説明

携帯用切削工具及び集塵構造体

【課題】作業で生じる粉塵を切溝があっても効率よく回収でき、切削作業性を損なうことなく集塵でき、電源がない現場でも使用できる携帯用切削工具を提供すること。
【解決手段】携帯用切削工具1は、本体部2に接続されたエア供給ホースAhのエアで回転する駆動タービン5の駆動軸6に設置した回転刃9により発生する粉塵を集塵する集塵構造体10を備え、集塵構造体は、回転刃の所定の円弧範囲を露出するように、設けた弧形状の防護カバー体11と、防護カバー体の円弧形状の一端側に設けた集塵部14と、供給されるエアの流路から分岐して集塵部に接続したエア分岐ホース20と、を備え、集塵部は、防護カバー体の左右側面の間に対向する位置に開口溝15aを形成した筒状本体部15と、筒状本体部の一端開口15c側からエアを吹き出す第1エア吹出部16と、筒状本体部の他端開口15e側からエアを吹き出す第2エア吹出部17と、を有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具の本体部を作業者が保持しながら切削作業を行うハンディタイプの携帯用切削工具及び切削工具に取付けて使用する集塵構造体に係り、特に、エアを駆動源として工具の本体部に取り付ける円板状の回転刃を回転させる携帯用切削工具及び集塵構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンクリート等の被切削部材を切削する場合は、工具の本体部に取り付けた円板状の切削刃(回転刃)を回転させ、作業者が手指で工具の本体部を保持して切削作業を行っている。この切削作業は、被切削部材がコンクリート等であるため、作業中に回転する切削刃により被切削部材から大量に切粉(粉塵)が発生する。そのため、切削作業中に発生する切粉を集塵する構成を備えた切削工具が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
例えば、特許文献1の電動カッターは、切削刃の防護カバーの一部に集塵ホースを取りつけ、その集塵ホースを外部に設置した電気集塵機等に接続し、切削作業時に発生する粉塵を電気集塵機等によって吸引して回収するものである。
【0003】
また、特許文献2の切削工具では、被切削部材上を移動するベースとホイルカバーとの間に巻きバネ等の弾性部材を配設し、その弾性部材によってベースとホイルカバーが常に離間する方向に付勢することによって、切削開始時に被切削部材の表面とほぼ平行に飛散する粉塵も含めてほとんどの粉塵をホイルカバー内に飛び込ませて集塵効果を高める提案がなされている。
【0004】
以上のような切削作業時に集塵する構成を備える工具では、切削によって生じる粉塵の飛散方向が回転している回転刃の切込み深さで変化するため、更に改良された構成の携帯用切削機が従来、提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この携帯用切削機は、被切削部上を移動するベースと、このベースの一端に回動可能に連結された工具本体に内蔵された駆動源と、この駆動源により回転駆動される回転刃と、この回転刃の外周の一部を覆う保護カバーと、この保護カバーに設けた集塵カバーと、を備え、集塵カバーの吸入口に案内するための案内板を前記ベースに回動可能に設けた構成としている。
そして、この携帯用切削機は、集塵カバーにホースを介して接続した集塵機から吸引することで、回転刃が回転して被切削部材から発生する粉塵を集塵しながら、切削作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−149679号公報
【特許文献2】特開2004−058388号公報
【特許文献3】特開2009−023004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の集塵機構を備える携帯用切削機では、以下に示すような問題点が存在していた。
特許文献3の携帯用切削機では、切削作業を行って移動すると、被切削部材に形成される回転刃の切溝が長くなり、その切溝を介して粉塵が外部に噴出してしまった。
また、携帯用切削機では、切削作業を行う場合に回転している刃先が見えないと、けがき線等の切削の案内を行うための案内線があらかじめ引かれている場合に、刃先の位置を視認して合わせることができなかった。
さらに、携帯用切削機は、解体作業を行う作業現場で使用されることもあるが、特に、解体作業を行う場合には、電源がないために電動工具では使用できない場合があった。
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、切削作業で生じる粉塵を被切削部材に切溝が形成されても効率よく回収でき、切削作業性を損なうことなく集塵することができ、また、電源がない作業現場でも使用することができる携帯用切削工具及び集塵構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯用切削工具は、前記課題を解決するため以下のような構成にした。すなわち、携帯用切削工具は、エアを供給するエア供給ホースが接続され、前記エアにより回転する駆動タービンを有する本体部と、この本体部の駆動タービンにより回転する駆動軸に取り付けられた円板状の回転刃が被切削部材を切削するときに発生する粉塵を集塵する集塵構造体とを備え、前記集塵構造体に接続される集塵ホースを介して粉塵を集塵しながら前記被切削部材を切削する携帯用切削工具において、前記集塵構造体は、前記回転刃の所定の円弧範囲を露出するように、当該回転刃の所定角度範囲に亘って設けられ、前記露出した以外の当該回転刃の刃先及び左右側面を覆う円弧形状の防護カバー体と、この防護カバー体の円弧形状の一端側に設けた集塵部と、前記エア供給ホースにより供給されるエアの流路から分岐して前記集塵部に接続されるエア分岐ホースと、を備えている。そして、前記携帯用切削工具において、前記集塵部は、前記防護カバー体の左右側面の間に対向する位置に開口溝を形成した筒状本体部と、この筒状本体部の一端開口側から前記エア分岐ホースにより供給されたエアを吹き出す第1エア吹出部と、前記筒状本体部の他端開口側から前記エア分岐ホースにより供給されたエアを吹き出す第2エア吹出部と、を有している。さらに、前記携帯用切削工具において、前記第1エア吹出部は、前記防護カバー体の左右側面の間に対向する筒状本体部の位置に前記エア分岐ホースから供給されたエアを吹き出す吹出孔が形成された構成とした。
【0009】
かかる構成によれば、携帯用切削工具は、エア供給ホースからのエアの供給により回転刃が回転して被切削部材の切削作業を行うことができる状態になると共に、集塵部の筒状本体部に形成した第1吹出部から被切削部材側にエアがエア分岐ホースを介して送り出される状態になり、かつ、集塵部の筒状本体部の第2吹出部からもエアが吹出されて集塵ホース側にエアの流れが発生した状態となる。そのため、携帯用切削工具は、回転刃が被切削部材に接触して切削作業が始まり粉塵が発生して、粉塵が回転刃の回転方向に沿って送り出されると、第1吹出部からのエアがエアカーテンになって粉塵の噴出方向を抑制し、粉塵を集塵部の筒状本体部の筒内周面に沿って集塵ホースに導く。特に、携帯用切削工具は、回転刃により被切削部材に切溝が形成されると、第1吹出部がその切溝内にエアを吹き出す位置に形成されているので、吹出されたエアがエアカーテンとして有効に機能し、そのエアカーテンを粉塵が越えて飛散することが最小限となり、切溝内のエアカーテンにより抑制された粉塵が筒状本体部の筒内周面に沿って集塵ホースに送られる。
【0010】
また、前記携帯用切削工具において、前記筒状本体部は、板厚方向における内部に流路が形成され、前記第1エア吹出部及び前記第2エア吹出部まで前記流路により前記エア分岐ホースからのエアが供給され、前記第1エア吹出部は、前記開口溝に対向する範囲内となる前記筒状本体部の一側閉塞端面の位置に、前記エア分岐ホースから供給されたエアを吹き出す吹出孔が形成され、前記第2エア吹出部は、前記筒状本体部の筒内周側面または前記筒状本体部の他側閉塞端面に、前記エア分岐ホースから供給されたエアを吹き出す集塵吹出孔が形成された構成とした。
【0011】
かかる構成により、携帯用切削工具は、筒状本体部内に形成されたエアの流路により、エア分岐ホースから送られてくるエアを筒状本体部の一側閉塞端面に形成した吹出孔から吹出しエアカーテンとし、かつ、筒状本体部の他側閉塞端面に形成された集塵吹出孔からのエアにより粉塵を回収するエアの流れを形成する。
【0012】
また、前記携帯用切削工具において、前記第1エア吹出部は、前記筒状本体部に支持して外周側に臨ませて前記吹出孔を形成した吹出ノズルであり、前記吹出ノズルに前記エア分岐ホースからのエアを供給するように当該エア分岐ホースを接続した構成とした。
かかる構成により、携帯用切削工具は、第2エア吹出部と独立して第1エア吹出部である吹出ノズルを設置することができるので、設計の自由度が広くなる。
【0013】
さらに、前記携帯用切削工具において、前記吹出ノズルは、前記筒状本体部の外周側に支持部を介して支持されると共に、前記支持部に取付けた弾性部材によりエアの吹出す方向に付勢されるように設置され、付勢された付勢端に前記吹出ノズルが位置したときに、当該吹出ノズルの先端が前記筒状本体部の一端よりも前記被切削部材側に突出する位置となるように配置されている構成とした。
【0014】
かかる構成により、携帯用切削工具は、吹出ノズルが被切削部材に切溝が形成されると、その溝内に弾性部材により突出するようになり、さらに、工具の移動と共に吹出ノズルが溝内に沿って移動する。
【0015】
そして、前記携帯用切削工具において、前記第2エア吹出部は、前記筒状本体部の内周側に臨ませて当該筒状本体部に支持され、エアを他端開口側に吹出す方向に集塵吹出孔を向けたエアノズルであり、前記エアノズルに前記エア分岐ホースからのエアを供給するように当該エア分岐ホースを接続した構成とした。
