説明

描写データ記録再生プログラムおよび描写データ記録再生装置ならびに描写データ記録再生方法

【課題】 文字や線等の視認性を確保しつつ、記録されるデータ量を少なくすることで通信や表示処理の負担を軽減し、講義等のデータを効率的に記録・再生することができる描写データ記録再生プログラムおよび描写データ記録再生装置ならびに描写データ記録再生方法を提供する。
【解決手段】 表示手段2上の任意の位置を指定するとともに、その指定した位置における線描写を指令するための線描写指令信号を入力する描写用入力手段3と、指定された位置座標およびこの位置座標における線描写指令信号の有無を所定の時間間隔毎に描写データリスト421として描写データ記憶部42に記録する描写データ記録手段51と、描写データリスト421から線描写に関する各位置座標を時系列の順番に取得し、線描写指令信号が連続している位置座標同士を時系列順に線で連結していく過程を表示手段2に再生表示させる描写データ再生手段60としてコンピュータを機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ等の表示手段に表示される内容を記録し、再生する描写データ記録再生プログラムおよび描写データ記録再生装置ならびに描写データ記録再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通信教育等において行われる授業や講義の視聴は、DVDやビデオ等の記録媒体に映像を記録して適宜、再生できるようにされてきた。しかし、DVD等の記録媒体に記録された映像は、ユーザに記録媒体を送付しなければならず、通信教育を受ける受講生と直接授業を受ける受講生との間で1週間程度のタイムラグが発生するという問題があった。
【0003】
しかし近年、各家庭にブロードバンド回線が普及し、授業等を録画してインターネット回線を介して配信する、いわゆるオンライン授業が取り入れられてきており、オンライン授業に関する発明もいくつか提案されている。
【0004】
例えば、特開2003−241630号公報では、板書者とこの板書者が板書するボードとを撮影した撮影動画を表示する第一動画と、前記板書者が前記ボードに板書した板書動画を表示する第二動画と、前記第一動画と前記第二動画との同期を取る同期手段と、前記第一動画と前記第二動画とを同時に表示するウェブ閲覧ソフト上の表示領域とを用意し、前記同期手段によって前記第一動画と前記第二動画との同期を取り、前記ウェブ閲覧ソフト上の表示領域に前記第一動画と前記第二動画とを表示することを特徴とした動画配信方法が提案されている(特許文献1)。この特許文献1によると、前記動画配信方法により、板書者とこの板書者がボードに記載した板書自体の動画をウェブ閲覧ソフト上で同期させることができ、臨場感にあふれ、立体的で躍動的、即興性に富み、受講者の明確な作業動作を引き出すことができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−241630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、動画のデータ量が多いため、以下のような問題を有する。
1.記録時に大容量の記録媒体を必要とし、製造コストが増大してしまう。
2.インターネットの通信速度が十分に得られない場合、送信データ落ちや送信データの遅延が発生して滑らかな動画が表示ができない。
3.コンピュータの表示処理能力が不十分な場合、表示が途中で止まったり細切れのような状態で表示されて滑らかな動画が表示ができない。
4.滑らかな動画が表示されないと受講者も集中できずストレスが大きい。
【0007】
なお、通信速度が十分に得られない場合やコンピュータの表示処理能力が不十分な場合に、画素数を減らして動画のデータ量を少なくすることで解決する方法も考えられる。しかし、画素数を減らすと、文字等の細い線が視認しにくくなるという問題が新たに発生してしまう。
【0008】
よって、特許文献1に記載された発明を含む従来の方法では、記録されるデータ量を少なくすることと、再生表示される板書の文字等の視認を確保することとを両立させることは困難であった。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、文字や線等の視認性を確保しつつ、記録されるデータ量を少なくすることで通信や表示処理の負担を軽減し、講義等のデータを効率的に記録・再生することができる描写データ記録再生プログラムおよび描写データ記録再生装置ならびに描写データ記録再生方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る描写データ記録再生プログラムは、表示手段上の任意の位置を指定するとともに、その指定した位置における線描写を指令するための線描写指令信号を入力する描写用入力手段と、指定された前記位置の座標およびこの位置座標における前記線描写指令信号の有無を所定の時間間隔毎に描写データリストとして描写データ記憶部に記録する描写データ記録手段と、前記描写データ記憶部の前記描写データリストから前記線描写に関する各位置座標を時系列の順番に取得し、前記線描写指令信号が連続している前記位置座標同士を時系列順に線で連結していく過程を前記表示手段に再生表示させる描写データ再生手段としてコンピュータを機能させるものである。また、本発明に係る描写データ記録再生装置は、上記各手段を有している。
【0011】
また、本発明において、前記表示手段に前記線描写とともに任意のオブジェクトを表示させる場合、前記描写データ再生手段は、前記描写データ記憶部から前記位置座標を取得して前記線描写された線レイヤーを作成する線レイヤー作成部と、オブジェクト記憶部から所定のオブジェクトおよびそのオブジェクト座標を取得して前記オブジェクトが表示されたオブジェクトレイヤーを作成するオブジェクトレイヤー作成部とを有しており、再生時に前記線レイヤーと前記オブジェクトレイヤーとを重ね合わせて前記表示手段に表示させるようにしてもよい。
【0012】
さらに、本発明において、前記描写用入力手段は、前記オブジェクトを移動させる際に所定の前記オブジェクトを選択するためのオブジェクト選択信号を入力できる機能を備えており、前記描写データ記録手段は、前記オブジェクト選択信号が入力された位置の座標が前記オブジェクトの表示範囲内である場合に前記オブジェクトが選択されたと判断して前記オブジェクトの選択に関する情報を前記所定の時間間隔毎に前記描写データリストに記録し、前記描写データ再生手段は、前記オブジェクトの選択に関する情報が追加された前記描写データリストを時系列の順番に取得し、前記オブジェクトが連続的に選択されていた場合にその選択信号が入力された前記位置座標の変化分だけ前記オブジェクト座標を書き換えるオブジェクト座標書換部を有しており、このオブジェクト座標書換部により書き換えられた前記オブジェクト座標に基づいて前記オブジェクトレイヤー作成部が前記オブジェクトレイヤーを作成するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明において、前記描写データ記録手段により記録する場合、記録開始時、この記録開始後から所定の時間間隔毎の記録時および記録停止時において、前記表示手段上に描写された線描写をチャプター用線画像データに変換してチャプター用線画像データ記憶部に記録するチャプター用線画像データ記録手段を有し、前記描写データ再生手段は、前記チャプター用線画像データ記憶部に記録された前記チャプター用線画像データのうちから任意の時間帯の前記チャプター用線画像データを選択して前記表示手段に表示しうるようにしてもよい。
【0014】
さらに、本発明において、前記描写データ記録手段の記録を停止して線描写の下書き処理する場合、前記描写用入力手段で指定された位置座標およびこの位置座標における前記線描写指令信号の有無を所定の時間間隔毎に下書用描写データリストとして下書用描写データ記憶部に記録する下書用描写データ記録手段と、前記下書用描写データ記憶部から前記下書用描写データリストを時系列の順番に取得し、前記線描写指令信号が連続している前記位置座標を抽出するとともに、それら抽出された前記位置座標同士を線で連結し、その線形データとして下書データ記憶部に記録させる下書線形データ記録手段とを有し、下書線形データを再生表示する場合、前記描写データ再生手段が、前記下書データ記憶部から前記線形データを取得して前記表示手段に表示させるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明において、前記描写データ記録手段の記録を停止してオブジェクトの下書き処理をする場合、前記描写用入力手段で移動された所定のオブジェクトおよびその位置座標を所定の時間間隔毎に下書用描写データリストとして下書用描写データ記憶部に記録する下書用描写データ記録手段と、下書き前後の前記オブジェクトの位置座標を取得して下書データ記憶部に記録させる下書オブジェクト座標記録手段を有し、前記描写データ再生手段は、前記オブジェクトを表示する場合、前記下書データ記憶部から下書前後の前記オブジェクト座標を読み出して比較し、両値が異なるときに前記下書き後のオブジェクト座標の位置に前記オブジェクトを表示させるようにしてもよい。
【0016】
