説明

振動装置および振動装置を有するカメラ、振動装置の検査方法および振動装置製造方法

【課題】精度よく振動を検出することが可能な振動検出機能を備えた振動装置を提供する
【解決手段】
振動の節を有する曲げ振動を所定の部材18に発生させる振動部材20,21と、前記振動部材を駆動する駆動部56とを有し、前記振動部材は、前記駆動部に電気的に接続される駆動電極部32a〜32dと、前記駆動電極部に対応して設けられており、前記所定の部材の振動を検出する検出部74と前記駆動部56とに電気的に接続され得る検出電極部33a〜33dと、を有する振動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動装置および振動装置を有するカメラ、振動装置の検査方法および振動装置製造方法に関し、より詳細には、振動検出機能を有する振動装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レンズ交換式デジタルカメラなどでは、撮像素子のフィルタ表面にゴミが付着し、撮影した映像にゴミが写りこむなどの問題がある。このような問題を解消するために、圧電素子が取り付けられたフィルタに定在波を発生させることによって、フィルタ表面に付着したゴミを除去する振動装置が開発されている。
【0003】
また従来より、このような振動装置として、フィルタ表面の振動状態を検出するための検出電極を備えているものが知られている(特許文献1等参照)。
【0004】
しかし、従来技術のような検出電極では、例えば振動の節の位置と検出電極の位置と重なるような振動モードにおいて当該検出電極で検出される出力が小さくなり、振動を精度良く検出することが困難な場合があった。
【特許文献1】特開2003−333395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、その目的は、精度よく振動を検出することが可能な振動検出機能を備えた振動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る振動装置は、
振動の節を有する曲げ振動を所定の部材(18)に発生させる振動部材(20,21)と、
前記振動部材を駆動する駆動部(56)とを有し、
前記振動部材は、
前記駆動部に電気的に接続される駆動電極部(32a〜32d)と、
前記駆動電極部に対応して設けられており、前記所定の部材の振動を検出する検出部(74)に電気的に接続され得る検出電極部(33a〜33d)と、を有する。
【0007】
また、例えば、本発明に係る振動装置は、互いに電気的に絶縁されている複数の前記駆動電極部を有し、
互いに電気的に絶縁され、前記駆動電極部にそれぞれ対応して設けられた複数の前記検出電極部を有していてもよい。
【0008】
また、例えば、本発明に係る振動装置は、前記検出電極部が前記検出部に接続されている第1の状態と、
前記検出電極部が前記駆動部に接続されている第2の状態とを切り替える切替装置(70)をさらに有していてもよい。
【0009】
また、例えば、前記検出電極部は、対応するそれぞれの前記駆動電極部に対して、曲げ振動によって生じる変位が略同期する位置に配置されていてもよい。
【0010】
また、例えば、本発明に係る振動装置は、互いに電気的に絶縁されている複数の前記駆動電極部を有し、
前記駆動部は、一つの前記駆動電極部に与える電圧を可変として、次数の異なる振動を発生させてもよい。
【0011】
また、例えば、前記検出部は、前記駆動電極部に出力する駆動信号(85a〜88d)の極性に応じて、前記検出電極部から検出される検出信号(89a〜92d)の極性を調節してもよい。
【0012】
また、例えば、前記駆動電極部は、前記所定の部材の一端部に備えられており、前記検出電極部は、前記所定の部材の他端部に備えられていてもよい。
【0013】
また、例えば、前記振動部材は、圧電素子部(36,37)と、前記駆動電極部に対して前記圧電素子部を挟んで配置される共通電極部(34,35)とを有し、
前記共通電極部は、前記所定の部材の表面に備えられていてもよい。
【0014】
また、例えば、前記所定の部材は光学系(48)によって導かれる光を透過する光学部品であり、
前記光学部品は、前記光学系による像を撮像する撮像素子(12)と、前記光学系との間に配置されていてもよい。
【0015】
本発明に係るカメラは、いずれかの上記振動装置を有する。
【0016】
本発明に係る振動装置の検査方法は、複数の電極部を有し、振動の節を有する曲げ振動を所定の部材に発生させる振動部材と、
【0017】
前記振動部材(20,21)を駆動する駆動部(56)とを有する振動装置の検査方法であって、前記振動部材の第1電極部(32a〜32d)に前記駆動部(56)を電気的に接続し、
前記第1電極部に駆動信号(85a〜88d)を出力して前記曲げ振動を発生させ、
前記振動部材の第2電極部(33a〜33d)に前記曲げ振動を検出する検出部(74)を電気的に接続し、
前記検出部からの検出信号(89a〜92d)に基づいて前記曲げ振動を検出する。
【0018】
また、例えば、本発明に係る振動装置の検査方法において、前記検出部は、前記検出信号を表示可能な表示装置(55,98)に接続されていてもよい。
【0019】
また、例えば、本発明に係る振動装置の検査方法において、前記第2電極部は前記駆動部に電気的に接続可能であり、前記第2電極部の接続を、前記駆動部と前記検出部との間で切り替えてもよい。
【0020】
本発明に係る振動装置製造方法は、いずれかの上記振動装置の検査方法を用いる。
【0021】
なお上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの全体ブロック図、
図2は、図1に示す撮像素子ユニットの平面図、
図3は、図2に示すIII−III線に沿う概略断面図、
図4Aは、図2および図3に示す防塵部の平面図、
図4Bは、図4Aに示すIVB−IVB線に沿う断面図、
図4Cは、図4Aに示すIVC−IVC線に沿う断面図、
図5は、図4Bの一部(点線Vで囲んだ部分)を拡大した要部拡大断面図、
図6Aは、図1に示すカメラでの防塵動作における一連の処理を表したフローチャートの前半部分、
図6Bは、図1に示すカメラでの防塵動作における一連の処理を表したフローチャートの後半部分、
図7Aは、振動部材によって9次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図、
図7Bは、振動部材によって8次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図、
図7Cは、振動部材によって7次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図、
図7Dは、振動部材によって6次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図、
図8は、防塵フィルタに加えられる振動の振動周波数と防塵フィルタの振動加速度の関係を表すグラフ、
図9Aは、9次曲げ振動を加える際に、防塵フィルタ駆動回路が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図、
図9Bは、8次曲げ振動を加える際に、防塵フィルタ駆動回路が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図、
図9Cは、7次曲げ振動を加える際に、防塵フィルタ駆動回路が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図、
図9Dは、6次曲げ振動を加える際に、防塵フィルタ駆動回路部が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図、
図10Aは、9次曲げ振動が発生している際に、検出電極によって検出される信号の一例を表した図、
図10Bは、8次曲げ振動が発生している際に、検出電極によって検出される信号の一例を表した図、
図10Cは、7次曲げ振動が発生している際に、検出電極によって検出される信号の一例を表した図、
図10Dは、6次曲げ振動が発生している際に、検出電極によって検出される信号の一例を表した図、
図11Aは、本発明の第2実施形態に係る防塵部の平面図、
図12は、図11Bの一部を拡大した要部拡大断面図、
図13は、本発明の第3実施形態に係るカメラおよび検査装置の全体ブロック図である。
第1実施形態
【0023】
まず、図1に基づき、本実施形態のカメラ2の全体構成について説明する。撮像素子ユニット4は、カメラボディ40の内部に、光学レンズ群48の光軸αに対して撮像素子ユニット4の防塵部11が略垂直に交差するように配置される。防塵部11については、後述する。なお、当該カメラ2では、撮像素子ユニット4から光学レンズ群48に向かう方向を光軸α方向の前方とし、光学レンズ群48から撮像素子ユニット4に向かう方向を、光軸α方向の後方として説明を行う。
【0024】
図1に示すように、カメラボディ40には、レンズ鏡筒42が着脱自在に装着される。なお、コンパクトカメラなどでは、レンズ鏡筒42とカメラボディ40とが一体であるカメラもあり、カメラの種類は特に限定されない。
【0025】
カメラボディ40の内部において、撮像素子ユニット4の光軸α方向の前方には、シャッタ部材44が配置してある。シャッタ部材44の光軸α方向の前方には、ミラー46が配置してあり、その光軸α方向の前方には、レンズ鏡筒42に内蔵してある絞り部47および光学レンズ群48が配置してある。
【0026】
カメラボディ40には、ボディCPU50が内蔵してあり、レンズ接点54を介してレンズCPU58に接続してある。レンズ接点54は、カメラボディ40に対してレンズ鏡筒42を連結することで、ボディCPU50と、レンズCPU58とを電気的に接続する。ボディCPU50には、電源52が接続してある。電源52は、カメラボディ40に内蔵されている。
【0027】
ボディCPU50には、レリーズスイッチ51、ストロボ53、表示部55、EEPROM(メモリ)60、防塵フィルタ駆動回路56、切替回路70、振動モード選択回路80、画像処理コントローラ59、AFセンサ72、検出回路74などが接続してある。画像処理コントローラ59には、インターフェース回路57を介して、撮像素子ユニット4の撮像素子12(図2参照)が接続してあり、撮像素子12にて撮像された画像の画像処理を制御可能になっている。撮像素子12としては、たとえばCCDやCMOS等の固体撮像素子が用いられる。
