説明

撮像システム、カメラ本体およびレンズ

【課題】 交換レンズをカメラ本体に装着しなくても、交換レンズの情報をカメラ本体に簡単に読みとれる、操作性の良い撮像システムを実現する。
【解決手段】 カメラ本体と、該カメラ本体に対して交換可能なレンズと、から構成される撮像システムであって、前記レンズは、情報を記憶する第1の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶された情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有し、前記カメラ本体は、前記レンズの送信手段から人体を介して送信された情報を受信して復調する受信手段と、前記受信手段で復調した情報を記憶する第2の記憶手段を有することを特徴とする撮像システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システムに関する。より詳しくは交換可能なレンズと、カメラ本体を有する一眼レフカメラシステム、カメラ本体、およびレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ交換式一眼レフカメラにおいては、カメラ本体がレンズを駆動して、露出制御や自動焦点制御などの制御を行う際に、各交換レンズに固有の焦点距離やF値、焦点距離、ズーム倍率、最短撮影距離などの情報が必要である。一般に、各交換レンズに固有の情報をレンズに内蔵されたマイクロコンピュータやROM(Read Only Memory)に記録している。前記ROMは、レンズマウント部と、カメラ本体部のマウント部にレンズをカメラ本体に装着した時に接触するようにした接点を介して、有線でカメラの制御部と電源に接続されるようになっている。
【0003】
一方、異なる2つの機器間におけるデータ通信を、人体を介して行なう人体通信が提案されている。
【0004】
人体通信では、人体をケーブルの代わりとして、人体を流れる電流の変化により信号を伝送するので、ケーブル類を用いた有線通信と比べてケーブルを使わなければならない煩わしさがなくなるという利点がある。また、無線で伝送する場合と比べて、伝送距離が短いため少ない消費電力で信号を伝送でき、回路規模を小さくすることができる。
【0005】
たとえば、トレーニングでの脈拍や心拍数などを測定する計測器を耳に装着し、腕に装着する腕時計のような表示手段とのデータのやり取りを人体を介して行なう方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、腕時計のような形状の送信部を装着し、受信部を備えた端末に振れることにより、人体を介してデータを送信する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−557号公報
【特許文献2】特開2003−132031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レンズ交換式一眼レフカメラにおいては、例えばスポーツ撮影や報道撮影などでは、被写体を追って撮影するため、急いでレンズを交換して撮影することが多い。しかしながら、レンズ交換式一眼レフカメラにおいてはレンズを交換する際に、カメラ本体に交換レンズが取り付けられてから交換レンズに内蔵するマイクロコンピュータやROMに通電されるので、カメラ本体の制御部がマイクロコンピュータやROMの情報を読み取るのに時間がかかっていた。そのため、露出制御や自動焦点制御などの制御が遅れて、シャッターチャンスを逃してしまう、という問題があった。
【0007】
また、スタジオの暗がりや夜間屋外の暗闇で撮影中にレンズ交換を行うことがある。暗がりでは、レンズ鏡胴に刻印されている焦点距離やF値などの情報が読みとれないため、交換レンズの選択に困る場合があった。カメラ本体に装着すれば、レンズ情報は読みとれるが、前述のようにカメラ本体の制御部が情報を読みとるまで時間がかかるため、大変面倒でシャッターチャンスを逃すこともあった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、人物が交換レンズとカメラ本体に触れるだけで、交換レンズの情報をカメラ本体に簡単に読みとれる、操作性の良い撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0010】
(請求項1)
カメラ本体と、
該カメラ本体に対して交換可能なレンズと、
から構成される撮像システムであって、
前記レンズは、