さらに、本発明において、前記描写データ記憶部に記録された前記描写データリストの部分的な記録の削除および/または他の描写データリストの挿入が行われた場合、前記チャプター用線画像データ記録手段は、前記描写データリストの初めから終わりにかけて前記チャプター用線画像データを再構成して前記チャプター用線画像データ記憶部に記録させるようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係る描写データ記録再生方法は、表示手段上の任意の位置を指定するとともに、その指定した位置における線描写を指令するための線描写指令信号を入力する描写用入力ステップと、指定された前記位置の座標およびこの位置座標における前記線描写指令信号の有無を所定の時間間隔毎に描写データリストとして描写データ記憶部に記録する描写データ記録ステップと、前記描写データ記憶部の前記描写データリストから前記線描写に関する各位置座標を時系列の順番に取得し、前記線描写指令信号が連続している前記位置座標同士を時系列順に線で連結していく過程を前記表示手段に再生表示させる描写データ再生ステップとを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、文字や線等の視認性を確保しつつ、記録されるデータ量を少なくすることで通信や表示処理の負担を軽減し、講義等のデータを効率的に記録・再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る描写データ記録再生プログラムを用いた描写データ記録再生装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における各構成の機能と各種データの流れを示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態における表示手段に表示される画面デザインの一例を示す表示画面図である。
【図4】本実施形態における描写データリスト、下書用描写データリストおよび挿入用描写データリストを示すデータテーブル図である。
【図5】本実施形態における画像データリストを示すデータテーブル図である。
【図6】本実施形態における図形データリストを示すデータテーブル図である。
【図7】本実施形態における文字データリストを示すデータテーブル図である。
【図8】本実施形態におけるオブジェクト座標リストを示すデータテーブル図である。
【図9】本実施形態におけるチャプター用リストを示すデータテーブル図である。
【図10】本実施形態における下書データリストを示すデータテーブル図である。
【図11】本実施形態における下書線形データ記録手段により抽出された下書用描写データリストを示すデータテーブル図である。
【図12】本実施形態における描写データ記録手段が実行された際の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図13】本実施形態における描写データ記録手段の実行例を示すデータ数T=1〜4の表示画面図である。
【図14】本実施形態における描写データ記録手段の実行例を示すデータ数T=5〜8の表示画面図である。
【図15】本実施形態における描写データ記録手段の実行例を示すデータ数T=9〜12の表示画面図である。
【図16】本実施形態における描写データ記録手段の実行例を示すデータ数T=13〜16の表示画面図である。
【図17】本実施形態における下書用描写データ記録手段および下書オブジェクト座標記録手段が実行された際の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図18】本実施形態における下書線形データ記録手段が実行された際の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図19】本実施形態における描写データ再生手段が実行された際の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図20】本実施形態における線レイヤー作成手段が実行された際のフローを示すフローチャート図である。
【図21】本実施形態におけるオブジェクトレイヤー作成手段が実行された際の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図22】本実施形態における描写データ再生手段による線レイヤーおよびオブジェクトレイヤーの重ね合わせ方の一例を示す図である。
【図23】本実施形態において、オブジェクトが移動されたときの描写データ再生手段による線レイヤーおよびオブジェクトレイヤーの重ね合わせ方の一例を示す図である。
【図24】本実施形態におけるチャプター用線画像データ記録手段が実行された際の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図25】本実施形態における描写データ再生手段によりチャプター用線画像データが再生される際の処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る描写データ記録再生プログラムおよびこれにより機能される描写データ記録再生装置ならびに描写データ記録再生方法の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の描写データ記録再生プログラム1を用いた描写データ記録再生装置1Aの構成を示すブロック図である。また、図2は、本実施形態における各構成の機能および各種データの処理の流れを示す機能ブロック図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の描写データ記録再生装置1Aは、主として、記録や再生時に線や図形等のオブジェクトを表示する表示手段2と、描写に関する制御信号等を入力する描写用入力手段3と、描写データ記録再生プログラム1や各種のデータ等を記憶する記憶手段4と、この記憶手段4に各種データを記憶させるるとともに各種のデータを読み出して演算処理する演算処理手段5とから構成される。以下、各構成について詳細に説明する。
【0022】
表示手段2は、画像や線図、テキストデータ等を表示するCRTや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等から構成されている。図2に示すように、本実施形態では、後述する描写データ再生手段60により発せられた表示信号に基づいて所定の線図やオブジェクト、テキストデータを表示するようになっている。
【0023】
描写用入力手段3は、表示手段2上の任意の位置を指定するとともに各種の指令信号を入力するものである。本実施形態における描写用入力手段3は、いわゆるマウスであり、図3に示すような表示手段2上に表示されるカーソル31を移動させることで、所望の指令位置に移動することができ、マウスボタンをクリックすることで線描写指令信号およびオブジェクト選択信号を入力することができる。本実施形態では、左クリックにより線描写指令信号が入力され、右クリックによりオブジェクト選択信号が入力されるようになっている。
【0024】
なお、描写用入力手段3は、前記マウスに限定されるものではなく、ペンタブレットやタッチパネル等を用いてもよい。また、別途、テキストや数値を入力する操作キー等からなる他の入力手段を備えてもよい。
【0025】
記憶手段4は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ等によって構成されており、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段5が演算を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。
【0026】
本実施形態における記憶手段4は、図1に示すように、主として、描写データ記録再生プログラム1を記憶するプログラム記憶部41、描写データリスト421を記録する描写データ記憶部42、オブジェクトやオブジェクト座標を記憶するオブジェクト記憶部43、チャプター用線画像データを記録するチャプター用線画像データ記憶部44、下書用描写データリスト451を記録する下書用描写データ記憶部45、下書用描写データリスト451に基づき下書き中に作成された線形データを記録する下書データ記憶部46および挿入用描写データリスト461を記憶する挿入用描写データ記憶部47をそれぞれ有している。以下、各記憶部について具体的に説明する。
【0027】
プログラム記憶部41は、所定のプログラムを記憶するものであり、本実施形態では、描写データ記録再生プログラム1が記憶されている。
【0028】
描写データ記憶部42は、前記描写用入力手段3により指定された位置座標などを所定の時間間隔毎に描写データリスト421として記録するものである。本実施形態では、図4に示すように、記録開始から所定の時間間隔毎に記録されたデータのデータ数Tを記録するデータ数欄と、タイマー等により計測される記録開始からの実時間Timeを記録する実時間欄と、そのデータ数Tにおいて前記描写用入力手段3が指定した表示手段2上の位置座標(x,y)を記録するx座標欄およびy座標欄と、その位置座標(x,y)において左クリックまたは右クリックされることにより線描写指令信号またはオブジェクト選択信号が入力されたか否かのクリック状態cdを記録するクリック状態欄と、前記位置座標において選択されたオブジェクトの識別番号miを記憶するオブジェクト識別番号欄とを有する描写データリスト421が記録されている。
