説明

携帯型電子機器

【課題】一対の筐体を開閉する操作が容易であり、然も鞄の中で両筐体が勝手に開く虞のない携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯型電子機器においては、一対の筐体1、2がヒンジ機構3を介して互いに開閉可能に連結されており、一方の筐体1にはスライド釦4がスライド操作可能に配備され、該スライド釦4は開閉機構5を介して他方の筐体2に連繋し、該開閉機構5によってスライド釦4の往復動作が該他方の筐体2の開閉動作に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式携帯電話機の如く一対の筐体がヒンジ機構を介して互いに開閉可能に連結されている携帯型電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳み式携帯電話機においては、図4に示す如く、操作キー(11)を具えた操作側筐体(10)とディスプレイ(21)を具えた表示側筐体(20)とが、ヒンジ機構(6)を介して互いに連結され、図4に示す開き状態と図5に示す閉じ状態の間で、開閉操作が可能となっている。
【0003】
この様な折り畳み式携帯電話機において、ヒンジ機構(6)にロック解除釦(61)を具え、該ロック解除釦(61)の操作によって、両筐体(10)(20)を図5に示す閉じ状態から図4に示す開き状態に自動的に開くことが出来るものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
該折り畳み式携帯電話機によれば、ロック解除釦(61)を押圧操作するだけで両筐体(10)(20)が自動的に開くので、片手によっても容易に両筐体(10)(20)を開くことが可能である。
【特許文献1】特開2001−165144号公報[H04M1/02]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロック解除釦(61)を具えた折り畳み式携帯電話機によれば、両筐体(10)(20)を容易に開くことが出来るものの、両筐体(10)(20)を閉じるときには、操作側筐体(10)を把持した状態で表示側筐体(20)を閉じ方向に操作する必要があるため、操作が困難である問題があった。
又、携帯電話機を鞄に収容して携帯する場合、鞄の中でロック解除釦(61)が他の物品により押圧される可能性があり、これによって両筐体(10)(20)が勝手に開いてしまう問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的は、一対の筐体を開閉する操作が容易であり、然も鞄の中で両筐体が勝手に開く虞のない携帯型電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯型電子機器においては、一対の筐体(1)(2)がヒンジ機構(3)を介して互いに開閉可能に連結されており、一方の筐体(1)にはスライド釦(4)がスライド操作可能に配備され、該スライド釦(4)は開閉機構(5)を介して他方の筐体(2)に連繋し、該開閉機構(5)によってスライド釦(4)の往復動作が該他方の筐体(2)の開閉動作に変換される。
尚、前記開閉機構(5)は、例えば周知のカム機構を用いて容易に構成することが出来る。
【0007】
上記本発明の携帯型電子機器においては、スライド釦(4)を一方向にスライドさせることによって、このスライド釦(4)の移動が開閉機構(5)によって前記他方の筐体(2)の開き動作に変換される。又、スライド釦(4)を他方向にスライドさせることによって、このスライド釦(4)の移動が開閉機構(5)によって前記他方の筐体(2)の閉じ動作に変換される。
このスライド釦(4)のスライド操作は、前記一方の筐体(1)を把持した一方の手の指で行なうことが出来る。
【0008】
又、本発明の携帯型電子機器を鞄に収容して携帯する場合、鞄の中の他の物品によってスライド釦(4)が押圧されることがあったとしても、その押圧力がスライド釦(4)のスライド方向に作用することは殆どないので、スライド釦(4)がスライドすることはない。
【0009】
具体的構成において、前記一方の筐体(1)は、その内面に操作キー(11)が配備された扁平な操作側筐体であり、前記他方の筐体(2)は、その内面にディスプレイ(21)が配備された扁平な表示側筐体であって、前記スライド釦(4)は、表示側筐体(2)の側面に、該側面の長手方向に沿うスライドが可能に配備されている。
【0010】
ここで、前記スライド釦(4)を、前記側面のヒンジ機構(3)側の端部に配備すれば、操作側筐体(1)を把持した手の指でスライド釦(4)を容易にスライド操作することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る携帯型電子機器によれば、一対の筐体を開閉する操作が容易であり、然も鞄の中で両筐体が勝手に開く虞はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を折り畳み式携帯電話機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る折り畳み式携帯電話機は、図1に示す如く、操作キー(11)が配備された扁平な操作側筐体(1)と、ディスプレイ(21)が配備された扁平な表示側筐体(2)と、両筐体(1)(2)を開閉可能に連結するヒンジ機構(3)とを具え、図1に示す開き状態と図2に示す閉じ状態の間で開閉が可能となっている。
尚、ヒンジ機構(3)の構成は周知のところであるので、説明を省略する。
【0013】
操作側筐体(1)の側面には、ヒンジ機構(3)側の端部に、両筐体(1)(2)を開閉させるためのスライド釦(4)が、該側面の長手方向に沿って往復移動可能に配備されている。
【0014】
操作側筐体(1)のスライド釦(4)は、開閉機構(5)を介して表示側筐体(2)に連繋しており、図1に示す開き状態からスライド釦(4)を矢印の如く前方へスライドさせると、該スライドに連動して表示側筐体(2)が閉じることになる。又、図2に示す閉じ状態からスライド釦(4)を矢印の如く後方へスライドさせると、該スライドに連動して表示側筐体(2)が開くことになる。
【0015】
開閉機構(5)は種々のカム機構を用いて構成することが可能であって、例えば図3に示す構成を採用することが出来る。
操作側筐体(1)の側面には、該側面の長手方向に長い第1ガイド溝(14)が開設されており、該第1ガイド溝(14)に逆T字状のスライド部材(51)が摺動可能に係合しており、該スライド部材(51)の下方端部が前記スライド釦(4)に連結固定されている。