【0016】
かかる構成により携帯用切削工具は、第2エア吹出部であるエアノズルから筒状本体部の他端開口側に向かってエアを吹出すことで、筒状本体部の開口溝及び一端開口側からの被切削部材の粉塵を効率よく集塵ホース側に送り出すエアの流れを作り出す。また、エアノズルが筒状本体部の内周面に望む位置にあるため、筒状本体部の内周面に形成される空気の流れがエアノズルの集塵吹出孔の周囲を流れ、粉塵がそのエアノズルの集塵吹出孔に付着しにくくなる。
【0017】
さらに、前記携帯用切削工具において、前記防護カバー体は、前記回転刃を露出させる開口端部が、前記回転刃を被切削部材に切り込ませたときに当接するように、前記本体部から駆動軸を超えて被切削部材側となる位置に直線的に形成したガイド部を有すると共に、前記ガイド部が前記被切削部材に当接したときに、前記回転刃の切刃の一部が当該防護カバー体から露出するように、直線的な当該ガイド部の端側を切り欠いて形成した切欠部を有する構成としてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、携帯用切削工具は、防護カバー体の開口端部におけるガイド部が被切削部材に当接した状態となって切削作業を行うときに、切欠部から回転刃の刃先を作業者が見ながら作業を行うことができる。そのため、けがき線が表示されている場合には特に作業者がそのけがき線と刃先とを視認しながら作業を行うことができる。
【0019】
また、前記携帯用切削工具において、前記切欠部には、当該切欠部の範囲で前記回転刃と前記防護カバー体との間に介在し、前記回転刃に向かって防塵部材が設けられ、前記防塵部材は、前記切欠部の範囲で前記回転刃に隣接するように設置されている構成としてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、携帯用切削工具は、防護カバー体の開口端部が被切削部材と当接した状態のときに切欠部と被切削部材とが離間した状態となるが、防塵部材が回転刃に隣接して設置されていることにより、回転刃の回転に伴って粉塵が例え送り出される状態になっても防塵部材により粉塵が防護カバー体の外に噴出することを防ぐことができる。
【0021】
さらに、前記携帯用切削工具において、前記集塵部は、前記筒状本体部の他側閉塞端面に連続して前記筒状本体部の他側閉塞端面から空間が徐々に狭くなるテーパ内周面を有する筒状テーパ部を設けた構成としてもよい。
かかる構成により、携帯用切削工具は、筒状本体部から筒状テーパ部に向かって集塵吹出孔からエアが吹出した時に、吹出したエアがテーパ内周面に沿って大きな径の流路から小さな径の流路に流れることで流速が早くなり、筒状本体部の開口溝および開口から流入する粉塵の集塵状態を良好とする。
【0022】
また、前記携帯用切削工具において、前記本体部と前記エア供給ホースとの間に、前記エア分岐ホースを接続する接続介在部を備え、前記エア分岐ホースは、前記接続介在部と、前記筒状本体部とに接続される構成としてもよい。
かかる構成により携帯用切削工具は、接続介在部を本体部とエア供給ホースとの間に接続して、その接続した接続介在部と筒状本体部との間にエア分岐ホースを接続することで作業者が保持する部分をスッキリした構成にすることができ、作業性に優れる。
【0023】
そして、前記携帯用切削工具において、前記防護カバー体は、その内側で前記駆動軸側から前記回転刃の刃先側までの間に、前記回転刃の基板と接触するようにライン状に設けたブラシ状の内接部材を有する構成としてもよい。
かかる構成により、携帯用切削工具は、回転刃の回転により巻き込まれる粉塵を内接部により集塵部の開口溝側に誘導して集塵ホースに送り出すことができる。
【0024】
さらに、前記携帯用切削工具において、前記筒状本体部は、他端開口の筒外周側から筒軸方向に突出するように、前記集塵ホースを接続するための接続管が設けられ、前記筒状本体部の内周径が、前記接続管の内周径より大径又は同一寸に形成された構成とした。
かかる構成により、携帯用切削工具は、第2エア吹出部から吹出すエアが接続管から集塵ホース側にスムーズに流れて吸引する吸引力が向上する。特に、筒状本体部の内周径(内径)と接続管の内周径(内径)とを同一寸法に形成した場合には、吸引力が大きく向上する。
【0025】
また、前記携帯用切削工具において、前記筒状本体部は、前記他端開口側となる、前記第2エア吹出部を形成する前記他側閉塞端面において、中央(中央線)より内径側に前記第2エア吹出部の集塵吹出孔を形成した構成とした。
かかる構成により、携帯用切削工具は、第2エア吹出部から吹出すエアに含まれる水分により集塵する塵埃が第2エア吹出部の集塵吹出孔の周辺に付着しても、集塵吹出孔が中央か内径側に位置していることで、塵埃の付着した堆積物の周縁の内側が他側閉塞端面よりも内径側に突出する状態にすることができる。そのため、集塵吹出孔の周縁に堆積する塵埃の堆積物は、内径側に突出する部分がエアの流れを受けて全体が集塵吹出孔から剥ぎ取られるようになる。
【0026】
また、集塵構造体は、エア供給ホースから供給されるエアにより駆動軸に取り付けた円板状の回転刃を回転させて被切削部材を切削する携帯用切削工具の前記駆動軸の周囲となる支持部に着脱自在に取り付けて使用する集塵構造体であって、前記回転刃の所定の円弧範囲を露出するように、当該回転刃の所定角度範囲に亘って設けられ、前記露出した以外の当該回転刃の刃先及び左右側面を覆う円弧形状の防護カバー体と、この防護カバー体の円弧形状の一端側に設けた集塵部と、前記エア供給ホースにより供給されるエアの流路から分岐して前記集塵部に接続されるエア分岐ホースと、を備え、前記集塵部は、前記防護カバー体の左右側面の間に対向する位置に開口溝を形成した筒状本体部と、この筒状本体部の一端開口側から前記エア分岐ホースにより供給されたエアを吹き出す第1エア吹出部と、前記筒状本体部の他端開口側から前記エア分岐ホースにより供給されたエアを吹き出す第2エア吹出部と、を有し、前記第1エア吹出部は、前記防護カバー体の左右側面の間に対向する筒状本体部の位置に前記エア分岐ホースから供給されたエアを吹き出す吹出孔が形成された構成とした。
【0027】
かかる構成により、集塵構造体は、携帯用切削工具に着脱自在に取り付けて使用することが可能となり、回転刃により被切削部材を切削するときに発生する粉塵が、筒状本体部の第1エア吹出部からのエアにより飛散することが抑制され、かつ、筒状本体部の第2エア吹出部から吹出すエアの流れにより、集塵部の筒状本体の筒内周面に導かれて集塵される。特に、集塵構造体は、回転刃により被切削部材に切溝が形成されると、第1吹出部がその切溝内にエアを吹き出す位置に形成されているので、吹出されたエアがエアカーテンとして有効に機能し、そのエアカーテンを粉塵が越えて飛散することが最小限となり、切溝内のエアカーテンにより抑制された粉塵が筒状本体部の筒内周面に沿って、接続される集塵ホースに送られる。
【0028】
さらに、前記集塵構造体において、前記筒状本体部は、他端開口の筒外周側から筒軸方向に突出するように、集塵用の集塵ホースを接続するための接続管が設けられ、前記筒状本体部の内周径(内径)が、前記接続管の内周径(内径)より大径又は同一寸に形成する構成とした。
かかる構成により、集塵構造体は、第2エア吹出部から吹出すエアが接続管から集塵ホース側にスムーズに流れて吸引する吸引力が向上する。特に、筒状本体部の内周径と接続管の内周径とを同一寸法に形成した場合には、吸引力が大きく向上する。
【0029】
また、前記集塵構造体において、前記筒状本体部は、前記他端開口側となる、前記第2エア吹出部を形成する前記他側閉塞端面において、中央より内径側に前記第2エア吹出部の集塵吹出孔を形成した構成とした。
かかる構成により、集塵構造体は、第2エア吹出部から吹出すエアに含まれる水分により集塵する塵埃が第2エア吹出部の集塵吹出孔の周辺に付着しても、集塵吹出孔が中央(中央線)より内径側に位置していることで、塵埃の付着した堆積物の周縁の内側が他側閉塞端面よりも内径側に突出する状態にすることができる。そのため、集塵吹出孔の周縁に堆積する塵埃の堆積物は、内径側に突出する部分がエアの流れを受けて全体が集塵吹出孔から剥ぎ取られるようになる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る携帯用切削工具は、以下に示すような優れた効果を奏する。
携帯用切削工具は、回転刃を回転駆動させるエアを分岐して、防護カバー体に設けた集塵部により、筒状本体の第1エア吹出部及び第2エア吹出部からのエアの吹出しにより、エアカーテンを形成すると共に、粉塵を回収するエアの流れを形成し、粉塵を確実に回収することができる。特に、電源がない作業現場でも携帯用切削工具は、例えばコンプレッサからのエアにより、回転刃の回転駆動及び集塵部のエアカーテンならびに粉塵を引き込むエアの流れの形成を行うので、作業者一人で切削作業及び集塵作業を効率よく行うことができる。また、携帯用切削工具は、回転刃により切溝が形成された状態であっても吹出孔からのエアがその切溝に吹き出されてエアカーテンを溝内に形成し効率よく粉塵を回収できる。
また、携帯用切削工具は、筒状本体部の内部にエアの流路を形成し、筒状本体部の一側閉塞端面の吹出孔及び他側閉塞端面の集塵吹出孔からエアを吹出させて使用し、切削作業で発生した粉塵を筒状本体の筒内周面から集塵するので、作業環境の改善を図ることができる。
【0031】
携帯用切削工具は、第1エア吹出部を筒状本体部の外周側に支持した吹出ノズルとすることで、設計の自由度が広がり、かつ、吹出ノズルを支持部に弾性部材を介して被切削部材側に突出させることで、切溝内にその突出した吹出ノズルが位置してエアカーテンの実効性を向上し、切溝内に沿って吹出ノズルが移動するので、ガイドの役割も果たす。
