搬送装置、現像剤収容装置および画像形成装置
【課題】 現像剤収容箱全体が傾けられた場合等であっても、粉体状の被搬送体が検知部へ一気に流動してしまうことを抑制し、検知部において誤検知することを抑制する。
【解決手段】 ケーシング部内を複数の区画壁39Bで搬送方向に複数の空間39Cに区画し、各区画壁39Bに、隣り合う空間を連通させる連通口39Dを設ける。各連通口39Dと対向する位置に、オーガ39Eの回転により回転変位する複数のフランジ部39Hを設け、オーガ39Eがいずれの回転位置にあっても、複数のフランジ部39Hでいずれかの連通口39Dを閉塞するようにする。現像剤収容箱30全体が傾けられた場合等であっても、現像剤が連通口39Dを通って検知部37へ一気に流動してしまうことを抑制し、検知部において誤検知すること抑制できる。
【解決手段】 ケーシング部内を複数の区画壁39Bで搬送方向に複数の空間39Cに区画し、各区画壁39Bに、隣り合う空間を連通させる連通口39Dを設ける。各連通口39Dと対向する位置に、オーガ39Eの回転により回転変位する複数のフランジ部39Hを設け、オーガ39Eがいずれの回転位置にあっても、複数のフランジ部39Hでいずれかの連通口39Dを閉塞するようにする。現像剤収容箱30全体が傾けられた場合等であっても、現像剤が連通口39Dを通って検知部37へ一気に流動してしまうことを抑制し、検知部において誤検知すること抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体状の現像剤等を搬送する粉体輸送用の搬送装置、現像剤収容装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において画像形成に用いられなかった現像剤を回収する現像剤収容装置では、ベルト等の現像剤担持体から回収した現像剤を現像剤収容部に溜め、その現像剤収容部内の現像剤の一部をオーガにて検知部に搬送し、検知部に溜まった現像剤の量から現像剤収容部の現像剤の量を推測することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
画像形成装置の点検や修理のために現像剤収容装置が画像形成装置から取り外されたときに、現像剤収容装置が大きく傾けられた場合や現像剤収容装置を激しく振る等して振動が加えられた場合には、現像剤収容部内で現像剤が流動して検知部に現像剤が一気に流入してしまうおそれがある。現像剤収容装置を画像形成装置に水平にして装着しても検知部に流入した現像剤は戻らない。また、画像形成装置全体が大きく傾けられた場合でも同様のことが起こり得る。
【0004】
そして、検知部に現像剤が流入してしまうと、本来、オーガによって搬送されていないはずの現像剤が検知部に大量に溜められて検知されてしまうこととなるので、現像剤収容部に溜まった現像剤の量が少なくても大量に存在するものと誤検知してしまう。
【0005】
これに対して、特許文献2に記載の発明では、オーガ(スクリュー)によって現像剤を搬送する方向の上流側と、検知部が位置する下流側との間に板状の遮蔽体を設けて、現像剤収容装置が傾けられても、現像剤が検知部に向け一気に移動するのを遮蔽体で防止している。
【0006】
さらに、この遮蔽体のうちオーガが貫通する貫通穴の軸線方向長さを、オーガの螺旋部のピッチ以上に設定する、つまり貫通穴に筒状部を設けることにより、現像剤が検知部に流入するのを効果的に防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−210650号公報
【特許文献2】特開平11−305623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載のように、オーガによって現像剤を搬送する経路の途中に板状の遮蔽体を設けたとしても、オーガの螺旋状の羽根は、遮蔽体の貫通穴を傾斜状態で貫通しており、貫通穴を十分に閉塞していない。このため、現像剤収容装置が大きく傾けられたり激しく振られたりしたとき、現像剤が貫通穴を通って検知部の側へ移動してしまう。
【0009】
本発明は、搬送装置全体が傾けられた場合や振動が加えられた場合等であっても、粉体状の被搬送体が不必要に流動してしまうことを抑制し、画像形成装置に用いられる現像剤収容装置にあっては現像剤の量を誤検知することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、粉体状の被搬送体を搬送する搬送装置であって、被搬送体の搬送方向に沿って延びるケーシング部(39A)と、ケーシング部(39A)内を搬送方向に沿って直列に並んだ複数の空間(39C)に区画するとともに、隣り合う空間(39C)を連通させる連通口(39D)が設けられた複数の区画壁(39B)と、各空間(39C)に設けられ、各空間(39C)の並び方向に延びる中心軸線(L1)の周りに螺旋状の羽根(39G)を有して回転し、各空間(39C)内の被搬送体を連通口(39D)を通して隣り合う空間(39C)に搬送するオーガ(39E)と、オーガ(39E)に設けられて連通口(39D)と面するともに、中心軸線(L1)の方向から見て、オーガ(39E)の回転とともに連通口(39D)を閉塞又は狭小化する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位するフランジ部(39H)とを備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、請求項1に記載の発明では、オーガ(39E)の回転とともに連通口(39D)を閉塞する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位するフランジ部(39H)を備えているので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が連通口を通って不必要に流動してしまうことをフランジ部によって抑制できる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、フランジ部(39H)は、複数の連通口(39D)に対応して複数設けられており、さらに、複数のフランジ部(39H)のうち、第1の区画壁(39B)に設けられた連通口(39D)に対応するフランジ部(39H)が開放ポジションとなり、第1の区画壁(39B)と異なる第2の区画壁(39B)に設けられた連通口(39D)に対応するフランジ部(39H)が閉塞ポジションとなるように、複数のフランジ部(39H)の相対位置関係が設定されていることを特徴とする。
【0013】
ところで、オーガ(39E)が停止したときに、フランジ部(39H)が閉塞ポジションとならず、開放ポジションとなる場合もあり得るが、請求項2に記載の発明では、複数の区画壁(39B)のうち、第1の区画壁(39B)に設けられた連通口(39D)に面するフランジ部(39H)が開放ポジションとなり、第1の区画壁(39B)と異なる第2の区画壁(39B)に設けられた連通口(39D)に面するフランジ部(39H)が閉塞ポジションとなるので、少なくとも1つのフランジ部(39H)は閉塞ポジションとなる。
【0014】
したがって、オーガ(39E)がいずれの位置で停止しても、少なくとも1つの連通口(39D)は少なくとも1つのフランジ部(39H)によって閉塞された状態となるので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が連通口を通って不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明では、中心軸線(L1)の方向から見て、連通口(39D)は羽根の一部と重なる位置にあり、フランジ部(39H)は、複数の連通口(39D)に対応して複数設けられており、さらに、複数のフランジ部(39H)のうち、第1のフランジ部(39H)と第1のフランジ部(39H)と異なる第2のフランジ部(39H)とは、中心軸線(L1)の方向から見て、中心軸線(L1)を中心とする回転方向において互いに異なる位置にあることを特徴とする。
【0016】
これにより、請求項3に記載の発明では、オーガ(39E)の回転によってオーガ(39E)の螺旋状の羽根が被搬送体を連通口を通して搬送し、また請求項2に記載の発明と同様に、オーガ(39E)がいずれの位置で停止しても、少なくとも1つの連通口(39D)は閉塞された状態となるので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が連通口を通って不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0017】
なお、請求項4に記載の発明では、オーガは、前記中心軸線の方向に延びる軸部、及びこの軸部の外周に形成された前記羽根を有して構成され、前記連通口(39D)は、一部において軸部(39F)が貫通可能であって、かつ、その貫通した軸部(39F)から軸部(39F)の半径方向に拡がる形状であり、さらに、中心軸線(L1)の方向から見て、フランジ部(39H)は、軸部(39F)を中心とする回転軌跡が連通口(39D)と重なるように軸部(39F)から半径方向に拡がるとともに、回転方向の全周よりも小さい範囲に位置していることを特徴とするものである。
【0018】
これにより、請求項4に記載の発明では、オーガ(39E)が回転しているときには、軸部(39F)の半径方向に拡がる連通口(39D)の部分を通って被搬送体を搬送することができる。また、オーガ(39E)がが停止した場合には、軸部(39F)から半径方向に拡がるフランジ部(39H)によって少なくとも1つの連通口(39D)を閉塞することができるので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が連通口を通って不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明では、フランジ部(39H)は、軸部(39F)と直交し、かつ、連通口(39D)と平行な平面内で拡がっていることを特徴としている。
これにより、請求項5に記載の発明では、軸部(39F)と直交し、かつ、連通口(39D)と平行な平面内で拡がっているフランジ部(39H)によって、オーガ(39E)がいずれの位置で停止しても、少なくとも1つの連通口(39D)を確実に閉塞することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明では、連通口(39D)は、連通口(39D)を貫通している軸部(39F)から下方側へ延びていることを特徴としている。
これにより、請求項6に記載の発明では、オーガ(39E)が回転しているときには、オーガ軸部(39F)から下方側へ延びている連通口(39D)の部分を通って被搬送体を搬送することができるので、被搬送体の量が少ない場合でも搬送することができる。また、オーガ(39E)が停止したときには、下方側へ延びている連通口(39D)の部分をフランジ部(39H)によって確実に閉塞することができる。
【0021】
また、請求項7に記載の発明では、軸部(39F)は、複数の空間(39C)に跨って延び、羽根(39G)は、少なくとも軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位に形成され、さらに、フランジ部(39H)は、複数の空間(39C)のうち第1の空間(39C)に位置する羽根(39G)と第1の空間(39C)と異なる第2の空間(39C)に位置する羽根(39G)との間に設けられていることを特徴とする。
【0022】
