排気浄化装置
【課題】上流側から下流側まで均質な強度のプラズマを発生することができるプラズマリアクタを提供すること。
【解決手段】プラズマリアクタ1は、エンジンの排気が流通する排気管2内に排気の流通方向に沿って設けられた複数の筒状の外周電極31と、これら複数の外周電極の中心に同軸に設けられた複数の線状又は棒状の内部電極32と、を備える。プラズマリアクタ1は、排気管2のうち複数の外周電極31より上流側に設けられた第1給電プラグ41と、排気管2のうち複数の外周電極31より下流側に設けられた第2給電プラグ42と、を備え、複数の内部電極32の上流側の端部は導電性の第1接続部材51を介して第1給電プラグ41に保持され、複数の内部電極32の下流側の端部は導電性の第2接続部材52を介して第2給電プラグ42に保持され、第1給電プラグ41及び第2給電プラグ42は、高圧電源6の同電位極に接続される。
【解決手段】プラズマリアクタ1は、エンジンの排気が流通する排気管2内に排気の流通方向に沿って設けられた複数の筒状の外周電極31と、これら複数の外周電極の中心に同軸に設けられた複数の線状又は棒状の内部電極32と、を備える。プラズマリアクタ1は、排気管2のうち複数の外周電極31より上流側に設けられた第1給電プラグ41と、排気管2のうち複数の外周電極31より下流側に設けられた第2給電プラグ42と、を備え、複数の内部電極32の上流側の端部は導電性の第1接続部材51を介して第1給電プラグ41に保持され、複数の内部電極32の下流側の端部は導電性の第2接続部材52を介して第2給電プラグ42に保持され、第1給電プラグ41及び第2給電プラグ42は、高圧電源6の同電位極に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置に関する。より詳しくは、筒状の外周電極とこの外周電極の中心に同軸に設けられた内部電極との電極対に電圧を印加することで発生したプラズマにより排気を浄化する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気を浄化する排気浄化装置の1つとして、所謂プラズマリアクタと呼ばれるものが提案されている。このプラズマリアクタは、排気管内に設けられた電極間に高電圧を印加しプラズマを発生させることにより、排気中の有害成分を浄化する。
【0003】
特許文献1や2には、プラズマリアクタの具体的な構成が示されている。このプラズマリアクタは、筒状の外周電極とこの外周電極の中心に同軸に設けられた線状の内部電極とからなる電極対を排気管内に複数並列に配置することにより構成される。また、各外周電極は接地され、各内部電極はそれぞれの一端側を格子部材や網状の導線などにより排気管内で1つにまとめた上で、高圧電源に接続された給電プラグに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−307832号公報
【特許文献2】特許第3208628号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来のプラズマリアクタでは、筒状の外周電極内に同軸に内部電極を設けることにより、内部電極から外周電極の内周面までの距離を等しくできるので、排気の流通方向に対し垂直な断面視では偏りなく均質なプラズマを発生させることができる。しかしながら、従来のプラズマリアクタでは、外周電極の内部に延在する内部電極のうち上流側か下流側の何れか一端側のみを給電プラグに接続するため、内部電極のインピーダンスの違いにより、外周電極の上流側と下流側とでは発生するプラズマの強度が不均質になったり、上流側と下流側とでプラズマの発生に時間差が生じたりする場合がある。
【0006】
本発明は、筒状の外周電極とその中心に設けられた内部電極との間にプラズマを発生させる排気浄化装置であって、上流側から下流側まで均質な強度のプラズマを発生することができる排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、内燃機関の排気が流通する排気管(例えば、後述の排気管2)内に排気の流通方向に沿って設けられた複数の筒状の外周電極(例えば、後述の外周電極31)と、前記複数の外周電極の中心に同軸に設けられた複数の線状又は棒状の内部電極(例えば、後述の内部電極32)と、を備え、両電極間に電圧を印加することで発生したプラズマにより排気を浄化する排気浄化装置(例えば、後述のプラズマリアクタ1)を提供する。前記排気浄化装置は、前記排気管のうち前記複数の外周電極より上流側に設けられた第1給電プラグ(例えば、後述の第1給電プラグ41)と、前記排気管のうち前記複数の外周電極より下流側に設けられた第2給電プラグ(例えば、後述の第2給電プラグ42)と、を備え、前記複数の内部電極の上流側の端部は導電性の第1接続部材(例えば、後述の第1接続部材51)を介して前記第1給電プラグに保持され、前記複数の内部電極の下流側の端部は導電性の第2接続部材(例えば、後述の第2接続部材52)を介して前記第2給電プラグに保持され、前記第1給電プラグ及び第2給電プラグは、高圧電源(例えば、後述の高圧電源6)の同電位極に接続される。
【0008】
本発明では、排気の流通方向に沿って延びる外周電極の中心に内部電極を同軸に設け、この内部電極の上流側の端部を導電性の第1接続部材を介して第1給電プラグで保持し、下流側の端部を導電性の第2接続部材を介して第2給電プラグで保持し、さらにこれら第1給電プラグ及び第2給電プラグを高圧電源の同電位極に接続する。これによりインピーダンスの差を小さくできるので、上流側から下流側までプラズマの強度を均質にできかつプラズマの発生の時間差小さくすることができる。
また、内部電極の両端を、排気管に設けられた第1、第2給電プラグで保持することにより、内部電極と外周電極との間の距離が変わらないように、内部電極の位置を外周電極の中心に維持することができる。したがって、上流側から下流側まで強度が均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0009】
この場合、前記第1、第2給電プラグは、中心電極(例えば、後述の中心電極411,421)に導通するソケット(例えば、後述のソケット416)を備え、前記第1、第2接続部材は、互いに隣接する内部電極の端部を連結する連結部(例えば、後述の連結部511)と、当該連結部から排気の流通方向に対し垂直な面内に沿って延びる支持軸(例えば、後述の支持軸515)とを備え、前記ソケットは、前記支持軸のその延在方向に沿った移動を規制する位置決め機構(例えば、後述のコイルスプリング4164)を有することが好ましい。
【0010】
本発明では、第1、第2給電プラグに中心電極に導通するソケットを設け、このソケットに排気の流通方向に対し垂直な面内に沿って延びる支持軸を接続することにより第1、第2接続部材と第1、第2給電プラグとを接続する。従来では、内部電極と給電プラグとを接続する接続部材の排気管内における位置及び姿勢を固定するため、絶縁材を介して接続部材を外周電極の端部に固定する必要があったところ、本発明によれば、各内部電極の両端が接続された第1、第2接続部材を、第1、第2給電プラグにより排気管内に直接保持することにより、このような部品が不要となる。また、第1、第2接続部材の支持軸を、その延在方向に沿った移動を規制する位置決め機構を有する第1、第2給電プラグのソケットに接続することにより、第1、第2接続部材の排気管内における位置ずれを防止し、内部電極を外周電極の中心に維持し続けることができるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0011】