【0028】
ボディCPU50は、レンズ鏡筒42との通信機能と、カメラボディ40の制御機能を有している。例えば、ボディCPU50は、レンズ鏡筒42との装着が完全であるか否かの通信を行い、レンズCPU58から入力された焦点距離、距離情報等から目標位置を演算する。ボディCPU50は、レリーズスイッチ51が半押しであることを示す半押し信号が入力すると、AE、AFなどの撮影準備動作を行わせるための信号を、レンズCPU58に出力する。また、ボディCPU50は、レリーズスイッチ51が全押しであることを示す全押し信号が入力すると、ミラー駆動、シャッタ駆動、絞り駆動等を行わせるための信号を出力する。
【0029】
表示部55は、主として液晶表示装置などで構成され、出力結果やメニューなどを表示する。また、防塵部11の振動状態に関する検査結果等、ボディCPU50による演算結果を表示することができる。
【0030】
レリーズスイッチ51は、シャッタ駆動のタイミングを操作するスイッチであり、ボディCPU50に半押し、全押し等のスイッチの状態に関する信号を出力する。カメラ2は、レリーズスイッチ51が半押しである時にはAF、AE等を行い、全押しである時には、ミラーアップ、シャッタ駆動等の撮影動作を行う。
【0031】
ミラー46は、構図決定の際にファインダーに像を映し出すためのもので、露光中は光路から退避する。ボディCPU50からレリーズスイッチ51の情報が入力され、全押し時にミラーアップ、露光終了後にミラーダウンを行う。ミラー46は、不図示のミラー駆動部(例えばDCモータ)により駆動される。ミラー46には、サブミラー46aが連結してある。
【0032】
サブミラー46aは、AFセンサに光を送るためのミラーであり、ミラー46を通過した光束を反射してAFセンサに導く。このサブミラー46aは、露光中は光路から退避する。
【0033】
シャッタ部材44は、露光時間を制御する機構である。ボディCPU50からレリーズスイッチ51の情報が入力され、全押し時にシャッタ駆動を行う。不図示のシャッタ駆動部(例えばDCモータ)により駆動される。AFセンサ72は、オートフォーカス(AF)を行うためのセンサである。このAFセンサ72としては、通常CCDが用いられる。
【0034】
防塵フィルタ駆動回路56は、防塵部11および切替回路70に電気的に接続している。図4Aに示すように、防塵部11には第1振動部材20と第2振動部材21が備えられている。防塵フィルタ駆動回路56は、第1振動部材20の各電極に対して電気的に接続されている。また、防塵フィルタ駆動回路56は、第2振動部材21に対しても、切替回路70を介して電気的に接続され得る。
【0035】
防塵フィルタ駆動回路56は、所定条件を満足する場合に、ボディCPU50からの制御を受けて第1および第2振動部材20,21を駆動することができる。防塵フィルタ駆動回路56は、例えば第1振動部材20を駆動させ、図7A〜図7Dに示すように、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させ、防塵フィルタ18の表面に付着している塵埃などを飛ばして除去する除塵動作を行うことができる。
【0036】
防塵フィルタ駆動回路56は、第1振動部材20に周期的な矩形波もしくはサイン波等の駆動信号を出力する(図9A〜図9D)。図4Cに示す第1振動部材20の第1圧電体36には、第1〜第4駆動電極32a〜32dを介して、駆動信号に応じた電圧が加えられる。
【0037】
電圧が加えられた第1圧電体36は、防塵フィルタ18の長辺方向Lに伸縮することによって、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させる。防塵フィルタ18の表面に付着している塵埃は、曲げ振動によって受ける力が塵埃の付着力を上回ることによって、防塵フィルタ18の表面から離れる。なお、防塵フィルタ18の周辺には、曲げ振動によって防塵フィルタ18の表面から離れた塵埃を捕獲するために、粘着テープ等で構成される捕獲手段が配置されていても良い。
【0038】
第1および第2振動部材20,21に出力される駆動信号の駆動周波数は、なるべく大きな振幅を防塵フィルタ18に与えるために、防塵フィルタ18の表面を共振させる共振周波数とすることが好ましい。共振周波数は、防塵フィルタ18の形状、材質、支持の方法、振動モード等によって決まる。
【0039】
本実施形態では、図1に示すように、防塵フィルタ駆動回路56には、振動モード選択回路80が接続されている。振動モード選択回路80は、ボディCPU50からの指示を受けて、防塵フィルタ駆動回路56が出力する駆動信号および駆動信号の周波数を決定する。また、防塵フィルタ駆動回路56は、振動モード選択回路80の決定に基づき、防塵部11に対して駆動信号を出力する。
【0040】
すなわち、振動モード選択回路80は、防塵フィルタ駆動回路56が出力する駆動信号および駆動信号の周波数を変化させ、防塵部11の防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の次数を変化させることができる。防塵フィルタ駆動回路56が出力する駆動信号と、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の関係については後述する。
【0041】
図1に示すレンズ鏡筒42には、焦点距離エンコーダ66、距離エンコーダ64、絞り部47、絞り部47を制御するステッピングモータ(STM)68、レンズCPU58、ボディ部とのレンズ接点54、及び、複数のレンズ群48が具備してある。レンズ接点54には、カメラボディ40からレンズ駆動系電源を供給するための接点とレンズCPU58を駆動するためのCPU電源の接点とデジタル通信用の接点とがある。駆動系電源およびCPU電源はカメラボディ40の電源52から供給され、レンズCPU58や駆動系の電源を供給している。
【0042】
レンズ鏡筒42の焦点距離エンコーダ66は、レンズ群48の一構成要素であるズームレンズ群の位置情報をレンズCPU58に出力する。距離エンコーダ64は、光学レンズ群48の一構成要素であるフォーカシングレンズ群の位置情報をレンズCPU58に出力する。
【0043】
レンズCPU58は、カメラボディ40との通信機能、レンズ群48の制御機能を有している。レンズCPU58は、焦点距離および被写体距離等を、レンズ接点54を介してボディCPU50に出力する。ボディCPU50からレンズ接点54を介して、レリーズ情報、AF情報が入力される。
【0044】
図2および図3に示すように、本実施形態に係る撮像素子ユニット4は、基板10を有し、基板10の中央部上面には、撮像素子12が固定してある。撮像素子12の周囲には、ケース17が配置してあり、基板10の表面に、着脱自在に、あるいは着脱不可に固定してある。
【0045】
ケース17は、たとえば合成樹脂あるいはセラミックなどの絶縁体などで構成され、その上面には、図3に示す内周側取付部17aと、外周側取付部17bとが段差状に形成してある。ケース17の内周側取付部17aには、光透過性を有する光学部材要素30の外周が取り付けられる。その結果、撮像素子12の周囲は、基板10、ケース17および光学部材要素30により密封される。
【0046】
ケース17の外周側取付部17bには、気密シール部材16を介して防塵フィルタ18が配置され、加圧部材19によって気密シール部材16へと押圧されている。本実施形態では、加圧部材19として金属板を用い、加圧部材19の変形に起因する弾性力により、防塵フィルタ18を気密シール部材16の方向へと付勢している。防塵フィルタ18の撮像素子12が備えられた側の表面である封止面18bは、気密シール部材16を、当該封止面18bとケース17の外周側取付部17bとの間に挟んで保持することによって、光学部材要素30等が配置された空間を封止している。
【0047】
その結果、撮像素子12および光学部材要素30が設けられた収納空間が気密状態となり、塵埃がケース外部から収納空間に入るのを防止することができる。また、防塵フィルタ18の外部面18aに備えられる振動部材20,21は脆性材料を含む場合があるため、第1振動部材20を駆動すると、振動部材20自体が発塵することがある。しかし、本実施形態では振動部材20,21が収納空間の外部に配置されているため、振動部材20,21自体から発塵した塵埃が、収納空間に侵入することがほとんどなく、光学部材要素30の表面への塵埃付着がさらに効果的に防止されている。
【0048】
さらに、本実施形態では、防塵フィルタ18の撮像素子12が備えられた側とは反対側の面である外部面18aに、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させる第1振動部材20と、防塵フィルタ18の曲げ振動を検出する第2振動部材21とが、接着剤等により固定されている。すなわち、防塵部11は、防塵フィルタ18と第1振動部材20と、第2振動部材21を有している。
【0049】
図2および図3に示す加圧部材19は、ケース17の外周側取付部17bに、たとえば着脱自在にビス止めされている。また、長方形状の防塵フィルタ18は、ケース17の上面に形成してある位置決めピン17cにより、防塵フィルタ18の長辺方向Lの位置決めが成されている。なお、図3に示す気密シール部材16は、たとえば発泡樹脂、ゴムなどの剛性の低い材料で構成してあり、気密を確保しながら、後述する防塵フィルタ18の曲げ振動の動きを吸収して防塵フィルタ18の曲げ振動がケース17に伝わるのを抑制する。
【0050】
図3に示す光学部材要素30は、この実施形態では、複数の光学板の積層構造であり、水晶板13と、赤外線吸収ガラス板14と、水晶波長板(λ/4波長板)15との積層板で構成してある。これらの積層板で構成される光学部材要素30は、防塵フィルタ18よりも小さな面積の長方形であり、しかも、撮像素子12の平面側面積よりも大きく、撮像素子12を全て覆う面積を有する。
【0051】