【0029】
本実施形態において、クリック状態欄には、前記位置座標(x,y)において線描写指令信号またはオブジェクト選択信号が入力されている場合には「1」が記録され、入力されていない場合には「2」が記録される。
【0030】
また、オブジェクト識別番号欄には、選択されたオブジェクトの種類と各種類毎に付されたオブジェクトの固有番号とを結合した数値が記録されている。本実施形態では、オブジェクトの種類を画像、図形および文字の3種類に分類しており、画像の場合は(1×100+画像の番号)により算出された数値が記録され、図形の場合は(2×100+図形の番号)により算出された数値が記録され、文字の場合は(3×100+文字の番号)により算出された数値が記録される。
【0031】
オブジェクト記憶部43は、所定のオブジェクトと、そのオブジェクトが表示される位置座標とを記憶している。また、本実施形態において、各オブジェクトは、図5ないし図8に示すように、画像データリスト431、図形データリスト432、文字データリスト433およびオブジェクト座標リスト434として管理されている。
【0032】
図5に示すように、画像データリスト431には、各画像のオブジェクト識別番号miが記憶されるオブジェクト識別番号欄と、各画像の幅wobが記憶される画像幅欄と、各画像の高さhobが記憶される画像高欄と、各画像のファイル名が記憶される画像ファイル名欄とが用意されている。
【0033】
同様に、図形データリスト432には、図6に示すようにオブジェクト識別番号欄、図形幅欄、図形高欄および図形番号欄が用意されている。図形番号は、後述するオブジェクト作成手段52により作成される図形と対応した番号である。本実施形態では、直線の場合に「1」が、矢印の場合に「2」が、四角の場合に「3」が、楕円の場合に「4」が記憶される。また、文字データリスト433には、図7に示すようにオブジェクト識別番号欄、文字幅欄、文字高欄および操作キー等(図示しない)によって入力されたテキストデータを記憶させるテキストデータ欄が用意されている。
【0034】
また、図8に示すように、オブジェクト座標リスト434には、オブジェクト識別番号欄と、記録時における各オブジェクトの座標(xrob,yrob)を記憶する記録用x座標欄および記録用y座標欄と、下書き時のオブジェクトの座標(xdob,ydob)を記憶する下書用x座標欄および下書用y座標欄とが用意されている。
【0035】
以上のようにオブジェクト記憶部43には、各オブジェクトの大きさ(表示範囲)が特定される情報も合わせて記憶されている。なお、本実施形態ではオブジェクトの中心位置をオブジェクト座標として記憶させているが、オブジェクト上のどの点を記憶させるかは特に限定されるものではなく、任意に設定してよく、例えば、オブジェクトの四隅のいずれかの点の座標をオブジェクト座標として記憶するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施形態において、画像等の各オブジェクトはオブジェクト記憶部43に記憶されているが、他の記憶部に記憶されていてもよい。他の記憶部に記憶する場合、オブジェクトが記憶されているフォルダ名等を記憶させるフォルダ名欄等を用意すればよい。
【0037】
次に、チャプター用線画像データ記憶部44は、後述するチャプター用線画像データ記録手段53により、描写データ記録手段51の描写データの記録中に線描写された表示を、所定の時間間隔毎にチャプター用線画像データとして記憶するものである。本実施形態では、チャプター用線画像データとして、後述する線レイヤー作成部61により作成された線レイヤーをpngファイルに変換したものが記憶される。
【0038】
また、本実施形態におけるチャプター用線画像データ記憶部44には、前記チャプター用線画像データを管理するチャプター用リスト441が記憶されており、このチャプター用リスト441には、図9に示すように、線画像データが作成された時間におけるデータ数Tを記録するデータ数欄と、そのときの実時間Timeを記録する実時間欄と、チャプター用線画像データのファイル名を記録する線画像データファイル名欄と、そのときに表示されている各オブジェクトのオブジェクト座標(xrob,yrob)を記憶するオブジェクト座標欄とが用意されている。なお、オブジェクト座標欄は、表示されるオブジェクト数分が用意される。
【0039】
下書用描写データ記憶部45は、記録を一時停止して所定時間における下書処理をする場合に、前記描写用入力手段3により指定された位置座標等を所定の時間間隔毎に下書用描写データリスト451として記録するものである。本実施形態において、下書用描写データ記憶部45に記憶される下書用描写データリスト451に用意された各欄は、前記描写データリスト421と同じであり、図4に示すように、データ数欄、実時間欄、x座標欄、y座標欄、クリック状態欄およびオブジェクト識別番号欄となる。
【0040】
下書データ記憶部46は、前記下書用描写データリスト451に基づいて後述する下書線形データ記録手段55により作成された線形データおよび下書オブジェクト座標記録手段56により記録される下書き前後のオブジェクト座標(xrob,yrob,xdob,ydob)を記憶するものである。
【0041】
本実施形態では、線形データおよび下書き前後のオブジェクト座標(xrob,yrob,xdob,ydob)を管理する下書データリスト461を有しており、下書データリスト461は、図10に示すように、さらに細分化された、時間データを記憶する時間データリスト、下書き時に線描写された線の座標等を記憶する線座標リスト、線形データを記憶する線形データリスト、下書き前後のオブジェクト座標を記憶する下書用オブジェクト座標リストにより構成される。
【0042】
時間データリストは、データ数欄および実時間欄からなる。また、線座標リストは、描写される線の軌跡を示す座標(x,y)を記憶するx座標欄およびy座標欄とともに、各線毎にグループ分けされたグループ番号kを記憶するグループ番号欄とを有する。
【0043】
線形データリストには、線形データそのものが記憶されているが、線形データにファイル名を付してそのファイル名により管理してもよい。
【0044】
下書用オブジェクト座標リストは、オブジェクト識別番号欄と、下書き前のオブジェクト座標として記録時のオブジェクト座標(xrob,yrob)を記録する記録用x座標欄および記録用y座標欄と、下書き後のオブジェクト座標(xdob,ydob)を記録する下書用x座標欄および下書用y座標欄とを有している。
【0045】
挿入用描写データ記憶部47は、別途、描写データリスト421に挿入するためのデータを挿入用描写データリスト471として記録するためのものである。よって、挿入用描写データリスト471に記録されるデータは前記描写データリスト421と同様であり、図4に示すように、データ数欄、実時間欄、x座標欄、y座標欄、クリック状態欄およびオブジェクト識別番号欄が用意されている。
【0046】
なお、本実施形態における記憶手段4は、描写データ記録再生装置1A内に設けられているが、インターネット内のサーバー等に別途設置されていてもよい。
【0047】
演算処理手段5は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されており、図1に示すように、記憶手段4にインストールされた描写データ記録再生プログラム1を実行させることにより、主として、描写用入力手段3からの各種入力信号を描写データリスト421として前記描写データ記録部42に記録する描写データ記録手段51、任意のオブジェクトを作成して前記オブジェクト記憶部43に記憶するオブジェクト作成手段52、チャプター用線画像データ等を前記チャプター用線描写データ記憶部44に記録するチャプター用線画像データ記録手段53、下書き時の下書用描写データリスト451を前記下書用描写データ記憶部45に記録する下書用描写データ記録手段54、前記下書用描写データリスト451に基づき線形データを前記下書データリスト461に記録する下書線形データ記録手段55、下書き前後のオブジェクト座標(xrob,yrob,xdob,ydob)を前記下書データリスト461に記録する下書オブジェクト座標記録手段56、前記挿入用描写データリスト471を前記挿入用描写データ記憶部47に記録する挿入用描写データ記録手段57、前記挿入用描写データリスト471を前記描写データリスト421の任意の時間帯に挿入する描写データ挿入手段58、前記描写データリスト421の任意の時間帯を削除する描写データ削除手段59および前記描写データ記録部42に記録された描写データリスト421に基づき線図やオブジェクトを表示手段2に表示させる描写データ再生手段60としてそれぞれ描写データ記録再生装置1Aを機能させるようにされている。以下、演算処理手段5における各構成部についてより詳細に説明する。
【0048】
描写データ記録手段51は、図2に示すように、描写用入力手段3から送信される位置指定信号、線描写指令信号およびオブジェクト選択信号を受信し、受信した各信号に基づいて描写用入力手段3により指定された位置座標(x,y)、その位置座標(x,y)における線描写指令信号またはオブジェクト選択信号の有無、および、選択されたオブジェクトのオブジェクト識別番号miを描写データリスト421として所定の時間間隔毎に描写データ記憶部42に記録するものである。