この場合、前記ソケットは、前記支持軸を中心とした回転を規制する回転規制機構(例えば、後述のソケット416の第2収容部4162)を有することが好ましい。
【0012】
本発明では、支持軸を中心とした第1、第2接続部材の回転を規制する回転規制機構を有するソケットに支持軸を接続することにより、接続部材の排気管内における回転を防止し、内部電極の位置を外周電極の中心に維持し続けることができるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0013】
この場合、前記第1、第2給電プラグのうち前記排気管の内部側の外周面(例えば、後述の絶縁碍子412の先端側の外周面415)は、凹凸状に形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明では、給電プラグのうち排気管の内部側の外周面を凹凸状に形成することにより、排気管内において給電プラグの表面に沿って排気管や外周電極などに放電するのを防止できるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマリアクタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】上記実施形態に係るプラズマリアクタの正面図である。
【図3】上記実施形態に係るプラズマリアクタの断面図である。
【図4】上記実施形態に係る第2接続部材と内部電極との接続構造を示す部分断面図である。
【図5】上記実施形態に係る第1接続部材の支持軸の先端部の構成を示す斜視図である。
【図6】上記実施形態に係る第1給電プラグの先端部の構成を示す断面図である。
【図7】上記実施形態に係る支持軸をソケットに装着する手順を示す図である。
【図8】上記実施形態に係る支持軸をソケットに装着する手順を示す図である。
【図9】図8の線VIII−VIIIに沿った断面図である。
【図10】上記実施形態に係るプラズマリアクタを適用した排気浄化システムの一例を示す図である。
【図11】上記実施形態に係るプラズマリアクタを適用した排気浄化システムの一例を示す図である。
【図12】接続部材の変形例を示す図である。
【図13】プラズマ放電ユニットの内部にハニカム構造体を設けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るプラズマリアクタ1の概略構成を示す斜視図である。図2は、プラズマリアクタ1の正面図である。図3は、プラズマリアクタ1の断面図である。このプラズマリアクタ1は、後に図10や図11を参照して説明するように、内燃機関(以下、「エンジン」という)の排気を浄化する排気浄化装置の1つとして車両に搭載される。
【0017】
プラズマリアクタ1は、図示しないエンジンの排気通路の一部を構成する円筒状の排気管2と、この排気管2内に収容された複数の円筒状のプラズマ放電ユニット3と、これら複数のプラズマ放電ユニット3によりプラズマを発生させるための高圧電源6と、高圧電源6の電力を排気管2内部の複数のプラズマ放電ユニット3に供給する第1給電プラグ41及び第2給電プラグ42と、排気管2内部においてこれら給電プラグ41,42と複数のプラズマ放電ユニット3とを電気的に接続する第1接続部材51及び第2接続部材52と、を含んで構成される。このプラズマリアクタ1は、図1及び2においては紙面手前側から奥へ向けて、図3においては左から右へ向けてエンジンの排気が流通するように、図示しない車両の排気管の一部に組み込まれる。
【0018】
各プラズマ放電ユニット3は、排気管2の延在方向すなわち排気の流通方向に沿って設けられた円筒状の外周電極31と、この外周電極31の中心に同軸に設けられた線状又は棒状の内部電極32との電極対により構成される。このように外周電極31と内部電極32との電極対で構成された複数のプラズマ放電ユニット3は、図1〜3に示すように、それぞれの両端を揃えて並列に束ねた上、排気管2内に収容される。より具体的には、本実施形態では、排気管2内の上段に2つ、中段に3つ、下段に2つのプラズマ放電ユニット3が設けられる。ただし本発明において、プラズマ放電ユニット3の数や排気管2内における配置態様はこれに限らない。また本実施形態では、排気の流通方向に対し垂直な断面視が円になるような円筒状の外周電極31を例に説明するが、本発明はこれに限らない。例えば、断面視で多角形となるような筒状の外周電極を用いてもよい。
【0019】
第1給電プラグ41は、鉛直方向に沿って延びる棒状の中心電極411と、この中心電極411を保持する絶縁碍子412と、この絶縁碍子412を保持するハウジング413と、を備える。絶縁碍子412の基端側の外周面414及び先端側の外周面415は、それぞれ沿面放電を防止するため凹凸状に形成されている。なお、第2給電プラグ42は、上述の第1給電プラグ41と同じ構成であるので、その詳細な説明を省略する。
【0020】
排気管2のうち、プラズマ放電ユニット3よりも上流側には図示しない第1プラグホールが形成された第1プラグ取付部21が設けられ、プラズマ放電ユニット3よりも下流側には図示しない第2プラグホールが形成された第2プラグ取付部22が設けられている。給電プラグ41、42は、ハウジング413,423に形成されたねじ(図示せず)をプラグ取付部21,22のプラグホール内に螺合することにより、各々の先端部が排気管2内のプラズマ放電ユニット3の上流側及び下流側に臨むように、鉛直方向に沿って排気管2に装着される。
【0021】
図3に示すように、第1接続部材51は、排気管2内のうちプラズマ放電ユニット3の上流側に設けられ、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32の上流側の端部と第1給電プラグ41とを電気的に接続する。また、第2接続部材52は、排気管2内のうちプラズマ放電ユニット3の下流側に設けられ、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32の下流側の端部と第2給電プラグ42とを電気的に接続する。すなわち、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32の両端は、接続部材51,52を介して給電プラグ41,42に保持される。
【0022】
図1,2に示すように、第1接続部材51は、互いに隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32の端部を連結する連結部511と、この連結部511から排気の流通方向に対し垂直な面内、より具体的には鉛直方向に沿って延び、第1給電プラグ41の先端部に嵌合する支持軸515とを備える。これら連結部511と支持軸515とは、導電性の材料により一体に形成されている。図2に示すように、連結部511は、水平方向に沿って延び排気管2内の上段に設けられた2つの隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する第1連結部材512と、水平方向に沿って延び排気管2内の中段に設けられた3つの隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する第2連結部材513と、水平方向に沿って延び排気管2内の下段に設けられた2つの隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する第3連結部材514とで構成される。
