説明

振動波モータ装置及び撮像装置

【課題】異音の発生が抑えられた状態で保持トルクを維持しつつ駆動停止可能な振動波モータ装置を提供する。
【解決手段】本発明の振動波モータ装置30,40は、第1電気機械エネルギー変換素子312Lにより振動される第1弾性体311L、第2電気機械エネルギー変換素子312Uにより振動される第2弾性体311U、及び、第1弾性体及び第2弾性体に加圧接触され、それらの少なくとも一方の振動により第1の方向CW又は第1の方向と逆の第2の方向CCWのいずれかに駆動される相対運動部材32、を有する振動波モータ30と、第1駆動信号C1,C2、第2駆動信号A1,A2、及び、第2駆動信号B1,B2を発生させる信号発生部42と、それらの駆動信号のいずれを第1電気機械エネルギー変換素子及び第2電気機械エネルギー変換素子に与えるかを切り替え可能な切替部43と、切替部を制御する制御部44と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動波モータ装置及び撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラのフォーカスレンズ等の駆動に用いられる振動波モータは、駆動停止する際に異音を発生することがある。この異音を防止するため、種々の対策が採られている(例えば、特許文献1参照)。
このような異音の発生を避けつつ振動波モータを停止させるには、圧電素子に加える2相の交流電圧を同位相とする方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−123753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、異音の発生を避けるために圧電素子に同位相の2相の交流電圧を印加すると、振動波モータの回転方向の駆動力が低下する。これにより、被駆動体(相対運動部材)の保持トルクが弱まり、振動波モータが駆動停止している状態で、被駆動体が移動してしまう可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、異音の発生が抑えられた状態で保持トルクを維持しつつ駆動停止可能な振動波モータ装置及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、第1電気機械エネルギー変換素子(312L)により振動される第1弾性体(311L)、第2電気機械エネルギー変換素子(312U)により振動される第2弾性体(311U)、及び、前記第1弾性体(311L)及び前記第2弾性体(311U)に加圧接触され、該第1弾性体(311L)及び該第2弾性体(311U)の少なくとも一方の振動により第1の方向(CW)又は前記第1の方向(CW)と逆の第2の方向(CCW)のいずれかに駆動される相対運動部材(32)、を有する振動波モータ(30)と、それぞれ位相が異なる第1駆動信号(C1,C2)、第2駆動信号(A1,A2)、及び、第2駆動信号(B1,B2)を発生させる信号発生部(42)と、前記信号発生部(42)により発生された駆動信号のいずれを前記第1電気機械エネルギー変換素子(312L)及び前記第2電気機械エネルギー変換素子(312U)に与えるかを切り替え可能な切替部(43)と、前記切替部(43)を制御する制御部(44)と、を備えることを特徴とする振動波モータ装置(30,40)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の振動波モータ装置(30,40)であって、前記第2駆動信号(A1,A2)は、前記第1駆動信号(C1,C2)に対して90度位相が進み、前記第2駆動信号(B1,B2)は、前記第1駆動信号(C1,C2)に対して90度位相が遅れていること、を特徴とする振動波モータ装置(30,40)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の振動波モータ装置(30,40)であって、前記相対運動部材(32)は、前記第1弾性体(311L)と第2弾性体(311U)との間に配置されていること、を特徴とする振動波モータ装置(30,40)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータ装置(30,40)であって、前記第1電気機械エネルギー変換素子(312L)および前記第2電気機械エネルギー変換素子(312U)は2つの相に交流電圧が印加されるようになっており、前記制御部(44)は、前記相対運動部材(32)を前記第1の方向(CW)に駆動するときは、前記第1電気機械エネルギー変換素子(312L)の2つの相にそれぞれ第1駆動信号(C1,C2)及び第2駆動信号(A1,A2)を与え、前記第2電気機械エネルギー変換素子(312U)の2つの相の両方に前記第