説明

携帯電子機器

【課題】直交する開閉軸及び回動軸を有する2軸ヒンジ機構を用いた場合における筐体の薄型化が可能な携帯電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話機1は、略平板形状の第1筐体3と、第1筐体3に対してヒンジ部20を介して接続される第2筐体2とを備える。ヒンジ部は、第2筐体2に対して第1筐体3を開状態と閉状態とに遷移する第1回転軸と、第1回転軸に直交する軸にて第1筐体3を第2筐体2に対して回転する第2回転軸とを含んで構成される。2軸ヒンジ機構20には、第1回転軸を軸として回転するように第2筐体が固定されており、第2回転軸の軸方向に直交し、第2回転軸を軸として回転する平板部21aが設けられる。平板部21aが、第1筐体3を構成する部品に対して第1筐体3の厚み方向に対して直交する方向へのネジ28にて共締めされることにより、第2回転軸を軸として回転可能に第1筐体3とヒンジ部が固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電子機器としての携帯電話機において、第2筐体及び第1筐体からなる複数の筐体を開閉可能及び回転可能に連結するため、ヒンジ部として2軸ヒンジ機構を用いている。この2軸ヒンジ機構は、開閉用の第1軸ヒンジと、回転用の第2軸ヒンジとを備え、第1軸ヒンジに第2筐体が固定され、第2軸ヒンジに第1筐体が固定される。このような従来の構造として、次のような特許文献が公開されている。
特許文献1〜3には、第2軸ヒンジの回転軸と直交する方向のネジ止め機構が記載されており、特許文献4には、第2軸の回転軸と平行な方向へのネジ止め機構が記載されている。
【特許文献1】特開2004−218688号公報
【特許文献2】特開2005−311004号公報
【特許文献3】特開2006−10025号公報
【特許文献4】特開2003−174495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、いずれの特許文献においても、2つの筐体を連結する2軸ヒンジ機構の内の一方の軸ヒンジ(第2軸ヒンジ)が第2筐体及び第1筐体のセット厚み方向(筐体の重ね合わせ方向)にネジ止めされるため、筐体のセット厚み方向が増加しており、電子機器の薄型化の支障となっている。また、2軸ヒンジ機構をマグネシウム等のダイキャストによりモジュール化して形成しているが、ダイキャストによるモジュール構成では、強度を確保するためには薄くすることに限界がある。このため、電子機器の薄型化及び小型化に制約が科せられる問題がある。
【0004】
本発明は、第1筐体と第2筐体とをヒンジ部を介して開閉可能及び回転可能に連結する2軸ヒンジ機構であって、充分な強度を確保しつつ閉状態で両筐体のセット厚み方向の薄型化及び小型化を可能とする携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、略平板形状の第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジ部を介して接続される第2筐体とを備え、前記ヒンジ部は、前記第2筐体に対して前記第1筐体を開状態と閉状態とに遷移する第1回転軸と、前記第1回転軸に直交する軸にて前記第1筐体を前記第2筐体に対して回転する第2回転軸とを含んで構成されており、前記第1回転軸を軸として回転するように前記第2筐体が固定されており、前記第2回転軸の軸方向に直交し、前記第2回転軸を軸として回転する平板部が設けられ、前記平板部が、前記第1筐体を構成する部品に対して前記第1筐体の厚み方向に対して直交する方向へのネジにて共締めされることにより、前記第2回転軸を軸として回転可能に前記第1筐体と前記ヒンジ部が固定されていることを特徴とする携帯電子機器に関する。
【0006】
また、前記平板部は、第2回転軸を中心として点対称な位置にそれぞれネジ孔を有することを特徴とすることが好ましい。
【0007】
また、前記平板部は、前記第1筐体内でその両端部が第2回転軸と平行な方向に延在していることを特徴とすることが好ましい。
【0008】
また、前記平板部は、前記第2回転軸の軸方向を厚さ方向とする1枚の板金を折り曲げ加工して得られる部品であることを特徴とすることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、略平板形状の第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジ部を介して接続される第2筐体とを備え、前記ヒンジ部は、前記第2筐体に対して前記第1筐体を開状態と閉状態とに遷移する第1回転軸と、前記第1回転軸に直交する軸にて前記第1筐体を前記第2筐体に対して回転する第2回転軸とを含んで構成されており、前記第1回転軸を軸として回転するように前記第2筐体が固定されており、前記第2回転軸の軸方向に直交し、前記第2回転軸を軸として回転する固定部が設けられ、前記固定部は前記第2回転軸の軸線方向を中心とする対称且つ第1筐体の内部部品の少なくとも一部を囲う形状に形成されており、前記第1筐体に前記固定部が固定されることにより、前記第2回転軸を軸として回転可能に前記第1筐体と前記ヒンジ部が固定されることを特徴とする携帯電子機器に関する。
