説明

排ガス処理装置

【課題】四塩化ケイ素を亜鉛によって還元し、高純度シリコンを製造する亜鉛還元法シリコン製造において副生する反応排ガスを適正に処理・回収する処理装置を提供することを課題とした。
【解決手段】本発明は、亜鉛還元法によるシリコン製造に於ける生成排ガスの処理において、該生成排ガスを塩化亜鉛水溶液を循環した塔の上部から導入して吸収させるガス吸収溶解機構、該塩化亜鉛水溶液の循環機構、該生成排ガスを吸収した塩化亜鉛水溶液の濾過機構、該生成排ガスを吸収した塩化亜鉛水溶液の濃度調整機構、並びに前記処理を行った塩化亜鉛水溶液の保持機構を有する排ガスの処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主としていわゆる亜鉛還元法によるシリコン製造における反応排ガス処理のための処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
四塩化ケイ素を原料として高温亜鉛によって還元して超高純度シリコンを製造するいわゆる亜鉛還元法は、現在主に行われている、ジーメンス法に比較して、製造されるシリコンの純度が若干低く成るものの、大きく省エネルギー化がはかれること、又その若干低いとされる純度もこれからの高純度シリコンの応用用途の本命と目されるソーラセル用に十分であること、更にジーメンス法の副生物であり、原料に戻すことが困難とされる四塩化ケイ素を原料として使用できることなどから、近年特に注目を浴びており、その検討が進んでいる。
【0003】
この亜鉛還元法は、既に1954年に開発された方法であるが、生成する副生物の塩化亜鉛の処理が困難でありそれがパイプ閉塞を起こすこと、又その取り扱いが煩雑であること等から結局は商品化が遅れているという問題があった。
【0004】
本発明者等もシリコンの製造それ自身は問題なく、非常に早い反応速度で反応が進むこと、従って小型の装置で大規模なシリコンの製造が出来ることを見いだした。また亜鉛還元によって副生する塩化亜鉛については系内で反応ガスとしてそのまま溶融塩電解槽に送って直接溶融塩電解により亜鉛と塩素を同時に回収すること、亜鉛はそのまま原料として再循環する事を提案した。これらは、たとえば特開2008−115066号、特開2004−284935号、特開2004−35382号、特開2003−342016号の各公報に示される。これらの特許公報では、特に回収機構を持たずに直接の電解により亜鉛、塩素を得ると共に、亜鉛を系内に循環するようにしている。但し未反応四塩化ケイ素などの配慮は全く行っていない。
【0005】
更に特開2007−217786号公報では亜鉛過剰の場合の処理用として排ガスの処理を電解槽内で行い、熱回収と共に過剰な亜鉛は電解浴槽で分離し、塩化亜鉛は電解することを示している。但しこれも前記と同様に可能性のある未反応四塩化ケイ素についての検討は全く行っていないし、回収や分解も行っていない。
【0006】
特開2007−217262号公報と特開2006−298740号公報では亜鉛過剰の条件で四塩化ケイ素をシリコンに還元する方法並びに装置が示されており、そこでは反応による生成ガスについてはまず冷却をして亜鉛を融体として分離した後、塩化亜鉛ガスを電解装置に送って電解を行うようにしている。これは亜鉛が十分に過剰にある条件で四塩化ケイ素を100%完全に反応させた場合の処理であり、四塩化ケイ素が混入するような条件には使用できない。
【0007】
このように条件を規定すれば問題なく運転でき、電解による亜鉛の回収・再循環も問題がないはずである。しかしながら、これらで使用している、溶融塩電解では、通常は問題が無くても、浴中にシリコン成分が入り、僅かでも酸素があるといわゆる不溶性のジンクシリケートを形成するために電解が困難になるという問題点があった。従ってシリコン製造においては亜鉛が十分に過剰であることが必要であると言う問題点があり上記はすべてこのような条件での電解であると言える。
【0008】
更に溶融塩電解を行っている間は問題ないが、一度電解浴の温度が低下して電解浴が固化してしまうと再融解が極めて困難であり、通常の溶融塩電解では、電解槽ごと廃棄される事が多かった。或いは本体のシリコン製造が停止した場合にも、常に電解浴を融解状態に保持する必要があり、しばしば電解時とほぼ同じ電力を投入して溶融状態を保持しなければ成らない等の問題点があった。
【0009】
なお、亜鉛の場合は、水溶液からも亜鉛金属を析出させることが可能である。そのために水溶液からの電解回収の可能性が示されており、それらによる、反応ガス処理法がいくつか示されている。本発明者らの経験によると、水溶液電解においては一度塩化亜鉛として析出させた固体の塩化亜鉛を水溶液とすることは不可能ではないが通常の水、あるいは酸水溶液への溶解速度が小さいために完全な溶解には、設備が大きくなること、又吸湿性の塩化亜鉛を外に取り出すことはどうしても不純物を含みやすくなるという問題点があった。
【0010】