1駆動信号(C1,C2)を与える第1制御を前記切替部(43)に対して行い、前記相対運動部材(32)を前記第2の方向(CCW)に駆動するときは、前記第1電気機械エネルギー変換素子(312L)の2つの相の両方に第1駆動信号(C1,C2)を与え、前記第2電気機械エネルギー変換素子(312U)の2つの相に、第1駆動信号(C1,C2)及び第2駆動信号(B1,B2)をそれぞれ与える第2制御を前記切替部(43)に対して行うこと、を特徴とする振動波モータ装置(30,40)である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の振動波モータ装置(30,40)を備える撮像装置(1)であって、前記振動波モータ(30)の前記相対運動部材(32)は、フォーカスレンズ(21)を駆動させるものであり、該フォーカスレンズ(21)のウォブリング動作を行う場合、前記制御部(44)は、前記第1制御と前記第2制御とを繰り返すこと、を特徴とする撮像装置(1)である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の撮像装置(1)であって、前記ウォブリング動作以外の前記フォーカスレンズ(21)駆動を行う場合、前記制御部(44)は、前記第1電気機械エネルギー変換素子(312L)の2つの相の一方に前記第1駆動信号(C1,C2)を与え、他方に前記フォーカスレンズ(21)の駆動方向により前記第2駆動信号(A1,A2)又は前記第2駆動信号(B1,B2)を与え、前記第2電気機械エネルギー変換素子(312U)の2つの相にも、前記第1電気機械エネルギー変換素子(312L)の2つの相と同じ駆動信号を与える第3制御を前記切替部(43)に対して行うこと、を特徴とする撮像装置(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異音の発生が抑えられた状態で保持トルクを維持しつつ駆動停止可能な振動波モータ装置及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態におけるカメラの概念的な構成図である。
【図2】超音波モータの概念構成および駆動説明図である。
【図3】ステータにおける圧電体の配置を示す図である。
【図4】AFモータ駆動装置の回路図である。
【図5】AFモータ駆動装置における切り換えスイッチの位置と超音波モータの回転との関係を示す図である。
【図6】ウォブリング動作の説明図である。
【図7】第2実施形態におけるAFモータ駆動装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるカメラ1の概念的な構成図である。
カメラ1は、動画撮影機能を有するカメラであって、オートフォーカス(以下AFと略記する)の駆動源として、本発明における振動波モータの一実施形態である超音波モータ30を備えている。
【0011】
カメラ1は、カメラボディ10と、レンズ鏡筒20とを備えている。レンズ鏡筒20は、カメラボディ10に着脱可能な交換レンズである。なお、本実施形態では、レンズ鏡筒20が交換可能な例を示したが、これに限らず、たとえば、カメラボディとレンズ鏡筒が一体型のカメラであってもよい。
【0012】
カメラボディ10は、光電変換素子であるCCD等の撮像素子11と、制御装置12と、を備えている。
制御装置12は、当該カメラ1全体を統括的に制御する制御部である。制御装置12は、機能部として、焦点調整情報を検出する焦点情報検出部12Aと、AF駆動する超音波モータ30を駆動制御するAFモータ駆動装置40等を備えている。
【0013】
焦点情報検出部12Aは、撮像素子11が撮像した画像のコントラストの変化から合焦状態の変化を検出する。
AFモータ駆動装置40は、後述する超音波モータ30を駆動する駆動信号を形成し、超音波モータ30に出力する。
【0014】
そして、制御装置12は、前述したように、当該カメラ1全体を制御する。また、制御装置12は、焦点情報検出部12Aによる焦点検出情報に基づいてAFモータ駆動装置40を制御し、超音波モータ30を駆動して後述するレンズ鏡筒20における合焦レンズ21を移動させて、被写体像が撮像素子11の結像面に結像するようにAF制御を行う。
【0015】
レンズ鏡筒20は、合焦レンズ21、カム筒22、超音波モータ30、及びこれらを包囲する外筒23等を備えている。
本実施形態では、超音波モータ30は、カム筒22と外筒23の間の円環状の隙間に配置されている。超音波モータ30は、前述したように、カメラ1の合焦動作時に合焦レンズ21を駆動する駆動源であり、カム筒22を回転操作する。
【0016】
超音波モータ30は、ロータ32と、ロータ32に圧接配置された一対のステータ(第1ステータ31L,第2ステータ31U)と、ロータ32を支持する回転軸33に結合された出力ギア34と、を備えている。