情報を記憶する第1の記憶手段と、
第1の記憶手段に記憶された情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有し、
前記カメラ本体は、
前記レンズの送信手段から人体を介して送信された情報を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した情報を記憶する第2の記憶手段を有することを特徴とする撮像システム。
【0011】
(請求項2)
前記レンズまたは前記カメラ本体の少なくとも一方は通信を開始するための操作部材を有し、
前記操作部材を操作することにより通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【0012】
(請求項3)
前記操作部材は人体と接触する電極部を有し、
電極部を介して通信信号を送信または受信することを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【0013】
(請求項4)
前記情報はレンズ固有の情報であることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【0014】
(請求項5)
前記カメラ本体は表示手段を有し、前記第2の記憶手段に記憶した情報を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【0015】
(請求項6)
カメラ本体と、該カメラ本体に対して交換可能なレンズから構成される撮像システムに用いられるカメラ本体であって、
前記カメラ本体は、
前記レンズから人体を介して送信された情報を、受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した情報を、記憶する第2の記憶手段と、
を有することを特徴とするカメラ本体。
【0016】
(請求項7)
カメラ本体に対して交換可能なレンズであって、
前記レンズは、
情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記レンズまたは前記カメラ本体の少なくとも一方に備えられた操作部材の操作に応答して、前記第1の記憶手段に記憶された前記情報を変調し、人体を介してカメラ本体に送信する送信手段と、
を有することを特徴とするレンズ。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、レンズの情報をカメラ本体に送信する際に、人体を介して情報の送受信を行うので、レンズをカメラ本体に装着しなくても、人物がレンズとカメラ本体に触れるだけでレンズ情報を得ることが可能な、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、レンズまたは前記カメラ本体の少なくとも一方の操作部材を操作することにより通信を開始するので、必要な時にデータの取得ができる操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、操作部材は人体と接触する電極部を有しているので、操作部材を操作して通信を開始した後、操作部材に触れているだけで通信ができる、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、前記情報はレンズ固有の情報であるので、レンズの制御に必要な情報がレンズをカメラに装着しなくとも、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、前記カメラ本体は表示手段を有し、レンズの情報を前記表示手段に表示するので、暗闇でもレンズに手を触れるだけでカメラ本体にレンズ情報が表示される操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、レンズの情報をカメラ本体が受信する際に、人体を介して情報の受信を行うので、レンズをカメラ本体に装着しなくても、人物がレンズとカメラ本体に触れるだけでレンズ情報を得ることが可能な、操作性の良いカメラ本体を提供できる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、レンズの情報をカメラ本体に送信する際に、操作部材の操作により人体を介して情報の送信を行うので、レンズをカメラ本体に装着しなくても、人物がレンズとカメラ本体に触れるだけでレンズ情報を得ることが可能な、操作性の良いレンズを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態に係わる撮像システムについて説明する。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係わる撮像システム1の全体を示す構成である。撮像システム1は、デジタルカメラ10と交換レンズ3とから構成される。
