下半部の両端を互いに付き合わせるようにして筒状に丸めて桶状の導光シート301Cを作成した後、図10(D)に示すように、上半部を外側に折り曲げて、第3の実施形態の一体型導光シート301を作成する。
【0021】
次に、この一体型導光シート(一体型導光部材)301の取付け方法について説明する。
まず、導光シート301の折り曲げ部分を分針1の下面に貼り付ける。
次に、導光シート301の筒状部を分針軸6の上方から分針軸6の内側に挿入する。そして、分針軸6の上端に分針1を取り付ける。
勿論、導光シート301の筒状部を上方から分針軸6の内側に挿入し、分針軸6の上端に分針1を取り付けた後に、導光シート301の折り曲げ部分を分針1の下面に貼り付けてもよい。
【0022】
このように構成された指針式腕時計300によれば、発光ダイオード13の光は、導光シート301を通じて分針1の先端部に導かれて、先端部から出射する。これによって、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
【0023】
この第3の実施形態の指針式腕時計300によれば、1つの一体型導光シート301によって光が伝送されるため、光の伝送ロスが少ないものとなる。
また、導光シート301が1つで済むため、その分、その製造及び管理が容易となる。
【0024】
(第4の実施形態)
図11は、本発明に係る指針式腕時計の第4の実施形態を示している。なお、図面において上記実施形態と同一の部材には同じ符号を付してある。
この第4実施形態の指針式腕時計400は、第2の実施形態の指針式腕時計200の導光シート206の入射部207aとは、その構成が異なっている。
すなわち、第2の実施形態の指針式腕時計200では、円筒状の導光シート206の下端に入射部207aが設けられていたが、この第4の実施形態では、図12に示すように、当該導光シート206に対応する導光シート401は入射部402aが光導波路毎に分岐した形で、二番車9の下面に、当該二番軸の中心に対して放射状に延在した形となっている。
また、これに伴って、光源である発光ダイオード13は、二番軸9の回転に伴って導光シート401の先端の放射状に延在した多数の入射部402aが通過する箇所の下方に配置されている。
【0025】
このように構成された指針式腕時計400によれば、発光ダイオード13の光は、放射状に延在した多数の入射部402aの一つから導光シート401内に入射し、導光シート401及び17を通じて分針1の先端部に導かれて、先端部から出射する。これによって、分針1の先端部分が光る。その結果、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
なお、この指針式腕時計400では、光導波路の数が少ないと、二番軸9の回転に伴って、針先は点滅を繰り返すことになるが、光導波路の数を多く、例えば、120本程度にして、隣り合う少なくとも2つの光導波路の入射部402aが光を同時に受光できるようにすれば、この問題も解決される。
【0026】
この第4の実施形態の指針式腕時計400によれば、光源である発光ダイオード13の設置場所の自由度が増すことになる。
なお、この第4の実施形態の導光シート401及び17を第3の実施形態と同様に一連のものとすることも可能である。
【0027】
(第5実施形態)
図13は、本発明に係る指針式腕時計の第5の実施形態を示している。なお、図面において上記実施形態と同一の部材には同じ符号を付してある。
この第5実施形態は、第4実施形態の構成を2つの針に適用したものであり、分針軸6の内側に導光シート501、時針軸7の内側に導光シート502をそれぞれ設けたものである。
また、それに対応して、光源である発光ダイオード13Aをもう1つ設けると共に、時針2に導光シート17Aを添設したものである。
ここで、導光シート501,502は上記導光シート401とほぼ同じ構成であり、導光シート17Aは上記導光シート17とほぼ同じ構成である。
【0028】
このように構成された指針式腕時計500によれば、発光ダイオード13の光は、入射部503aから導光シート501内に入射し、導光シート501及び17を通じて分針1の先端部に導かれて、先端部から出射する。また、発光ダイオード13Aの光は、入射部504aから導光シート502内に入射し、導光シート502及び17Aを通じて時針1の先端部に導かれて、先端部から出射する。これらによって、分針1および時針1の先端部分がそれぞれ光る。その結果、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
【0029】
この第5の実施形態の指針式腕時計500によれば、分針1及び時針2の先端部分がそれぞれ光り、これによって時字5b等が照らされるため、夜間でも、分針1及び時針2が指し示す時刻が直ぐに確認できることになる。