【0010】
また、前記固定部は、前記第2回転軸を中心とした点対称な位置にそれぞれネジ孔を有し、第1筐体の構成部品にネジ止めされることを特徴とすることが好ましい。
【0011】
また、前記固定部は、前記第1筐体内でその両端部が第2回転軸と平行な方向に延在していることを特徴とすることが好ましい。
【0012】
また、前記固定部は、第2回転軸の軸方向を厚さ方向とする1枚の板金を折り曲げ加工して得られる部品であることを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1筐体と第2筐体とを開閉可能及び回転可能に連結する2軸ヒンジ機構であって、充分な強度を確保しつつ閉状態で両筐体のセット厚み方向の薄型化及び小型化を可能とする携帯電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下、携帯電子機器として携帯電話機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0015】
図1から図5により、携帯電子機器としての携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、携帯電子機器としての携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)における斜視図を示す。また、図2は、携帯電話機1の表示部側筐体3を、連結部4の回動軸Yを中心にして所定角度回動させている状態の斜視図を示す。図3は、図1の第1開状態で表示部側筐体3を回動させた状態の斜視図を示す。図4は表示部側筐体3を操作側筐体2に重ね合わせて携帯電話機1を閉じた状態の斜視図、図5は閉じた状態の正面図である。
【0016】
携帯電話機1は、第2筐体としての操作部側筐体2と、第1筐体としての表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは2軸ヒンジ機構を備える連結部4を介して連結されており、携帯電話機1を開状態及び閉状態に変形可能とすると共に、開状態及び閉状態それぞれにおいて表示部側筐体3を表状態と裏状態とに切り替えることができる。
【0017】
ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。そして、開状態における表状態とは、後述する表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向くように配置された状態(図1参照)であり、開状態における裏状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが反対側を向くように配置された状態(図3参照)をいう。また、閉状態における表状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11に対向するように配置された状態(図4及び図5参照)であり、閉状態における裏状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11と対向せずに表出した状態である。
【0018】
第2筐体としての操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bとにより構成される。操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部12とがそれぞれ露出するように構成される。ここで、操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。また、音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0019】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0020】
第1筐体としての表示部側筐体3は、外面がフロントケース3aとリアケース3bにより構成され、全体が略平板形状となっている。表示部側筐体3におけるフロントケース3aには、各種情報を表示するための所定形状のディスプレイ(第1のディスプレイ)30と、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31とが露出するように配置される。音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声出力部31は、携帯電話機1が開状態において他方の端部側に配置される。
【0021】
表示部側筐体3のリアケース3bには、各種情報を表示するためのサブディスプレイ(第2のディスプレイ)32が露出して配置される。ディスプレイ30及びサブディスプレイ32それぞれは、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。なお、これらは有機ELディスプレイでもよい。