これにより、請求項7に記載の発明では、オーガ(39E)が回転しているときには、少なくとも軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位に形成されている羽根(39G)によって、各空間の間を被搬送体が搬送されるととともに、オーガ(39E)が停止したときには、フランジ部(39H)によって、少なくとも1つの連通口(39D)を確実に閉塞することができる。
【0023】
また、請求項8に記載の発明では、軸部(39F)は、複数の空間(39C)に跨って延び、羽根(39G)は、軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位のみに形成され、かつ、連通口(39D)に対応する位置には設けられておらず、さらに、フランジ部(39H)は、軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位であって、この部位の軸方向端部にて羽根(39G)と連続した形状として設けられていることを特徴とする。
【0024】
これにより、請求項8に記載の発明では、オーガ(39E)が回転しているときには、各空間(39C)内に位置する軸部(39F)に形成されている羽根(39G)によって、各空間内を被搬送体が搬送されるととともに、オーガ(39E)が停止したときには、軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位であって、この部位の軸方向端部にて羽根(39G)と連続した形状として設けられているフランジ部(39H)によって、少なくとも1つの連通口(39D)を確実に閉塞することができる。
【0025】
なお、フランジ部(39H)は、請求項9に記載の発明のごとく、軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位の端部であって、搬送方向下流側の端部に設けられていることが望ましい。これにより、各空間から、下流側の空間へ連通する連通口へ被搬送体が移動するのをフランジ部によって抑制できる。
【0026】
請求項10に記載の発明では、フランジ部(39H)は、複数の連通口(39D)に対応して搬送方向に沿って離散的に複数設けられ、かつ、複数のフランジ部は、中心軸線L1の方向から見て、中心軸線L1を中心とする回転方向において互いに異なる位置となっており、中心軸線(L1)の方向から見て、複数のフランジ部(39H)のうち連通口(39D)に対応する部分が、中心軸線(L1)の周りの全周に連続した状態となることを特徴とする。
【0027】
これにより、請求項10に記載の発明では、オーガ(39E)がいずれの位置で停止しても、連通口(39D)は閉塞された状態となるので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0028】
請求項11に記載の発明は、現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像剤収容装置であって、その現像剤収容装置は、画像形成に用いられずに回収された現像剤が収容される収容部(31)と、収容部(31)に溜まった現像剤の量が所定量を超えたか否かを検知するための検知部(37)と、収容部(31)に溜まった現像剤を検知部(37)に搬送する請求項1ないし10のいずれか1項に記載の搬送装置(39)とを備えることを特徴とする。
【0029】
これにより、請求項11に記載の発明では、現像剤収容装置(30)が画像形成装置から取り外されて搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、回収された現像剤が検知部(37)に流動してしまうことを抑制し、検知部が誤検知するのを抑制することができる。
【0030】
請求項12に記載の発明では、現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する画像形成手段と、請求項11に記載の現像剤収容装置(30)とを備えることを特徴とする。
【0031】
これにより、請求項12に記載の発明においても、現像剤収容装置(30)が画像形成装置から取り外されて搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、回収された現像剤が検知部(37)に流動してしまうことを抑制し、検知部が誤検知するのを抑制することができる。
【0032】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るベルトクリーナユニット19の中央断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るベルトクリーナユニット19から蓋体33、34を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るベルトクリーナユニット19から蓋体33、34を取り外した状態を示す上面図である。
【図5】図4においてオーガ式搬送機構39および検知部37の部分を拡大した図である。
【図6】本発明の実施形態に係るオーガ式搬送機構39を示すため、収容箱30を斜めに切断した斜視図である。
【図7】図6において、オーガ39Eを取り外した状態を示す斜視図である。
【図8】(a)は図5のA−A断面図であり、(b)は図5のB−B断面図であり、(c)は図5のC−C断面図であり、(d)は図5のD−D断面図であり、(e)は図5のE−E断面図であり、(b)のみ箱本体32と蓋体34を示すが、他はそれを省略する。
【図9】オーガ39Eを示す斜視図である。
【図10】図4のF−F断面図で、現像剤検知部37の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本実施形態は電子写真方式のカラー画像形成装置に本発明に係る搬送装置、現像剤収容装置及び画像形成装置を適用したものであり、以下に本実施形態を図面と共に説明する。
1.画像形成装置概要
画像形成装置1の装置本体内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより、用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されており、この画像形成部5は、プロセスユニット7、ベルトユニット13、露光器9及び定着器11等から構成されている。
【0035】
なお、画像形成部5は、ダイレクトタンデム方式のカラー画像形成部であるため、用紙の搬送方向に沿って直列に複数個(本実施形態では、4個)のプロセスユニット7を備える。
【0036】
4個のプロセスユニット7は、具体的には、用紙の搬送方向上流側から順に、ブラック用のプロセスユニット7K、イエロー用のプロセスユニット7Y、マゼンタ用のプロセスユニット7M、シアン用のプロセスユニット7Cである。なお、各プロセスユニット7K〜7Cは、現像剤像が担持される感光ドラム7A、及び感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B等から構成されている。
【0037】
そして、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像を形成した後、電荷を帯びた現像剤(トナー)を感光ドラム7Aに供給すると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0038】
また、ベルトユニット13に搬送される用紙を挟んで感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤を用紙に転写させる転写ローラ15が設けられており、この転写ローラ15には、感光ドラム7Aに担持された現像剤像を用紙に転写させるための電圧が印加されている。
【0039】
そして、感光ドラム7Aに担持されていた現像剤像が、ベルトユニット13により搬送される用紙に転写されると、その現像剤像が転写された用紙は定着器11に搬送され、定着器11にて加熱されて現像剤像が用紙に溶着(定着)される。その後、用紙は、その搬送方向が上方側に転向されて筐体3の上端面に設定された排紙トレイ3Aに排出される。
【0040】
また、ベルトユニット13の下方側には、画像形成部5に搬送される用紙が載置される給紙トレイ14が着脱自在に装置本体に装着されており、この給紙トレイ14に載置されている用紙は、フィーダ機構17により1枚ずつ画像形成部5側に送出される。
【0041】
そして、ベルトユニット13と給紙トレイ14との間には、転写ベルト13Aに付着した現像剤等の付着物を回収するベルトクリーナユニット19が配設され、このベルトクリーナユニット19及びベルトユニット13は装置本体に着脱自在に装着されている。
【0042】
因みに、装置本体とは、画像形成部5を支持するメインフレーム(図示せず)およびそのメインフレームを囲む筐体3等の通常使用時においては分解又は着脱されない部分をいう。
【0043】
2.ベルトクリーナユニット(現像剤収容装置)について
2.1.ベルトクリーナユニットの概略構成
本実施形態に係る画像形成装置1では、用紙の搬送を行わない適当なタイミングで現像剤濃度調整用のパッチ又は色ずれ検知用のレジマークをベルトユニット13の転写ベルト13A上に印刷(転写)し、その後、使用済みのパッチ又はレジマークを廃現像剤(廃トナー)としてベルトクリーナユニット(現像剤収容装置)19にて回収している。
【0044】
そして、ベルトクリーナユニット19は、図2に示すように、クリーニングローラ21、クリーニングシャフト22、剥離ブレード23、飛散防止ブレード24、アジテータ25、オーガ式搬送機構39、及び現像剤収容箱30等から構成されている。
【0045】
クリーニングローラ21は、ベルトユニット13と対向配置されて転写ベルト13Aの表面に付着した付着物(主に、現像剤)を転写ベルト13Aから回収するクリーニング部材であり、クリーニングシャフト22はクリーニングローラ21の表面に付着した現像剤を回収して収容部31に搬送するクリーニング部材である。
【0046】
バックアップローラ26は、図1に示すように、転写ベルト13Aを挟んでクリーニングローラ21と反対側に配設され、転写ベルト13Aをクリーニングローラ21に押し付けるためのバックアップ部材である。なお、このバックアップローラ26は、ベルトクリーナユニット19ではなく、ベルトユニット13の内側に設けられている。
【0047】
そして、クリーニングシャフト22の表面に回収された現像剤は、薄板状の剥離ブレード23によって掻きとられ、現像剤収容箱30に構成された収容部31に落とされる。この掻き落とされた現像剤は、飛散防止ブレード24によりクリーニングローラ21側に飛散してしまうことを防止される。
【0048】
また、現像剤収容箱30は、収容部31を構成する箱本体32、並びに箱本体32の上部側開口部を閉塞する第1および第2蓋体33、34からなるもので、蓋体33、34は、ネジ等の機械的な締結(結合)手段により箱本体32に組付固定されている。第2蓋体34は、クリーニングローラ21、クリーニングシャフト22、剥離ブレード23および飛散防止ブレード24を支持し、クリーニングシャフト22の下に、現像剤を収容部31へ落下させるための開口を有する。
【0049】
なお、現像剤収容箱30は、図2に示すように、水平方向にベルトユニット13と略対応する幅およびベルトユニット13の長手方向に延びる長さを有し、その長さおよび幅が上下方向寸法よりも大きい扁平形状である。収容部31は、現像剤収容箱30内に形成され、クリーニングシャフト22下の開口からベルトユニット13の長手方向と平行に延び、収容箱と同様の方向に扁平形状である。
【0050】
2.2.アジテータ