超音波モータ30は、制御装置12(AFモータ駆動装置40)から供給される所定の電圧および周波数の駆動信号による第1ステータ31Lおよび第2ステータ31Uの駆動によって、出力ギア34が回転力を出力する。その出力回転方向は第1ステータ31Lと第2ステータ31Uのいずれで駆動するかによって変わり、また、回転速度は、駆動信号の周波数に応じて変化する。つまり、超音波モータ30は、AFモータ駆動装置40の駆動信号の切換および周波数制御によって、回転方向および回転数が制御されるようになっている。なお、この超音波モータ30およびAFモータ駆動装置40については後に詳述する。
【0017】
カム筒22は、超音波モータ30によって回転操作されると、外筒23内を光軸OAと平行する方向に移動するように構成されている。
合焦レンズ21は、カム筒22に保持されている。そして、超音波モータ30の駆動によるカム筒22の移動によって、光軸OA方向に移動して焦点調節を行う。
なお、レンズ鏡筒20は、合焦レンズ21の他に、図示しないが複数のレンズ群を備えているものである。
【0018】
そして、カメラ1は、合焦レンズ21とレンズ鏡筒20内に設けられた図示しないレンズ群とによって、撮像素子11の撮像面に被写体像が結像される。撮像素子11は、結像された被写体像を電気信号に変換する。その電気信号は、A/D変換されて、画像データとされる。これらカメラ1における撮影に係る一連の動作は、制御装置12によって制御される。
【0019】
また、カメラ1は、動画撮影時には、ウォブリング動作を行う。すなわち、動画撮影時において、制御装置12は、合焦レンズ21を前後に細かく移動させ、撮像素子11が撮像した画像のコントラストの変化に応じて焦点情報検出部12Aが検出した合焦状態の変化情報に基づいて、AFモータ駆動装置40を制御して合焦調整を行う。
【0020】
つぎに、前述した図1に加えて図2〜図6を参照し、本発明における振動波モータの一実施形態である超音波モータ30とAFモータ駆動装置40について説明する。
図2は、超音波モータ30の概念構成および駆動説明図である。図3は、ステータ31L,31Uにおける圧電体312L,312Uの配置を示す図である。図4は、AFモータ駆動装置40の回路図である。図5は、AFモータ駆動装置40のスイッチングと超音波モータ30の回転との関係を示す図である。図6は、ウォブリング動作の説明図である。
【0021】
図1中および図2に概念的に示すように、超音波モータ30は、ロータ32を挟むように配置された一対のステータ(第1ステータ31L,第2ステータ31U)を備えている。図2(a)中下側の第1ステータ31Lと、図2(a)中上側の第2ステータ31Uとは、機械的な構造は同一であって、ロータ32を挟んで反転して配設されているものである。
【0022】
第1ステータ31Lは、円環状の弾性体311Lと圧電体312L(図2には示さず)とにより構成されている。
弾性体311Lは、矩形の断面形状の円環状であって、その中心軸方向一方の側に複数のスリットによって櫛歯部311aが形成されている。この櫛歯部311aにおける櫛歯の先端面が、ロータ32に接触して駆動する駆動面となっている。
【0023】
圧電体312Lは、弾性体311Lにおける櫛歯部311aとは逆側の面に接合配設されている。圧電体312Lは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子である。
圧電体312Lは、図3(a)に示すように、弾性体311Lの周方向に沿って2つの相(A相およびC相)の駆動信号が入力される範囲(A相圧電体312LaとC相圧電体312Lc)に分かれている。各相圧電体312La,312Lcは、1/2波長毎に分極が交互となった要素が並べられている。
【0024】
A相圧電体312Laには、後述するAFモータ駆動装置40における駆動回路50AからA相(またはC相)の駆動電力が入力するようになっている。また、C相圧電体312Lcには、駆動回路50CからのC相の駆動電力が入力するようになっている。
そして、第1ステータ31Lは、A相圧電体312LaにA相の駆動電力が入力すると共にC相圧電体312LcにA相に対して位相が90°進んだC相の駆動電力が入力すると、図2(b)に示すように、A相圧電体312LaおよびC相圧電体312Lcが伸縮して弾性体311Lの駆動面にロータ32を時計回り(CW)に回転操作する進行波を生ずる。また、第1ステータ31Lは、A相圧電体312LaとC相圧電体312Lcの双方に同位相のC相の駆動電力が入力すると、図2(c)に示すように、ロータ32を軸方向に保持するのみで回転操作しない定在波を生ずる。
【0025】
第2ステータ31Uは、円環状の弾性体311Uと圧電体312Uとにより構成されている。
