説明

接着テープ

【課題】良好な熱伝導性を有する接着テープを提供する。
【解決手段】接着テープは、プラスチック材などからなる基材層と、基材層の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層と、備える。接着テープは、80℃における熱抵抗の値が2.00[cm・K/W]未満であり、基材層と粘着剤層との総厚が10μm未満である。また、粘着剤層は、基材層の両面に設けられていてもよい。また、基材層と粘着剤層との総厚が6μm未満であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着テープに関し、特に、各種OA機器や携帯機器、電子部品の製造(組立て)時に、発熱する各種部品と熱伝導性シートとの接合部において好適に使用される接着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯機器の小型化が進んでいる。そのため、搭載される各種電子部品についても小型化・薄型化が図られている。例えば、携帯機器として代表的な機器である携帯電話は、構成される主要部品それぞれが薄層化される傾向にある。通常、携帯機器の表示部分は、主にLCDモジュールとバックライトユニットとからなり、発光・反射・遮光・導光等の機能を発現させるために、各種シート状の部品が積層されている。そこで、これらの部品の組立て(接合)に用いるための両面接着テープが考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−105212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような携帯電話をはじめとする携帯機器の小型化・薄型化の進展に伴い、搭載されている各種電子部品の集積度が増すこととなり、更なる放熱性の向上が求められている。そこで、各種電子部品が発する熱を効率よく外部へ放熱するために熱伝導シートを用いることが検討されている。
【0005】
しかしながら、熱伝導シートを電子部品に接合するために従来の両面接着テープを用いる場合、電子部品が発した熱を熱伝導シートへ伝達するという観点からは更なる改良の余地がある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、良好な熱伝導性を有する接着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の接着テープは、基材層と、基材層の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層と、備える。接着テープは、80℃における熱抵抗の値が2.00[cm・K/W]未満であり、基材層と粘着剤層との総厚が10μm未満である。
【0008】
この態様によると、熱抵抗値の値が低く、良好な熱伝導性を有している。また、層厚が薄いため、接着テープが使用される部品や装置の薄型化に寄与する。
【0009】
粘着剤層は、基材層の両面に設けられていてもよい。
【0010】
80℃における熱抵抗の値が1.50[cm・K/W]未満であってもよい。
【0011】
基材層と粘着剤層との総厚が6μm未満であってもよい。
【0012】
60℃以上の温度環境において使用可能であってもよい。
【0013】
発熱部品と熱伝導性シートとの接着に用いられてもよい。
【0014】
粘着剤層は、その粘着剤層を構成するポリマー主成分100重量部当たり20重量部未満の熱伝導性のフィラーを含有していてもよい。
【0015】
基材層は、着色されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、良好な熱伝導性を有する接着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態の両面接着テープ又はシートの一例を示す概略図である。
【図2】図2(a)は、実施例において熱抵抗の測定を行う際に用いた装置を示す正面概略図、図2(b)は、図2(a)に示す装置の側面概略図である。
【図3】テープ総厚と熱抵抗値との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面や表を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態では、粘着剤層を両面に有する両面接着テープ又はシートを例に説明するが、用途に応じて粘着剤層を片面に有する接着テープ又はシートであってもよい。
【0019】
[両面接着テープ又はシート]
図1は、本実施の形態の両面接着テープ又はシートの一例を示す概略図である。なお、以下の説明では、本実施の形態の両面接着テープ又はシート(以下、適宜「両面接着テープ」という。)10は、図1で示されるように、基材層12の両面に粘着剤層14,16を有する基材付き両面接着テープである。両面接着テープ10は、基材層12と基材層12の両面に形成された2つの粘着剤層14,16とを含む総厚が3μm以上10μm未満であり、かつ後述する測定方法で行った80℃における熱抵抗の値が2.00[cm・K/W]未満、より好ましくは、1.50[cm・K/W]未満である(下限値としては、0.05[cm・K/W]以上)。このように、本実施の形態の両面接着テープ10は、基材層12を有するにもかかわらず、その厚みは10μm未満と薄く、しかも、熱抵抗の値が低く熱伝導性に優れている。
