説明

携帯端末、実行制御方法及びプログラム

【課題】第1筺体と、タッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体との相対位置が特定の位置関係にあることで、タッチパッドにおいて検出されてしまう接触に基づく処理の実行を抑制しつつも、ユーザの操作性をある程度維持することが可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】第1筺体とタッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体とからなり、両筺体の相対位置を変更自在に構成した携帯端末であって、前記第1筺体に配置された第1加速度センサと、前記第2筺体に配置された第2加速度センサとを備え、各加速度センサで測定された加速度に基づいて、両筺体の相対位置が、前記タッチパッドにおける接触を検出する特定の位置関係にあると判定する場合には、検出された接触に基づく処理を実行しないよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパッド付きのディスプレイを備える携帯電話機等の携帯端末に関し、特に、タッチパッドからの入力に基づく処理の実行制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパッドからの入力に基づく処理の実行を一定条件下で抑制する技術が知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1の技術は、タッチパッド付きのディスプレイ及び加速度センサを備える携帯端末において、加速度センサの測定値から、自端末がユーザにより持ち運びされていると判定される場合に、タッチパッドへの接触に基づく処理の実行を抑制するというものである。
【0003】
これにより、ユーザが、電源を入れたまま携帯端末を持ち運びしている際に、このユーザの手等がタッチパッドに接触してしまった場合でも、このユーザが意図しない接触に基づく処理の実行を抑止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−87076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術によれば、携帯端末を持ち運びしている場合に検出されたタッチパッドへの接触に基づく処理の実行を抑制することができるが、携帯端末を持ち運びしていない場合に検出されたタッチパッドへの接触に基づく処理の実行は抑制できない。
例えば、第1筺体と、タッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体とを有し、両筺体が相対的に開閉可能な携帯端末においては、持ち運びしていない状態でも、以下のようにしてタッチパッドへの接触が検出されてしまうことがある。即ち、ユーザが、この携帯端末を閉じようとして、第2筺体のタッチパッド付きのディスプレイの表面に、第1筺体が近接した状態になった場合に、この第1筺体内部の金属部品等の影響によりタッチパッドが接触を検出してしまうことがある。
【0006】
第1筺体内部の金属部品等の影響によりタッチパッドが接触を検出しないように、このタッチパッドの感度を低下させることでこの問題を解決することも考えられるが、タッチパッドの感度を低下させてしまうと、ユーザの操作性が低下してしまう可能性がある。
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、第1筺体と、タッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体との相対位置が特定の位置関係にあることで、タッチパッドにおいて検出されてしまう接触に基づく処理の実行を抑制しつつも、ユーザの操作性をある程度維持することが可能な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、第1筺体とタッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体とからなり、両筺体の相対位置を変更自在に構成した携帯端末であって、前記第1筺体に配置された第1加速度センサと、前記第2筺体に配置された第2加速度センサと、前記タッチパッドにおける接触を検出する接触検出部と、両筺体の相対位置が、前記接触検出部が前記タッチパッドにおける接触を検出する特定の位置関係にあるかを、各加速度センサで測定された加速度に基づいて判定する位置判定部と、前記位置判定部が前記特定の位置関係にないと判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行し、前記位置判定部が前記特定の位置関係にあると判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行しない実行制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成を備える本発明に係る携帯端末によれば、第1筺体と、タッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体との相対位置が特定の位置関係にあることで、タッチパッドにおいて検出されてしまう接触に基づく処理の実行を抑制しつつも、ユーザの操作性をある程度維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機100の開状態の外観を示す図
【図2】携帯電話機100の開状態及び閉状態の外観を示す図
【図3】携帯電話機100の開状態の外観を示す図
【図4】携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図
【図5】携帯電話機100の開状態(全開状態、チルト状態及び近接状態)と閉状態とにおける各加速度センサの測定結果を示す図
【図6】携帯電話機100の電力供給制御処理を示すフローチャート
【図7】携帯電話機100の実行制御処理を示すフローチャート
【図8】変形例1に係る携帯電話機200の開状態及び閉状態の外観を示す図
【図9】変形例2に係る携帯電話機300の開状態及び閉状態の外観を示す図
【図10】変形例3に係る携帯電話機の実行制御処理を示すフローチャート
【図11】変形例3に係る携帯電話機の加速度センサの測定値を示すグラフ
【図12】変形例3に係る携帯電話機の各軸の加速度センサの測定データを示す図
【図13】変形例3に係る携帯電話の開状態から閉状態に至る外観を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る携帯端末の一実施形態としての携帯電話機について説明する。
≪実施の形態≫
<1.概要>
実施の形態に係る携帯電話機は、第1加速度センサを内蔵した第1筺体と、タッチパッド付きのディスプレイが配置され、第2加速度センサを内蔵した第2筺体とからなり、第1筺体と第2筺体とが相対的に移動可能なスライド式の端末である(図1及び図2参照)。
【0011】
この携帯電話機は、第1筺体内部の金属部品等の影響により、第2筺体のタッチパッドが接触を検出する程に第1筺体が第2筺体のディスプレイ面に近接した状態(図2(a)参照)であるかを、各加速度センサが測定した加速度がなす角の大きさに基づき判定し、判定結果に応じて、タッチパッドからの入力に基づく処理を実行するか否かを制御する。