なお、この第5の実施形態において、分針1側の導光シート501を、第1の実施形態と同様に、ライトガイドやロッドレンズのような導光部材に置き換えることも可能である。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、導光シートは光導波路が1層のものを例に説明したが、多層のものとしてもよいことは勿論である。この場合、各層毎に出射部の反射面の傾斜方向を変更することによって、時字5a等だけでなく、針先の延長方向や針自体を光らすこともできる。また、出射部の位置を変更することによって、針先だけでなく針の途中部分又は基端部分で光らすこともできる。この場合、針自体を光らせるために、針の光らせたい部分を透光部材によって形成してもよい。
また、この実施形態では、導光シート301の複数の光導波路は、指針軸の内部に設けているが、指針軸の内部及び外部の一方でもよい。
また、一体型導光部材である導光シート301の複数の光導波路は、指針軸の内部及び外部の一方と、指針の上面及び下面の一方とに亘って形成されていてもよい。
また、この実施形態では指針式腕時計に適用した場合について説明しているが、置時計、柱時計または車両の指針式計測機器などに広く適用可能である。
【0031】
以下に、この出願の願書に最初に添設した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添設した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
光源からの光によって指針の所定部分を光らせる機能を有する指針照明装置において、
前記指針を回転駆動する指針軸に、前記光源からの光を当該指針軸の下端側から上端側まで導くように配設された第1導光部材と、
前記指針に、複数の光導波路が形成され前記導光部材から出射された光を当該指針の基端部から先端側に導くように配設された第2導光部材と、
を備えていることを特徴とする指針照明装置。
<請求項2>
前記第1導光部材は、前記指針軸の内周面に添設された導光シートを備えており、この導光シートの下方位置に前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の指針照明装置。
<請求項3>
前記第1導光部材は、前記指針軸の軸心部内に配設された柱状の導光ブロックを備えており、この導光ブロックの下方位置に前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の指針照明装置。
<請求項4>
指針とこの指針を回転駆動する指針軸とを有する指針照明装置において、
前記指針軸の下方位置に設けた光源と、
前記光源からの光を、前記指針を回転駆動する指針軸の下端側から上端側まで導き、且つ、前記指針の基端部から先端側に導くように、複数の光導波路が前記指針軸及び前記指針に亘って形成された一体型導光部材と、
を備えていることを特徴とする指針照明装置。
<請求項5>
前記一体型導光部材の複数の光導波路は、前記指針軸の内部及び外部の一方と、前記指針の上面及び下面の一方とに亘って形成されていることを特徴とする請求項4に記載の指針照明装置。
【符号の説明】
【0032】
1 分針
3 時計ムーブメント
4 ハウジング
5 文字板
6 分針軸
7 時針軸
13 発光ダイオード
14 導光部材
15 導光部材
16 導光シート
17 導光シート
17b 光導波路
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針照明装置に関し、詳しくは、指針部を効率よく照明することができる指針照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指針式時計において、時針,分針等の指針を光らせるように構成したものが知られている(特許文献1)。そして、この特許文献1に開示されている指針式腕時計では、指針がアクリル樹脂やポリカーボネ―ト樹脂等の導光部材によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−300787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、指針自体を導光部材によって構成するとすれば、指針の材料が限定されてしまうため、デザイン制約が生じてしまうという問題がある。また、指針自体が導光部材の場合、指針全体が光ってしまうので、指針の一部だけを光らせることは難しい。
この場合、指針のうちで光らせようとする部分を残して、光が遮断されるように指針に色付けすることも考えられるが、このような色付け加工を施すのは面倒である。
また、指針の裏側に上記導光部材を添設して、指針の一部だけを光らせることも考えられるが、上記導光部材は比較的重量があるので、回転トルクが大きくなってしまう。
また、上記特許文献1では、指針軸の中に発光ダイオードを組み込んだものが開示されているが、指針軸の径が大きい指針式掛け時計であるならば兎も角、指針式腕時計の指針軸は径が小さいので、発光ダイオードを組み込むことは困難である。