携帯用切削工具は、エアノズルを筒状本体部の内周側に臨ませて配置しているので、筒状本体部の一端側あるいは開口溝からの粉塵を、エアノズルの吹出すエアにより筒状本体部の他端開口からスムーズに送り出すことができる。
【0032】
携帯用切削工具は、防護カバー体の開口端部に回転刃の刃先が露出する切欠部を形成しているので、けがき線が示されている場合には、そのけがき線と刃先を視認しながら被切削部材の切削作業を行うことができる。
携帯用切削工具は、回転刃の刃先が露出する切欠部に防塵部材を回転刃に隣接するように設けているので、切欠部から粉塵が送り出されることを防止して作業性の向上及び作業環境の向上を可能とする。
【0033】
携帯用切削工具は、筒状本体部の内周径を集塵ホースの内周径に対して大径又は同一寸に形成することで、吸引力を大きくして集塵効果を向上させることができる。
携帯用切削工具は、第2エア吹出部の集塵吹出孔を他側閉塞端面において中央より内径側に形成したので、集塵吹出孔に堆積する塵埃の堆積物をエアの流れで取り除くことができるため、作業中に吸引力の低下がなく、また、作業を連続して行うことができる。
【0034】
携帯用切削工具は、筒状本体に筒状テーパ部を設けているので、集塵吹出孔から吹出されたエアの流速が速くなり粉塵の回収効率をさらに向上することができる。
携帯用切削工具は、接続介在部を介してエア分岐ホースを集塵部の筒状本体に接続しているので、作業者が操作する本体部の形状を簡素化でき総重量を軽減することができる。
【0035】
携帯用切削工具は、防護カバー体は、回転刃の基板と接触する内接部材により回転刃の回転により巻き込まれた粉塵を集塵部の開口溝から回収することができ、さらに集塵効率を向上することができる。
また、集塵構造体は、携帯用回転工具に着脱自在に取り付けられので、各メーカーにより構成が多少異なっても取付けて作業ができ、切削作業を行うときに発生する粉塵を回収でき、作業環境を改善できる。
【0036】
集塵構造体は、筒状本体部の内周径を集塵ホースの内周径に対して大径又は同一寸に形成することで、吸引力を大きくして集塵効果を向上させることができる。
集塵構造体は、第2エア吹出部の集塵吹出孔を他側閉塞端面において中央より内径側に形成したので、集塵吹出孔に堆積する塵埃の堆積物をエアの流れで取り除くことができるため、作業中に吸引力の低下がなく、また、作業を連続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る携帯用切削工具の全体を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る携帯用切削工具の各構成を分解した状態を模式的に示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係る携帯用切削工具の全体を示す側面図である。
【図4】本発明に係る携帯用切削工具の一部を切り欠いて示す正面図である。
【図5】本発明に係る携帯用切削工具の集塵部を一部を切り欠いて模式的に示す斜視図である。
【図6】(a)〜(e)は、本発明に係る携帯用切削工具を準備する状態を模式的に順に示す斜視図および部分断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明に係る携帯用切削工具により切削作業を行う状態を一部省略して模式的に示す側面図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明に係る携帯用切削工具により切削作業を行う状態を一部省略して模式的に示す側面図である。
【図9】本発明に係る携帯用切削工具のエア分岐ホースの他の構成を示す側面図である。
【図10】本発明に係る携帯用切削工具の吹出孔におけるエアの調整機構を一部省略して模式的に示す正面図である。
【図11】(a)、(b)は、本発明に係る携帯用切削工具の第1エア吹出部における他の形態を一部を省略して模式的に示す側面図および正面図である。
【図12】(a)、(b)は、本発明に係る携帯用切削工具の第1エア吹出部における吹出孔の他の構成を示す正面図である。
【図13】本発明に係る携帯用切削工具の筒状本体部における他の構成を一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図14】本発明に係る携帯用切削工具の筒状本体部における他の構成を示す断面図である。
【図15】(a)〜(c)は、本発明に係る携帯用切削工具の集塵吹出孔の位置を示す断面図であり、(a)は(b)のVa−Vaにおける断面図、(b)は(a)のVb−Vbにおける断面図、(c)は(b)の一部を拡大して示す断面図である。
【図16】本発明に係る携帯用切削工具を示し、(a)は、第1エア吹出部を吹出ノズルとし、その吹出ノズルが筒状本体部の一端に対して出没自在となる構成を示す斜視図、(b)は、吹出ノズルの状態を示す断面図、(c)は、第2エア吹出部をエアノズルとして一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図17】本発明に係る携帯用切削工具を示し、(a)は、第2エア吹出部をエアノズルとした一部を切り欠いた側面図、(b)は、第2エア吹出部をエアノズルとして筒状本体部を一部を切欠いて示す正面図である。
【図18】本発明に係る携帯用切削工具を示し、(a)は携帯用切削工具の使用状態を模式的に示す模式図、(b)、(c)は、それぞれ筒状本体部の他の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る携帯用切削工具について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、携帯用切削工具1は、エアを供給して回転刃9を高速で回転させ、作業者が本体部2を手指で持ちながら操作し、コンクリート等の被切削部材Wを切削するときに発生する粉塵を回収して作業をするものである。この携帯用切削工具1は、コンプレッサCPからのエア供給ホースAhを接続する本体部2と、この本体部2の支持部7に着脱自在に取り付けられ、回転刃9の所定の円弧範囲を覆い切削作業に発生する粉塵を集塵する集塵構造体10とを備えている。
【0039】
なお、携帯用切削工具1は、本体部2に接続介在部25を介してエア供給ホースAhを接続し、集塵構造体10の集塵部14と接続介在部25との間にエア分岐ホース20を接続して、さらに、集塵部14の後方側に集塵ホースShを接続した状態で準備される。そして、携帯用切削工具1は、コンプレッサCPからのエアの供給により回転刃9を回転させると共に、エア分岐ホース20からのエアにより集塵部14から集塵ホースSh側にエアの流れを形成すると共に、集塵部14の後記する吹出孔16aからエアが被切削部材W側に吹出された状態で使用される。
【0040】
以下、携帯用切削工具1の各構成について説明する。
図1及び図2に示すように、本体部2は、その後部側に接続介在部25を介してエア供給ホースAhを接続するホース接続部3と、このホース接続部3から内部に形成したエア流路4と、このエア流路4に沿って設けられた駆動タービン5と、この駆動タービン5の回転により回転する駆動軸6と、この駆動軸(スピンドル)6の周囲で後記する集塵構造体10を支持するための支持部7と、エア流路4を流れるエアを外部に放出する放出部8とを備えている。なお、本体部2の駆動タービン5に対応する側面には、ハンドルHaを着脱自在に取付けるハンドル接続穴2aが形成されている。
【0041】
ホース接続部3は、コンプレッサCPからのエアが送られてきたときに、接続介在部25を接続してエアが漏れない構造であればよく、例えば、ネジ構造等で形成されている。
エア流路4は、ホース接続部3から放出部8まで送られてきたエアの流路となるように形成されており、駆動タービン5を効率よく回転させるようにその直径および配置が設定されている。
駆動タービン5は、エア流路4から送られてくるエアにより高速に回転するものであり、この駆動タービン5と駆動軸6が連動して回転するように設けられている。
駆動軸6は、本体部2の躯体側から一方に筒状に突出するように設けられており、後記する回転刃9が着脱自在に設置されるように、ここでは内側にネジが形成されている。
【0042】
支持部7は、駆動軸6の周囲に躯体からリング状に突出するように形成されており、後記する集塵構造体10を着脱自在に設置する部分である。
放出部8は、エア流路4を流通したエアを本体部2外に放出するものであり、ここでは、本体部2の下方にエアを吹出すように躯体から突出して形成されている。
【0043】
なお、回転刃9は、後記する集塵構造体10と一緒に取り付けるか、あるいは、集塵構造体10を本体部2に取り付けた後に取り付けることができるように構成されている。回転刃9は、取付部材9Aを介して駆動軸6に着脱自在に取り付けている。取付部材9Aは、ホイールワッシャ9a、ブッシュ9b、ホイール止めナット9c、ボルト9dを有している。回転刃9は、駆動軸6にホイールワッシャ9a、ブッシュ9bを先に駆動軸6に差し込んで取り付けた後に、その駆動軸6に差し込まれる。そして、回転刃9は、ホイール止めナット9cとブッシュ9bとで挟持されるようにボルト9dにより駆動軸6に固定されることで取り付けられる。取付部材9Aの各構成の外径は、後記する集塵構造体10の左右の側面板11a,11bに形成されている取付穴11d,11dよりも小さい直径になるように形成されている。
【0044】
図1及び図2に示すように、集塵構造体10は、本体部2の支持部7に取付部11eにより固定されることで設置され、後記する回転刃9により被切削部材Wを切削するときに発生する粉塵を集塵するためのものである。この集塵構造体10は、円弧状の防護カバー体11と、この防護カバー体11の円弧の一端(下端側)に設けた集塵部14と、この集塵部14及び接続介在部25との間に取り付けられるエア分岐ホース20とを備えている。
