排水用通気弁
【課題】小さなスペースや幅の狭いスペース等にも設置できる排水用通気弁を提供する。
【解決手段】排水用通気弁は、排水用通気管に接続される接続管22と、通気口の周囲に傾斜した着座面24aを有する弁座24と、閉弁時に着座面24aに着座する弁体25とを備えている。また、排水用通気弁は、平面視において略長方形状であり、その長手方向に接続管22と通気口とが並んで配置されている。弁体は可撓性を有するシート状であってもよい。
【解決手段】排水用通気弁は、排水用通気管に接続される接続管22と、通気口の周囲に傾斜した着座面24aを有する弁座24と、閉弁時に着座面24aに着座する弁体25とを備えている。また、排水用通気弁は、平面視において略長方形状であり、その長手方向に接続管22と通気口とが並んで配置されている。弁体は可撓性を有するシート状であってもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水用通気管に接続され、管内が負圧になったときに自動的に開弁して空気を取り入れる排水用通気弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マンション、オフィスビル等の建築物において、便器、キッチン、浴槽等の排水器具は、排水枝管を介して排出主管に接続されている。通常、排水枝管には、室内に悪臭が入り込まないようにトラップが設けられている。
【0003】
これらの排水器具から排出される排水は、排水枝管から排水主管に集約されながら流れていく。ところで、排水主管に水が流れる際に、管内圧力の急激な変動が生じ、管内圧力が一時的に大気圧より大幅に低くなる場合がある。このような場合には、排水枝管のトラップ封水が吸引され、トラップの機能が失われてしまうおそれがある。そのため、従来から、管内圧力の急激な低下を防止することを目的として、排水主管に排水用通気管が接続されている。
【0004】
排水用通気管は、排水主管の圧力が大幅に低下したときに外部から空気を取り入れるための配管であり、排水用通気管の先端部には排水用通気弁が取り付けられている。排水用通気弁は、内部が負圧になると自動的に開弁し、排水用通気管に空気を導入する。排水用通気管に空気が導入されると、内部の圧力変動が緩和され、上記トラップが良好な状態に保たれる。
【0005】
この種の排水用通気弁として、例えば下記特許文献1に示すように、上方に向かって広がるように略漏斗状に傾斜した環壁を備え、この環壁に複数の弁口が周状に配設された通気弁が知られている。この排水用通気弁は、各弁口を開閉する略扇板状の複数の弁体を備えている。各弁体は、合成ゴム等の弾性材料からなり、その上端部が環壁に固定され、上端部を支点としてスイング開閉するように構成されている。上記環壁の各弁口の周囲は弁座となり、弁体が閉鎖状態のときに弁体の周囲部分と密着する。
【特許文献1】特開平10−103549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された排水用通気弁では、排水用通気管に接続される接続口部は、環壁の中心側に形成されていた。言い換えると、環壁は接続口部の周囲を取り囲むように形成されており、弁体および弁座は、平面視において、接続口部から径方向外向きに広がるように配置されていた。そのため、上記排水用通気弁は、接続口部と比べて相当大型化していた。したがって、上記排水用通気弁は、小さなスペースや幅の細いスペースに設置することが困難であった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小さなスペースや幅の狭いスペース等にも設置できる排水用通気弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排水用通気弁は、排水用通気管に接続され、当該排水用通気管内が負圧になると自動的に開弁して前記排水用通気管内に空気を導入する排水用通気弁であって、平面視において所定方向に細長い形状に形成され、前記排水用通気管と接続される接続口部と空気を導入する通気口とが形成された本体と、前記通気口の周囲を囲む傾斜した着座面を有する弁座と、上端部が前記弁座に固定されるとともに、当該弁座との固定部分を支点として揺動することによって開閉し、閉弁時に前記着座面に着座する弁体とを備え、平面視において前記接続口部と前記通気口とが前記所定方向に並んでいるものである。
【0009】
なお、上記の「細長い形状」とは、一方向の長さが他の方向の長さよりも長い形状を意味するのであり、それらの長さの比を限定するものではない。したがって、正方形や円形などは除外されるが、その他の形状、例えば長方形状(長辺方向の長さが短辺方向の長さよりも僅かに長い形状も含まれる)や長円形状等は、ここでいう「細長い形状」に含まれる。
【0010】
上記排水用通気弁によれば、平面視において接続口部と通気口とが所定方向に並んでいるので、当該所定方向と直交する方向の長さ(以下、幅方向という)は短い。そのため、小さなスペースや幅の狭いスペースにも容易に設置することができる。
【0011】
前記排水用通気弁において、前記弁座の着座面は、前記弁体の揺動方向と直交する幅方向には平坦に形成され、前記幅方向と直交する傾斜方向の少なくとも一部においては、上方に凸状となるように湾曲していることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、弁座の着座面は、幅方向(弁体の揺動方向と直交する方向)に関しては平坦に形成され、傾斜方向の少なくとも一部においては、上方に凸状となるように湾曲している。そのため、弁体が着座したときに、弁体と弁座との間の密着性が向上する。したがって、弁体が閉じているときに、空気の漏れをより確実に防止することができる。また、弁体の開閉動作を円滑化することができる。
【0013】
なお、一般的に、樹脂成形品では、熱収縮等が原因となり、平坦面(幅方向および傾斜方向のいずれにおいても平坦な面)を形成することが難しい。ところが、上記排水用通気弁では、弁座の着座面は、幅方向には平らであるが、傾斜方向には湾曲しており、全体としては湾曲面である。したがって、着座面を平坦面に形成する必要がないので、樹脂成形によって簡易かつ安価に製造することができる。
【0014】
前記弁体は、可撓性を有するシート状に形成されていることが好ましい。
【0015】
このことにより、弁体と弁座との間のシール性が高度に確保される。
【0016】
また、前記排水用通気弁において、上記弁体の下端部には重りが設けられていることが好ましい。
【0017】
弁体の下端部(揺動の支点と反対側の端部)の重量が増加すると、弁体の開閉がより一層円滑化されるからである。なお、重りは弁体と一体的に形成されていてもよく(弁体の一部分が重りになっていてもよく)、弁体と別体に形成されていてもよい。
【0018】
また、前記排水用通気弁は、前記弁体の上端部の上側に配置され、前記弁座とともに前記弁体の上端部を狭持することによって前記弁体の上端部を前記弁座に固定する第1プレートと、前記弁体の下端部の上側に固定された第2プレートと、前記第1プレートに揺動自在に係合し、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結する連結棒と、を備えていることが好ましい。
【0019】
これにより、第1プレート、第2プレートおよび連結棒によって、弁体の形状を保持するフレームが構成され、弁体が開閉動作する際に捩じれてしまうことをより確実に防止することができるからである。
【0020】
また、前記排水用通気弁において、前記第2プレートには、前記幅方向に突出する突起部が形成され、前記連結棒には、前記第2プレートの前記突起部が挿通される取付孔が形成され、前記取付孔は、前記突起部が往復移動可能な長孔であることが好ましい。
【0021】
弁体の開閉動作に伴って、第2プレートの突起部が連結棒の取付孔内を往復移動することにより、可撓性を有する弁体の動きが滑らかになるからである。
【0022】
また、前記弁座の着座面の下端部における前記傾斜方向の曲率は、当該下端部よりも上側の前記傾斜方向の曲率よりも小さいことが好ましい。
【0023】
これにより、着座面の下端部における傾斜度合いが比較的緩やかになる。そのため、弁体の下端部が捲くれ上がりやすくなり、弁体の開動作がスムーズになる。また、弁体の下端部が着座面と密着しやすくなり、弁体の閉動作もスムーズになる。
【0024】
また、前記排水用通気弁において、前記弁座の前記通気口の内側には、前記傾斜方向に沿って延びるリブが設けられていることが好ましい。
【0025】