水晶波長板15は、直線偏光を円偏光に変えることができる光学板であり、赤外線吸収ガラス板14は、赤外線を吸収する機能を有する。また、水晶板13は、防塵フィルタ18を構成する水晶板に対して、相互に複屈折の方向が90度異なる水晶板であり、一方が90°方向(短辺方向S)の複屈折を有する水晶板であれば、他方の水晶板は、0度方向(長辺方向L)の複屈折を有する水晶板である。本実施形態では、防塵フィルタ18が0°方向(長辺方向L)の複屈折を有する水晶板であり、水晶板13が90°方向(短辺方向S)の複屈折を有する水晶板である。
【0052】
すなわち、本実施形態では、相互に離れて配置された水晶板13および防塵フィルタ18と、これらの間に配置された赤外線吸収ガラス14および水晶波長板15とによって、光学ローパスフィルタ(OLPF)を構成している。ただし、振動部材により曲げ振動が発生する部材としては、光学ローパスフィルタの一部である防塵フィルタ18に限られない。たとえば、光学部材要素30のみで光学ローパスフィルタを構成し、封止用ガラス等によって構成された防塵フィルタによって光学部材要素30を密封していてもよい。
【0053】
図4Aは、第1振動部材20および第2振動部材21が取り付けられた防塵フィルタ18の平面図である。 防塵フィルタ18には、長辺方向Lの一方の片側部に、第1振動部材20が取り付けられており、長辺方向Lの他方の片側部に、第2振動部材21が取り付けられている。
【0054】
第1振動部材20は、長手方向Lに沿って配列されており、互いに電気的に絶縁されている4枚の第1〜第4駆動電極32a〜32dを有する。また、図4Bの断面図に示すように、第1振動部材20は、防塵フィルタ18の外部面18aに取り付けられた第1共通電極34と、第1〜第4駆動電極32a〜32dと第1共通電極34に挟まれた第1圧電体36とをさらに有する。
【0055】
第1振動部材20と同様に、図4Aに示す第2振動部材21は、長手方向Lに沿って配列されており、互いに電気的に絶縁されている4枚の第1〜第4検出電極33a〜33dを有する。また、第1振動部材20と同様に、第2振動部材21は、防塵フィルタ18の外部面18aに取り付けられた第2共通電極35と、第1〜第4検出電極33a〜32dと第2共通電極35に挟まれた第2圧電体37とをさらに有する。
【0056】
図5は、図4Bに示す第1振動部材20の断面図の一部を拡大したものである。第1共通電極34は、第3駆動電極32c等の駆動電極と対向する第1の部分34aと、第1の部分34aに対して折り返された第2の部分34bとを有する。第1の部分34aは、圧電体36における防塵フィルタ18側の表面に配置されている。第2の部分34bは、圧電体36における防塵フィルタ18側の表面と反対側の表面に配置されている。なお、図4Aに示す第2振動部材21の第2共通電極35についても、第1共通電極34と同様に第1の部分と、第1の部分に対して折り返された第2の部分とを有する。
【0057】
第1共通電極34および第2共通電極35の第2の部分34bは、防塵フィルタ18の外部面に配置された第1の部分34aから折り曲げられて形成されている。第1の部分34aと第2の部分34bとは、電気的に接続しているので、振動部材20,21の表面に配置される第2の部分34bに切替回路70を電気的に接続すればよい。そのため第1共通電極34および第2共通電極35から、防塵フィルタ駆動回路56または切替回路70への配線が容易である。
【0058】
第1共通電極34の第1の部分34aは、図4Cに示すように、第1〜第4駆動電極32a〜32dとの間に、第1圧電体36を光軸α方向に挟んで配置されている。第1圧電体36は、第1共通電極34の第1の部分34aと、各駆動電極32a〜32dとの間に形成された電位差によって変形させられる。本実施形態では、圧電体36変形のうち、主として防塵フィルタ18の長辺方向Lの変形を利用して、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させる。
【0059】
第1共通電極34および第2共通電極35は、後述する除塵動作の間は、所定の電位に保持される。ただし、第1共通電極34よび第2共通電極35は、省電力で振動部材20,21を動作させる観点から、除塵動作の間、接地電位に保持されることが好ましい。
【0060】
第1〜第4駆動電極32a〜32dは、図4Aに示すように、防塵フィルタ駆動回路56に配線されている。防塵フィルタ駆動回路56は、図1に示す振動モード選択回路80によって選択された駆動信号を、それぞれの第1〜第4駆動電極32a〜32dに対して独立に出力する。
【0061】
また、防塵フィルタ駆動回路56は、ボディCPU50からの制御によって、各駆動電極32a〜32dに対して、互いに位相の異なる駆動信号を出力することができる。したがって、圧電体36は、図4Cに示すように、各駆動電極32a〜32dに対応して、長手方向Lに沿って配列する第1〜第4セクション36a〜36dに分割して制御される。
【0062】
ただし、第1圧電体36は一体に形成されており、第1圧電体36の第1〜第4セクション36a〜36dは同一の分極方向を有している。したがって、各駆動電極32a〜32dに加えられる電圧の極性が同一であれば、圧電体36の各セクション36a〜36dの変形方向も同一となる。反対に、各駆動電極32a〜32dに加えられる電圧の極性が逆であれば、第1圧電体36の各セクション36a〜36dは、互いに逆方向に変形する。
【0063】
例えば、第1および第2駆動電極32a,32bの極性が正となり、第3および第4駆動電極32c,32dの極性が負となるように、各駆動電極32a〜32dに電圧を加えた場合、第1圧電体36は図7Aに示すように変形する。すなわち、第1圧電体36の第1および第2セクション36a,36bは、防塵フィルタ18の長辺方向Lに収縮する変形を発生する。
【0064】
それに対して、第1圧電体36の第3および第4セクション36c,36dは、防塵フィルタ18の長辺方向Lに伸張する変形を発生する。なお、図7Aにおいて図示省略している第1共通電極34は、接地電位に保持されている。
【0065】
このように、第1圧電体36は一体に成形されており、略一様な分極方向を有しているにもかかわらず、各駆動電極32a〜32dに対応して、第1〜第4セクション36a〜36dごとに変形が制御される。ただし、本実施形態の変形例には、圧電体36の各セクション36a〜36dまたは第1共通電極34を、駆動電極32のように分割して形成したものも含まれる。第1振動部材20が複数の駆動電極を有することにより、たとえば振動部材が配置される位置に振動の節95が発生することが避けられない高次の曲げ振動モードでも、防塵フィルタ18を効率的に駆動できる。
【0066】
これに対して、第2振動部材21における第2共通電極35の第1の部分35aは、図4Cに示すように、第1〜第4検出電極33a〜33dとの間に、第2圧電体37を光軸α方向に挟んで配置されている。第2共通電極35の第1の部分35aと、各検出電極33a〜33dとの間には、除塵動作中に第2圧電体37に発生した変形に対応した電位差が発生する。
【0067】
第1〜第4検出電極33a〜33dは、除塵動作において、図4Aに示す切替回路70を介して検出回路74に接続されている。第1〜第4検出電極33a〜33dに発生する電位の変化は、検出回路74を介して独立に検出することができる。すなわち図4Cに示すように、各検出電極33a〜33dは、それぞれが対向する第2圧電体37の各セクション37a〜37dの変形に応じた電圧変化を、独立に検出することができる。
【0068】
また、第2圧電体37は、第1圧電体36と同様に、一体に形成されており、同一の分極方向を有している。したがって、各セクション37a〜37dの変形方向が同一であれば、各検出電極33a〜33dで検出される電位の極性も同一となる。反対に、各セクション37a〜37dの変形方向が逆方向であれば、各検出電極33a〜33dで検出される電位の極性も反対となる。
【0069】
例えば図7Aでは、第1および第2セクション37a,37bに、防塵フィルタ18の長辺方向Lに収縮する変形が発生しているため、第1および第2検出電極33a,33bの極性が正となる電位が生じる。それに対して、第3および第4セクション37c,37dには、防塵フィルタ18の長辺方向Lに伸張する変形が発生しているため、第3および第4検出電極33c,33dには、極性が負となる電位が生じる。なお、図7Aにおいて図示省略している第1、第2共通電極34,35は、接地電位に保持されている。
【0070】
ここで、第2振動部材21の各検出電極33a〜33dは、第1振動部材20の各駆動電極32a〜32dに対応して設けられている。すなわち、本実施形態では、第1振動部材20と第2振動部材21は、略同一の形状を有しており、各検出電極33a〜33d間の配置間隔は、各駆動電極32a〜32d配置間隔に略等しい。
【0071】
第1駆動電極32aと第1検出電極33aとは、防塵フィルタ18の振動方向Lに沿って対称に設置されるのが好ましい。第2〜4駆動電極32b〜32dと第2〜第4検出電極33b〜33dについても同様である。また、第1駆動電極32aと第1検出電極33aとは、曲げ振動の振動の節95からの距離が、互いに略同一となる位置に配置することができる。これによって、第2〜第4駆動電極32b〜32dと、第2〜第4検出電極33b〜33dについても、曲げ振動の振動の節95からの距離が、互いに略同一となる。
【0072】
さらに、各検出電極33a〜33dは、曲げ振動によって生じる変位が、対応する各駆動電極32a〜32dに対して、いずれも略同期する位置に配置することができる。あるいは、各検出電極33a〜33dは、曲げ振動によって生じる変位が、対応する各駆動電極32a〜32dに対して、いずれも略半周期ズレとなる位置に配置することができる。これによって、各検出電極33a〜33dで検出される検出信号89a〜89dを、対応する駆動信号85a〜85dと略同期させるか、あるいは略半周期ずれの関係とすることができる。
【0073】
なお、図4Aに示す切替回路70は、ボディCPU50からの指示によって、各検出電極33a〜33dを、検出回路74に変えて防塵フィルタ駆動回路56に電気的に接続することができる。各検出電極33a〜33dを、防塵フィルタ駆動回路56に接続することによって、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させるための駆動電極として使用することができる。