アジテータ25は、図2に示すように、収容部31内に収容され、クリーニングシャフト22下の開口から収容部31の延びる方向に略水平に延び、後述するクランクシャフト29の回転により略水平方向に往復運動(正確には後述するように揺動運動をともなう往復運動)をすることにより、剥離ブレード23によって掻きとられ、クリーニングシャフト22下の開口から落下した現像剤を、その落下点から略水平方向へずれた位置に移動させるものである。
【0051】
クランクシャフト29は、両端の回転軸において収容部31の両側壁に回転可能に支持され、その両回転軸の間に、その両回転軸に対して偏心した偏心部を有している。アジテータ25は、そのクランクシャフト29の偏心部に連結されている。
【0052】
また、アジテータ25は、図3、4に示すように、格子状に構成され、クランクシャフト29の偏心部と略平行に延び、間隔をおいた複数の横フレーム棒25Bと、クランクシャフト29の偏心部から略直角に延びて複数の横フレーム棒25Bを相互に連結する複数の縦フレーム棒25Cを備えている。横フレーム棒25Bは、往復運動方向と略直交する面を有し、アジテータ25の往復運動にともない現像剤を移動させる機能を持つ(以下、「搬送部」という)。
【0053】
そして、アジテータ25のうち、その延び方向先端25D側には、左右に突出する一対の摺動ピン25Eが設けられている。これらの摺動ピン25Eは、収容部31の左右両側に、クランクシャフト29の回転軸に対し直交する方向にリブ状に延びる保持壁32Aと、その保持壁32Aと対向して蓋体33に設けられたリブ状の保持壁(図示せず)との間に、その壁が延びる方向に摺動可能に挿入されている。したがって、アジテータ25は、摺動ピン25Eを保持壁間で滑らせて往復運動可能としながら、摺動ピン25Eを中心として揺動可能になっている。
【0054】
なお、アジテータ25は、クランクシャフト29により往復運動させられるが、アジテータ25が図2に示す左方向に向かって移動するときに、収容部31内に落下してきた現像剤は、搬送部25Bにて順次、その落下ポイントから、図2の左側に移送される。すなわち、落下ポイントにて山状に積み上がった現像剤は、アジテータ25の搬送部25Bによって山の頂部の部分が掻き取られながら、他の搬送部25Bによって順次、図2の左側(すなわち摺動ピン25E側)へ移送される。
【0055】
したがって、積み上がった現像剤の山がアジテータ25を超えるまでは現像剤の山が図2の左側に拡大していく。そして、収容部31のうち図2の左端側から順次、現像剤の山が盛り上がっていくと、アジテータ25の運動に伴って移送される現像剤は、格子状に形成されたアジテータ25を乗り越えて収容部31の上部まで溜まりながら、盛り上がった現像剤の山のすそ部分が次第に落下ポイント側に近づいていく。
【0056】
そして、収容部31内に貯留されている現像剤が落下ポイントを超えて、ケーシング壁35の左側の空間を通って後述するオーガ39Eまで到達し、さらにオーガ39Eの羽根39Gに接触する高さ以上になると、オーガ39Eによる現像剤の搬送が開始される。
【0057】
2.3.廃現像剤検知部およびオーガ式搬送機構
クリーニングシャフト22下の開口から収容部31の延びる方向と反対側には、オーガ式搬送機構39および廃現像剤の検知部37が設けられている。収容部31とオーガ式搬送機構39および検知部37との間は、図4に示すように、クランクシャフト29の前方でその回転軸の軸方向と平行な方向(本実施形態では、左右方向(以下、幅方向という。)に延びるケーシング壁35により区画されている。
【0058】
ケーシング壁35のさらに前方には、図5に示すように、そのケーシング壁35と平行にもう1つのケーシング壁32Bが設けられており、このケーシング壁35、32B間に、オーガ39Eが収納され現像剤の搬送路を構成するケーシング部39Aが構成されている。搬送路の上面および底面は、箱本体32の底と蓋体34とによって閉鎖されており、つまり、ケーシング部39Aは、箱本体32と蓋体34との協働で形成されている。前者のケーシング壁35の一端は、箱本体32の一方の側壁(本実施形態では左側壁)の内面と間隔をおいて、その間に、搬送路と収容部31とを連通させる開口部を形成している。
【0059】
現像剤検知部37は、収容部31に溜まった現像剤の量が所定量を超えたか否かを検知するための検知部であり、具体的には、後述するオーガ39Eよって搬送されてきた現像剤を収容する検知用空間37A、検知用空間37A内の現像剤を検出する検出器37Cから構成されている。
【0060】
検知用空間37Aは、ケーシング部39Aの、搬送路の前記開口部と反対側の端部に連続して位置し、ケーシング壁35と箱本体32の前壁とに接続する壁によって囲まれて形成されている。
【0061】
検出器37Cとしては、例えば、検知用空間37Aの周囲の壁を透明として、その空間を透過する光によって現像剤の存否またはその量を検出する透過型光学検出器等、公知の種々のものを適用することができるが、本実施形態では、現像剤の量に応じて揺動するセンサアクチュエータ37Bの変位を検出するための透過型光学検出器から構成されている。なお、透過型光学検出器37Cは装置本体に設けられている。
【0062】
ケーシング部39A内は、複数の区画壁39Bにより搬送路を搬送される現像剤の搬送方向に沿って直列に並んだ複数の空間39Cに区画されている。蓋体34にも区画壁39Bと対応する位置に区画壁が形成され、上下の対応する区画壁が実質一体となって機能を果たすようになっている。以下、上下の対応する区画壁をまとめて「区画壁39B」という。これら各区画壁39Bには、図7に示すように、隣り合う空間39Cを連通させる連通口39Dが設けられている。
【0063】
オーガ39Eは、図6に示すように、全ての連通口39Dを貫通して複数の空間39Cに跨って延びる軸部39F、およびこの軸部39F周りに設けられた螺旋状の羽根39Gを有している。軸部39Fは、その両端において箱本体32の左側壁と、それと反対側の検知用空間37A外に設けた軸受壁とに、各空間39Cの並び方向に延びる中心軸線L1のまわりに回転可能に支持されている。このオーガ39Eおよびケーシング部39Aにより、収容部31内の現像剤を検知用空間37Aに搬送する搬送装置をなすオーガ式搬送機構39が構成されている。
【0064】
また、羽根39Gは、図5に示すように、軸部39Fのうち各空間39C内に位置する部位のみに形成され、かつ、連通口39D(区画壁39B)に対応する位置には設けられていない。このため、本実施形態に係る羽根39Gは、収容部31から検知用空間37Aまで連続した螺旋形状とはなっていない。
【0065】
つまり、本実施形態では、各空間39Cに設けられた羽根39Gは中心軸線L1周りに螺旋状となっている。このため、軸部39Fが回転すると、各空間39C内の現像剤は、「バケツリレー」のごとく、連通口39Dを通して隣り合う空間39Cに搬送され、紙面左側の空間39Cから順次に紙面右側の空間39Cに移動し、最終的に、検知用空間37Aに至る。
【0066】
連通口39Dは、軸部39Fの直径よりも大きく羽根39Gの外周直径よりも小さい幅を有し、上下方向には、連通口39Dを貫通している軸部39Fから半径方向下方側に羽根39Gの外周下端近傍まで延びているが、軸部39Fから半径方向上方側では羽根39Gの外周上端近傍まで延びていない。このため、本実施形態では、連通口39Dの下方部分は、中心軸線L1方向に見て羽根39Gとほぼ対向する位置にあり、オーガ39Eにより搬送される現像剤は、主に、連通口39Dのうち軸部39Fより下方側の部分を経由して隣接する空間39Cに搬送される。
【0067】
また、図5に示すように、軸部39Fのうち各空間39C内に位置する部位の端部であって現像剤搬送方向下流側の端部、つまり各連通口39Dに対して搬送方向上流側に位置して各連通口39Dに直接的に面する位置には、オーガ39Eと一体的に回転する鍔状のフランジ部39Hが設けられている。
【0068】
そして、各フランジ部39Hは、図8に斜線部分で示すように、中心軸線L1の方向から見ると、その回転方向の全周(360度)よりも小さい範囲に位置し、かつ、連通口39Dと平行な平面、つまり軸部39Fと直交する平面内において軸部39Fから半径方向に拡がる半円盤状に形成されているとともに、空間39C内の螺旋状の羽根39Gの下流側の端部と滑らかに連続した形状(図5、図9参照)となっている。
【0069】
なお、図8(a)は図5のA−A断面図であり、(b)は図5のB−B断面図であり、(c)は図5のC−C断面図であり、(d)は図5のD−D断面図であり、(e)は図5のE−E断面図であり、それぞれ隣接する区画壁39Bとの間の位置を切断箇所としている断面図である。
【0070】
このため、図(a)では、右側に隣接する連通口39Dが想像線(2点差線)で図示されており、また、図(b)〜(e)では、右側に隣接する連通口39Dではなく、各空間39Cの左側に位置する連通口39Dが図示されている。また、(b)のみ箱本体32と蓋体34とを示し、他はそれを省略している。
【0071】
なお、フランジ部39Hと羽根39Gとが滑らかに連続して繋がっているとは、羽根39Gのうちフランジ部39Hとの繋がっている部分の角度が、フランジ部39Hと同一角度(本実施形態では、軸部39Fと直交する角度)または鈍角となっていることを意味する。
【0072】
オーガ39Eの中心軸線L1からの半径は、中心軸線L1から連通口39Dの下端までの半径とほぼ一致またはそれよりも大きい。このため、オーガ39Eと共にフランジ部39Hが回転すると、フランジ部39Hの回転に伴ってフランジ部39Hが描く軌跡は、中心軸線L1の方向から見ると、連通口39Dを塞ぐように重なる円盤状となる。
【0073】
したがって、フランジ部39Hは、中心軸線L1の方向から見ると、オーガ39Eの回転とともに連通口39Dを閉塞又は狭小化する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位することとなる。
【0074】
また、各フランジ部39Hは、図8に示すように、複数の区画壁39Bのうち第1の区画壁39Bに設けられた連通口39Dに対応するフランジ部39Hが開放ポジションとなったときには、前記第1の区画壁39Bと異なる第2の区画壁39Bに設けられた連通口39Dに対応するフランジ部39Hが閉塞ポジションとなるように、各フランジ部39Hの相対位置関係が設定されている。
【0075】
つまり、複数のフランジ部39Hは、中心軸線L1の方向から見ると、中心軸線L1を中心とする回転方向において互いに異なる位置となっている。
具体的には、本実施形態では、中心軸線L1の方向から見ると、複数のフランジ部39Hのうち連通口39Dに対応する部分(以下、この部分をフランジ部39Hの蓋部という。)が、中心軸線L1の周りの全周に連続した状態となる。換言すれば、全てのフランジ部39Hの蓋部及び連通口39Dを、中心軸線L1と直交する仮想平面に投影すると、全てのフランジ部39Hの蓋部の集合体により連通口39Dが閉塞された状態となる。
【0076】
3.本実施形態に係る廃現像剤の量の検知動作
前述のように、収容部31に現像剤が所定量以上溜まると、現像剤(廃現像剤)は、ケーシング壁35の一端と箱本体32の左側壁との間の開口部からオーガ39Eに対し供給され、回転しているオーガ39Eの羽根39Gにより、区画壁39Bによって区画された複数の空間39Cに順次、連通口39Dの下方部分を通って搬送される。
【0077】
ケーシング部39Aの最後の連通口39Dを抜けた現像剤は、図10に示すように、検知用空間37Aに入り、センサアクチュエータ37B上に載り、センサアクチュエータ37Bを揺動させる。所定量以上の現像剤が、センサアクチュエータ37B上に載ると、光学検出器37Cがオンまたはオフする。
【0078】
つまり、収容部31に現像剤が所定量以上溜まった状態からさらに溜まった現像剤から一部を検知部37に搬送して、検知部37に溜まった現像剤の量により、収容部31に溜まった現像剤の量を推定し、画像形成装置の動作を制御している。