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、指針の所望位置を簡単且つ効率的に光らせることができる指針照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る指針照明装置は、
光源からの光によって指針の所定部分を光らせる機能を有する指針照明装置において、
前記指針を回転駆動する指針軸に、前記光源からの光を当該指針軸の下端側から上端側まで導くように配設された第1導光部材と、
前記指針に、複数の光導波路が形成され前記導光部材から出射された光を当該指針の基端部から先端側に導くように配設された第2導光部材と、
を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、指針を回転駆動する指針軸に、光源からの光を当該指針軸の下端側から上端側まで導くように配設された第1導光部材と、指針に、複数の光導波路が形成され導光部材から出射された光を当該指針の基端部から先端側に導くように配設された第2導光部材とを備えているので、光源の配置に無理がなく、また、指針の所望の箇所を効率的に光らせることができるばかりでなく、第2導光部材は比較的軽量であるため、指針自体の円滑な運針を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の第1の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【図2】図1の指針式腕時計に使用される導光シートの製造方法を示す図であり、(A)は基材シート及びアンダークラッド層を示す断面図、(B)はアンダークラッド層の上に光導波路のパターンを形成した状態を示す断面図、(C)は出来上がった導光シートを示す断面図である。
【図3】図1の指針式腕時計の導光シートを形成した分針の下面図である。
【図4】この発明の第2の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【図5】図4の指針式腕時計の二番車を斜め上方から見た場合を示す断面図である。
【図6】図4の指針式腕時計の円筒状の導光シートを展開した状態を示す図である。
【図7】図4の指針式腕時計の円筒状の導光シートを示す斜視図である。
【図8】図4の指針式腕時計の導光シートを形成した分針の下面図である。
【図9】この発明の第3の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【図10】図9の指針式腕時計に使用される導光シートの製造方法を示す図であり、(A)は帯状の導電シートの平面図、(B)は帯状の導電シートを裁断して出来た凸状の導電シートの平面図、(C)は凸状の導電シートの下半部を丸めた状態の桶状の導電シートの斜視図、(D)は出来上がった導光シートを示す斜視図である。
【図11】この発明の第4の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【図12】図11の指針式腕時計の二番車を斜め上方から見た場合を示す断面図である。
【図13】この発明の第5の実施形態の指針式腕時計の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における指針式腕時計の側断面図である。
この指針式腕時計100は、複数の指針(分針1及び時針2)を動かすための機構を備える時計ムーブメント3と、この時計ムーブメント3を収容するハウジング4とを備えている。
【0009】
ハウジング4の上面側には文字板5が配置されている。この文字板5の中央部には貫通孔5aが設けられている。この貫通孔5aには、分針軸6と及び当該分針軸6を収容する時針軸7とが下方から挿入され、これら分針軸6及び時針軸7の上部は文字板5から突出している。そして、分針軸6の上端には分針1が、時針軸7の上端には時針2がそれぞれ取り付けられている。
分針軸6の下端部には二番車9が取り付けられている。すなわち、この分針軸6の下端部はハウジング4のメインプレート8の下方まで延びている。そして、メインプレート8と、このメインプレート8の下方に配置された輪列受10との間に二番車9が配置されている。
一方、時針軸7の下端部には時針用筒車11が取り付けられている。この時針用筒車11は、メインプレート8と、このメインプレート8の上方の筒車押さえ12との間に配置されている。
なお、輪列受10の下方には回路基板30が配置されている。この回路基板30の上面には各種電子部品が配置され、特に、分針軸6の真下の位置には、光源としての発光ダイオード(LED)13が配置されている。
【0010】
次に、分針軸6及び分針1について詳細に説明する。
分針軸6は中空軸となっている。この分針軸6の中心部には、例えばアクリル樹脂やポリカーボネ―ト樹脂等で形成された柱状の第1導光部材の一部分を構成している導光ブロック14が配置されている。この導光ブロック14は、分針軸6と一体的に回転するように、当該分針軸6に固定して設けられている。この導光ブロック14は、分針軸6の下端から上端近くまで延在している。そして、この導光ブロック14は、発光ダイオード13からの光を下端から当該導光ブロック14内に導入し、その導入した光を分針軸6の上端付近まで導く。
