説明

接点ピンの接続構造及び接点ピンの接続方法

【課題】接点ピンと導電パターンとの電気的な接続を確実に行うことができる接点ピンの接続構造及び接点ピンの接続方法を提供する。
【解決手段】接点ピンの接続構造は、導電性材料からなる中空の接点ピンと、接点ピンの中空部分のうち、少なくとも接点ピンの一方の端部に面する中空部分に充填された導電性ペーストと、接点ピンの一方の端部で、導電性ペーストを介して接点ピンと電気的に接続された導電パターンと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点ピンを導電パターンと電気的に接続するための接点ピンの接続構造及び接続方法に関する。特に、接点ピンを2次元的な導電パターンと電気的に接続するための接点ピンの接続構造及び接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接点ピンと導電パターンとの電気的な接続では、導電パターンが露出した状態の場合には、接点ピン又は導電パターンに導電性ペースト、例えば銀ペーストを塗布し、両者を接触させて電気的に接続させることができる。
【0003】
一方、導電パターンの表面を絶縁層で覆って、導電パターン中の一部と接点ピンとを電気的に接続する場合には、絶縁層に導電パターンに達する孔を設けておき、接点ピンを孔に挿入して導電パターンと電気的に接続する。この場合、孔の中にあらかじめ銀ペーストを挿入しておき、接点ピンを孔に挿入して銀ペーストを介して接点ピンと導電パターンとを電気的に接続させる場合や、接点ピンを絶縁層に設けた孔に挿入した後、孔に銀ペーストを注入して、接点ピンと導電パターンとを電気的に接続させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−206792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記いずれの場合でも導電パターンと銀ペーストとの間、あるいは、銀ペーストと接点ピンとの間にエアー(空気)が溜まり、導通不良を発生しやすいという問題があった。また特に、接点ピンを絶縁層に設けた孔に挿入した場合には、エアーが溜まりやすく、導通不良を発生しやすい。さらに、孔と接点ピンの径サイズが小径になると銀ペーストを注入し難くなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、接点ピンと導電パターンとの電気的な接続を確実に行うことができる接点ピンの接続構造及び接点ピンの接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る接点ピンの接続構造は、導電性材料からなる中空の接点ピンと、
前記接点ピンの中空部分のうち、少なくとも前記接点ピンの一方の端部に面する中空部分に充填された導電性ペーストと、
前記接点ピンの前記一方の端部で、前記導電性ペーストを介して前記接点ピンと電気的に接続された導電パターンと、
を備える。
【0008】
上記第1態様において、前記導電パターンは、2次元的な導電パターンであってもよい。また、前記接点ピンは、前記導電パターンの上に設けられた絶縁層に形成された孔に挿入され、前記孔の底で前記接点ピンと前記導電パターンとが前記導電性ペーストを介して電気的に接続されていてもよい。
【0009】
本発明の第2態様に係る接点ピンの接続方法は、
(a)導電性材料からなる中空の接点ピンを用意するステップと、
(b)前記接点ピンの一端をディスペンサーの先端に取り付けるステップと、
(c)前記ディスペンサーの内部を減圧し、前記接点ピンの中空部分を減圧して、導電性ペーストを接点ピンの中空部分に吸い込むステップと、
(d)前記接点ピンの他端を、導電パターンの上に設けた絶縁層に形成された孔に挿入するステップと、
(e)前記ディスペンサーの内部を加圧し、前記接点ピンの中空部分を加圧して、前記接点ピンの中空部分に吸い込んだ導電性ペーストを前記絶縁層に形成された前記孔の中に注入するステップと、
(f)前記導電性ペーストを硬化させて、硬化した導電性ペーストを介して前記接点ピンと前記導電パターンとの電気的接続を得るステップと、
を含む。
【0010】
本発明の第3態様に係る接点ピンの接続方法は、
(a)導電性材料からなる中空の接点ピンを用意するステップと、