弾性体311Uには、第1ステータ31Lにおける弾性体311Lと同様に、櫛歯部311aが形成されている。
圧電体312Uは、図3(b)に示すように、弾性体311Uの周方向に沿って2つの相(B相およびC相)の駆動信号が入力される範囲(B相圧電体312UbおよびC相圧電体312Uc)に分かれている。各相圧電体312Ub,312Ucは、1/2波長毎に分極が交互となった要素が並べられている。
A相圧電体312Ubには、後述するAFモータ駆動装置40における駆動回路50BからB相(またはC相)の駆動電力が入力するようになっている。また、C相圧電体312Ucには、駆動回路50CからのC相の駆動電力が入力するようになっている。
【0026】
そして、第2ステータ31Uは、B相圧電体312UaにB相の駆動電力が入力すると共にC相圧電体312UcにB相に対して位相が90°遅れたC相の駆動電力が入力すると、図2(c)に示すように、B相圧電体312UaおよびC相圧電体312Ucが伸縮して弾性体311Uの駆動面にロータ32を反時計回り(CCW)に回転操作する進行波を生ずる。また、第2ステータ31Uは、B相圧電体312UaとC相圧電体312Ucの双方に同位相のC相の駆動電力が入力すると、図2(b)に示すように、ロータ32を軸方向に保持するのみで回転操作しない定在波を生ずる。
【0027】
上記構成の第1ステータ31Lと第2ステータ31Uとは、それぞれの櫛歯部311aの駆動面を対向させた姿勢で、間にロータ32を挟んで配置され、図示しない付勢手段によってそれぞれ駆動面を所定の力でロータ32に圧接させるように押圧付勢されている。
ロータ32は、円盤状の部材であって、前述したように、回転軸33(図2には示さず)に支持されている。回転軸33には、出力ギア34が固定されている。
【0028】
上記のように構成された超音波モータ30は、前述したように、第1ステータ31Lは、A相圧電体312LaにA相の駆動電力が入力すると共にC相圧電体312LcにC相の駆動電力が入力するとロータ32を時計回り(CW)に回転操作する進行波を生ずる。また、第2ステータ31Uは、B相圧電体312UbにB相の駆動電力が入力すると共にC相圧電体312UcにC相の駆動電力が入力すると、ロータ32を反時計回り(CCW)に回転操作する進行波を生ずる。
これにより、超音波モータ30は、第1ステータ31Lと第2ステータ31Uのいずれか一方を択一的に駆動作用させると共に他方を駆動作用させないことで、回転軸33の回転を正逆両方向に切り換えて、出力ギア34から回転力を出力できるようになっている。
【0029】
すなわち、時計回り(CW)の回転力を出力するには、第1ステータ31LにおけるA相圧電体312LaにA相の駆動電力を入力すると共にC相圧電体312LcにA相に対して位相が90°進んだC相の駆動電力を入力し、第2ステータ31UのB相圧電体312UbおよびC相圧電体312Ucには共にC相の駆動電力を入力する。これにより、第1ステータ31Lが進行波によってロータ32を時計回り(CW)に回転操作して当該時計回り(CW)の回転力を出力する。ステータ31Uには、定在波が発生し、ロータ32を軸方向に保持するのみでその移動を妨げない。
【0030】
一方、反時計回り(CCW)の回転力を出力するには、第2ステータ31UにおけるB相圧電体312UbにB相の駆動電力を入力すると共にC相圧電体312UcにB相に対して位相が90°遅れたC相の駆動電力を入力し、第1ステータ31LのA相圧電体312LaおよびC相圧電体312Lcには共にC相の駆動電力を入力する。これにより、第2ステータ31Uが進行波によってロータ32を反時計回り(CCW)に回転操作して当該反時計回り(CCW)の回転力を出力する。第1ステータ31Lには定在波が発生し、ロータ32を軸方向に保持するのみでその移動を妨げない。
【0031】
つぎに、超音波モータ30の駆動(回転方向および回転速度)を制御するAFモータ駆動装置40について説明する。
AFモータ駆動装置40は、図4にその回路図を示すように、直流電源回路41と、パルス生成回路42と、切換スイッチ43と、駆動回路50A,50B,50Cと、回転制御部44と、を備えている。
直流電源回路41は、駆動回路50A,50B,50Cに接続され、これらに直流の電流を供給する。
【0032】
パルス生成回路42は、回転制御部44と、駆動回路50A,50B,50Cとに接続されている。パルス生成回路42は、回転制御部44から、超音波モータ30を駆動する駆動周波数の指示を受け、その駆動周波数で超音波モータ30を駆動するために必要なパルス信号を駆動回路50A,50B,50Cに対して出力する。すなわち、パルス生成回路42は、駆動回路50Aに対してパルス信号A1,A2を、駆動回路50Bに対してパルス信号B1,B2を、駆動回路50Cに対してパルス信号C1,C2を、それぞれ出力する。また、パルス生成回路42のパルス信号C1,C2は、後述する切換スイッチ43の切換によって、駆動回路50Aおよび駆動回路50Bにパルス信号C1,C2を入力可能となっている。