最近の技術として、特開2008−242153号公報においては亜鉛還元法シリコン製造装置から出てくる塩化亜鉛を水蒸気或いは水と反応させて溶解し、それを複雑な操作を行って硫酸亜鉛水溶液として電解し亜鉛を得ることが示されている。しかしながら塩化亜鉛の溶解条件には詳細にはふれられておらず、それ以上の条件の開示はないが、おそらく、シリコン製造の反応装置に直接水蒸気、あるいは水供給装置をつけることは系内に酸素成分を送ることになるので良くないので、塩化亜鉛を取り出してからの作業であると思われ、上記したように、不純物が混入するおそれがある。また操作が複雑になるという問題点があった。特開2003−34519号公報では、亜鉛電解シリコン製造プロセスについて亜鉛の回収に水溶液電解でも、溶融塩電解でも良いことが示されているが、条件はまったく示されていないこと、また実施例の無いことから、条件は全く不明である。排ガス処理方法はフローが示されるものの全く不明である。
【0011】
なお、本願発明者等の多くの実験においては、高温・高濃度ガスを用いた実験では亜鉛ガスの過剰量を大きくしなければ未反応の四塩化ケイ素が生成塩化亜鉛、未反応分であると亜鉛ガスと共に生成してきてしまうことが見いだされた。これは温度条件と反応場を十分に大きくとれるケースではほとんど無くなるが、現実の工業装置を考慮した場合には完全に反応を100%進めることが困難であり、四塩化ケイ素が排ガスに混入することを防ぐことが困難であることを見いだした。またいくつかの亜鉛還元法では四塩化ケイ素を過剰にした条件が提案されているが、これらも同様に四塩化ケイ素そのまま排ガス中に混入することは確かである。
【0012】
【特許文献1】特開2008−115066号 公報
【特許文献2】特開2004−284935号 公報
【特許文献3】特開2004−35382号 公報
【特許文献4】特開2003−342016号 公報
【特許文献5】特開2007−217786号 公報
【特許文献6】特開2007−217262号、公報
【特許文献7】特開2006−298740号 公報
【特許文献8】特開2008−242153号 公報
【特許文献9】特開2003−34519号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、四塩化ケイ素を亜鉛によって還元し、高純度シリコンを製造する亜鉛還元法シリコン製造において副生する反応排ガスを適正に処理・回収する処理装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、亜鉛還元法によるシリコン製造に於ける生成排ガスの処理において、該生成排ガスを塩化亜鉛水溶液を循環した塔の上部から導入して吸収させるガス吸収溶解機構、該塩化亜鉛水溶液循環機構、該生成排ガスを吸収した塩化亜鉛水溶液の濾過機構、該生成排ガスを吸収した塩化亜鉛水溶液の濃度調整機構、並びに前記処理を行った塩化亜鉛水溶液の保持機構を有する排ガスの処理装置であって、亜鉛還元法によるシリコンの製造に伴う排ガスを処理し、連続的に水溶液として回収し、必要に応じてそれから亜鉛並びに塩素を直接接続した電解槽により回収することが出来る。
【0015】
以下詳細に説明する。
高温下の亜鉛ガス中に四塩化ケイ素の液又はガスを加えて反応を起こさせるとSiCl+Zn→Si+2ZnClなる反応によりSi(シリコン)が生成すると共に、副生物である塩化亜鉛が生成する。なお系内には未反応物質である亜鉛及び/又は四塩化ケイ素が含まれる。ここで塩化亜鉛は沸点が740℃であること、又亜鉛は沸点が910℃である。更に四塩化ケイ素は沸点が56.4℃である。又シリコンの融点は1410℃であるので、温度910℃から1410℃では固体のシリコンと他の成分はガスとして存在する。
【0016】
固体シリコンは製品であるので分離回収される必要があるが、その他の成分は可能であればガスとして或いはその他であっても液中に溶解してしまうことが望ましくそれによってシリコンを分離することが出来る。又シリコン以外の成分が固体であっても生成シリコンと容易に分離出来るのであれば問題はない。ここで、亜鉛還元法シリコン製造を考えるとシリコンは塩化亜鉛水溶液がわずかに酸性を示すので、この中に溶解することはない。又塩化亜鉛と亜鉛は酸水溶液中に溶解する。一方未反応の四塩化ケイ素は反応して酸化ケイ素(SiO2)と塩酸になり酸化ケイ素は固体として析出し、溶解しない。可能であればこの未反応四塩化ケイ素は未反応のままで回収することが最も望ましいが、その沸点が非常に低いために現実には機構が複雑になるので極めて困難である。
【0017】
更に回収される未反応四塩化ケイ素量はごくわずかである事を考えると、経済性からも設備の点からも四塩化ケイ素は回収しないで酸化ケイ素(SiO)として分離し、除去し又は回収したほうがよいという結論に達し、ここでは未反応物を含む排ガスを直接回収液と接触させSiClは酸化ケイ素(SiO)として分離するようにした。なお、排ガスには塩化亜鉛ガスを主としてこれら未反応の亜鉛ガス並びに四塩化ケイ素ガスからなるガスの他に、分離が出来なかった微細なシリコン粒子が含まれる。