【0049】
オブジェクト作成手段52は、予め用意された図形、または、操作キー等(図示しない)によって入力された文字の幅wob、高さhobおよび座標(xrob,yrob)を指定して図形データまたは文字データを作成し、それらデータをオブジェクト記憶部43に記憶させるためのものである。本実施形態では、図3に示すように、図形データとして直線、矢印、四角および楕円が用意されており、描写用入力手段3等により図形データを指定することができる。また、描写用入力手段3等により図形幅wob、図形高hobおよびオブジェクト座標(xrob,yrob)を指定し、オブジェクト記憶部43に記憶させることができる。同様に、文字データの場合、操作キー等(図示しない)によって入力された文字データを描写用入力手段3により文字幅wob、文字高hobおよびオブジェクト座標(xrob,yrob)を指定し、オブジェクト記憶部43に記憶させることができる。
【0050】
チャプター用線画像データ記録手段53は、前記描写データ記録手段51による描写データの記録中やユーザからの任意のチャプター作成指示を受けることにより、表示手段2に表示される線描写を所定の時間間隔毎にチャプター用線画像データに変換し、前記チャプター用線画像データ記憶部44に記録するものである。
【0051】
本実施形態では、後述する線レイヤー作成部61により作成された線レイヤーを取得し、チャプター用線画像データに変換している。また、チャプター用線画像データは、記録開始時、この記録開始後から所定の時間間隔毎の記録時および記録停止時においてそれぞれ変換され、記録されている。
【0052】
さらに、描写データ挿入手段58または描写データ削除手段59により描写データリスト421の一部挿入や一部削除が行われた場合、任意または自動的に、前記描写データリスト421の初めから終わりにかけて前記チャプター用線画像データを再構成して、チャプター用線画像データ記憶部44に記録することができる。
【0053】
なお、チャプター用線画像データを記録する所定の時間間隔は、適宜選択されるものであり、本実施形態では、前記描写データ記録手段51により記録された描写データリスト421の記録間隔よりも長い時間間隔に設定されている。また、本実施形態では、線レイヤーをpngデータに変換しているが、画像データであれば特に限定されるものではなく、jpgデータ、bmpデータ等の種々の画像形式を適宜選択してよい。
【0054】
下書用描写データ記憶手段54は、前記描写データ記録手段51の記録を一時停止して線描写の下書き処理またはオブジェクトの下書き処理をする場合、下書きの開始が指示されてから下書きの終了が指示されるまでの間における、位置指定信号、線描写指令信号およびオブジェクト選択信号を受信し、指定された位置座標、その位置座標における線描写指令信号またはオブジェクト選択信号の有無、および、選択されたオブジェクトのオブジェクト識別番号を、所定の時間間隔毎に下書用描写データリスト451として下書用描写データ記憶部45に記録するものである。
【0055】
下書線形データ記録手段55は、前記下書描写データ記憶部45に記憶された下書用描写データリスト451を時系列の順番に取得し、前記線描写指令信号が連続している前記位置座標(x,y)を抽出するとともに、それら抽出された前記位置座標(x,y)同士を線で連結し、その線形データとして下書データ記憶部46に記録させるものである。
【0056】
本実施形態では、図11に示すように、下書用描写データリスト451から線描写指令信号が連続している前記位置座標(x,y)を抽出する。抽出された連続している位置座標(x,y)同士は1つのグループとしてグループ番号kが付され、図10に示すように、位置座標(x,y)とともに下書データ記憶部46の線座標リストに記憶される。また、同じグループ番号k同士の位置座標(x,y)は一本の線で結ばれ、線形データとして下書データ記憶部461の線形データリストに記憶される。
【0057】
下書オブジェクト座標記録手段56は、下書き前後の前記オブジェクトの位置座標(xrob,yrob,xdob,ydob)を取得し、前記下書データ記憶部46に記録させるものである。本実施形態では、まず、前記下書用描写データ記憶手段54によりオブジェクトが選択されていると判別された場合、前記オブジェクト記憶部43のオブジェクト座標リスト434に記憶されている下書用オブジェクト座標を描写用入力手段により指定された位置座標(xdob,ydob)に書き換える。この書き換えは、下書き処理中、常に行われる。そして、下書き終了後にそのオブジェクト座標リスト434に記憶されている記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)および下書用オブジェクト座標(xdob,ydob)を取得し、各座標を下書データリスト461に記憶させている。よって、記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)が下書き前のオブジェクト座標となり、下書用オブジェクト座標が下書き後のオブジェクト座標(xdob,ydob)となる。
【0058】
挿入用描写データ記録手段57は、描写データ記憶部42に記憶された描写データリスト421とは別の描写データリストを任意の時間帯に挿入処理する場合の挿入用描写データリスト471を作成するためのものである。その動作は、前記描写データ記録手段51と同様に、位置指定信号、線描写指令信号およびオブジェクト選択信号を受信し、指定された位置座標(x,y)、その位置座標(x,y)における線描写指令信号またはオブジェクト選択信号の有無、および、選択されたオブジェクトのオブジェクト識別番号を所定の時間間隔毎に挿入用描写データリスト471として挿入用描写データ記憶部47に記録する。
【0059】
描写データ挿入手段58は、描写データ記憶部42に記憶された描写データリスト421に対し、任意の時間帯に前記挿入用描写データリスト471を挿入するためのものである。挿入用描写データリスト471が挿入された描写データリスト421は、データ数Tおよび実時間Timeに、挿入された時間帯分のデータ数および実時間が加えられる。また、挿入された時間帯以降の描写データリスト421にも同様に、挿入された時間分のデータ数Tおよび実時間Timeが加えられる。
【0060】
描写データ削除手段59は、描写データ記憶部42に記憶された描写データリスト421の任意の時間帯を削除するためのものである。削除された時間帯以降の描写データリスト421は、削除された時間帯分のデータ数Tおよび実時間Timeが差し引かれる。
【0061】
描写データ再生手段60は、描写データ記録手段42による記録時、および、記録後において再生する際の再生時に、描写データ記憶部42の描写データリスト421を時系列の順番に取得し、線およびオブジェクトを表示手段2に表示させるものである。本実施形態では、線レイヤー作成部61、オブジェクトレイヤー作成部62およびオブジェク座標書換部63を備えている。
【0062】
線レイヤー作成部61は、描写データ記憶部42の描写データリスト421から線描写に関する各位置座標(x,y)を時系列の順番に取得し、線描写指令信号が連続している位置座標(x,y)同士を時系列順に線で連結していく過程を描写して線レイヤーを作成するものである。本実施形態において、作成される線レイヤーの背景色は透明であり、オブジェクトレイヤー作成部62により作成されるオブジェクトレイヤーの前面に重ね合わせることで後側のオブジェクトレイヤーが視認できるようになっている。
【0063】
オブジェクトレイヤー作成部62は、オブジェクト記憶部43から所定のオブジェクトおよびそのオブジェクト座標(xrob,yrob)を取得して前記オブジェクトを描写したオブジェクトレイヤーを作成するものである。本実施形態において、作成されるオブジェクトレイヤーの背景色は不透明である。よって、前回に表示された線レイヤーおよびオブジェクトレイヤーの前面に重ね合わせることで、前回の表示を消去することができる。
【0064】
本実施形態における描写データ再生手段60は、基本的に、図22に示すように、前回の表示よりも前面にオブジェクトレイヤーを重ね、さらに、そのオブジェクトレイヤーの前面に線レイヤーを重ねて表示させている。
【0065】
ただし、オブジェクトが移動していたときには、図23に示すように、移動したオブジェクトをオブジェクトレイヤーに描写せず、オブジェクトレイヤーは前回の表示を消去するために表示され、オブジェクトは線レイヤーよりも前面に重ねて描写される。これは、オブジェクトの移動時にオブジェクトが描写された線で隠れるのを防ぐためである。
【0066】
オブジェクト座標書換部63は、オブジェクトの選択に関する情報が追加された描写データリスト421を時系列の順番に取得し、オブジェクトが連続的に選択されていた場合、すなわちオブジェクトが移動された場合に、その選択信号が入力された位置座標(x,y)の変化分だけ記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)を書き換えるものである。本実施形態では、オブジェクト記憶部43に記憶された記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)を、描写データリスト421の位置座標(x,y)に置き換えるようになっている。
【0067】