また、分針軸6の中空部の上端には、反射面15aを有する第1導光部材の他の部分を構成している導光ブロック15が配置され、この導光ブロック15は、アクリル樹脂やポリカーボネ―ト樹脂等で形成されている。この導光ブロック15は上記導光ブロック14の上端に連結され、分針軸6の上端まで導かれた光を反射面15aで分針1の針先に向けて反射させる。
また、分針軸6の上端部には、導光ブロック15によって反射した光を分針軸6の外側に放射させるための窓16が形成されている。
【0011】
一方、分針1の下面には、第2導光部材を構成している導光シート17が貼設されている。この導光シート17は、例えば、図2(A)に示すように、基材シート17aに形成されたアンダークラッド層17b上にコア材を塗布し、図2(B)に示すように、フォトマスクを介して紫外線を照射することによって光導波路(コア)17cのパターンを形成し、図2(C)に示すように、その上にオーバークラッド層17dを塗布することによって形成される。なお、基材シート17aを用いずに、分針1にアンダークラッド層17bなどを直接形成するようにしてもよい、
この導光シート17の入射部18aは、導光ブロック15の近くに位置し、出射部18bは分針1の先端部に位置している。そして、光導波路17cは、図3に示すように、分針1の長手方向に沿って延びている。この場合、複数の導波路17bの出射部18bは、例えば、図3に破線で示すように円形に光を出射するように配置されている。なお、複数の光導波路17cの各出射部18は、文字板5側に向けて光を出射するように、傾斜面18c(図1参照)を有している。
【0012】
このように構成された指針式腕時計100によれば、発光ダイオード13の光は、導光ブロック14を通じて分針軸6の上端付近まで導かれ、さらに、導光ブロック15を通じて導光シート17に導かれて分針1の先端部に達し、先端部から出射する。これによって、分針1の先端部分が光る。その結果、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
【0013】
この指針式腕時計100によれば次のような効果を得ることができる。
まず、分針軸6の内部に導光ブロック14,15を設ける一方で、光源である発光ダイオード13は分針軸6の下方に配置されているため、光源の配置に無理がなくなる。
また、分針1の基端部から先端部までの光の伝送を導光シート17によって行っているため、分針1の材質選択の自由度が増すと共に、導光シート17内の光導波路17cを自由に引き回すことが可能であり、分針1の先端箇所を効率的に光らせることができる。この結果、分針1の運針状態を目で確実かつ容易に視認することができる。
さらに、導光ブロック14,15及び導光シート18を通じて、発光ダイオード13からの光を分針1の先端部まで導いているので、効率的な光伝送が行えることになる。
また、導光シート17は比較的軽量であるため、分針1自体の円滑な運針を図ることができる。
【0014】
(第2の実施形態)
図4は、本発明に係る指針式腕時計の第2の実施形態を示している。なお、図面において第1の実施形態と同一の部材には同じ符号を付してある。
この指針式腕時計200は、分針1及び時針2の他に、秒針203を備えている。この秒針203は、分針軸6を上下に貫く秒針軸204の上端に取り付けられている。この秒針軸204の下端部は四番車205の中央部に嵌合状態で固定されている。四番車205の内部には空洞部が形成され、当該空洞部には、光源である発光ダイオード(LED)13が配置されている。この発光ダイオード13は、筒状の支持体208に支持されている。この支持体206は、四番車205と供回りしないように、例えば回路基板30に固定されている。なお、発光ダイオード13への電源の供給は、支持体206内に収容された配線(図示せず)によって行われている。
なお、四番車205の上端面には、図5に示すように、放射状にスリット205aが形成されている。そして、発光ダイオード13からの光は、スリット205aを介して上方に放射される。
【0015】
また、分針軸6には、上記第1の実施形態における導光ブロック14に代えて、第1導光部材を構成している導光シート206が添設されている。この導光シート206は、図7に示すように、円筒状となっている点を除いては、上記導光シート17とほぼ同じ作りとなっている。
この導光シート206は分針軸6の内側に嵌合状態で接着されている。
この導光シート206は、図6に示す帯状の導光シート206Aを図7に示すように円筒状に丸めたものである。
この場合の導光シート206Aの短辺は分針軸6の内周の長さ寸法とほぼ同じ寸法であり、長辺は分針軸6の長さ寸法とほぼ同じ寸法である。そして、この導光シート206Aには、短辺に平行な方向に所定のピッチで光導波路206cが並設されている。そして、この光導波路206cは、導光シート206Aの長辺に平行な方向に延在している。