【0045】
防護カバー体11は、作業者の手指等を防護すると共に、発生する粉塵の飛散を抑制するものである。この防護カバー体11は、例えば、金属板から形成され、回転刃9の所定円弧範囲を露出するように形成されている。防護カバー体11は、回転刃9の左右の側面板(側面)11a,11bと、回転刃9の刃先部分を覆う周面板11cと、左の側面板11aから突出してリング状に形成された取付部11eと、この取付部11eの内側及び対向する位置の右の側面板11bに形成された取付穴11d,11dと、周面板11cの反対側の端面に形成したガイド部11fと、このガイド部11fの一端に形成した切欠部11gとを備えている。
【0046】
左右の側面板11a,11bは、回転刃9の一方側の刃先から駆動軸6を超えた位置に回転刃9の開口端部を形成するような大きさに設けられている。つまり、回転刃9の刃先から中央までを切込み長さ100%としたときに、回転刃9の刃先から切込み長さ50%以上となるように、回転刃9が露出した状態に左右の側面板11a,11bは形成されている。また、左右の側面板11a,11bは、それぞれ取付穴11dが形成されており、この取付穴11dは、回転刃9の取付部材9Aの外径よりも大きく形成されている。
周面板11cは、左右の側面板11a,11bの周端位置で回転刃9の刃先を覆うように形成されている。この周面板11cと左右の側面板11a,11bとで回転刃9を所定円弧範囲で覆うように構成されている。
【0047】
図1、図3、図4に示すように、左右の側面板11a,11bの内側には、内接部材30を設けている。この内接部材30は、回転刃9が被切削部材Wを切削するときに発生する粉塵を集塵部14に誘導するためのものである。内接部材30は、ここでは、回転刃9の基板の内径側から外径側に亘ってブラシ状の部材を直線的に配置している。図4に示すように、内接部材30は、ブラシの基端側を左右の側面板11a,11bに固定し、そのブラシの先端側が回転刃9の基板に接触するように設けられている。なお、内接部材30は、直線的な配置のブラシを所定角度傾斜した状態で設置している。なお、内接部材30の材質は摩擦しても過熱しにくい材質で形成されている。
【0048】
図1及び図2に示すように、取付部11eは、固定部分11eとこの固定部分にネジ等で留め付けられる離間部分11eとを備えている。そして、固定部分11eは、一方の側面板11aの取付穴11dの周囲に半円リング形状の両端にフランジを形成した状態で突出して形成されている。また、この固定部分11eと対となる離間部分11eは、半円リング形状の両端にフランジを設けた形状に形成されている。そして、固定部分11e及び離間部分11eのフランジは、ネジ穴が形成されており、ボルト等の図示しない留付手段で固定するためのものである。取付部11eは、固定部分11eと離間部分11eとを対面させた状態で、本体部2の支持部7に沿って配置され、図示しない留付手段により支持部7の両側から締め付けることで支持部7に取り付けられる。この取付部11eは、支持部7に取り付けるときに、支持部7に対して取り付け高さを調整することで、防護カバー体11の中央に回転刃9が位置するように調整するようにしている。
【0049】
図1及び図3に示すように、ガイド部11fは、被切削部材Wに当接して切削方向に案内する部材である。ガイド部11fは、被切削部材W側となる防護カバー体11の開口端部に直線状に形成されている。このガイド部11fは、ここでは、後記する集塵部14の開口端部まで連続して同一直線状となるように形成されている。ガイド部11fは、左右の側面板11a,11bの端部にその板厚の幅よりも大きな幅となる板部材を取り付けて構成されている。なお、図3に示すように、ガイド部11fは、本体部2の長手方向に直交する垂直線L1に対して平行となるように構成されている。
【0050】
切欠部11gは、図3に示すように、ガイド部11fの上端側を回転刃9の刃先の一部が被切削部材Wにガイド部11fを当接したときに露出するように所定角度で切欠いて形成されている。この切欠部11gには、ここでは回転刃9の両側となる位置に跨いで固定された固定板片12aと、この固定板片12aと同形状でネジ等により当該固定板片12aに支持される支持板片12bとからなる部材支持部12が設置されている。部材支持部12は、金属片により形成されており、防塵部材13を回転刃9に隣接した状態で設置するためのものである。
【0051】
そして、切欠部11gに設けた部材支持部12は、その固定板片12aと支持板片12bとにより防塵部材13を挟持して、回転刃9の刃先に隣接した位置となるように支持している。防塵部材13は、ゴム片あるいは不織布等のシート状の部材で回転刃9が接触しても加熱し難く磨耗し難い柔らかな部材であることが望ましい。この防塵部材13が切欠部11gの範囲において回転刃9に隣接した状態で取り付けられることで、回転刃9の回転により防護カバー体11内に巻き込まれた粉塵があっても、防塵部材13が切欠部11gから吹出すことを防止する。また、図3に示すように、作業者は、回転刃9の刃先を視認することができるので、被切削部材Wにけがき線が示されていた場合には、刃先及びけがき線を視認しながら切削作業を行うことが可能となる。
【0052】
図1及び図2に示すように、集塵部14は、防護カバー体11の円弧の下端側(一端側)に設けられ、回転刃9により被切削部材Wの切削作業を行う際に発生する粉塵を集塵するものである。この集塵部14は、防護カバー体11の左右の側面板11a,11bの間に対向するように開口溝15aを形成した筒状本体部15と、この筒状本体部15の一端開口15c側からエアを吹出す第1エア吹出部16と、筒状本体部15の他端開口15e側からエアを吹出す第2エア吹出部17と、第1エア吹出部16及び第2エア吹出部17とのエアを供給する流路15bとを備えている。そして、集塵部14は、更に、筒状テーパ部18を筒状本体部15の他端開口15e側に設けて、その筒状テーパ部18の後端側に集塵ホースShの接続管19を設けている。
【0053】
図5に示すように、筒状本体部15は、筒軸線方向に沿って開口溝15aがその側面に設置されており、一端開口15c側及び開口溝15a側から粉塵を受け入れ、他端開口15e側に受け入れた粉塵を送出している。この筒状本体部15は、板厚方向における内部にエアの流路15bを備えることができるように形成されている。すなわち、筒状本体部15は、後記するエア分岐ホース20から供給されるエアを、流路15bを介して第1エア吹出部16及び第2エア吹出部17に供給するように構成されている。筒状本体部15の流路15bは、ここでは、内管と外管との間にできる空間のことを指している。すなわち、筒状本体部15は、内管と外管と一側閉塞端面16b及び他側閉塞端面17bを形成する端面板で、当該筒状本体部15の内部に空間(流路)を形成した構成となっている。この筒状本体部15は、後記する一側閉塞端面16bの吹出孔16aからエアを吹き出しエアカーテンとし、その開口溝15a及び一端開口15cから筒内周面15d側に粉塵を受け入れ、その他端側の他端開口15eから集塵ホースShに粉塵を送り出すように後記する他側閉塞端面17bの集塵吹出孔17aによりエアを吹き出している。なお、ここでは、筒状本体部15は、防護カバー体11と同じ材質である金属で形成されている。
【0054】
第1エア吹出部16は、筒状本体部15の一側閉塞端面16bに吹出孔16aを形成している。吹出孔16aは、防護カバー体11の左右の側面板11a,11bの間に対向する位置となるように一側閉塞端面16bに設けられている。ここでは、吹出孔16aは、回転刃9に対向する位置つまり回転刃9の延長線上(側面板11a,11bの間における中央の位置)に形成されている。この吹出孔16aは、その正面側(被切削部材W)に向かってエアを吹出すように構成されている。このように構成された第1エア吹出部16は、回転刃9の回転方向が時計回りであるときには、切削作業が行われて被切削部材Wから、床面方向に向かって所定角度で、左右の側面板11a,11bのほぼ幅間隔で粉塵の流れが発生したときに、第1エア吹出部16の吹出孔16aから吹出されるエアを、エアカーテンとして用いている。
【0055】
そのため、吹出孔16aからのエアによるエアカーテンにより発生する粉塵は、そのエアカーテンを超えて床面側に行くことがほとんどなく、筒状本体部15の一端開口15cから筒状本体部の筒内周面15d側に導かれて受け入れられる。特に、吹出孔16aから吹き出されるエアは、回転刃9により切溝が被切削部材Wに形成されたときに、その切溝内にエアを吹出すことでエアカーテンを切溝内に形成して十分に機能する。つまり、吹出孔16aは、左右の側面板11a,11bの間に対応する位置であると、回転刃9の回転により発生する粉塵の発生軌道(粉塵が被切削部材Wから発生する流れ)に対向するようにエアカーテンを形成することができるので、粉塵の飛散を効率よく防止できる。つまり、ここでいう左右の側面板11a,11bの間に対向する吹出孔16aの位置とは、切溝内にエアが吹き出るようになることが重要であり、回転刃9の基板厚さの延長線上となる位置から、最大範囲として左右の側面板11a,11bの間までの範囲を示している。
【0056】
そして、筒状本体部15の開口溝15a及び一端開口15cから他端開口15eに向かうように気流の流れを第2エア吹出部17が形成している。
第2エア吹出部17は、図5に示すように、筒状本体部15の他側閉塞端面17bに複数の集塵吹出孔17aを形成している(図面では6箇所)。集塵吹出孔17aは、接続される集塵ホースSh側に向かってエアを吹出すように構成されている。したがって、供給されたエアにより、集塵吹出孔17aからエアが吹き出されると、前記したように、一端開口15c及び開口溝15aから他端開口15eに向かってエア(気流)の流れが形成されることになる。そのため、吹出孔16aのエアカーテンにより誘導された粉塵を第2エア吹出部17により形成したエアの流れを介して筒状本体部15により回収して集塵することが可能となる。なお、筒状本体部15における気流の流れを更に強める構成として、筒状テーパ部18を設けている。