次に、本実施形態の描写データ記録再生プログラム1によって実行される描写データ記録再生装置1Aの作用および描写データ記録再生方法についてフローチャートおよび図面を用いて説明する。
【0068】
図12は本実施形態における描写データ記録手段51が実行された際の作用を示すフローチャート図であり、図13〜図16は、本実施形態における描写データ記録手段51の実行例を示す表示画面図である。また、図4は、当該実行例のデータ数T=1〜16までを記録した描写データリスト421である。
【0069】
図12に示すように、描写データ記録手段51が実行されると、まず初期値としてデータ数Tが0に設定される(初期値設定ステップ:S101)。なお、描写データ記録手段51による描写データリスト421の記録が途中から追加記録される場合は前回のデータ数T−1が用いられる。
【0070】
次に、データ数Tにおける記録開始からの実時間Timeをタイマーにより計測し、その実時間を取得する(実時間計測ステップ:S102)。データ数とは別に実時間Timeを記録することで、コンピュータの処理性能に関係なく、記録した実時間Timeで再生することができるようにするためである。
【0071】
描写用入力手段3からの位置指定信号を受信し、指定された位置座標(x,y)を取得する(位置座標取得ステップ:S103)。また、描写用入力手段3から線描写指令信号またはオブジェクト選択信号が発信されているかをマウスボタンがクリックされたか否かにより判別する(クリック状態判別ステップ:S104)。本実施形態では、クリックされていた場合(S104:YES)、クリック状態cdを「1」とし、クリックされていない場合(S104:NO)、クリック状態cdを「2」とする(クリック状態決定ステップ:S105a,S105b)。
【0072】
例えば、図13〜図16におけるデータ数T=1〜3、5〜7、9〜10では、描写用入力手段3から線描写指令信号が入力され、左クリックされており、図4に示すように、クリック状態cdは1として記録されている。また、データ数T=12〜14では、オブジェクトが選択され右クリックまたは左クリックされており、クリック状態cdは1として記録されている。
【0073】
次に、記録中にオブジェクトが選択、移動または解除されたかを判別する。具体的には、まず、前回のデータ数(T−1)における描写データリストのオブジェクト識別番号欄miが0か否かを判別する(オブジェクト識別番号判別ステップ:S106)。
【0074】
オブジェクト識別番号miが0である場合(S106:YES)、オブジェクトが選択されたか否かを判別するため、オブジェクト上で右クリックされたか否かを判別する(オブジェクト選択判別ステップ:S107)。オブジェクト上で右クリックされていた場合(S107:YES)は、オブジェクトが選択されたと判断して当該オブジェクトのオブジェクト識別番号miを取得する(オブジェクト識別番号決定ステップ:S109a,S109b)。本実行例では図4および図15におけるデータ数T=12がオブジェクトの選択が実行された場合に相当する。
【0075】
一方、オブジェクト上で右クリックされていない場合(S107:NO)は、オブジェクトは選択されていないとしてオブジェクト識別番号miは0とする(S109b)。
【0076】
また、S106においてオブジェクト識別番号miが0でない場合(S106:NO)、オブジェクトは前回のデータ数(T−1)以前に選択されていたことになる。そこで、連続的にオブジェクトが選択されたか否か、すなわち、オブジェクトが移動されたか否かを判別するため、オブジェクト上でクリックされたか否かを判別する(オブジェクト移動判別ステップ:S108)。なお、本実施形態では、オブジェクトを移動させる際には、右クリック、左クリックの判別はせず、オブジェクト上でクリックされたか否かを判別している。
【0077】
S108において、オブジェクト上でクリックされたと判別された場合(S108:YES)、オブジェクトは移動されたものとして、オブジェクト識別番号miを取得する(S109a)。これにより、オブジェクトが連続的に選択された情報が描写データリスト421に記録されることになる。図4および図16におけるデータ数T=13〜14がオブジェクトの移動が行われた場合に相当する。
【0078】
一方、オブジェクト上でクリックされなかったと判別された場合(S108:NO)、オブジェクトの選択が解除されたものとして、オブジェクト識別番号miを0とする(S109b)。図4および図16のデータ数T=16がオブジェクトの選択が解除された場合に相当する。
【0079】
次に、前述の処理により取得または判別し、決定されたデータ数T、実時間Time、位置座標(x,y)、クリック状態cdおよびオブジェクト識別番号miを描写データ記憶部42に描写データリスト421として記録する(描写データ記録ステップ:S110)。なお、本実施形態では、全てのデータを取得等してから描写データリスト421に記録させているが、これに限定されるものではなく,データの取得等をするごとにその都度記録させるようにしてもよい。
【0080】
最後に、記録終了の指示があるかを判別する(記録終了判別ステップ:S111)。記録終了が指示されていない場合(S111:NO)、所定時間待機し(時間待機ステップ:S112)、その後、データ数Tに1を加えて(データ数加算ステップ:S113)、S111において記録の終了が指示されるまでS102〜S110を繰り返される。一方、記録終了が指示された場合(S111:YES)、処理を終了する。
【0081】
以上のように、描写データリスト421に記憶される時系列データは、データ数T等の値を示すテキストデータのみであり、動画などと比較して飛躍的にデータ容量が低減する。
【0082】
次に、前記描写データ記録手段51の記録を停止して線描写の下書き処理またはオブジェクトの下書き処理をする場合について説明する。まず、下書用描写データ記録手段54による下書用描写データリスト451の記録、および、それとともに実行される下書用オブジェクト座標記録手段56について図17を用いて説明する。なお、下書用描写データ記録手段54による下書き処理の開始が指示されてから下書きの終了が指示されるまでの間における下書用描写データリスト451の記録ステップは、描写データ記録手段51による描写データリスト421の記録ステップと同等である。よって、下書用描写データ記録手段54の各ステップのうち、上述した描写データ記録手段51のステップと同等または相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0083】
まず、下書用描写データ記録手段54は、下書き処理開始とともに、初期値設定ステップ(S101)、実時間計測ステップ(S102)、クリック状態判別ステップ(S104)、クリック状態決定ステップ(S105)を実行する。なお、本実施形態では、下書き処理におけるデータ数はnとしており、描写データリストにおけるデータ数Tと区別している。
【0084】
次に、下書き処理中にオブジェクトが選択されたか否か、または移動されたか否かを判別するため、オブジェクト識別番号判別ステップ(S106)、オブジェクト選択判別ステップ(S107)、オブジェクト移動判別ステップ(S108)を実行し、オブジェクト識別番号決定ステップ(S109)により、オブジェクト識別番号miを決定する。
【0085】
ここで、下書用オブジェクト座標記録手段56は、オブジェクトが選択された場合(S107:YES)、または、オブジェクトが移動された場合(S108:YES)にオブジェクト記憶部43のオブジェクト座標リスト434における下書用オブジェクト座標(xdob,ydob)を位置座標(x,y)に書き換える(下書用オブジェクト座標書換ステップ:S201)。
【0086】
下書用描写データ記録手段54は、各種データを下書用描写データ記憶部45に下書用描写データリスト451として記録し(S110)、下書きが終了されるまで処理を繰り返す(S102〜S111)。
【0087】
一方、下書用オブジェクト座標記録手段56は、下書き処理が終了されると(S111:YES)、オブジェクト記憶部43のオブジェクト座標リストからオブジェクト座標リスト434を取得し(オブジェクト座標取得ステップ:S202)、そのオブジェクト座標(xrob,yrob,xdob,ydob)を下書データリスト461に記録に記録し(オブジェクト座標記録ステップ:S203)、下書用描写データ記録手段54および下書用オブジェクト座標記録手段56による処理を終了する。
【0088】
次に、下書線形データ記録手段55について説明する。下書線形データ記録手段55は、図18に示すように、まず、初期値を設定する(初期値設定ステップ:S301)。本実施形態では、データ数nが0に設定されている。また、抽出された連続している位置座標同士をグループ分けするためのグループ番号kが0に設定されている。さらに、グループ番号をカウントするために用いられるフラグflgがfalseとして設定されている。
【0089】
次に、下書用描写データリスト451からデータ数nの各データを取得する(下書用描写データ取得ステップ:S302)。
【0090】