【0018】
ここでは、このような排ガスを910℃より高い温度に保持し、シリコン以外はすべてガスの状態で排ガス処理装置に送られて処理される。更にここで、本発明者等は高温のガス処理では極めて危険であり、タブーであった高温ガスと水溶液の直接接触の可能性に挑戦し、塩化亜鉛水溶液の特性に注目してこのケースのみに特に可能であること、しかも塩化亜鉛を回収できることを見いだして本発明に至ったのである。
【0019】
つまり、本発明における排ガスの処理装置では、ガス吸収溶解機構において、該排ガスを塩化亜鉛水溶液を循環させた容器内の上部から降り注がせる。非常に高温のガスが直接水に触れることによって部分的な突沸により水蒸気が発生し、排ガス管に逆流する可能性があるので、排ガス管と吸収液である塩化亜鉛水溶液との距離を500mmから1000mmとして充分高いところから降らせるようにしてガスの温度を下げる様にする。これによって、ガスを直接水溶液と接触させた場合、たとえ、ガスの一部が落下の途中で液体や固体となってもそれが非常に小さいために、突沸のような状態には成らず急速に水溶液に吸収され可溶物は溶解する。
【0020】
この時、吸収液となる塩化亜鉛水溶液の温度が均一であり、又濃度分布も均一であることが望ましいので循環することが必要であり、循環機構を有する。ここで循環機構はガス吸収溶解機構内の液を循環するのみならず、析出物処理、温度調整、液濃度調整などのための各機構に液を循環する循環機構を兼ねることが出来る。
【0021】
なお排ガスとこの塩化亜鉛水溶液を十分に接触させ、塩化亜鉛水溶液に溶解させるために、塩化亜鉛をシャワー状にしてガス吸収溶解機構内に降らせることが出来る。但し排ガスの取り入れ口にはシャワーの液滴はもちろんミストもかからないようにすることが必要であり、排ガス取り入れ口は隔壁などで、十分に隔離して置くことが必要である。
【0022】
ここで使用する循環液は塩化亜鉛水溶液であり、その濃度は15〜30質量パーセントである。これは、塩化亜鉛水溶液の沸点が高く、しかも水溶液でありながら、むしろ塩化亜鉛として挙動することを見出したことによっている。つまり塩化亜鉛水溶液の沸点は本発明者らの実測では15質量パーセント溶液で沸点が約135℃、又30質量パーセントでは175℃であった。さらに30質量パーセントの塩化亜鉛水溶液でも液の粘性は見かけ上あまり変化せず、液の循環は通常のマグネットポンプでも支障なく行えることを確認している。 又このような条件では水の分解による水素発生が起こらないことも相まって突沸、爆発などという問題も起こらず安全である。
【0023】
塩化亜鉛水溶液はそのままでも弱酸性であり、排ガス成分に含まれる亜鉛の一部を溶解することが出来る。また、未反応の四塩化ケイ素が入ってくると、水溶液中の水分と反応して、SiCl+2HO→SiO+4HClなる反応により粒が比較的大きく、しばしば針状の酸化ケイ素沈殿を生成すると共に循環液である塩化亜鉛液を塩酸酸性にするので、亜鉛の溶解を加速する。なお四塩化ケイ素から生成するシリカ(SiO2)は条件により形状が異なるが、一般には大きな鱗片状の白色の結晶となる。
【0024】
つまり、反応によって生成したシリカは条件により種々の形で循環液中に漂うことになるが、濾過機構により濾過分離する。なお濾過機構は、大きな粒子がある場合は、それを濾過分離する簡単な装置の他に、排ガス中に含まれる微細で、液中でも沈殿しにくいシリコン粒子の濾過分離を行うための精密な濾過機構が必要であり、ここではこの両者を併せて濾過機構とする。当然条件によって濾過機構も変える必要があり、2種の濾過機構を設ける場合は、濾過機構は一カ所では無く、必要に応じて別々に設置されることもある。なお微細なシリコンの濾過機構としては微細な目開きの濾過膜を使用することも出来るが、微細粒子に用いられる沈殿槽で代用することも出来る。なお未反応四塩化ケイ素による酸化ケイ素(SiO2)の粒子が特に小さい場合は濾過機構として、通常の濾過と沈殿槽とを組み合わせることが望ましい。
【0025】
なお、本処理は、高温ガスを水溶液へ吸収・溶解させるので、温度差、並びに塩化亜鉛の溶解熱により、液温度が大きく上昇する。このために、熱交換器などにより循環液を冷却する。もちろん少なくとも上記濾過機構を通して該酸化ケイ素の分離除去を行った後で冷却を行う様にする。 冷却機構は特には指定されないが、塩化亜鉛水溶液である循環液が直接外気に触れなければ良く、内部循環式のクーリングタワーやチタン熱交換器が好ましく用いられる。
【0026】