これにより、この携帯端末は、タッチパッドの感度を変化させることなく、両筺体の相対位置が特定の位置関係にあることで、タッチパッドにおいて検出されてしまう接触に基づく処理の実行を抑制しつつも、ユーザの操作性をある程度維持することができる。
【0012】
<2.装置構成>
まず、実施の形態に係る携帯電話機100の装置構成について説明する。
図1(a)、(b)及び図2(a)は、携帯電話機100の開状態の外観を示す斜視図であり、図2(b)は、携帯電話機100の閉状態の外観を示す斜視図である。
携帯電話機100は、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示されるように、第1筺体1と第2筺体2とが相対的に移動可能なスライド式の端末であり、第1筺体1、第2筺体2及び第1筺体1と第2筺体2とを接続するアーム3を備えている。
【0013】
第1筺体1には、レシーバ4、マイク5及びタッチパッド付きの第1ディスプレイ110が備えられ、磁石6及び第1加速度センサ130が内蔵されている。また、第2筺体2には、タッチパッド付きの第2ディスプレイ120が備えられ、磁気センサ7及び第2加速度センサ131が内蔵されている。
アーム3は、その基端側が第2筺体2に回転自在に軸支されており、先端側が第1筺体1をスライド移動並びに回転自在に支持している。
【0014】
従って、携帯電話機100は、第1筺体1と第2筺体2とが単なる相対回動するだけでなく、開状態と閉状態との間で変更することが可能である。
ここで、閉状態とは、第2筺体2に第1筺体1が重ね合わさることで、第1ディスプレイ110の画面全体が露出し、かつ第1筺体1により第2ディスプレイ120の画面全体が覆われる状態をいう(図2(b)参照)。
【0015】
また、開状態とは、閉状態以外の状態をいい(図1(a)、(b)、図2(a)及び後述する図3参照)、開状態の中でも、図1(a)に示すように、第1筺体1の主表面と第2筺体2の主表面とが略同一平面上に揃い、第1ディスプレイ110及び第2ディスプレイ120の画面全体が露出した状態を「全開状態」ともいう。なお、ここでは、各筺体においてディスプレイが存在する側の表面を主表面と表現している。
【0016】
また、開状態の中でも、第1筺体1内部の金属部品等の影響により、第2筺体2のタッチパッドが接触を検出する程に、第1筺体1の主表面と対向する副表面と、第2筺体2の主表面とが近接した状態を「近接状態」ともいう(図2(a)参照)。
携帯電話機100は、図1(a)に示す全開状態から、図1(b)及び図2(a)に示すように、アーム3により、第1筺体1が第2筺体2の主表面に沿って移動することで、図2(b)に示す閉状態になる。
【0017】
また、携帯電話機100は、第2筺体2の主表面と第1筺体1の主表面とのなす角がα(例えば、150°程度)になるように、図1(a)に示す全開状態から、第1筺体1を起こした状態(以下、「チルト状態」ともいう)にも変更することができる。なお、チルト状態も開状態に含まれる。
なお、本実施の形態では、接触とは、ユーザの指、顔等の身体やタッチペン等がタッチパッドに接触した状態をいう他、ユーザの指、顔等の身体やタッチペン等、タッチパッドの静電容量を変化させるものが、タッチパッドの静電容量を所定の閾値以上に変化させる程度にタッチパッドに近接した状態を含む。
【0018】
<3.機能構成>
図4は、携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図である。
携帯電話機100は、同図に示すように、磁石6と、磁気センサ7と、各部に電力を供給するバッテリ8と、第1ディスプレイ110と、コントローラ113と、第2ディスプレイ120と、コントローラ123と、第1加速度センサ130と、第2加速度センサ131と、記憶部140と、制御部150と、電力制御部160とを備える。
【0019】
なお、同図では、図1(a)に示すレシーバ4及びマイク5や、一般的な携帯電話機が備える通信部の図示は省略している。また、携帯電話機100は、プロセッサ及びメモリを含んで構成されており、制御部150の機能は、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
ここで、磁気センサ7は、磁石6が発生する磁力を検出する機能を有し、当該磁力を検出しているかを示す信号を、制御部150に出力するセンサである。
【0020】
なお、磁気センサ7は、図2(b)に示す閉状態において磁石6が発生する磁力を検出し、図1(a)、(b)、図2(a)、図3に示す開状態において磁石6が発生する磁力を検出しないように、磁石6及び磁気センサ7の配置と、磁石6の磁力の強度が調整されている。
また、第1ディスプレイ110は、LCD(Liquid Crystal Display)111及びタッチパッド112を含み、第2ディスプレイ120は、LCD121及びタッチパッド122を含む。
【0021】
各タッチパッド(112、122)は、静電容量方式のタッチセンサを含んで構成され、タッチパッド112は、LCD111に重畳して設けられ、タッチパッド122は、LCD121に重畳して設けられている。なお、各タッチパッドは、透明部材を用いて構成されており、各LCDに表示された画像が見えるように構成されている。
各コントローラ(113、123)は、対応するディスプレイのタッチパッドに対する接触の位置の座標値(x,y)を、単位時間(例えば、25ms)毎に、制御部150に出力するIC(Integrated Circuit)である。なお、第1ディスプレイ110とコントローラ113とが対応し、第2ディスプレイ120とコントローラ123とが対応する。
【0022】
第1加速度センサ130は、第1筺体1にかかる加速度を測定する3軸加速度センサであり、第2加速度センサ131は、第2筺体2にかかる加速度を測定する3軸加速度センサである。各加速度センサ(130、131)は、測定した加速度の図1(a)に示すxyz軸の各軸成分を示す信号を制御部150に送出する。
ここで、第1加速度センサ130が測定した加速度A1のxyz軸成分をA1x、A1y、A1zとし、第2加速度センサ130が測定した加速度のA2のxyz軸成分をA2x、A2y、A2zとした場合に、加速度A1の向きと加速度A2の向きとのなす角θは数1で定義される。
【0023】
【数1】

【0024】
図5(a)〜(d)は、第2筺体2の主表面が略水平になるようにして静止している携帯電話機100の全開状態、閉状態、チルト状態及び近接状態それぞれでの各加速度センサの測定結果例を示す図である。
即ち、図5(a)〜(d)では、各加速度センサが測定した重力加速度のxyz軸成分を示している。
【0025】
図5(a)及び(b)は、全開状態及び閉状態では、第1加速度センサ130及び第2加速度センサ131のx軸成分及びy軸成分は0[m/s]であり、z軸成分は9.8[m/s]であることを示している。
従って、A1x=A2x=0、A1y=A2y=0、A1z=A2z=9.8を数1に代入することで、全開状態及び閉状態における加速度A1の向きと加速度A2の向きとのなす角θは0[rad]と算出できる。
【0026】
同様に、図5(c)、(d)及び数1によれば、チルト状態における加速度A1の向きと加速度A2の向きとのなす角は0.6[rad]、近接状態における加速度A1の向きと加速度A2の向きとのなす角θは0.2[rad]と算出できる。