【0057】
筒状テーパ部18は、第2エア吹出部17から吹き出されるエアの流路を狭めるように、筒状本体部15から接続管19に向かって空間が徐々に狭くなるようなテーパ内周面が形成されている。この筒状テーパ部18により、第2エア吹出部17から吹き出されたエアの流速が加速して集塵ホースSh側に流れることになるため、筒状本体部15の開口溝15a及び一端開口15cから他端開口15eに向かって流れる気流を加速させることができ、発生する粉塵の集塵効率を高めることが可能となる。なお、ここでは筒状テーパ部18は、筒状本体部15と同じ材質である金属により形成されている。
【0058】
接続管19は、集塵ホースShを着脱自在に接続するためのものである。この接続管19は、ここでは、集塵ホースShが接続できる大きさの直径に形成されている。なお、接続管19は、筒状テーパ部18と同じ材質である金属で形成されている。
【0059】
図1乃至図3に示すように、エア分岐ホース20は、本体部2の後端のホース接続部3とエア供給ホースAhとに接続される接続介在部25と、集塵部14との間を接続してエア供給ホースAhからのエアを集塵部14に供給するものである。このエア分岐ホース20は、一端側接続部22と、この一端側接続部22に設けたエア調整ネジ22aと、他端側接続部23と、一端側接続部22及び他端側接続部23の間に設けられるホース本体21と、を備えている。そして、エア分岐ホース20は、その一端側接続部22を接続介在部25の分岐ホース接続部29に接続し、その他端側接続部23を集塵部14の筒状本体部15の筒外周面に設けたホース接続部14aに接続して、エア供給ホースAhから分岐して流れるエアを、筒状本体部15の流路15bを介して、第1エア吹出部16及び第2エア吹出部17に供給している。
【0060】
エア分岐ホース20は、その一端側接続部22をエア供給ホースAhに接続する部材にエアの分岐量を調整するエア調整ネジ22aが取り付けられている。このエア調整ネジ22aは、回転角度あるいは回転数により分岐されるエアの流れる入り口の開き度合いを調整することでエアの分岐量を調整している。なお、一端側接続部22とエア調整ネジ22aとの関係は、特別な構成ではなく、一端側接続部22を分岐ホース接続部29に向かって押し付けて放すことで装着でき、また、一端側接続部22を分岐ホース接続部29に向かって押すことで装着が解除できる取付構造等、一般的な構造のものを使用している。また、エア調整ネジ22aは、所定角度回転させることでエアの流量が調整できるものである。
【0061】
接続介在部25は、エア供給ホースAhおよび本体部2のホース接続部3との間に介在して両者を接続させ、かつ、エア分岐ホース20の一端側接続部22を接続するものである。この接続介在部25は、介在部本体26と、この介在部本体26の一端側に形成した供給ホース接続部27と、他端側に形成した工具側接続部28と、介在部本体26の外面から突出するように形成した分岐ホース接続部29とを備えている。接続介在部25の供給ホース接続部27は、エア供給ホースAhが、コンプレッサCPで使用される一般的な規格の直径および取付構造に対応するように形成されている。そして、接続介在部25の工具側接続部28は、市販されているエアで動作する切削工具の接続部分に接続される一般的な取付構造に対応するように形成されている。また、接続介在部25は、分岐ホース接続部29が形成されていることで、既存のエアで動作する切削工具に対しても発生する粉塵を回収できる集塵構造体10を取り付けて使用することができる。
【0062】
なお、図2に示すように、集塵部14の接続管19に接続される集塵ホースShは、プラスチック等で形成された一般的なものでよく、その集塵ホースShの他端側には、粉塵を回収する集塵袋Sbが取り付けられている。この集塵袋Sbは、例えば、不織布で形成されており、粉塵を収納し、かつ、粉塵を運ぶために形成された空気の流れとなるエアは袋外に流出できる構成のものが使用される。
【0063】
次に、携帯用切削工具1の動作について説明する。
はじめに、図6(a)に示すように、本体部2の駆動軸6に取付部材9Aを介して回転刃9を防護カバー体11の左右の側面板11a,11bの間に配置した状態で取り付ける。そして、図6(b)に示すように、防護カバー体11の取付部11eを支持部7に対して取付位置を調整しながら取り付ける。このとき、図6(c)に示すように、すでに回転刃9が本体部2の駆動軸6に固定されているので、その回転刃9が左右の側面板11a,11bの中央に位置するように取付位置を調整して、支持部7に取付部11eを取り付けることにより防護カバー体11を本体部2に設置する。図6(d)に示すように、防護カバー体11が工具の本体部2に取り付けられたら、本体部2のホース接続部3に接続介在部25を接続し、さらに、接続介在部25の供給ホース接続部27にエア供給ホースAhを接続する。そして、接続介在部25の分岐ホース接続部29と、集塵部14のホース接続部14aとに、エア分岐ホース20の一端側接続部22及び他端側接続部23を接続する。
【0064】
図6(e)に示すように、集塵部14の接続管19に集塵ホースShを接続し、集塵ホースShの一端に集塵袋Sbを接続する。なお、エア供給ホースAh、接続介在部25、集塵ホースSh、集塵袋Sbの接続順序は特に問わない。携帯用切削工具1としての作業準備が整うと、コンプレッサCPからエアを送り、回転刃9の回転状態及び集塵部14の吹出孔16aからのエアの吹出し状態を、必要があればエア調整ネジ22aにより調整する。このようにして、携帯用切削工具1は、被切削部材Wの切削作業を開始する。
【0065】
図7(a)に示すように、作業者は、携帯用切削工具1を操作するときに、例えば、被切削部材Wの作業面に対して本体部2を直交する位置であることを基本姿勢としたときに、図7(b)に示すように、本体部2の後方を前方より下方に位置させることで傾けた状態で切削作業を開始する。切削作業が始まると回転刃9の回転により被切削部材Wから切粉である粉塵が回転方向に沿って発生する。携帯用切削工具1では、粉塵が発生したときに集塵部14の筒状本体部15における一側閉塞端面16bに形成した吹出孔16aからエアが吹き出た状態となっている。つまり、携帯用切削工具1では、コンプレッサCPのエアがエア分岐ホース20を介して筒状本体部15の流路15b(図5参照)から送られることで吹出孔16aから吹出している。この吹出孔16aからの吹き出されるエアが、粉塵に対してエアカーテンとなり、発生した粉塵がそのエアカーテンを越えて床面側に飛散することを抑制している。
【0066】
そのため、図7(b)、(c)に示すように、切削作業により発生した粉塵は、集塵部14の筒状本体部15の一端開口15cに導かれる。このとき筒状本体部15の筒内周面15d側では、エア分岐ホース20からのエアが流路15b(図5参照)を介して第2エア吹出部17の集塵吹出孔17aから吹き出されることで、集塵ホースSh側に空気の流れが形成されている。そのため、筒状本体部15の一端開口15c側あるいは開口溝15aに送られた粉塵は、第2エア吹出部17により形成される空気の流れにより、筒状本体部15の筒内周面15dから他端開口15eに向かって送られる。なお、筒状本体部15内での空気の流れは、筒状テーパ部18が設けられて、エアが流れる流路の直径が小さくなることでより速くなり、粉塵の回収をよりスムーズに行うことができる状態となっている。
【0067】
また、回転刃9の切削作業により発生した粉塵が、回転刃9の回転により防護カバー体11の開口端から防護カバー体11内に巻き込まれてきても、その粉塵は、内接部材30により粉塵が集塵部14における筒状本体部15の開口溝15a側に案内されることになる。
なお、切削作業に伴い発生した粉塵は、集塵部14から集塵ホースShを介して集塵袋Sbに収納される。集塵袋Sbまで粉塵を運んだエアは、集塵袋Sbから外部に放出される(図8(b)参照)。
【0068】
図8(a)に示すように、携帯用切削工具1では、切削作業が更に進み回転刃9の切込み深さが一杯になると、防護カバー体11のガイド部11fが被切削部材Wの表面に当接してその表面をガイド面として下から上に向かって切削作業を行う。携帯用切削工具1は、作業者により被切削部材Wの上方に移動するときに、例えば、けがき線が形成されていると、防護カバー体11の切欠部11gに設けた部材支持部12の防塵部材13から露出している回転刃9の刃先を目視できる状態となっている。そのため、作業者は、回転刃9の刃先とけがき線とを視認した状態で携帯用切削工具1を上方に移動させることができる。なお、回転刃9の刃先を認識するときに工具側に作業者の頭部が近づいても、防塵部材13が切欠部11gの位置にあるため、粉塵がその切欠部11gから外部にほとんど出ることがないため、安全に作業を行うことができる。
【0069】
図8(b)に示すように、携帯用切削工具1では、ガイド部11fを被切削部材Wの表面に当接した状態で切削作業を行うと、回転刃9の切込み深さに応じた切溝Wmが形成され、その切溝Wmに沿って粉塵が飛散しようとする。このとき携帯用切削工具1は、集塵部14の吹出孔16aからのエアが切溝Wm内においてエアカーテンとなる。そのため、携帯用切削工具1では、切溝Wmが形成されても、発生する粉塵を、エアカーテンにより集塵部14における筒状本体部15の一端開口15cから回収することができる。特に、携帯用切削工具1では、吹出孔16aの位置が切溝Wmの内部にエアを吹出す位置、つまり、回転刃9に対応する位置(回転刃9の延長線上あるいは側面板11a,11bの間に対向する位置)に予め形成されているので、発生する粉塵の90%以上を回収することができる。