このようにして冷却した循環液は直接ガス吸収溶解機構に戻すことも出来るが、塩化亜鉛水溶液の保持機構に送りそこで液濃度を調整して再循環することも出来る。液濃度の調整は、水による希釈や亜鉛を添加し溶解することによってのpH制御などが有る。混入している微細なシリコンを分離した後の液を電解槽に回して電解により塩化亜鉛を分解して亜鉛並びに塩素を回収すると共に電解液を上記保持機構に戻すようにして塩化亜鉛濃度を制御することも出来る。ここで塩化亜鉛水溶液の保持機構から電解槽へ送られる液には固形物が含まれないようにすることが望ましく、濾過機構の第2段(微細粒子分離)をこの中間に設けることが望ましい。又塩化亜鉛水溶液の保持機構そのものを沈降分離槽として機能するように内部に隔壁並びに液面段差を設けることも出来る。この場合は電解槽への給液は沈降槽によって固体分を除いた沈降槽液出口から行うようにする。
【0027】
電解槽の形式は隔膜により陽極室と陰極室が分離された、いわゆる2室法電解槽を使用する。隔膜は陽極発生ガスの陰極室への拡散を防ぐことが出来れば良く、通常のポリプロピレン製濾過膜のような物でも良いが、陽イオン交換膜を使用することも出来る。陽イオン交換膜を隔膜として使用する場合は、商品名Nafionなどで代表される様な、フッ素樹脂系の陽イオン交換膜を使用する。なお電解槽では塩化亜鉛を陽極側塩素ガスとして又陰極表面に亜鉛金属として回収すると共に、塩化亜鉛溶液濃度を低下させる。このようにして電解液として使用し、塩化亜鉛濃度を下げた液を保持機構に戻して塩化亜鉛液濃度を調整する様にすることが出来る。
【0028】
当然のことながら塩素は四塩化ケイ素の製造に使用することが出来る。四塩化ケイ素の製造を必要としない場合は塩素ガスを各種合成用として使用したり、アルカリ処理をして次亜塩素酸塩として各種用途用に使用したりすることが出来る。一方亜鉛は陰極面から剥がした後溶解して亜鉛ガス原料として供給することによって、リサイクルする。
【0029】
上記に示したように2段階の濾過機構に濾過分離される物質は明確に異なる。つまり未反応四塩化ケイ素からの酸化ケイ素(SiO)の粒子が大きい場合は第1段でそれを分離回収する。もう一方の微細粒子濾過で得られるのは高純度シリコンであり、本来の亜鉛還元法によって得られたシリコンでも特に微細な粒子である。又、未反応四塩化ケイ素から生成する酸化ケイ素の粒子がシリコンと同様に小さい場合は、析出物を別途分離する様にする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によって、従来大きな問題であり、又これにより本格的な商業化が進まなかった、亜鉛還元法シリコン製造における塩化亜鉛を主とする排ガス処理・回収が、極めて容易になると共に、反応部から出た排ガスは反応の直後にこの処理装置に送られ、ガス中の塩化亜鉛は即座に塩化亜鉛水溶液となる。又未反応亜鉛も循環液を酸性としておくことで塩化亜鉛水溶液とすることが出来る。これによって、従来、ともすると途中の温度低下で配管の閉塞が起こるなど、運転の中断を余儀なくされていたプロセスが、極めて容易に連続運転が出来るようになると共に、配管部分の加熱が最小限となるので、消費エネルギーも少なくて済むようになる。
【0031】
更に、排ガスに含まれる未反応の四塩化ケイ素はこの装置では即座に酸化ケイ素になると共に、同時に生成する塩化水素も水溶液に溶解するのみで、水溶液の酸性度は上昇するが、塩化水素ガス或いは塩酸ガスとしては存在しないので、装置腐食を防ぐことが出来るように成ると共に、これによる水溶液の高い酸性度により、未反応亜鉛の溶解を促進する。混入シリコンと未反応四塩化ケイ素の分解物である、酸化ケイ素の沈殿は残るが、ガスは全て塩化亜鉛水溶液と成ってしまう。沈殿物である酸化ケイ素と混入したシリコンは大きく粒径が異なるケースでは2段濾過によって容易に分離回収出来る。
【0032】
又生成した酸化ケイ素の粒径が小さい場合は、1段濾過、又は沈降分離で固体として取り出してから必要に応じて分離し回収する。更に生成する塩化亜鉛水溶液は水溶液電解により亜鉛と塩素として容易に回収することが出来る。ここで水溶液電解の温度は低いこと、又設備的にコンパクトに作れるので低い電流密度での運転が可能なことから、従来の溶融塩電解に比較しては消費電力が少なくなると共に、運転−停止が容易に行えるという効果があり、運転それ自身も安全で極めて容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に本発明の排ガス回収装置について図によって説明する。
図1(A)は排ガス処理装置の基本的なフローであり濾過機構が1段で出来ているケースで有る。図1(B)は濾過機構が大小2段の目開きの異なる濾過器から出来ているケースである。ここでは図1(B)を主体として説明する。なお(A)は濾過が1段ということだけであり、他は同じである。1がガス吸収溶解機構であり、亜鉛還元法シリコン合成装置からの排ガス12が保温された排ガス管11を通って、1の上部から供給される。このガス吸収溶解機構は加温をしていないのでガスは急速に冷却され液又は固体化し、上から該ガス吸収溶解機構下部に循環する塩化亜鉛水溶液表面13に降り注ぐ。
【0034】