そして、この導光シート206Aの両側長辺を互いに突き合わせて接着することによって、図7に示す円筒状の導光シート206が作成される。
【0016】
このように作成された導光シート206の上端部からは、図7に示すように、当該導光シート206の円周方向に所定の間隔で複数の光導波路206cの出射部207bが露出している。この出射部207bは導光シート206の円周方向に等間隔に位置している。図7では5個の出射部207bのみを図示し、他の出射部は省略している。
一方、分針1の下面に貼着された導光シート17の光導波路17cは、図8に示すように、入射部18aが上記導光シート206の出射部207bに1対1で当接するように分針軸6の円周方向に所定間隔で配置されている。
【0017】
このように構成された指針式腕時計200によれば、発光ダイオード13の光はスリット205aを介して導光シート206に至り、導光シート206を通じて分針軸6の上端付近まで導かれ、さらに、導光シート17を通じて分針1の先端部に達し、先端部から出射する。これによって、分針1の先端部分が光る。その結果、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
【0018】
この第2の実施形態の指針式腕時計200によれば次のような効果を得ることができる。
すなわち、分針軸6の内周に沿わせて導光シート206を設けているので、分針軸6の中心部には空間が形成され、他の軸、ここでは秒針軸204を貫通させることが可能となる。
【0019】
(第3実施形態)
図9は、本発明に係る指針式腕時計の第3の実施形態を示している。なお、図面において上記実施形態と同一の部材には同じ符号を付してある。
この第3の実施形態の指針式腕時計300は、第2の実施形態の指針式腕時計200の第1導光部材を構成している導光シート17及び第2導光部材を構成している導光シート206が一体となった一体型導光シート301を備えている。
【0020】
この一体型導光シート301は図10に示すようにして作成される。
まず、帯状の基材シートを用意する。この場合の基材シートの短辺は分針軸6の内周の長さ寸法とほぼ同じ寸法であり、長辺は分針軸6の長さ寸法と分針1の長さ寸法を足した寸法程度である。
この基材シートの上に、第1の実施形態におけると同様な方法で、アンダークラッド層(図示せず)、複数の光導波路301c及びオーバークラッド層(図示せず)を形成して帯状の導光シート301Aを作成する(図10(A))。この場合、光導波路301cは、その並設ピッチが基材シート301Aの下半部において広く且つ上半部において狭くなるように、途中で曲折されている。
続いて、図10(B)に示すように、導光シート301Bを凸状に裁断する。すなわち、図10(A)の光導波路301cが形成されていない領域、つまり、右上部及び左上部を破線Hに沿って裁断して取り除いて凸状の導光シート301Bを作成する。
次に、図10(C)に示すように、導光シート301Bの下半部の両端を互いに付き合わせるようにして筒状に丸めて桶状の導光シート301Cを作成した後、図10(D)に示すように、上半部を外側に折り曲げて、第3の実施形態の一体型導光シート301を作成する。
【0021】
次に、この一体型導光シート(一体型導光部材)301の取付け方法について説明する。
まず、導光シート301の折り曲げ部分を分針1の下面に貼り付ける。
次に、導光シート301の筒状部を分針軸6の上方から分針軸6の内側に挿入する。そして、分針軸6の上端に分針1を取り付ける。
勿論、導光シート301の筒状部を上方から分針軸6の内側に挿入し、分針軸6の上端に分針1を取り付けた後に、導光シート301の折り曲げ部分を分針1の下面に貼り付けてもよい。
【0022】
このように構成された指針式腕時計300によれば、発光ダイオード13の光は、導光シート301を通じて分針1の先端部に導かれて、先端部から出射する。これによって、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
【0023】
この第3の実施形態の指針式腕時計300によれば、1つの一体型導光シート301によって光が伝送されるため、光の伝送ロスが少ないものとなる。
また、導光シート301が1つで済むため、その分、その製造及び管理が容易となる。
【0024】
(第4の実施形態)
図11は、本発明に係る指針式腕時計の第4の実施形態を示している。なお、図面において上記実施形態と同一の部材には同じ符号を付してある。
この第4実施形態の指針式腕時計400は、第2の実施形態の指針式腕時計200の導光シート206の入射部207aとは、その構成が異なっている。
すなわち、第2の実施形態の指針式腕時計200では、円筒状の導光シート206の下端に入射部207aが設けられていたが、この第4の実施形態では、図12に示すように、当該導光シート206に対応する導光シート401は入射部402aが光導波路毎に分岐した形で、二番車9の下面に、当該二番軸の中心に対して放射状に延在した形となっている。