なお、第2接続部材52は、上述の第1接続部材51と同じ構成であるので、その詳細な説明を省略する。
【0023】
図3に示すように、各内部電極32の両端には、接続部材51,52に接続するためのストッパ33,34が設けられている。各内部電極32の上流側の端部は、第1接続部材51に形成された挿通孔(図示せず)に挿通し、ストッパ33により第1接続部材51に固定されている。一方、各内部電極32の下流側の端部は、図4に示すように、第2接続部材52に形成された挿通孔521に挿通した上、ストッパ34と第2接続部材52との間に導電性のスプリング35を介装した状態で弾性支持されている。これにより、内部電極32には、ストッパ34を第2接続部材52の外側へ押し出す弾性力が常時作用するため、内部電極32が第1接続部材51と第2接続部材52との間で撓み、ひいては内部電極32と外周電極31との間の距離が変化するのを防止することができる。また、このように内部電極32を第1接続部材51と第2接続部材52との間に伸縮自在に支持することにより、内部電極32の熱膨張による屈曲も防止できる。
【0024】
図3に示すように、接続部材51,52の表面と各プラズマ放電ユニット3の外周電極31の端部との間の放電を防止するため、接続部材51,52は、外周電極31の両端面から各々の内側の面までの排気の流通方向に沿った距離が“L”だけ離間するように、排気管2内に設けられる。なお、内部電極32と外周電極31の間の電極間距離(内部電極32の外周面と外周電極31の内周面との距離)を“L´”とした場合、この接続部材51,52と外周電極31との間の距離Lは、電極間距離L´よりも長く設定される。また、接続部材51,52は、後に図5〜図9を参照して説明する接続構造を介して給電プラグ41,42に接続され、その排気管2内における位置及び姿勢が固定されている。したがって、本実施形態のプラズマリアクタ1によれば、接続部材51,52と外周電極31との間には、接続部材51,52の排気管2内における位置及び姿勢を維持するための絶縁材をあえて介装する必要はない。
【0025】
以上のような第1給電プラグ41の中心電極421及び第2給電プラグ42の中心電極421は、高圧電源6に並列に、すなわち高圧電源6の同電位極に接続され、各プラズマ放電ユニット3の外周電極31は接地される。これにより、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32と外周電極31との間に電圧を印加し、プラズマを発生させることができる。
【0026】
次に、図5〜図9を参照して、接続部材と給電プラグとの接続構造について説明する。なお、以下の説明では、図5〜図9を参照して第1接続部材51と第1給電プラグ41との接続構造について説明する。第2接続部材52と第2給電プラグ42の接続構造は、これら第1接続部材51と第1給電プラグ41との接続構造と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0027】
図5は、第1接続部材の支持軸515の構成を示す斜視図である。
支持軸515は、断面視で矩形状の本体516と、断面視で円柱状に形成された先端部517とを備える。先端部517には、後述のコイルスプリングが係止する環状の凹部518が形成されている。また先端部517の先端側にはテーパ面519が形成されている。
【0028】
図6は、第1給電プラグ41の先端部の構成を示す断面図である。
第1給電プラグ41の先端部には、中心電極411に導通し、上述の支持軸515が嵌合する凹状のソケット416が形成されている。ソケット416の外周は絶縁碍子412により覆われている。
【0029】
ソケット416は、断面視で円柱状に形成され支持軸515の先端部517を収容する第1収容部4161と、断面視で矩形状に形成され支持軸515の本体516を収容する第2収容部4162と、を備える。第1収容部4161には、環状の凹部4163が形成され、この凹部4163には、導電性の弾性部材としてのコイルスプリング4164が設けられている。
【0030】
図7及び図8は、支持軸515をソケット416に装着する手順を示す図である。
先ず、図7に示すように、支持軸515を先端部517からソケット416内に挿入し、テーパ面519でコイルスプリング4164を弾性変形させながら、支持軸515をソケット416の奥へ押し込む。図8に示すように、支持軸515の凹部518がコイルスプリング4164の位置まで到達すると、支持軸515の凹部518とソケット416の凹部4163により形成された環状の空間内でコイルスプリング4164の形状が回復し、コイルスプリング4164は支持軸515の凹部518に係止することとなる。これにより、支持軸515はソケット416内に中心電極421と電気的に導通した状態で、コイルスプリング4164により弾性支持される。
【0031】
以上のようにして、支持軸515をソケット416に装着した状態では、支持軸515の延在方向すなわち鉛直方向に沿った移動は、コイルスプリング4164により規制される。したがって、本実施形態では、ソケット416内に設けられたコイルスプリング4164により、支持軸515の鉛直方向に沿った移動を規制する位置決め機構が構成される。
【0032】
図9は、図8中の線VIII−VIIIに沿った断面図であり、支持軸515をソケット416に接続した状態における支持軸515及びソケット416の断面図である。なお、図9において、排気は左側から右側へ流通する。
図9に示すように、支持軸515の本体516は断面視で矩形状に形成され、ソケット416の第2収容部4162の内部の断面形状は、この本体516と同じく矩形状に形成されている。このように、ソケット416の内部の断面形状を支持軸515と同じ矩形状にすることにより、第1接続部材51の支持軸515を中心とした回転が規制されることとなる。したがって、本実施形態では、支持軸515と同じ断面形状に形成されたソケット416の第2収容部4162により、支持軸515を中心とした回転を規制する回転規制機構が構成される。なお、支持軸515及びソケット416の断面形状は、本実施形態のような矩形状に限らず、楕円状や多角形状など、支持軸515を中心とした回転を規制できる形状であればどのような形状であってもよい。
【0033】
次に、図10及び図11を参照して、以上のようなプラズマリアクタ1を適用した排気浄化システムの一例について説明する。
【0034】
図10は、排気中の炭化水素を還元剤として排気中のNOxを還元除去する選択還元触媒(HC−SCR(Selective Catalytic Reduction Catalyst))73を備えた排気浄化システム7Aにプラズマリアクタ1を適用した例を示す図である。このシステム7Aでは、図10に示すように、排気通路72の排気通路72に、上流側から下流側へ向かってプラズマリアクタ1、選択還元触媒73、酸化触媒74の順で設けることが好ましい。