【0033】
切換スイッチ43は、パルス生成回路42から駆動回路50Aに入力されるパルス信号ラインをパルス信号C1,C2に切換え得るように設けられた第1切換スイッチ43Aと、パルス生成回路42から駆動回路50Bに入力されるパルス信号ラインをパルス信号C1,C2に切換え得るように設けられた第2切換スイッチ43Bと、を備えている。
【0034】
つまり、切換スイッチ43は、第1切換スイッチ43Aが、駆動回路50Aへの入力をパルス信号A1,A2とパルス信号C1,C2とで切り換え、第2切換スイッチ43Bが駆動回路50Bへの入力をパルス信号B1,B2とパルス信号C1,C2とで切換えることができるようになっている。この切換スイッチ43は、回転制御部44によって切換制御される。
【0035】
駆動回路50A,50B,50Cは、それぞれA相用,B相用,C相用の駆動回路である。各駆動回路50A,50B,50Cは、供給される駆動信号の位相がA相とC相、B相とC相とでそれぞれ90°ずれているが、構成および作用は同様であるため、まず、駆動回路50として構成および作用を説明する。
【0036】
駆動回路50は、第1スイッチ部51と、第2スイッチ部52と、トランス53と、を有している。
第1スイッチ部51は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)51Aと、ダイオード51Bと、を有している。
MOSFET51Aのゲート端子には、パルス生成回路42からパルス信号A1が入力される。第1スイッチ部51は、パルス信号A1によって、通電(ON)状態と非通電(OFF)状態とが切り替わるスイッチ部として機能する。
【0037】
第2スイッチ部52は、MOSFET52Aと、ダイオード52Bとを有している。MOSFET52Aのゲート端子には、パルス生成回路42からパルス信号A2が入力される。第2スイッチ部52は、パルス信号A2によって、通電(ON)状態と非通電(OFF)状態とが切り替わるスイッチ部として機能する。
【0038】
トランス53は、1次側インダクタ部53Aが直流電源回路41に接続されると共に、2次側インダクタ部53Bが超音波モータ30の圧電体312Lまたは312Uに接続され、超音波モータ30に印加する駆動電圧を昇圧している。
【0039】
そして、上記構成の駆動回路50は、第1スイッチ部51と第2スイッチ部52とが、パルス信号A1とパルス信号A2の時間差を180°の位相差として、トランス53に対して両者が交互に逆方向の電流を流すようにいわゆるプッシュプル駆動し、トランス53が昇圧して所定の周波数の駆動電力を超音波モータ30(第1ステータ31L,第2ステータ31U)の圧電体312L,312Uに出力する。
【0040】
ここで、駆動回路50Aは、超音波モータ30における第1ステータ31Lの圧電体312Laに駆動電力を出力する。すなわち、当該駆動回路50Aへの入力を切り換える切換スイッチ43(第1切換スイッチ43A)の位置に対応して、入力がパルス信号A1,A2の場合にはA相の駆動電力を、入力がパルス信号C1,C2場合にはC相の駆動電力を、それぞれ第1ステータ31Lの圧電体312Laに出力する。
【0041】
駆動回路50Bは、超音波モータ30における第2ステータ31Uの圧電体312Ubに駆動電力を出力する。すなわち、当該駆動回路50Bへの入力を切り換える切換スイッチ43(第2切換スイッチ43B)の位置に対応して、入力がパルス信号B1,B2の場合にはB相の駆動電力を、入力がパルス信号C1,C2場合にはC相の駆動電力を、それぞれ第2ステータ31Uの圧電体312Ubに出力する。
駆動回路50Cは、超音波モータ30におけるステータ31Lの圧電体312Lcと、ステータ31Uの圧電体312Cに、それぞれC相の駆動電力を出力する。
【0042】
回転制御部44は、直流電源回路41のON/OFFと、パルス生成回路42に対する駆動周波数の指示と、切換スイッチ43の切換と、を行って、超音波モータ30の回転方向および回転速度を制御する。
【0043】
そして、上記構成のAFモータ駆動装置40は、回転制御部44による切換スイッチ43の切換によって、超音波モータ30の回転方向を制御する。
つぎに、この超音波モータ30の回転方向の制御について説明する。
回転制御部44は、図5に示すように、切換スイッチ43における第1切換スイッチ43Aと第2切換スイッチ43Bとを、一方がA相側またはB相側の場合には他方をC相に切り換えるように連動操作する。
【0044】
図5中状態Aで示すように、第1切換スイッチ43AがA相側(第2切換スイッチ43BがC相側)では、超音波モータ30は時計回り(CW)の回転力を出力する。