また、これに伴って、光源である発光ダイオード13は、二番軸9の回転に伴って導光シート401の先端の放射状に延在した多数の入射部402aが通過する箇所の下方に配置されている。
【0025】
このように構成された指針式腕時計400によれば、発光ダイオード13の光は、放射状に延在した多数の入射部402aの一つから導光シート401内に入射し、導光シート401及び17を通じて分針1の先端部に導かれて、先端部から出射する。これによって、分針1の先端部分が光る。その結果、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
なお、この指針式腕時計400では、光導波路の数が少ないと、二番軸9の回転に伴って、針先は点滅を繰り返すことになるが、光導波路の数を多く、例えば、120本程度にして、隣り合う少なくとも2つの光導波路の入射部402aが光を同時に受光できるようにすれば、この問題も解決される。
【0026】
この第4の実施形態の指針式腕時計400によれば、光源である発光ダイオード13の設置場所の自由度が増すことになる。
なお、この第4の実施形態の導光シート401及び17を第3の実施形態と同様に一連のものとすることも可能である。
【0027】
(第5実施形態)
図13は、本発明に係る指針式腕時計の第5の実施形態を示している。なお、図面において上記実施形態と同一の部材には同じ符号を付してある。
この第5実施形態は、第4実施形態の構成を2つの針に適用したものであり、分針軸6の内側に導光シート501、時針軸7の内側に導光シート502をそれぞれ設けたものである。
また、それに対応して、光源である発光ダイオード13Aをもう1つ設けると共に、時針2に導光シート17Aを添設したものである。
ここで、導光シート501,502は上記導光シート401とほぼ同じ構成であり、導光シート17Aは上記導光シート17とほぼ同じ構成である。
【0028】
このように構成された指針式腕時計500によれば、発光ダイオード13の光は、入射部503aから導光シート501内に入射し、導光シート501及び17を通じて分針1の先端部に導かれて、先端部から出射する。また、発光ダイオード13Aの光は、入射部504aから導光シート502内に入射し、導光シート502及び17Aを通じて時針1の先端部に導かれて、先端部から出射する。これらによって、分針1および時針1の先端部分がそれぞれ光る。その結果、文字板5上に配置された時字5b等が照らされる。
【0029】
この第5の実施形態の指針式腕時計500によれば、分針1及び時針2の先端部分がそれぞれ光り、これによって時字5b等が照らされるため、夜間でも、分針1及び時針2が指し示す時刻が直ぐに確認できることになる。
なお、この第5の実施形態において、分針1側の導光シート501を、第1の実施形態と同様に、ライトガイドやロッドレンズのような導光部材に置き換えることも可能である。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、導光シートは光導波路が1層のものを例に説明したが、多層のものとしてもよいことは勿論である。この場合、各層毎に出射部の反射面の傾斜方向を変更することによって、時字5a等だけでなく、針先の延長方向や針自体を光らすこともできる。また、出射部の位置を変更することによって、針先だけでなく針の途中部分又は基端部分で光らすこともできる。この場合、針自体を光らせるために、針の光らせたい部分を透光部材によって形成してもよい。
また、この実施形態では、導光シート301の複数の光導波路は、指針軸の内部に設けているが、指針軸の内部及び外部の一方でもよい。
また、一体型導光部材である導光シート301の複数の光導波路は、指針軸の内部及び外部の一方と、指針の上面及び下面の一方とに亘って形成されていてもよい。
また、この実施形態では指針式腕時計に適用した場合について説明しているが、置時計、柱時計または車両の指針式計測機器などに広く適用可能である。
【0031】
以下に、この出願の願書に最初に添設した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添設した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
光源からの光によって指針の所定部分を光らせる機能を有する指針照明装置において、
前記指針を回転駆動する指針軸に、前記光源からの光を当該指針軸の下端側から上端側まで導くように配設された第1導光部材と、
前記指針に、複数の光導波路が形成され前記導光部材から出射された光を当該指針の基端部から先端側に導くように配設された第2導光部材と、
を備えていることを特徴とする指針照明装置。
<請求項2>
前記第1導光部材は、前記指針軸の内周面に添設された導光シートを備えており、この導光シートの下方位置に前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の指針照明装置。
<請求項3>