なお、ここでは、一例として、図5(a)〜(d)に示す第2筺体2の主表面が略水平になるようにして測定した場合の各加速度センサの測定結果を用いて算出したが、第2筺体2の主表面が略水平にならないようにして測定した各加速度センサの測定結果を用いても勿論同様の算出結果が得られる。
【0027】
このように、近接状態ではθが略ゼロにならず、チルト状態ではθが近接状態の場合よりも大きくなることから、加速度A1の向きと加速度A2の向きとのなす角θにより携帯電話機100が近接状態であるかを判定することができる。
再び、図4を用いて携帯電話機100の残りの機能構成の説明を行う。
記憶部140は、第1閾値情報10と第2閾値情報11とを記憶するためのメモリ領域である。
【0028】
ここで、第1閾値情報10は、携帯電話機100が全開状態又は閉状態であるか否かを判定するための閾値(以下、「第1閾値」ともいう)を示す情報である。また、第2閾値情報11は、携帯電話機100がチルト状態であるか否かを判定するための閾値(以下、「第2閾値」ともいう)を示す情報である。
上述のように、本実施の形態の例では、加速度A1の向きと加速度A2の向きとのなす角θは、全開状態又は閉状態では0[rad]であり、チルト状態では0.6[rad]である。従って、誤差等を考慮し、一例として、第1閾値情報10が示す第1閾値は、0.1[rad]であり、第2閾値情報11が示す第2閾値は、0.5[rad]であるものとする。
【0029】
制御部150は、携帯電話機100の各機能部を制御する機能を有する他、特に、携帯電話機100の状態に応じて、第2ディスプレイ120のタッチパッド112からの入力に基づく処理の実行や各加速度センサへの電力供給を制御する機能を有する。
制御部150は、接触検出部151、状態判定部152、位置判定部153、実行制御部154、表示制御部155を含んで構成される。
【0030】
ここで、接触検出部151は、各コントローラ(113、123)から送出された座標値の受領に基づいて、各タッチパッドへの接触を検出する機能を有する。
状態判定部152は、磁気センサ7からの信号に基づいて、携帯電話機100が閉状態であるか否かを判定する機能を有する。即ち、状態判定部152は、磁気センサ7から受領した信号が、磁石6の磁力を検出している旨を示す場合に閉状態であると判定し、磁石6の磁力を検出していない旨を示す場合に閉状態でない、つまり開状態であると判定する。
【0031】
位置判定部153は、各加速度センサから受領した信号と記憶部140に記憶されている各閾値情報(10、11)に基づき、携帯電話機100が近接状態であるかを判定する機能を有する。
具体的には、第1加速度センサ130が測定した加速度A1(A1はベクトルであるが、加速度A1ベクトルを以下単に加速度A1という)の向きと第2加速度センサ131が測定した加速度A2(A2はベクトルであるが、加速度A2ベクトルを以下単に加速度A2という)の向きとがなす角θを算出し、算出したθが、第1閾値情報10が示す第1閾値以上、第2閾値情報11が示す第2閾値未満である場合に近接状態であると判定する。
【0032】
なお、近接状態であるかを判定するということは、各筺体の相対位置が、第1筺体のタッチパッドが接触を検出する特定の位置関係にあるかを判定することに相当する。
実行制御部154は、接触検出部151がタッチパッド112での接触を検出した際と、位置判定部153が近接状態であると判定している場合を除き、接触検出部151がタッチパッド122での接触を検出した際とに、接触位置に対応する処理を実行する機能を有する。接触位置に対応する処理とは、例えば、接触位置に表示されている表示物(アイコンやキー等)に割り当てられた処理のことである。
【0033】
表示制御部155は、実行制御部154の処理結果に応じた画面を、各LCD(111、121)に表示させる機能を有する。
また、電力制御部160は、状態判定部152による判定結果に応じて、バッテリ8から各加速度センサ(130、131)へ電力供給を制御する機能を有する。即ち、電力制御部160は、状態判定部152が閉状態であると判定した場合に、各加速度センサへの電力供給を停止することで、省電力を図ることができる。
【0034】
<4.動作>
次に、携帯電話機100の動作について、図6及び図7を用いて説明する。
<4−1.電力供給制御処理>
図6は、携帯電話機100の電力供給制御処理を示すフローチャートである。
同図に示す電力供給制御処理は、携帯電話機100の電源がONになると開始され、特に図示していないが、電源がOFFになると終了される。
【0035】
携帯電話機100の電源がONになると、まず、制御部150の状態判定部152は、磁気センサ7からの信号に基づいて、携帯電話機100の状態が、閉状態であるか開状態であるかを判定する(ステップS11)。
磁気センサ7から受領した信号が、磁石6の磁力を検出していない旨を示す場合に、状態判定部152は、開状態であると判定し(ステップS11:開状態)、後述するステップS13から処理を行う。
【0036】
一方、磁気センサ7から受領した信号が、磁石6の磁力を検出している旨を示す場合に、状態判定部152は、閉状態であると判定し(ステップS11:閉状態)、磁気センサ7からの信号に基づいて、携帯電話機100が開状態に変化したかを判定する(ステップS12)。磁気センサ7から受領した信号が、引き続き磁石6の磁力を検出している旨を示す場合には、状態判定部152は、開状態に変化していないと判定し(ステップS12:NO)、再びステップS12の処理を行う。
【0037】
また、磁気センサ7から受領した信号が、磁石6の磁力を検出していない旨を示すようになった場合に、状態判定部152は、開状態に変化したと判定し(ステップS12:YES)、電力制御部160に開状態である旨を通知する。この通知を受けた電力制御部160は、バッテリ8から各加速度センサ(130、131)への電力供給を開始する(ステップS13)。これにより、各加速度センサは、測定した加速度のxyz軸の各軸成分を示す信号の制御部150への送出を開始する。
【0038】
また、状態判定部152は、磁気センサ7からの信号に基づいて、携帯電話機100が閉状態に変化したかを判定する(ステップS14)。磁気センサ7から受領した信号が、引き続き磁石6の磁力を検出していない旨を示す場合に、状態判定部152は、閉状態に変化していないと判定し(ステップS14:NO)、再びステップS14の処理を行う。
また、磁気センサ7から受領した信号が、磁石6の磁力を検出している旨を示すようになった場合に、状態判定部152は、閉状態に変化したと判定し(ステップS14:YES)、電力制御部160に閉状態である旨を通知する。この通知を受けた電力制御部160は、バッテリ8から各加速度センサ(130、131)への電力供給を停止する(ステップS15)。これにより、各加速度センサは、測定した加速度のxyz軸の各軸成分を示す信号の制御部150への送出を停止する。
【0039】
ステップS15の処理を完了すると、状態判定部152は、再びステップS12から処理を行う。
<4−2.実行制御処理>
図7は、携帯電話機100の実行制御処理を示すフローチャートである。
同図に示す実行制御処理は、携帯電話機100の電源がONになると開始され、特に図示していないが、電源がOFFになると終了される。
【0040】