【0026】
最初に、交換レンズ3について説明する。交換レンズ3はズームレンズとして構成され、操作リング311を回転させることにより、焦点距離(撮像倍率)を変更可能としている。操作リング311には後で詳しく説明する本発明の通信を開始するための操作部材である通信開始スイッチ303が設けられている。通信開始スイッチ303を押すと交換レンズ3の情報を人体を介してカメラ本体2に送信する。通信開始スイッチ303には通信開始スイッチ303を押すと指と接触するように電極A 301が設けられている。また、交換レンズ3の前枠312には人体を介して通信するためのもう一方の電極B 302が設けられている。
【0027】
なお、交換レンズ3はズームレンズに限定されるものでは無く、単焦点レンズであって固定筒310だけで構成されるものでも良い。また、通信開始スイッチ303の配置は本実施の形態に限定されるものではなく、操作を妨げない位置であれば、固定筒310などに配置しても良い。電極A 301、電極B 302も同様であり、電極A 301は交換レンズ3がカメラ本体2と通信時に指など人体に接触するように配置されれば良く、通信開始スイッチ303上に限定されるものではない。一方、電極B 302は交換レンズ3がカメラ本体2と通信時に、人体の近くで人体に接触しない位置に配置されれば良く、鏡胴の内側などに配置しても良い。
【0028】
交換レンズ3のカメラ本体2に対する着脱方式は、従来のレンズマウント機構の標準方式であるバヨネットマウント方式であり、レンズ側マウント面313をカメラ本体側マウント面105に接触させてから固定筒313を回すことにより装着を行い、逆の操作で取り外しを行うようになっている。なお、交換レンズ3を装着状態に保持するためのロック機構が交換レンズ3とカメラ本体2に設けられており、カメラ本体2には、このロックを解除するためのレンズ取り外しボタン106が設けられている。
【0029】
次に、図2と図3を用いて、デジタルカメラ10の外観を説明する。図2はデジタルカメラ10の正面図、図3はデジタルカメラ10の背面図である。
【0030】
デジタルカメラ10は、レンズ交換が可能な一眼レフ型のデジタルカメラである。
【0031】
図2のデジタラルカメラ10の正面中央部には、交換レンズ3を装着するためのレンズマウント部であるレンズマウント105が設けられている。また、レンズマウント105の近傍には、デジタルカメラ10に装着された交換レンズ3を取り外す為のレンズ取り外しボタン106が設けられている。またレンズマウント105の内部には、交換レンズ30と交信を行う為の信号端子板A107が設けられている。
【0032】
デジタルカメラ10の正面のグリップ部205には人体を介して交換レンズ3と通信するための電極C 201が設けられている。また、カメラ本体2には人体を介して通信するためのもう一方の電極D 202が設けられている。
【0033】
なお、電極C 201はカメラ本体2が交換レンズ3と通信時に指など人体に接触するように配置されば良く、グリップ部205上に限定されるものではない。一方、電極D 302はカメラ本体2が交換レンズ3と通信時に、人体の近くで人体に接触しない位置に配置されれば良く、カメラ本体2の上面や筐体の内面などに配置しても良い。
【0034】
カメラ本体部2の上面側にはシャッタボタン61と撮影モードダイアル64とフラッシュ94が設けられている。
【0035】
図3に示すカメラ本体部2の背面側には電源スイッチ102、本発明の表示手段である液晶モニタ81、モードスイッチ62、表示切り替えボタン63、十字キー65、実行ボタン66、ファインダ104、ファインダ接眼部105、メモリカード蓋82が設けられている。
【0036】
後で詳しく説明するように、交換レンズ3から送信されたレンズ固有の情報は、液晶モニタ81に表示される。
【0037】
モードスイッチ62は撮影モードと再生モードとセットアップモードを切り替えるスイッチである。撮影モードは、写真撮影を行うモードであり、再生モードは、メモリカード25に記録された撮影画像を液晶モニタ81に再生表示するモードである。セットアップモードは各種設定を行うモードである。セットアップモードにおける各種設定は、セットアップモードを選択した後、液晶モニタ81に表示される設定画面を見ながら、十字キー65、実行ボタン66で設定する。