該スライド部材(51)の上部には、垂直方向に伸びる第2ガイド溝(52)が開設されている。
【0016】
又、操作側筐体(1)の上面には、支持板(12)が突設されており、該支持板(12)には、中央部がヒンジ軸(31)を中心として上向きに湾曲すると共に両端部が両側へ向かって伸びる、山形のカム曲線を有するカム溝(13)が開設されている。
【0017】
表示側筐体(2)の下端部には、該筐体(2)の長手方向へ伸びる第3ガイド溝(23)が開設されると共に、ヒンジ軸(31)から該筐体(2)の先端側へ離間した位置には、ヒンジ軸(31)と平行に伸びるピン状のカムフォロワー(22)が突設され、該カムフォロワー(22)は、第3ガイド溝(23)によって該筐体(2)の長手方向に沿う往復移動が案内されている。
【0018】
表示側筐体(2)のカムフォロワー(22)の先端部は、操作側筐体(1)の支持板(12)のカム溝(13)を貫通し、更にその先端がスライド部材(51)の第2ガイド溝(52)を貫通している。
【0019】
上記開閉機構(5)においては、図3(a)の如く操作側筐体(1)に対して表示側筐体(2)が閉じられている状態では、スライド部材(51)が第1ガイド溝(14)の一方の端部に位置し、カムフォロワー(22)は、第2ガイド溝(52)、第3ガイド溝(23)及びカム溝(13)のそれぞれの一方の端部に位置している。
【0020】
この状態から前記スライド釦(4)が操作されて、図3(b)の如くスライド部材(51)が第1ガイド溝(14)に沿って移動を開始すると、該スライド部材(51)の移動によってカムフォロワー(22)が駆動され、カムフォロワー(22)は、カム溝(13)の一方の端部から前記湾曲部へ向かって移動することになる。
このカムフォロワー(22)の移動によって表示側筐体(2)の第3ガイド溝(23)の内面が押圧され、表示側筐体(2)が途中まで開かれることになる。
【0021】
図3(c)の如く更にスライド部材(51)が第1ガイド溝(14)に沿って移動すると、カムフォロワー(22)はカム溝(13)の湾曲部を通過し、この過程でヒンジ軸(31)を中心とする円弧軌跡を描くことになる。
このカムフォロワー(22)の移動によって表示側筐体(2)の第3ガイド溝(23)の内面が押圧され、表示側筐体(2)が更に開かれることになる。
【0022】
そして、図3(d)の如くスライド部材(51)が第1ガイド溝(14)の他方の端部まで移動すると、カムフォロワー(22)はカム溝(13)の他方の端部へ移動し、この過程でヒンジ軸(31)を更に駆動して、該ヒンジ軸(31)の移動によって、表示側筐体(2)が全開位置まで開かれるのである。このとき、カムフォロワー(22)は、第2ガイド溝(52)及び第3ガイド溝(23)のそれぞれの他方の端部に達している。
【0023】
この状態から前記スライド釦(4)が逆方向に操作されると、図3(c)、図3(b)の状態を経て、図3(a)の状態へ移行し、表示側筐体(2)は閉じられることになる。
【0024】
上述の如く、スライド釦(4)をスライド操作することにより、該スライド釦(4)の往復動作が開閉機構(5)によって表示側筐体(2)の開閉動作に変換されて、表示側筐体(2)を図1に示す開き状態と図2に示す閉じ状態の間で開閉することが出来る。
この様なスライド釦(4)のスライド操作は、何れの操作方向についても、操作側筐体(1)を把持した片方の手の指先で容易に行なうことが出来る。
【0025】
又、上述の折り畳み式携帯電話機を鞄の中に収容して携帯する場合、鞄の中の他の物品がスライド釦(4)を押圧することがあったとしても、その押圧方向はスライド釦(4)の表面に対して垂直の方向であることが多く、仮にスライド釦(4)のスライド方向に押圧力が作用したとしても、スライド釦(4)が一方の端部から他方の端部に移動するまで押圧力が継続して作用することはない。
従って、鞄の中で両筐体(1)(2)が勝手に開くことはない。
【0026】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば開閉機構(5)は、上述の構造に限らず、周知の種々のカム機構やリンク機構を用いて容易に構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る折り畳み式携帯電話機の開き状態を示す斜視図である。
【図2】該携帯電話機の閉じ状態を示す斜視図である。
【図3】該携帯電話機における開閉機構の構造及び動作を説明する一連の側面図である。
【図4】従来の折り畳み式携帯電話機の開き状態を示す斜視図である。
【図5】該携帯電話機の閉じ状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
(1) 操作側筐体
(11) 操作キー
(2) 表示側筐体
(21) ディスプレイ
(3) ヒンジ機構
(4) スライド釦
(5) 開閉機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の筐体(1)(2)がヒンジ機構(3)を介して互いに開閉可能に連結されている携帯型電子機器において、一方の筐体(1)にはスライド釦(4)がスライド操作可能に配備され、該スライド釦(4)は開閉機構(5)を介して他方の筐体(2)に連繋し、該開閉機構(5)によってスライド釦(4)の往復動作が該他方の筐体(2)の開閉動作に変換されることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
開閉機構(5)はカム機構によって構成されている請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記一方の筐体(1)は、その内面に操作キー(11)が配備された扁平な操作側筐体であり、前記他方の筐体(2)は、その内面にディスプレイ(21)が配備された扁平な表示側筐体であって、前記スライド釦(4)は、表示側筐体(2)の側面に、該側面の長手方向に沿うスライドが可能に配備されている請求項1又は請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
前記スライド釦(4)は、前記側面のヒンジ機構(3)側の端部に配備されている請求項3に記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−267028(P2007−267028A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89494(P2006−89494)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】