【0079】
4.本実施形態に係るオーガ式搬送機構の特徴
本実施形態では、オーガ39Eの回転とともに連通口39Dを閉塞する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位するフランジ部39Hを備えているので、オーガ式搬送機構39(現像剤収容箱30)全体が傾けられた場合等であっても、空間39C間を連通口39Dを通って現像剤が不必要に流動してしまうことをフランジ部39Hによって抑制できる。
【0080】
また、画像形成装置1において、検知部37へオーガ39Eによって順次搬送すべき現像剤が、画像形成装置1全体の傾斜等により、一気に検知部37へ流動してしまうことを抑制し、検知部37の誤検知を抑制できる。
【0081】
ところで、オーガ39Eが停止したときに、フランジ部39Hが閉塞ポジションとならず、開放ポジションとなる場合もあり得るが、本実施形態では、複数の区画壁39Bのうち、第1の区画壁39Bに設けられた連通口39Dに面するフランジ部39Hが開放ポジションとなり、第1の区画壁39Bと異なる第2の区画壁39Bに設けられた連通口39Dに面するフランジ部39Hが閉塞ポジションとなるので、少なくとも1つのフランジ部39Hは閉塞ポジションとなる。
【0082】
したがって、オーガ39Eがいずれの位置で停止しても、少なくとも1つの連通口39Dは閉塞された状態となるので、搬送能力が過度に損なわれることを抑制しながら、現像剤収容箱30全体が傾けられた場合等であっても、現像剤が不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0083】
また、本実施形態では、フランジ部39Hは、軸部39Fと直交し、かつ、連通口39Dと平行な平面内で拡がっているので、連通口39Dから現像剤が流動してしまうことを確実に抑制できる。
【0084】
ところで、連通口39Dから現像剤が流動してしまうことを防止するには、連通口39Dの開口面積を小さくすればよいが、この手法では、現像剤の搬送能力が低下するおそれがある。
【0085】
これに対して、本実施形態のごとく、連通口39Dの幅をオーガの羽根39Gの外径よりも小さくしかつ連通口39Dの上下方向を、軸部39Fよりも下方側へ延びた形状とすることで、搬送能力が過度に損なわれることを抑制しながら、現像剤収容箱30全体が傾けられた場合等であっても、現像剤が不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0086】
また、本実施形態では、複数のフランジ部39Hは、中心軸線L1の方向から見て、中心軸線L1を中心とする回転方向において互いに異なる位置となっており、しかも、複数のフランジ部39Hのうち連通口39Dに対応する部分(以下、この部分をフランジ部39Hの蓋部という。)が、中心軸線L1の周りの全周に連続した状態となるように、相対位置関係が設定されている。
【0087】
したがって、オーガ39Eがいずれの位置で停止しても、連通口39Dは閉塞された状態となる。これにより、搬送能力が過度に損なわれることを抑制しながら、オーガ式搬送機構39全体が傾けられた場合等であっても、現像剤が不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0088】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、オーガ式搬送機構39が特許請求の範囲に記載された搬送装置に相当する。
【0089】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、各空間39Cにフランジ部39Hを設けたが、本発明はこれに限定されるものでなく、複数の空間39Cのうち少なくとも2つの空間39Cにフランジ部39Hが設けられていれば十分である。
【0090】
また、上述の実施形態では、空間39Cのうち搬送下流側のみフランジ部39Hが設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、空間39Cのうち搬送上流側のみ、又は空間39Cのうち搬送下流側及び上流側にフランジ部39Hを設けてもよい。
【0091】
また、上述の実施形態では、全てのフランジ部39Hの蓋部および連通口39Dを、中心軸線L1と直交する仮想平面に投影したときに、全てのフランジ部39Hの蓋部の集合体により連通口39Dが閉塞された状態となるようにしたが、全てのフランジ部39Hの回転軌跡の外に連通口39Dの一部があって、連通口39Dが完全には閉塞されなかったり、あるいはオーガ39Eの特定の角度の回転停止状態では連通口39Dの一部が閉塞されないことがあってもよい。つまり、フランジ部39Hによる閉塞状態で連通口39Dの一部から被搬送粉体が漏れても、検知部での検知動作に影響のない程度の漏れ量であればよい。
【0092】
上述の実施形態では、オーガの羽根39Gは、軸部39F上に各空間39Cごとに独立して設けたが、複数の空間39Cにわたって連続したものであってもよい。その場合、連通口39Dは羽根39Gを貫通させる大きさとし、複数のフランジ部39Hで対応する連通口39Dの一部ずつを覆うようにする。
【0093】
この場合、複数の連通口39Dのうち、少なくとも一つの連通口39D全体をフランジ部39Hによって閉塞することできない。しかしながら、各空間39C内に溜まる現像剤の量が、オーガの軸部39Fを大きく超えることはなく、それまでには、オーガの羽根39Gによって次の空間39Cに搬送されることとなるため、オーガの軸部39Fの下側に開口している連通口39Dの部分が、フランジ部39Hによって閉塞されていれば、装置が余程大きく傾けられない限り、上述した実施形態とほぼ同様の効果を奏し得る。
【0094】
また、上述の実施形態では、軸部39Fは、全ての連通口39Dを貫通して複数の空間39Cに跨って延びていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば空間39C毎に独立して軸部39Fが設けられた構成であってもよい。
【0095】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0096】
1…画像形成装置、3…筐体、3A…排紙トレイ、5…画像形成部、
7…プロセスユニット、9…露光器、11…定着器、
13…ベルトユニット、119…ベルトクリーナユニット、
21…クリーニングローラ、22…クリーニングシャフト、23…剥離ブレード、
24…飛散防止ブレード、25…アジテータ、29…クランクシャフト、
30…現像剤収容箱、31…収容部、32…箱本体、33…蓋体、
35…ケーシング壁、39H…フランジ部、37…現像剤検知部、
39…スクリューポンプ機構、39A…ケーシング部、39B…区画壁、
39C…空間、39D…連通口、39E…オーガ、39F…軸部、39G…羽根。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体状の現像剤等を搬送する粉体輸送用の搬送装置、現像剤収容装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において画像形成に用いられなかった現像剤を回収する現像剤収容装置では、ベルト等の現像剤担持体から回収した現像剤を現像剤収容部に溜め、その現像剤収容部内の現像剤の一部をオーガにて検知部に搬送し、検知部に溜まった現像剤の量から現像剤収容部の現像剤の量を推測することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
画像形成装置の点検や修理のために現像剤収容装置が画像形成装置から取り外されたときに、現像剤収容装置が大きく傾けられた場合や現像剤収容装置を激しく振る等して振動が加えられた場合には、現像剤収容部内で現像剤が流動して検知部に現像剤が一気に流入してしまうおそれがある。現像剤収容装置を画像形成装置に水平にして装着しても検知部に流入した現像剤は戻らない。また、画像形成装置全体が大きく傾けられた場合でも同様のことが起こり得る。
【0004】
そして、検知部に現像剤が流入してしまうと、本来、オーガによって搬送されていないはずの現像剤が検知部に大量に溜められて検知されてしまうこととなるので、現像剤収容部に溜まった現像剤の量が少なくても大量に存在するものと誤検知してしまう。
【0005】
これに対して、特許文献2に記載の発明では、オーガ(スクリュー)によって現像剤を搬送する方向の上流側と、検知部が位置する下流側との間に板状の遮蔽体を設けて、現像剤収容装置が傾けられても、現像剤が検知部に向け一気に移動するのを遮蔽体で防止している。
【0006】
さらに、この遮蔽体のうちオーガが貫通する貫通穴の軸線方向長さを、オーガの螺旋部のピッチ以上に設定する、つまり貫通穴に筒状部を設けることにより、現像剤が検知部に流入するのを効果的に防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−210650号公報
【特許文献2】特開平11−305623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載のように、オーガによって現像剤を搬送する経路の途中に板状の遮蔽体を設けたとしても、オーガの螺旋状の羽根は、遮蔽体の貫通穴を傾斜状態で貫通しており、貫通穴を十分に閉塞していない。このため、現像剤収容装置が大きく傾けられたり激しく振られたりしたとき、現像剤が貫通穴を通って検知部の側へ移動してしまう。
【0009】
本発明は、搬送装置全体が傾けられた場合や振動が加えられた場合等であっても、粉体状の被搬送体が不必要に流動してしまうことを抑制し、画像形成装置に用いられる現像剤収容装置にあっては現像剤の量を誤検知することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、粉体状の被搬送体を搬送する搬送装置であって、被搬送体の搬送方向に沿って延びるケーシング部(39A)と、ケーシング部(39A)内を搬送方向に沿って直列に並んだ複数の空間(39C)に区画するとともに、隣り合う空間(39C)を連通させる連通口(39D)が設けられた複数の区画壁(39B)と、各空間(39C)に設けられ、各空間(39C)の並び方向に延びる中心軸線(L1)の周りに螺旋状の羽根(39G)を有して回転し、各空間(39C)内の被搬送体を連通口(39D)を通して隣り合う空間(39C)に搬送するオーガ(39E)と、オーガ(39E)に設けられて連通口(39D)と面するともに、中心軸線(L1)の方向から見て、オーガ(39E)の回転とともに連通口(39D)を閉塞又は狭小化する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位するフランジ部(39H)とを備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、請求項1に記載の発明では、オーガ(39E)の回転とともに連通口(39D)を閉塞する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位するフランジ部(39H)を備えているので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が連通口を通って不必要に流動してしまうことをフランジ部によって抑制できる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、フランジ部(39H)は、複数の連通口(39D)に対応して複数設けられており、さらに、複数のフランジ部(39H)のうち、第1の区画壁(39B)に設けられた連通口(39D)に対応するフランジ部(39H)が開放ポジションとなり、第1の区画壁(39B)と異なる第2の区画壁(39B)に設けられた連通口(39D)に対応するフランジ部(39H)が閉塞ポジションとなるように、複数のフランジ部(39H)の相対位置関係が設定されていることを特徴とする。