この時一部固体を含む、排ガス成分は500mmから1000mmの間を落下することにより、広がることによって液面全面に広がって落下し、循環液である、塩化亜鉛水溶液に溶解する。なお排ガス成分は実質的に急冷状態となるために固体としても非常に微細な粒子になるので、水分との接触でほぼ瞬間的に溶解する。ここで、排ガス管11の温度が低いと、亜鉛が部分的にも液となると共に大きな液滴になってしまい、水溶液中への溶解速度が遅くなったり、一部は未溶解亜鉛となり、支障を来すことがあるので、排ガス管11はガス吸収溶解機構に入る直前までは、亜鉛の沸点である910℃より高く保持すること、出来れば950℃以上に保持されていることが必要である。
【0035】
循環液である塩化亜鉛水溶液は基本的には塩化亜鉛循環機構4によって外部の塩化亜鉛液保持機構3との間を循環する。この液循環の途中で固形物の濾過を行うようにする。排ガスの吸収溶解処理によって生成する液には、排ガスに混入して入ってくる微細なシリコン粉末と未反応の四塩化ケイ素が循環液と反応して生成するシリカを固形物として含み、シリカは条件によって針状や鱗片状となり100μmより大きな粒子となる場合が多いが、微細な100μmより小さな、むしろシリカゾルに近い状態になることがある。一方、シリコンの方は微細粉末で一般に1から100μmの粒径を有する。このため一般には目開き100μmの程度のメッシュで酸化ケイ素を除き、1から10μm程度の濾紙でシリコンを濾過する。なお微細なシリカゾル状態の酸化ケイ素は、相互につながりが出来るせいか、100μm程度のメッシュでも濾別が可能である。
【0036】
従って酸化ケイ素とシリコンとを別々に分けて濾過分離するように2段の濾過機構を有する。ここでは21が酸化ケイ素用で荒く、22が微細シリコン分離用である。又酸化ケイ素粒が小さくてシリコンとの分離が困難であれば、一段の濾過器2でシリカとシリコンをあわせて濾過分離する。これらによって固形分をほぼ完全に分離した循環液は塩化亜鉛液保持機構4に至り、塩化亜鉛液濃度と酸性度を31及び32により調整する。塩化亜鉛の濃度が高くなっていくので31からは純水を、又32からは塩酸又は亜鉛を供給する。これにより当然のことながら液量が増加していくので増加分は塩化亜鉛液33として系から分離する。
【0037】
分離した塩化亜鉛液の処理は用途によってそのまま乾燥して塩化亜鉛固体としても良いし、水を加えないで直接電解槽で電解を行うことによって塩化亜鉛を亜鉛と塩素として回収を行うと共に、塩化亜鉛濃度を下げて塩化亜鉛保持機構4に戻すことによっても濃度調整が出来る。
【0038】
図2は図1の系の途中に循環液の冷却機構6を加えた場合のフローの一例を示した。つまり、排ガスの吸収溶解機構1では高温ガスの潜熱と塩化亜鉛の溶解に伴う発熱により循環液は加熱され高温になる。比較的処理量が少なく、間歇的な運転であれば、冷却機構が無くても良いが、連続運転では、加熱が続くので、循環液の温度が上がってしまうと言う問題があり、その時には熱交換器などによって循環液の冷却を行う。
【0039】
この冷却器の形式は、循環液が外気と直接接しない様な密閉構造になっていること、又酸性の塩化亜鉛水溶液に対して耐食であればどのような形式でも良く、チタンや炭素熱交換器などが使用される。ここでは1段又は2段の濾過器の後に入れており、それが最も望ましいが、第1段で荒い沈殿物を除いた段階で冷却器を通して冷却し、液調整をしてから第2段の濾過を行うことも出来る。特に後段に電解槽を取りつける様にした場合は第2段の濾過を電解槽に入る直前に置き、固形物が電解槽内に送られないようにすることが望ましい。
【0040】
図3は図1の系に循環液濃度調整用を兼ねて隔膜式電解槽5を付加し、更に循環液中に冷却器3を取りつけた場合のフロー図である。又ここでは循環液の濾過機構は第1段21を排ガスの吸収溶解機構の直後において主として四塩化ケイ素分解によるシリカからなる大きな沈殿物を分離回収し、分離後の液を塩化亜鉛水溶液の保持機構3を通して、吸収溶解機構1に循環する。又該保持機構3には塩化亜鉛を亜鉛52と塩素51とに分けて回収する電解機構5が取りつけられており、この電解を通じて塩化亜鉛水溶液保持機構3内の、つまり循環液の液濃度の調整を行う。
【0041】
なおこの時には電解槽に入る直前に、主としてシリコンからなる、あるいは酸化ケイ素粒子が非常に小さい場合ぱそれを含む、微細粒子を液中から分離回収するための濾過器22を設けて、電解槽内には固形物が入らないようにする。これによって電解槽からは電解精錬の効果もあり、陰極表面に高純度亜鉛を得ることが出来、ここで得られた高純度亜鉛は本体プロセスである亜鉛還元法シリコン製造プロセス原料である亜鉛として回収使用することが出来る。
【0042】
図4は図3の装置における第2段の濾過器22として、濾過器に代わって塩化亜鉛水溶液保持機構内に沈降分離による微細粒子の分離回収機構23を置いた場合について示した。通常の濾過器ではその濾過面積に制限があり、濾過膜の目開きを小さくすればするほど、濾過時の圧力損失が大きくなってしまい濾過能力が低下することが知られている。ここではそれを避けるために、塩化亜鉛水溶液保持槽3が若干大きくなるがそこで重力沈降を行い、固形物を沈降分離させる。この方法は特に粒径が1〜10μ程度の粒子の濾過分離は吸引や加圧して濾過をする必要のある場合が多く、そのようなケースでは特に有効である。このようにして固形物をほぼ完全に除いた塩化亜鉛水溶液を電解槽に送り電解する。