上記リブによって、着座した弁体を支持することができるとともに、弁座を補強することができるからである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、小さなスペースや幅の狭いスペースにも容易に設置することができる排水用通気弁を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1は、実施形態に係る排水用通気弁20の施工状態の一例を示す図である。本例では、排水用通気弁20は、パイプシャフト8内における排水器具(図1では排水器具の一例としてトイレを図示)3の裏側(図中、左側)の近傍に配置されている。パイプシャフト8の内部は、幅の狭いスペースとなっている。排水器具3は、建物1の室内2に設置されている。この排水器具3は、排水枝管4を介して排水主管5に接続されている。図示は省略するが、排水枝管4にはトラップが設けられている。なお、排水枝管4および排水主管5は、建物1の床下6に配置されている。
【0029】
排水主管5にはT字状のチーズ9が取り付けられており、このチーズ9の上端に排水用通気管7が接続されている。排水用通気管7は、チーズ9からパイプシャフト8内を通って上方に延びている。
【0030】
本実施形態に係る排水用通気弁20は、パイプシャフト8内における排水器具3の裏側近傍において、排水用通気管7と接続されている。排水用通気弁20は、主として排水枝管4のトラップ封水を保つためのものであり、内部の気圧が大気圧より低下すると(すなわち、負圧になると)と開弁し、外気を吸入する。これにより、排水用通気弁20から排水用通気管7に外気が流れ込み、排水主管5内の急激な圧力低下が抑制される。その結果、排水器具3のトラップ封水が吸引されずに保護され、排水器具3から室内2への臭気の進入を防ぐことができる。
【0031】
次に、排水用通気弁20の構成を説明する。図2は、排水用通気弁20の平面図であり、図3は排水用通気弁20の側面図である。図3に示すように、排水用通気弁20は、本体26と、本体26の上方を覆う略矩形箱形状のカバー21とを備えている。本実施形態では、カバー21は透明性樹脂で形成されている。そのため、カバー21を通じて排水用通気弁20の内部を視認することができ(なお、図2および図3では、内部構造は図示していない)、メンテナンスの必要性を容易に認識することができる。
【0032】
図4は、カバー21を取り外した状態の排水用通気弁20の側面図である。図4に示すように、本体26は、上述した排水用通気管7に接続される接続管22と、カバー21が嵌め込まれるカバー接続部23と、弁座24とを備えている。弁座24の上には、上端部を支点として揺動する弁体25が配置されている。弁体25の上端部の上には第1プレート31が配置され、弁体25の下端部の上には第2プレート32が固定されている。これら第1プレート31と第2プレート32とは、左右の連結棒35によって連結されている(図12参照)。なお、これら弁体25、第1プレート31、第2プレート32、および連結棒35については、後述する。カバー接続部23とカバー21との間にはシールリング27が設けられており、カバー21と本体26とは気密に接続されている。
【0033】
本実施形態では、本体26は樹脂成形されている。すなわち、接続管22とカバー接続部23と弁座24とは、一体的に形成されている。ただし、接続管22とカバー接続部23と弁座24とは、それぞれ別部材で形成され、接着剤等によって接合されていてもよい。
【0034】
弁座24は、側面視が略直角三角形状に形成され、平面視が略長方形状に形成されている(図5参照)。図5および図6(a)に示すように、弁座24の傾斜面には、平面視略長方形状の通気口24bが形成され、通気口24bの周縁部は、弁体25が着座する着座面24aとなっている。着座面24aは、幅方向(図6(a)のY方向)には平坦に形成され、傾斜方向(図6(a)のX方向)には、上方に凸状となるように湾曲している。
【0035】
弁座24の通気口24bの内側には、傾斜方向に沿って延びる5本のリブ24cが設けられている。各リブ24cは、着座面24aと同様に上方に凸となるように湾曲しており、各リブ24cは着座面24aと面一に配置されている。なお、各リブ24cの上側は平坦面に形成されていてもよいが、図6(b)に示すように、上方に向かって先細り形状に形成されていてもよい。これにより、弁体25が閉じられているときに、弁体25と各リブ24cとの接触面積が小さくなる。
【0036】
図6(a)に示すように、弁座24の着座面24aの上端部には、鉛直上方に延びた突起板24dが一体的に形成されている。この突起板24dは、弁体25および第1プレート31が挿通されるものであり、弁体25の上端部と第1プレート31とを保持するものである。突起板24dには、挿通された弁体25および第1プレート31の抜けを防止するための段差24eが設けられている。
【0037】
図7(a)は弁体25の平面図であり、図7(b)は弁体25の側面図である。弁体25は、可撓性を有するシート状部材によって形成されている。本実施形態では、弁体25は、弾性体たるゴムシートによって形成されている。この弁体25は、通気口24bよりも一回り大きな略長方形状に形成されている。図4に示すように、弁体25の上端部は、弁座24の着座面24aの上端部と第1プレート31との間に挟み込まれている。そのため、弁体25は、その上端部を支点として揺動し、いわゆるスイング開閉可能となっている。
【0038】
図7(a),(b)に示すように、弁体25の上端部(図7(a)の右側の端部)の中央部分には、矩形状の開口25aが形成されている。この矩形開口25aには、前述の弁座24の突起板24d(図6(a)参照)が挿通される。したがって、弁体25が弁座24に取り付けられたときには、この矩形開口25aが着座面24aの上端部に位置することになる。
【0039】
また、弁体25の下端部(図7(a)、(b)の左側の端部)には、略円柱状の2つの係合突起部25bが一体的に形成されている。これら係合突起部25bは、弁体25の主面と直交する方向に延びている。これら係合突起部25bは、弁体25と第2プレート32とを固定するためのものである。弁体25が弁座24に取り付けられた際には、これら係合突起部25bは、着座面24aの下端部に位置する。なお、弁体25に係合突起部25bが一体的に形成されていることにより、弁体25の下端部の重量が増加することとなる。
【0040】
図6(b)に示すように、弁体25の係合突起部25bは、リブ24cからずれた位置に配置されている。すなわち、係合突起部25bは、弁体25が弁座24の着座面24aに着座したときに、リブ24cとリブ24cとの間に位置するように配置されている。これにより、弁体25の開閉動作の際に、係合突起部25bとリブ24cとの干渉が防止される。そのため、弁体25が勢いよく開閉されたとしても、開閉動作は安定し、また、異音の発生が防止される。
【0041】
図8(a)は第1プレート31(第2プレート32)の平面図であり、図8(b)はその側面図であり、図8(c)は図8(a)のVIIIc−VIIIc線断面図である。第1プレート31と第2プレート32とは、形状または寸法が異なっていてもよいが、本実施形態では、部品の共通化による設計および製造コストの低減を図るため、第1プレート31と第2プレート32とは、形状および寸法が同一である。そこで、以下においては、両者を併せて説明する。
【0042】
第1プレート31(第2プレート32)は、細長い略薄板形状を有しており、その両端部は上方に向かって起立している。第1プレート31(第2プレート32)の長手方向の中央部分には、平面視矩形状の開口31a(32a)が形成されている。第1プレート31の矩形開口31aには、弁座24の突起板24d(図6(a)参照)が挿通される。一方、第2プレート32の矩形開口32aには、何も挿通されない。
【0043】
図8(c)に示すように、この矩形開口31a(32a)は、長手方向と直交する方向に傾斜するように形成されている。第1プレート31の裏面が弁座24の着座面24aに沿うように、この矩形開口31a(32a)の傾斜角度は、着座面24aの傾斜度合いに合わせて設定されている。
【0044】
矩形開口31a(32a)の長手方向の両側には、平面視円形状の開口31b(32b)がそれぞれ形成されている。第2プレート32の円形開口32bには、弁体25の2つの係合突起部25b(図7参照)がそれぞれ挿通される。一方、第1プレート31の円形開口31bには、何も挿通されない。
【0045】
第1プレート31(第2プレート32)の両端部には、側方に延びた略円柱状の係合突起部31c(32c)がそれぞれ形成されている。係合突起部31c(32c)は、後述する連結棒35と第1プレート31(第2プレート32)とを接続するためのものである。
【0046】
図9(a)は連結棒35の平面図であり、図9(b)はその側面図である。図9(a)、(b)に示すように、連結棒35は幅の細い薄板形状を有しており、連結棒35の両端部は略円盤形状に形成されている。前述したように、この連結棒35は第1プレート31と第2プレート32とを連結するためのものであり、第1プレート31および第2プレート32の両側部にそれぞれ取り付けられる。