【0013】
ところで、オーガ(39E)が停止したときに、フランジ部(39H)が閉塞ポジションとならず、開放ポジションとなる場合もあり得るが、請求項2に記載の発明では、複数の区画壁(39B)のうち、第1の区画壁(39B)に設けられた連通口(39D)に面するフランジ部(39H)が開放ポジションとなり、第1の区画壁(39B)と異なる第2の区画壁(39B)に設けられた連通口(39D)に面するフランジ部(39H)が閉塞ポジションとなるので、少なくとも1つのフランジ部(39H)は閉塞ポジションとなる。
【0014】
したがって、オーガ(39E)がいずれの位置で停止しても、少なくとも1つの連通口(39D)は少なくとも1つのフランジ部(39H)によって閉塞された状態となるので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が連通口を通って不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明では、中心軸線(L1)の方向から見て、連通口(39D)は羽根の一部と重なる位置にあり、フランジ部(39H)は、複数の連通口(39D)に対応して複数設けられており、さらに、複数のフランジ部(39H)のうち、第1のフランジ部(39H)と第1のフランジ部(39H)と異なる第2のフランジ部(39H)とは、中心軸線(L1)の方向から見て、中心軸線(L1)を中心とする回転方向において互いに異なる位置にあることを特徴とする。
【0016】
これにより、請求項3に記載の発明では、オーガ(39E)の回転によってオーガ(39E)の螺旋状の羽根が被搬送体を連通口を通して搬送し、また請求項2に記載の発明と同様に、オーガ(39E)がいずれの位置で停止しても、少なくとも1つの連通口(39D)は閉塞された状態となるので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が連通口を通って不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0017】
なお、請求項4に記載の発明では、オーガは、前記中心軸線の方向に延びる軸部、及びこの軸部の外周に形成された前記羽根を有して構成され、前記連通口(39D)は、一部において軸部(39F)が貫通可能であって、かつ、その貫通した軸部(39F)から軸部(39F)の半径方向に拡がる形状であり、さらに、中心軸線(L1)の方向から見て、フランジ部(39H)は、軸部(39F)を中心とする回転軌跡が連通口(39D)と重なるように軸部(39F)から半径方向に拡がるとともに、回転方向の全周よりも小さい範囲に位置していることを特徴とするものである。
【0018】
これにより、請求項4に記載の発明では、オーガ(39E)が回転しているときには、軸部(39F)の半径方向に拡がる連通口(39D)の部分を通って被搬送体を搬送することができる。また、オーガ(39E)がが停止した場合には、軸部(39F)から半径方向に拡がるフランジ部(39H)によって少なくとも1つの連通口(39D)を閉塞することができるので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が連通口を通って不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明では、フランジ部(39H)は、軸部(39F)と直交し、かつ、連通口(39D)と平行な平面内で拡がっていることを特徴としている。
これにより、請求項5に記載の発明では、軸部(39F)と直交し、かつ、連通口(39D)と平行な平面内で拡がっているフランジ部(39H)によって、オーガ(39E)がいずれの位置で停止しても、少なくとも1つの連通口(39D)を確実に閉塞することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明では、連通口(39D)は、連通口(39D)を貫通している軸部(39F)から下方側へ延びていることを特徴としている。
これにより、請求項6に記載の発明では、オーガ(39E)が回転しているときには、オーガ軸部(39F)から下方側へ延びている連通口(39D)の部分を通って被搬送体を搬送することができるので、被搬送体の量が少ない場合でも搬送することができる。また、オーガ(39E)が停止したときには、下方側へ延びている連通口(39D)の部分をフランジ部(39H)によって確実に閉塞することができる。
【0021】
また、請求項7に記載の発明では、軸部(39F)は、複数の空間(39C)に跨って延び、羽根(39G)は、少なくとも軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位に形成され、さらに、フランジ部(39H)は、複数の空間(39C)のうち第1の空間(39C)に位置する羽根(39G)と第1の空間(39C)と異なる第2の空間(39C)に位置する羽根(39G)との間に設けられていることを特徴とする。
【0022】
これにより、請求項7に記載の発明では、オーガ(39E)が回転しているときには、少なくとも軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位に形成されている羽根(39G)によって、各空間の間を被搬送体が搬送されるととともに、オーガ(39E)が停止したときには、フランジ部(39H)によって、少なくとも1つの連通口(39D)を確実に閉塞することができる。
【0023】
また、請求項8に記載の発明では、軸部(39F)は、複数の空間(39C)に跨って延び、羽根(39G)は、軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位のみに形成され、かつ、連通口(39D)に対応する位置には設けられておらず、さらに、フランジ部(39H)は、軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位であって、この部位の軸方向端部にて羽根(39G)と連続した形状として設けられていることを特徴とする。
【0024】
これにより、請求項8に記載の発明では、オーガ(39E)が回転しているときには、各空間(39C)内に位置する軸部(39F)に形成されている羽根(39G)によって、各空間内を被搬送体が搬送されるととともに、オーガ(39E)が停止したときには、軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位であって、この部位の軸方向端部にて羽根(39G)と連続した形状として設けられているフランジ部(39H)によって、少なくとも1つの連通口(39D)を確実に閉塞することができる。
【0025】
なお、フランジ部(39H)は、請求項9に記載の発明のごとく、軸部(39F)のうち各空間(39C)内に位置する部位の端部であって、搬送方向下流側の端部に設けられていることが望ましい。これにより、各空間から、下流側の空間へ連通する連通口へ被搬送体が移動するのをフランジ部によって抑制できる。
【0026】
請求項10に記載の発明では、フランジ部(39H)は、複数の連通口(39D)に対応して搬送方向に沿って離散的に複数設けられ、かつ、複数のフランジ部は、中心軸線L1の方向から見て、中心軸線L1を中心とする回転方向において互いに異なる位置となっており、中心軸線(L1)の方向から見て、複数のフランジ部(39H)のうち連通口(39D)に対応する部分が、中心軸線(L1)の周りの全周に連続した状態となることを特徴とする。
【0027】
これにより、請求項10に記載の発明では、オーガ(39E)がいずれの位置で停止しても、連通口(39D)は閉塞された状態となるので、搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、被搬送体が不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0028】
請求項11に記載の発明は、現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像剤収容装置であって、その現像剤収容装置は、画像形成に用いられずに回収された現像剤が収容される収容部(31)と、収容部(31)に溜まった現像剤の量が所定量を超えたか否かを検知するための検知部(37)と、収容部(31)に溜まった現像剤を検知部(37)に搬送する請求項1ないし10のいずれか1項に記載の搬送装置(39)とを備えることを特徴とする。
【0029】
これにより、請求項11に記載の発明では、現像剤収容装置(30)が画像形成装置から取り外されて搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、回収された現像剤が検知部(37)に流動してしまうことを抑制し、検知部が誤検知するのを抑制することができる。
【0030】
請求項12に記載の発明では、現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する画像形成手段と、請求項11に記載の現像剤収容装置(30)とを備えることを特徴とする。
【0031】
これにより、請求項12に記載の発明においても、現像剤収容装置(30)が画像形成装置から取り外されて搬送装置全体が傾けられた場合等であっても、回収された現像剤が検知部(37)に流動してしまうことを抑制し、検知部が誤検知するのを抑制することができる。
【0032】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るベルトクリーナユニット19の中央断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るベルトクリーナユニット19から蓋体33、34を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るベルトクリーナユニット19から蓋体33、34を取り外した状態を示す上面図である。
【図5】図4においてオーガ式搬送機構39および検知部37の部分を拡大した図である。
【図6】本発明の実施形態に係るオーガ式搬送機構39を示すため、収容箱30を斜めに切断した斜視図である。
【図7】図6において、オーガ39Eを取り外した状態を示す斜視図である。
【図8】(a)は図5のA−A断面図であり、(b)は図5のB−B断面図であり、(c)は図5のC−C断面図であり、(d)は図5のD−D断面図であり、(e)は図5のE−E断面図であり、(b)のみ箱本体32と蓋体34を示すが、他はそれを省略する。
【図9】オーガ39Eを示す斜視図である。
【図10】図4のF−F断面図で、現像剤検知部37の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本実施形態は電子写真方式のカラー画像形成装置に本発明に係る搬送装置、現像剤収容装置及び画像形成装置を適用したものであり、以下に本実施形態を図面と共に説明する。
1.画像形成装置概要
画像形成装置1の装置本体内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより、用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されており、この画像形成部5は、プロセスユニット7、ベルトユニット13、露光器9及び定着器11等から構成されている。
