説明

採鉱作業情報収集システム及び収集方法

【課題】固定的な通信インフラの構築が難しい鉱山の採鉱場所から情報を効率的に収集するシステムの構築。
【解決手段】採鉱場所P1にある採鉱用重機10は、採鉱情報取得手段11と、採鉱情報を無線にて送信する採鉱情報送信手段12とを備える。前記採鉱場所で採鉱された鉱石を積み込んで処理場P2へ運搬する運搬用重機20は、運搬情報取得手段21と、前記採鉱情報送信手段から送信された採鉱情報を受信する採鉱情報受信手段22と、取得された運搬情報及び受信された採鉱情報とを採鉱作業情報として蓄積する採鉱作業情報蓄積手段23と、採鉱作業情報を無線にて送信する採鉱作業情報送信手段24とを含む。送信された前記採鉱作業情報を前記処理場内または処理場外に配置された情報収集装置30で受信する。このようにして、採鉱場所と固定的な通信インフラの構築が可能な処理場とを往復する運搬用重機を仲介にして採鉱作業情報を伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は採鉱作業情報収集システムに関し、特に固定的な通信インフラ無しで情報を収集できる採鉱作業情報収集システム及び収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
採鉱作業に関連する情報を収集する公知技術としては、例えば特許文献1に開示された採鉱方法がある。この採鉱方法では、採鉱場所に配置された穿孔機が発破用の孔を穿孔した後、孔に火薬を装填して発破し、砕かれた鉱石を積込ショベルでダンプトラックに積み込む作業が行われる。これらの作業に際して、穿孔機、積込ショベルはそれぞれ基地局との間で通信を行い、鉱石の品位等の分布マップを作成しながら採鉱作業が行われる。
【0003】
一方、鉱山における定型作業として、鉱石等の産出物を採鉱場所から処理場まで運搬するという業務がある。本業務の作業管理を行うためには、採鉱位置、採鉱機器(採鉱用重機)、運搬機器(運搬用重機)、運搬開始時刻、運搬終了時刻、処理機器等の各種情報を収集する必要がある。
【0004】
このような各種情報を収集するために、採鉱作業を実施する重機から情報を蓄積する装置に各種情報を伝達する必要があり、通常、無線通信システムが用いられる。しかしながら、各種情報を蓄積する装置のある処理場の事務所は、通常、採鉱場所から遠く離れており、採鉱場所から発信した無線電波が直接届く距離には無いことが多い。また、距離以外に地形の影響で採鉱場所からの無線電波が届かないケースも多い。携帯電話網等の大規模な広域インフラを活用すれば直接の通信も可能と思われるが、大規模な自主設備の投資もしくは通信料の負担が必要となるため、現実的には採用困難である。
【0005】
鉱山の重機がデータ通信を行う際には、無線LAN(802.11b、802.11g)が広範囲に使用されている。しかしながら、無線LANを使って採鉱場所から処理場の事務所にデータを送信するには採鉱場所と事務所がそれぞれ無線LANに接続できる状態におかれている必要があり、全ての採鉱場所付近に無線LANのアクセスポイントを設置する必要がある。つまり、採鉱場所と処理場の事務所が遠く離れている場合には、アドホックモードによる通信は期待できず、インフラストラクチャモードが必須となる。
【0006】
しかしながら、採鉱場所は日々変化し、カバーすべきエリアが変動する上に、鉱山の形状自体も採鉱により変化するため、固定的な無線LANのアクセスポイントを適切に配置し続けることは事実上難しい。
【0007】
【特許文献1】特開2000−204872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、これまでの採鉱情報収集方法の問題点は、採鉱場所と処理場の事務所との通信を確保する適切な方法が無いということにある。その理由は、採鉱場所付近が固定的な通信インフラの設置に適しないためである。
【0009】