まず、制御部150の接触検出部151は、コントローラ113から座標値を受領したか否かに基づいて、タッチパッド112での接触を検出したかを判定する(ステップS21)。即ち、接触検出部151は、コントローラ113から座標値を受領しなかった場合には、タッチパッド112での接触を検出しなかったと判定し(ステップS21:NO)、コントローラ113から座標値を受領した場合には、タッチパッド112での接触を検出したと判定する(ステップS21:YES)。
【0041】
接触検出部151が、タッチパッド112での接触を検出したと判定した場合に(ステップS21:YES)、実行制御部154は、接触検出部151がコントローラ113から受領した座標値が示すタッチパッド112での接触位置に対応する処理(例えば、接触位置に表示されているアイコン等に割り当てられた処理)を実行する(ステップS22)。なお、表示制御部155は、この実行制御部154の処理結果に画面を、各LCD(111、121)に表示させる。
【0042】
ステップS22の処理を完了し、又はタッチパッド112での接触を検出しなかったと判定した場合に(ステップS21:NO)、接触検出部151は、コントローラ123から座標値を受領したか否かに基づいて、タッチパッド122での接触を検出したかを判定する(ステップS23)。即ち、接触検出部151は、コントローラ123から座標値を受領しなかった場合には、タッチパッド122での接触を検出しなかったと判定し(ステップS23:NO)、コントローラ123から座標値を受領した場合には、タッチパッド122での接触を検出したと判定する(ステップS23:YES)。
【0043】
接触検出部151が、タッチパッド122での接触を検出しなかったと判定した場合に(ステップS23:NO)、制御部150は再びステップS21から処理を行う。
また、接触検出部151が、タッチパッド122での接触を検出したと判定した場合に(ステップS23:YES)、位置判定部153は、各加速度センサから受領した信号に基づいて、第1加速度センサ130が測定した加速度A1の向きと第2加速度センサ130が測定した加速度のA2の向きとのなす角θを式1に従って算出する(ステップS24)。なお、上述した電力供給制御処理において、携帯電話機100が閉状態である場合、各加速度センサへの電力供給が行われないため(図6のステップS14:YES、S15)、位置判定部153は、各加速度センサから信号を受領しない場合もある。第1筺体1により第2ディスプレイ120の画面全体が覆われる閉状態においてタッチパッド122が接触を検出した場合、その接触はユーザ操作によるものではないと考えられる。従って、各加速度センサから信号を受領しない場合に、制御部150は、特に何も処理せずに、再びステップS21から処理を行うものとする。
【0044】
また、位置判定部153は、算出したθが、第1閾値情報10が示す第1閾値(この例では、「0.1[rad]」)以上、第2閾値情報11が示す第2閾値(この例では、「0.5[rad]」)未満であるかを判定する(ステップS25、S26)。
算出したθが第1閾値以上、かつ、第2閾値未満である場合(ステップS25:YES、S26:YES)、位置判定部153は、携帯電話機100が近接状態であると判定できる。従って、実行制御部154は、ステップS23で接触検出部151がコントローラ123から受領した座標値が示すタッチパッド122での接触位置に対応する処理を実行せずに、制御部150は、再びステップS21から処理を行う。
【0045】
一方、算出したθが第1閾値未満である場合には(ステップS25:NO)、位置判定部153は、携帯電話機100が全開状態又は閉状態であると判定でき、また、算出したθが第2閾値以上である場合(ステップS25:YES、S26:NO)、位置判定部153は、携帯電話機がチルト状態であると判定できる。従って、実行制御部154は、ステップS23で接触検出部151がコントローラ123から受領した座標値が示すタッチパッド122での接触位置に対応する処理を実行する(ステップS27)。なお、表示制御部155は、この実行制御部154の処理結果に画面を、各LCD(111、121)に表示させる。
【0046】
ステップS27の処理が完了すると、制御部150は再びステップS21から処理を行う。
≪補足≫
以上、本発明に係る携帯端末を、実施の形態に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態で示した通りの携帯電話機に限られないことは勿論である。
【0047】
(1)実施の形態に係る携帯電話機100は、各筺体(1、2)それぞれにタッチパッド付きのディスプレイ(110、120)が配置されたスライド式の端末であるものとして説明したが、片方の筺体のみにタッチパッド付きのディスプレイを配置した端末であってもよいし、折りたたみ式等、他の外観を有する端末であってもよい。
図8(a)は、変形例1に係る携帯電話機200の開状態の外観を示す斜視図であり、図8(b)は、変形例1に係る携帯電話機200の閉状態の外観を示す斜視図である。
【0048】
携帯電話機200は、図8(a)及び(b)に示されるように、第1筺体201と第2筺体202とが相対的に移動可能な折り畳み式の端末である。
第1筺体201には、マイク205が備えられ、磁石206及び第1加速度センサ230が内蔵されている。また、第2筺体202には、レシーバ204及びタッチパッド付きのディスプレイ220が備えられ、磁気センサ207及び第2加速度センサ231が内蔵されている。
【0049】
携帯電話機200は、第1加速度センサ230が測定した加速度の向きと、第2加速度センサ231が測定した加速度の向きとがなす角θに基づいて、自機の状態が近接状態であると判定する場合に、ディスプレイ220のタッチパッドからの入力に基づく処理を実行しないように制御する。なお、この近接状態は、第2筺体202のディスプレイ220のタッチパッドが接触を検出する程に、第1筺体201が、第2筺体202のディスプレイ220の表面に近接した状態である。
【0050】
また、実施の形態に係る携帯電話機100とは異なる構造のスライド式の端末であってもよい。
図9(a)は、変形例2に係る携帯電話機300の開状態の外観を示す斜視図であり、図9(b)は、変形例2に係る携帯電話機300の閉状態の外観を示す斜視図である。
携帯電話機300は、図9(a)及び(b)に示されるように、第1筺体301と第2筺体302とが相対的に移動可能なスライド式の端末である。
【0051】
第1筺体301には、レシーバ304が備えられ、磁石306及び第1加速度センサ330が内蔵されている。また、第2筺体302には、マイク305及びタッチパッド付きのディスプレイ320が備えられ、磁気センサ307及び第2加速度センサ331が内蔵されている。
携帯電話機300は、第1加速度センサ330が測定した加速度の向きと、第2加速度センサ331が測定した加速度の向きとがなす角θに基づいて、自機の状態が近接状態であると判定する場合に、ディスプレイ320のタッチパッドからの入力に基づく処理を実行しないように制御する。なお、この近接状態は、第2筺体302のディスプレイ320のタッチパッドが接触を検出する程に、第1筺体301が、第2筺体302のディスプレイ320の表面に近接した状態である。
【0052】