【0035】
なお、画像形成部5は、ダイレクトタンデム方式のカラー画像形成部であるため、用紙の搬送方向に沿って直列に複数個(本実施形態では、4個)のプロセスユニット7を備える。
【0036】
4個のプロセスユニット7は、具体的には、用紙の搬送方向上流側から順に、ブラック用のプロセスユニット7K、イエロー用のプロセスユニット7Y、マゼンタ用のプロセスユニット7M、シアン用のプロセスユニット7Cである。なお、各プロセスユニット7K〜7Cは、現像剤像が担持される感光ドラム7A、及び感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B等から構成されている。
【0037】
そして、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像を形成した後、電荷を帯びた現像剤(トナー)を感光ドラム7Aに供給すると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0038】
また、ベルトユニット13に搬送される用紙を挟んで感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤を用紙に転写させる転写ローラ15が設けられており、この転写ローラ15には、感光ドラム7Aに担持された現像剤像を用紙に転写させるための電圧が印加されている。
【0039】
そして、感光ドラム7Aに担持されていた現像剤像が、ベルトユニット13により搬送される用紙に転写されると、その現像剤像が転写された用紙は定着器11に搬送され、定着器11にて加熱されて現像剤像が用紙に溶着(定着)される。その後、用紙は、その搬送方向が上方側に転向されて筐体3の上端面に設定された排紙トレイ3Aに排出される。
【0040】
また、ベルトユニット13の下方側には、画像形成部5に搬送される用紙が載置される給紙トレイ14が着脱自在に装置本体に装着されており、この給紙トレイ14に載置されている用紙は、フィーダ機構17により1枚ずつ画像形成部5側に送出される。
【0041】
そして、ベルトユニット13と給紙トレイ14との間には、転写ベルト13Aに付着した現像剤等の付着物を回収するベルトクリーナユニット19が配設され、このベルトクリーナユニット19及びベルトユニット13は装置本体に着脱自在に装着されている。
【0042】
因みに、装置本体とは、画像形成部5を支持するメインフレーム(図示せず)およびそのメインフレームを囲む筐体3等の通常使用時においては分解又は着脱されない部分をいう。
【0043】
2.ベルトクリーナユニット(現像剤収容装置)について
2.1.ベルトクリーナユニットの概略構成
本実施形態に係る画像形成装置1では、用紙の搬送を行わない適当なタイミングで現像剤濃度調整用のパッチ又は色ずれ検知用のレジマークをベルトユニット13の転写ベルト13A上に印刷(転写)し、その後、使用済みのパッチ又はレジマークを廃現像剤(廃トナー)としてベルトクリーナユニット(現像剤収容装置)19にて回収している。
【0044】
そして、ベルトクリーナユニット19は、図2に示すように、クリーニングローラ21、クリーニングシャフト22、剥離ブレード23、飛散防止ブレード24、アジテータ25、オーガ式搬送機構39、及び現像剤収容箱30等から構成されている。
【0045】
クリーニングローラ21は、ベルトユニット13と対向配置されて転写ベルト13Aの表面に付着した付着物(主に、現像剤)を転写ベルト13Aから回収するクリーニング部材であり、クリーニングシャフト22はクリーニングローラ21の表面に付着した現像剤を回収して収容部31に搬送するクリーニング部材である。
【0046】
バックアップローラ26は、図1に示すように、転写ベルト13Aを挟んでクリーニングローラ21と反対側に配設され、転写ベルト13Aをクリーニングローラ21に押し付けるためのバックアップ部材である。なお、このバックアップローラ26は、ベルトクリーナユニット19ではなく、ベルトユニット13の内側に設けられている。
【0047】
そして、クリーニングシャフト22の表面に回収された現像剤は、薄板状の剥離ブレード23によって掻きとられ、現像剤収容箱30に構成された収容部31に落とされる。この掻き落とされた現像剤は、飛散防止ブレード24によりクリーニングローラ21側に飛散してしまうことを防止される。
【0048】
また、現像剤収容箱30は、収容部31を構成する箱本体32、並びに箱本体32の上部側開口部を閉塞する第1および第2蓋体33、34からなるもので、蓋体33、34は、ネジ等の機械的な締結(結合)手段により箱本体32に組付固定されている。第2蓋体34は、クリーニングローラ21、クリーニングシャフト22、剥離ブレード23および飛散防止ブレード24を支持し、クリーニングシャフト22の下に、現像剤を収容部31へ落下させるための開口を有する。
【0049】
なお、現像剤収容箱30は、図2に示すように、水平方向にベルトユニット13と略対応する幅およびベルトユニット13の長手方向に延びる長さを有し、その長さおよび幅が上下方向寸法よりも大きい扁平形状である。収容部31は、現像剤収容箱30内に形成され、クリーニングシャフト22下の開口からベルトユニット13の長手方向と平行に延び、収容箱と同様の方向に扁平形状である。
【0050】
2.2.アジテータ
アジテータ25は、図2に示すように、収容部31内に収容され、クリーニングシャフト22下の開口から収容部31の延びる方向に略水平に延び、後述するクランクシャフト29の回転により略水平方向に往復運動(正確には後述するように揺動運動をともなう往復運動)をすることにより、剥離ブレード23によって掻きとられ、クリーニングシャフト22下の開口から落下した現像剤を、その落下点から略水平方向へずれた位置に移動させるものである。
【0051】
クランクシャフト29は、両端の回転軸において収容部31の両側壁に回転可能に支持され、その両回転軸の間に、その両回転軸に対して偏心した偏心部を有している。アジテータ25は、そのクランクシャフト29の偏心部に連結されている。
【0052】
また、アジテータ25は、図3、4に示すように、格子状に構成され、クランクシャフト29の偏心部と略平行に延び、間隔をおいた複数の横フレーム棒25Bと、クランクシャフト29の偏心部から略直角に延びて複数の横フレーム棒25Bを相互に連結する複数の縦フレーム棒25Cを備えている。横フレーム棒25Bは、往復運動方向と略直交する面を有し、アジテータ25の往復運動にともない現像剤を移動させる機能を持つ(以下、「搬送部」という)。
【0053】
そして、アジテータ25のうち、その延び方向先端25D側には、左右に突出する一対の摺動ピン25Eが設けられている。これらの摺動ピン25Eは、収容部31の左右両側に、クランクシャフト29の回転軸に対し直交する方向にリブ状に延びる保持壁32Aと、その保持壁32Aと対向して蓋体33に設けられたリブ状の保持壁(図示せず)との間に、その壁が延びる方向に摺動可能に挿入されている。したがって、アジテータ25は、摺動ピン25Eを保持壁間で滑らせて往復運動可能としながら、摺動ピン25Eを中心として揺動可能になっている。
【0054】
なお、アジテータ25は、クランクシャフト29により往復運動させられるが、アジテータ25が図2に示す左方向に向かって移動するときに、収容部31内に落下してきた現像剤は、搬送部25Bにて順次、その落下ポイントから、図2の左側に移送される。すなわち、落下ポイントにて山状に積み上がった現像剤は、アジテータ25の搬送部25Bによって山の頂部の部分が掻き取られながら、他の搬送部25Bによって順次、図2の左側(すなわち摺動ピン25E側)へ移送される。
【0055】
したがって、積み上がった現像剤の山がアジテータ25を超えるまでは現像剤の山が図2の左側に拡大していく。そして、収容部31のうち図2の左端側から順次、現像剤の山が盛り上がっていくと、アジテータ25の運動に伴って移送される現像剤は、格子状に形成されたアジテータ25を乗り越えて収容部31の上部まで溜まりながら、盛り上がった現像剤の山のすそ部分が次第に落下ポイント側に近づいていく。
【0056】
そして、収容部31内に貯留されている現像剤が落下ポイントを超えて、ケーシング壁35の左側の空間を通って後述するオーガ39Eまで到達し、さらにオーガ39Eの羽根39Gに接触する高さ以上になると、オーガ39Eによる現像剤の搬送が開始される。
【0057】
2.3.廃現像剤検知部およびオーガ式搬送機構
クリーニングシャフト22下の開口から収容部31の延びる方向と反対側には、オーガ式搬送機構39および廃現像剤の検知部37が設けられている。収容部31とオーガ式搬送機構39および検知部37との間は、図4に示すように、クランクシャフト29の前方でその回転軸の軸方向と平行な方向(本実施形態では、左右方向(以下、幅方向という。)に延びるケーシング壁35により区画されている。
【0058】
ケーシング壁35のさらに前方には、図5に示すように、そのケーシング壁35と平行にもう1つのケーシング壁32Bが設けられており、このケーシング壁35、32B間に、オーガ39Eが収納され現像剤の搬送路を構成するケーシング部39Aが構成されている。搬送路の上面および底面は、箱本体32の底と蓋体34とによって閉鎖されており、つまり、ケーシング部39Aは、箱本体32と蓋体34との協働で形成されている。前者のケーシング壁35の一端は、箱本体32の一方の側壁(本実施形態では左側壁)の内面と間隔をおいて、その間に、搬送路と収容部31とを連通させる開口部を形成している。
【0059】
現像剤検知部37は、収容部31に溜まった現像剤の量が所定量を超えたか否かを検知するための検知部であり、具体的には、後述するオーガ39Eよって搬送されてきた現像剤を収容する検知用空間37A、検知用空間37A内の現像剤を検出する検出器37Cから構成されている。
【0060】
検知用空間37Aは、ケーシング部39Aの、搬送路の前記開口部と反対側の端部に連続して位置し、ケーシング壁35と箱本体32の前壁とに接続する壁によって囲まれて形成されている。
【0061】
検出器37Cとしては、例えば、検知用空間37Aの周囲の壁を透明として、その空間を透過する光によって現像剤の存否またはその量を検出する透過型光学検出器等、公知の種々のものを適用することができるが、本実施形態では、現像剤の量に応じて揺動するセンサアクチュエータ37Bの変位を検出するための透過型光学検出器から構成されている。なお、透過型光学検出器37Cは装置本体に設けられている。
【0062】
ケーシング部39A内は、複数の区画壁39Bにより搬送路を搬送される現像剤の搬送方向に沿って直列に並んだ複数の空間39Cに区画されている。蓋体34にも区画壁39Bと対応する位置に区画壁が形成され、上下の対応する区画壁が実質一体となって機能を果たすようになっている。以下、上下の対応する区画壁をまとめて「区画壁39B」という。これら各区画壁39Bには、図7に示すように、隣り合う空間39Cを連通させる連通口39Dが設けられている。
【0063】
オーガ39Eは、図6に示すように、全ての連通口39Dを貫通して複数の空間39Cに跨って延びる軸部39F、およびこの軸部39F周りに設けられた螺旋状の羽根39Gを有している。軸部39Fは、その両端において箱本体32の左側壁と、それと反対側の検知用空間37A外に設けた軸受壁とに、各空間39Cの並び方向に延びる中心軸線L1のまわりに回転可能に支持されている。このオーガ39Eおよびケーシング部39Aにより、収容部31内の現像剤を検知用空間37Aに搬送する搬送装置をなすオーガ式搬送機構39が構成されている。
【0064】