そこで、本発明の目的は、採鉱場所における固定的な通信インフラ無しで採鉱作業情報を収集できる採鉱作業情報収集システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による採鉱作業情報収集システムは、採鉱場所に配置され採鉱に関する採鉱情報を取得する採鉱情報取得手段と、前記採鉱場所に配置され前記採鉱情報取得手段で取得された前記採鉱情報を無線にて送信する採鉱情報送信手段と、前記採鉱場所で採鉱された鉱石を積み込んで前記採鉱場所から離れた処理場へ運搬する運搬用機器に備えられ運搬に関する運搬情報を取得する運搬情報取得手段と、前記運搬用機器に備えられ前記採鉱情報送信手段から送信された前記採鉱情報を受信する採鉱情報受信手段と、前記運搬用機器に備えられ前記運搬情報取得手段で取得された前記運搬情報及び前記採鉱情報受信手段で受信された前記採鉱情報とを採鉱作業情報として蓄積する蓄積手段と、前記運搬用機器に備えられ前記蓄積手段に蓄積されている前記採鉱作業情報を無線にて送信する採鉱作業情報送信手段とを含み、該採鉱作業情報送信手段から送信された前記採鉱作業情報を前記処理場内または処理場外に配置された情報収集装置で受信するようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明による採鉱作業情報収集システムにおいては、前記採鉱情報取得手段及び採鉱情報送信手段は前記採鉱場所で採鉱を行う採鉱用機器に備えられ、該採鉱用機器から前記運搬用機器への鉱石の積込作業の際に前記採鉱情報送信手段から前記採鉱情報受信手段へ前記採鉱情報が送信される。
【0012】
本発明による採鉱作業情報収集システムにおいてはまた、前記採鉱情報取得手段は前記採鉱情報として少なくとも採鉱位置、採鉱時刻、採鉱担当者名、採鉱重機ID、採鉱量を取得する一方、前記運搬情報取得手段は前記運搬情報として少なくとも運搬開始/終了位置、運搬開始/終了時刻、運搬担当者名、運搬重機ID、運搬量を取得する。
【0013】
本発明による採鉱作業情報収集システムにおいてはさらに、前記運搬情報取得手段は、前記鉱石の積込作業に際して前記運搬開始位置、運搬開始時刻、運搬担当者名、運搬重機ID、運搬量を取得し、前記処理場において前記運搬終了位置、運搬終了時刻に加えてさらに運搬先情報を追加取得し、前記採鉱情報送信手段は前記処理場での鉱石の積み下ろしに際して前記蓄積手段に蓄積されている前記採鉱作業情報に前記追加取得した運搬情報を合わせてトータル採鉱作業情報として送信する。
【0014】
本発明による採鉱作業情報収集システムにおいては、前記採鉱情報取得手段は前記採鉱位置、採鉱時刻を取得するためにGPSを含み、前記運搬情報取得手段も前記運搬開始/終了位置、運搬開始/終了時刻を取得するために別のGPSを含むようにしても良い。
【0015】
本発明による採鉱作業情報収集システムにおいてはさらに、前記採鉱場所から離れた処理場を複数設定すると共に、各処理場には異なるIDを付与された少なくとも1つの無線アクセスポイントを鉱石の積み下ろし場所に設定し、これら複数の無線アクセスポイントと前記情報収集装置との間を有線または無線ネットワークで接続し、前記運搬用機器は、鉱石の積み下ろし場所における前記無線アクセスポイントのIDを認識しこれを前記運搬情報取得手段にて前記搬送先情報として取得し、当該無線アクセスポイント経由で前記情報収集装置へ前記トータル採鉱作業情報を送信するようにしても良い。
【0016】
本発明によればまた、採鉱場所に配置された採鉱用機器において採鉱に関する採鉱情報を取得する第1のステップと、前記第1のステップで取得された前記採鉱情報を無線にて送信する第2のステップと、前記採鉱場所で採鉱された鉱石を積み込んで前記採鉱場所から離れた処理場へ運搬する運搬用機器において運搬に関する運搬情報を取得する第3のステップと、前記運搬用機器において前記第2のステップで送信された前記採鉱情報を受信する第4のステップと、前記運搬用機器において前記第3のステップで取得された前記運搬情報及び前記第4のステップで受信された前記採鉱情報とを採鉱作業情報として蓄積手段に蓄積する第5のステップと、前記運搬用機器において前記蓄積手段に蓄積されている前記採鉱作業情報を前記処理場で無線にて送信する第6のステップとを含み、該第6のステップで送信された前記採鉱作業情報を前記処理場内または処理場外に配置された情報収集装置で受信するようにしたことを特徴とする採鉱作業情報収集方法が提供される。