図10に示すような排気浄化システム7Aでは、プラズマリアクタ1によりプラズマを発生させることにより、エンジン71の排気に含まれるHCをより高活性の還元剤CH3CHOに変換するとともに、排気中のNOをNO2に変換し、下流側の選択還元触媒73におけるNOxの還元を促進することができる。
【0035】
図11は、プラズマリアクタ1により排気中のHC及びNOxを直接浄化する排気浄化システム7Bを示す図である。このシステム7Bでは、図11に示すように、プラズマリアクタ1の下流側に酸化触媒75を設けることが好ましい。
図10には、選択還元触媒73におけるNOxの還元を促進するための補助的な装置としてプラズマリアクタ1を適用した例を説明した。しかしながら、プラズマリアクタ1では、図10に示すシステム7Aよりも高いエネルギーのプラズマを発生させることにより、排気中のHCやNOxをCO2やN2に直接分解することができるので、図11に示すようなプラズマリアクタ1により排気中のHCやNOを浄化するシステム7Bを構築することもできる。
【0036】
以上詳述したプラズマリアクタ1によれば、以下の効果がある。
(1)本実施形態では、排気の流通方向に沿って延びる外周電極31の中心に内部電極32を同軸に設け、この内部電極32の上流側の端部を第1接続部材51を介して第1給電プラグ41で保持し、下流側の端部を第2接続部材52を介して第2給電プラグ42で保持し、さらにこれら第1給電プラグ41及び第2給電プラグ42を高圧電源の同電位極に接続する。これによりインピーダンスの差を小さくできるので、上流側から下流側までプラズマの強度を均質にできかつプラズマの発生の時間差小さくすることができる。
線状又は棒状の内部電極32の両端を、排気管2に設けられた給電プラグ41,42で保持することにより、内部電極32と外周電極31との間の距離が変わらないように、内部電極32の位置を外周電極31の中心に維持することができる。したがって、上流側から下流側まで強度が均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0037】
(2)本実施形態では、給電プラグ41,42に中心電極に導通するソケットを設け、このソケットに排気の流通方向に対し垂直な面内に沿って延びる支持軸を接続することにより接続部材51,52と給電プラグ41,42とを接続する。従来では、内部電極32と給電プラグ41,42とを接続する接続部材51,52の排気管2内における位置及び姿勢を固定するため、絶縁材を介して接続部材51,52を外周電極31の端部に固定する必要があったところ、本実施形態によれば、各内部電極32の両端が接続された接続部材51,52を、給電プラグ41,42により排気管2内に直接保持することにより、このような部品が不要となる。また、接続部材51,52の支持軸を、その延在方向に沿った移動を規制する位置決め機構を有する給電プラグ41,42のソケットに接続することにより、接続部材51,52の排気管2内における位置ずれを防止し、内部電極32を外周電極31の中心に維持し続けることができるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0038】
(3)本実施形態では、支持軸を中心とした接続部材51,52の回転を規制する回転規制機構を有するソケットに支持軸を接続することにより、接続部材51,52の排気管2内における回転を防止し、内部電極32の位置を外周電極31の中心に維持し続けることができるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0039】
(4)本実施形態では、給電プラグ41,42のうち排気管2の内部側の外周面を凹凸状に形成することにより、排気管2内において給電プラグ41,42の表面に沿って排気管2や外周電極31などに放電するのを防止できるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、コイルスプリング4164により支持軸515をソケット416内で弾性支持した例を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、このコイルスプリングの代わりに、一部が切断され、コイルスプリングと同様に弾性変形が可能なインナークリップにより支持軸をソケット内に支持してもよい。
【0041】
また、第1接続部材51や第2接続部材52の連結部の具体的な形状は、図2に示すようなものに限らない。例えば、図12に示すような接続部材51Aを用いてもよい。
図12は、接続部材51Aの変形例を示す図である。
変形例の接続部材51Aの連結部511Aは、格子状に形成され、互いに隣接する全てのプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する。この変形例に係る接続部材51Aと、図2を参照して説明した接続部材51とを比較すると、変形例の接続部材51Aの方が、より多くの数の内部電極32を連結するので、図12中「×」印に示すように、連結部511Aの一部が破断した場合であっても、給電プラグ41との電気的な接続が切断されることはないので、より耐久性に優れたものにできる。しかしながら、変形例の接続部材51Aの方が、断面積が大きくなるため、排気管2の圧損が大きくなってしまう。
【0042】
また、図13に示すように、各プラズマ放電ユニット3の内部に、光触媒を担持したハニカム構造体8を設けてもよい。このようなハニカム構造体8を設けることにより、プラズマ放電ユニット3で発生させたプラズマを利用して、光触媒を励起し、排気の浄化をさらに促進することができる。光触媒の材料としては、例えば二酸化チタン(TiO2)が用いられる。
【符号の説明】
【0043】
1…プラズマリアクタ(排気浄化装置)
2…排気管
3…プラズマ放電ユニット
31…外周電極
32…内部電極
41…第1給電プラグ
416…ソケット
4162…第2収容部(回転規制機構)
4164…コイルスプリング(弾性部材、位置決め機構)
42…第2給電プラグ
51…第1接続部材
511…連結部
515…支持軸
52…第2接続部材
6…高圧電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置に関する。より詳しくは、筒状の外周電極とこの外周電極の中心に同軸に設けられた内部電極との電極対に電圧を印加することで発生したプラズマにより排気を浄化する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気を浄化する排気浄化装置の1つとして、所謂プラズマリアクタと呼ばれるものが提案されている。このプラズマリアクタは、排気管内に設けられた電極間に高電圧を印加しプラズマを発生させることにより、排気中の有害成分を浄化する。
【0003】
特許文献1や2には、プラズマリアクタの具体的な構成が示されている。このプラズマリアクタは、筒状の外周電極とこの外周電極の中心に同軸に設けられた線状の内部電極とからなる電極対を排気管内に複数並列に配置することにより構成される。また、各外周電極は接地され、各内部電極はそれぞれの一端側を格子部材や網状の導線などにより排気管内で1つにまとめた上で、高圧電源に接続された給電プラグに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−307832号公報