【0047】
連結棒35の一端部(図9(a)の右側端部)には、取付孔35aが形成されている。この取付孔35aには、第1プレート31の係合突起部31cが回転自在に挿通される。これにより、連結棒35は、第1プレート31に対して揺動自在に連結される。また、連結棒35の他端部(図9(a)の左側端部)には、取付孔35bが形成されている。この取付孔35bには、第2プレート32の係合突起部32cが挿通される。取付孔35bは長手方向に延びる長孔であり、係合突起部32cは、取付孔35b内において回転自在かつ往復移動自在に支持される。
【0048】
また、図9(b)に示すように、取付孔35bの右側には、突起部35cが形成されている。図12に示すように、この突起部35cは、弁体25を上方から押さえて弁体25の大きな変形を抑制するものである。すなわち、弁体25、第1プレート31、第2プレート32、および連結棒35が組み立てられた状態では、この突起部35cは弁体25の上方に配置される。そして、弁体25の開閉動作の際に弁体25が撓みそうになったときには、この突起部35cによって弁体25が押さえられ、弁体25の大きな撓みや捩れ等が防止される。
【0049】
次に、弁座24の着座面24aの形状について、さらに詳細に説明する。図10は、着座面24aの傾斜状態を示す弁座24の部分断面図(縦断面図)である。図11は、図10のXI−XI線断面図(横断面図)である。図10に示すように、着座面24aは、下端近傍の変曲点Cを境として、湾曲領域Aと平坦領域Bとに分かれている。湾曲領域Aは、弁体25の揺動支点となる上端部近傍から変曲点Cに至るまでの領域であり、傾斜方向(図示X方向)に沿って上方に凸となるように湾曲している。一方、平坦領域Bは、変曲点Cから下端に至るまでの領域であり、平坦な面を形成している。したがって、着座面24aは、上端から下端に向かって、湾曲領域Aでは一定の変化率で傾斜度合いが急になっていくが、変曲点Cを境にして、平坦領域Bでは傾斜度合いが一定となる。
【0050】
より詳しくは、本実施形態では、湾曲領域Aの曲率は一定であり、平坦領域Bは平坦であるので曲率が零である。そのため、着座面24aの曲率は、上端部近傍から下端に向かって、変曲点Cを境として不連続に減少している。ここで、着座面24aの全域を湾曲領域にすると、着座面24aの全体が上方に凸となるように湾曲することとなり、着座面24aの下端部は最も傾斜角度の大きい部分となる。そのため、開弁時に弁体25の下端部は捲り上がりにくくなる。これに対し、本実施形態では、着座面24aの下端部に平坦領域Bを設けた分、弁体25の下端部が捲り上がりやすくなる。また、閉弁時に弁体25の下端部が着座面24aに密着しやすくなる。
【0051】
図11に示すように、着座面24aは、幅方向(Y方向)については平坦である。
【0052】
図12は、第1プレート31、第2プレート32および2つの連結棒35が弁体25に取り付けられている様子を示す平面図である。これら第1プレート31、第2プレート32および連結棒35は、弁体25の形状を保持するフレームを構成している。
【0053】
弁座24に形成された突起板24dは、弁体25の矩形開口25a(図7参照)および第1プレート31の矩形開口31aを貫通している。これにより、弁体25の上端部が、第1プレート31と弁座24との間に挟持された状態で固定されている。また、弁体25の下端部に形成された2つの係合突起部25bは、第2プレート32の円形開口32bに挿通されている。これにより、弁体25と第2プレート32とが固定されている。なお、上述したように、第1プレート31の円形開口31bおよび第2プレートの矩形開口32aには何も挿通されていない。
【0054】
第1プレート31の両側部に形成された係合突起部31cは、2つの連結棒35の各取付孔35aに挿通されている。また、第2プレート32の両側部に形成された係合突起部32cは、2つの連結棒35の各取付孔35bに挿通されている。これにより、第1プレート31と第2プレート32とは、2つの連結棒35を介して連結されている。
【0055】
このように、2つの連結棒35が第1プレート31および第2プレート32に取り付けられた状態では、連結棒35に形成された突起部35cは、それぞれ内側に延びるように配置される。そして、連結棒35の各突起部35cは、弁体25の下端部近傍の両側を上方から押さえつける。
【0056】
次に、弁体25の開閉動作について説明する。図13(a)は、弁体25の閉状態を示す側面図であり、図13(b)は、弁体25の開状態を示す側面図である。図13(b)の符号Fは、弁体25の揺動方向を示している。
【0057】
図13(a)に示すように、閉状態においては、弁体25は弁座24の着座面24aに沿って着座しており、通気口24b(図5参照)は弁体24によって閉鎖される。これにより、排水用通気弁20の内部は気密に保たれている。このとき、長孔である取付孔35bに挿通された第2プレートの係合突起部32cは、取付孔35bの左端部側(図13(a)の左端部側)に位置している。
【0058】
この閉状態のときに、排水器具3(図1参照)の排水が行われ、排水用通気弁20の内部が負圧になると、弁体25は吸引され、第1プレート31によって押さえつけられた部分(固定部分)を支点として揺動する(図13(b)参照)。これにより、通気口24bが開放され、排水用通気弁20を介して排水用通気管7に外気が導入される。その結果、排水主管5内の大幅な圧力低下が抑制される。なお、図13(b)に示すように、開状態においては、弁体25は略水平になるまで開くことができる。
【0059】
この開状態のときには、第2プレート32の係合突起部32cは、取付孔35bの右端部側に移動している。すなわち、本実施形態では、弁体25の開放動作中に、係合突起部32cは、長孔である取付孔35b内を図13(b)の左側から右側へと移動する。逆に、弁体25の閉鎖動作中には、係合突起部32cは、取付孔35b内を右側から左側へと移動する。このように、弁体25の開閉動作に伴って、第2プレート32の係合突起部32cは、連結棒35の取付孔35bの内部を往復移動するので、弁体25の動きが滑らかになる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る排水用通気弁20は、平面視において細長い形状であり、その長手方向に接続管22と通気口24bとが並んで配置されている(図5参照)。具体的には、本実施形態に係る排水用通気弁20は、平面視略長方形状に形成されている。そのため、横幅が短くなっており(なお、縦横比は特に限定されるものではないが、本実施形態では縦横比は2以上に形成されている)、小さなスペースや幅の狭いスペース等にも設置することができる。
【0061】
図14(a)〜(c)は、排水用通気管7および排水用通気弁20の設置状況を示す図である。図14(a)は、排水用通気管7がパイプシャフト内の角部付近に配置されている場合を示している。このように、排水用通気管7が角部付近に配置されていると、従来技術のような形状(図14(a)中、2点鎖線で示す形状)の大型の排水用通気弁100では、その設置スペースがなくなってしまい、設置できなくなる。
【0062】
しかし、本実施形態に係る排水用通気弁20のように、平面視が細長い形状であるとともに、その長手方向に沿って接続管22と通気口24bとが並んで配置されていると、図14(b)に示すように、排水用通気弁20をパイプシャフトの内壁40に沿って設置することができる。なお、このように排水用通気管7が角部付近に配置されている場合、排水用通気管7と接続される接続管22を軸として、排水用通気弁20を横方向(図14(b)中、実線で示す)に配置させることもできるし、縦方向(図14(b)中、2点鎖線で示す)に配置させることもできる。したがって、本排水用通気弁20によれば、パイプシャフトの位置等のレイアウトに柔軟に対応することができる。
【0063】
さらに、図14(c)に示すように、排水用通気弁20の設置スペースが幅狭である場合、従来技術のような形状(図14(c)中、2点鎖線で示す形状)の大型の排水用通気弁100では、パイプシャフトの内壁40と干渉してしまい、設置が不可能である。これに対し、本実施形態に係る排水用通気弁20では、このように幅の狭い設置スペースに対しても、容易に設置することができる。したがって、図1に示すように、壁の裏側等の狭いスペースにも効率的に配置することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る排水用通気弁20によれば、弁座24の着座面24aは、傾斜方向(X方向)に沿って上方に凸となるように湾曲し、幅方向に平坦な形状を有している。そのため、可撓性を有するシート状の弁体25が着座面24aに着座したときに、弁体25と着座面24aとの密着性が良好となる。その結果、弁体25が開いた状態のときに、排水用通気弁20の内部が気密に保持され、外部への空気の流出をより確実に防止することができる。したがって、悪臭の発生をより確実に防止することができる。また、着座面24aと弁体25との密着性が良好となるため、排水用通気管7の管内が負圧になったときに、弁体25を円滑に開放させることが可能となる。