【0022】
連結部4は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを第1回転軸としての開閉軸Xを中心にして任意の角度で開閉自在に連結すると共に、第2回転軸としての回動軸Yを中心に任意の角度で回動自在に連結する連結機構としての2軸ヒンジ機構20を備える。2軸ヒンジ機構20は、ヒンジケース6の内部に設けられる。ヒンジケース6は表示部側筐体3の下端部側に配置されるものであり、操作部側筐体2の上端部には、ヒンジケース6を挿入するための切り欠き部5が形成される。切り欠き部5の両側は、ショルダー部7となっており、ヒンジケース6はショルダー部7の間に挟まれるように差し込まれる。
【0023】
携帯電話機1は、上述したように操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4の2軸ヒンジ機構20により開閉及び回動可能に連結される。これにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、開閉軸Xを中心にして開閉させたり、回動軸Yを中心にして回動をさせたりすることで携帯電話機1を様々な状態に変形させることができる。
【0024】
例えば、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重なる状態である閉状態(第1閉状態)の携帯電話機1を、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれにおける開閉軸Xと反対側の端部が、互いに離間するよう開閉軸Xを中心にして開くように変形させることで、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重ならない開状態(第1開状態)にすることができる。
【0025】
逆に、開状態(第1開状態)の携帯電話機1を、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれの開閉軸Xと反対側の端部が、互いに近づくよう開閉軸Xを中心にして閉じるように変形させることで、閉状態(第1閉状態)にすることができる。
【0026】
また、開状態(第1開状態)において、図2に示すように、表示部側筐体3を回動軸Yを中心に回動させることができる。更には、表示部側筐体3を更に回動軸Yを中心に回転させることで、表示部側筐体3における表裏状態を切り替えることができる。具体的には、表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向く開状態(第1開状態)から、表示部側筐体3が回動軸Yを中心に180度回転されて表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群とが反対側を向く開状態(第2開状態)にすることができる。
【0027】
そして、第2開状態における表示部側筐体3を開閉軸Xを中心にして閉じるよう変形させることで、携帯電話機1を閉状態(第2閉状態)にすることができる。つまり、携帯電話機1は、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が、操作部側筐体2における操作キー群11に対向するよう配置された閉状態(第1閉状態)から、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が、操作部側筐体2に対向せずに表出した状態である閉状態(第2閉状態、ターンクローズ状態)に変形させることができる。
【0028】
図6から図10により2軸ヒンジ機構20の構造について説明する。図6は2軸ヒンジ機構20の分解斜視図、図7は2軸ヒンジ機構20の固定構造を示す斜視図、図8は図7の部分拡大斜視図、図9は2軸ヒンジ機構20の固定状態を示す斜視図、図10は2軸ヒンジ機構20の開閉軸Xの支持構造を示す斜視図である。
【0029】
図6に示すように、2軸ヒンジ機構20は平板部及び固定部としての連結アーム21と、L字形に屈曲されて連結アーム21を取り付ける連結ブラケット22と、連結ブラケット22に複数のネジ25によりネジ止めにより固定される連結筒23とを備えている。連結アーム21と連結ブラケット22とは短尺状の回動シャフト24により連結されており、連結アーム21は回動シャフト24を介して連結ブラケット22に対して回転可能となっている。また、回動シャフト24は連結ブラケット22に対して回転可能となっていると共に第2回転軸としての回動軸Y方向に伸びている。このことにより回動シャフト24は回動軸Yの構成部品となっている。このような構造では、連結ブラケット22に対して回動シャフト24が回転することにより、連結アーム21は回動軸Y(回動シャフト24)を中心として回動することができる。これにより、開状態における表示部側筐体3と操作部側筐体2との相対的な回転が可能となる。
【0030】