【特許文献2】特許第3208628号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来のプラズマリアクタでは、筒状の外周電極内に同軸に内部電極を設けることにより、内部電極から外周電極の内周面までの距離を等しくできるので、排気の流通方向に対し垂直な断面視では偏りなく均質なプラズマを発生させることができる。しかしながら、従来のプラズマリアクタでは、外周電極の内部に延在する内部電極のうち上流側か下流側の何れか一端側のみを給電プラグに接続するため、内部電極のインピーダンスの違いにより、外周電極の上流側と下流側とでは発生するプラズマの強度が不均質になったり、上流側と下流側とでプラズマの発生に時間差が生じたりする場合がある。
【0006】
本発明は、筒状の外周電極とその中心に設けられた内部電極との間にプラズマを発生させる排気浄化装置であって、上流側から下流側まで均質な強度のプラズマを発生することができる排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、内燃機関の排気が流通する排気管(例えば、後述の排気管2)内に排気の流通方向に沿って設けられた複数の筒状の外周電極(例えば、後述の外周電極31)と、前記複数の外周電極の中心に同軸に設けられた複数の線状又は棒状の内部電極(例えば、後述の内部電極32)と、を備え、両電極間に電圧を印加することで発生したプラズマにより排気を浄化する排気浄化装置(例えば、後述のプラズマリアクタ1)を提供する。前記排気浄化装置は、前記排気管のうち前記複数の外周電極より上流側に設けられた第1給電プラグ(例えば、後述の第1給電プラグ41)と、前記排気管のうち前記複数の外周電極より下流側に設けられた第2給電プラグ(例えば、後述の第2給電プラグ42)と、を備え、前記複数の内部電極の上流側の端部は導電性の第1接続部材(例えば、後述の第1接続部材51)を介して前記第1給電プラグに保持され、前記複数の内部電極の下流側の端部は導電性の第2接続部材(例えば、後述の第2接続部材52)を介して前記第2給電プラグに保持され、前記第1給電プラグ及び第2給電プラグは、高圧電源(例えば、後述の高圧電源6)の同電位極に接続される。
【0008】
本発明では、排気の流通方向に沿って延びる外周電極の中心に内部電極を同軸に設け、この内部電極の上流側の端部を導電性の第1接続部材を介して第1給電プラグで保持し、下流側の端部を導電性の第2接続部材を介して第2給電プラグで保持し、さらにこれら第1給電プラグ及び第2給電プラグを高圧電源の同電位極に接続する。これによりインピーダンスの差を小さくできるので、上流側から下流側までプラズマの強度を均質にできかつプラズマの発生の時間差小さくすることができる。
また、内部電極の両端を、排気管に設けられた第1、第2給電プラグで保持することにより、内部電極と外周電極との間の距離が変わらないように、内部電極の位置を外周電極の中心に維持することができる。したがって、上流側から下流側まで強度が均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0009】
この場合、前記第1、第2給電プラグは、中心電極(例えば、後述の中心電極411,421)に導通するソケット(例えば、後述のソケット416)を備え、前記第1、第2接続部材は、互いに隣接する内部電極の端部を連結する連結部(例えば、後述の連結部511)と、当該連結部から排気の流通方向に対し垂直な面内に沿って延びる支持軸(例えば、後述の支持軸515)とを備え、前記ソケットは、前記支持軸のその延在方向に沿った移動を規制する位置決め機構(例えば、後述のコイルスプリング4164)を有することが好ましい。
【0010】
本発明では、第1、第2給電プラグに中心電極に導通するソケットを設け、このソケットに排気の流通方向に対し垂直な面内に沿って延びる支持軸を接続することにより第1、第2接続部材と第1、第2給電プラグとを接続する。従来では、内部電極と給電プラグとを接続する接続部材の排気管内における位置及び姿勢を固定するため、絶縁材を介して接続部材を外周電極の端部に固定する必要があったところ、本発明によれば、各内部電極の両端が接続された第1、第2接続部材を、第1、第2給電プラグにより排気管内に直接保持することにより、このような部品が不要となる。また、第1、第2接続部材の支持軸を、その延在方向に沿った移動を規制する位置決め機構を有する第1、第2給電プラグのソケットに接続することにより、第1、第2接続部材の排気管内における位置ずれを防止し、内部電極を外周電極の中心に維持し続けることができるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0011】
この場合、前記ソケットは、前記支持軸を中心とした回転を規制する回転規制機構(例えば、後述のソケット416の第2収容部4162)を有することが好ましい。
【0012】
本発明では、支持軸を中心とした第1、第2接続部材の回転を規制する回転規制機構を有するソケットに支持軸を接続することにより、接続部材の排気管内における回転を防止し、内部電極の位置を外周電極の中心に維持し続けることができるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0013】
この場合、前記第1、第2給電プラグのうち前記排気管の内部側の外周面(例えば、後述の絶縁碍子412の先端側の外周面415)は、凹凸状に形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明では、給電プラグのうち排気管の内部側の外周面を凹凸状に形成することにより、排気管内において給電プラグの表面に沿って排気管や外周電極などに放電するのを防止できるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマリアクタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】上記実施形態に係るプラズマリアクタの正面図である。
【図3】上記実施形態に係るプラズマリアクタの断面図である。
【図4】上記実施形態に係る第2接続部材と内部電極との接続構造を示す部分断面図である。
【図5】上記実施形態に係る第1接続部材の支持軸の先端部の構成を示す斜視図である。
【図6】上記実施形態に係る第1給電プラグの先端部の構成を示す断面図である。
【図7】上記実施形態に係る支持軸をソケットに装着する手順を示す図である。
【図8】上記実施形態に係る支持軸をソケットに装着する手順を示す図である。
【図9】図8の線VIII−VIIIに沿った断面図である。
【図10】上記実施形態に係るプラズマリアクタを適用した排気浄化システムの一例を示す図である。
【図11】上記実施形態に係るプラズマリアクタを適用した排気浄化システムの一例を示す図である。
【図12】接続部材の変形例を示す図である。
【図13】プラズマ放電ユニットの内部にハニカム構造体を設けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るプラズマリアクタ1の概略構成を示す斜視図である。図2は、プラズマリアクタ1の正面図である。図3は、プラズマリアクタ1の断面図である。このプラズマリアクタ1は、後に図10や図11を参照して説明するように、内燃機関(以下、「エンジン」という)の排気を浄化する排気浄化装置の1つとして車両に搭載される。
【0017】