【0020】
したがって、本実施の形態の両面接着テープ10は、接合部位の厚さ(接合部品間同士のクリアランス)が小さいために両面接着テープを利用した接合手段が従来採用できなかった領域(例えば、接着部材に許容されるクリアランスが10μm未満の場合)に適用することが可能となり、両面接着テープ10を用いた均一な接着作業を実施することができる。換言すれば、両面接着テープにより接合された複数の部品を収容する装置全体の薄型化が図られる。例えば、薄型化の要求が高く、また、装置内部が使用時に高温となりがちな携帯機器や薄型テレビでの使用に適している。より詳述すれば、携帯電話の液晶用バックライトユニットや半導体チップなどの発熱部品と、熱伝導性シートなどの放熱部品との接着に用いることができる。これにより、薄型化を実現しつつ放熱特性の向上が図られる。
【0021】
図1に示すように、両面接着テープ10は、基材層12の一方の面に粘着剤層14が形成され、他方の面に粘着剤層16が形成された構成を有している。両面接着テープ10は、粘着剤層14がはく離ライナー(セパレータ)18により保護され、さらに、粘着剤層16とはく離ライナー18の他方の面(粘着剤層14に対して反対側の面)とが接触するように重ね合わせられてロール状に巻回された形態となっている。
【0022】
本実施の形態の両面接着テープ10の総厚(テープ厚み)としては、3μm以上かつ10μm未満であれば特に制限されないが、例えば、3μm以上6μm以下、好ましくは3μm以上5μm以下の範囲から選択することができる。これにより、両面接着テープ10が使用される部品や装置の薄型化が更に図られる。
【0023】
なお、両面接着テープ10の総厚(テープ厚み)とは、貼着に際して利用される部分の厚みのことを意味している。すなわち、両面接着テープ10の総厚とは、一方の粘着面から他方の粘着面にかけての厚み(総厚)のことを意味している。具体的には、本実施の形態の両面接着テープ10は、基材層12を有しているので、両面接着テープの総厚とは、基材層12と、基材層12の両面に形成された2つの粘着剤層14,16とを含んだ厚みであり、粘着面を保護するためのはく離ライナー18の厚みは含まれない。なお、粘着剤層が基材層の片側のみに形成された片面接着テープの場合、総厚は、基材層と、基材層の一方の面に形成された1つの粘着剤層とを含んだ厚みであり、粘着面を保護するためのはく離ライナーの厚みは含まれない。
【0024】
(基材層)
基材層12としては、両面接着テープ10の総厚を3μm以上かつ10μm未満とすることができ、また、両面接着テープ10の80℃における熱抵抗の値を2.00[cm・K/W]未満とすることが可能なものであれば、その材質や厚みなどは特に制限されない。基材層12の材質としては、例えば、プラスチック材、紙材、繊維材(織布、不織布など)、金属材などが挙げられる。基材層12の材質としては、プラスチック材が好適である。すなわち、基材層12としては、プラスチックフィルムを好適に用いることができる。
【0025】
このようなプラスチック材(プラスチックフィルムの材質)としては、各種エンジニアリングプラスチック材を好適に用いることができる。具体的には、プラスチック材としては、例えば、ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等]、オレフィン系樹脂[ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂等]、ポリエーテルスルホン(PES)(ポリエーテルサルホン)、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、アミド系樹脂[ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等]、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエステルイミド、メタクリレート系樹脂[ポリメチルメタクリレート(PMMA)など]、スチレン系樹脂[ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)など]、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアリール、ポリウレタン類、ポリエーテルケトン類[ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトンなど]、ポリアクリル酸エステル類(ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エチルなど)、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの素材(プラスチック材)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0026】