また、羽根39Gは、図5に示すように、軸部39Fのうち各空間39C内に位置する部位のみに形成され、かつ、連通口39D(区画壁39B)に対応する位置には設けられていない。このため、本実施形態に係る羽根39Gは、収容部31から検知用空間37Aまで連続した螺旋形状とはなっていない。
【0065】
つまり、本実施形態では、各空間39Cに設けられた羽根39Gは中心軸線L1周りに螺旋状となっている。このため、軸部39Fが回転すると、各空間39C内の現像剤は、「バケツリレー」のごとく、連通口39Dを通して隣り合う空間39Cに搬送され、紙面左側の空間39Cから順次に紙面右側の空間39Cに移動し、最終的に、検知用空間37Aに至る。
【0066】
連通口39Dは、軸部39Fの直径よりも大きく羽根39Gの外周直径よりも小さい幅を有し、上下方向には、連通口39Dを貫通している軸部39Fから半径方向下方側に羽根39Gの外周下端近傍まで延びているが、軸部39Fから半径方向上方側では羽根39Gの外周上端近傍まで延びていない。このため、本実施形態では、連通口39Dの下方部分は、中心軸線L1方向に見て羽根39Gとほぼ対向する位置にあり、オーガ39Eにより搬送される現像剤は、主に、連通口39Dのうち軸部39Fより下方側の部分を経由して隣接する空間39Cに搬送される。
【0067】
また、図5に示すように、軸部39Fのうち各空間39C内に位置する部位の端部であって現像剤搬送方向下流側の端部、つまり各連通口39Dに対して搬送方向上流側に位置して各連通口39Dに直接的に面する位置には、オーガ39Eと一体的に回転する鍔状のフランジ部39Hが設けられている。
【0068】
そして、各フランジ部39Hは、図8に斜線部分で示すように、中心軸線L1の方向から見ると、その回転方向の全周(360度)よりも小さい範囲に位置し、かつ、連通口39Dと平行な平面、つまり軸部39Fと直交する平面内において軸部39Fから半径方向に拡がる半円盤状に形成されているとともに、空間39C内の螺旋状の羽根39Gの下流側の端部と滑らかに連続した形状(図5、図9参照)となっている。
【0069】
なお、図8(a)は図5のA−A断面図であり、(b)は図5のB−B断面図であり、(c)は図5のC−C断面図であり、(d)は図5のD−D断面図であり、(e)は図5のE−E断面図であり、それぞれ隣接する区画壁39Bとの間の位置を切断箇所としている断面図である。
【0070】
このため、図(a)では、右側に隣接する連通口39Dが想像線(2点差線)で図示されており、また、図(b)〜(e)では、右側に隣接する連通口39Dではなく、各空間39Cの左側に位置する連通口39Dが図示されている。また、(b)のみ箱本体32と蓋体34とを示し、他はそれを省略している。
【0071】
なお、フランジ部39Hと羽根39Gとが滑らかに連続して繋がっているとは、羽根39Gのうちフランジ部39Hとの繋がっている部分の角度が、フランジ部39Hと同一角度(本実施形態では、軸部39Fと直交する角度)または鈍角となっていることを意味する。
【0072】
オーガ39Eの中心軸線L1からの半径は、中心軸線L1から連通口39Dの下端までの半径とほぼ一致またはそれよりも大きい。このため、オーガ39Eと共にフランジ部39Hが回転すると、フランジ部39Hの回転に伴ってフランジ部39Hが描く軌跡は、中心軸線L1の方向から見ると、連通口39Dを塞ぐように重なる円盤状となる。
【0073】
したがって、フランジ部39Hは、中心軸線L1の方向から見ると、オーガ39Eの回転とともに連通口39Dを閉塞又は狭小化する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位することとなる。
【0074】
また、各フランジ部39Hは、図8に示すように、複数の区画壁39Bのうち第1の区画壁39Bに設けられた連通口39Dに対応するフランジ部39Hが開放ポジションとなったときには、前記第1の区画壁39Bと異なる第2の区画壁39Bに設けられた連通口39Dに対応するフランジ部39Hが閉塞ポジションとなるように、各フランジ部39Hの相対位置関係が設定されている。
【0075】
つまり、複数のフランジ部39Hは、中心軸線L1の方向から見ると、中心軸線L1を中心とする回転方向において互いに異なる位置となっている。
具体的には、本実施形態では、中心軸線L1の方向から見ると、複数のフランジ部39Hのうち連通口39Dに対応する部分(以下、この部分をフランジ部39Hの蓋部という。)が、中心軸線L1の周りの全周に連続した状態となる。換言すれば、全てのフランジ部39Hの蓋部及び連通口39Dを、中心軸線L1と直交する仮想平面に投影すると、全てのフランジ部39Hの蓋部の集合体により連通口39Dが閉塞された状態となる。
【0076】
3.本実施形態に係る廃現像剤の量の検知動作
前述のように、収容部31に現像剤が所定量以上溜まると、現像剤(廃現像剤)は、ケーシング壁35の一端と箱本体32の左側壁との間の開口部からオーガ39Eに対し供給され、回転しているオーガ39Eの羽根39Gにより、区画壁39Bによって区画された複数の空間39Cに順次、連通口39Dの下方部分を通って搬送される。
【0077】
ケーシング部39Aの最後の連通口39Dを抜けた現像剤は、図10に示すように、検知用空間37Aに入り、センサアクチュエータ37B上に載り、センサアクチュエータ37Bを揺動させる。所定量以上の現像剤が、センサアクチュエータ37B上に載ると、光学検出器37Cがオンまたはオフする。
【0078】
つまり、収容部31に現像剤が所定量以上溜まった状態からさらに溜まった現像剤から一部を検知部37に搬送して、検知部37に溜まった現像剤の量により、収容部31に溜まった現像剤の量を推定し、画像形成装置の動作を制御している。
【0079】
4.本実施形態に係るオーガ式搬送機構の特徴
本実施形態では、オーガ39Eの回転とともに連通口39Dを閉塞する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位するフランジ部39Hを備えているので、オーガ式搬送機構39(現像剤収容箱30)全体が傾けられた場合等であっても、空間39C間を連通口39Dを通って現像剤が不必要に流動してしまうことをフランジ部39Hによって抑制できる。
【0080】
また、画像形成装置1において、検知部37へオーガ39Eによって順次搬送すべき現像剤が、画像形成装置1全体の傾斜等により、一気に検知部37へ流動してしまうことを抑制し、検知部37の誤検知を抑制できる。
【0081】
ところで、オーガ39Eが停止したときに、フランジ部39Hが閉塞ポジションとならず、開放ポジションとなる場合もあり得るが、本実施形態では、複数の区画壁39Bのうち、第1の区画壁39Bに設けられた連通口39Dに面するフランジ部39Hが開放ポジションとなり、第1の区画壁39Bと異なる第2の区画壁39Bに設けられた連通口39Dに面するフランジ部39Hが閉塞ポジションとなるので、少なくとも1つのフランジ部39Hは閉塞ポジションとなる。
【0082】
したがって、オーガ39Eがいずれの位置で停止しても、少なくとも1つの連通口39Dは閉塞された状態となるので、搬送能力が過度に損なわれることを抑制しながら、現像剤収容箱30全体が傾けられた場合等であっても、現像剤が不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0083】
また、本実施形態では、フランジ部39Hは、軸部39Fと直交し、かつ、連通口39Dと平行な平面内で拡がっているので、連通口39Dから現像剤が流動してしまうことを確実に抑制できる。
【0084】
ところで、連通口39Dから現像剤が流動してしまうことを防止するには、連通口39Dの開口面積を小さくすればよいが、この手法では、現像剤の搬送能力が低下するおそれがある。
【0085】
これに対して、本実施形態のごとく、連通口39Dの幅をオーガの羽根39Gの外径よりも小さくしかつ連通口39Dの上下方向を、軸部39Fよりも下方側へ延びた形状とすることで、搬送能力が過度に損なわれることを抑制しながら、現像剤収容箱30全体が傾けられた場合等であっても、現像剤が不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0086】
また、本実施形態では、複数のフランジ部39Hは、中心軸線L1の方向から見て、中心軸線L1を中心とする回転方向において互いに異なる位置となっており、しかも、複数のフランジ部39Hのうち連通口39Dに対応する部分(以下、この部分をフランジ部39Hの蓋部という。)が、中心軸線L1の周りの全周に連続した状態となるように、相対位置関係が設定されている。
【0087】
したがって、オーガ39Eがいずれの位置で停止しても、連通口39Dは閉塞された状態となる。これにより、搬送能力が過度に損なわれることを抑制しながら、オーガ式搬送機構39全体が傾けられた場合等であっても、現像剤が不必要に流動してしまうことを抑制できる。
【0088】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、オーガ式搬送機構39が特許請求の範囲に記載された搬送装置に相当する。
【0089】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、各空間39Cにフランジ部39Hを設けたが、本発明はこれに限定されるものでなく、複数の空間39Cのうち少なくとも2つの空間39Cにフランジ部39Hが設けられていれば十分である。
【0090】
また、上述の実施形態では、空間39Cのうち搬送下流側のみフランジ部39Hが設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、空間39Cのうち搬送上流側のみ、又は空間39Cのうち搬送下流側及び上流側にフランジ部39Hを設けてもよい。
【0091】
また、上述の実施形態では、全てのフランジ部39Hの蓋部および連通口39Dを、中心軸線L1と直交する仮想平面に投影したときに、全てのフランジ部39Hの蓋部の集合体により連通口39Dが閉塞された状態となるようにしたが、全てのフランジ部39Hの回転軌跡の外に連通口39Dの一部があって、連通口39Dが完全には閉塞されなかったり、あるいはオーガ39Eの特定の角度の回転停止状態では連通口39Dの一部が閉塞されないことがあってもよい。つまり、フランジ部39Hによる閉塞状態で連通口39Dの一部から被搬送粉体が漏れても、検知部での検知動作に影響のない程度の漏れ量であればよい。
【0092】
上述の実施形態では、オーガの羽根39Gは、軸部39F上に各空間39Cごとに独立して設けたが、複数の空間39Cにわたって連続したものであってもよい。その場合、連通口39Dは羽根39Gを貫通させる大きさとし、複数のフランジ部39Hで対応する連通口39Dの一部ずつを覆うようにする。
【0093】
この場合、複数の連通口39Dのうち、少なくとも一つの連通口39D全体をフランジ部39Hによって閉塞することできない。しかしながら、各空間39C内に溜まる現像剤の量が、オーガの軸部39Fを大きく超えることはなく、それまでには、オーガの羽根39Gによって次の空間39Cに搬送されることとなるため、オーガの軸部39Fの下側に開口している連通口39Dの部分が、フランジ部39Hによって閉塞されていれば、装置が余程大きく傾けられない限り、上述した実施形態とほぼ同様の効果を奏し得る。
【0094】
また、上述の実施形態では、軸部39Fは、全ての連通口39Dを貫通して複数の空間39Cに跨って延びていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば空間39C毎に独立して軸部39Fが設けられた構成であってもよい。
【0095】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0096】