【0074】
この場合、防塵フィルタ18には、第1振動部材20と第2振動部材21の両方から曲げ振動を発生させる力が与えられるため、防塵フィルタ18表面の変形加速度が大きくなり、除塵効果を高めることができる。なお、各駆動電極32a〜32dおよび各検出電極33a〜33dに加えられる駆動信号の位相は、第1振動部材20によって発生する振動と、第2振動部材21によって発生する振動とが、互いに重複するように調整される。
【0075】
図6Aおよび図6Bに示すフローチャートを用いて、図1に示すカメラ2での除塵動作における一連の処理を説明する。ステップS001では、ボディCPU50が除塵動作開始信号を出力し、除塵動作を開始する。除塵動作は、カメラの電源ON動作等の所定の動作に合わせて自動的に開始されてもよく、また、カメラの使用者が、カメラ本体部に備えられた不図示のメニューボタン等から選択することによって開始されてもよい。
【0076】
除塵動作を開始した後、図1に示す防塵フィルタ18に発生させる曲げ振動の次数を決定する(ステップS002)。ここで、本実施形態に係る防塵フィルタ駆動回路56は、6次曲げ振動(図7D)、7次曲げ振動(図7C)、8次曲げ振動(図7B)および9次曲げ振動(図7A)を、防塵フィルタ18に発生させることができる。
【0077】
図8は、温度等の環境条件を所定の条件にした際、第1振動部材20に加える駆動信号の周波数と、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の振動加速度との関係を表したものである。本実施形態に係る防塵フィルタ18は、第1振動部材20を標準共振周波数f1〜f4で駆動したときに、当該防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の振動加速度が極大値をとなる。第1振動部材20をそれぞれの標準共振周波数f1〜f4近傍の周波数で駆動すると、防塵フィルタ18には、図7D〜図7Aに示すように、対応する6次〜9次曲げ振動が発生する。なお、標準共振周波数f1〜f4に関する情報は、図1に示すEEPROM60等に記録されている。
【0078】
ステップS002では、ボディCPU50からの除塵動作開始信号を受けて、振動モード選択回路80が9次曲げ振動モードを選択する。振動モード選択回路80は、防塵フィルタ駆動回路56に対して、第1振動部材20を9次曲げ振動モードで駆動するように指示する。
【0079】
ステップ003では、防塵フィルタ駆動回路56が、第1振動部材20を9次曲げ振動モードで駆動し始める。本実施形態では、防塵フィルタ駆動回路56は、図9Aに示す第1〜第4駆動信号85a〜85dを、図4Aに示す第1〜第4駆動電極32a〜32dに出力する。
【0080】
このとき、図9Aに示す駆動周期Tの逆数である駆動周波数は、図8に示す標準共振周波数f4より所定の値Δfだけ高い第1の値f4+Δfから、標準共振周波数f4より所定の値Δfだけ低い第2の値f4−Δfまで掃引される。これは、9次曲げ振動モードにおいて、防塵フィルタ18の振動加速度が極大値となる共振周波数が、防塵フィルタ18が置かれた温度環境等に応じて変動するためである。
【0081】
このように、本実施形態に係る防塵フィルタ駆動回路56は、第1の値f4+Δfから第2の値f4−Δfまで駆動周波数を変化させながら駆動信号を出力し、振動部材20を駆動する。したがって、防塵フィルタ駆動回路56は、防塵フィルタ18が置かれた条件にかかわらず、防塵フィルタ18の振動加速度が極大値となるように、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させることができる。すなわち、防塵フィルタ駆動回路56は、防塵フィルタ18により大きい振動加速度を与えることができるため、効果的な除塵を行うことができる。
【0082】
9次曲げ振動モードでは、図7Aに示すような9次曲げ振動が発生する。9次曲げ振動では、10の振動の節95を有する定在波が、防塵フィルタ18に発生する。また、防塵フィルタ18の表面に固定されている第1振動部材20および第2振動部材21も、防塵フィルタ18の表面に発生する定在波に従って振動する。9次曲げ振動モードでは、防塵フィルタ18、第1および第2振動部材20,21に発生する振動の節95のうち、一つの振動の節95が、第2駆動電極32bと第3駆動電極32cに挟まれる位置に発生する。
【0083】
9次曲げ振動モードでは、図7Aに示す第1および第2駆動電極32a,32bに出力される駆動信号の位相と、第3および第4駆動電極32c,32dに出力される駆動信号の位相とが、互いに異なる。図9Aの第1駆動信号85aは、第1駆動電極32aに出力される駆動信号を、第2駆動信号85bは、第2駆動電極32bに出力される駆動信号を、第3駆動信号85cは、第3駆動電極32cに出力される駆動信号を、第4駆動信号85dは、第4駆動電極32dに出力される駆動信号を、それぞれ表している。また、図9Aに示す第1〜第4駆動信号85a〜85dは、第1〜第4駆動電極32a〜32dに加えられる電圧の極性および大きさに対応している。
【0084】
第1駆動信号85aおよび第2駆動信号85bは、第3駆動信号85cおよび第2駆動信号85dに対して位相が半周期ずれており、同じ時間で比較すると極性が逆である。すなわち、9次曲げ振動モードでは、図7Aに示す第1駆動信号85aおよび第2駆動信号85bは、第3駆動信号85cおよび第4駆動信号85dに対して、極性が反転している。
【0085】
このように、9次曲げ振動モードでは、図9Aに示すような駆動信号85a〜85dを各駆動電極32a〜32dに出力する。これによって、図7Aに示すように、第1圧電体36の各セクション36a〜36dは、曲げ振動の変形方向に適した変形を受ける。なお、図7Aは、図9Aに示す時間tにおける防塵フィルタ18の振動状態を表した図である。
【0086】
すなわち防塵フィルタ18は、第1圧電体36の各セクション36a〜36dから、曲げ振動の振幅を増幅させる力を受けることができる。このように、防塵フィルタ駆動回路56は、第1振動部材20の各駆動電極32a〜32dに対して、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動に適した駆動信号を出力することにより、防塵フィルタ18を効率的に振動させることができる。
【0087】
図7Aに示すように、駆動電極32a〜32dによって防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させるのと同時に、図4Aに示す検出回路74は、第2振動部材21の各検出電極33a〜33dの電位を検出する(ステップS004)。なおステップS004の最初か、あるいはステップS004の開始前までに、ボディCPU50は、切替回路70に信号を出力し、各検出電極33a〜33dと検出回路74を電気的に接続する。
【0088】
図10Aの左側のグラフは、図7Aに示す9次曲げ振動モードにおいて、第1〜第4検出電極33a〜33dから出力される第1〜第4検出信号89a〜89dを表したものである。図7Aに示す第2圧電体37の各セクション37a〜37dは、図4Cに示す第2共通電極35を介して防塵フィルタ18に対して一体的に固定されているため、防塵フィルタ18に発生した曲げ振動から力を受けて変形する。図7Aに示す第2圧電体37の各セクション37a〜37dの変形に伴い、各セクション37a〜37dに対向する各検出電極33a〜33dと第2共通電極35との間に、当該変形に対応した電位差が発生する。したがって、検出電極33a〜33dに電気的に接続されている検出回路74は、図10Aに示すような第1〜第4検出信号89a〜89dを検出することができる。
【0089】
ステップS005では、図10Aに示す検出信号89a〜89dを基に、防塵フィルタ18の振動状態が正常か否かを判定する。検出信号89a〜89dの周期Tは、各駆動電極32a〜32dに発生する曲げ振動の周期と概ね一致し、検出信号89a〜89dの振幅A〜Aは、各駆動電極32a〜32dに発生する曲げ振動の振幅に概ね比例する。
【0090】
したがって、検出された検出信号89a〜89dを、ボディCPU50等で解析することによって、防塵部11の振動状態を検査することができる。たとえば、第1振動部材20と防塵フィルタ18との固定が不十分であるような場合は、検出信号89a〜89dの振幅A〜Aが設計値に対して小さい値となり、振動の異常が検出される。あるいは、検出信号89a〜89dの周期Tが駆動信号86a〜86dの駆動周期T1と異なる値となり、振動の異常が検出される。
【0091】
図10Aに示す検出信号89a〜89dを解析する前に、各検出電極に対応する駆動電極32a〜32dに出力する駆動信号85a〜85d(図9A)の極性に応じて、検出信号89a〜89dの極性を調整してもよい。
【0092】
例えば、9次曲げ振動モードでは、図9Aに示す第1駆動信号85aおよび第2駆動信号85bは、第3駆動信号85cおよび第4駆動信号85dに対して、極性が反転している。そこで、図10Aに示す第1検出信号89aおよび第2検出信号89bを、第3検出信号89cおよび第4検出信号89dに対して、極性を反転させて重ね合わせる。
【0093】
このように、検出信号89a〜89dを、駆動信号85a〜85d間の極性の関係に従って、極性を反転させて重ね合わせることによって、図10Aの右側に示す第5検出信号89eを得ることができる。第5検出信号89eは、第1〜第4検出信号89a〜89dに対して、信号の振幅Aが大きく、曲げ振動の検出感度が高い。したがって、第5検出信号89eを用いて、防塵フィルタ18およびこれを含む防塵部11の振動状態を検査することによって、バックグラウンドノイズ等の影響を低減させ、信頼性の高い検査を行うことができる。また、一つの検出電極に発生する電荷が少なくても検査を行うことができるため、第2振動部材21を小型化することができる。
【0094】
なお、検出信号の極性を調整する方法としては、上述した極性を反転させる方法に限定されず、例えば、対応する駆動電極部に出力する駆動信号の位相ズレに応じて、検出信号89a〜89dの位相をずらす方法を用いても良い。
【0095】