次のステップでは、下書用描写データリスト451から線描写指令信号が連続している位置座標を抽出する。まず、線描写が指令されているか否かを判別するため、下書用描写データリストのクリック状態cdが1であり、かつオブジェクト識別番号miが0であるか否かを判別する(線描写指令判別ステップ:S303)。もし、この条件が満たされている場合(S303:YES)は、下書用描写データリストの位置座標(x,y)およびグループ番号kを下書データリストに記録する(下書データ記録ステップ:S304)。そして、フラグflgをfalseからtrueに切り換える(フラグ切り換えステップ:S307a)。
【0091】
一方、下書用描写データリストのクリック状態cdが1で、かつオブジェクト識別番号miが0である条件を満たさない場合(S303:NO)、すなわち線描写が指令されていない場合は、flgがtrueか否かを判別する(フラグ判別ステップ:S305)。グループ番号を変更するかを判別するためである。
【0092】
flgがtrueの場合(S305:YES)、グループ番号kをカウントして新しいグループ番号に変更し(グループ番号変更ステップ:S306)、フラグflgをtrueからfalseに切り換える(フラグ切り換えステップ:S307b)。
【0093】
一方、S305においてflgがfalseの場合(S305:NO)、グループ番号の変更およびフラグの切り換えは実行されず、次のステップS308に進む。
【0094】
次のステップS308では、データ数nに1を加え(データ数カウントステップ:S308)、次のステップで、全データの抽出処理を行ったか否かを判別するため、データ数nが下書用描写データリスト451に記録された最大の記録データ数nmaxを越えているか否かを判別する(抽出終了判別ステップ:S309)。
【0095】
データ数nが記録データ数nmaxを越えていない場合(S309:NO)は、S302〜S308を繰り返し、データ数nが記録データ数nmaxを越えた場合(S309:YES)は、次のステップS310に進む。
【0096】
次のステップS310以降では、線形データを作成する。まず、データ数nを初期値0に戻す(初期値設定ステップ:S310)。そして、下書用描写データリスト451に記録されたデータ数nにおける位置座標(x,y)およびグループ番号kと、データ数n+1における位置座標(xn+1,yn+1)およびグループ番号kn+1を取得する(位置座標取得ステップ:S311)。
【0097】
そして、取得されたデータ数nにおける位置座標(x,y)とデータ数n+1における位置座標(xn+1,yn+1)のグループが同一か否かを判別する(グループ判別ステップ:S312)。
【0098】
グループが同一ならデータ数nにおける位置座標(x,y)およびデータ数n+1における位置座標(xn+1,yn+1)を線で連結し、線形データを作成する(線形データ作成ステップ:S313)。
【0099】
そして、データ数nに1を加え(データ数カウントステップ:S314)、下書用描写データリストの全データに対して線形データの作成処理を行ったか否かを判別するため、データ数nが下書用描写データリストに記録された最大の記録データ数nmaxを越えているか否かを判別する(線形データ作成終了判別ステップ:S315)。
【0100】
データ数nが記録データ数nmaxを越えていない場合(S315:NO)、全データに対して線形データ作成処理が終了するまでS311〜S314を繰り返す。一方、データ数nが記録データ数nmaxを越えた場合(S315:YES)は、作成された線形データを下書データリストに記録し(線形データ記録ステップ:S316)、処理を終了する。
【0101】
次に、描写データ再生手段60について図19〜21を用いて説明する。
【0102】
まず、初期値を設定する(初期値設定ステップ:S401)。本実施形態では、データ数Tを0として設定している。なお、再生を途中から開始する場合、データ数Tを任意に設定すればよい。
【0103】
次に、線レイヤー作成手段61により線レイヤーを作成する(線レイヤー作成ステップ:S402)。具体的には、図20に示すように、まず、データ数Tにおける描写データ記憶部42に記憶された描写データリスト421を取得する(描写データリスト取得ステップ:S501)。次に、下書データ記憶部46の下書データリスト461にデータ数Tおける下書データがあるか否かを判別する(下書データ有無判別ステップ:S502)。データ数Tにおける下書データがある場合(S502:YES)、下書データリスト461から線形データを取得し(線形データ取得ステップ:S503)、その線形データを線レイヤーに描写し(線形データ描写ステップ:S504)、次のステップS505に進む。
【0104】
また、下書データがない場合(S502:NO)は、直ちに次のステップS505に進む。
【0105】
次のステップS505以降では、データ数Tにおいて、線描写指令信号が入力されているか否かを判別するため、クリック状態cdが1であり、かつオブジェクト識別番号miが0であるか否かを判別する(線描写指令信号判別ステップ:S505)。
【0106】
クリック状態cdが1であり、かつオブジェクト識別番号miが0であった場合(S505:YES)は、連続して線描写指令信号が入力されているか否かを判別するため、描写データリスト421の前回のデータ数T−1における各種データを取得し(前回の描写データリスト取得ステップ:S506)、クリック状態cdTー1が1であり、かつオブジェクト識別番号miTー1が0であるか否かを判別する(前回の線描写指令信号判別ステップ:S507)。
【0107】
S507においてクリック状態cdTー1が1であり、かつオブジェクト識別番号miTー1が0であった場合(S508:YES)、データ数T−1における位置座標(xTー1,yTー1)とデータ数Tにおける位置座標(x,y)とを線で連結して線レイヤーに描写し、描写データ再生手段60の処理へと戻る。
【0108】
一方、データ数Tにおいて、クリック状態cdが1であり、かつオブジェクト識別番号miが0でなかった場合(S505:NO)、および、データ数T−1において、クリック状態cdTー1が1であり、かつオブジェクト識別番号miTー1が0でなかった場合(S507:NO)は、線レイヤーに線を描写せずに描写データ再生手段60の処理へと戻る。
【0109】
描写データ再生手段60の次のステップS403では、オブジェクトレイヤー作成手段62によりオブジェクトレイヤーが作成される(オブジェクトレイヤー作成ステップ:S403)。具体的には、図21に示すように、まず、データ数Tにおける描写データ記憶部42に記憶された描写データリスト421を取得する(描写データリスト取得ステップ:S601)。次に下書データ記憶部46の下書データリスト461にデータ数Tおける下書データがあるか否かを判別する(下書データ有無判別ステップ:S602)。下書データがある場合(S602:YES)、下書き前後のオブジェクト座標を取得するため、下書データリスト461から記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)および下書用オブジェクト座標(xdob,ydob)を取得する(オブジェクト座標取得ステップ:S603)。
【0110】
次に、オブジェクトが下書き中に移動したか否かを判別するため、記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)と下書用オブジェクト座標(xdob,ydob)とが等しいか否かを判別する(オブジェクト移動判別ステップ:S604)。記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)と下書用オブジェクト座標(xdob,ydob)とが等しく、オブジェクトが移動していないと判別された場合(S604:YES)、当該オブジェクトをオブジェクトレイヤーの記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)の位置に描写する。
【0111】
一方、下書き中にオブジェクトが移動したと判別された場合(S604:NO)、当該オブジェクトの記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)は、下書用オブジェクト座標(xdob,ydob)に書き換えられる(オブジェクト座標書換ステップ:S605)。そして、そのオブジェクトをオブジェクトレイヤーに描写し(下書オブジェクト描写ステップ:S606)、次のステップS607に進む。また、下書データがない場合(S602:NO)は直ちに次のステップS607に進む。
【0112】
次のステップSでは、オブジェクト座標書換部63により、オブジェクトが移動されている場合のオブジェクト座標(xrob,yrob)の書き換えが行われる。まず、データ数Tにおいて、オブジェクトが選択選択されているか否かを判別するため、クリック状態cdが1であり、かつオブジェクト識別番号miが0以外であるか否かを判別する(オブジェクト選択判別ステップ:S607)。
【0113】
クリック状態cdが1であり、かつオブジェクト識別番号miが0以外であった場合(S607:YES)は、連続してオブジェクトが選択されることでオブジェクトが移動しているか否かを判別するため、データ数T−1における描写データリストを取得し(前回の描写データリスト取得ステップ:S608)、クリック状態cdTー1が1であり、かつオブジェクト識別番号miTー1が0以外であるか否かを判別する(前回のオブジェクト選択判別ステップ:S609)。
【0114】