また、上記実施の形態では、図2(a)に示されるような近接状態の検出を、加速度A1と加速度A2とのなす角度により判定するものとした(図7、ステップS25、S26等)。しかしながら、図2(a)に示されるような近接状態の検出を、加速度A1と加速度A2との、加速度の大きさの差分が所定値以上の場合に近接していると判定してもよい。この変形例3に係る携帯電話機について、図10から図13を参照して説明する。なお、変形例3に係る携帯電話機において、以下に特に説明する部分以外の構造、動作については、上述の図1から図9を用いて説明した実施の形態に係る携帯電話機100と同様であるため、その説明を省略する。
【0053】
この変形例3に係る携帯電話機では、制御部150は、第1筺体1と第2筺体2とが開状態であるか否かを判定し(図10のステップS31)、開状態でなければ(ステップS31:NO)、待機状態となり、開状態であれば(ステップS31:YES)、ステップS32に移行する。
ステップS32では、制御部150は、第1加速度センサ130と第2加速度センサ131のX軸方向の加速度の差分Δの絶対値が所定の閾値より大きいか否かを判定する。ここで、この所定の閾値について図11から図13を参照して説明する。なお、上述の図1から図9を用いて説明した実施の形態に係る携帯電話機100では、図1に示されるように、第1筺体1から第2筺体2に向かう方向をX軸の正の方向としたが、図11のグラフを見易くするため、この変形例3に係る携帯電話機では、第2筺体2から第1筺体1に向かう方向をX軸の正の方向として説明する。また、図11のグラフ中の1〜33の数字は、図12及び図13における各状態STを示す数字とそれぞれ対応する。
【0054】
この変形例3に係る携帯電話機では、第1加速度センサ130が測定するX軸方向の加速度は、図11、図12に示されるように、開状態から閉状態に変形する際に(図13(a)〜(e))、概ね状態ST10(図12)の際にピークとなる。なお、第2加速度センサ131のX軸方向の加速度は、0であるとする。よって、この変形例3に係る携帯電話機では、図12の状態ST10(図13(b)〜図13(c))のときに、Δ=−13.2073となる。よって、所定の閾値としては、例えば10.0を設定することができる。なお、この10.0という数値は適宜増減変更することは可能である。
【0055】
そして、制御部150は、第1加速度センサ130と第2加速度センサ131のX軸方向の加速度の差分Δの絶対値が所定の閾値より大きくないと判定した場合(ステップS32:NO)、ステップS31に移行し、第1加速度センサ130と第2加速度センサ131のX軸方向の加速度の差分Δの絶対値が所定の閾値より大きいと判定した場合(ステップS32:YES)、ステップS33に移行する。
【0056】
なお、このステップS32における制御部150は、接触検出部がタッチパッドにおける接触を検出する特定の位置関係となるか否かを、各加速度センサで測定された加速度の大きさの差分に基づいて判定する判定部として機能する。
ステップS33では、タッチパッド122での接触位置に対する処理を実行しない処理を行い、その後、ステップS31に移行する。
【0057】
以上により、変形例3に係る携帯電話機では、第1加速度センサ130と第2加速度センサ131のX軸方向の加速度の差分Δの絶対値が所定の閾値より大きいと判定した場合に、タッチパッド122での接触位置での処理を実行しないため、携帯電話機を開状態から閉状態にした場合の誤動作を防止することができる。
(2)実施の形態に係る携帯電話機100は、図1(a)に示すように、各加速度センサの3軸の向きを一致させて配置する例を説明した。しかしながら、各加速度センサを各筺体にそれぞれ配置する限り、3軸の向きを一致させないように配置してもよい。但し、その場合、全開状態、閉状態及びチルト状態における第1加速度センサ130が測定した加速度の向きと第2加速度センサ131が測定した加速度の向きとがなす角θは、実施の形態で説明したものとは異なる値となる。従って、3軸の向きを一致させないように各加速度センサを配置した場合においてもθに基づいて近接状態であるか否かを判定できるようにするために、この各加速度センサの配置での全開状態、閉状態及びチルト状態におけるθの値に基づいて閾値を適切に設定する必要がある。
【0058】
(3)実施の形態では、第1閾値情報10が示す第1閾値は、携帯電話機100が全開状態又は閉状態であるか否かを判定するための閾値であり、第2閾値情報11が示す第2閾値は、携帯電話機100がチルト状態であるか否かを判定するための閾値であると説明した。しかしながら、第1閾値情報10が、携帯電話機100が近接状態であると判定するための下限閾値を示し、第2閾値情報11が、携帯電話機100が近接状態であると判定するための上限閾値を示すものと考えてもよい。なお、このように考えた場合、近接状態におけるθは、0.2[rad]であったため、誤差等を考慮し、一例として、第1閾値情報10が示す下限閾値は、0.2−α(αは、例えば0.05)であり、第2閾値情報10が示す上限閾値は0.2+αであるものとしてもよい。
【0059】
このように、各閾値情報が示す値は、携帯電話機100が近接状態であるか否かを判定できるように、適宜変更することができる。
(4)実施の形態では、閉状態から開状態及び開状態から閉状態へのいずれの変化時においても実行制御処理を行うものとして説明したが、一方への変化時にのみ、例えは、開状態から閉状態へと変化させる場合にのみ実行制御処理を行うようにしてもよい。
【0060】
一般的に、ユーザは、第2ディスプレイ120のタッチパッド122への入力が必要ない場合には、携帯電話機100を開状態から閉状態へと変化させ、タッチパッド122への入力が必要になったときに、携帯電話機100を閉状態から開状態へと変化させると考えられる。
従って、開状態から閉状態へと変化する場合に検出された接触に基づく処理の実行を抑制し、閉状態から開状態へと変化する場合に検出された接触に基づく処理をそのまま実行することで、実行制御処理の実行を効率的に行うことができる。
【0061】
この際に、バッテリ8から各加速度センサ(130、131)への電力供給を、状態判定部152が開状態を検出してから一定時間(例えば5秒)を経過した際に開始するように、図6に示す電力供給制御処理を変形してもよい。具体的には、ステップS11又はS12で開状態である場合(ステップS11:開状態、S12:YES)の場合に、一定時間を計時した後に、ステップS13の処理を行うようにすればよい。
【0062】
これにより、閉状態から開状態へと変化した直後においては、まだ各加速度センサへの電力供給が開始されていないので、検出された接触に基づく処理の実行は抑制されず、かつ各加速度センサへの電力供給開始タイミングが、実施の形態の場合よりも遅くなるため、更に省電力を図ることができる。
なお、この変形及び実施の形態では、省電力を図るために、閉状態へと変化した場合には、各加速度センサへの電力供給を停止させるものとして説明した。しかしながら、この各加速度センサへの電力供給の停止処理に代えて、又はこの停止処理と共に、閉状態では、第1筺体1により画面全体が覆われる第2ディスプレイ120と、この第2ディスプレイ120用のコントローラ123とへの電力供給を停止するようにしてもよい。
【0063】
(5)実施の形態では、閉状態においては、バッテリ8からいずれの加速度センサ(130、131)への電力供給も行わないものとして説明した。しかしながら、閉状態でも画面全体が露出する第1ディスプレイ110が配置されている第1筺体1に内蔵された第1加速度センサ130については、常時電力供給を行うようにしてもよい。これにより、例えば、第1ディスプレイ110に表示させる画像の向きを第1筺体1の向きにより変更して表示する表示制御処理を行うように、携帯電話機100を変形した場合において、閉状態であるときにも、この表示制御処理を行うことができる。