つまり、第1切換スイッチ43AをA相側(第2切換スイッチ43BをC相側)とすることで、第1ステータ31LにおけるA相圧電体312LaにA相の駆動電力が入力すると共にC相圧電体312LcにC相の駆動電力が入力し、第2ステータ31UのB相圧電体312UbおよびC相圧電体312UcにはC相の駆動電力が入力する。これにより、前述したように、第1ステータ31Lにロータ32を時計回り(CW)に回転操作する進行波が生ずると共に第2ステータ31Uには定在波が生じ、超音波モータ30は時計回り(CW)の回転力を出力するものである。なお、図4の回路図は、この状態Aを示している。
【0045】
また、図5中状態Bで示すように、切換スイッチ43BがB相側(第1切換スイッチ43AがC相側)では、超音波モータ30は反時計回り(CCW)の回転力を出力する。
つまり、切換スイッチ43BをB相側(第1切換スイッチ43AをC相側)とすることで、第2ステータ31UにおけるB相圧電体312UbにB相の駆動電力が入力すると共にC相圧電体312UcにC相の駆動電力が入力し、第1ステータ31LのA相圧電体312LaおよびC相圧電体312Lcには共にC相の駆動電力が入力する。これにより、前述したように、第2ステータ31Uにロータ32を反時計回り(CCW)に回転操作する進行波が生ずると共に第1ステータ31Lに定在波が生じ、超音波モータ30は反時計回り(CCW)の回転力を出力するものである。
【0046】
上記のように、超音波モータ30およびAFモータ駆動装置40によれば、AFモータ駆動装置40における切換スイッチ43(第1切換スイッチ43A,第2切換スイッチ43B)の切り換えによって超音波モータ30の回転を切り換えることができる。
ここで、1個のステータを備える超音波モータにおいて回転方向を切り換える場合は、回転⇒停止(同相)⇒逆転、の3ステップが必要となるが、本構成では一方のステータ(第1ステータ31Lまたは第2ステータ31U)の進行波停止と同時もしくは直前に、他方のステータ(第2ステータ31Uまたは第1ステータ31L)に進行波を発生させることができる。これにより、2ステップで回転方向の切り換えが可能である。
【0047】
また、超音波モータを停止させる際に、圧電素子への電圧印加を急激に停止させると圧電素子や弾性体が異常振動して異音の原因となるが、それを回避するために、圧電素子に2相の交流電圧を印加しつつ交流電圧を同位相に変化させると、超音波モータの回転方向の駆動力が低下してフォーカスレンズが移動してしまう恐れがある。本構成では、このようなことはない。
【0048】
従って、たとえば、図6に示すような、動画撮影時におけるウォブリング制御の際に必要な短時間での反転駆動が可能となる。つまり、カメラ1は、前述したように、動画撮影時には、AFモータ駆動装置40は、超音波モータ30の回転方向を短時間で切り換えて合焦レンズ21を前後に細かく移動させ、撮像素子11が撮像した画像のコントラストの変化に応じて焦点情報検出部12Aが検出した合焦状態の変化情報に基づいて被写体への合焦を継続するようにウォブリング制御を行うが、その超音波モータ30の回転方向の切り換えを円滑且つ迅速に行うことができる。
【0049】
(第2実施形態)
つぎに、図7を参照して、本発明の第2実施形態であるAFモータ駆動装置40′について説明する。
図7は、AFモータ駆動装置40′の回路図である。なお、本第2実施形態におけるAFモータ駆動装置40′の制御対象は、前述した第1実施形態における超音波モータ30と全く同様であり、また、適用されるカメラ1も共通であり、説明は省略する。
【0050】
AFモータ駆動装置40′は、前述した第1実施形態におけるAFモータ駆動装置40とは、切換スイッチ45の構成が異なり、それに伴って回転制御部44による切換制御が異なる。それ以外の構成は第1実施形態におけるAFモータ駆動装置40と同様であり、同機能の構成要素には同符号を付して説明は省略する。
【0051】
切換スイッチ45は、パルス生成回路42から駆動回路50Aに入力されるパルス信号ラインをパルス信号C1,C2またはパルス信号B1,B2に切換え得るように設けられた第1切換スイッチ45Aと、パルス生成回路42から駆動回路50Bに入力されるパルス信号ラインをパルス信号C1,C2またはパルス信号A1,A2に切換え得るように設けられた第2切換スイッチ45Bと、を備えている。
【0052】
つまり、切換スイッチ45は、第1切換スイッチ45Aが、駆動回路50Aへの入力をパルス信号A1,A2からパルス信号C1,C2またはパルス信号B1,B2に切り換え、第2切換スイッチ45Bが、駆動回路50Bへの入力をパルス信号B1,B2からパルス信号C1,C2またはパルス信号B1,B2に切り換えることができるようになっている。この切換スイッチ45は、回転制御部44によって切換制御される。
【0053】