S609においてクリック状態cdTー1が1であり、かつオブジェクト識別番号miTー1が0以外であった場合(S609:YES)は、オブジェクト記憶部43に記憶されたオブジェクト座標リスト434の記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)をデータ数Tにおける位置座標(x,y)に書き換える(オブジェクト座標書換ステップ:S610)。一方、データ数Tにおいて、クリック状態cdが1であり、かつオブジェクト識別番号miが0以外でなかった場合(S607:NO)、および、データ数T−1において、クリック状態cdTー1が1であり、かつオブジェクト識別番号miTー1が0以外でなかった場合(S609:NO)は、記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)を書き換えずに次のステップS611に進む。
【0115】
次のステップS611では、オブジェクト記憶部43に記憶されたオブジェクト座標リスト434の記録用オブジェクト座標(xrob,yrob)を取得し(オブジェクト座標取得ステップ:S611)、オブジェクトをオブジェクトレイヤーに描写し(オブジェクト描写ステップ:S612)、描写データ再生手段60の処理に戻る。
【0116】
図19に戻り、描写データ再生手段60の次の処理ステップS404では、線レイヤーとオブジェクトレイヤーとを重ね合わせて表示手段に表示させる(レイヤー表示ステップ:S404)。本実施形態では、図22に示すように、前回の表示の前面にオブジェクトレイヤーを重ね、さらに、そのオブジェクトレイヤーの前面に線レイヤーを重ねて表示させている。
【0117】
また、オブジェクトが移動されているときには、図23に示すように、オブジェクトレイヤー作成部62は、移動したオブジェクトをオブジェクトレイヤーに描写せず、オブジェクトレイヤーは前回の表示を消去するために表示させ、オブジェクトは線レイヤーよりも前面に重ねて描写するようにしている。
【0118】
よって、オブジェクトレイヤーにより前回の表示を消去することで、オブジェクトが移動されたときに、移動前のオブジェクトの表示を消去することができ、同じオブジェクトが消されずに残って複数表示されてしまうことを防ぐことができる。
【0119】
描写データ再生手段60の次の処理ステップS405では、データ数Tに1を加え(データ数カウントステップ:S405)、描写データリスト421の全データに対して再生処理を行ったか否かを判別するため、データ数Tが描写データリスト421に記録された最大の記録データ数Tmaxを越えていないか、または、再生終了の指示がされたか否かを判別する(再生終了判別ステップ:S406)。
【0120】
データ数Tが記録データ数Tmaxを越えていない場合か、または、再生終了の指示がされていない場合(S406:NO)、実時間分待機し(実時間待機ステップ:S407)、S406においてデータ数Tが記録データ数Tmaxを越えるか、または、再生終了の指示がされるまでS402〜S405を繰り返される。一方、データ数Tが記録データ数Tmaxを越えるか、または、再生終了の指示がされた場合(S406:YES)、処理を終了する。
【0121】
以上のように、描写データ再生手段60は、描写データリスト421を取得することで、記録された線の描写およびオブジェクトの描写を実行することができる。
【0122】
次に、チャプター用線画像データ記録手段53について、図24のフローチャートを用いて説明する。
【0123】
チャプター用線画像データ記録手段53は、前記描写データ記録手段51による描写データの記録開始と同時に記録を開始する。本実施形態では、まず、線レイヤー作成部61により作成された線レイヤーを取得する(線レイヤー取得ステップ:S701)。次に、取得した線レイヤーをチャプター用線画像データに変換する(線画像データ変換ステップ:S702)。そして、S702で変換されたチャプター用線画像データにファイル名を付してチャプター用線画像データ記憶部44に記録する(線画像データ記録ステップ:S703)。また、チャプター用リスト441をチャプター用線画像データ記憶部44に記録する(チャプター用リスト記録ステップ:S704)。
【0124】
そして、描写データ記録手段51による描写データの記録が停止されたか否かを判別する(記録停止判別ステップ:S705)。記録が停止されていない場合(S705:NO)、所定の時間待機し(時間待機ステップ:S706)、記録が停止されるまでS701からS704を繰り返す。一方、記録が停止された場合(S705:YES)、S701からS704を実行し、記録停止時のチャプター用画像データおよびチャプター用リスト441をチャプター用画像データ記憶部44に記憶させる。
【0125】
また、描写データ削除手段59により描写データ記憶部42に記録された描写データリスト421の部分的な記録の削除が実行されたり、描写データ挿入手段58により挿入用描写データリスト471の挿入が行われた場合、チャプター用線画像データ記録手段53は、ユーザの指示または自動的に、前記描写データリストの初めから終わりにかけてチャプター用線画像データを再構成して前記チャプター用線画像データ記憶部44に記録させるようにしてもよい。
【0126】
次に、描写データ再生手段60によるチャプター用線画像データの再生について説明する。まず、チャプター表示させる任意のデータ数Tを指定する(チャプター指定ステップ:S801)。なお、本実施形態においては、図3に示す表示手段に表示され、記録時間と対応づけたスライド表示を用いることで指定しているが、指定方法は適宜選択されるものであり、データ数Tや実時間Time等の数値を入力することで指定できるようにしてもよい。
【0127】
次に、チャプター用線画像データ記憶部44に記憶されたチャプター用リスト441から指定されたデータ数Tにおけるデータを取得し、そのチャプター用リスト441の線画像データファイル名に基づき、チャプター用線画像データを取得する(線画像データ取得ステップ:S802)。
【0128】
次のステップでは、取得されたチャプター用線画像データを線レイヤー作成部61により線レイヤーに描写させる(チャプター用線レイヤー作成ステップ:S803)。
【0129】
また、チャプター用リスト441から指定されたデータ数Tにおけるデータを取得し、そのチャプター用リスト441のオブジェクト座標(xrob、xrob)を取得する(オブジェクト座標取得ステップ:S804)。そして、取得されたオブジェクト座標(xrob、xrob)に基づき、オブジェクトレイヤー作成部62によりオブジェクトをオブジェクトレイヤーに描写させる(チャプター用オブジェクトレイヤー作成ステップ:S805)
【0130】
最後に、線レイヤーとオブジェクトレイヤーとを重ね合わせて、表示手段2に表示させ(レイヤー表示ステップ:S806)、処理を終了する。
【0131】
このように、チャプター用線画像データを用意しておくことにより、記録の開始時点から再生する必要がなく、任意の時間における線描写およびオブジェクト描写を行うことができ、途中からの記録の確認や修正などを容易に行うことができる。
【0132】
以上のような本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
1.描写データリストに記憶される時系列データは、データ数T等の値を示すテキストデータのみであり、動画などと比較して飛躍的にデータ容量を低減することができる。
2.記録の再生は記録時と同様に、線描写およびオブジェクト描写が表示画面上で行われるため、見やすく臨場感のある再生が可能となる。
3.前回までの線描写を残した線レイヤーと前回までのオブジェクト描写を残さないオブジェクトレイヤーを用いることで、連続した線描写とともにオブジェクトの移動を行うことができる。
4.チャプターを用意することにより、記録または再生処理を記録の途中から容易に行うことができる。
5.下書きされた線や下書き中に移動されたオブジェクトも描写データとして記録された線やオブジェクトとともに再生することができる。
6.描写データリストの一部の削除や挿入が行われても、チャプターを再構築することができる。
【0133】
なお、本発明に係る描写データ記録再生プログラム1および描写データ記録再生装置1Aならびに描写データ記録再生方法は、前述した一実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0134】
例えば、音声を入力する音声入力手段を有していてもよく、線やオブジェクトの描写とともに、音声データを再生することができるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 描写データ記録再生プログラム
1A 描写データ記録再生装置
2 表示手段
3 描写用入力手段
4 記憶手段
5 演算処理手段
41 プログラム記憶部
42 描写データ記憶部
43 オブジェクト記憶部
44 チャプター用線画像データ記憶部
45 下書用描写データ記憶部
46 下書データ記憶部
47 挿入用描写データ記憶部
51 描写データ記憶手段
52 オブジェクト作成手段
53 チャプター用線画像データ記録手段
54 下書用描写データ記録手段
55 下書線形データ記録手段
56 下書オブジェクト座標記録手段
57 挿入用描写データ記録手段
58 描写データ挿入手段
59 描写データ削除手段