【0065】
本実施形態では、排水用通気弁20の本体26は、樹脂成形によって製作されている。ここで、樹脂成形品では、熱収縮等が原因となり、高度な品質管理を行わなければ平坦面を形成することが難しい。ところが、本排水用通気弁20では、弁座24の着座面24aは、全体としては湾曲面である。したがって、着座面24aを平坦面に形成する必要がないので、樹脂成形によって簡易かつ安価に製造することができる。
【0066】
また、本実施形態では、弁体25の下端部に係合突起部25bが一体的に形成されており、これにより、弁体25の下端部の重量が増加している。そのため、弁体25と弁座24の着座面24aとが密着しやすい。また、弁体25のスイング動作が安定するので、排水用通気弁20の内部が負圧になったときに、弁体25が滑らかに開放する。さらに、弁体25と弁座24とが安定して密着するので、排水用通気弁20が多少傾いたりしても、弁体25が弁座24から離脱し難い。なお、弁体25の重りは係合突起部25bに限らず、第2プレート32と係合しないものであってもよい。
【0067】
また、本実施形態では、弁体25の上端部および下端部を第1プレート31および第2プレート32によりそれぞれ固定し、第1プレート31および第2プレート32を、2つの連結棒35で連結した。そのため、弁体25の形状をより確実に保つことができる。したがって、開閉動作の際に、弁体25が撓んだり捩じれてしまうことを、より確実に防止することができる。なお、第2プレート32は、弁体25の重りとしても機能する。したがって、前述の理由により、弁体25の開閉動作をより安定化させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、連結棒35の取付孔35bが長孔にて形成されており、第2プレート32の係合突起部32cは、取付孔35b内で往復移動が可能となっている。そのため、弁体25の開閉動作に伴って第2プレート32の係合突起部32cが往復移動することにより、弁体25の動きを滑らかにすることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態では、弁座24の着座面24aの下端部に平坦領域Bが形成されている。そのため、弁体25が着座面24aに着座している状態で、弁体25が捲くれ上がりやすくなる。その結果、弁体25の初動時の動きが滑らかになり、弁体25をスムーズに開放させることが可能となる。また、弁体25が閉じる際に、弁体25の下端部が着座面24aに密着しやすくなる。したがって、弁体25をスムーズに閉鎖させることが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、通気弁24bの内側には、傾斜方向に掛け渡されたリブ24cが設けられている。そのため、弁体25が着座した際に、リブ24cによって弁体25を支持することができる。したがって、弁体25の開閉動作を安定化させることができる。また、リブ24cによって弁座24を補強することが可能となる。さらに、リブ24cがフィルターの役割を果たし、外部から大きなゴミ等が浸入することを防止することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、リブ24cは傾斜方向に沿って延びていたが、リブ24cは他の方向(例えば、幅方向)に延びていてもよい。リブ24cの本数は特に限定されない。また、リブ24cは格子状に形成されていてもよい。
【0072】
図6(b)に示すように、リブ24cの横断面は、上方に向かって先細り状に形成されている。これにより、弁体25とリブ24cとの接触面積が小さくなり、弁体25の開閉動作をより円滑化することができる。
【0073】
また、本実施形態では、排水用通気弁20は、一対の弁体25および弁座24を備えていた。すなわち、本実施形態の排水用通気弁20では、弁体25および弁座24は、それぞれ一つずつ設けられていた。そのため、弁体および弁座をそれぞれ複数備えている排水用通気弁と比較して、メンテナンス性に優れている。また、弁体および弁座をそれぞれ複数備えている排水用通気弁と比較して、小型化しやすくなる。そのため、比較的小さいスペースにも設置可能であり、収納性に優れている。
【0074】
ただし、本発明において、弁体および弁座の個数はそれぞれ1つに限定される訳ではない。本発明に係る排水用通気弁は、弁体および弁座を複数備えていてもよい。平面視において、一対の弁体および弁座は接続管22の片側にのみ設けられていてもよいが、接続管22の両側(本体26の長手方向の両側)にそれぞれ設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、本発明は、排水用通気管に接続される排水用通気弁について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施形態に係る排水用通気弁の施工状態を示す図である。
【図2】排水用通気弁の平面図である。
【図3】排水用通気弁の側面図である。
【図4】カバーを取り外した状態の排水用通気弁を示す側面図である。
【図5】カバーを取り外した状態の排水用通気弁を示す平面図である。
【図6】(a)は弁座の斜視図であり、(b)は(a)のVIb−VIb線断面図である。
【図7】(a)は弁体の平面図であり、(b)はその側面図である。
【図8】(a)は第1プレートの平面図であり、(b)はその側面図であり、(c)は(a)のVIIIc−VIIIc線断面図である。
【図9】(a)は連結棒の平面図であり、(b)はその側面図である。
【図10】着座面を示す弁座の縦断面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】第1プレート、第2プレートおよび連結棒が弁体に取り付けられている様子を示す平面図である。
【図13】(a)は弁体の閉状態を示す側面図であり、(b)は弁体の開状態を示す側面図である。
【図14】(a)〜(c)は、排水用通気管および排水用通気弁の設置状況を示す平面図である。
【符号の説明】
【0077】
7 排水用通気管
20 排水用通気弁
21 カバー
22 接続管
24 弁座
24a 着座面
24b 通気口
24c リブ
25 弁体
31 第1プレート
32 第2プレート
35 連結棒
F 揺動方向
X 傾斜方向
Y 幅方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水用通気管に接続され、管内が負圧になったときに自動的に開弁して空気を取り入れる排水用通気弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マンション、オフィスビル等の建築物において、便器、キッチン、浴槽等の排水器具は、排水枝管を介して排出主管に接続されている。通常、排水枝管には、室内に悪臭が入り込まないようにトラップが設けられている。
【0003】
これらの排水器具から排出される排水は、排水枝管から排水主管に集約されながら流れていく。ところで、排水主管に水が流れる際に、管内圧力の急激な変動が生じ、管内圧力が一時的に大気圧より大幅に低くなる場合がある。このような場合には、排水枝管のトラップ封水が吸引され、トラップの機能が失われてしまうおそれがある。そのため、従来から、管内圧力の急激な低下を防止することを目的として、排水主管に排水用通気管が接続されている。
【0004】
排水用通気管は、排水主管の圧力が大幅に低下したときに外部から空気を取り入れるための配管であり、排水用通気管の先端部には排水用通気弁が取り付けられている。排水用通気弁は、内部が負圧になると自動的に開弁し、排水用通気管に空気を導入する。排水用通気管に空気が導入されると、内部の圧力変動が緩和され、上記トラップが良好な状態に保たれる。
【0005】
この種の排水用通気弁として、例えば下記特許文献1に示すように、上方に向かって広がるように略漏斗状に傾斜した環壁を備え、この環壁に複数の弁口が周状に配設された通気弁が知られている。この排水用通気弁は、各弁口を開閉する略扇板状の複数の弁体を備えている。各弁体は、合成ゴム等の弾性材料からなり、その上端部が環壁に固定され、上端部を支点としてスイング開閉するように構成されている。上記環壁の各弁口の周囲は弁座となり、弁体が閉鎖状態のときに弁体の周囲部分と密着する。