9次曲げ振動モードにおける振動状態を判定した後、図6Aに示すステップ006では、振動モード選択回路80が8次曲げ振動モードを選択する。そして、振動モード選択回路80は、防塵フィルタ駆動回路56に対して、第1振動部材20を8次曲げ振動モードで駆動するように指示する。
【0096】
ステップ007では、防塵フィルタ駆動回路56が、第1振動部材20を8次曲げ振動モードで駆動し始める。本実施形態では、防塵フィルタ駆動回路56は、図9Bに示す駆動信号を、図4Aに示す各駆動電極32a〜32dに出力する。
【0097】
図9Bに示す駆動周期Tの逆数である駆動周波数は、図8に示す標準共振周波数f3より所定の値Δfだけ高い第1の値f3+Δfから、共振周波数f3より所定の値Δfだけ低い第2の値f3−Δfまで掃引される。
【0098】
8次曲げ振動モードでは、図7Bに示すような8次曲げ振動が発生する。8次曲げ振動では、9つの振動の節95を有する定在波が、防塵フィルタ18に発生する。また、防塵フィルタ18の表面に固定されている第1および第2振動部材20,21も、防塵フィルタ18の表面に発生する定在波に従って振動する。8次曲げ振動モードでは、防塵フィルタ18、第1および第2振動部材20,21に発生する振動の節95のうち、一つの振動の節95が、第3駆動電極32cが配置されている位置に発生する。
【0099】
図9Bは、8次曲げ振動モードにおいて、各駆動電極32a〜32dに出力される駆動信号を表している。第5駆動信号86aは、第1駆動電極32aに出力される駆動信号を、第6駆動信号86bは、第2駆動電極32bに出力される駆動信号を、それぞれ表している。また、図9Bの第7駆動信号86cは、第3駆動電極32cに出力される駆動信号を、第8駆動信号86dは、第4駆動電極32dに出力される駆動信号を、それぞれ表している。
【0100】
8次曲げ振動モードでは、図7Bに示す第1および第2駆動電極32a,32bに出力される駆動信号の位相と、第3駆動電極に32cに出力される駆動信号の位相と、第4駆動電極32dに出力される駆動信号の位相とが、互いに異なる。なお、図9Bに示す第5〜第8駆動信号86a〜86dは、第1〜第4駆動電極32a〜32dに加えられる電圧の極性および大きさに対応している。
【0101】
第5および第6駆動信号86a,86bと、これらの駆動信号が出力される電極に対して、1つの振動の節95を挟む位置(図7B参照)に配置される電極に出力される第8駆動信号86dとは、位相が半周期ずれている。また、同時間における各駆動信号を比較すると、第5駆動信号86aおよび第6駆動信号86bは、第8駆動信号86dに対して極性が逆になっている。
【0102】
また、振動の節95を含む位置に配置されている第3駆動電極32c(図7B)には、位相が時間にかかわらず0となる第7駆動信号86c(図9B)が出力される。これによって、第3駆動電極32cの電位は、8次曲げ振動モードにおいて、第1共通電極34と同じように接地電位に保たれる。
【0103】
このように8次曲げ振動モードでは、振動の節95を含む位置に配置されている第3駆動電極32cと、振動の節95を含まない位置に配置されている第1、第2および第4駆動電極32a,32b,32dとで、駆動信号の位相が異なる。
【0104】
すなわち8次曲げ振動モードでは、各駆動電極32a〜32dに出力する駆動信号の位相を、各駆動電極32a〜32dと振動の節95の位置関係に関連して変化させている。このため、8次曲げ振動モードでは、図7Bに示す第1圧電体の各セクション36a,36b,36dは、曲げ振動における振動の腹の変形方向に適した変形を受ける。さらに、第3セクション36cは、振動の節95近傍の変形量が小さいのに対応して、当該第3セクション36cを変形させるような電圧を加えられず、接地電位に保たれる。なお、図7Bは、図9Bに示す時間tにおける防塵フィルタ18の振動状態を表した図である。
【0105】
このように、防塵フィルタ18は、第1圧電体36の各セクション36a,36b,36dから、曲げ振動の振幅を増幅する力を受けることができる。
【0106】
また、第3セクション36cは、振動の節95を含む位置に配置されているため、第3駆動電極32cの電位は接地電位に保たれる。すなわち、曲げ振動の振幅の小さい振動の節95を含む位置に配置される第3駆動電極36cの電位を変化させないため、防塵効果を確保しながら、第1振動部材20を省電力で駆動することができる。
【0107】
駆動電極32a〜32dによって、図7Bに示す8次曲げ振動を発生させている状態において、図4Aに示す検出回路74は、第2振動部材21の各検出電極33a〜33dの電位を検出する(ステップS008)。
【0108】
図10Bの左側のグラフは、図7Bに示す8次曲げ振動モードにおいて、第1〜第4検出電極33a〜33dから出力される第6〜第9検出信号90a〜90dを表したものである。ステップS009では、検出信号90a〜90dを基に、防塵フィルタ18の振動状態が正常か否かを判定する。検出信号90a〜90dの周期Tは、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の周期と概ね一致し、検出信号90a〜90dの振幅A〜Aは、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の振幅に概ね比例する。
【0109】
ここで、第3駆動電極32cに対応する第3検出電極33cは、図7Bに示すように、振動の節95を含む位置に配置されている。そのため、第3検出電極が対向する第3セクション37cの変形量が小さく、第8検出信号90cの振幅Aは、防塵フィルタ18の振動状態を検査するのには小さすぎる場合がある。
【0110】
それに対して、第1駆動電極32a、第2駆動電極32bおよび第4駆動電極に対応する第1検出電極33a、第2検出電極33bおよび第4検出電極33dは、振動の節95を含まない位置に配置されている。そのため、第1検出電極33a、第2検出電極33bおよび第4検出電極33dからは、防塵フィルタ18の振動を検査可能な振幅を有する駆動信号を得ることができる。
【0111】
このように、本実施形態の検出電極は、駆動電極部に対応して設けられているため、検出電極が配置されている位置に振動の節95が発生した場合でも、適切に振動を検出することができる。すなわち、このような場合でも、曲げ振動を発生させるために有効な駆動信号が出力されている駆動電極が存在するため、この駆動電極に対応する検出電極からの検出信号によって、防塵部11の振動状態を検査することができる。
【0112】
また、8次曲げ振動モードでも、対応する駆動電極部32a〜32dに出力する駆動信号86a〜86d(図9B)の極性に応じて、検出信号90a〜90dの極性を調整してもよい。
【0113】
例えば、8次曲げ振動モードでは、図9Bに示す第5駆動信号86aおよび第6駆動信号86bは、第8駆動信号86dに対して、電圧の極性が反転している。そこで、図10Bに示す第6検出信号90aおよび第7検出信号90bを第9検出信号90dに対して、極性を反転させて重ね合わせる。ただし8次曲げ振動モードでは、第3駆動電極32cは接地電位に保たれており、これに対応する第3検出電極33cの第8検出信号90cは、重ね合わせから除外する。第8検出信号90cは振幅Aが小さく、ノイズの比率が大きいためである。
【0114】
このように、検出信号90a〜90dを、駆動信号86a〜86d間の極性の関係に従って、極性の反転させて重ね合わせることによって、図10Bの右側に示す第10検出信号90eを得ることができる。第10検出信号90eは、第5〜第9検出信号90a〜90dに対して、信号の振幅A10が大きく、曲げ振動の検出感度が高い。したがって、第10検出信号90eを用いて防塵フィルタ18の振動状態を検査することによって、バックグラウンドノイズ等の影響を低減させ、信頼性の高い検査を行うことができる。
【0115】
次に、図6Bに示すステップS010では、振動モード選択回路80が7次曲げ振動モードを選択する。振動モード選択回路80は、防塵フィルタ駆動回路56に対して、第1振動部材20を7次曲げ振動モードで駆動するように指示する。
【0116】
ステップS011では、防塵フィルタ駆動回路56が、第1振動部材20を7次曲げ振動モードで駆動し始める。本実施形態では、防塵フィルタ駆動回路56は、図9Cに示す駆動信号87a〜87dを、図4Aに示す各駆動電極32a〜32dに出力する。図9Cに示す駆動周期Tの逆数である駆動周波数は、図8に示す7次曲げ振動モードにおける標準共振周波数f2より所定の値Δfだけ高い第1の値f2+Δfから、標準共振周波数f2より所定の値Δfだけ低い第2の値f2−Δfまで掃引される。
【0117】
7次曲げ振動モードでは、図7Cに示す7次曲げ振動が発生する。7次曲げ振動では、8の振動の節95を有する定在波が、防塵フィルタ18に発生する。また、防塵フィルタ18の表面に固定されている第1および第2振動部材20、21も、防塵フィルタ18の表面に発生する定在波に従って振動する。さらに、防塵フィルタ18、第1および第2振動部材20,21に発生する振動の節95のうち、一つの振動の節95が、第1駆動電極32aが配置されている位置に発生し、他の一つの振動の節95が、第3駆動電極32cが配置されている位置に発生する。
【0118】
図9Cは、7次曲げ振動モードにおいて、各駆動電極32a〜32dに出力される駆動信号を表している。第9駆動信号87aは、第1駆動電極32aに出力される駆動信号を、第10駆動信号87bは、第2駆動電極32bに出力される駆動信号を、図9Cの第11駆動信号87cは、第3駆動電極32cに出力される駆動信号を、第12駆動信号87dは、第4駆動電極32dに出力される駆動信号を、それぞれ表している。また、図9Cに示す第9〜第12駆動信号87a〜87dは、第1〜第4駆動電極32a〜32dに加えられる電圧の極性および大きさに対応している。
【0119】
7次曲げ振動モードでは、第1および第3駆動電極32a,32cは、図7Cに示すように振動の節95を含む位置に配置されている。当該第1および第3駆動電極32a,32cには、図9Cに示すように、出力が時間にかかわらず0となる駆動信号87a,87cが出力される。これによって、7次曲げ振動モードにおける第1および第3駆動電極32a,32cの電位は、第1共通電極34と同様に接地電位に保たれる。