【0017】
本採鉱作業情報収集方法においては、前記採鉱情報は少なくとも採鉱位置、採鉱時刻、採鉱担当者名、採鉱重機ID、採鉱量を含む一方、前記運搬情報は少なくとも運搬開始/終了位置、運搬開始/終了時刻、運搬担当者名、運搬重機ID、運搬量を含み、前記採鉱用機器から前記運搬用機器への鉱石の積込作業の際に前記第2のステップを実行することが望ましい。
【0018】
本採鉱作業情報収集方法においてはまた、前記鉱石の積込作業に際して前記運搬開始位置、運搬開始時刻、運搬担当者名、運搬重機ID、運搬量を取得し、前記処理場において前記運搬終了位置、運搬終了時刻に加えてさらに運搬先情報を追加取得し、前記処理場での鉱石の積み下ろしに際して前記蓄積手段に蓄積されている前記採鉱作業情報に前記追加取得した運搬情報を合わせてトータル採鉱作業情報として送信するようにしても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、採鉱場所における固定的な通信インフラ無しで採鉱作業情報を収集できる。その理由は、運搬用機器に採鉱作業情報の運搬機能を持たせたからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明を、鉱石等の採鉱場所、特に露天掘りによる採鉱場所における採鉱作業情報を、採鉱場所から離れた場所にある鉱石等の処理場内あるいは処理場外にある事務所において収集するシステムに適用した実施形態を示す。
【0022】
採鉱場所P1においては、ショベルカーのような採鉱用重機(採鉱用機器)10、ダンプカーのような運搬用重機(運搬用機器)20が採鉱作業、運搬作業をそれぞれ実施する。便宜上、採鉱用重機10、運搬用重機20はそれぞれ1台のみ図示しているが、これらは1台とは限らない。また、採鉱場所P1で採鉱された鉱石は運搬用重機20により処理場P2に運搬されるが、処理場も1個所とは限らない。
【0023】
採鉱用重機10は、少なくとも採鉱位置、採鉱時刻、採鉱担当者名、採鉱重機ID(Identification Data)、採鉱量を含む採鉱情報を取得する採鉱情報取得手段11、及び取得した採鉱情報を無線にて送信する採鉱情報送信手段12を備えている。採鉱位置は、後述するGPS(Global Positioning System)等の手段により得ることができ、採鉱時刻はGPSのほか、計時機能により得ることもできる。また、採鉱担当者名及び採鉱重機IDは、例えば採鉱用重機10の運転者により運転席に設けられた入力部から入力され、採鉱量は採鉱用重機10に備えられた計測機器により得られる。採鉱担当者名及び採鉱重機IDは採鉱情報取得手段11内のメモリに保存されており、採鉱位置、採鉱時刻等の情報もこのメモリに一時的に保存されても良い。
【0024】
運搬用重機20は、少なくとも運搬開始/終了位置、運搬開始/終了時刻、運搬担当者名、運搬重機ID、運搬量を含む運搬情報を取得する運搬情報取得手段21、採鉱用重機10における採鉱情報送信手段12からの採鉱情報を受信する採鉱情報受信手段22、採鉱情報受信手段22からの採鉱情報及び運搬情報取得手段21からの運搬情報を蓄積する採鉱作業情報蓄積手段23のほか、無線による採鉱作業情報送信手段24を備えている。ここでは、運搬開始というのは運搬用重機20への鉱石の積込開始を意味し、運搬終了というのは処理場において鉱石の積み下ろし開始を意味するものとする。運搬開始/終了位置もGPS等の手段により得ることができ、運搬開始/終了時刻はGPSや計時機能等により得ることができる。運搬担当者名及び運搬重機IDは、例えば運搬用重機20の運転者により運転席に設けられた入力部から入力され、運搬量は運搬用重機20に備えられた計測機器により得られる。運搬担当者名及び運搬重機IDは運搬情報取得手段21内のメモリに保存されており、運搬開始/終了位置、運搬開始/終了時刻等の情報もこのメモリに一時的に保存されても良い。