【0038】
撮影モードダイアル64は各種撮影モードを切り替えるダイアルである。
【0039】
図4を用いて、図1に示したデジタルカメラ10と交換レンズ3の内部構成を説明する。
【0040】
図4(a)、図4(b)は図1の交換レンズ3を装着したデジタルカメラ10の側面から見た断面図である。図4(a)は撮影前の状態、図4(b)は撮影中の状態である。
【0041】
交換レンズ3をデジタルカメラ10に装着した状態では、交換レンズ3のレンズ側マウント面313に取り付けられた信号端子板B 305の各接点とカメラ本体側マウント面105の信号端子板A 107の各接点が接触し、電気信号を送受信できるようになっている。
【0042】
送信部300とカメラ本体側の受信部200は交換レンズ3がデジタルカメラ10に装着されていない状態で、人体を介して交換レンズ3とデジタルカメラ10が情報の送受信を行うための通信手段である。通信の詳細については後に詳しく説明する。
【0043】
交換レンズ3は主として、レンズ鏡胴31、レンズ鏡胴31の内部に設けられる複数のレンズ群32、絞り33等から構成される。複数のレンズ群32の光軸Lに沿って入射した光の大部分は、第1のミラー34aにより90度直角に上部方向(紙面上向き方向)に曲げられ、焦点板38に結像する。結像した光像はペンタプリズム35内部で2回反射し、接眼レンズ104を通して被写体像を、撮影者が見るように構成されている。ペンタプリズム35の上部に設けられた本発明の測光手段である測光センサ41は、前記焦点板38上に結像した被写体像を測光し、被写体の輝度分布の情報を得て自動露出を行う目的で設けられている。
【0044】
一方、複数のレンズ群32の光軸Lに沿って入射した光の一部は、半透過鏡である第1のミラー34aを透過し、第2のミラー34bに入射する。前記入射光は第2のミラー34bにより90度直角に下部方向(紙面下向き方向)に曲げられ、光軸L2となってAFセンサ光学ユニット36に入射し、測距センサ42上に結像する。
【0045】
次に撮影中の状態について図4(b)を用いて説明する。
【0046】
撮影中は図示せぬミラー駆動機構により第1のミラー34a、第2のミラー34bは光軸L1から退避し、カメラ本体部2の上部に格納される。図4(a)は撮影前にシャッタ51が光路を遮るように完全に閉じた状態である。撮影中に露光を行う時は図4(b)のようにシャッタ51が上下に開き光路を開放する。
【0047】
この状態で、複数のレンズ群32から入射した光は、撮像素子の一例であるCCD(電荷結合素子)5上に結像する。なお、本発明において撮像素子は、CCDに代えて、CMOSセンサ、CIDセンサ等の固体撮像素子であってもよい。CCD5にて取得された映像信号は図示せぬ回路基板でデジタル信号に変換し、画像処理を行った後、メモリカード25に記録する。
【0048】
フラッシュ94は図4(a)ではカメラ本体部2の内部に収納された状態を図示し、図4(b)ではカメラ本体部2から発光部分が飛び出して、被写体に向けて発光できる状態を図示している。
【0049】
フラッシュ撮影時はフラッシュ撮影に先だって、フラッシュ94を予備発光し、被写体からの反射光を測光して、本発光時の光量を設定している。すなわち、シャッタ51がまだ閉じている状態で、フラッシュ94を所定の光量で発光すると、被写体で反射した反射光は複数のレンズ群32を通って入射し、シャッタ51の表面で反射し、フラッシュ光量測光センサ43上に結像するように構成されている。
【0050】
図5は、図1〜図4に示したデジタルカメラ10と交換レンズ3の主たる機能構成を示すブロック図である。なお、図1〜図4に示したものと同じ構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0051】
交換レンズ3は、ズーム・フォーカス駆動部332、絞り駆動部331、レンズマイコン部320、通信開始スイッチ303、送信部300、電極A 301、電極B 302を備えている。
【0052】
制御手段として機能するレンズマイコン部320は各種演算処理を行うレンズCPU321と、演算を行うための作業領域となるレンズRAM322と、制御プログラムと交換レンズ3の固有情報が記憶されるレンズROM323とを備え、デジタルカメラ10のメインマイコン部7と交信し、交換レンズ3の各部動作を統括的に制御する。
【0053】