プラスチック材としては、厚さ精度、引張強度や加工性等の観点より、特に、ポリエステル(中でも、ポリエチレンテレフタレート)を好適に用いることができる。すなわち、基材層としては、特に、ポリエステルフィルム(中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム)を好適に用いることができる。
【0027】
なお、基材層は、単層、積層のいずれの形態を有していてもよく、構造上の制約を受けない。基材層の厚みとしては、例えば、1μm以上10μm未満(好ましくは1.5μm以上8μm未満、更に好ましくは2μm以上6μm未満)の範囲から選択することができる。
【0028】
なお、基材層(特に、プラスチック材による基材層)の表面は、基材層上に形成される粘着剤層などとの密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0029】
また、基材層は着色されていてもよい。着色の種類は、例えば、黒色や白色が挙げられる。また、着色方法としては、印刷により基材層の表面に黒色や白色の部分を設けてもよい。この場合、着色部分は基材層の片面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。また、基材層の内部に黒色や白色の顔料や染料を含有させてもよい。ここで、「基材層が着色されている」とは、基材層の内部に顔料や染料が含有されている場合だけでなく、基材層の表面に着色された部分が形成(印刷)されている場合も含まれる。このように、基材層が着色されていることで接着テープに意匠性を付与することができる。
【0030】
基材層の表面に着色された部分を印刷により形成する場合、当該着色された部分は、例えば、インキ組成物を塗布することにより形成することができる。ここで、インキ組成物を1回塗布することにより、着色された部分を形成してもよいし、2回以上塗布することにより、着色された部分を形成してもよい。また、基材層における着色されていない部分と着色された部分との密着性を高める観点から、着色されていない部分表面における、着色された部分と接する領域に、コロナ処理やプライマー等の下塗り処理等の各種処理を施してもよい。
【0031】
(粘着剤層)
粘着剤層を形成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリープ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの公知の粘着剤から適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0032】
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーを粘着性成分(ベースポリマー)又は主剤とし、これに必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜な添加剤が含まれている。前記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、これに必要に応じて前記(メタ)アルキルエステルに対して共重合が可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより調製されている。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4−18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0033】
また、前記共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体の他、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性単量体(多官能モノマー)などが挙げられる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。共重合性単量体としては、カルボキシル基などの官能基を有する改質用モノマーを好適に用いることができる。
【0034】
アクリル系ポリマーは、溶液重合法、エマルション重合法、紫外線照射重合法等の慣用の重合方法により調製することができる。
【0035】
各粘着剤層の厚みとしては、粘着特性と、両面接着テープ又はシートの総厚とを考慮して適宜選択することができる。各粘着剤層の厚みとしては、例えば、0.5μm以上4μm未満(好ましくは1μm以上3μm未満、更に好ましくは1.2μm以上2μm未満)の範囲から選択することができる。なお、基材層の両面に形成された2つの粘着剤層において、各粘着剤層(表面側の粘着剤層、裏面側の粘着剤層)の厚さについては、特に規定されず、用途に応じて適宜選択することができる。また、基材層の両面に形成された2つの粘着剤層の厚みは、同一であっても、異なっていてもよいが、同じ又はほぼ同じ厚さを選択する場合が多い。
【0036】
(はく離ライナー)