【0070】
図8(b)に示すように、携帯用切削工具1では、集塵ホースShを介して集塵袋Sbに発生した粉塵が回収され、粉塵の回収に使用されたエアは、集塵袋Sbが不織布等のエアを通過させる部材であることから外部に出される。
このように、携帯用切削工具1は、電気設備がない現場であっても、回転刃9がコンプレッサCPのエアにより回転し切削作業を行い、かつ、集塵部14にコンプレッサCPからのエアがエア分岐ホース20を介して供給されることで、エアカーテン及び集塵するための空気の流れを形成するので、発生する粉塵を効率よく回収することができる。
【0071】
また、携帯用切削工具1は、エア分岐ホース20の構成を変えるようにしてもよい。すなわち、携帯用切削工具1は、コンプレッサCPから送られてくるエアを分岐して集塵するための空気の流れを形成するようにしているため、本体部2の駆動タービン5側に送られるエアと分岐するときに、エア調整ネジ22a(図3参照)によりエア量を予め調整している。そして、エア分岐ホース20からのエアは、第1エア吹出部16及び第2エア吹出部17において方向の異なるエアを流出させるように使用されている。そのため、図9及び図10に示すように、携帯用切削工具1Aでは、分岐されたエアにおいて、出力調整する構成を備えていることが、さらに望ましいとして説明する。なお、図9及び図10では、すでに説明した構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
図9に示すように、エア分岐ホース20Aは、一端側接続部22は、すでに説明したものと同じ構成であるが、他端側の構成が異なっている。つまり、エア分岐ホース20Aは、他端側において、分岐ホース21aが分岐管21bによりさらに分岐され、分岐管21bに第1ホース21d及び第2ホース21eを介して第1他端側接続部23a及び第2他端側接続部23bにより、集塵部14にそれぞれ設けたホース接続部14a,14aに接続される。そして、エア分岐ホース20Aは、分岐管21bに調整部21cを備えている。この調整部21cは、ネジ部分を回転させることで流路の開度を調整してエアの供給量を調整することができるものである。したがって、携帯用切削工具1Aは、エア分岐ホース20Aにおいて、エア供給ホースAhから分岐するときにエアの流量の調整ができ、さらに、集塵部14に分岐したエアを送るときにエアの流量の調整ができることになり、工具環境により適した動作を実現することが可能となる。
【0073】
また、図10に示すように、集塵部14Aは、筒状本体部15の一側閉塞端面16bに形成した吹出孔16aを開閉できるように、調整ピン32を設けた構成としてもよい。この調整ピン32は、吹出孔16aの孔長さ方向に直交してピン軸部32aが配置され、そのピン軸部32aに形成した調整孔32bにより吹出孔16aの開度が調整できるように構成されている。すなわち、調整孔32bと吹出孔16aとの位置が一致する場合には、吹出孔16aの開度が100%となる。この調整ピン32は、作業者が手指で適宜操作することで吹出孔16aからの吹出すエアの量を調整することができる。
【0074】
なお、筒状本体部15の形状は、ここでは軸線方向に開口溝15aを有する円筒形状に形成した例として説明したが、その形状は開口溝15aを有する筒状であれば構わない。
さらに、筒状本体部15の板厚方向における内部に形成した流路15bは、板間の空間全部として説明したが、ドリル等により細孔を板厚方向における内部に形成し、その細孔を流路15bとしても構わない。
【0075】
また、集塵部14では、第1エア吹出部16が筒状本体部15の一側閉塞端面16bに吹出孔16aを形成した構成としているが、回転刃9により形成される切溝Wmにエアを吹出すことができる第1エア吹出部16となる位置であればよい。例えば、図11(a),(b)に示すように、筒状本体部15の筒内周面15dあるいは筒状外周面(仮想線で示す筒状内周面でも可)に小さなL字管状の吹出孔(吹出口)36aを突出して設け、第2ホース21eからエアを供給する構成としてもよい。なお、図11(a)に示すように、吹出孔36a(図1から図8で示す吹出孔16aも同様)から吹き出されるエア吹出し角度θ1は、ガイド部11fに直交する角度(0度)になるように吹出すことが好ましく、また、吹出し角度θ1が30度を越えないように設定されている。
【0076】
なお、この吹出し角度θ1は、集塵部14の防護カバー体11の取付け角度θ2との関係においても設定されるが、最終的には、吹出し角度θ1が優先され、前記した範囲内であればよい。吹出し角度θ1が30度より大きくなると、回転刃9により発生する粉塵が防護カバー体11の開口部分から入り込んで集塵作業が本来予定した状態よりも効率よくできない可能性が高くなる。なお、吹出し角度θ1は、0度からマイナス側に10度であってもエアカーテンとしての役割を果たすことが可能である。ただし、マイナス側に10度を越えた吹出し角度であると、エアカーテンとしての集塵効率を上げるという役割が達成できない。したがって、吹出し角度θ1は、30度からマイナス10度までの範囲が最大許容範囲となり、実用上は、20度からマイナス5度までの範囲であり、より好ましい範囲は、15度からマイナス3度までの範囲である。
【0077】
そして、吹出孔16aは、一箇所形成した例として説明したが、その形成箇所は、図12(a),(b)に示すように、筒状本体部15の円弧の中央より下側となる位置に複数個所(2箇所、3箇所、4箇所以上)であっても構わない。また、吹出孔36aが筒状本体部15の外周囲に複数設置される場合には(図12(b)の場合)、各吹出孔36aを接続する流路36bによりエアがそれぞれの吹出孔36aに供給される構成としている。なお、吹出孔16aを形成する位置は、回転刃9に対向する位置及び筒状本体部15の一端開口15cに沿った位置であることが望ましい。さらに、吹出孔16a,36aあるいは集塵吹出孔17aの形状は、単数あるいは複数に限らず、丸穴形状として示したが、筒状本体部15の一端開口あるいは他端開口となる縁形状に沿ってスリット状に形成しても構わない。なお、吹出し角度θ1は、吹出孔16a、36aが複数になってもその構成は、前記した理由と同じである。
【0078】
さらに、集塵部14では、第2エア吹出部17が筒状本体部15の他側閉塞端面17bに集塵吹出孔17aを複数形成した構成として説明したが、集塵ホースShに向かうエアの流れを形成することができる位置及び数であればよい。例えば、筒状本体部15の他端開口15e側に向かうように筒状本体部15の筒内周面15dに斜めに集塵吹出孔17a(図示せず)を形成するようにしても構わない。
【0079】
そして、筒状本体部15は、第1エア吹出部16と第2エア吹出部17とへのエアの流路15bを共有する構成として説明したが、筒状本体部15の中央から左右にエアの流路を区切る構成としても構わない。つまり、筒状本体部15の内側を二つに区切り、区切ったそれぞれの一方と他方に、図9で示すような第1ホース21dと第2ホース21eによりそれぞれエアを供給するようにしても構わない。このように、第1エア吹出部16と第2エア吹出部17とを独立した流路にエアを供給することで、第1エア吹出部16及び第2エア吹出部17からのエアの吹出し量の調整が容易となりさらに都合がよい。
【0080】
また、図13及び図14に示すように、筒状本体部150の構成としてもよい。すなわち、筒状本体部150は、その内周径(内径)φ1の寸法と、接続管19の内周径(内径)φ2の寸法について、φ1≧φ2の関係になるように構成することが望ましい。つまり、筒状本体部150では、流路150bの内周方向における幅を大きくして、筒内周面150dを縮径するように形成することで、接続管19の内径φ2に対して内径φ1の寸法をφ1≧φ2の関係になるように構成している。
筒状本体部150は、すでに図5で説明した構成と基本的には同じ構成であり、開口溝150aを形成した状態で、内管及び外管、その一側及び他側に設置した一側閉塞端面160b及び他側閉塞端面170bとにより囲繞した空間を流路150bとし、筒内周面150dの一端及び他端を一端開口150c及び他端開口150eとして構成している。
【0081】
以下、接続管19の内周径φ2を、φ1>φ2とした一具体例としてケース1の場合について説明する。ケース1の場合、筒状本体部150の内周径φ1である寸法35mmとし、接続管19の内径φ2の寸法を38mmから32mmとしたときの状態において風圧及び吸引力について測定した。なお、以下の説明において風圧及び吸引力は、マノメータを使用して測定用ホース内の液体の高さの値として測定した。
【0082】
測定方法として、接続管に測定用ホースを接続し、測定用ホースの一部をU字形状として、そのU字形状部分の測定用ホース内に液体(水)を入れてU字状部分のU字部分の一方の垂直部分と他方の垂直部分の液体の高さの差の値(mm)を風圧とした。前記したケース1の場合は、風圧として304mmであり、φ1<φ2の場合においてφ1の寸法が35mmでφ2が38mmのときの風圧の234mmに対して1.3倍であった。
【0083】
また、吸引力は、測定方法として、筒状本体部150の一端開口150c側に測定用ホースを接続し、一部をU字形状として前記した測定方法と同様に測定したときに、U字部分の一方の垂直部分の高さと他方の垂直部分の高さとの差として測定した。ケース1の場合は、その高さの差が−170mmであり吸引力とした。φ1<φ2の場合においてφ1の寸法が35mmでφ2が38mmのときの吸引力−125mmと比較すると吸引力は、1.3倍となっていた。
【0084】
つぎに、ケース2の場合として、φ1=φ2となるように筒状本体部150の内径φ1の寸法を32mmとし、かつ、接続管19の内径φ2の寸法を32mmとした状態で前記した測定方法で風圧及び吸引力を測定した。このケース2の場合は、風圧及び吸引力がそれぞれ368mmと−218mmの値となり、φ1<φ2の場合においてφ2の寸法が38mmでφ1が35mmのときの1.6倍と、1.7倍のそれぞれとなった。