【0043】
ここで使用する電解槽については上記に示した通り、りいわゆる2室法の電解槽であり、陰極表面に亜鉛が陽極からは塩素を発生しそれらを回収する。運転条件は特には指定されないが、電解温度は100℃以下、望ましくは40〜60℃であり、電流密度は300〜2000A/m2(陰極金属面について)が望ましく、標準的な電解電圧は3〜4Vである。隔膜にはフッ素樹脂系の陽イオン交換膜を用いても良いが、比較的安定で抵抗損が小さい、フッ素樹脂の不織布やポリプロピレンの濾過膜などが使用される。なおより分離能を向上するために上記のような濾過膜に陽イオン交換樹脂である商品名Nafionをコーティングして、ある程度のイオン交換機能を与えることも出来る。
【0044】
図5は反応系からのガスを循環液に吸収させるためのガス吸収溶解機構の実施態様の例を示した図であり、(A)は上部からガスを降らせ、底部に循環液が回っている場合であり、比較的ガス量が少ない場合に適用される。つまりここでは波打った液面が接触面であり、塩化亜鉛の微細な粒やガスは塩化亜鉛水溶液に容易に吸収されるが、なお粒やガスが多い場合には接触面積が不足し、吸収溶解が不十分になる場合が起こる。このような時に有効な方法として(B)に示したような循環液をガス吸収溶解機構内でシャワー状に降らせることによって接触面積を大きくして吸収・溶解を早くしかも十分に行わせることが出来る。ただこのような場合に、通常のスクラバーなどで行われるような気体出口をシャワー液中に入れることは出来ない。ここではガス出口部分を隔壁で囲ってしまい、シャワーの影響を最小限に抑えることが重要である。
以下実施例により説明するが、これに制限されないことは言うまでもない。
【実施例】
【実施例1】
【0045】
図1に示す装置を組んで、亜鉛還元法のシリコン製造装置の排ガス管と接続した。亜鉛還元法シリコン製造装置の運転条件は、亜鉛ワイヤーを12g/分の速度で投入し1100℃で蒸発させ、そこに四塩化ケイ素液を15g/分投入、また加圧用としてアルゴンガスを200ml/分の速度で投入した。この条件は僅かに亜鉛が過剰な条件であり、排ガスは塩化亜鉛90%以上、残りが未反応四塩化ケイ素と亜鉛からなるガスであり僅かにシリコンを含んでいた。なお排ガスの圧力はほぼ大気圧であり、温度は950℃であった。処理装置のガス吸収溶解機構は直径400mmの円筒形で高さが内法で800mmとなるチタン製の容器を使用した。また濾過機構としては直径300mmで目開きが5μmのポリプロピレン製の濾布を用い、重力落下により保持槽に液が戻るようにした。保持槽は400mm x 400mm x 500mm(高さ)のポリプロピレン製の容器を使用した。その上部に上記漏斗型の濾過機構を設けたものであった。また保持槽からは流量10l/minとなるようにマグネットポンプを使用して液を循環した。なお循環液としては20質量%の塩化亜鉛水溶液を用いた。
【0046】
これにより液面の高さを変化させて排ガスの吸収状況の観察を行った。なお、ガスの吸収溶解機構では圧力バランスのために上部ガラス管と塩ビ管によりアルゴンガスを満たしたドラム缶に接続した。なおこのドラム缶は大気圧に保持されている。此により排ガスの吸収が不完全になればガラス管を通って一部の排ガスがドラム側に流れることになり、吸収の状況がわかる様にした。
此により、水面高さ(ガスの落下高さ)による排ガスの処理状況を観察した。
結果を表1に示した。
【表1】

Note:(1):ガス吸収溶解機構からドラム缶への接続ガラス管観察を示し、吸収が 不完全であれば白煙(塩化亜鉛)が見られる。
此により、空間を500mm程度とれば確実に吸収されることがわかった。但しそれより少なくても使用が出来ることがわかった。またここではそれぞれの運転時間が短いこと、液量が比較的大きいことから温度上昇は5℃程度で影響はなかった。なお濾過部分には比較的大きい酸化ケイ素の針状結晶と褐色のシリコンが僅かに析出していた。
【実施例2】
【0047】
実施例1と同じ装置を使用して循環液を変えて同じ条件での吸収試験を行った。但し図2示すように濾過機構を2種類の濾紙を用い、更にその後に液の冷却を行うためにチタン熱交換器を設置した。排気/水面距離を500mmに固定して吸収液の塩化亜鉛濃度を変化させた。このときの運転時間を各条件1時間とした。なお塩化亜鉛20質量%液の場合で1時間の運転により熱交換器がない場合には液温度が20℃程度上昇することが認められたので、濾過の後にチタン熱交換器を冷却機構として設置したのである。又濾過は目開き100μmの濾紙と5μmの濾紙を組み合わせたものであり、これによって実質的な濾過による圧力損失を減らすことを目的とした。結果を表2に示した。
【表2】

Note:(1):運転途中で閉塞を起こした。(処理装置入り口部分に亜鉛粒子と白色 酸化亜鉛の生成が起こった。