【特許文献1】特開平10−103549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された排水用通気弁では、排水用通気管に接続される接続口部は、環壁の中心側に形成されていた。言い換えると、環壁は接続口部の周囲を取り囲むように形成されており、弁体および弁座は、平面視において、接続口部から径方向外向きに広がるように配置されていた。そのため、上記排水用通気弁は、接続口部と比べて相当大型化していた。したがって、上記排水用通気弁は、小さなスペースや幅の細いスペースに設置することが困難であった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小さなスペースや幅の狭いスペース等にも設置できる排水用通気弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排水用通気弁は、排水用通気管に接続され、当該排水用通気管内が負圧になると自動的に開弁して前記排水用通気管内に空気を導入する排水用通気弁であって、平面視において所定方向に細長い形状に形成され、前記排水用通気管と接続される接続口部と空気を導入する通気口とが形成された本体と、前記通気口の周囲を囲む傾斜した着座面を有する弁座と、上端部が前記弁座に固定されるとともに、当該弁座との固定部分を支点として揺動することによって開閉し、閉弁時に前記着座面に着座する弁体とを備え、平面視において前記接続口部と前記通気口とが前記所定方向に並んでいるものである。
【0009】
なお、上記の「細長い形状」とは、一方向の長さが他の方向の長さよりも長い形状を意味するのであり、それらの長さの比を限定するものではない。したがって、正方形や円形などは除外されるが、その他の形状、例えば長方形状(長辺方向の長さが短辺方向の長さよりも僅かに長い形状も含まれる)や長円形状等は、ここでいう「細長い形状」に含まれる。
【0010】
上記排水用通気弁によれば、平面視において接続口部と通気口とが所定方向に並んでいるので、当該所定方向と直交する方向の長さ(以下、幅方向という)は短い。そのため、小さなスペースや幅の狭いスペースにも容易に設置することができる。
【0011】
前記排水用通気弁において、前記弁座の着座面は、前記弁体の揺動方向と直交する幅方向には平坦に形成され、前記幅方向と直交する傾斜方向の少なくとも一部においては、上方に凸状となるように湾曲していることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、弁座の着座面は、幅方向(弁体の揺動方向と直交する方向)に関しては平坦に形成され、傾斜方向の少なくとも一部においては、上方に凸状となるように湾曲している。そのため、弁体が着座したときに、弁体と弁座との間の密着性が向上する。したがって、弁体が閉じているときに、空気の漏れをより確実に防止することができる。また、弁体の開閉動作を円滑化することができる。
【0013】
なお、一般的に、樹脂成形品では、熱収縮等が原因となり、平坦面(幅方向および傾斜方向のいずれにおいても平坦な面)を形成することが難しい。ところが、上記排水用通気弁では、弁座の着座面は、幅方向には平らであるが、傾斜方向には湾曲しており、全体としては湾曲面である。したがって、着座面を平坦面に形成する必要がないので、樹脂成形によって簡易かつ安価に製造することができる。
【0014】
前記弁体は、可撓性を有するシート状に形成されていることが好ましい。
【0015】
このことにより、弁体と弁座との間のシール性が高度に確保される。
【0016】
また、前記排水用通気弁において、上記弁体の下端部には重りが設けられていることが好ましい。
【0017】
弁体の下端部(揺動の支点と反対側の端部)の重量が増加すると、弁体の開閉がより一層円滑化されるからである。なお、重りは弁体と一体的に形成されていてもよく(弁体の一部分が重りになっていてもよく)、弁体と別体に形成されていてもよい。
【0018】
また、前記排水用通気弁は、前記弁体の上端部の上側に配置され、前記弁座とともに前記弁体の上端部を狭持することによって前記弁体の上端部を前記弁座に固定する第1プレートと、前記弁体の下端部の上側に固定された第2プレートと、前記第1プレートに揺動自在に係合し、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結する連結棒と、を備えていることが好ましい。
【0019】
これにより、第1プレート、第2プレートおよび連結棒によって、弁体の形状を保持するフレームが構成され、弁体が開閉動作する際に捩じれてしまうことをより確実に防止することができるからである。
【0020】
また、前記排水用通気弁において、前記第2プレートには、前記幅方向に突出する突起部が形成され、前記連結棒には、前記第2プレートの前記突起部が挿通される取付孔が形成され、前記取付孔は、前記突起部が往復移動可能な長孔であることが好ましい。
【0021】
弁体の開閉動作に伴って、第2プレートの突起部が連結棒の取付孔内を往復移動することにより、可撓性を有する弁体の動きが滑らかになるからである。
【0022】
また、前記弁座の着座面の下端部における前記傾斜方向の曲率は、当該下端部よりも上側の前記傾斜方向の曲率よりも小さいことが好ましい。
【0023】
これにより、着座面の下端部における傾斜度合いが比較的緩やかになる。そのため、弁体の下端部が捲くれ上がりやすくなり、弁体の開動作がスムーズになる。また、弁体の下端部が着座面と密着しやすくなり、弁体の閉動作もスムーズになる。
【0024】
また、前記排水用通気弁において、前記弁座の前記通気口の内側には、前記傾斜方向に沿って延びるリブが設けられていることが好ましい。
【0025】
上記リブによって、着座した弁体を支持することができるとともに、弁座を補強することができるからである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、小さなスペースや幅の狭いスペースにも容易に設置することができる排水用通気弁を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1は、実施形態に係る排水用通気弁20の施工状態の一例を示す図である。本例では、排水用通気弁20は、パイプシャフト8内における排水器具(図1では排水器具の一例としてトイレを図示)3の裏側(図中、左側)の近傍に配置されている。パイプシャフト8の内部は、幅の狭いスペースとなっている。排水器具3は、建物1の室内2に設置されている。この排水器具3は、排水枝管4を介して排水主管5に接続されている。図示は省略するが、排水枝管4にはトラップが設けられている。なお、排水枝管4および排水主管5は、建物1の床下6に配置されている。
【0029】
排水主管5にはT字状のチーズ9が取り付けられており、このチーズ9の上端に排水用通気管7が接続されている。排水用通気管7は、チーズ9からパイプシャフト8内を通って上方に延びている。
【0030】
本実施形態に係る排水用通気弁20は、パイプシャフト8内における排水器具3の裏側近傍において、排水用通気管7と接続されている。排水用通気弁20は、主として排水枝管4のトラップ封水を保つためのものであり、内部の気圧が大気圧より低下すると(すなわち、負圧になると)と開弁し、外気を吸入する。これにより、排水用通気弁20から排水用通気管7に外気が流れ込み、排水主管5内の急激な圧力低下が抑制される。その結果、排水器具3のトラップ封水が吸引されずに保護され、排水器具3から室内2への臭気の進入を防ぐことができる。
【0031】
次に、排水用通気弁20の構成を説明する。図2は、排水用通気弁20の平面図であり、図3は排水用通気弁20の側面図である。図3に示すように、排水用通気弁20は、本体26と、本体26の上方を覆う略矩形箱形状のカバー21とを備えている。本実施形態では、カバー21は透明性樹脂で形成されている。そのため、カバー21を通じて排水用通気弁20の内部を視認することができ(なお、図2および図3では、内部構造は図示していない)、メンテナンスの必要性を容易に認識することができる。
【0032】
図4は、カバー21を取り外した状態の排水用通気弁20の側面図である。図4に示すように、本体26は、上述した排水用通気管7に接続される接続管22と、カバー21が嵌め込まれるカバー接続部23と、弁座24とを備えている。弁座24の上には、上端部を支点として揺動する弁体25が配置されている。弁体25の上端部の上には第1プレート31が配置され、弁体25の下端部の上には第2プレート32が固定されている。これら第1プレート31と第2プレート32とは、左右の連結棒35によって連結されている(図12参照)。なお、これら弁体25、第1プレート31、第2プレート32、および連結棒35については、後述する。カバー接続部23とカバー21との間にはシールリング27が設けられており、カバー21と本体26とは気密に接続されている。
【0033】
本実施形態では、本体26は樹脂成形されている。すなわち、接続管22とカバー接続部23と弁座24とは、一体的に形成されている。ただし、接続管22とカバー接続部23と弁座24とは、それぞれ別部材で形成され、接着剤等によって接合されていてもよい。