本実施の形態に係る両面接着テープ又はシートでは、使用時まで、粘着剤層の粘着面を保護するためのはく離ライナーを設けることができる。このようなはく離ライナーとしては、特に規定されず、公知のはく離ライナーから適宜選択して用いることができる。具体的には、はく離ライナーとしては、例えば、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム[例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体またはランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;フッ素樹脂製フィルムなど]によるはく離ライナーであってもよいが、各種基材層(基材)の表面(片面又は両面)に、剥離処理層が形成された構成のはく離ライナーを好適に用いることができる。
【0037】
はく離ライナーの基材としては、プラスチックフィルムが好適に用いられるが、紙(例えば、和紙、洋紙、グラシン紙など)、不織布や布、発砲体、金属箔、各種基材による複合基材(例えば、金属蒸着プラスチックフィルムなど)などであってもよい。基材の厚みは、目的に応じて適宜選択できるが、一般には10〜500μm程度である。なお、はく離ライナーの基材のプラスチックフィルムの素材としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。プラスチックフィルムは、無延伸フィルム及び延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムのいずれであってもよい。
【0038】
また、剥離処理層は、はく離ライナーにおける剥離処理層を形成する剥離処理剤として公知または慣用の剥離処理剤(例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤など)により形成することができる。なお、剥離処理層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;フッ素樹脂製フィルムを、前記基材層上に、ラミネート又はコーティングすることにより形成されていてもよい。はく離ライナーにおいて、剥離処理層は、前述のように、基材の片面又は両面に設けることができる。
【0039】
はく離ライナーとしては、粘着剤層に対する剥離力が、1N/50mm以下となるように調整することにより、接着作業(はく離ライナーの剥離作業)時に、両面接着テープ又はシートの変形を抑制又は防止することができ、作業性を向上させることができる。はく離ライナーや、その剥離力については、用途等に応じて適宜選択又は調整することができ、特に限定されない。
【0040】
本実施の形態の両面接着テープ又はシートとしては、シート状のものが積層された積層体の形態を有していてもよく、ロール状に巻回された巻回体の形態を有していてもよい。例えば、はく離ライナーとして、両面が剥離処理面となっている1枚の長尺帯状のはく離ライナーを用い、そのはく離ライナーの一方の剥離処理面を、長尺帯状の両面接着テープ又はシートにおける一方の粘着剤層の粘着面に重ね合わせて積層し、前記はく離ライナーの他方の剥離処理面を、他方の粘着剤層の粘着面に重ね合わせてロール状に巻回することにより、ロール状に巻回された形態を有する両面接着テープ又はシートを作製することができる。また、はく離ライナーとしては、片面のみが剥離処理面となっている2枚の長尺帯状のはく離ライナーを用い、一方のはく離ライナーにより長尺帯状の両面接着テープ又はシートにおける一方の粘着剤層の粘着面を保護し、他方のはく離ライナーにより他方の粘着剤層の粘着面を保護した状態で、ロール状に巻回することにより、ロール状に巻回された形態を有する両面接着テープ又はシートを作製することができる。
【0041】
このようなロール状に巻回された形態を有する両面接着テープ又はシートの長さとしては、長尺帯状の長さであれば特に制限されないが、通常、5m以上(好ましくは10m以上、更に好ましくは20m以上)である。
【実施例】
【0042】
以下に、本発明に係る実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を、%とあるのは重量%を、それぞれ意味する。
【0043】
(粘着剤の調製例1)
n−ブチルアクリレート:97部と、アクリル酸:3部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート:0.1部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を重合開始剤として、トルエン及び酢酸エチルの混合溶液[トルエン/酢酸エチル(重量比)=1/1]中で、6時間溶液重合を行って、重量平均分子量:50万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、テルペン−フェノール系樹脂(商品名「YSポリスターT 130」ヤスハラケミカル社製;軟化点:130℃):30部と、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):2部とを加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤(感圧性接着剤組成物;「粘着剤A」と称する場合がある)を調製した。
【0044】
(実施例1)