上記のように構成されたAFモータ駆動装置40′は、回転制御部44による切換スイッチ45の切換制御によって超音波モータ30の回転方向を制御する。その基本的構成は、前述したAFモータ駆動装置40と同様である。
すなわち、第1切換スイッチ45AをA相側(第2切換スイッチ45BをC相側)とすることで、超音波モータ30は時計回り(CW)の回転力を出力する。
また、切換スイッチ45BをB相側(第1切換スイッチ45AをC相側)とすることで、超音波モータ30は反時計回り(CCW)の回転力を出力する。
【0054】
ここで、本第2実施形態では、第1切換スイッチ45Aは駆動回路50Aへの入力をパルス信号B1,B2に切り換えることができ、第2切換スイッチ45Bは駆動回路50Bへの入力をパルス信号A1,A2に切り換えることができるようになっている。
このため、第1切換スイッチ45AをA相側として超音波モータ30を時計回り(CW)に駆動する際において、第2切換スイッチ45BをA相側とする(駆動回路50Bへの入力をパルス信号A1,A2に切り換える)ことができる。これにより、第1ステータ31Lと第2ステータ31Uとが共にロータ32を時計回り(CW)に駆動することとなり、回転駆動力を増加させることができる。なお、図7の回路図は、この状態を示している。
【0055】
また、同様に、第2切換スイッチ45BをB相側として超音波モータ30を反時計回り(CCW)に駆動する際において、第1切換スイッチ45AをB相側とし(駆動回路50Aへの入力をパルス信号B1,B2に切り換え)、ことができる。これにより、第2ステータ31Uと第1ステータ31Lとが共にロータ32を反時計回り(CCW)に駆動することとなり、回転駆動力を増加させることができる。
【0056】
上記のような回転駆動力増加制御は、静止画撮影時等の異音の発生が容認できる場合においては、有効である。
これにより、超音波モータ30の駆動力が増加した分、直流電源回路41の電圧を落としたり、駆動回路50A,50B,50Cへの入力パルスのDutyを小さくしたりして、超音波モータ30への印加電圧を下げる(略2/3程度)ことが可能となる。これにより、超音波モータ30およびAFモータ駆動装置40の消費電力を減少する効果が期待できる。
【0057】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)超音波モータ30およびAFモータ駆動装置40によれば、超音波モータ30は、第1ステータ31Lと第2ステータ31Uを備え、AFモータ駆動装置40における切換スイッチ43(第1切換スイッチ43A,第2切換スイッチ43B)の切り換えによって、いずれか一方を択一的に駆動作用させると共に他方を駆動作用させないことで、正逆両方向に回転力を切り換えて出力することができる。これにより、回転方向の切り換えを円滑且つ迅速に行うことができる。
【0058】
(2)超音波モータを停止させる際、圧電素子への電圧印加の急激な停止に起因する圧電素子や弾性体が異常振動することによる異音の発生を回避するために、圧電素子に2相の交流電圧を印加しつつ交流電圧を同位相に変化させると、超音波モータの回転方向の駆動力(保持トルク)が低下してフォーカスレンズが移動してしまう恐れがあるが、本構成では保持トルクを維持できこのようなことがない。
(3)第1ステータ31Lと第2ステータ31Uに印可するC相圧電体用駆動回路50Cを共有化することで、第1ステータ31Lと第2ステータ31Uのそれぞれに駆動回路を用意する場合に比較して3/4の駆動回路で済む。
【0059】
(4)第2実施形態によれば、切換スイッチ45の切り換えによって、第1ステータ31Lと第2ステータ31Uを同方向に駆動させ、回転駆動力を増加させることができる。これにより、超音波モータ30の駆動力が増加した分、直流電源回路41の電圧を落としたり、駆動回路50A,50B,50Cへの入力パルスのDutyを小さくしたりして、超音波モータ30への印加電圧を下げることが可能となる。これにより、超音波モータ30およびAFモータ駆動装置40の消費電力を低減できる。
【0060】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、振動波モータとして超音波領域の振動を用いる超音波モータを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、たとえば、超音波領域以外の振動を用いる振動波モータに適用してもよい。
【0061】
(2)超音波モータにおける第1ステータ31Lおよび第2ステータ31Uとロータ32の配置構造は、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能なものである。