【0064】
(6)実施の形態に係る携帯電話機100の磁気センサ7は、磁石6が発生する磁力を検出しているかを示す信号を出力するものとして説明した。しかしながら、磁気センサ7を、検出している磁力の強さを示す信号を出力するように変形し、携帯電話機100の状態判定部152を、磁気センサ7からの信号が示す磁力の大きさにより、自機が閉状態であるか否かを判定するよう変形してもよい。
【0065】
また、実施の形態に係る携帯電話機100は、自機が閉状態であるか否かの判定を、磁気センサ7を用いて行うものとして説明したが、磁気センサ以外のセンサを用いて行ってもよい。例えば、第2筺体2の磁気センサ7が内蔵されている位置に対応する第2筺体2の主表面上の位置に光センサを取り付け、この光センサが検出した光の強さにより自機が閉状態であるか否かを判定することが考えられる。即ち、光センサが検出した光の強さが閾値Th未満である場合には、閉状態であると判定し、閾値Th以上である場合には、閉状態でない(つまり開状態)と判定することができる。
【0066】
また、第1筺体1と第2筺体2とが閉じた状態になったことを検知するスイッチ機構を設けることにより閉状態を検知してもよい。
(7)実施の形態では、各LCD(111、121)の形状は、略矩形状であるとして説明したが、例えば、円形状、その他多角形状であってもよく、また、各LCDの画素数は同一であっても、異なってもよい。
【0067】
各ディスプレイ(110、120)は、各LCD(111、121)を含むものとして説明したが、有機EL(Electro−Luminescence)等を含むようにしてもよい。
(8)実施の形態に係る各タッチパッドは、静電容量方式のタッチセンサを含んで構成されるものとして説明したが、この静電容量方式のタッチセンサとして、多数の電極パターンをプラスチックやガラス等の基板上に形成し、接触点の近傍の複数の電極パターンによる電流量の比率を計測することで判別する投影型や、導電膜と基板とを有して構成され、基板の隅に電極を設け、導電膜による均一な電界を形成し、指等の接触による隅の端子の電流量の比率を計測して接触位置を判別する表面型等、適宜なものを用いることができる。
【0068】
また、各タッチパッドの検出方式は、静電容量方式に限らず、電子ペン等の専用のペンを用いる電磁誘導方式や、2層構造の透明電極からなるマトリクススイッチ方式や、振動波の跳ね返りを圧電素子の電圧変化によって検出し、指等の接触を検知する表面弾性波方式や、遮光された赤外線により指等が接触した位置を検出する赤外線方式や、画像に光センサを組み込んで接触位置を検知する光センサ方式等、適宜なものを用いてもよい。
【0069】
(9)実施の形態において説明した各構成要素のうち、全部又は一部を1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよいし、その他どのような形態で実現してもよい。
また、実施の形態において説明した各構成要素は、携帯電話機100が有するプロセッサと協働することにより、その機能を実現する。
【0070】
(10)実施の形態において説明した携帯電話機100の電力供給制御処理及び実行制御処理(図6及び7参照)をプロセッサに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるプロセッサで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがそのプログラムを実行することにより実施の形態で示した携帯電話機100の各機能が実現される。
【0071】
(11)実施の形態に係る携帯電話機100に、上記(1)〜(10)の一部又は全部の変形を組み合わせて適用してもよい。
(12)以下、更に本発明の一実施形態に係る携帯端末の構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係る携帯端末は、第1筺体とタッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体とからなり、両筺体の相対位置を変更自在に構成した携帯端末であって、前記第1筺体に配置された第1加速度センサと、前記第2筺体に配置された第2加速度センサと、前記タッチパッドにおける接触を検出する接触検出部と、両筺体の相対位置が、前記接触検出部が前記タッチパッドにおける接触を検出する特定の位置関係にあるかを、各加速度センサで測定された加速度に基づいて判定する位置判定部と、前記位置判定部が前記特定の位置関係にないと判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行し、前記位置判定部が前記特定の位置関係にあると判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行しない実行制御部とを備える。
【0072】
この携帯端末は、ユーザが各筺体の相対位置を変更する変形操作を行ったことにより、各筺体の相対位置が、タッチパッドにおいて接触が検出されてしまう特定の位置関係にあることを、各加速度センサで測定された加速度に基づいて特定し、検出されたタッチパッドへの接触に基づく処理を実行しないよう制御する。
従って、この携帯端末は、変形操作中に両筺体の相対位置が特定の位置関係にあることで、タッチパッドにおいて検出されてしまう接触に基づく処理の実行を抑制しつつも、ユーザの操作性をある程度維持することができる。
【0073】
(b)また、前記位置判定部は、各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさに基づいて、両筺体の相対位置が、前記接触検出部が前記タッチパッドにおける接触を検出する特定の位置関係にあるかを判定することとしてもよい。
この携帯端末は、ユーザが各筺体の相対位置を変更する変形操作を行ったことにより、各筺体の相対位置が、タッチパッドにおいて接触が検出されてしまう特定の位置関係にあることを、各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさに基づいて特定し、検出されたタッチパッドへの接触に基づく処理を実行しないよう制御する。
【0074】
従って、この携帯端末は、変形操作中に両筺体の相対位置が特定の位置関係にあることで、タッチパッドにおいて検出されてしまう接触に基づく処理の実行を抑制しつつも、ユーザの操作性をある程度維持することができる。
(c)また、前記タッチパッドは、静電容量方式のタッチパッドであり、前記位置判定部は、各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさが、前記接触検出部が前記タッチパッドにおける接触を検出する程度に、前記第1筺体を前記タッチパッドに近接させた状態において各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさと同程度である場合には、前記特定の位置関係にあると判定することとしてもよい。
【0075】
ユーザが各筺体の変形操作を行った場合において、例えば、第2筺体が第1筺体のタッチパッドの表面に近接したときに、第2筺体内部にある金属部品等の影響により、静電容量方式のタッチパッドが接触を検出してしまうことが考えられる。