基材層として、ポリエステルフィルム(商品名「C660−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm)の両面に、前述の粘着剤Aを用いて、厚さが1.5μmの粘着剤層をそれぞれ形成し、総厚が5μmの実施例1に係る接着テープ(両面接着テープ)を作製した。
【0045】
(比較例1)
基材層として、ポリエステルフィルム(商品名「C660−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm)の両面に、前述の粘着剤Aを用いて、厚さが4μmの粘着剤層をそれぞれ形成し、総厚が10μmの接着テープ(両面接着テープ)を作製した。
【0046】
(比較例2)
基材層として、ポリエステルフィルム(商品名「K880−4.5W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:4μm)の両面に、前述の粘着剤Aを用いて、厚さが13μmの粘着剤層をそれぞれ形成し、総厚が30μmの接着テープ(両面接着テープ)を作製した。
【0047】
(比較例3)
基材層として、ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#12」東レ社製;厚さ:12μm)の両面に、前述の粘着剤Aを用いて、厚さが44μmの粘着剤層をそれぞれ形成し、総厚が100μmの接着テープ(両面接着テープ)を作製した。
【0048】
(実施例2)
ポリエステルフィルム(商品名「C660−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm)の一方の面に、黒色色材としてカーボンブラックを含む黒色系インキ組成物を用いてグラビア印刷法により黒色層(黒色層の全体の厚み:1.5μm)を形成し、厚みが3.5μmの基材層を作製した。この基材層の他方の面(黒色層が印刷されている面と反対側の面)に、前述の粘着剤Aを用いて、厚さが1.5μmの粘着剤層を形成し、総厚が5μmの実施例2に係る接着テープ(片面接着テープ)を作製した。実施例2に係る接着テープでは、ポリエステルフィルムおよび黒色層(印刷層)によって基材層が構成されている。つまり、実施例2に係る接着テープの基材層は、黒色に着色されたものである。
【0049】
(実施例3)
ポリエステルフィルム(商品名「C660−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm)の一方の面に、白色色材として酸化チタンを含む白色系インキ組成物を用いてグラビア印刷法により白色層(白色層の全体の厚み:1.5μm)を形成し、厚みが3.5μmの基材層を作製した。この基材層の他方の面(白色層が印刷されている面と反対側の面)に、前述の粘着剤Aを用いて、厚さが1.5μmの粘着剤層を形成し、総厚が5μmの実施例3に係る接着テープ(片面接着テープ)を作製した。実施例3に係る接着テープでは、ポリエステルフィルムおよび白色層(印刷層)によって基材層が構成されている。つまり、実施例3に係る接着テープの基材層は、白色に着色されたものである。
【0050】
(評価)
実施例1〜3、比較例1〜3に係る両面接着テープについて、80℃における熱抵抗の測定を行った。測定は、図2に示す熱特性評価装置を用いて行った。図2(a)は、実施例において熱抵抗の測定を行う際に用いた装置を示す正面概略図、図2(b)は、図2(a)に示す装置の側面概略図である。
【0051】
具体的には、1辺が20mmの立方体となるように形成されたアルミニウム製(A5052、熱伝導率:140W/m・K)の一対のロッドL間に、両面接着テープ(20mm×20mm)Sを挟み込み、一対のロッドLを両面接着テープSで貼合わせた。
【0052】
そして、一対のロッドLが上下となるように発熱体(ヒータブロック)Hと放熱体(冷却水が内部を循環するように構成された冷却ベース板)Cとの間に配置した。具体的には、上側のロッドL上に発熱体Hを配置し、下側のロッドLの下に放熱体Cを配置した。
【0053】
この際、両面接着テープSで貼合わされた一対のロッドLは、発熱体及び放熱体を貫通する一対の圧力調整用ネジTの間に位置している。なお、圧力調整用ネジTと発熱体Hとの間にはロードセルRが設置されており、圧力調整用ネジTを締め込んだ際の圧力が測定されるように構成されており、斯かる圧力を両面接着テープSに加わる圧力として用いた。
【0054】
また、下側のロッドL及び両面接着テープSを放熱体C側から貫通するように接触式変位計の3本のプローブP(直径1mm)を設置した。この際、プローブPの上端部は、上側のロッドLの下面に接触した状態となっており、上下のロッドL間の間隔(両面接着テープSの厚み)を測定可能に構成されている。
【0055】
発熱体H及び上下のロッドLには温度センサーDを取り付けた(図2(b)参照)。具体的には、発熱体Hの1箇所、各ロッドLの上下方向に5mm間隔で5箇所,温度センサーDを取り付けた。
【0056】
まず初めに、圧力調整用ネジTを締め込んで両面接着テープSに圧力を加え、発熱体Hの温度を80℃に設定すると共に、放熱体Cに20℃の冷却水を循環させた。
【0057】