【0025】
採鉱場所P1において、採鉱用重機10は採鉱作業を開始すると採鉱情報の取得を開始し、運搬用重機20も運搬作業を開始すると運搬情報の取得を開始する。取得された採鉱情報は、例えば運搬用重機20による運搬開始時に採鉱情報送信手段12から送信され、採鉱情報受信手段22によって受信される。運搬開始時には運搬用重機20は採鉱用重機10の近傍にあるので、確実な無線通信が可能である。このようにして収集された採鉱情報/運搬情報はまとめて採鉱作業情報として採鉱作業情報蓄積手段23に蓄積される。
【0026】
採鉱用重機10からの鉱石の積込みを終了した運搬用重機20は、蓄積された採鉱作業情報を保持した状態で採鉱場所P1を離れ、鉱石の処理場P2まで鉱石を運搬する。処理場P2に示されている運搬用重機は採鉱場所P1から移動してきた運搬用重機であるが、便宜上、同じ構成要素の参照番号にはダッシュを付けている。処理場P2内あるいは処理場P2外には採鉱作業を管理する事務所(もしくは出張所)があり、この事務所は情報収集装置30を備えるほか、後述するように情報収集装置30への無線通信を実現する無線ネットワークインフラが構築されている。処理場P2まで移動した運搬用重機20’は、運搬情報取得手段21’により運搬終了位置、運搬終了時刻、処理場を示す運搬先情報等の運搬情報を追加で取得した後、採鉱場所P1で収集した採鉱作業情報と処理場P2にて追加取得した運搬情報とを合わせたトータル採鉱作業情報を、採鉱作業情報送信手段24’を用いて情報収集装置30に送信する。情報収集装置30は、採鉱作業情報受信手段31で受信したトータル採鉱作業情報をメモリ32に蓄積する。
【0027】
以上のような手順を繰り返し実施することで、採鉱作業情報は情報収集装置30により作業の進捗に合わせる形で収集、蓄積され、短スパンの作業内容の管理や作業内容の見直しに活用することが可能となる。例えば、事務所内あるいはそこから離れた場所にあってオンラインで結ばれている管理センターでは、メモリ32に蓄積されているトータル採鉱作業情報を用いて採鉱作業の管理や運搬作業の管理、及び作業従事者への作業指示を行うことができる。
【0028】
[実施例]
次に、図2を参照して、本発明の具体的な実施例について説明する。図2においても、便宜上、採鉱用重機110、運搬用重機120はそれぞれ1台のみ図示しているが、これらは1台とは限らず、処理場も1個所とは限らない。
【0029】
図2に示すように、採鉱場所P1にある採鉱用重機110は、図1に示された採鉱情報取得手段11として、採鉱位置と採鉱時刻を取得するためのGPS111−1を含む採鉱情報取得手段111を備えており、図1に示された採鉱情報送信手段12として無線通信機112を備えている。運搬用重機120も同様に、図1に示された運搬情報取得手段21として、運搬開始/終了位置と運搬開始/終了時刻を取得するためのGPS121−1を含む運搬情報取得手段121を備えており、図1に示されている採鉱情報受信手段22及び採鉱作業情報送信手段24として無線通信機122を備えている。運搬用重機120はまた、図1に示されている採鉱作業情報蓄積手段23としてメモリ123を備えている。
【0030】
運搬用重機120は、採鉱用重機110に近接した状態で鉱石の積込作業を開始し、運搬開始位置、運搬開始時刻、運搬担当者名、運搬重機IDを取得するとともに、運搬量等の運搬情報の取得を開始する。取得した運搬情報はメモリ123に蓄積される。積込作業開始は運搬用重機120にて手動もしくは自動で認識され、もっとも近傍にある採鉱用重機を鉱石の積込みを実施している採鉱用重機として認識し、該当する採鉱用重機に採鉱情報の送信を要求する。この送信要求には採鉱用重機のIDが付されることは言うまでも無いが、手動の場合には、運搬用重機120の運転者により採鉱用重機が認識され、その採鉱重機IDが入力される。一方、自動認識の場合、下記のような方法が採用される。