(2):運転途中で閉塞、但しシリコン生成反応管内のアルゴン量を増加して 加圧することにより解消した。亜鉛粒子とわずかな白色酸化亜鉛の生 成が起こった。)
(3):閉塞は認められなかったが、シリコン生成反応管の背圧の上昇が見ら れた。又解体後は排ガス管端部に白色の酸化亜鉛の生成が見られた。
【0048】
上記結果からは循環液は塩化亜鉛水溶液であること、又出来れば塩化亜鉛濃度は15質量%以上が望ましいことが分かった。なお酸化亜鉛の生成や亜鉛金属の析出は循環液の蒸気が排ガス部分に到達し、排ガス管の温度がわずかに下がったり、又水蒸気と反応したりしたためと考えられ、沸点が高く、蒸気圧の小さい塩化亜鉛水溶液では液面より500mm上部にある排ガス管まで水蒸気が届かなかったためと考えられた。なお濾過機構では目開き100μmの方にはわずかに針状の結晶が認められ、目開き5μmの方には褐色の沈殿(シリコン)が見られた。
【実施例3】
【0049】
図3に示すように塩化亜鉛保持機構に隔膜式電解槽をつけた。その他の部分は実施例2と同じとした。隔膜式電解槽は陽極としてチタンメッシュ表面に酸化イリジウム/酸化ルテニウム/酸化チタンの複合酸化物から成る電極物質を被覆したいわゆる不溶性金属電極を使用し、隔膜としてガス透過が無い様に表面を親水化したフィルター用のフッ素樹脂製不織布の袋で周囲を囲い、そこから生成ガスを抜くためのパイプを取り付けパイプの他端を20%苛性ソーダ液が降るようにしたガス吸収塔に取り付けた。陰極としてはブラストにより表面を荒らしたチタン板の表面に薄く亜鉛金属を被覆した物を用いた。循環液の保持機構からダイアフラム式の定量ポンプを用いてこの電解槽の陰極室に液を供給しながら電解を行った。電解槽は陰極、陽極共に500mm x 500mmの大きさであり、陽極が上記隔膜で取り囲まれた陽極が電解槽内に並べられ、陽極と陽極との間に厚さ3mmのチタン板の両面をブラスト加工し、その表面に亜鉛電着を行って亜鉛で被覆した陰極を置いた。陽極−陰極間距離は20mmとした。電解電源への接続は、複数の陽極、複数の陰極をそれぞれ導電帯で接続した並列接続とした。
【0050】
シリコンの製造中、この電解槽を電流700Aで運転した。なお電解槽温度は40℃に保持した。シリコンの製造条件は実施例1と同じとした。これにより7時間の連続運転で、陰極表面には合計で5100gの亜鉛が生成した。又これに見合うだけの塩素が陽極から発生した。電流効率は約85%であった。この量は反応部での亜鉛消費量5040gとほぼ対応している。この一連の操作により僅かに循環液量が減るのでその分は減量分に合わせて脱イオン水を加える様にした。これによって循環液は液量の変化、濃度の変化が殆ど起こらなかった。又投入亜鉛とほぼ同量の固体亜鉛を回収することが出来た。又排ガス処理条件は循環液濃度の変化も殆ど変化せずに運転ができた。
【実施例4】
【0051】
図4に示した様な濾過機構の内の一つを循環液の保持機構内に設けた沈降槽とした。沈降槽の出口から電解槽に接続し、実施例3と同じ条件でシリコンの製造並びに電解を行った。これによって循環液中の沈殿物である酸化ケイ素は第1段のフィルターでほぼ完全に除去できた。またわずかに含まれるシリコンと四塩化ケイ素由来の微細な粒子は沈降分離部分に沈殿し、僅かに褐色となっていた。
【実施例5】
【0052】
実施例1と同じ装置を使用してシリコンの製造試験を行った。但しガス吸収溶解機構は図5(B)に示す塩化亜鉛水溶液のシャワー機構を設けた。図5(B)の隔壁は塩化亜鉛液面から100mmの高さまで伸ばしており排ガス口ヘのシャワー液の影響が起こらないようにした。なおシリコンの製造条件は実施例1の2倍量の原料供給を行い、ほぼ倍量のシリコンを得るようにした。つまり亜鉛ワイヤーを24g/分の速度で投入し1100℃で蒸発させ、そこに四塩化ケイ素液を30g/分投入、また加圧用としてアルゴンガスを200ml/分の速度で投入した。これにより排ガス量は実施例1の約2倍担ったが、その圧力はほぼ大気圧であり、温度も同じ950℃であった。排気口と下部循環液との距離を500mmとして処理を行ったところ、排気口付近への影響は全く起こらなかった。又ガス量が2倍に増えたにもかかわらず、ガスは完全に吸収された。なお実施例1の装置そのままでは、白煙がかなり残ってしまった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は亜鉛還元法シリコン製造用の排ガス処理装置であり、従来は水分や空気の混入は完全に避けなければならないとし、又排ガスの主成分で有る、塩化亜鉛がその沸点である740℃以下にすると部分的に液体化し、配管閉塞の原因となること、又未反応の亜鉛を含む場合は、亜鉛の沸点である910℃以上に保持しないと配管内を閉塞する可能性が有るために910℃以上に保持することが必須であり、それがそれらの処理設備まで続くこと等から最大の問題点とされ、現実にはこのために、商業的な実用化が出来ていなかった。本発明では排ガス管出口直後で塩化亜鉛水溶液にこれらの排ガスを直接投入してしまうことで配管を高温保持する距離を最小限とすることと、塩化亜鉛水溶液を直接作ってしまい水溶液電解で亜鉛を回収することが出来るようになった。これによって亜鉛還元法の実用化へのハードルが一気に下がり、商業化生産に容易に移行できる様になった。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の処理装置の概念図であり、(A)は濾過機構が1段の場合、(B)は濾過機構が2段の場合である。