このように筒状本体部150は、接続管19との内径の関係をφ1≧φ2とすることで、風圧及び吸引力が向上するので、作業中に発生する粉塵の回収をより確実にすることが可能となる。
【0085】
また、図15(a)、(b)に示すように、第2エア吹出部170の他側閉塞端面170bにおける集塵吹出孔170aの中央が、その他側閉塞端面170bの端面幅方向における中央線Tcよりも内径側(筒内周面側)に偏心した位置となるようにして、集塵吹出孔170aを形成する構成にすることが望ましい。集塵吹出孔170aは、供給されるエアがコンプレッサからの場合には、そのエアに水分が含まれているため、エアを吹出すことで集塵する塵埃が孔周辺に堆積して堆積物ANを付着することになる。そのため、集塵吹出孔170aは、筒内周面150d側に配置されると、図15(b)、(c)に示すように、塵埃の堆積物ANにおける内径側の一部ANpが筒内周面150dに出っ張るように堆積させることができるようになる。
【0086】
このように、筒状本体部150は、集塵吹出孔170aの位置により、堆積物ANの一部ANpを筒内周面150d側に出っ張らせることで、筒内周面150dに沿って流れるエアがその一部ANpに当たるようになり、堆積物ANをエアの流れにより集塵吹出孔170aから剥ぎ取ることができるようになる。なお、堆積物ANは、そのほとんどが集塵吹出孔170aの周りにコニーデ状に堆積するので、筒内周面150d側に近い位置に集塵吹出孔170aを形成することで、堆積物ANの一部ANpが必ず筒内周面150d側に出っ張るようになり、エアの流れで剥ぎ取られるようになる。
【0087】
したがって、作業者は、作業中に塵埃の堆積物ANにより集塵吹出孔170aを目詰まりさせることがなくなり、一連の作業において吸引力をほとんど変えることなく作業を行うことが可能となる。
なお、集塵吹出孔170aの位置は、前記した図5の構成であっても図15と同様な構成として、他側閉塞端面17bの中央線よりも内径側となるように形成しても構わないことは勿論である。
【0088】
また、携帯用切削工具1,1Aについて第1エア吹出部及び第2エア吹出部の更に他の構成について、図16及び図17を参照して説明する。なお、すでに説明した構成は同じ符号を付して説明を省略する。
図16(a)、(b)に示すように、第1エア吹出部として、ここでは、吹出ノズル160Aを筒状本体部150Aの下端側に設けた構成としている。なお、筒状本体部150Aは、板厚方向に流路15b(図3参照)が形成されない構造であり、例えば金属板を筒状に加工した状態として構成されている。
【0089】
吹出ノズル160Aは、第2ホース21eに接続されてエア分岐ホース20Aからのエアを先端の吹出孔160Aaから被切削部材W側に吹出すものであり、ノズル支持部161により弾性部材であるコイルスプリング162を介して筒状本体部150Aに支持されている。
【0090】
吹出ノズル160Aは、ここでは金属製で円筒形に形成された円筒部160Abと、この円筒部160Abの先端側に設けられたフランジ160Acとを備えており、円筒部160Abの後端側にエア分岐ホース20Aの第2ホース21eが着脱自在に接続できるように構成されている。ノズル支持部161は、吹出ノズル160Aを筒状本体部150Aに支持することができる構成であれば、その形状、位置を限定されるものではない。また、コイルスプリング162は、吹出ノズル160Aのフランジ160Acとノズル支持部161の内側にその両端を支持して、吹出ノズル160Aの先端をノズル支持部161から突出させるようにしている。
【0091】
吹出ノズル160Aは、コイルスプリング162により常に筒状本体部150Aの一端から被切削部材W側に突出するようにノズル支持部161に支持されており、ここでは、例えば、突出量dmとして、2〜10mm(好ましくは3〜5mm)の範囲で突出するようになっている。吹出ノズル160Aは、被切削部材W側に付勢されていることで、切削作業を行ったときに、切削作業で形成される切溝Wm(図8(b)参照)内に入り込んだ状態で、エアを吹き出しエアカーテンを形成する。したがって、吹出ノズル160Aは、形成するエアカーテンの実効性がより向上すると共に、ノズル先端側が切溝Wmに入り込んで、切削方向に工具と一緒に移動するときに切溝Wmに沿ってガイドの役割も果たすことができる。
【0092】
また、図16(c)、図17(a)、(b)に示すように、第2エア吹出部としてのエアノズル170Aを筒状本体部150Aの内周側に臨ませて設ける構成としても構わない。エアノズル170Aは、ノズルの一端に形成したエアを吹出す集塵吹出孔170Aaを、ここでは、筒状本体部150Aのほぼ中央となる位置に配置している。また、エアノズル170Aの筒状本体部150Aの軸線方向における位置は、ここでは、集塵吹出孔170Aaが筒状本体部150Aの他端開口15eと同等の位置に配置されている。また、エアノズル170Aは、筒状本体部150Aの側面にエアノズル支持部171を介して設けられており、エアノズル支持部171に着脱自在に接続される第1ホース21dからのエアを集塵吹出孔170Aaから吹き出している。
【0093】
なお、集塵吹出孔170Aaの筒状本体部150Aの内周側における位置は、粉塵の集塵を行なうための気流の流れを形成することができる位置であれば、特に限定されるものではない。また、集塵吹出孔170Aaの直径は、図5に示す6箇所に形成した集塵吹出孔17aの合計した面積の直径と同等以上となるように形成されている。ちなみに、集塵吹出孔170Aaは、筒状本体部150Aの擬似内周面積(開口溝15aがないものとしたときの円による内周面面積)における直径に対して、直径が1/15〜1/5の範囲であることが好ましい。
【0094】
図17(a)に示すように、エアノズル170Aを筒状本体部150Aの内周側に配置したことで、集塵吹出孔170Aaからエアを吹出すと、被切削部材Wを回転刃9により切削したときに、開口溝15a及び一端開口15cから粉塵を他端開口15eに向かう気流を形成しているため、効率よく粉塵を回収することが可能となる。また、エアノズル170Aの構成とすることで、気流の流れが集塵吹出孔170Aaの周囲を通過するようになり、集塵吹出孔170Aaの周囲を通過した気流がその集塵吹出孔170Aaの付近で渦巻く状態が起こりにくく、当該集塵吹出孔170Aa付近のノズル部分に粉塵が付着することがない。
【0095】
さらに、図1から図17までの筒状本体部15,150等における一端開口側とは、一側閉塞端面に形成される吹出孔16a,160a,160Aa、一側閉塞端面の内側あるいは外側に形成される吹出孔36a(図11、図12参照)の状態、つまり、一側閉塞端面の内側、面側、外側に形成される吹出孔16a,36a,160a,160Aa等のいずれであっても構わない。同様に他端開口側とは、他側閉塞端面の内側、面側、外側であってもよい。なお、他端開口側のよりよい構成としては、すでに図15で示した他側閉塞端面の中央線Tcより内径側に集塵吹出孔170aが配置される構成、あるいは、図17で示したエアノズル170Aを筒状本体部150Aの内周側に臨ませて配置した構成となることである。
【0096】
また、部材支持部12(図1参照)は、コ字形状の金属板片である例として説明したが、左右に長方形の金属板片をそれぞれネジで固定できるように構成すること等、防塵部材13を回転刃9に隣接した状態で設置することができるものであれば、限定されるものではない。
さらに、防塵部材13は、回転刃9に隣接するように設けた構成として説明したが、回転刃9に接触するようにしてもよい。つまり、切欠部11gの範囲において、防塵部材13が回転刃9に接触して設置されている状態で回転刃9が回転すると、刃先により防塵部材13が削られて実質的には隣接した状態となる。
【0097】
防護カバー体11及び集塵部14は、金属材料で形成した例として説明したが、樹脂であってもよく、樹脂であれば透明なものを使用することで粉塵の回収状態を確認しながら切削作業を行うことが可能となる。
なお、回転刃9を駆動軸6に支持する構成としてブッシュ9bがなくてもよく、回転刃9が駆動軸6に着脱自在に支持される構成であれば、公知の機構でも全く構わない。
【0098】
さらに、図18(a)〜(c)に示すように、筒状本体部15、150、150A及びノズル支持部161の下端側の形状が、被切削部材Wの面に当接できるように、平坦に形成される構成であると更に好ましい。このように、筒状本体部15、150、150A及びノズル支持部161の下端側の形状が平坦であると、図18(a)で示すように、切削作業の初期や、切込みを浅く行う作業の場合には、筒状本体部15、150の下端の平坦部分、あるいは、ノズル支持部161の平坦部分と被切削部材Wの面とが当接したときに隙間がなくなり、集塵効率を更に向上させることが可能となる。なお、ノズル支持部161の下端側の形状を平坦に形成する場合には、その横幅を筒状本体部150Aの筒幅に合わせて構成することが好ましい。
【0099】
この筒状本体部15,150、150Aまたはノズル支持部161の下端側では、筒状本体部15,150、150Aの一端開口側が、被切削部材Wの面と平行に当接できるように形成されていれば足り、他端開口側に亘って下端側全体が平坦であってもよいが必ず全体が平坦である必要はない。つまり、筒状本体部15,150、150Aでは、下端側の一端開口部分では、被切削部材Wの面に平行に当接する平坦に形成され、他端開口部分では、円筒形に形成されていても構わない。また、筒状本体部15,150,150Aの一端開口部分における下端側が、被切削部材Wの面と平行に当接できる構成であれば、筒状本体部分に一側を装着して他側が被切削部材Wに当接する平坦に形成されている別部材を取付けるようにしても構わない。勿論、別部材として取付ける場合は、筒状本体部15,150、150Aに対して着脱自在にすることや、ネジ等により固定するようにしてもよい。さらに、被切削部材Wの面に平行に当接する部分を別部材とした場合は、素材を樹脂等して筒状本体部15、150、150Aとは異なる素材としても構わない。