(b)導電性ペーストを満たしたディスペンサーを用意するステップと、
(c)前記接点ピンの一端を前記ディスペンサーの先端に取り付けるステップと、
(d)前記ディスペンサーの内部を加圧して、前記ディスペンサーの内部の導電性ペーストを前記接点ピンの中空部分に注入するステップと、
(e)前記接点ピンの他端を、導電パターンの上に設けた絶縁層に形成された孔に挿入するステップと、
(f)前記ディスペンサーの内部をさらに加圧して、前記接点ピンの中空部分から前記絶縁層に形成された前記孔の中に前記導電性ペーストを注入するステップと、
(g)前記導電性ペーストを硬化させて、硬化した導電性ペーストを介して前記接点ピンと前記導電パターンとの電気的接続を得るステップと、
を含む、接点ピンの接続方法。
【0011】
本発明の第4態様に係る接点ピンの接続方法は、
(a)導電性材料からなる中空の接点ピンを用意するステップと、
(b)前記接点ピンの一端をディスペンサーの先端に取り付けるステップと、
(c)導電パターンの上に設けた絶縁層に形成された孔の中に導電性ペーストを注入するステップと、
(d)前記接点ピンの他端を、前記絶縁層に形成された前記孔に挿入するステップと、
(e)前記ディスペンサーの内部を減圧し、前記接点ピンの中空部分を減圧して、前記孔の中の導電性ペーストを接点ピンの中空部分に吸い込むステップと、
(f)前記導電性ペーストを硬化させて、硬化した導電性ペーストを介して前記接点ピンと前記導電パターンとの電気的接続を得るステップと、
を含む、接点ピンの接続方法。
【0012】
上記第2態様から第4態様に係る接点ピンの接続方法において、前記絶縁層は、前記導電パターンの上に接着剤によって接着されていると共に、前記導電性ペーストは、前記接着剤を溶解可能な溶剤を含んでもよい。これにより、前記孔の中に前記導電性ペーストを注入するステップによって、前記導電性ペーストに含まれる前記溶剤によって前記孔の底の接着剤を溶解して、前記導電性ペーストが前記導電パターンに達し、その後、硬化した導電性ペーストを介して前記接点ピンと前記導電パターンとの電気的接続を得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る接点ピンの接続構造及び接続方法によれば、接点ピンの中空部分に満たした銀ペーストを孔に注入する、あるいは、孔に満たした銀ペーストを接点ピンの中空部分に吸い込むことによって、孔と接点ピンの形状が極小になっても銀ペーストを注入できる。また、導電パターンと銀ペーストとの間や、銀ペーストと接点ピンとの間のエアーの溜まりを確実に排除でき、接点不良の問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1に係る接点ピンの接続構造を示す概略断面図である。
【図2】(a)は、実施の形態1の変形例1に係る接点ピンの接続構造の平面図であり、(b)は、(a)のa−a線に沿った断面図であり、(c)は、(a)のb−b線に沿った断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、実施の形態1に係る接点ピンの接続方法のフロー図である。
【図4】(a)〜(c)は、実施の形態2に係る接点ピンの接続方法のフロー図である。
【図5】(a)〜(d)は、実施の形態3に係る接点ピンの接続方法のフロー図である。
【図6】(a)及び(b)は、実施の形態4に係る接点ピンの接続方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る接点ピンの接続構造及び接続方法について、添付図面を用いて以下に説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材は、同一の符号を付している。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る接点ピンの接続構造10を示す概略断面図である。この接点ピンの接続構造では、導電性材料からなる中空の接点ピン2が導電パターン6の上の絶縁層8に設けられた孔9に挿入され、接点ピン2が導電パターン6に電気的に接続されている。この接点ピン2の接続構造では、接点ピン2の中空部分のうち、接点ピン2の一方の端部に面する中空部分に導電性ペースト4として、例えば銀ペーストが充填されている。また、接点ピン2は、一方の端部で、銀ペースト4を介して導電パターン6と電気的に接続されている。なお、ベースフィルム5上に導電パターン6が設けられ、更に導電パターン6上に設けられる絶縁層8は射出成形樹脂によるものであって、射出された溶融樹脂の熱と圧力により、導電パターン層6が絶縁層と接着性を有する場合、接着剤を用いることなく導電パターン6と絶縁層8とを密着させることができる。また、導電パターン6の上に設けた絶縁層8に形成された孔9の底に、接点ピン2を支持するピン支持部11を設けてもよい。この場合、ピン支持部11は必ずしも設ける必要はない。