本発明における第1の記憶手段であるレンズROM323に記憶される交換レンズ3の固有情報は、たとえば、レンズの焦点距離、F値、ズーム倍率、色味、最短撮影距離、マクロ倍率、イメージサークル情報、商品名などである。不揮発性メモリであるレンズROM323としては、例えば、データの電気的な書き換えが可能なEEPROMが採用される。これにより、レンズROM323は、データの書き換えが可能で、かつ、電源を落とした場合でもそのデータの内容を保持する。
【0054】
交換レンズ3がデジタルカメラ10に装着されたとき、交信は信号端子板A107の接点と信号端子板B305の接点を介して行われる。また、電源もデジタルカメラ10から交換レンズ3に供給される。
【0055】
交換レンズ3がデジタルカメラ10に装着されていないとき、通信開始スイッチ303を指で押すと、送信部300と接続される電極A 301、電極B 302と受信部200に接続される電極C201、電極D202の間で人体を介して通信が行われる。人体を介しての通信については後で詳しく説明する。
【0056】
レンズマイコン部320は、デジタルカメラ10のAE制御部72により指示された絞り値情報を、信号端子板A107の接点と信号端子板B305の接点を介して受信し、指示された絞り値になるように絞り駆動部331を制御し、絞り33の開口径を調整する。また、レンズマイコン部320は、デジタルカメラ10のAF制御部71の指示により、ズーム・フォーカス駆動部332を制御し、レンズ群32に含まれるレンズを適宜光軸方向に駆動する。
【0057】
デジタルカメラ10は、A/D変換部21、画像処理部22、操作部60、メインマイコン部7、バッファメモリ26、画像メモリ23、メモリカード25等を有する。
【0058】
制御手段として機能するメインマイコン部7は、マイクロコンピュータを備えて構成される。すなわち、メインマイコン部7は、各種演算処理を行うCPU70と、演算を行うための作業領域となるRAM75と、制御プログラムなどが記憶されるROM76とを備え、デジタルカメラ1の各処理部の動作を統括的に制御する。
【0059】
RAM75は本発明の第2の記憶手段であり、交換レンズ3のレンズ固有の情報を一時記憶する。不揮発性メモリであるROM76としては、例えば、データの電気的な書き換えが可能なEEPROMが採用される。これにより、ROM76は、データの書き換えが可能で、かつ、電源を落とした場合でもそのデータの内容を保持する。
【0060】
操作部60の独立して設けられた複数の操作部材であるシャッタボタン61、モードスイッチ62、表示切り替えボタン63、撮影モードダイアル64、十字キー65,実行ボタン66および電源スイッチ102の出力はメインマイコン部7に入力されている。
【0061】
操作者(ユーザ)は、この操作部60にて所定の操作を行うことにより、各種の設定操作を行うことができる。
【0062】
シャッタボタン61には半押しでONになるスイッチSW1と全押しでONになるスイッチSW2が連動しており、CPU70が半押し(SW1 ON)、全押し(SW2 ON)のタイミングを検知できるようになっている。
【0063】
ミラー駆動部91はメインマイコン部7の指令により、ミラー34を駆動し、交換レンズ3の光路から退避させる。また、シャッタ駆動部93はメインマイコン部7の指令によりシャッタ51を開放する。
【0064】
A/D変換部21、バッファメモリ26、画像処理部22および画像メモリ23は、CCD5にて取得された画像を扱う処理部を示している。CCD5にて取得されたアナログ信号の画像は、A/D変換部21にてたとえば14ビットのデジタル信号に逐次変換され、デジタル画像データとしてバッファメモリ26に一時記憶される。前記画像データを画像処理を行う前の生データ、すなわちRAWデータと呼ぶ。
【0065】
画像処理部22は、WB(White Balance)補正、画素補間、リニアマトリクス、ガンマ補正、色差マトリクス処理、輪郭補正、画像圧縮などの画像処理機能を有する。ガンマ補正、輪郭補正、WB補正の補正量の設定値はメインマイコン部7からの指令により設定される。
【0066】
メインマイコン部7は、入力された各センサの出力電圧をデジタル値に変換し、メインマイコン部7に入力する、図示せぬA/D変換部を備えて構成されている。
【0067】
メインマイコン部7は、自動合焦制御部(以下、AF制御部と呼ぶ)71、自動露出制御部(以下、AE制御部と呼ぶ)72などの各種の制御機能を有する。メインマイコン部7の各種の機能は、予めROM76内に記憶される制御プログラムに従ってCPU70が演算処理を行うことにより実現される。また、圧縮後の画像をメモリカード25に記録したり、またLCD81などに表示出力する制御機能も持っている。このような画像に対する各種の処理もメインマイコン部7の制御に基づいて行われる。