【0034】
弁座24は、側面視が略直角三角形状に形成され、平面視が略長方形状に形成されている(図5参照)。図5および図6(a)に示すように、弁座24の傾斜面には、平面視略長方形状の通気口24bが形成され、通気口24bの周縁部は、弁体25が着座する着座面24aとなっている。着座面24aは、幅方向(図6(a)のY方向)には平坦に形成され、傾斜方向(図6(a)のX方向)には、上方に凸状となるように湾曲している。
【0035】
弁座24の通気口24bの内側には、傾斜方向に沿って延びる5本のリブ24cが設けられている。各リブ24cは、着座面24aと同様に上方に凸となるように湾曲しており、各リブ24cは着座面24aと面一に配置されている。なお、各リブ24cの上側は平坦面に形成されていてもよいが、図6(b)に示すように、上方に向かって先細り形状に形成されていてもよい。これにより、弁体25が閉じられているときに、弁体25と各リブ24cとの接触面積が小さくなる。
【0036】
図6(a)に示すように、弁座24の着座面24aの上端部には、鉛直上方に延びた突起板24dが一体的に形成されている。この突起板24dは、弁体25および第1プレート31が挿通されるものであり、弁体25の上端部と第1プレート31とを保持するものである。突起板24dには、挿通された弁体25および第1プレート31の抜けを防止するための段差24eが設けられている。
【0037】
図7(a)は弁体25の平面図であり、図7(b)は弁体25の側面図である。弁体25は、可撓性を有するシート状部材によって形成されている。本実施形態では、弁体25は、弾性体たるゴムシートによって形成されている。この弁体25は、通気口24bよりも一回り大きな略長方形状に形成されている。図4に示すように、弁体25の上端部は、弁座24の着座面24aの上端部と第1プレート31との間に挟み込まれている。そのため、弁体25は、その上端部を支点として揺動し、いわゆるスイング開閉可能となっている。
【0038】
図7(a),(b)に示すように、弁体25の上端部(図7(a)の右側の端部)の中央部分には、矩形状の開口25aが形成されている。この矩形開口25aには、前述の弁座24の突起板24d(図6(a)参照)が挿通される。したがって、弁体25が弁座24に取り付けられたときには、この矩形開口25aが着座面24aの上端部に位置することになる。
【0039】
また、弁体25の下端部(図7(a)、(b)の左側の端部)には、略円柱状の2つの係合突起部25bが一体的に形成されている。これら係合突起部25bは、弁体25の主面と直交する方向に延びている。これら係合突起部25bは、弁体25と第2プレート32とを固定するためのものである。弁体25が弁座24に取り付けられた際には、これら係合突起部25bは、着座面24aの下端部に位置する。なお、弁体25に係合突起部25bが一体的に形成されていることにより、弁体25の下端部の重量が増加することとなる。
【0040】
図6(b)に示すように、弁体25の係合突起部25bは、リブ24cからずれた位置に配置されている。すなわち、係合突起部25bは、弁体25が弁座24の着座面24aに着座したときに、リブ24cとリブ24cとの間に位置するように配置されている。これにより、弁体25の開閉動作の際に、係合突起部25bとリブ24cとの干渉が防止される。そのため、弁体25が勢いよく開閉されたとしても、開閉動作は安定し、また、異音の発生が防止される。
【0041】
図8(a)は第1プレート31(第2プレート32)の平面図であり、図8(b)はその側面図であり、図8(c)は図8(a)のVIIIc−VIIIc線断面図である。第1プレート31と第2プレート32とは、形状または寸法が異なっていてもよいが、本実施形態では、部品の共通化による設計および製造コストの低減を図るため、第1プレート31と第2プレート32とは、形状および寸法が同一である。そこで、以下においては、両者を併せて説明する。
【0042】
第1プレート31(第2プレート32)は、細長い略薄板形状を有しており、その両端部は上方に向かって起立している。第1プレート31(第2プレート32)の長手方向の中央部分には、平面視矩形状の開口31a(32a)が形成されている。第1プレート31の矩形開口31aには、弁座24の突起板24d(図6(a)参照)が挿通される。一方、第2プレート32の矩形開口32aには、何も挿通されない。
【0043】
図8(c)に示すように、この矩形開口31a(32a)は、長手方向と直交する方向に傾斜するように形成されている。第1プレート31の裏面が弁座24の着座面24aに沿うように、この矩形開口31a(32a)の傾斜角度は、着座面24aの傾斜度合いに合わせて設定されている。
【0044】
矩形開口31a(32a)の長手方向の両側には、平面視円形状の開口31b(32b)がそれぞれ形成されている。第2プレート32の円形開口32bには、弁体25の2つの係合突起部25b(図7参照)がそれぞれ挿通される。一方、第1プレート31の円形開口31bには、何も挿通されない。
【0045】
第1プレート31(第2プレート32)の両端部には、側方に延びた略円柱状の係合突起部31c(32c)がそれぞれ形成されている。係合突起部31c(32c)は、後述する連結棒35と第1プレート31(第2プレート32)とを接続するためのものである。
【0046】
図9(a)は連結棒35の平面図であり、図9(b)はその側面図である。図9(a)、(b)に示すように、連結棒35は幅の細い薄板形状を有しており、連結棒35の両端部は略円盤形状に形成されている。前述したように、この連結棒35は第1プレート31と第2プレート32とを連結するためのものであり、第1プレート31および第2プレート32の両側部にそれぞれ取り付けられる。
【0047】
連結棒35の一端部(図9(a)の右側端部)には、取付孔35aが形成されている。この取付孔35aには、第1プレート31の係合突起部31cが回転自在に挿通される。これにより、連結棒35は、第1プレート31に対して揺動自在に連結される。また、連結棒35の他端部(図9(a)の左側端部)には、取付孔35bが形成されている。この取付孔35bには、第2プレート32の係合突起部32cが挿通される。取付孔35bは長手方向に延びる長孔であり、係合突起部32cは、取付孔35b内において回転自在かつ往復移動自在に支持される。
【0048】
また、図9(b)に示すように、取付孔35bの右側には、突起部35cが形成されている。図12に示すように、この突起部35cは、弁体25を上方から押さえて弁体25の大きな変形を抑制するものである。すなわち、弁体25、第1プレート31、第2プレート32、および連結棒35が組み立てられた状態では、この突起部35cは弁体25の上方に配置される。そして、弁体25の開閉動作の際に弁体25が撓みそうになったときには、この突起部35cによって弁体25が押さえられ、弁体25の大きな撓みや捩れ等が防止される。
【0049】
次に、弁座24の着座面24aの形状について、さらに詳細に説明する。図10は、着座面24aの傾斜状態を示す弁座24の部分断面図(縦断面図)である。図11は、図10のXI−XI線断面図(横断面図)である。図10に示すように、着座面24aは、下端近傍の変曲点Cを境として、湾曲領域Aと平坦領域Bとに分かれている。湾曲領域Aは、弁体25の揺動支点となる上端部近傍から変曲点Cに至るまでの領域であり、傾斜方向(図示X方向)に沿って上方に凸となるように湾曲している。一方、平坦領域Bは、変曲点Cから下端に至るまでの領域であり、平坦な面を形成している。したがって、着座面24aは、上端から下端に向かって、湾曲領域Aでは一定の変化率で傾斜度合いが急になっていくが、変曲点Cを境にして、平坦領域Bでは傾斜度合いが一定となる。
【0050】
より詳しくは、本実施形態では、湾曲領域Aの曲率は一定であり、平坦領域Bは平坦であるので曲率が零である。そのため、着座面24aの曲率は、上端部近傍から下端に向かって、変曲点Cを境として不連続に減少している。ここで、着座面24aの全域を湾曲領域にすると、着座面24aの全体が上方に凸となるように湾曲することとなり、着座面24aの下端部は最も傾斜角度の大きい部分となる。そのため、開弁時に弁体25の下端部は捲り上がりにくくなる。これに対し、本実施形態では、着座面24aの下端部に平坦領域Bを設けた分、弁体25の下端部が捲り上がりやすくなる。また、閉弁時に弁体25の下端部が着座面24aに密着しやすくなる。
【0051】
図11に示すように、着座面24aは、幅方向(Y方向)については平坦である。
【0052】
図12は、第1プレート31、第2プレート32および2つの連結棒35が弁体25に取り付けられている様子を示す平面図である。これら第1プレート31、第2プレート32および連結棒35は、弁体25の形状を保持するフレームを構成している。