【0120】
また図7Cに示すように、第2駆動電極32bは、第4駆動電極32dに対して、一つの振動の節95を挟んで配置される。図9Cに示すように、第2駆動電極32bに出力される第10駆動信号87bと、第4駆動電極32dに出力される第12駆動信号87dは位相が半周期ずれている。また、同時刻における各駆動信号を比較すると、第10駆動信号87bは、第12駆動信号87dに対して極性が逆になっている。なお、駆動信号を変化させる効果については、8次曲げ振動モードと同様である。また、図7Cは、図9Cに示す時間tにおける防塵フィルタ18の振動状態を表した図である。
【0121】
駆動電極32a〜32dによって、図7Cに示すような7次曲げ振動を発生させている状態において、図4Aに示す検出回路74は、第2振動部材21の各検出電極33a〜33dの電位を検出する(ステップS012)。
【0122】
図10Cの左側のグラフは、図7Cに示す7次曲げ振動モードにおいて、第1〜第4検出電極33a〜33dから出力される第11〜第14検出信号91a〜91dを表したものである。ステップS013では、検出信号91a〜91dを基に、防塵フィルタ18の振動状態が正常か否かを判定する。検出信号91a〜91dの周期Tは、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の周期と概ね一致し、検出信号91a〜91dの振幅A11〜A14は、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の振幅に概ね比例する。
【0123】
ここで、第1駆動電極32aに対応する第1検出電極33aと、第3駆動電極32cに対応する第3検出電極33cは、図7Cに示すように、振動の節95を含む位置に配置されている。そのため、第1および第3検出電極33a,33cが対向する第1および第3セクション37a,37cの変形量が小さく、第11および第12検出信号91a,91cの振幅A11,A13は、振動検査に用いるには小さすぎる場合がある。
【0124】
それに対して、第2駆動電極32bに対応する第2検出電極33bと、第4駆動電極32dに対応する第4検出電極33dは、振動の節95を含まない位置に配置されている。そのため、第2検出電極33bおよび第4検出電極33dからは、防塵フィルタ18の振動を検査可能な振幅を有する駆動信号を得ることができる。
【0125】
このように、本実施形態の検出電極は、駆動電極部に対応して設けられているため、検出電極が配置されている位置に振動の節95が発生した場合でも、適切に振動を検出することができる。すなわち、このような場合でも、曲げ振動を発生させるために有効な駆動信号が出力される駆動電極が存在するため、この駆動電極に対応する検出電極からの検出信号によって、防塵部11の振動状態を検査することができる。
【0126】
また、7次曲げ振動モードでも、対応する駆動電極部32a〜32dに出力する駆動信号87a〜87d(図9C)の極性に応じて、検出信号91a〜91dの極性を調整してもよい。図10Cの右側に示す第15検出信号91eは、第12検出信号91bと、第14検出信号91dとを、極性を反転させて重ね合わせたものである。
【0127】
第15検出信号91eは、第11〜第14検出信号91a〜91dに対して、信号の振幅A15が大きく、曲げ振動の検出感度が高い。したがって、第15検出信号91eを用いて防塵フィルタ18の振動状態を検査することによって、バックグラウンドノイズ等の影響を低減させ、信頼性の高い検査を行うことができる。
【0128】
次に、図6Bに示すステップS014では、振動モード選択回路80が6次曲げ振動モードを選択する。振動モード選択回路80は、防塵フィルタ駆動回路56に対して、第1振動部材20を6次曲げ振動モードで駆動するように指示する。
【0129】
ステップS015では、防塵フィルタ駆動回路56が、第1振動部材20を6次曲げ振動モードで駆動し始める。本実施形態では、防塵フィルタ駆動回路56は、図9Dに示す駆動信号88a〜88dを、図4Aに示す各駆動電極32a〜32dに出力する。図9Dに示す駆動周期T4の逆数である駆動周波数は、図8に示す6次曲げ振動モードにおける標準共振周波数f1より所定の値Δfだけ高い第1の値f1+Δfから、標準共振周波数f1より所定の値Δfだけ低い第2の値f1−Δfまで掃引される。
【0130】
6次曲げ振動モードでは、図7Dに示す6次曲げ振動が発生する。6次曲げ振動では、7の振動の節95を有する定在波が、防塵フィルタ18に発生する。また、防塵フィルタ18の表面に固定されている第1および第2振動部材20、21も、防塵フィルタ18の表面に発生する定在波に従って振動する。さらに、防塵フィルタ18、第1および第2振動部材20,21に発生する振動の節95のうち、一つの振動の節95が、第1駆動電極32aが配置されている位置に発生し、他の一つの振動の節95が、第4駆動電極32dが配置されている位置に発生する。
【0131】
図9Dに示す駆動信号のうち、第13駆動信号88aは第1駆動電極32aに出力される駆動信号を、第14駆動信号88bは第2駆動電極32bに出力される駆動信号を、第15駆動信号88cは、第3駆動電極32cに出力される駆動信号を、第16駆動信号88dは、第4駆動電極32dに出力される駆動信号を、それぞれ表している。また、図9Dに示す第13〜第16駆動信号88a〜88dは、第1〜第4駆動電極32a〜32dに加えられる電圧の極性および大きさに対応している。
【0132】
6次曲げ振動モードでは、第1および第4駆動電極32a,32dは、図7Dに示すように振動の節95を含む位置に配置されている。当該第1および第4駆動電極32a,32dには、図9Dに示すように、出力が時間にかかわらず0となる第13および第16駆動信号88a,88dが出力される。これによって、6次曲げ振動モードにおける第1および第4駆動電極32a,32dの電位は、第1共通電極34と同様に接地電位に保たれる。
【0133】
また図7Dに示すように、第2駆動電極32bと第3駆動電極32cとは、隣り合う2つの振動の節95の間に配置されている。図9Dに示すように、第2駆動電極32bに出力される第14駆動信号88bと、第3駆動電極32cに出力される第15駆動信号88cは位相が略一致している。また、同時刻における各駆動信号を比較すると、第14駆動信号88bは、第15駆動信号88cに対して極性が同一である。
【0134】
6次曲げ振動モードでは、隣り合う2つの振動の節95の間に配置されている第2駆動電極32bおよび第3駆動電極32cに出力させる駆動信号の極性を一致させているため、第2および第3セクションの変形する方向(光軸に沿った方向)が一致し、防塵フィルタ18表面に大きい振動加速度を与えることができる。したがって、防塵フィルタ18を効率的に振動させることができる。
【0135】
また、第1および第4セクション36a,36dは、振動の節95を含む位置に配置されているため、第1および第4駆動電極32a,32dの電位は接地電位に保たれる。すなわち、曲げ振動の振幅の小さい振動の節95を含む位置に配置される第1および第4駆動電極32a,32dの電位を変化させないことによって、防塵効果を確保しながら、第1振動部材20を省電力で駆動することができる。なお、図7Dは、図9Dに示す時間tにおける防塵フィルタ18の振動状態を表した図である。
【0136】
駆動電極32a〜32dによって、図7Dに示すような6次曲げ振動を発生させている状態において、図4Aに示す検出回路74は、第2振動部材21の各検出電極33a〜33dの電位を検出する(ステップS016)。
【0137】
図10Dの左側のグラフは、図7Dに示す6次曲げ振動モードにおいて、第1〜第4検出電極33a〜33dから出力される第16〜第19検出信号92a〜92dを表したものである。ステップS017では、検出信号92a〜92dを基に、防塵フィルタ18の振動状態が正常か否かを判定する。検出信号92a〜92dの周期Tは、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の周期と概ね一致し、検出信号92a〜92dの振幅A16〜A19は、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の振幅に概ね比例する。
【0138】
ここで、第1駆動電極32aに対応する第1検出電極33aと、第4駆動電極32dに対応する第4検出電極33dは、図7Dに示すように、振動の節95を含む位置に配置されている。そのため、第1および第4検出電極33a,33dが対向する第1および第4セクション37a,37dは変形量が小さく、第16および第19検出信号92a,92dの振幅A16,A19は、振動検査に用いるには小さすぎる場合がある。
【0139】
それに対して、第2駆動電極32b対応する第2検出電極33bと、第3駆動電極32cに対応する第3検出電極33cは、振動の節95を含まない位置に配置されている。そのため、第2検出電極33bおよび第3検出電極33cからは、防塵フィルタ18の振動を検査可能な振幅を有する駆動信号を得ることができる。
【0140】
このように、本実施形態の検出電極は、駆動電極に対応して設けられているため、検出電極が配置されている位置に振動の節95が発生した場合でも、適切に振動を検出することができる。すなわち、このような場合でも、曲げ振動を発生させるために有効な駆動信号が出力される駆動電極が存在するため、この駆動電極に対応する検出電極からの検出信号によって、防塵フィルタ18の振動状態を検査することができる。
【0141】
また、6次曲げ振動モードでも、対応する駆動電極部32a〜32dに出力する駆動信号88a〜88d(図9D)の極性に応じて、検出信号92a〜92dの極性を調整してもよい。図10Dの右側に示す第20検出信号92eは、第17検出信号92bと、第18検出信号92cとを、極性を反転させることなく重ね合わせたものである。
【0142】
第20検出信号92eは、第16〜第19検出信号92a〜92dに対して、信号の振幅A20が大きく、曲げ振動の検出感度が高い。したがって、第20検出信号92eを用いて防塵フィルタ18の振動状態を検査することによって、バックグラウンドノイズ等の影響を低減させ、信頼性の高い検査を行うことができる。