プラズマリアクタ1は、図示しないエンジンの排気通路の一部を構成する円筒状の排気管2と、この排気管2内に収容された複数の円筒状のプラズマ放電ユニット3と、これら複数のプラズマ放電ユニット3によりプラズマを発生させるための高圧電源6と、高圧電源6の電力を排気管2内部の複数のプラズマ放電ユニット3に供給する第1給電プラグ41及び第2給電プラグ42と、排気管2内部においてこれら給電プラグ41,42と複数のプラズマ放電ユニット3とを電気的に接続する第1接続部材51及び第2接続部材52と、を含んで構成される。このプラズマリアクタ1は、図1及び2においては紙面手前側から奥へ向けて、図3においては左から右へ向けてエンジンの排気が流通するように、図示しない車両の排気管の一部に組み込まれる。
【0018】
各プラズマ放電ユニット3は、排気管2の延在方向すなわち排気の流通方向に沿って設けられた円筒状の外周電極31と、この外周電極31の中心に同軸に設けられた線状又は棒状の内部電極32との電極対により構成される。このように外周電極31と内部電極32との電極対で構成された複数のプラズマ放電ユニット3は、図1〜3に示すように、それぞれの両端を揃えて並列に束ねた上、排気管2内に収容される。より具体的には、本実施形態では、排気管2内の上段に2つ、中段に3つ、下段に2つのプラズマ放電ユニット3が設けられる。ただし本発明において、プラズマ放電ユニット3の数や排気管2内における配置態様はこれに限らない。また本実施形態では、排気の流通方向に対し垂直な断面視が円になるような円筒状の外周電極31を例に説明するが、本発明はこれに限らない。例えば、断面視で多角形となるような筒状の外周電極を用いてもよい。
【0019】
第1給電プラグ41は、鉛直方向に沿って延びる棒状の中心電極411と、この中心電極411を保持する絶縁碍子412と、この絶縁碍子412を保持するハウジング413と、を備える。絶縁碍子412の基端側の外周面414及び先端側の外周面415は、それぞれ沿面放電を防止するため凹凸状に形成されている。なお、第2給電プラグ42は、上述の第1給電プラグ41と同じ構成であるので、その詳細な説明を省略する。
【0020】
排気管2のうち、プラズマ放電ユニット3よりも上流側には図示しない第1プラグホールが形成された第1プラグ取付部21が設けられ、プラズマ放電ユニット3よりも下流側には図示しない第2プラグホールが形成された第2プラグ取付部22が設けられている。給電プラグ41、42は、ハウジング413,423に形成されたねじ(図示せず)をプラグ取付部21,22のプラグホール内に螺合することにより、各々の先端部が排気管2内のプラズマ放電ユニット3の上流側及び下流側に臨むように、鉛直方向に沿って排気管2に装着される。
【0021】
図3に示すように、第1接続部材51は、排気管2内のうちプラズマ放電ユニット3の上流側に設けられ、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32の上流側の端部と第1給電プラグ41とを電気的に接続する。また、第2接続部材52は、排気管2内のうちプラズマ放電ユニット3の下流側に設けられ、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32の下流側の端部と第2給電プラグ42とを電気的に接続する。すなわち、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32の両端は、接続部材51,52を介して給電プラグ41,42に保持される。
【0022】
図1,2に示すように、第1接続部材51は、互いに隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32の端部を連結する連結部511と、この連結部511から排気の流通方向に対し垂直な面内、より具体的には鉛直方向に沿って延び、第1給電プラグ41の先端部に嵌合する支持軸515とを備える。これら連結部511と支持軸515とは、導電性の材料により一体に形成されている。図2に示すように、連結部511は、水平方向に沿って延び排気管2内の上段に設けられた2つの隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する第1連結部材512と、水平方向に沿って延び排気管2内の中段に設けられた3つの隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する第2連結部材513と、水平方向に沿って延び排気管2内の下段に設けられた2つの隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する第3連結部材514とで構成される。
なお、第2接続部材52は、上述の第1接続部材51と同じ構成であるので、その詳細な説明を省略する。
【0023】
図3に示すように、各内部電極32の両端には、接続部材51,52に接続するためのストッパ33,34が設けられている。各内部電極32の上流側の端部は、第1接続部材51に形成された挿通孔(図示せず)に挿通し、ストッパ33により第1接続部材51に固定されている。一方、各内部電極32の下流側の端部は、図4に示すように、第2接続部材52に形成された挿通孔521に挿通した上、ストッパ34と第2接続部材52との間に導電性のスプリング35を介装した状態で弾性支持されている。これにより、内部電極32には、ストッパ34を第2接続部材52の外側へ押し出す弾性力が常時作用するため、内部電極32が第1接続部材51と第2接続部材52との間で撓み、ひいては内部電極32と外周電極31との間の距離が変化するのを防止することができる。また、このように内部電極32を第1接続部材51と第2接続部材52との間に伸縮自在に支持することにより、内部電極32の熱膨張による屈曲も防止できる。
【0024】
図3に示すように、接続部材51,52の表面と各プラズマ放電ユニット3の外周電極31の端部との間の放電を防止するため、接続部材51,52は、外周電極31の両端面から各々の内側の面までの排気の流通方向に沿った距離が“L”だけ離間するように、排気管2内に設けられる。なお、内部電極32と外周電極31の間の電極間距離(内部電極32の外周面と外周電極31の内周面との距離)を“L´”とした場合、この接続部材51,52と外周電極31との間の距離Lは、電極間距離L´よりも長く設定される。また、接続部材51,52は、後に図5〜図9を参照して説明する接続構造を介して給電プラグ41,42に接続され、その排気管2内における位置及び姿勢が固定されている。したがって、本実施形態のプラズマリアクタ1によれば、接続部材51,52と外周電極31との間には、接続部材51,52の排気管2内における位置及び姿勢を維持するための絶縁材をあえて介装する必要はない。
【0025】
以上のような第1給電プラグ41の中心電極421及び第2給電プラグ42の中心電極421は、高圧電源6に並列に、すなわち高圧電源6の同電位極に接続され、各プラズマ放電ユニット3の外周電極31は接地される。これにより、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32と外周電極31との間に電圧を印加し、プラズマを発生させることができる。
【0026】