(3)本実施形態においては、振動波モータとして超音波モータを、カメラの合焦レンズの駆動源として用いられる例を示したが、本発明の振動波モータは、これに限らず、たとえば、カメラ1のズーム動作時の駆動源としてもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0062】
1:カメラ、11:撮像素子、12:制御装置、12A:焦点情報検出部、20:レンズ鏡筒、21:合焦レンズ、30:超音波モータ、31L:第1ステータ、311L:弾性体、312L:圧電体、312La:A相圧電体、312Lc:C相圧電体、31U:第2ステータ、311U:弾性体、312U:圧電体、312Ua:A相圧電体、312Uc:C相圧電体、32:ロータ、40:AFモータ駆動装置、41:直流電源回路、42:パルス生成回路、43:切換スイッチ部、43A:第1切換スイッチ、43B:第2切換スイッチ、50A,50B,50C:駆動回路、44:回転制御部、45:切換スイッチ部、45A:第1切換スイッチ、45B:第2切換スイッチ、A1,A2,B1,B2,C1,C2:パルス信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気機械エネルギー変換素子により振動される第1弾性体、
第2電気機械エネルギー変換素子により振動される第2弾性体、及び、
前記第1弾性体及び前記第2弾性体に加圧接触され、該第1弾性体及び該第2弾性体の少なくとも一方の振動により第1の方向又は前記第1の方向と逆の第2の方向のいずれかに駆動される相対運動部材、
を有する振動波モータと、
それぞれ位相が異なる第1駆動信号、第2駆動信号、及び、第3駆動信号を発生させる信号発生部と、
前記信号発生部により発生された駆動信号のいずれを前記第1電気機械エネルギー変換素子及び前記第2電気機械エネルギー変換素子に与えるかを切り替え可能な切替部と、
前記切替部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする振動波モータ装置。
【請求項2】
請求項1記載の振動波モータ装置であって、
前記第2駆動信号は、前記第1駆動信号に対して90度位相が進み、
前記第3駆動信号は、前記第1駆動信号に対して90度位相が遅れていること、
を特徴とする振動波モータ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振動波モータ装置であって、
前記相対運動部材は、前記第1弾性体と第2弾性体との間に配置されていること、
を特徴とする振動波モータ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータ装置であって、
前記第1電気機械エネルギー変換素子および前記第2電気機械エネルギー変換素子は2つの相に交流電圧が印加されるようになっており、
前記制御部は、
前記相対運動部材を前記第1の方向に駆動するときは、前記第1電気機械エネルギー変換素子の2つの相にそれぞれ第1駆動信号及び第2駆動信号を与え、前記第2電気機械エネルギー変換素子の2つの相の両方に前記第1駆動信号を与える第1制御を前記切替部に対して行い、
前記相対運動部材を前記第2の方向に駆動するときは、前記第1電気機械エネルギー変換素子の2つの相の両方に第1駆動信号を与え、前記第2電気機械エネルギー変換素子の2つの相に、第1駆動信号及び第3駆動信号をそれぞれ与える第2制御を前記切替部に対して行うこと、
を特徴とする振動波モータ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の振動波モータ装置を備える撮像装置であって、
前記振動波モータの前記相対運動部材は、フォーカスレンズを駆動させるものであり、
該フォーカスレンズのウォブリング動作を行う場合、前記制御部は、前記第1制御と前記第2制御とを繰り返すこと、
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置であって、
前記ウォブリング動作以外の前記フォーカスレンズ駆動を行う場合、前記制御部は、
前記第1電気機械エネルギー変換素子の2つの相の一方に前記第1駆動信号を与え、他方に前記フォーカスレンズの駆動方向により前記第2駆動信号又は前記第3駆動信号を与え、
前記第2電気機械エネルギー変換素子の2つの相にも、前記第1電気機械エネルギー変換素子の2つの相と同じ駆動信号を与える第3制御を前記切替部に対して行うこと、
を特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−99217(P2013−99217A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243050(P2011−243050)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】