【0017】
図2(a)は、実施の形態1の変形例1に係る接点ピンの接続構造10aの平面図であり、b)は、(a)のa−a線に沿った断面図であり、(c)は、(a)のb−b線に沿った断面図である。この変形例1の接点ピンの接続構造では、図1と比較すると、導電パターン6と絶縁層8との間に接着剤層7を設けている点で相違する。また、図2(a)の平面図と図2(c)のb−b線に沿った断面図に示すように、孔9の底に導電性ペースト4を導く際に空気を逃がす空気抜き溝3を設けている点で相違する。なお、孔9の底で接着剤層7をパターンで抜いて導電パターン6を露出させてもよい。あるいは、後述する実施の形態4に示すように、導電性ペースト4に接着剤層7を溶解する溶剤を含ませることによって接着剤層7を溶解して、孔9の底に導電パターン6を露出させてもよい。
【0018】
この接点ピンの接続構造10、10aによれば、接点ピン2の中空部分に注入した銀ペースト4によって、接点ピン2と導電パターン6との電気的な接続を確保できる。また、接点ピン2と孔9の形状が極小になっても、ディスペンサー等を使用して導電性ペースト4である銀ペーストを注入又は吸引することによって、接点ピン2の中空部分に銀ペーストを満たすことができる。さらに、接点ピン2の中空部分に満たした銀ペースト4を孔9に注入することによって、孔9の底に存在する泡等の空気を孔9から押し出して排出できる。これによって、導電パターン6と銀ペースト4との間や、銀ペースト4と接点ピン2との間のエアーの溜まりを確実に排除でき、接点不良の問題を解決できる。
【0019】
図3(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1に係る接点ピンの接続方法のフロー図である。
(a)導電性材料からなる中空の接点ピン2を用意する(図3(a))。
(b)中空の接点ピン2の一端をディスペンサー12の先端に取り付ける(図3(a))。なお、図では、ディスペンサー12として、ピストン14を有するディスペンサーを示しているが、これに限られるわけではない。このピストン14を有するディスペンサーで12の場合には、ピストン14を上下させることで内部を減圧又は加圧させることができる。ピストン以外の形式としては、図4(a)〜(c)に示すように、エアーの注入及び吸引によって加圧及び減圧を行う形式のディスペンサーも使用できる。
また、ディスペンサー12に接点ピン2を取り付ける際には、例えば、図3(a)に示すようなアダプタ16を用いて取り付けてもよい。あるいはディスペンサー12の先端に接点ピン2を直接取り付けてもよい。アダプタ16の形状や材質については特に限定するものではない。
(c)ディスペンサー12の内部を減圧し、接点ピンの中空部分を減圧して、銀ペースト4を接点ピン2の中空部分に吸い込む(図3(b))。図では、ピストン14を上に引き上げて内部を減圧し、銀ペースト4を吸い込んでいる。なお、この場合に、銀ペースト4を吸い込むのは接点ピン2の中空部分までに留め、アダプタ16部分より上部には銀ペースト4を吸い込まないようにしてもよい。これによって、マイクロシリンダ12の繰り返し使用が容易となると共に、マイクロシリンダ12内を銀ペーストで汚さないようにできる。
(d)中空の接点ピン2の他端を、導電パターン6の上に設けた絶縁層8に形成された孔9に挿入する(図3(c))。なお、このステップに先立って、導電パターン6の上に設けた絶縁層8に形成された孔9の底に、接点ピン2を支持するピン支持部11を設けてもよい。なお、導電パターン6は一層ではなく、ベースフィルム5、導電パターン6、接着剤層7、絶縁層8の順に積層されている。つまり、ベースフィルム5上に導電パターン6が設けられ、導電パターン6の上に接着剤層7を介して絶縁層8が接着されている。この積層構造は、必要な構成に応じて適宜変更してもよい。例えば、ベースフィルム5と導電パターン6との間にも接着剤層を設けてもよい。また、ベースフィルム5に代えて樹脂層を用いてもよい。