次に、図5〜図9を参照して、接続部材と給電プラグとの接続構造について説明する。なお、以下の説明では、図5〜図9を参照して第1接続部材51と第1給電プラグ41との接続構造について説明する。第2接続部材52と第2給電プラグ42の接続構造は、これら第1接続部材51と第1給電プラグ41との接続構造と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0027】
図5は、第1接続部材の支持軸515の構成を示す斜視図である。
支持軸515は、断面視で矩形状の本体516と、断面視で円柱状に形成された先端部517とを備える。先端部517には、後述のコイルスプリングが係止する環状の凹部518が形成されている。また先端部517の先端側にはテーパ面519が形成されている。
【0028】
図6は、第1給電プラグ41の先端部の構成を示す断面図である。
第1給電プラグ41の先端部には、中心電極411に導通し、上述の支持軸515が嵌合する凹状のソケット416が形成されている。ソケット416の外周は絶縁碍子412により覆われている。
【0029】
ソケット416は、断面視で円柱状に形成され支持軸515の先端部517を収容する第1収容部4161と、断面視で矩形状に形成され支持軸515の本体516を収容する第2収容部4162と、を備える。第1収容部4161には、環状の凹部4163が形成され、この凹部4163には、導電性の弾性部材としてのコイルスプリング4164が設けられている。
【0030】
図7及び図8は、支持軸515をソケット416に装着する手順を示す図である。
先ず、図7に示すように、支持軸515を先端部517からソケット416内に挿入し、テーパ面519でコイルスプリング4164を弾性変形させながら、支持軸515をソケット416の奥へ押し込む。図8に示すように、支持軸515の凹部518がコイルスプリング4164の位置まで到達すると、支持軸515の凹部518とソケット416の凹部4163により形成された環状の空間内でコイルスプリング4164の形状が回復し、コイルスプリング4164は支持軸515の凹部518に係止することとなる。これにより、支持軸515はソケット416内に中心電極421と電気的に導通した状態で、コイルスプリング4164により弾性支持される。
【0031】
以上のようにして、支持軸515をソケット416に装着した状態では、支持軸515の延在方向すなわち鉛直方向に沿った移動は、コイルスプリング4164により規制される。したがって、本実施形態では、ソケット416内に設けられたコイルスプリング4164により、支持軸515の鉛直方向に沿った移動を規制する位置決め機構が構成される。
【0032】
図9は、図8中の線VIII−VIIIに沿った断面図であり、支持軸515をソケット416に接続した状態における支持軸515及びソケット416の断面図である。なお、図9において、排気は左側から右側へ流通する。
図9に示すように、支持軸515の本体516は断面視で矩形状に形成され、ソケット416の第2収容部4162の内部の断面形状は、この本体516と同じく矩形状に形成されている。このように、ソケット416の内部の断面形状を支持軸515と同じ矩形状にすることにより、第1接続部材51の支持軸515を中心とした回転が規制されることとなる。したがって、本実施形態では、支持軸515と同じ断面形状に形成されたソケット416の第2収容部4162により、支持軸515を中心とした回転を規制する回転規制機構が構成される。なお、支持軸515及びソケット416の断面形状は、本実施形態のような矩形状に限らず、楕円状や多角形状など、支持軸515を中心とした回転を規制できる形状であればどのような形状であってもよい。
【0033】
次に、図10及び図11を参照して、以上のようなプラズマリアクタ1を適用した排気浄化システムの一例について説明する。
【0034】
図10は、排気中の炭化水素を還元剤として排気中のNOxを還元除去する選択還元触媒(HC−SCR(Selective Catalytic Reduction Catalyst))73を備えた排気浄化システム7Aにプラズマリアクタ1を適用した例を示す図である。このシステム7Aでは、図10に示すように、排気通路72の排気通路72に、上流側から下流側へ向かってプラズマリアクタ1、選択還元触媒73、酸化触媒74の順で設けることが好ましい。
図10に示すような排気浄化システム7Aでは、プラズマリアクタ1によりプラズマを発生させることにより、エンジン71の排気に含まれるHCをより高活性の還元剤CH3CHOに変換するとともに、排気中のNOをNO2に変換し、下流側の選択還元触媒73におけるNOxの還元を促進することができる。
【0035】
図11は、プラズマリアクタ1により排気中のHC及びNOxを直接浄化する排気浄化システム7Bを示す図である。このシステム7Bでは、図11に示すように、プラズマリアクタ1の下流側に酸化触媒75を設けることが好ましい。
図10には、選択還元触媒73におけるNOxの還元を促進するための補助的な装置としてプラズマリアクタ1を適用した例を説明した。しかしながら、プラズマリアクタ1では、図10に示すシステム7Aよりも高いエネルギーのプラズマを発生させることにより、排気中のHCやNOxをCO2やN2に直接分解することができるので、図11に示すようなプラズマリアクタ1により排気中のHCやNOを浄化するシステム7Bを構築することもできる。
【0036】
以上詳述したプラズマリアクタ1によれば、以下の効果がある。
(1)本実施形態では、排気の流通方向に沿って延びる外周電極31の中心に内部電極32を同軸に設け、この内部電極32の上流側の端部を第1接続部材51を介して第1給電プラグ41で保持し、下流側の端部を第2接続部材52を介して第2給電プラグ42で保持し、さらにこれら第1給電プラグ41及び第2給電プラグ42を高圧電源の同電位極に接続する。これによりインピーダンスの差を小さくできるので、上流側から下流側までプラズマの強度を均質にできかつプラズマの発生の時間差小さくすることができる。
線状又は棒状の内部電極32の両端を、排気管2に設けられた給電プラグ41,42で保持することにより、内部電極32と外周電極31との間の距離が変わらないように、内部電極32の位置を外周電極31の中心に維持することができる。したがって、上流側から下流側まで強度が均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0037】
(2)本実施形態では、給電プラグ41,42に中心電極に導通するソケットを設け、このソケットに排気の流通方向に対し垂直な面内に沿って延びる支持軸を接続することにより接続部材51,52と給電プラグ41,42とを接続する。従来では、内部電極32と給電プラグ41,42とを接続する接続部材51,52の排気管2内における位置及び姿勢を固定するため、絶縁材を介して接続部材51,52を外周電極31の端部に固定する必要があったところ、本実施形態によれば、各内部電極32の両端が接続された接続部材51,52を、給電プラグ41,42により排気管2内に直接保持することにより、このような部品が不要となる。また、接続部材51,52の支持軸を、その延在方向に沿った移動を規制する位置決め機構を有する給電プラグ41,42のソケットに接続することにより、接続部材51,52の排気管2内における位置ずれを防止し、内部電極32を外周電極31の中心に維持し続けることができるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0038】