【符号の説明】
【0100】
1、1A 携帯用切削工具 2 本体部
3 ホース接続部 4 エア流路
5 駆動タービン 6 駆動軸
7 支持部 8 放出部
9 回転刃 9A 取付部材
9a ホイールワッシャ 9b ブッシュ
9c ナット 9d ボルト
10 集塵構造体 11 防護カバー体
11a 側面板 11b 側面板
11c 周面板 11d 取付穴
11e 取付部 11f ガイド部
11g 切欠部 11e 固定部分
11e 離間部分 12 部材支持部
12a 固定板片 12b 支持板片
13 防塵部材 14、14A 集塵部
14a ホース接続部 15 筒状本体部
15a 開口溝 15b 流路
15c 一端開口 15d 筒内周面
15e 他端開口 16 第1エア吹出部
16a 吹出孔 16b 一側閉塞端面
17 第2エア吹出部 17a 集塵吹出孔
17b 他側閉塞端面 18 筒状テーパ部
19 接続管 20、20A エア分岐ホース
21 ホース本体 21a 分岐ホース
21b 分岐管 21c 調整部
21d 第1ホース 21e 第2ホース
22 一端側接続部 22a エア調整ネジ
23 他端側接続部 23a 第1他端側接続部
23b 第2他端側接続部 25 接続介在部
26 介在部本体 27 供給ホース接続部
28 工具側接続部 29 分岐ホース接続部
30 内接部材 32 調整ピン
32a ピン軸部 32b 調整孔
Ah エア供給ホース CP コンプレッサ
L1 垂直線 Sh 集塵ホース
Sb 集塵袋 W 被切削部材
Wm 切溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアを供給するエア供給ホースが接続され、前記エアにより回転する駆動タービンを有する本体部と、この本体部の駆動タービンにより回転する駆動軸に取り付けられた円板状の回転刃が被切削部材を切削するときに発生する粉塵を集塵する集塵構造体とを備え、前記集塵構造体に接続される集塵ホースを介して粉塵を集塵しながら前記被切削部材を切削する携帯用切削工具において、
前記集塵構造体は、前記回転刃の所定の円弧範囲を露出するように、当該回転刃の所定角度範囲に亘って設けられ、前記露出した以外の当該回転刃の刃先及び左右側面を覆う円弧形状の防護カバー体と、
この防護カバー体の円弧形状の一端側に設けた集塵部と、
前記エア供給ホースにより供給されるエアの流路から分岐して前記集塵部に接続されるエア分岐ホースと、を備え、
前記集塵部は、前記防護カバー体の左右側面の間に対向する位置に開口溝を形成した筒状本体部と、この筒状本体部の一端開口側から前記エア分岐ホースにより供給されたエアを吹き出す第1エア吹出部と、前記筒状本体部の他端開口側から前記エア分岐ホースにより供給されたエアを吹き出す第2エア吹出部と、を有し、
前記第1エア吹出部は、前記防護カバー体の左右側面の間に対向する筒状本体部の位置に前記エア分岐ホースから供給されたエアを吹き出す吹出孔が形成されたことを特徴とする携帯用切削工具。
【請求項2】
前記筒状本体部は、板厚方向における内部に流路が形成され、前記第1エア吹出部及び前記第2エア吹出部まで前記流路により前記エア分岐ホースからのエアが供給され、
前記第1エア吹出部は、前記開口溝に対向する範囲内となる前記筒状本体部の一側閉塞端面の位置に、前記エア分岐ホースから供給されたエアを吹き出す前記吹出孔が形成され、
前記第2エア吹出部は、前記筒状本体部の筒内周側面または前記筒状本体部の他側閉塞端面に、前記エア分岐ホースから供給されたエアを吹き出す集塵吹出孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項3】
前記第1エア吹出部は、前記筒状本体部に支持して外周側に臨ませて前記吹出孔を形成した吹出ノズルであり、
前記吹出ノズルに前記エア分岐ホースからのエアを供給するように当該エア分岐ホースを接続したことを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項4】
前記吹出ノズルは、前記筒状本体部の外周側に支持部を介して支持されると共に、前記支持部に取付けた弾性部材によりエアの吹出す方向に付勢されるように設置され、
付勢された付勢端に前記吹出ノズルが位置したときに、当該吹出ノズルの先端が前記筒状本体部の一端よりも前記被切削部材側に突出する位置となるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の携帯用切削工具。
【請求項5】
前記第2エア吹出部は、前記筒状本体部の内周側に臨ませて当該筒状本体部に支持され、エアを他端開口側に吹出す方向に集塵吹出孔を向けたエアノズルであり、
前記エアノズルに前記エア分岐ホースからのエアを供給するように当該エア分岐ホースを接続したことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の携帯用切削工具。
【請求項6】
前記防護カバー体は、前記回転刃を露出させる開口端部が、前記回転刃を被切削部材に切り込ませたときに当接するように、前記本体部から駆動軸を超えて被切削部材側となる位置に直線的に形成したガイド部を有すると共に、前記ガイド部が前記被切削部材に当接したときに、前記回転刃の切刃の一部が当該防護カバー体から露出するように、直線的な当該ガイド部の端側を切り欠いて形成した切欠部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯用切削工具。
【請求項7】
前記切欠部には、当該切欠部の範囲で前記回転刃と前記防護カバー体との間に介在し、前記回転刃に向かって防塵部材が設けられ、前記防塵部材は、前記切欠部の範囲で前記回転刃に隣接するように設置されていることを特徴とする請求項6に記載の携帯用切削工具。
【請求項8】
前記集塵部は、前記筒状本体部の他側閉塞端面に連続して前記筒状本体部の他側閉塞端面から空間が徐々に狭くなるテーパ内周面を有する筒状テーパ部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯用切削工具。
【請求項9】
前記本体部と前記エア供給ホースとの間に、前記エア分岐ホースを接続する接続介在部を備え、前記エア分岐ホースは、前記接続介在部と、前記筒状本体部とに接続されることを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項10】
前記防護カバー体は、その内側で前記駆動軸側から前記回転刃の刃先側までの間に、前記回転刃の基板と接触するようにライン状に設けたブラシ状の内接部材を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項11】
前記筒状本体部は、他端開口の筒外周側から筒軸方向に突出するように、前記集塵ホースを接続するための接続管が設けられ、前記筒状本体部の内周径が、前記接続管の内周径より大径又は同一寸に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の携帯用切削工具。
【請求項12】
前記筒状本体部は、前記他端開口側となる、前記第2エア吹出部を形成する前記他側閉塞端面において、中央より内径側に前記第2エア吹出部の集塵吹出孔を形成したことを特徴とする請求項2に記載の携帯用切削工具。
【請求項13】
エア供給ホースから供給されるエアにより駆動軸に取り付けた円板状の回転刃を回転させて被切削部材を切削する携帯用切削工具の前記駆動軸の周囲となる支持部に着脱自在に取り付けて使用する集塵構造体であって、
前記回転刃の所定の円弧範囲を露出するように、当該回転刃の所定角度範囲に亘って設けられ、前記露出した以外の当該回転刃の刃先及び左右側面を覆う円弧形状の防護カバー体と、
この防護カバー体の円弧形状の一端側に設けた集塵部と、
前記エア供給ホースにより供給されるエアの流路から分岐して前記集塵部に接続されるエア分岐ホースと、を備え、
前記集塵部は、前記防護カバー体の左右側面の間に対向する位置に開口溝を形成した筒状本体部と、この筒状本体部の一端開口側から前記エア分岐ホースにより供給されたエアを吹き出す第1エア吹出部と、前記筒状本体部の他端開口側から前記エア分岐ホースにより供給されたエアを吹き出す第2エア吹出部と、を有し、
前記第1エア吹出部は、前記防護カバー体の左右側面の間に対向する筒状本体部の位置に前記エア分岐ホースから供給されたエアを吹き出す吹出孔が形成されたことを特徴とする集塵構造体。
【請求項14】
前記筒状本体部は、他端開口の筒外周側から筒軸方向に突出するように、集塵用の集塵ホースを接続するための接続管が設けられ、前記筒状本体部の内周径が、前記接続管の内周径より大径又は同一寸に形成されたことを特徴とする請求項13に記載の集塵構造体。
【請求項15】
前記筒状本体部は、前記他端開口側となる、前記第2エア吹出部を形成する前記他側閉塞端面において、中央より内径側に前記第2エア吹出部の集塵吹出孔を形成したことを特徴とする請求項13に記載の集塵構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−51333(P2011−51333A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170661(P2010−170661)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000142919)株式会社呉英製作所 (21)
【Fターム(参考)】