連結筒23は回動シャフト24の軸方向と直交する方向に伸びている。従って、連結筒23は第1回転軸としての開閉軸Xの軸方向に伸びるものである。連結筒23は固定片23aと、固定片23aの両端部に一体的に形成された筒片23bとを有している。固定片23aには連結ブラケット22がネジ止めされ、このネジ止めにより連結ブラケット22を支持する。連結筒23は、筒片23bが操作部側筐体2に連結されるものであり、この連結構造を図10に示す。
【0031】
図10に示すように、操作部側筐体2のフロントケース2aの上端部には、左右のショルダー部7が形成されていると共に、左右のショルダー部7の対向面に支持孔16が形成されている。符号17は軸モジュールである。軸モジュール17は円を平行カットした非円形等の外面を有しており、図9に示すように、連結筒23の一方の筒片23bに根元部分が挿入される。連結筒23はこの軸モジュール17を中心に相対回転可能となる。軸モジュール17の先端部分は、操作部側筐体2のフロントケース2a内に挿入されてフロントケース2aに固定される。これにより、操作部側筐体2は軸モジュール17側の一方の筒片23bをヒンジ軸として回転する。すなわち操作部側筐体2は連結筒23を中心に回転し、この回転によって筐体2,3の開閉が行われる。なお、軸モジュール17が挿入されない連結筒23の他方の筒片23bは、フロントケース2aの他方のショルダー部7に挿入されてフロントケース2aを支持する。
【0032】
以上の連結ブラケット22及び連結筒23は、ヒンジケース6の内部にセットされる。ヒンジケース6は、図6に示すように、共に半割状のヒンジフロントケース6aとヒンジリアケース6bとからなり、ネジ25によって組み付けた連結ブラケット22及び連結筒23をこれらの間に挿入してケース6a、6bを閉じることにより連結ブラケット22及び連結筒23の組付体を収納する。ヒンジケース6内へのセット状態においては、上記軸モジュール17の先端部分及び他方の筒片23bがヒンジケース6の両端面部分から軸方向(開閉軸X方向)に沿って外方に突出しており、この突出部分によって操作部側筐体2との連結が行われる。
【0033】
2軸ヒンジ機構20の連結アーム21は、固定部として機能するものであり、図6から図9に示すようにコ字形に形成されている。この連結アーム21は第2回転軸である回動軸Yと直交する方向に伸びる支持アーム部21aと、支持アーム部21aの両端部から略直角に屈曲された保持アーム部21bとによって構成されている。支持アーム部21aは、平板部となるものであり、その長さ方向の中央部分が回動シャフト24に固定されており、回動シャフト24が回転すると連結アーム21の全体が回動シャフト24と一体となって回転する。この回転は、支持アーム部21aが回動軸Yと直交する方向に伸びているため、回動軸Yの軸方向に回転するようになっている。
【0034】
図6から図8に示すように、連結アーム21の支持アーム部21aには、回動シャフト24を中心として点対称の位置にネジ孔27が形成されている。この実施形態において、ネジ孔27は回動シャフト24を中心として左右の対称位置に2カ所ずつ形成されている。それぞれのネジ孔27は、図7及び図8に示すように締結ネジ28が螺合し、これにより2軸ヒンジ機構20と表示部側筐体3との連結が行われる。このような点対称位置のネジ孔27による連結では、表示部側筐体3の固定力を左右で均等にすることができる。
【0035】
以上の連結アーム21は、1枚の板金を折り曲げ加工することにより形成される。すなわち、回動軸Yの軸方向を厚さ方向とする所定長さの棒状の1枚の板金を用い、この板金を折り曲げプレスすることにより、支持アーム部21aと支持アーム部21aからの両端部から回動軸Yに沿って伸びる保持アーム部21bとが形成される。このような加工では、1回の折り曲げ加工によって連結アーム21を成形できるため、連結アーム21の肉厚が薄い場合であっても、所定の強度を確保することができる。
【0036】
表示部側筐体3は筐体を構成する筐体片の一つとして図6から図9に示すように、支持フレーム33(フロントケース3a)を有している。支持フレーム33の一面(下面)には、表示部側筐体3の構成部品としてのディスプレイ30が嵌め込まれて固定される。また、他面(上面)にはサブディスプレイ32が取り付けられる。支持フレーム33は、全体が板金部材によって形成されており、表示部側筐体3における曲げ動作や捩り動作に対する剛性を確保すると共に、静電対策シールドとして機能する。本実施形態では板金部材を樹脂インサート成型することにより支持フレーム33が形成されている。樹脂のみで筐体を形成するものではなく、このような板金部材をインサート成形してあるため、表示部側筐体3を薄くしても所定の強度を保持することができる。係る支持フレーム33は、縦長の矩形状に形成されており、その長手方向の両側端部には、爪部33aが複数箇所に成形されており、爪部33aに囲われる領域内に基板サブディスプレイを収めた後に、リアケース3bを係合して筐体を構成するようになっている。2軸ヒンジ機構20は、この支持フレーム33における一方の短手側の端部(図6から図8において、下端部)に連結される。
【0037】