この携帯端末は、このように、静電容量方式のタッチパッドが接触を検出してしまう程に第2筺体がこのタッチパッドに近接した状態を、各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさに基づいて特定し、検出されたタッチパッドへの接触に基づく処理を実行しないように制御する。
【0076】
従って、この携帯端末は、変形操作中に、両筺体の相対位置が、静電容量方式のタッチパッドが接触を検出してしまう程に第2筺体がこのタッチパッドに近接した場合にも、検出されたタッチパッドへの接触に基づく処理の実行を抑制しすることができる。
(d)また、前記第1筺体には、タッチパッド付きのディスプレイが配置されており、前記携帯端末は、前記第1筺体のディスプレイの画面全体が露出し、かつ当該第1筺体により前記第2筺体のディスプレイの画面全体が覆われる閉状態と、前記第2筺体のディスプレイが配置された表面と前記第1筺体のディスプレイが配置された表面とが略同一平面上に揃う全開状態との間で両筺体の相対位置が変更自在であり、前記第1加速度センサ及び前記第2加速度センサは、前記閉状態及び前記全開状態において、各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさが略ゼロになるように各筺体に配置されており、前記位置判定部は、各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさが、ゼロより大きい一定値以上である場合に、前記特定の位置関係にあると判定し、当該一定値未満である場合に、前記特定の位置関係にはないと判定することとしてもよい。
【0077】
この携帯端末は、ユーザがこの携帯端末を使用する際の通常の使用状態であると考えられる閉状態及び全開状態において検出されたタッチパッドへの接触に基づく処理はそのまま実行し、この閉状態と全開状態との間の状態での変形状態において検出されたタッチパッドへの接触に基づく処理の実行は抑制する。
従って、この携帯端末は、ユーザの操作性への影響を抑えつつも、変形操作中にタッチパッドにおいて検出されてしまう接触に基づく処理の実行を抑制することができる。
【0078】
(e)また、前記位置判定部は、各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさが、前記一定値以上である場合であっても、当該角の大きさが、前記第1筺体のディスプレイが配置された表面と前記第2筺体のディスプレイが配置された表面とがなす角を一定の角度にした状態において各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさと同程度である場合に限り、前記特定の位置関係ないと判定することとしてもよい。
【0079】
この携帯端末は、ユーザが、この携帯端末を使用する際の通常の使用状態であると考えられる、前記第1筺体のディスプレイが配置された表面と前記第2筺体のディスプレイが配置された表面とが一定の角度にした状態において検出されたタッチパッドへの接触に基づく処理はそのまま実行する。
従って、この携帯端末は、通常の使用状態において検出されたタッチパッドへの接触の基づく処理は実行することができるので、ユーザの操作性への影響を低減することができる。
【0080】
(f)また、前記第1筺体により前記第2筺体のディスプレイの画面全体が覆われる閉状態であるか否かを判定する状態判定部と、前記状態判定部が前記閉状態であると判定した場合には、前記第1加速度センサ及び前記第2加速度センサへの電力供給を行わず、前記状態判定部が前記閉状態でないと判定した場合には、前記第1加速度センサ及び前記第2加速度センサへの電力供給を行う電力制御部とを備えることとしてもよい。
【0081】
この携帯端末は、閉状態において各加速度センサへの電力供給を行わないので、省電力を図ることができる。
(g)本発明の一実施形態に係る携帯端末は、第1筺体とタッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体とからなり、両筺体の相対位置を変更自在に構成した携帯端末であって、前記第1筺体に配置された第1加速度センサと、前記第2筺体に配置された第2加速度センサと、前記タッチパッドにおける接触を検出する接触検出部と、両筺体の相対位置が、前記接触検出部が前記タッチパッドにおける接触を検出する特定の位置関係となるか否かを、各加速度センサで測定された加速度の大きさの差分に基づいて判定する判定部と、前記判定部が前記特定の位置関係にないと判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行し、前記位置判定部が前記特定の位置関係にあると判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行しない実行制御部とを備える。
【0082】
従って、この携帯端末は、変形操作中に両筺体の相対位置が特定の位置関係となることで、タッチパッドにおいて検出されてしまう接触に基づく処理の実行を抑制しつつも、ユーザの操作性をある程度維持することができる。
(13)本発明に係る携帯端末の第1筺体及び第2筺体それぞれに配置されたタッチパッド付きのディスプレイは、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100の第1筺体1に配置された第1ディスプレイ110及び第2筺体2に配置された第2ディスプレイ120に相当する。また、本発明に係る携帯端末の第1加速度センサ及び第2加速度センサは、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100の第1加速度センサ130及び第2加速度センサ131に相当する。また、本発明に係る携帯端末の接触検出部、状態判定部、位置判定部及び実行制御部は、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100の接触検出部151、状態判定部152、位置判定部153及び実行制御部154に相当する。また、本発明に係る携帯端末の電力制御部は、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100の電力制御部160に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る携帯端末は、ユーザが、タッチパッド付きのディスプレイにおける当該タッチパッドを用いた操作を行う場合に利用される。
【符号の説明】
【0084】
1 第1筺体
2 第2筺体
3 アーム
4 レシーバ
5 マイク
6 磁石
7 磁気センサ
100 携帯電話機
110 第1ディスプレイ
111、121 LCD
112、122 タッチパッド
113、123 コントローラ
120 第2ディスプレイ
130 第1加速度センサ
131 第2加速度センサ
140 記憶部
150 制御部
151 接触検出部
152 状態判定部
153 位置判定部
154 実行制御部
155 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筺体とタッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体とからなり、両筺体の相対位置を変更自在に構成した携帯端末であって、