(e)ディスペンサー12の内部を加圧し、接点ピン2の中空部分を加圧して、接点ピン2の中空部分に吸い込んだ銀ペーストを絶縁層8に形成された孔9の中に注入する(図3(c))。図では、ピストン14を下に押し下げて内部を加圧し、中空部分の銀ペースト4を孔9の底に向けて噴射する。なお、図3(d)に示すように、さらにピストン14を下に押し下げて銀ペースト4を孔9の底に向けて噴射することによって孔9の周囲まで銀ペースト4を満たすことが好ましい。これによって、孔9の底に溜まった泡22を上部に排出できる(図3(d))。
(f)銀ペースト4を硬化させて、硬化した銀ペースト4を介して接点ピン2と導電パターン6との電気的接続を得る。
以上によって、接点ピン2の接続構造を得ることができる。
【0020】
この接点ピンの接続方法によれば、ディスペンサー12の内部を加圧して、接点ピン2の中空部分に満たした銀ペースト4を孔9に注入するので、孔9と接点ピン2の形状が極小になっても孔9の中に銀ペースト4を注入できる。さらに、接点ピン2の中空部分に注入した銀ペーストを孔9に注入することによって、孔9の底に存在する泡22等の空気を孔9から押し出して排出できる。これによって、導電パターン6と銀ペースト4との間や、銀ペースト4と接点ピン2との間のエアーの溜まりを確実に排除でき、接点不良の問題を解決できる。
【0021】
(実施の形態2)
図4(a)〜(c)は、本発明の実施の形態1に係る接点ピンの接続方法のフロー図である。
(a)導電性材料からなる中空の接点ピン2を用意する(図4(a))。
(b)銀ペースト4を満たしたディスペンサー12を用意する(図4(a))。図4(a)に示すディスペンサー12は、図3のディスペンサーとは異なり、ピストンに代えてエアーの注入又は吸引でディスペンサー内の加圧又は減圧を制御する形式のディスペンサーである。なお、エアー(空気)に代えて窒素、二酸化炭素、ヘリウム等のガスを用いてもよい。
(c)中空の接点ピン2の一端をディスペンサー12の先端に取り付ける(図4(b))。この場合も上述の場合と同様にアダプタ16を使用しているが、直接接続してもよい。
(d)ディスペンサー12の内部を加圧して、ディスペンサー12の内部の銀ペースト4を接点ピン2の中空部分に注入する(図4(b))。加圧はエアーの注入によって行う。
(e)中空の接点ピン2の他端を、導電パターン6の上に設けた絶縁層8に形成された孔9に挿入する(図4(b))。なお、このステップに先立って、導電パターン6の上に設けた絶縁層8に形成された孔9の底に接点ピン2を支持するピン支持部11を設けてもよい。このピン支持部11は必ずしも設ける必要はない。孔9の底にピン支持部11を設けている場合にはピン支持部11で接点ピン2の他端を支持することができる。なお、図4(b)では、上記ステップ(c)〜(e)を連続して行っている場合を示している。
(f)ディスペンサー12の内部をさらに加圧して、接点ピン2の中空部分から絶縁層8に形成された孔9の中に銀ペースト4を注入する(図4(c))。
(g)銀ペースト4を硬化させて、硬化した銀ペースト4を介して接点ピン2と導電パターン6との電気的接続を得る。
以上によって、接点ピン2の接続構造を得ることができる。
【0022】
この接点ピンの接続方法によれば、ディスペンサー12の内部を加圧して、接点ピン2の中空部分に満たした銀ペースト4を孔9に注入するので、孔9と接点ピン2の形状が極小になっても孔9の中に銀ペースト4を注入できる。さらに、接点ピン2の中空部分に注入した銀ペーストを孔9に注入することによって、孔9の底に存在する泡等の空気を孔9から押し出して排出できる。これによって、導電パターン6と銀ペースト4との間や、銀ペースト4と接点ピン2との間のエアーの溜まりを確実に排除でき、接点不良の問題を解決できる。
【0023】
(実施の形態3)
図5(a)〜(d)は、本発明の実施の形態3に係る接点ピンの接続方法のフロー図である。
(a)導電性材料からなる中空の接点ピン2を用意する(図5(a))。
(b)接点ピン2の一端をディスペンサー12の先端に取り付ける(図5(a))。