【0143】
9次曲げ振動モードから6次曲げ振動モードまでが終了すると、一連の除塵動作が終了する(ステップS018)。除塵動作を終了させる際に、図1に示すボディCPU50は、防塵フィルタ18の振動検査の結果を表示部55に表示させてもよく、あるいは、EEPROM60等に記憶させてもよい。いずれかの振動モードで異常が検出された場合、ボディCPU50は、修理を行うべきである等の情報を知らせるために、所定の警告動作を表示部55等に行わせることができる。また、ボディCPU50は、防塵フィルタ駆動回路56による除塵動作を停止させたり、振動状態をの再検査等を、防塵フィルタ駆動回路56に実行させてもよい。
【0144】
各曲げ振動の駆動時間は、防塵フィルタに付着する塵埃の量や種類に応じて適切な時間に設定することができる。たとえば、各振動モードの駆動時間を200〜300msecとし、一連の除塵動作のスタート(ステップS001)から終了(ステップS010)までの時間を約1.0秒程度とすることができる。
このように、本実施形態における防塵フィルタ駆動回路56は、ボディCPU50からの制御を受けて第1振動部材20を駆動し、除塵動作を行う。ボディCPU50は、各駆動電極32a〜32dに対して、互いに位相の異なる駆動信号を出力するように、防塵フィルタ駆動回路56を制御することができる。各駆動電極32a〜32dは、互いに位相の異なる駆動信号によって制御されるため、各駆動電極に対応する圧電体36の各セクション36a〜36dは、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動に適した力を、当該防塵フィルタ18与えるように、変形することができる。
【0145】
また、防塵フィルタ18に発生させる曲げ振動の次数としては、6次〜9次に限られず、振動の節95の位置を変化させられる次数であればどのような次数を組合せても良い。曲げ振動における振動の節95の位置を変化させることによって、防塵フィルタ18の表面の全体にわたり、塵などを振り飛ばすことが可能になり、防塵効果が向上するからである。すなわち、ある特定の振動モードでは、防塵フィルタ18の表面において、振動の節95の位置に吹き飛ばされずに残っていた塵埃などが、他の振動モードでは、振動の節95の位置が変化することから振動の加速度で吹き飛ばされることになる。その結果として、防塵フィルタ18の外部面18a全域に渡りゴミ除去が可能になる。
【0146】
本実施形態に係る防塵部11は、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させる第1振動部材20に加えて、防塵フィルタ18の振動を検出する第2振動部材21を有している。第2振動部材21の検出電極33a〜33dは、図7A〜図7Dに示すように、第1振動部材20の駆動電極32a〜32dに対応して設けられている。そのため、各駆動電極32a〜32dに出力される駆動信号に対応した検出信号を、対応する検出電極33a〜33dから得ることができ、防塵フィルタ18の振動に異常があるか否かを容易に検査できる。
【0147】
また、複数の検出電極を有する第2振動部材21は、一つの検出電極が配置されている位置に、曲げ振動の節95が発生する振動モードであっても、振動の腹が発生する位置にある他の検出電極によって、防塵フィルタ18の振動を検出できる。これにより、本実施形態に係る防塵部11は、多くの振動の節95が防塵フィルタ18に発生する高次の曲げ振動モードであっても、適切に振動状態を検査できる。
【0148】
また、図10A〜図10Dの右側のグラフに示すように、本実施形態に係る防塵部11を用いる検査では、複数の検出電極から得た検出信号を、極性を調整して重ね合わせることによって、振動検出の感度を高めることが可能である。検出信号の極性の調整は、同じ極性の検出信号はそのまま重ね合わせ、異なる極性の検出信号は、極性を反転させてから重ね合わせるようになっている。
【0149】
さらに、除塵動作の検査を行わないときは、図4Aに示す検出電極33a〜33dを、切替回路70によって防塵フィルタ駆動回路56に接続し、第2振動部材21は、第1振動部材20と協働して、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させることができる。この場合、防塵フィルタ18には、第1振動部材20と第2振動部材21の両方から曲げ振動を発生させる力が与えられるため、防塵フィルタ18表面の変形加速度が大きくなり、除塵効果を高めることができる。
第2実施形態
【0150】
図11Aは本発明の第2実施形態に係る防塵部11の平面図であり、図11Bは図11AにおけるXIB-XIB線に沿う断面図である。第2実施形態に係る防塵部11は、防塵フィルタ18の外部面18aに、一つの第3振動部材22が備えられている。第2実施形態に係る防塵部11を備えたカメラは、防塵フィルタ18に第3振動部材22が備えられる点と、検出電極が検出回路74に直接接続されており、切替回路を有しない点で相違するが、その他の構成は第1実施形態と同一である。
【0151】
第3振動部材22は、防塵フィルタ18の長辺方向Lの一方の片側に取り付けられている。第3振動部材22は、長手方向Lに沿って配列されており、互いに電気的に絶縁されている4枚の第1〜第4駆動電極25a〜25dを有する。また、第3振動部材22は、各駆動電極25a〜25dに対して、短辺方向Sに沿う延長上に配置される4枚の第1〜第4検出電極26a〜26dを有する。第1〜第4検出電極26a〜26dは、互いに絶縁されており、また、隣接する駆動電極と検出電極も、互いに絶縁されている。
【0152】
さらに、図11Bの断面図に示すように、第3振動部材22は、防塵フィルタ18の外部面18aに取り付けられた第3共通電極27を有する。第3共通電極27と、駆動電極25a〜25cおよび検出電極26a〜26cとの間には、第3圧電体38が配置されている。
【0153】
図12は、図11Bに示す防塵部11の断面図の一部を拡大したものである。第3共通電極27は、第3駆動電極25c等の駆動電極と対向する第1の部分27aと、第1の部分27aに対して折り返された第2の部分27bとを有する。第1の部分27aは、第3圧電体38における防塵フィルタ18側の表面に配置されている。第2の部分27bは、第3圧電体38における防塵フィルタ18側の表面と反対側の表面に配置されている。すなわち、第3圧電体38における防塵フィルタ18側の表面と反対側の表面には、駆動電極(第3駆動電極25c)と、検出電極(第3検出電極26c)と、第2の部分27bとが、防塵フィルタ18の短辺方向Sに沿って配置されている。
【0154】
図11Aに示す検出電極26a〜26cおよび駆動電極25a〜25dが、防塵フィルタ18の長辺方向Lに沿って4つに分かれているのに対して、第3共通電極27aおよび第3圧電体は一体に形成されている。
【0155】
第1〜第4駆動電極25a〜25dは、図11Aに示す防塵フィルタ駆動回路56に対して電気的に接続されている。防塵フィルタ駆動回路56は、図1に示す振動モード選択回路80によって選択された駆動信号を、それぞれの第1〜第4駆動電極25a〜25dに対して独立に出力する。防塵フィルタ駆動回路56は、第1実施形態と同様に、第1〜第4駆動電極25a〜25dに与える電圧を変化させ、第3圧電体38を変形させることによって、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させることができる。
【0156】
それに対して、第1〜第4検出電極26a〜26dは、図11Aに示す検出回路74に対して電気的に接続されている。検出回路74は、第1実施形態と同様に、各検出電極26a〜26dと第3共通電極27の間に配置された第3圧電体38(図11B参照)の変形にともなう電位の変化を、検出電極26a〜26dを介して検出する。検出回路74は、検出電極26a〜26dから出力された検出信号に基づき、防塵フィルタ18の振動状態を検査することができる。
【0157】
図11Bに示す第3圧電体38は、駆動電極から電圧を加えられて変形し、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させる駆動部分38aと、防塵フィルタ18から伝わる曲げ振動によって、検出電極に電荷を生じさせる検出部分38bとを有する。検出部分38bの大きさは、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動を検出できる大きさであれば特に限定されないが、圧電体38の5%〜10%程度とすることが好ましい。駆動部分38aが大きいほうが、より大きな力を防塵フィルタ18に与えることができるからである。
【0158】
図11Aに示す第2実施形態に係る防塵部11についても、第1実施形態と同様に、図6Aおよび図6Bに示すフローチャートに従って、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させ、除塵動作を行うことができる。また、除塵動作を行いながら、防塵フィルタ18に発生する振動の検査をおこなうことができる。
【0159】
第2実施形態に係る防塵部11を有するカメラは、切替回路を追加しない限り検出電極26a〜26dを防塵フィルタ18の駆動に使用できないが、この点を除き、第1実施形態に係る防塵部11と同様の効果を奏する。また、第2実施形態に係る防塵部11は、1つの第3振動部材22によって、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させながら、同時に防塵フィルタ18に発生する曲げ振動を検査できるため、部品数が少なく、装置の小型化に貢献できる。
第3実施形態
【0160】
図13は本発明の第3実施形態に係るカメラを表すブロック図である。第3実施形態に係るカメラは、カメラボディ40内に検出回路74を有しない。その他の構成については、図1等に示す第1実施形態に係るカメラと同様である。
【0161】
図13に示すカメラは、製造工程等において行われる振動検査の際、検査装置96に接続される。検査装置96には検出回路74が備えられており、検出回路74は切替回路70を介して、第2振動部材21と電気的に接続される。
【0162】