支持フレーム33における一方の短手側の端部には、連結壁部34が形成されている。連結壁部34は樹脂インサート成型された板金部材の所定箇所であって折り曲げ加工された板金部材の一部で、樹脂モールド層が形成されたものであり、支持フレーム33のフレーム面33bから一体的に立ち上がるように形成されている。連結壁部34は支持フレーム33の軸方向の中心線に対して左右対称位置に設けられるものであり、それぞれの連結壁部34は、第2回転軸である回動軸Yと直交する方向に伸びている。それぞれの連結壁部34には締結ネジ28が螺合するネジ孔34aが2カ所ずつ形成されている。ネジ孔34aは連結壁部34の厚さ方向に貫通しており、その貫通端がディスプレイ30を固定するホルダ(図示省略)に対応している。ホルダには、締結ネジ28が螺合するネジ孔が形成されており、締結ネジ28を2軸ヒンジ機構20の支持アーム部21a、支持フレーム33の連結壁部34にねじ込むことにより締結ネジ28はホルダのネジ孔に螺合する。これにより、ディスプレイ30を支持フレーム33に固定することができる。
【0038】
支持フレーム33における内方側には、板金部材のプレス加工により嵌合溝35が形成される(図6参照)。嵌合溝35は、連結壁部34の長さ方向に沿って設けられるものであり、2軸ヒンジ機構20における連結アーム21の支持アーム部21aが嵌め込まれる。この実施形態において、嵌合溝35の両端部には支持フレーム33の長手方向に沿ったサブ嵌合溝36が連通している。サブ嵌合溝36は嵌合溝35の終端部分から嵌合溝35と直交する方向に伸びている。このサブ嵌合溝36には2軸ヒンジ機構20における連結アーム21の保持アーム部21bが嵌め込まれる。
【0039】
次に、本実施形態の組み立て手順を説明する。まず、図6の分解状態の2軸ヒンジ機構20を組み付ける。そして、2軸ヒンジ機構20を表示部側筐体3の支持フレーム33に固定する。この固定は、連結アーム21の支持アーム部21aを支持フレーム33の嵌合溝35に嵌め込むと共に、保持アーム部21bを支持フレーム33のサブ嵌合溝36に嵌め込むことによりなされる。その後、図7及び図8に示すように、締結ネジ28を連結壁部34側からねじ込む。締結ネジ28は連結壁部34のネジ孔34aから支持アーム部21aのネジ孔27を貫通し、螺合される。このような締結ネジ28の螺合では、表示部側筐体3の厚み方向に対して直交する方向へのネジ止めとなってディスプレイ30と2軸ヒンジ機構20が共締めされる。この場合、サブ嵌合溝36に嵌め込まれている保持アーム部21bに対してネジ(図示省略)を螺合させてディスプレイ30のホルダの側面を固定しても良く、これにより、連結アーム21と支持フレーム33との結合力を大きくすることができる。
【0040】
本実施形態によれば、表示部側筐体3の構成部品であるディスプレイ30と、2軸ヒンジ機構20の平板部である連結アーム21の支持アーム部21aとを表示部側筐体3の厚み方向に対して直交する方向への締結ネジ28のネジ止めにより共締めできる。このように締結ネジ28を表示部側筐体3の厚み方向に対して直交する方向で共締めする構造により、表示部側筐体3の厚み方向の薄型化及び小型化が可能な携帯電話機1を提供できる。
【0041】
また、2軸ヒンジ機構20の連結アーム21を板金部材により形成しているため、薄くても強度を確保できる。これにより、さらに薄型化が可能となる。
【0042】
また、2軸ヒンジ機構20では、連結アーム21の支持アーム部21aの両端部に対し、表示部側筐体3の方向に伸びる保持アーム部21bが連設している。この保持アーム部21bを有することにより連結アーム21はコ字状となる。コ字状の連結アーム21においては、支持アーム部21aがディスプレイ30の下端面を保持し、保持アーム部21bがディスプレイ30の下部の両側面を保持する。従って、連結アーム21はディスプレイ30の下端部及びその周辺部分を包持してディスプレイ30を固定する。この場合には、上述した締結ネジ28を省いて固定することも可能となる。
【0043】
すなわち、ユーザが表示部側筐体を持って操作部側筐体に対して回転軸Yを軸として回転するときにも連結アーム21とフロント及びリアケースが充分に力を伝達することができる。
なお、保持アーム部21bの長さL2(図8参照)は、連結アーム21の曲げ精度及び支持フレーム33の剛性を満足するように設定されるものであり、その長さL2は支持アーム部21aの長さL1と略同等(L2≒L1)となることが好ましい。保持アーム部21bがL1よりも長くなるようにディスプレイ30の長さ方向に沿って長く伸びている場合(L2>L1)には、支持フレーム33の剛性が大きくなるが、その反面、曲げの精度には限界があるため、ディスプレイ30の表面に対してアーム部の反りが発生する。一方、保持アーム部21bがディスプレイ30の周囲を囲む形状にした場合には、アーム部先端のズレが生じずに剛性が確保できるが、このような形状は板金で形成することができず、ダイキャストによって加工することとなり、薄型化や、コストダウンに影響が生じることとなる。