前記第1筺体に配置された第1加速度センサと、
前記第2筺体に配置された第2加速度センサと、
前記タッチパッドにおける接触を検出する接触検出部と、
両筺体の相対位置が、前記接触検出部が前記タッチパッドにおける接触を検出する特定の位置関係にあるかを、各加速度センサで測定された加速度に基づいて判定する位置判定部と、
前記位置判定部が前記特定の位置関係にないと判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行し、前記位置判定部が前記特定の位置関係にあると判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行しない実行制御部とを備える
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記位置判定部は、
各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさに基づいて、両筺体の相対位置が、前記接触検出部が前記タッチパッドにおける接触を検出する特定の位置関係にあるかを判定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記タッチパッドは、静電容量方式のタッチパッドであり、
前記位置判定部は、
各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさが、前記接触検出部が前記タッチパッドにおける接触を検出する程度に、前記第1筺体を前記タッチパッドに近接させた状態において各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさと同程度である場合には、前記特定の位置関係にあると判定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
前記第1筺体には、タッチパッド付きのディスプレイが配置されており、
前記携帯端末は、前記第1筺体のディスプレイの画面全体が露出し、かつ当該第1筺体により前記第2筺体のディスプレイの画面全体が覆われる閉状態と、前記第2筺体のディスプレイが配置された表面と前記第1筺体のディスプレイが配置された表面とが略同一平面上に揃う全開状態との間で両筺体の相対位置が変更自在であり、
前記第1加速度センサ及び前記第2加速度センサは、前記閉状態及び前記全開状態において、各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさが略ゼロになるように各筺体に配置されており、
前記位置判定部は、各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさが、ゼロより大きい一定値以上である場合に、前記特定の位置関係にあると判定し、当該一定値未満である場合に、前記特定の位置関係にはないと判定する
ことを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記位置判定部は、
各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさが、前記一定値以上である場合であっても、当該角の大きさが、前記第1筺体のディスプレイが配置された表面と前記第2筺体のディスプレイが配置された表面とがなす角を一定の角度にした状態において各加速度センサで測定された加速度の向きがなす角の大きさと同程度である場合に限り、前記特定の位置関係ないと判定する
ことを特徴とする請求項4記載の携帯端末。
【請求項6】
前記第1筺体により前記第2筺体のディスプレイの画面全体が覆われる閉状態であるか否かを判定する状態判定部と、
前記状態判定部が前記閉状態であると判定した場合には、前記第1加速度センサ及び前記第2加速度センサへの電力供給を行わず、前記状態判定部が前記閉状態でないと判定した場合には、前記第1加速度センサ及び前記第2加速度センサへの電力供給を行う電力制御部とを備える
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項7】
第1筺体とタッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体とからなり、両筺体の相対位置を変更自在に構成した携帯端末であって、
前記第1筺体に配置された第1加速度センサと、
前記第2筺体に配置された第2加速度センサと、
前記タッチパッドにおける接触を検出する接触検出部と、
両筺体の相対位置が、前記接触検出部が前記タッチパッドにおける接触を検出する特定の位置関係となるか否かを、各加速度センサで測定された加速度の大きさの差分に基づいて判定する判定部と、
前記判定部が前記特定の位置関係にないと判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行し、前記位置判定部が前記特定の位置関係にあると判定した場合には、前記接触検出部により検出された接触に基づく処理を実行しない実行制御部とを備える
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
第1筺体とタッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体とからなり、両筺体の相対位置を変更自在に構成され、前記第1筺体に配置された第1加速度センサ及び前記第2筺体に配置された第2加速度センサを備える携帯端末における実行制御方法であって、
前記タッチパッドにおける接触を検出する接触検出ステップと、
両筺体の相対位置が、前記接触検出ステップで前記タッチパッドにおける接触が検出される特定の位置関係にあるかを、各加速度センサで測定された加速度に基づいて判定する位置判定ステップと、
前記位置判定ステップで前記特定の位置関係にないと判定された場合には、前記接触検出ステップで検出された接触に基づく処理を実行し、前記位置判定ステップで前記特定の位置関係にあると判定された場合には、前記接触検出ステップで検出された接触に基づく処理を実行しない実行制御ステップとを含む
ことを特徴とする実行制御方法。
【請求項9】
第1筺体とタッチパッド付きのディスプレイが配置された第2筺体とからなり、両筺体の相対位置を変更自在に構成され、前記第1筺体に配置された第1加速度センサ及び前記第2筺体に配置された第2加速度センサを備える携帯端末におけるプロセッサに実行制御処理を行わせるためのプログラムであって、
前記実行制御処理は、
前記タッチパッドにおける接触を検出する接触検出ステップと、
両筺体の相対位置が、前記接触検出ステップで前記タッチパッドにおける接触が検出される特定の位置関係にあるかを、各加速度センサで測定された加速度に基づいて判定する位置判定ステップと、
前記位置判定ステップで前記特定の位置関係にないと判定された場合には、前記接触検出ステップで検出された接触に基づく処理を実行し、前記位置判定ステップで前記特定の位置関係にあると判定された場合には、前記接触検出ステップで検出された接触に基づく処理を実行しない実行制御ステップとを含む
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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