前記第1導光部材は、前記指針軸の軸心部内に配設された柱状の導光ブロックを備えており、この導光ブロックの下方位置に前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の指針照明装置。
<請求項4>
指針とこの指針を回転駆動する指針軸とを有する指針照明装置において、
前記指針軸の下方位置に設けた光源と、
前記光源からの光を、前記指針を回転駆動する指針軸の下端側から上端側まで導き、且つ、前記指針の基端部から先端側に導くように、複数の光導波路が前記指針軸及び前記指針に亘って形成された一体型導光部材と、
を備えていることを特徴とする指針照明装置。
<請求項5>
前記一体型導光部材の複数の光導波路は、前記指針軸の内部及び外部の一方と、前記指針の上面及び下面の一方とに亘って形成されていることを特徴とする請求項4に記載の指針照明装置。
【符号の説明】
【0032】
1 分針
3 時計ムーブメント
4 ハウジング
5 文字板
6 分針軸
7 時針軸
13 発光ダイオード
14 導光部材
15 導光部材
16 導光シート
17 導光シート
17b 光導波路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光によって指針の所定部分を光らせる機能を有する指針照明装置において、
前記指針を回転駆動する指針軸に、前記光源からの光を当該指針軸の下端側から上端側まで導くように配設された第1導光部材と、
前記指針に、複数の光導波路が形成され前記導光部材から出射された光を当該指針の基端部から先端側に導くように配設された第2導光部材と、
を備えていることを特徴とする指針照明装置。
【請求項2】
前記第1導光部材は、前記指針軸の内周面に添設された導光シートを備えており、この導光シートの下方位置に前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の指針照明装置。
【請求項3】
前記第1導光部材は、前記指針軸の軸心部内に配設された柱状の導光ブロックを備えており、この導光ブロックの下方位置に前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の指針照明装置。
【請求項4】
指針とこの指針を回転駆動する指針軸とを有する指針照明装置において、
前記指針軸の下方位置に設けた光源と、
前記光源からの光を、前記指針を回転駆動する指針軸の下端側から上端側まで導き、且つ、前記指針の基端部から先端側に導くように、複数の光導波路が前記指針軸及び前記指針に亘って形成された一体型導光部材と、
を備えていることを特徴とする指針照明装置。
【請求項5】
前記一体型導光部材の複数の光導波路は、前記指針軸の内部及び外部の一方と、前記指針の上面及び下面の一方とに亘って形成されていることを特徴とする請求項4に記載の指針照明装置。
【請求項1】
光源からの光によって指針の所定部分を光らせる機能を有する指針照明装置において、
前記指針を回転駆動する指針軸に、前記光源からの光を当該指針軸の下端側から上端側まで導くように配設された第1導光部材と、
前記指針に、複数の光導波路が形成され前記導光部材から出射された光を当該指針の基端部から先端側に導くように配設された第2導光部材と、
を備えていることを特徴とする指針照明装置。
【請求項2】
前記第1導光部材は、前記指針軸の内周面に添設された導光シートを備えており、この導光シートの下方位置に前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の指針照明装置。
【請求項3】
前記第1導光部材は、前記指針軸の軸心部内に配設された柱状の導光ブロックを備えており、この導光ブロックの下方位置に前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の指針照明装置。
【請求項4】
指針とこの指針を回転駆動する指針軸とを有する指針照明装置において、
前記指針軸の下方位置に設けた光源と、
前記光源からの光を、前記指針を回転駆動する指針軸の下端側から上端側まで導き、且つ、前記指針の基端部から先端側に導くように、複数の光導波路が前記指針軸及び前記指針に亘って形成された一体型導光部材と、
を備えていることを特徴とする指針照明装置。
【請求項5】
前記一体型導光部材の複数の光導波路は、前記指針軸の内部及び外部の一方と、前記指針の上面及び下面の一方とに亘って形成されていることを特徴とする請求項4に記載の指針照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−76639(P2013−76639A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216627(P2011−216627)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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