【0068】
AF制御部71は、RAM75に一時記憶された交換レンズ3の固有の情報と、測距センサ42より得られた輝度情報により合焦用評価値を得て、交換レンズ3の焦点位置を調整することによって自動合焦制御を実現する。
【0069】
AE制御部72は、測光センサ41より得られた被写体輝度の測光値により露出値を得て、シャッタ駆動部93と絞り駆動部331を制御し、RAM75に一時記憶された交換レンズ3の固有の情報から決定される制約条件を満足した所定のシャッタ速度と絞り値に調整することによって自動露出制御を実現する。
【0070】
図6は、本発明の実施の形態における、人体を介しての通信する際の伝送経路を説明する説明図である。
【0071】
図6に示すように、電極A 301と電極C 201が、人体と電気的に接続されることにより、「電極A 301→人体→電極C 201」というルートが構成される。交換レンズ3の電極A 301と人体との界面のインピーダンス値をZ〔電極A−人〕、人体のインピーダンス値をZ〔人〕、人体とデジタルカメラ10の電極Cとの界面のインピーダンス値をZ〔電極C−人〕とすると、「電極A 301→人体→電極C 201」の間のインピーダンス値はZ〔電極A−人〕+Z〔人〕+Z〔電極C−人〕である。
【0072】
一方、電極B 302と人体との界面インピーダンス値は、電極A 301と人体との界面のインピーダンス値より大きくなるように電極を設けている。同様に、電極D 202と人体との界面インピーダンス値は、電極C 201と人体との界面のインピーダンス値より大きくなるように電極を設けているので、電極B 302と電極D 202は静電結合し、「電極B 302→電極D 202」というルートが構成される。このルートのインピーダンス値は、交換レンズ3の電極B 302とデジタルカメラ10の電極D 202との静電結合のインピーダンス値Z〔電極B−電極D〕である。
【0073】
図7はこの2つの伝送経路を、上記のインピーダンス値を用いて等価回路で表現した等価回路図である。受信部200の入力インピーダンス値をZ〔受〕とすれば、単純な電圧分配により、Z〔受〕にかかる電圧を検出することによって、送信部300から受信部200への伝送信号を検出でき、通信が実現される。
【0074】
図8は本発明の実施の形態における送信部300を説明するためのブロック図、図9は本発明の実施の形態における受信部のブロック図である。
【0075】
図8では通信開始スイッチ303の操作ボタン303aに人体と接触する電極A 301を形成した送信部300の実施形態を説明する。通信を開始するために通信開始スイッチ303を押して、人体(指)が操作ボタン303aに触れると、電極A 301と人体を介して信号を送信または受信できるようになっている。
【0076】
図8に示すように、送信部300は、人体に対するインピーダンス値が小さい送信電極である電極A 301と、それに比較してインピーダンス値が大きい送信電極である電極B 302を備えている。
【0077】
送信部300は搬送波周波数を発生するPLL等の発振手段304と、その搬送波周波数に重畳して変調信号を生成する変調手段305と、変調信号に対応する電圧を印加する電圧印加手段306と、を備えている。
【0078】
通信開始スイッチ303はレンズマイコン部320に接続されている。レンズマイコン部320が通信開始スイッチ303がONになったことを検知すると、図示せぬ電源部が送信部の給電を開始するように制御する。
【0079】
レンズマイコン部320の出力端子は変調手段305に接続されている。レンズマイコン部320からのレンズの固有情報などの出力信号は、変調手段305で変調され、伝送信号として伝送されるようになっている。
【0080】
また、送信部300には、回路の基準電位となる回路グランド(図示せず)が設けられるが、この回路グランドを電極A 301、又は電極B 302のいずれか一方として形成すれば、別途回路グランドの電極を設けなくてもよい。
【0081】
図9に示すように、受信部200には、人体に対するインピーダンス値が小さい受信電極である電極C 201と、それに比較してインピーダンス値が大きい受信電極である電極D 202を備えている。
【0082】
受信部200は、送信部300の搬送波周波数のみを取り出すことができるように調節されたフィルタ手段203と、フィルタ手段203の出力信号を増幅するアンプ等の増幅手段204と、増幅手段204の出力から変調された伝送信号を復調する復調手段205と、を備えている。なお、送信部300には、回路の基準電位となる回路グランド(図示せず)が設けられるが、この回路グランドを人体に対するインピーダンス値が小さい方の電極である電極C 201として形成してもよい。