【0031】
鉱石の積込作業開始時に運搬用重機120の運転手が運転席のあらかじめ定められたボタンを押す。この時点で運搬用重機120の無線通信機122が周りにいる(通信範囲内にいる)全ての採鉱用重機に運搬用重機120からの電波の受信電界強度を申告するようメッセージを送信する。本メッセージを受信した各採鉱用重機の無線通信機は、自身のIDを付加して受信電界強度を示す信号を返信する。運搬用重機120の無線通信機122は一定時間回答を待ち、受信した複数の電界強度を示すメッセージの中からもっとも強い受信電界強度を申告してきた採鉱用重機のIDを積込作業の相手先として認識する。なお、採鉱用重機からの受信電界強度に加えて、運搬用重機120にて返信メッセージを受信した際の受信電界強度も考慮に入れるようにしても良い。つまり、採鉱用重機からの受信電界強度と返信メッセージを受信した際の受信電界強度との平均値に基づいて積込作業の相手先を認識するようにしても良い。
【0032】
なお、上記の受信電界強度を利用した自動認識方式に代えて、GPSの位置情報による計算を利用した自動認識方式を採用しても良い。例えば、上記と同様の方法で、通信範囲内にある全ての採鉱用重機に位置情報の返信をもとめ、受信した位置情報の中で最近接のものを積込作業の相手先として認識する。
【0033】
採鉱情報としては、GPS111−1により取得した採鉱位置、採鉱時刻のほか、採鉱担当者名、採鉱重機ID、採鉱量等が採鉱情報取得手段111内のメモリに保存されており、採鉱情報の送信を要求された採鉱用重機110がこの採鉱情報を、無線通信機112により採鉱情報の送信を要求した運搬用重機120に送信する。運搬用重機120から送信される送信要求には、自己のIDを含むほか、前述したように送信を要求する採鉱用重機110のIDを含む。また、採鉱用重機110から送信される採鉱情報にも自己のIDが付されるほか、送信を要求した採鉱用重機110のIDが付されることは言うまでも無い。
【0034】
採鉱用重機110からの採鉱情報を受信した運搬用重機120は、受信した採鉱情報をメモリ123に蓄積する。メモリ123には、前述したように、自身が取得した運搬情報として運搬開始位置、運搬開始時刻、運搬担当者名、運搬重機IDが蓄積されており、その他の運搬情報として運搬量が取得され、これもメモリ123に蓄積される。
【0035】
積込作業が終了すると採鉱情報、運搬情報の取得も完了しており、運搬用重機120は鉱石運搬のために移動を開始する。その後、鉱石の処理場P2に到着した運搬用重機120’は鉱石を積み下ろす。鉱石の積み下ろしを開始する時点で、運搬用重機120’の運搬情報取得手段121は運搬情報を追加取得する。追加取得する運搬情報は、GPS121−1により取得した運搬終了位置、運搬終了時刻、積み下ろし先の無線アクセスポイントのID等である。
【0036】
ここで、図3を参照して積み下ろし先の無線アクセスポイントについて説明する。図3では、処理場として複数の処理場1、処理場2(図2の処理場P2とする)、処理場3が示され、各処理場の鉱石積み下ろし場所に1つの無線アクセスポイントが設定されている。無線アクセスポイントは1つの処理場に複数個所あっても良いが、各無線アクセスポイントには異なるIDが付与される。図3では、処理場1の無線アクセスポイントにID「101」が、処理場2の無線アクセスポイントにID「102」が、処理場3の無線アクセスポイントにID「103」がそれぞれ付与されている。各無線アクセスポイントは、処理場外にある事務所内の情報収集装置130に有線ネットワークを介して接続されているが、有線ネットワークに代えて無線ネットワーク構成とされても良い。
【0037】