60 描写データ再生手段
61 線レイヤー作成部
62 オブジェクトレイヤー作成部
63 オブジェクト座標書換部
421 描写データリスト
431 画像データリスト
432 図形データリスト
433 文字データリスト
434 オブジェクト座標リスト
441 チャプター用リスト
451 下書用描写データリスト
461 下書データリスト
471 挿入用描写データリスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段上の任意の位置を指定するとともに、その指定した位置における線描写を指令するための線描写指令信号を入力する描写用入力手段と、
指定された前記位置の座標およびこの位置座標における前記線描写指令信号の有無を所定の時間間隔毎に描写データリストとして描写データ記憶部に記録する描写データ記録手段と、
前記描写データ記憶部の前記描写データリストから前記線描写に関する各位置座標を時系列の順番に取得し、前記線描写指令信号が連続している前記位置座標同士を時系列順に線で連結していく過程を前記表示手段に再生表示させる描写データ再生手段として
コンピュータを機能させる描写データ記録再生プログラム。
【請求項2】
前記表示手段に前記線描写とともに任意のオブジェクトを表示させる場合、前記描写データ再生手段は、前記描写データ記憶部から前記位置座標を取得して前記線描写された線レイヤーを作成する線レイヤー作成部と、オブジェクト記憶部から所定のオブジェクトおよびそのオブジェクト座標を取得して前記オブジェクトが表示されたオブジェクトレイヤーを作成するオブジェクトレイヤー作成部とを有しており、再生時に前記線レイヤーと前記オブジェクトレイヤーとを重ね合わせて前記表示手段に表示させるようにコンピューターを機能させる請求項1に記載の描写データ記録再生プログラム。
【請求項3】
前記描写用入力手段は、前記オブジェクトを移動させる際に所定の前記オブジェクトを選択するためのオブジェクト選択信号を入力できる機能を備えており、
前記描写データ記録手段は、前記オブジェクト選択信号が入力された位置の座標が前記オブジェクトの表示範囲内である場合に前記オブジェクトが選択されたと判断して前記オブジェクトの選択に関する情報を前記所定の時間間隔毎に前記描写データリストに記録し、
前記描写データ再生手段は、前記オブジェクトの選択に関する情報が追加された前記描写データリストを時系列の順番に取得し、前記オブジェクトが連続的に選択されていた場合にその選択信号が入力された前記位置座標の変化分だけ前記オブジェクト座標を書き換えるオブジェクト座標書換部を有しており、このオブジェクト座標書換部により書き換えられた前記オブジェクト座標に基づいて前記オブジェクトレイヤー作成部が前記オブジェクトレイヤーを作成するようにコンピュータを機能させる請求項2に記載の描写データ記録再生プログラム。
【請求項4】
前記描写データ記録手段により記録する場合、記録開始時、この記録開始後から所定の時間間隔毎の記録時および記録停止時において、前記表示手段上に描写された線描写をチャプター用線画像データに変換してチャプター用線画像データ記憶部に記録するチャプター用線画像データ記録手段を有し、
前記描写データ再生手段は、前記チャプター用線画像データ記憶部に記録された前記チャプター用線画像データのうちから任意の時間帯の前記チャプター用線画像データを選択して前記表示手段に表示しうるようにコンピュータを機能させる請求項1から請求項3のいずれかに記載の描写データ記録再生プログラム。
【請求項5】
前記描写データ記録手段の記録を停止して線描写の下書き処理する場合、前記描写用入力手段で指定された位置座標およびこの位置座標における前記線描写指令信号の有無を所定の時間間隔毎に下書用描写データリストとして下書用描写データ記憶部に記録する下書用描写データ記録手段と、
前記下書用描写データ記憶部から前記下書用描写データリストを時系列の順番に取得し、前記線描写指令信号が連続している前記位置座標を抽出するとともに、それら抽出された前記位置座標同士を線で連結し、その線形データとして下書データ記憶部に記録させる下書線形データ記録手段とを有し、
下書線形データを再生表示する場合、前記描写データ再生手段が、前記下書データ記憶部から前記線形データを取得して前記表示手段に表示させるようにコンピュータを機能させる請求項1から請求項4のいずれかに記載の描写データ記録再生プログラム。
【請求項6】
前記描写データ記録手段の記録を停止してオブジェクトの下書き処理をする場合、前記描写用入力手段で移動された所定のオブジェクトおよびその位置座標を所定の時間間隔毎に下書用描写データリストとして下書用描写データ記憶部に記録する下書用描写データ記録手段と、
下書き前後の前記オブジェクトの位置座標を取得して下書データ記憶部に記録させる下書オブジェクト座標記録手段を有し、
前記描写データ再生手段は、前記オブジェクトを表示する場合、前記下書データ記憶部から下書前後の前記オブジェクト座標を読み出して比較し、両値が異なるときに前記下書き後のオブジェクト座標の位置に前記オブジェクトを表示させるようにコンピュータを機能させる請求項2から5のいずれかに記載の描写データ記録再生プログラム。
【請求項7】
前記描写データ記憶部に記録された前記描写データリストの部分的な記録の削除および/または他の描写データリストの挿入が行われた場合、前記チャプター用線画像データ記録手段は、前記描写データリストの初めから終わりにかけて前記チャプター用線画像データを再構成して前記チャプター用線画像データ記憶部に記録させるようにコンピュータを機能させる請求項4から請求項6のいずれかに記載の描写データ記録再生プログラム。
【請求項8】
表示手段上の任意の位置を指定するとともに、その指定した位置における線描写を指令するための線描写指令信号を入力する描写用入力手段と、
指定された前記位置の座標およびこの位置座標における前記線描写指令信号の有無を所定の時間間隔毎に描写データリストとして描写データ記憶部に記録する描写データ記録手段と、
前記描写データ記憶部の前記描写データリストから前記線描写に関する各位置座標を時系列の順番に取得し、前記線描写指令信号が連続している前記位置座標同士を時系列順に線で連結していく過程を前記表示手段に再生表示させる描写データ再生手段と
を有する描写データ記録再生装置。
【請求項9】
前記表示手段に前記線描写とともに任意のオブジェクトを表示させる場合、前記描写データ再生手段は、前記描写データ記憶部から前記位置座標を取得して前記線描写された線レイヤーを作成する線レイヤー作成部と、オブジェクト記憶部から所定のオブジェクトおよびそのオブジェクト座標を取得して前記オブジェクトが表示されたオブジェクトレイヤーを作成するオブジェクトレイヤー作成部とを有しており、再生時に前記線レイヤーと前記オブジェクトレイヤーとを重ね合わせて前記表示手段に表示させる請求項8に記載の描写データ記録再生装置。
【請求項10】
前記描写用入力手段は、前記オブジェクトを移動させる際に所定の前記オブジェクトを選択するためのオブジェクト選択信号を入力できる機能を備えており、
前記描写データ記録手段は、前記オブジェクト選択信号が入力された位置の座標が前記オブジェクトの表示範囲内である場合に前記オブジェクトが選択されたと判断して前記オブジェクトの選択に関する情報を前記所定の時間間隔毎に前記描写データリストに記録し、
前記描写データ再生手段は、前記オブジェクトの選択に関する情報が追加された前記描写データリストを時系列の順番に取得し、前記オブジェクトが連続的に選択されていた場合にその選択信号が入力された前記位置座標の変化分だけ前記オブジェクト座標を書き換えるオブジェクト座標書換部を有しており、このオブジェクト座標書換部により書き換えられた前記オブジェクト座標に基づいて前記オブジェクトレイヤー作成部が前記オブジェクトレイヤーを作成する請求項9に記載の描写データ記録再生装置。
【請求項11】
表示手段上の任意の位置を指定するとともに、その指定した位置における線描写を指令するための線描写指令信号を入力する描写用入力ステップと、
指定された前記位置の座標およびこの位置座標における前記線描写指令信号の有無を所定の時間間隔毎に描写データリストとして描写データ記憶部に記録する描写データ記録ステップと、
前記描写データ記憶部の前記描写データリストから前記線描写に関する各位置座標を時系列の順番に取得し、前記線描写指令信号が連続している前記位置座標同士を時系列順に線で連結していく過程を前記表示手段に再生表示させる描写データ再生ステップと
を有する描写データ記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図24】
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【図25】
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【図3】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−137566(P2012−137566A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288987(P2010−288987)
【出願日】平成22年12月25日(2010.12.25)
【出願人】(511000016)
【Fターム(参考)】