【0053】
弁座24に形成された突起板24dは、弁体25の矩形開口25a(図7参照)および第1プレート31の矩形開口31aを貫通している。これにより、弁体25の上端部が、第1プレート31と弁座24との間に挟持された状態で固定されている。また、弁体25の下端部に形成された2つの係合突起部25bは、第2プレート32の円形開口32bに挿通されている。これにより、弁体25と第2プレート32とが固定されている。なお、上述したように、第1プレート31の円形開口31bおよび第2プレートの矩形開口32aには何も挿通されていない。
【0054】
第1プレート31の両側部に形成された係合突起部31cは、2つの連結棒35の各取付孔35aに挿通されている。また、第2プレート32の両側部に形成された係合突起部32cは、2つの連結棒35の各取付孔35bに挿通されている。これにより、第1プレート31と第2プレート32とは、2つの連結棒35を介して連結されている。
【0055】
このように、2つの連結棒35が第1プレート31および第2プレート32に取り付けられた状態では、連結棒35に形成された突起部35cは、それぞれ内側に延びるように配置される。そして、連結棒35の各突起部35cは、弁体25の下端部近傍の両側を上方から押さえつける。
【0056】
次に、弁体25の開閉動作について説明する。図13(a)は、弁体25の閉状態を示す側面図であり、図13(b)は、弁体25の開状態を示す側面図である。図13(b)の符号Fは、弁体25の揺動方向を示している。
【0057】
図13(a)に示すように、閉状態においては、弁体25は弁座24の着座面24aに沿って着座しており、通気口24b(図5参照)は弁体24によって閉鎖される。これにより、排水用通気弁20の内部は気密に保たれている。このとき、長孔である取付孔35bに挿通された第2プレートの係合突起部32cは、取付孔35bの左端部側(図13(a)の左端部側)に位置している。
【0058】
この閉状態のときに、排水器具3(図1参照)の排水が行われ、排水用通気弁20の内部が負圧になると、弁体25は吸引され、第1プレート31によって押さえつけられた部分(固定部分)を支点として揺動する(図13(b)参照)。これにより、通気口24bが開放され、排水用通気弁20を介して排水用通気管7に外気が導入される。その結果、排水主管5内の大幅な圧力低下が抑制される。なお、図13(b)に示すように、開状態においては、弁体25は略水平になるまで開くことができる。
【0059】
この開状態のときには、第2プレート32の係合突起部32cは、取付孔35bの右端部側に移動している。すなわち、本実施形態では、弁体25の開放動作中に、係合突起部32cは、長孔である取付孔35b内を図13(b)の左側から右側へと移動する。逆に、弁体25の閉鎖動作中には、係合突起部32cは、取付孔35b内を右側から左側へと移動する。このように、弁体25の開閉動作に伴って、第2プレート32の係合突起部32cは、連結棒35の取付孔35bの内部を往復移動するので、弁体25の動きが滑らかになる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る排水用通気弁20は、平面視において細長い形状であり、その長手方向に接続管22と通気口24bとが並んで配置されている(図5参照)。具体的には、本実施形態に係る排水用通気弁20は、平面視略長方形状に形成されている。そのため、横幅が短くなっており(なお、縦横比は特に限定されるものではないが、本実施形態では縦横比は2以上に形成されている)、小さなスペースや幅の狭いスペース等にも設置することができる。
【0061】
図14(a)〜(c)は、排水用通気管7および排水用通気弁20の設置状況を示す図である。図14(a)は、排水用通気管7がパイプシャフト内の角部付近に配置されている場合を示している。このように、排水用通気管7が角部付近に配置されていると、従来技術のような形状(図14(a)中、2点鎖線で示す形状)の大型の排水用通気弁100では、その設置スペースがなくなってしまい、設置できなくなる。
【0062】
しかし、本実施形態に係る排水用通気弁20のように、平面視が細長い形状であるとともに、その長手方向に沿って接続管22と通気口24bとが並んで配置されていると、図14(b)に示すように、排水用通気弁20をパイプシャフトの内壁40に沿って設置することができる。なお、このように排水用通気管7が角部付近に配置されている場合、排水用通気管7と接続される接続管22を軸として、排水用通気弁20を横方向(図14(b)中、実線で示す)に配置させることもできるし、縦方向(図14(b)中、2点鎖線で示す)に配置させることもできる。したがって、本排水用通気弁20によれば、パイプシャフトの位置等のレイアウトに柔軟に対応することができる。
【0063】
さらに、図14(c)に示すように、排水用通気弁20の設置スペースが幅狭である場合、従来技術のような形状(図14(c)中、2点鎖線で示す形状)の大型の排水用通気弁100では、パイプシャフトの内壁40と干渉してしまい、設置が不可能である。これに対し、本実施形態に係る排水用通気弁20では、このように幅の狭い設置スペースに対しても、容易に設置することができる。したがって、図1に示すように、壁の裏側等の狭いスペースにも効率的に配置することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る排水用通気弁20によれば、弁座24の着座面24aは、傾斜方向(X方向)に沿って上方に凸となるように湾曲し、幅方向に平坦な形状を有している。そのため、可撓性を有するシート状の弁体25が着座面24aに着座したときに、弁体25と着座面24aとの密着性が良好となる。その結果、弁体25が開いた状態のときに、排水用通気弁20の内部が気密に保持され、外部への空気の流出をより確実に防止することができる。したがって、悪臭の発生をより確実に防止することができる。また、着座面24aと弁体25との密着性が良好となるため、排水用通気管7の管内が負圧になったときに、弁体25を円滑に開放させることが可能となる。
【0065】
本実施形態では、排水用通気弁20の本体26は、樹脂成形によって製作されている。ここで、樹脂成形品では、熱収縮等が原因となり、高度な品質管理を行わなければ平坦面を形成することが難しい。ところが、本排水用通気弁20では、弁座24の着座面24aは、全体としては湾曲面である。したがって、着座面24aを平坦面に形成する必要がないので、樹脂成形によって簡易かつ安価に製造することができる。
【0066】
また、本実施形態では、弁体25の下端部に係合突起部25bが一体的に形成されており、これにより、弁体25の下端部の重量が増加している。そのため、弁体25と弁座24の着座面24aとが密着しやすい。また、弁体25のスイング動作が安定するので、排水用通気弁20の内部が負圧になったときに、弁体25が滑らかに開放する。さらに、弁体25と弁座24とが安定して密着するので、排水用通気弁20が多少傾いたりしても、弁体25が弁座24から離脱し難い。なお、弁体25の重りは係合突起部25bに限らず、第2プレート32と係合しないものであってもよい。
【0067】
また、本実施形態では、弁体25の上端部および下端部を第1プレート31および第2プレート32によりそれぞれ固定し、第1プレート31および第2プレート32を、2つの連結棒35で連結した。そのため、弁体25の形状をより確実に保つことができる。したがって、開閉動作の際に、弁体25が撓んだり捩じれてしまうことを、より確実に防止することができる。なお、第2プレート32は、弁体25の重りとしても機能する。したがって、前述の理由により、弁体25の開閉動作をより安定化させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、連結棒35の取付孔35bが長孔にて形成されており、第2プレート32の係合突起部32cは、取付孔35b内で往復移動が可能となっている。そのため、弁体25の開閉動作に伴って第2プレート32の係合突起部32cが往復移動することにより、弁体25の動きを滑らかにすることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態では、弁座24の着座面24aの下端部に平坦領域Bが形成されている。そのため、弁体25が着座面24aに着座している状態で、弁体25が捲くれ上がりやすくなる。その結果、弁体25の初動時の動きが滑らかになり、弁体25をスムーズに開放させることが可能となる。また、弁体25が閉じる際に、弁体25の下端部が着座面24aに密着しやすくなる。したがって、弁体25をスムーズに閉鎖させることが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、通気弁24bの内側には、傾斜方向に掛け渡されたリブ24cが設けられている。そのため、弁体25が着座した際に、リブ24cによって弁体25を支持することができる。したがって、弁体25の開閉動作を安定化させることができる。また、リブ24cによって弁座24を補強することが可能となる。さらに、リブ24cがフィルターの役割を果たし、外部から大きなゴミ等が浸入することを防止することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、リブ24cは傾斜方向に沿って延びていたが、リブ24cは他の方向(例えば、幅方向)に延びていてもよい。リブ24cの本数は特に限定されない。また、リブ24cは格子状に形成されていてもよい。