【図2】本発明の処理装置の概念図であり、循環液の冷却機構を有する場合である。
【図3】本発明の処理装置の概念図であり、塩化亜鉛水溶液の保持機構に電解機構を設けて塩化亜鉛濃度を制御するようにした場合である。
【図4】本発明の処理装置の概念図であり、図3に加えて、濾過機構の第2段を沈降機構とした場合である。
【図5】本発明の処理装置に用いられるガス吸収溶解機構の態様の概念図であり、(A)は循環液が底部に循環をしている場合、(B)は循環液をシャワー状に降らせてガスとの接触面積をより大きくした場合である。
【符号の説明】
【0055】
1 ガス吸収溶解機構
11 排ガス
12 循環液
13 循環液シャワー機構
14 隔壁
15 シャワーポンプ
2 濾過機構
21 第1段濾過機構
22 第2段濾過機構
3 塩化亜鉛水溶液(循環液)保持機構
31 塩化亜鉛水溶液濃度調整機構1
32 塩化亜鉛水溶液濃度調整機構2
33 塩化亜鉛液量調整(取り出し)
4 塩化亜鉛水溶液循環機構
5 塩化亜鉛水溶液電解分離機構
51 電解分離機構生成塩素
52 電解分離機構生成亜鉛
6 塩化亜鉛水溶液冷却機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛還元法によるシリコン製造に於ける生成排ガスの処理において、該生成排ガスを塩化亜鉛水溶液を循環した塔の上部から導入して吸収させるガス吸収溶解機構、該塩化亜鉛水溶液の循環機構、該生成排ガスを吸収した塩化亜鉛水溶液の濾過機構、該生成排ガスを吸収した塩化亜鉛水溶液の濃度調整機構、並びに前記処理を行った塩化亜鉛水溶液の保持機構を有する排ガスの処理装置。
【請求項2】
前記塩化亜鉛水溶液の循環を前記ガス吸収溶解機構の底部、ガス投入口の下方500〜1000mmに液面を有するように循環することを特徴とする請求項1の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記塩化亜鉛水溶液を、前記排ガスを導入する導入口から隔離して塔内にシャワー状に降らせるようにした事を特徴とする、請求項1の排ガスの処理装置。
【請求項4】
前記排ガスを吸収した水溶液の濾過機構が、2段階から成り、第1段が100μm以上の荒い固形物の濾過を行い、第2段が100μm未満の微細な固形物を濾過するようにしたことを特徴とする請求項1の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記2段階の濾過機構が、系内にそれぞれ独立に置かれてなることを特徴とする請求項1又は4の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記2段階の濾過機構の第2段が固体成分の沈降分離によることを特徴とする請求項1,4,又は5のいずれかの排ガス処理装置。
【請求項7】
前記塩化亜鉛水溶液の循環機構が該塩化亜鉛水溶液の冷却機構を含むことを特徴とする請求項1の排ガス処理装置。
【請求項8】
前記塩化亜鉛水溶液の濃度調整機構が、前記塩化亜鉛水溶液の保持機構に取り付けられていることを特徴とする請求項1の排ガス処理装置。
【請求項9】
前記塩化亜鉛水溶液の濃度調整機構が、該塩化亜鉛水溶液の電解分離機構を含んで成ることを特徴とする請求項1の排ガス処理装置。
【請求項10】
前記塩化亜鉛水溶液の電解分離機構が隔膜により陽極室と陰極室に分割されて成る2室法の電解分離機構であることを特徴とする請求項1又は4の排ガス処理装置。
【請求項11】
前記水溶液の濾過機構の第一段が前記塩化亜鉛水溶液の冷却機構と吸収溶解機構の間にあり、第2段が塩化亜鉛水溶液の保持機構に有することを特徴とする請求項1の排ガス処理装置。
【請求項12】
前記塩化亜鉛水溶液が塩化亜鉛濃度15〜30質量パーセントの水溶液であることを特徴とする、請求項1の排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−101210(P2012−101210A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265716(P2010−265716)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(504323238)有限会社シーエス技術研究所 (17)
【出願人】(300007132)ティーエムシー株式会社 (6)
【Fターム(参考)】