運搬用重機120’の無線通信機123’は、前述した採鉱用重機の自動認識と同様の方法で、積み下ろし先の無線アクセスポイントのIDを自動認識する。この認識も、前述したように、運搬用重機120’の運転者により手動で指定されても良いし、各無線アクセスポイントからの位置情報とGPSによる自己の位置情報とに基づいてもっとも近接した無線アクセスポイントを自動認識するようにしても良い。認識された無線アクセスポイントのIDは運搬情報取得手段121’において運搬先情報として取得される。
【0038】
いずれにしても、処理場P2での鉱石の積み下ろし開始時に、運搬用重機120’は、採鉱場所P1で収集した採鉱作業情報に、処理場P2で追加取得した運搬情報を加えたトータル採鉱作業情報を処理場P2の無線アクセスポイント(ID「102」)を経由して情報収集装置130に送信する。鉱石の積み下ろし開始は運搬用重機120’にて手動もしくは自動で認識される。積み下ろし作業が行われる処理場P2と情報収集装置130の間には有線または無線による固定的なネットワークが構成されており、情報の通信が可能となっている。
【0039】
このような形で鉱石の積み下ろしが行われる度に、該当する鉱石の採鉱作業情報、処理場に関する情報が収集される。これらの採鉱作業情報、処理場に関する情報を、事務所内あるいは事務所から離れオンラインで結ばれている管理センターで管理することにより、採鉱作業の管理及び見直しを短い時間スパンで実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、鉱山における採鉱作業情報の収集、管理といった用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明による採鉱作業情報収集システムの実施形態を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明による採鉱作業情報収集システムの具体的な実施例を示す構成図である。
【図3】図3は、運搬用重機と鉱石の処理場及び情報収集装置との関係を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
P1 採鉱場所
P2 処理場
10、110 採鉱用重機
20、20’、120、120’ 運搬用重機
30、130 情報収集装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採鉱場所に配置され採鉱に関する採鉱情報を取得する採鉱情報取得手段と、
前記採鉱場所に配置され前記採鉱情報取得手段で取得された前記採鉱情報を無線にて送信する採鉱情報送信手段と、
前記採鉱場所で採鉱された鉱石を積み込んで前記採鉱場所から離れた処理場へ運搬する運搬用機器に備えられ運搬に関する運搬情報を取得する運搬情報取得手段と、
前記運搬用機器に備えられ前記採鉱情報送信手段から送信された前記採鉱情報を受信する採鉱情報受信手段と、
前記運搬用機器に備えられ前記運搬情報取得手段で取得された前記運搬情報及び前記採鉱情報受信手段で受信された前記採鉱情報とを採鉱作業情報として蓄積する蓄積手段と、
前記運搬用機器に備えられ前記蓄積手段に蓄積されている前記採鉱作業情報を無線にて送信する採鉱作業情報送信手段とを含み、
該採鉱作業情報送信手段から送信された前記採鉱作業情報を前記処理場内または処理場外に配置された情報収集装置で受信するようにしたことを特徴とする採鉱作業情報収集システム。
【請求項2】
前記採鉱情報取得手段及び採鉱情報送信手段は前記採鉱場所で採鉱を行う採鉱用機器に備えられ、
該採鉱用機器から前記運搬用機器への鉱石の積込作業の際に前記採鉱情報送信手段から前記採鉱情報受信手段へ前記採鉱情報が送信されることを特徴とする請求項1に記載の採鉱作業情報収集システム。
【請求項3】
前記採鉱情報取得手段は前記採鉱情報として少なくとも採鉱位置、採鉱時刻、採鉱担当者名、採鉱重機ID、採鉱量を取得する一方、前記運搬情報取得手段は前記運搬情報として少なくとも運搬開始/終了位置、運搬開始/終了時刻、運搬担当者名、運搬重機ID、運搬量を取得することを特徴とする請求項2に記載の採鉱作業情報収集システム。