1…画像形成装置、3…筐体、3A…排紙トレイ、5…画像形成部、
7…プロセスユニット、9…露光器、11…定着器、
13…ベルトユニット、119…ベルトクリーナユニット、
21…クリーニングローラ、22…クリーニングシャフト、23…剥離ブレード、
24…飛散防止ブレード、25…アジテータ、29…クランクシャフト、
30…現像剤収容箱、31…収容部、32…箱本体、33…蓋体、
35…ケーシング壁、39H…フランジ部、37…現像剤検知部、
39…スクリューポンプ機構、39A…ケーシング部、39B…区画壁、
39C…空間、39D…連通口、39E…オーガ、39F…軸部、39G…羽根。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体状の被搬送体を搬送する搬送装置であって、
被搬送体の搬送方向に沿って延びるケーシング部と、
前記ケーシング部内を前記搬送方向に沿って直列に並んだ複数の空間に区画するとともに、隣り合う空間を連通させる連通口が設けられた複数の区画壁と、
前記各空間に設けられ、前記各空間の並び方向に延びる中心軸線の周りに螺旋状の羽根を有して回転し、前記各空間内の前記被搬送体を前記連通口を通して隣り合う前記空間に搬送するオーガと、
前記オーガに設けられて前記連通口と面するともに、前記中心軸線の方向から見て、前記オーガの回転とともに前記連通口を閉塞又は狭小化する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位するフランジ部と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記複数の連通口に対応して複数設けられており、
さらに、前記複数のフランジ部のうち、第1の区画壁に設けられた前記連通口に対応するフランジ部が前記開放ポジションとなり、前記第1の区画壁と異なる第2の区画壁に設けられた前記連通口に対応するフランジ部が前記閉塞ポジションとなるように、前記複数のフランジ部の相対位置関係が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記中心軸線の方向から見て、前記連通口は前記羽根の一部と重なる位置にあり、
前記フランジ部は、前記複数の連通口に対応して複数設けられており、
さらに、前記複数のフランジ部のうち、第1のフランジ部と前記第1のフランジ部と異なる第2のフランジ部とは、前記中心軸線の方向から見て、前記中心軸線を中心とする回転方向において互いに異なる位置にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記オーガは、前記中心軸線の方向に延びる軸部、及びこの軸部の外周に形成された前記羽根を有して構成され、
前記連通口は、一部において前記軸部が貫通可能であって、かつ、その貫通した前記軸部から前記軸部の半径方向に拡がる形状であり、
さらに、前記中心軸線の方向から見て、前記フランジ部は、前記軸部を中心とする回転軌跡が前記連通口と重なるように前記軸部から前記半径方向に拡がるとともに、前記回転方向の全周よりも小さい範囲に位置していることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記フランジ部は、前記軸部と直交し、かつ、前記連通口と平行な平面内で拡がっていることを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記連通口は、前記連通口を貫通している前記軸部から下方側へ延びていることを特徴とする請求項4又は5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記軸部は、前記複数の空間に跨って延び、
前記羽根は、少なくとも前記軸部のうち前記各空間内に位置する部位に形成され、
さらに、前記フランジ部は、前記複数の空間のうち第1の空間に位置する前記羽根と前記第1の空間と異なる第2の空間に位置する前記羽根との間に設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記軸部は、前記複数の空間に跨って延び、
前記羽根は、前記軸部のうち前記各空間内に位置する部位のみに形成され、かつ、前記連通口に対応する位置には設けられておらず、
さらに、前記フランジ部は、前記軸部のうち前記各空間内に位置する部位であって、この部位の軸方向端部にて前記羽根と連続した形状として設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記フランジ部は、前記軸部のうち前記各空間内に位置する部位の端部であって、前記搬送方向下流側の端部に設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記フランジ部は、前記複数の連通口に対応して前記搬送方向に沿って離散的に複数設けられ、かつ、複数の前記フランジ部は、前記中心軸線L1の方向から見て、中心軸線L1を中心とする回転方向において互いに異なる位置となっており、
前記中心軸線の方向から見て、前記複数のフランジ部のうち前記連通口に対応する部分が、前記中心軸線の周りの全周に連続した状態となることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項11】
現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられ、画像形成に用いられずに回収された現像剤が収容される収容部と、
前記収容部に溜まった現像剤の量が所定量を超えたか否かを検知するための検知部と、
前記収容部に溜まった現像剤を前記検知部に搬送する請求項1ないし10のいずれか1項に記載の搬送装置と
を備えることを特徴とする現像剤収容装置。
【請求項12】
現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する画像形成手段と、
請求項11に記載の現像剤収容装置と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
粉体状の被搬送体を搬送する搬送装置であって、
被搬送体の搬送方向に沿って延びるケーシング部と、
前記ケーシング部内を前記搬送方向に沿って直列に並んだ複数の空間に区画するとともに、隣り合う空間を連通させる連通口が設けられた複数の区画壁と、
前記各空間に設けられ、前記各空間の並び方向に延びる中心軸線の周りに螺旋状の羽根を有して回転し、前記各空間内の前記被搬送体を前記連通口を通して隣り合う前記空間に搬送するオーガと、
前記オーガに設けられて前記連通口と面するともに、前記中心軸線の方向から見て、前記オーガの回転とともに前記連通口を閉塞又は狭小化する閉塞ポジションと開放する開放ポジションとの間で回転変位するフランジ部と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記複数の連通口に対応して複数設けられており、
さらに、前記複数のフランジ部のうち、第1の区画壁に設けられた前記連通口に対応するフランジ部が前記開放ポジションとなり、前記第1の区画壁と異なる第2の区画壁に設けられた前記連通口に対応するフランジ部が前記閉塞ポジションとなるように、前記複数のフランジ部の相対位置関係が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記中心軸線の方向から見て、前記連通口は前記羽根の一部と重なる位置にあり、
前記フランジ部は、前記複数の連通口に対応して複数設けられており、
さらに、前記複数のフランジ部のうち、第1のフランジ部と前記第1のフランジ部と異なる第2のフランジ部とは、前記中心軸線の方向から見て、前記中心軸線を中心とする回転方向において互いに異なる位置にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記オーガは、前記中心軸線の方向に延びる軸部、及びこの軸部の外周に形成された前記羽根を有して構成され、
前記連通口は、一部において前記軸部が貫通可能であって、かつ、その貫通した前記軸部から前記軸部の半径方向に拡がる形状であり、
さらに、前記中心軸線の方向から見て、前記フランジ部は、前記軸部を中心とする回転軌跡が前記連通口と重なるように前記軸部から前記半径方向に拡がるとともに、前記回転方向の全周よりも小さい範囲に位置していることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記フランジ部は、前記軸部と直交し、かつ、前記連通口と平行な平面内で拡がっていることを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記連通口は、前記連通口を貫通している前記軸部から下方側へ延びていることを特徴とする請求項4又は5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記軸部は、前記複数の空間に跨って延び、
前記羽根は、少なくとも前記軸部のうち前記各空間内に位置する部位に形成され、
さらに、前記フランジ部は、前記複数の空間のうち第1の空間に位置する前記羽根と前記第1の空間と異なる第2の空間に位置する前記羽根との間に設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記軸部は、前記複数の空間に跨って延び、
前記羽根は、前記軸部のうち前記各空間内に位置する部位のみに形成され、かつ、前記連通口に対応する位置には設けられておらず、
さらに、前記フランジ部は、前記軸部のうち前記各空間内に位置する部位であって、この部位の軸方向端部にて前記羽根と連続した形状として設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記フランジ部は、前記軸部のうち前記各空間内に位置する部位の端部であって、前記搬送方向下流側の端部に設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記フランジ部は、前記複数の連通口に対応して前記搬送方向に沿って離散的に複数設けられ、かつ、複数の前記フランジ部は、前記中心軸線L1の方向から見て、中心軸線L1を中心とする回転方向において互いに異なる位置となっており、
前記中心軸線の方向から見て、前記複数のフランジ部のうち前記連通口に対応する部分が、前記中心軸線の周りの全周に連続した状態となることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項11】
現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられ、画像形成に用いられずに回収された現像剤が収容される収容部と、
前記収容部に溜まった現像剤の量が所定量を超えたか否かを検知するための検知部と、
前記収容部に溜まった現像剤を前記検知部に搬送する請求項1ないし10のいずれか1項に記載の搬送装置と
を備えることを特徴とする現像剤収容装置。
【請求項12】
現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する画像形成手段と、
請求項11に記載の現像剤収容装置と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−242524(P2011−242524A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113250(P2010−113250)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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