【0072】
図6(b)に示すように、リブ24cの横断面は、上方に向かって先細り状に形成されている。これにより、弁体25とリブ24cとの接触面積が小さくなり、弁体25の開閉動作をより円滑化することができる。
【0073】
また、本実施形態では、排水用通気弁20は、一対の弁体25および弁座24を備えていた。すなわち、本実施形態の排水用通気弁20では、弁体25および弁座24は、それぞれ一つずつ設けられていた。そのため、弁体および弁座をそれぞれ複数備えている排水用通気弁と比較して、メンテナンス性に優れている。また、弁体および弁座をそれぞれ複数備えている排水用通気弁と比較して、小型化しやすくなる。そのため、比較的小さいスペースにも設置可能であり、収納性に優れている。
【0074】
ただし、本発明において、弁体および弁座の個数はそれぞれ1つに限定される訳ではない。本発明に係る排水用通気弁は、弁体および弁座を複数備えていてもよい。平面視において、一対の弁体および弁座は接続管22の片側にのみ設けられていてもよいが、接続管22の両側(本体26の長手方向の両側)にそれぞれ設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、本発明は、排水用通気管に接続される排水用通気弁について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施形態に係る排水用通気弁の施工状態を示す図である。
【図2】排水用通気弁の平面図である。
【図3】排水用通気弁の側面図である。
【図4】カバーを取り外した状態の排水用通気弁を示す側面図である。
【図5】カバーを取り外した状態の排水用通気弁を示す平面図である。
【図6】(a)は弁座の斜視図であり、(b)は(a)のVIb−VIb線断面図である。
【図7】(a)は弁体の平面図であり、(b)はその側面図である。
【図8】(a)は第1プレートの平面図であり、(b)はその側面図であり、(c)は(a)のVIIIc−VIIIc線断面図である。
【図9】(a)は連結棒の平面図であり、(b)はその側面図である。
【図10】着座面を示す弁座の縦断面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】第1プレート、第2プレートおよび連結棒が弁体に取り付けられている様子を示す平面図である。
【図13】(a)は弁体の閉状態を示す側面図であり、(b)は弁体の開状態を示す側面図である。
【図14】(a)〜(c)は、排水用通気管および排水用通気弁の設置状況を示す平面図である。
【符号の説明】
【0077】
7 排水用通気管
20 排水用通気弁
21 カバー
22 接続管
24 弁座
24a 着座面
24b 通気口
24c リブ
25 弁体
31 第1プレート
32 第2プレート
35 連結棒
F 揺動方向
X 傾斜方向
Y 幅方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水用通気管に接続され、当該排水用通気管内が負圧になると自動的に開弁して前記排水用通気管内に空気を導入する排水用通気弁であって、
平面視において所定方向に細長い形状に形成され、前記排水用通気管と接続される接続口部と空気を導入する通気口とが形成された本体と、
前記通気口の周囲を囲む傾斜した着座面を有する弁座と、
上端部が前記弁座に固定されるとともに、当該弁座との固定部分を支点として揺動することによって開閉し、閉弁時に前記着座面に着座する弁体と、を備え、
平面視において前記接続口部と前記通気口とが前記所定方向に並んでいる排水用通気弁。
【請求項2】
前記弁座の着座面は、前記弁体の揺動方向と直交する幅方向には平坦に形成され、前記幅方向と直交する傾斜方向の少なくとも一部においては、上方に凸状となるように湾曲している、請求項1に記載の排水用通気弁。
【請求項3】
前記弁体は、可撓性を有するシート状に形成されている、請求項1または2に記載の排水用通気弁。
【請求項4】
前記弁体の下端部に重りが設けられている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の排水用通気弁。
【請求項5】
前記弁体の上端部の上側に配置され、前記弁座とともに前記弁体の上端部を狭持することによって前記弁体の上端部を前記弁座に固定する第1プレートと、
前記弁体の下端部の上側に固定された第2プレートと、
前記第1プレートに揺動自在に係合し、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結する連結棒と、を備えている請求項1〜4のいずれか一つに記載の排水用通気弁。
【請求項6】
前記第2プレートには、前記幅方向に突出する突起部が形成され、
前記連結棒には、前記第2プレートの前記突起部が挿通される取付孔が形成され、
前記取付孔は、前記突起部が往復移動可能な長孔である、請求項5に記載の排水用通気弁。
【請求項7】
前記弁座の着座面の下端部における前記傾斜方向の曲率は、当該下端部よりも上側の前記傾斜方向の曲率よりも小さい、請求項1〜6のいずれか1つに記載の排水用通気弁。
【請求項8】
前記弁座の前記通気口の内側には、前記傾斜方向に沿って延びるリブが設けられている、請求項1〜7のいずれか1つに記載の排水用通気弁。
【請求項1】
排水用通気管に接続され、当該排水用通気管内が負圧になると自動的に開弁して前記排水用通気管内に空気を導入する排水用通気弁であって、
平面視において所定方向に細長い形状に形成され、前記排水用通気管と接続される接続口部と空気を導入する通気口とが形成された本体と、
前記通気口の周囲を囲む傾斜した着座面を有する弁座と、
上端部が前記弁座に固定されるとともに、当該弁座との固定部分を支点として揺動することによって開閉し、閉弁時に前記着座面に着座する弁体と、を備え、
平面視において前記接続口部と前記通気口とが前記所定方向に並んでいる排水用通気弁。
【請求項2】
前記弁座の着座面は、前記弁体の揺動方向と直交する幅方向には平坦に形成され、前記幅方向と直交する傾斜方向の少なくとも一部においては、上方に凸状となるように湾曲している、請求項1に記載の排水用通気弁。
【請求項3】
前記弁体は、可撓性を有するシート状に形成されている、請求項1または2に記載の排水用通気弁。
【請求項4】
前記弁体の下端部に重りが設けられている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の排水用通気弁。
【請求項5】
前記弁体の上端部の上側に配置され、前記弁座とともに前記弁体の上端部を狭持することによって前記弁体の上端部を前記弁座に固定する第1プレートと、
前記弁体の下端部の上側に固定された第2プレートと、
前記第1プレートに揺動自在に係合し、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結する連結棒と、を備えている請求項1〜4のいずれか一つに記載の排水用通気弁。
【請求項6】
前記第2プレートには、前記幅方向に突出する突起部が形成され、
前記連結棒には、前記第2プレートの前記突起部が挿通される取付孔が形成され、
前記取付孔は、前記突起部が往復移動可能な長孔である、請求項5に記載の排水用通気弁。
【請求項7】
前記弁座の着座面の下端部における前記傾斜方向の曲率は、当該下端部よりも上側の前記傾斜方向の曲率よりも小さい、請求項1〜6のいずれか1つに記載の排水用通気弁。
【請求項8】
前記弁座の前記通気口の内側には、前記傾斜方向に沿って延びるリブが設けられている、請求項1〜7のいずれか1つに記載の排水用通気弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−255513(P2007−255513A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78989(P2006−78989)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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