したがって、図6A,6Bのフローチャートによる検査動作では、検出装置96に備えられた検出表示部98等に、図10A〜図10Dに示す振動信号89〜92が表示される。このように、第3実施形態に係るカメラは、検出回路74をカメラボディ40内部に設けていないため、図1に示す構成に比べてシステムが単純である。なお、カメラの製造工程等において行われる振動検査では、検査結果に応じて、当該カメラを良品と不良品に選別することができる。
その他の実施形態
【0163】
図9A〜図9Dに示すように、上述の実施形態における駆動信号は矩形波であるが、駆動信号としてはこれに限られず、例えばサイン波のように出力が遷移的に変化する駆動信号であってもよい。また、各駆動信号間の位相差も、振動の節95との位置関係に応じて適切に設定された任意の値とすることができる。
【0164】
また、ボディCPU50は、防塵部11が正常に動作しているかどうかを検査するだけでなく、検出信号を利用して、防塵フィルタ駆動回路56が出力する駆動信号を変化させても良い。例えばボディCPU50は、検出信号から図8に示す振動加速度のピークを検出し、振動加速度のピーク付近の振動周波数で防塵フィルタ18を曲げ振動させることによって、防塵フィルタに付着した塵埃を効率的に除去することができる。
【0165】
さらに、駆動電極および検出電極の配列方向は、曲げ振動の伝搬方向に沿って配列されていればよく、例えば図4A等に示す防塵フィルタ18の短辺方向Sに沿って配列されても良い。駆動電極および検出電極の数についても、防塵フィルタ18発生させる曲げ振動の次数等に応じて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの全体ブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す撮像素子ユニットの平面図である。
【図3】図3は、図2に示すIII−III線に沿う概略断面図である。
【図4A】図4Aは、図2および図3に示す防塵部の平面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示すIVB−IVB線に沿う断面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aに示すIVC−IVC線に沿う断面図である。
【図5】図5は、図4Bの断面図の一部を拡大した要部拡大断面図である。
【図6A】図6Aは、図1に示すカメラでの防塵動作における一連の処理を表したフローチャートの前半部分である。
【図6B】図6Bは、図1に示すカメラでの防塵動作における一連の処理を表したフローチャートの後半部分である。
【図7A】図7Aは、振動部材によって9次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図である。
【図7B】図7Bは、振動部材によって8次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図である。
【図7C】図7Cは、振動部材によって7次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図である。
【図7D】図7Dは、振動部材によって6次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図である。
【図8】図8は、防塵フィルタに加えられる振動の振動周波数と防塵フィルタの振動加速度の関係を表すグラフである。
【図9A】図9Aは、9次曲げ振動を加える際に、防塵フィルタ駆動回路が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図である。
【図9B】図9Bは、8次曲げ振動を加える際に、防塵フィルタ駆動回路が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図である。
【図9C】図9Cは、7次曲げ振動を加える際に、防塵フィルタ駆動回路が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図である。
【図9D】図9Dは、6次曲げ振動を加える際に、防塵フィルタ駆動回路が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図である。
【図10A】図10Aは、9次曲げ振動が発生している際に、検出電極によって検出される信号の一例を表した図である。
【図10B】図10Bは、8次曲げ振動が発生している際に、検出電極によって検出される信号の一例を表した図である。
【図10C】図10Cは、7次曲げ振動が発生している際に、検出電極によって検出される信号の一例を表した図である。
【図10D】図10Dは、6次曲げ振動が発生している際に、検出電極によって検出される信号の一例を表した図である。
【図11A】図11Aは、本発明の第2実施形態に係る防塵部の平面図である。
【図11B】図11Bは、図11AにおけるXIB−XIB線に沿う断面図である。
【図12】図12は、図11Bの断面図の一部を拡大した要部拡大断面図である。
【図13】図13は、本発明の第3実施形態に係るカメラおよび検査装置の全体ブロック図である。
【符号の説明】
【0167】
4… 撮像素子ユニット
12… 撮像素子
18… 防塵フィルタ
20,21… 振動部材
32a〜32d… 第1〜第4駆動電極
33a〜33d… 第1〜第4検出電極
34… 第1共通電極
35… 第2共通電極
36… 第1圧電体
37… 第2圧電体
50… ボディCPU
56… 防塵フィルタ駆動回路
70… 切替回路
74… 検出回路
80… 振動モード選択回路
85a〜88d… 駆動信号
89a〜92e… 検出信号
95… 振動の節
96… 検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動の節を有する曲げ振動を所定の部材に発生させる振動部材と、
前記振動部材を駆動する駆動部とを有し、
前記振動部材は、
前記駆動部に電気的に接続される駆動電極部と、
前記駆動電極部に対応して設けられており、前記所定の部材の振動を検出する検出部に電気的に接続され得る検出電極部と、を有することを特徴とする振動装置。
【請求項2】
請求項1に記載された振動装置であって、
互いに電気的に絶縁されている複数の前記駆動電極部を有し、
互いに電気的に絶縁され、前記駆動電極部にそれぞれ対応して設けられた複数の前記検出電極部を有していることを特徴とする振動装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載された振動装置であって、
前記検出電極部が前記検出部に接続されている第1の状態と、
前記検出電極部が前記駆動部に接続されている第2の状態とを切り替える切替装置をさらに有することを特徴とする振動装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された振動装置であって、
前記検出電極部は、対応するそれぞれの前記駆動電極部に対して、曲げ振動によって生じる変位が略同期する位置に配置されることを特徴とする振動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された振動装置であって、
互いに電気的に絶縁されている複数の前記駆動電極部を有し、
前記駆動部は、一つの前記駆動電極部に与える電圧を可変として、次数の異なる振動を発生させることを特徴とする振動装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された振動装置であって、
前記検出部は、前記駆動電極部に出力する駆動信号の極性に応じて、前記検出電極部から検出される検出信号の極性を調節することを特徴とする振動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された振動装置であって、
前記駆動電極部は、前記所定の部材の一端部に備えられており、
前記検出電極部は、前記所定の部材の他端部に備えられていることを特徴とする振動装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された振動装置であって、
前記振動部材は、圧電素子部と、前記駆動電極部に対して前記圧電素子部を挟んで配置される共通電極部とを有し、
前記共通電極部は、前記所定の部材の表面に備えられていることを特徴とする振動装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載された振動装置であって、
前記所定の部材は光学系によって導かれる光を透過する光学部品であり、
前記光学部品は、前記光学系による像を撮像する撮像素子と、前記光学系との間に配置されていること特徴とする振動装置。
【請求項10】
請求項9に記載された振動装置を有するカメラ。
【請求項11】
複数の電極部を有し、振動の節を有する曲げ振動を所定の部材に発生させる振動部材と、
前記振動部材を駆動する駆動部とを有する振動装置の検査方法であって、
前記振動部材の第1電極部に前記駆動部を電気的に接続し、
前記第1電極部に駆動信号を出力して前記曲げ振動を発生させ、
前記振動部材の第2電極部に前記曲げ振動を検出する検出部を電気的に接続し、
前記検出部からの検出信号に基づいて前記曲げ振動を検出する振動装置の検査方法。
【請求項12】
請求項11に記載された振動装置の検査方法であって、
前記検出部は、前記検出信号を表示可能な表示装置に接続されていることを特徴とする振動装置の検査方法。
【請求項13】
請求項11に記載された振動装置の検査方法であって、
前記第2電極部は前記駆動部に電気的に接続可能であり、
前記第2電極部の接続を、前記駆動部と前記検出部との間で切り替えることを特徴とする振動装置の検査方法。
【請求項14】
請求項10〜13に記載の振動装置の検査方法を用いる振動装置製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−189986(P2009−189986A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35078(P2008−35078)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】