【請求項4】
前記運搬情報取得手段は、前記鉱石の積込作業に際して前記運搬開始位置、運搬開始時刻、運搬担当者名、運搬重機ID、運搬量を取得し、前記処理場において前記運搬終了位置、運搬終了時刻に加えてさらに運搬先情報を追加取得し、
前記採鉱情報送信手段は前記処理場での鉱石の積み下ろしに際して前記蓄積手段に蓄積されている前記採鉱作業情報に前記追加取得した運搬情報を合わせてトータル採鉱作業情報として送信することを特徴とする請求項2または3に記載の採鉱作業情報収集システム。
【請求項5】
前記採鉱情報取得手段は前記採鉱位置、採鉱時刻を取得するためにGPSを含み、前記運搬情報取得手段も前記運搬開始/終了位置、運搬開始/終了時刻を取得するために別のGPSを含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の採鉱作業情報収集システム。
【請求項6】
前記採鉱場所から離れた処理場が複数設定されると共に、各処理場には異なるIDを付与された少なくとも1つの無線アクセスポイントが鉱石の積み下ろし場所に設定され、
これら複数の無線アクセスポイントと前記情報収集装置との間が有線または無線ネットワークで接続され、
前記運搬用機器は、鉱石の積み下ろし場所における前記無線アクセスポイントのIDを認識しこれを前記運搬情報取得手段にて前記搬送先情報として取得し、当該無線アクセスポイント経由で前記情報収集装置へ前記トータル採鉱作業情報を送信することを特徴とする請求項4に記載の採鉱作業情報収集システム。
【請求項7】
採鉱場所に配置された採鉱用機器において採鉱に関する採鉱情報を取得する第1のステップと、
前記第1のステップで取得された前記採鉱情報を無線にて送信する第2のステップと、
前記採鉱場所で採鉱された鉱石を積み込んで前記採鉱場所から離れた処理場へ運搬する運搬用機器において運搬に関する運搬情報を取得する第3のステップと、
前記運搬用機器において前記第2のステップで送信された前記採鉱情報を受信する第4のステップと、
前記運搬用機器において前記第3のステップで取得された前記運搬情報及び前記第4のステップで受信された前記採鉱情報とを採鉱作業情報として蓄積手段に蓄積する第5のステップと、
前記運搬用機器において前記蓄積手段に蓄積されている前記採鉱作業情報を前記処理場で無線にて送信する第6のステップとを含み、
該第6のステップで送信された前記採鉱作業情報を前記処理場内または処理場外に配置された情報収集装置で受信するようにしたことを特徴とする採鉱作業情報収集方法。
【請求項8】
前記採鉱情報は少なくとも採鉱位置、採鉱時刻、採鉱担当者名、採鉱重機ID、採鉱量を含む一方、前記運搬情報は少なくとも運搬開始/終了位置、運搬開始/終了時刻、運搬担当者名、運搬重機ID、運搬量を含み、
前記採鉱用機器から前記運搬用機器への鉱石の積込作業の際に前記第2のステップが実行されることを特徴とする請求項7に記載の採鉱作業情報収集方法。
【請求項9】
前記鉱石の積込作業に際して前記運搬開始位置、運搬開始時刻、運搬担当者名、運搬重機ID、運搬量を取得し、前記処理場において前記運搬終了位置、運搬終了時刻に加えてさらに運搬先情報を追加取得し、
前記処理場での鉱石の積み下ろしに際して前記蓄積手段に蓄積されている前記採鉱作業情報に前記追加取得した運搬情報を合わせてトータル採鉱作業情報として送信することを特徴とする請求項8に記載の採鉱作業情報収集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−115554(P2008−115554A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297725(P2006−297725)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】