(3)本実施形態では、支持軸を中心とした接続部材51,52の回転を規制する回転規制機構を有するソケットに支持軸を接続することにより、接続部材51,52の排気管2内における回転を防止し、内部電極32の位置を外周電極31の中心に維持し続けることができるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0039】
(4)本実施形態では、給電プラグ41,42のうち排気管2の内部側の外周面を凹凸状に形成することにより、排気管2内において給電プラグ41,42の表面に沿って排気管2や外周電極31などに放電するのを防止できるので、上述のように均質なプラズマを安定して生成し続けることができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、コイルスプリング4164により支持軸515をソケット416内で弾性支持した例を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、このコイルスプリングの代わりに、一部が切断され、コイルスプリングと同様に弾性変形が可能なインナークリップにより支持軸をソケット内に支持してもよい。
【0041】
また、第1接続部材51や第2接続部材52の連結部の具体的な形状は、図2に示すようなものに限らない。例えば、図12に示すような接続部材51Aを用いてもよい。
図12は、接続部材51Aの変形例を示す図である。
変形例の接続部材51Aの連結部511Aは、格子状に形成され、互いに隣接する全てのプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する。この変形例に係る接続部材51Aと、図2を参照して説明した接続部材51とを比較すると、変形例の接続部材51Aの方が、より多くの数の内部電極32を連結するので、図12中「×」印に示すように、連結部511Aの一部が破断した場合であっても、給電プラグ41との電気的な接続が切断されることはないので、より耐久性に優れたものにできる。しかしながら、変形例の接続部材51Aの方が、断面積が大きくなるため、排気管2の圧損が大きくなってしまう。
【0042】
また、図13に示すように、各プラズマ放電ユニット3の内部に、光触媒を担持したハニカム構造体8を設けてもよい。このようなハニカム構造体8を設けることにより、プラズマ放電ユニット3で発生させたプラズマを利用して、光触媒を励起し、排気の浄化をさらに促進することができる。光触媒の材料としては、例えば二酸化チタン(TiO2)が用いられる。
【符号の説明】
【0043】
1…プラズマリアクタ(排気浄化装置)
2…排気管
3…プラズマ放電ユニット
31…外周電極
32…内部電極
41…第1給電プラグ
416…ソケット
4162…第2収容部(回転規制機構)
4164…コイルスプリング(弾性部材、位置決め機構)
42…第2給電プラグ
51…第1接続部材
511…連結部
515…支持軸
52…第2接続部材
6…高圧電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気が流通する排気管内に排気の流通方向に沿って設けられた複数の筒状の外周電極と、前記複数の外周電極の中心に同軸に設けられた複数の線状又は棒状の内部電極と、を備え、両電極間に電圧を印加することで発生したプラズマにより排気を浄化する排気浄化装置であって、
前記排気管のうち前記複数の外周電極より上流側に設けられた第1給電プラグと、前記排気管のうち前記複数の外周電極より下流側に設けられた第2給電プラグと、を備え、
前記複数の内部電極の上流側の端部は導電性の第1接続部材を介して前記第1給電プラグに保持され、前記複数の内部電極の下流側の端部は導電性の第2接続部材を介して前記第2給電プラグに保持され、
前記第1給電プラグ及び第2給電プラグは、高圧電源の同電位極に接続されることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記第1、第2給電プラグは、中心電極に導通するソケットを備え、
前記第1、第2接続部材は、互いに隣接する内部電極の端部を連結する連結部と、当該連結部から排気の流通方向に対し垂直な面内に沿って延び前記ソケットに嵌合する支持軸とを備え、
前記ソケットは、前記支持軸のその延在方向に沿った移動を規制する位置決め機構を有することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記ソケットは、前記支持軸を中心とした回転を規制する回転規制機構を有することを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記第1、第2給電プラグのうち前記排気管の内部側の外周面は凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の排気浄化装置。
【請求項1】
内燃機関の排気が流通する排気管内に排気の流通方向に沿って設けられた複数の筒状の外周電極と、前記複数の外周電極の中心に同軸に設けられた複数の線状又は棒状の内部電極と、を備え、両電極間に電圧を印加することで発生したプラズマにより排気を浄化する排気浄化装置であって、
前記排気管のうち前記複数の外周電極より上流側に設けられた第1給電プラグと、前記排気管のうち前記複数の外周電極より下流側に設けられた第2給電プラグと、を備え、
前記複数の内部電極の上流側の端部は導電性の第1接続部材を介して前記第1給電プラグに保持され、前記複数の内部電極の下流側の端部は導電性の第2接続部材を介して前記第2給電プラグに保持され、
前記第1給電プラグ及び第2給電プラグは、高圧電源の同電位極に接続されることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記第1、第2給電プラグは、中心電極に導通するソケットを備え、
前記第1、第2接続部材は、互いに隣接する内部電極の端部を連結する連結部と、当該連結部から排気の流通方向に対し垂直な面内に沿って延び前記ソケットに嵌合する支持軸とを備え、
前記ソケットは、前記支持軸のその延在方向に沿った移動を規制する位置決め機構を有することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記ソケットは、前記支持軸を中心とした回転を規制する回転規制機構を有することを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記第1、第2給電プラグのうち前記排気管の内部側の外周面は凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の排気浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−50071(P2013−50071A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188354(P2011−188354)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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