【0083】
また、電極A 301、電極C 201は、それぞれ電極B 302、電極D 202の人体に対するインピーダンス値より小さくなるように設けられていればよく、例えば、電極A 301及び電極C 201が、人体に近設されており、電極B 302及び電極D 202が人体から離設されていればよい。さらに、電極と人体との電気的接続を阻止するものでなければ、人体と電極との間に繊維やケーシング材料等が介在してもよく、直接人体に触れる必要はない。
【0084】
本実施の形態により、交換レンズ3からデジタルカメラ10までの通信が実現され、伝送線を必要とせず、また、無線発信機構を有さないので、小型、低コスト化が実現できる。
【0085】
図10は本発明の実施の形態における交換レンズ3が行うレンズデータ送信の概略の手順を説明するフローチャートである。
【0086】
レンズマイコン部320は通信開始スイッチ303がONかどうか、判定する(ステップS101)。通信開始スイッチ303がONではない場合(ステップS101;No)ステップS101に戻り、再度通信開始スイッチ303がONかどうか、判定する。通信開始スイッチ303がONの場合(ステップS101;Yes)、レンズマイコン部320は送信部300の図示せぬ電源をONにし、レンズデータの数Nの情報を含むレンズデータ送信開始信号を人体を介して送信する(ステップS102)。レンズデータは例えば焦点距離、F値、色味、最短撮影距離、マクロ倍率、イメージサークル情報、商品名などであり、各レンズデータを2バイトデータとして送信する。各レンズデータを識別するため、送信する順に固有の番号Nを割り当てている。たとえばレンズデータ1は焦点距離、レンズデータ2はF値である。
【0087】
ステップS103ではレンズマイコン部320は内部の第1の記憶手段であるレンズROM323のレンズデータ1を読み出し、送信部300から変調信号を人体を介して送信する(ステップS103)。ステップS104までの間、レンズデータ2〜Nまで順次送信する(ステップS104)。
【0088】
レンズデータNまで送信を終えると、レンズマイコン部320はレンズデータ送信終了信号を送信する(ステップS105)。これで、レンズデータ1〜Nの送信は終了し、ステップS101に戻る。通信開始スイッチ303がONのままの場合(ステップS101;Yes)、再度レンズデータ1〜Nの送信を行う。
【0089】
本実施の形態では通信開始スイッチ303を設け、通信開始スイッチ303がONの場合にレンズデータを送信するように構成しているが、通信開始スイッチ303を無くしてステップS101を省略し、常にレンズデータを繰り返し送信するようにしても良い。
【0090】
図11は本発明の実施の形態におけるデジタルカメラ10が行うレンズデータ受信の概略の手順を説明するフローチャートである。このとき、操作者はたとえば右手でデジタルカメラ10のグリップ部205を握り、電極A 301に指が触れている状態であり、もう一方の手には交換レンズ3を持ち通信開始スイッチ303を押しているものとする。本実施の形態では、シャッタボタン61を半押し(SW1 ON)にすると、受信可能となり通信を開始するものとする。
【0091】
ステップS201において、メインマイコン部7はシャッタボタン61が半押し(SW1 ON)かどうか、を判定する。半押し(SW1 ON)ではない場合(ステップS201;No)ステップS201に戻り、再度半押し(SW1 ON)か、どうか、判定する。シャッタボタン61が半押し(SW1 ON)の場合(ステップS201;Yes)、メインマイコン部7は受信部200の図示せぬ電源をONにし、送信部300からのレンズデータ送信開始信号の受信を開始する(ステップS202)。レンズデータ送信開始信号を所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS202;No)、ステップS201に戻る。レンズデータ送信開始信号を所定時間以内に受信できたときは(ステップS202;Yes)、レンズデータ送信開始信号に含まれるレンズデータの数Nの情報を得て、順次データ1から受信する(ステップS203)。
【0092】
レンズデータ1を所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS203;No)、ステップS201に戻る。レンズデータ1を所定時間以内に受信できたときは(ステップS203;Yes)受信したデータをRAM75に格納する。