そして、発熱体H及び上下のロッドLの温度が安定した後、上下のロッドLの温度を各温度センサーDで測定し、上下のロッドLの熱伝導率と温度勾配から両面接着テープSを通過する熱流束を算出すると共に、上下のロッドLと両面接着テープSとの界面の温度を算出した。そして、これらを用いて当該圧力における全熱抵抗(cm・K/W)を算出した。なお、両面接着テープSに加える圧力は、250kPaとして全熱抵抗の測定を行った。
【0058】
表1は、実施例1〜3、比較例1〜比較例3の各接着テープにおける、基材層の厚さ、テープ総厚、熱抵抗値を示している。また、図3は、テープ総厚と熱抵抗値との関係を示したグラフである。
【0059】
【表1】

【0060】
図3に示すように、テープ総厚と熱抵抗値との間には良好な相関が見られ、テープ総厚を薄くすることで、熱抵抗値の小さな接着テープが得られる。具体的には、テープ総厚は、10μm未満であればよく、より好ましくは、6μm以下である。また、粘着剤層は、厚みが3μm未満であるとよい。これにより、両面接着テープが使用される部品や装置の薄型化に更に寄与する。また、実施例1に係る両面接着テープは、熱抵抗の値が0.48[cm・K/W]と低く、良好な熱伝導性を発揮しつつ複数の部品を互いに固定することができる。また、実施例2、3に係る片面接着テープは、熱抵抗の値が0.49[cm・K/W]と低く、良好な熱伝導性を発揮しつつ意匠性も付与されている。
【0061】
なお、本実施の形態に係る接着テープは、60℃以上の温度環境において使用可能に構成されている。これにより、例えば、携帯機器や液晶テレビなど薄型の要求が高く、装置内温度が高くなりがちな製品への適用も可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係る接着テープにおいて、粘着剤層は、その粘着剤層を構成するポリマー主成分100重量部当たり20重量部未満の熱伝導性のフィラーを含有している。ここで、「粘着剤層を構成するポリマー主成分」とは、例えば、アクリル系粘着剤の場合はアクリル系ポリマー、ゴム系粘着剤の場合は天然ゴムや合成ゴム等の主成分ポリマーを意味する。
【0063】
なお、好ましくは、粘着剤層は、ポリマー主成分100重量部当たり10重量部未満(より好ましくは5重量部未満)の熱伝導性のフィラーを含有しているとよい。更により好ましくは、粘着剤層はフィラーを実質的に含まないとよい。フィラーを「実質的に含まない」とは、フィラーが機能しない程度にわずかに含まれている場合を意味するととらえてもよい。一般的にフィラーは粘着剤層の粘着力の低下の一因となる。そこで、フィラーの含有量を減少させることで粘着力の低下を抑制することができる。一方、フィラーの含有量が低下しても熱抵抗の値が低いため、良好な熱伝導性を発揮することができる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態や実施例をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0065】
10 両面接着テープ、 12 基材層、 14,16 粘着剤層、 18 はく離ライナー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層と、
備え、
80℃における熱抵抗の値が2.00[cm・K/W]未満であり、
前記基材層と前記粘着剤層との総厚が10μm未満である、
ことを特徴とする接着テープ。
【請求項2】
前記粘着剤層は、前記基材層の両面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
80℃における熱抵抗の値が1.50[cm・K/W]未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着テープ。
【請求項4】
前記基材層と前記粘着剤層との総厚が6μm未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接着テープ。
【請求項5】
60℃以上の温度環境において使用可能なことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接着テープ。
【請求項6】
発熱部品と熱伝導性シートとの接着に用いられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の接着テープ。
【請求項7】
前記粘着剤層は、該粘着剤層を構成するポリマー主成分100重量部当たり20重量部未満の熱伝導性のフィラーを含有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の接着テープ。
【請求項8】
前記基材層は、着色されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の接着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−52099(P2012−52099A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158934(P2011−158934)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】