(c)導電パターン6の上に設けた絶縁層8に形成された孔9の中に銀ペースト4を注入する(図5(b))。なおこのステップに先立って、、導電パターン6の上に設けた絶縁層8に形成された孔9の底に接点ピン2を支持するピン支持部11を設けてもよい。このピン支持部11は必ずしも設ける必要はない。この接点ピンの接続方法では、実施の形態1及び2に係る接点ピンの接続方法と比較すると、あらかじめ孔9の中に銀ペースト4を注入しておく点で相違する。
(d)接点ピン2の他端を、絶縁層6に形成された孔9に挿入する(図5(c))。孔9の底にピン支持部11を設けている場合にはピン支持部11で接点ピン2の他端を支持することができる。
(e)ディスペンサー12の内部を減圧し、接点ピン2の中空部分を減圧して、孔9の中の銀ペースト4の一部を接点ピン2の中空部分に吸い込む(図5(d))。この接点ピンの接続方法では、実施の形態1及び2に係る接点ピンの接続方法と比較すると、上記ステップ(c)に加えて、孔9の中に満たした銀ペースト4接点ピン2の中空部分に吸引する点で相違している。
(f)銀ペースト4を硬化させて、硬化した銀ペースト4を介して接点ピン2と導電パターン6との電気的接続を得る。
以上によって、接点ピン2の接続構造を得ることができる。
【0024】
この接点ピンの接続方法によれば、孔9に満たした銀ペースト4を接点ピン2の中空部分に吸い込むので、孔9と接点ピン2の形状が極小になっても接点ピン2の中空部分に銀ペースト4を注入できる。また、孔9の底に存在する泡等の空気を接点ピン2の中空部分に吸引することによって、導電パターン6と銀ペースト4との間や、孔9の底での銀ペースト4と接点ピン2との間のエアーの溜まりを確実に排除でき、接点不良の問題を解決できる。
【0025】
(実施の形態4)
図6(a)及び(b)は、実施の形態4に係る接点ピンの接続方法の概要を示す概略図である。この接点ピンの接続方法では、銀ペースト4として、導電パターン6と絶縁層8とを接着する接着剤7を溶解可能な溶剤を混合した銀ペースト4を使用することを特徴とする。これにより、導電パターン6の上に設ける接着剤層7について、接点ピン2と接続する対応箇所を空けた抜きパターンで印刷する必要がなくなり、接着剤層7をベタパターンで印刷できる。抜きパターンを使用する場合には、導電パターン6と絶縁層8との間の接着剤層がなく密着しない部分が発生するが、接着剤層7をベタパターンで印刷できるので、接着剤層がなく密着しない部分の発生を解消できる。
【0026】
実施の形態4において、接着剤層7の印刷パターンとの関係における特徴部分について、さらに詳細に説明する。
上記のように導電パターン6とその上の絶縁層8とは接着剤層7によって接着されている。この接着剤層7は、導電パターン6の上に印刷によってパターン形成される。そのため、導電パターン6中の一部と接点ピン2とを電気的に接続する部分を空けるためには、接着剤層7を接点ピン2との接続部分を空けた抜きパターンで印刷する必要があった。
【0027】
しかし、抜きパターンのように接着剤層がない部分をあまり広く設けると、孔9以外の部分で導電パターン6と絶縁層8とが十分に接着しない箇所が生じる場合があった。また、逆に抜きパターンが十分でなかった場合には、接点ピン2と導電パターン6との間に接着剤層7が介在するため、その間の導通が十分でない場合があった。
【0028】
この実施の形態4に係る接点ピンの接続方法によれば、接着剤層7をベタパターンで印刷しておき、孔9の底にも接着剤層7が存在しても、銀ペースト4に含まれる溶剤によって孔9の底の接着剤層7を溶解して、銀ペースト4を導電パターン6に電気的に接続させることができる(図6(a))。この場合、接着剤層7が銀ペースト4に含まれる溶剤によって溶解される領域24は、孔9の底の周辺部分に限られるため、絶縁層8と導電パターン6との接着も良好に保つことができる(図6(b))。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の接点ピンの接続構造及び接続方法によれば、通常の接点ピンを導電パターンに電気的に接続する場合に有用である。特に、導電パターンとして、例えば、近年、携帯端末に用いられるアンテナや静電的容量結合型の電力伝送用パターン等の導電パターンに接点ピンで電気的接続を行う場合等に有用である。
【符号の説明】
【0030】
2 接点ピン
3 空気抜き溝
4 導電性ペースト
5 ベースフィルム