なお、回転軸Yにて回転する側の筐体を下側の筐体とし、他方の筐体を第2筐体として構成してもよいことは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】携帯電子端末としての携帯電話機を開いた状態における斜視図である。
【図2】表示部側筐体を回動させている途中状態を示す斜視図である。
【図3】表示部側筐体を回動させた状態の斜視図である。
【図4】携帯電話機を閉じた状態を示す斜視図である。
【図5】携帯電話機を閉じた状態を示す正面図である。
【図6】2軸ヒンジ機構の取付構造を示す分解斜視図である。
【図7】表示部側筐体への2軸ヒンジ機構の取り付けを示す斜視図である。
【図8】図7の部分拡大斜視図である。
【図9】表示部側筐体に対して2軸ヒンジ機構を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図10】2軸ヒンジ機構と操作部側筐体との連結を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
4 連結部
6 ヒンジケース
20 2軸ヒンジ機構
21 連結アーム
21a 支持アーム部
21b 保持アーム部
22 連結ブラケット
23 連結筒
24 回動シャフト
28 締結ネジ
30 ディスプレイ
32 サブディスプレイ
33 支持フレーム
34 連結壁部
35 嵌合溝
36 サブ嵌合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平板形状の第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジ部を介して接続される第2筐体とを備え、
前記ヒンジ部は、
前記第2筐体に対して前記第1筐体を開状態と閉状態とに遷移する第1回転軸と、前記第1回転軸に直交する軸にて前記第1筐体を前記第2筐体に対して回転する第2回転軸とを含んで構成されており、
前記第1回転軸を軸として回転するように前記第2筐体が固定されており、
前記第2回転軸の軸方向に直交し、前記第2回転軸を軸として回転する平板部が設けられ、
前記平板部が、前記第1筐体を構成する部品に対して前記第1筐体の厚み方向に対して直交する方向へのネジにて共締めされることにより、前記第2回転軸を軸として回転可能に前記第1筐体と前記ヒンジ部が固定されていることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記平板部は、第2回転軸を中心として点対称な位置にそれぞれネジ孔を有することを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記平板部は、前記第1筐体内でその両端部が第2回転軸と平行な方向に延在していることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記平板部は、前記第2回転軸の軸方向を厚さ方向とする1枚の板金を折り曲げ加工して得られる部品であることを特徴とする請求項3記載の携帯電子機器。
【請求項5】
略平板形状の第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジ部を介して接続される第2筐体とを備え、
前記ヒンジ部は、
前記第2筐体に対して前記第1筐体を開状態と閉状態とに遷移する第1回転軸と、前記第1回転軸に直交する軸にて前記第1筐体を前記第2筐体に対して回転する第2回転軸とを含んで構成されており、
前記第1回転軸を軸として回転するように前記第2筐体が固定されており、
前記第2回転軸の軸方向に直交し、前記第2回転軸を軸として回転する固定部が設けられ、
前記固定部は前記第2回転軸の軸線方向を中心とする対称且つ第1筐体の内部部品の少なくとも一部を囲う形状に形成されており、
前記第1筐体に前記固定部が固定されることにより、前記第2回転軸を軸として回転可能に前記第1筐体と前記ヒンジ部が固定されることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項6】
前記固定部は、前記第2回転軸を中心とした点対称な位置にそれぞれネジ孔を有し、第1筐体の構成部品にネジ止めされることを特徴とする請求項5記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記固定部は、前記第1筐体内でその両端部が第2回転軸と平行な方向に延在していることを特徴とする請求項5または6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記固定部は、第2回転軸の軸方向を厚さ方向とする1枚の板金を折り曲げ加工して得られる部品であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−108919(P2009−108919A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281514(P2007−281514)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】