6 導電パターン
7 接着剤層
8 絶縁層
9 孔
10 接続構造
11 ピン支持部
12 ディスペンサー
14 ピストン
16 アダプタ
18 エアー
22 泡
24 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料からなる中空の接点ピンと、
前記接点ピンの中空部分のうち、少なくとも前記接点ピンの一方の端部に面する中空部分に充填された導電性ペーストと、
前記接点ピンの前記一方の端部で、前記導電性ペーストを介して前記接点ピンと電気的に接続された導電パターンと、
を備えた接点ピンの接続構造。
【請求項2】
前記導電パターンは、2次元的な導電パターンであって、
前記接点ピンは、前記導電パターンの上に設けられた絶縁層に形成された孔に挿入され、前記孔の底で前記接点ピンと前記導電パターンとが前記導電性ペーストを介して電気的に接続されている、請求項1に記載の接点ピンの接続構造。
【請求項3】
(a)導電性材料からなる中空の接点ピンを用意するステップと、
(b)前記接点ピンの一端をディスペンサーの先端に取り付けるステップと、
(c)前記ディスペンサーの内部を減圧し、前記接点ピンの中空部分を減圧して、導電性ペーストを接点ピンの中空部分に吸い込むステップと、
(d)前記接点ピンの他端を、導電パターンの上に設けた絶縁層に形成された孔に挿入するステップと、
(e)前記ディスペンサーの内部を加圧し、前記接点ピンの中空部分を加圧して、前記接点ピンの中空部分に吸い込んだ導電性ペーストを前記絶縁層に形成された前記孔の中に注入するステップと、
(f)前記導電性ペーストを硬化させて、硬化した導電性ペーストを介して前記接点ピンと前記導電パターンとの電気的接続を得るステップと、
を含む、接点ピンの接続方法。
【請求項4】
(a)導電性材料からなる中空の接点ピンを用意するステップと、
(b)導電性ペーストを満たしたディスペンサーを用意するステップと、
(c)前記接点ピンの一端を前記ディスペンサーの先端に取り付けるステップと、
(d)前記ディスペンサーの内部を加圧して、前記ディスペンサーの内部の導電性ペーストを前記接点ピンの中空部分に注入するステップと、
(e)前記接点ピンの他端を、導電パターンの上に設けた絶縁層に形成された孔に挿入するステップと、
(f)前記ディスペンサーの内部をさらに加圧して、前記接点ピンの中空部分から前記絶縁層に形成された前記孔の中に前記導電性ペーストを注入するステップと、
(g)前記導電性ペーストを硬化させて、硬化した導電性ペーストを介して前記接点ピンと前記導電パターンとの電気的接続を得るステップと、
を含む、接点ピンの接続方法。
【請求項5】
(a)導電性材料からなる中空の接点ピンを用意するステップと、
(b)前記接点ピンの一端をディスペンサーの先端に取り付けるステップと、
(c)導電パターンの上に設けた絶縁層に形成された孔の中に導電性ペーストを注入するステップと、
(d)前記接点ピンの他端を、前記絶縁層に形成された前記孔に挿入するステップと、
(e)前記ディスペンサーの内部を減圧し、前記接点ピンの中空部分を減圧して、前記孔の中の導電性ペーストを接点ピンの中空部分に吸い込むステップと、
(f)前記導電性ペーストを硬化させて、硬化した導電性ペーストを介して前記接点ピンと前記導電パターンとの電気的接続を得るステップと、
を含む、接点ピンの接続方法。
【請求項6】
前記絶縁層は、前記導電パターンの上に接着剤によって接着されていると共に、
前記導電性ペーストは、前記接着剤を溶解可能な溶剤を含み、
前記孔の中に前記導電性ペーストを注入するステップによって、前記導電性ペーストに含まれる前記溶剤によって前記孔の底の接着剤を溶解して、前記導電性ペーストが前記導電パターンに達し、その後、硬化した導電性ペーストを介して前記接点ピンと前記導電パターンとの電気的接続を得る、請求項3から5のいずれか一項に記載の接点ピンの接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−80839(P2013−80839A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220322(P2011−220322)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】