【0093】
次にデータ2〜Nまで順次データを受信する(ステップS205)。レンズデータNを所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS205;No)、ステップS201に戻る。レンズデータNを所定時間以内に受信できたときは(ステップS205;Yes)、受信したデータを順にRAM75に格納する。このとき、メインマイコン部7はレンズデータ1〜Nをすべて受信し、第2の記憶手段であるRAM75に格納されている。このように、撮影時にAF制御部71やAE制御部72が交換レンズ3を制御するときに必要なレンズ固有のデータを、交換レンズをデジタルカメラ10に装着する前に取得することができる。
【0094】
ステップS206において、メインマイコン部7は本発明の表示手段である液晶モニタ81に受信したレンズデータ1〜Nを所定の時間表示する。このようにして、操作者は交換レンズ3の固有のレンズデータを、デジタルカメラ10に装着しなくても知ることができる。
【0095】
なお、本実施の形態では操作者がシャッタボタン61を半押し(SW1 ON)にしたとき、受信部200が受信を開始するようにしているが、受信を開始する操作部材はシャッタボタン61に限定されるものではなく、ほかのスイッチやボタンでも良い。また、電極C201をシャッタボタン61などの操作部材表面に形成しても良い。さらに、スイッチやボタンの操作に関係なく常時受信部200が受信するようにしても良い。
【0096】
以上のように本実施の形態によれば、交換レンズをカメラ本体に装着しなくても、交換レンズの情報をカメラ本体に簡単に読みとれるので、短時間で容易に交換レンズの選択ができ、レンズ交換した後のカメラ本体の制御が早い、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0097】
なお、本実施形態としてデジタルカメラを例示したが、銀塩カメラやレンズ交換可能なビデオカメラなどにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係る撮像システム1の外観図である。
【図2】本発明に係るデジタルカメラ10の正面図である。
【図3】本発明に係るデジタルカメラ10の背面図である。
【図4】本発明に係るデジタルカメラ10の撮影前と撮影中の状態を説明する断面図である。
【図5】本発明の実施形態における撮像システム1の回路ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態における伝送経路を説明する説明図である。
【図7】2つの伝送経路を、上記のインピーダンス値を用いて等価回路で表現した等価回路図である。
【図8】本発明の実施形態における送信部と周辺の回路ブロック図である。
【図9】本発明の実施形態における受信部と周辺の回路ブロック図である。
【図10】本発明の実施形態における交換レンズ3で行われるレンズデータ送信時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態におけるデジタルカメラ10で行われるレンズデータ受信時の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1 撮像システム
2 カメラ本体部
3 交換レンズ
7 メインマイコン部
10 デジタルカメラ
200 受信部
201 電極C
202 電極D
300 送信部
301 電極A
302 電極B
303 通信開始スイッチ
320 レンズマイコン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体と、
該カメラ本体に対して交換可能なレンズと、
から構成される撮像システムであって、
前記レンズは、
情報を記憶する第1の記憶手段と、
第1の記憶手段に記憶された情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有し、
前記カメラ本体は、
前記レンズの送信手段から人体を介して送信された情報を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した情報を記憶する第2の記憶手段を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記レンズまたは前記カメラ本体の少なくとも一方は通信を開始するための操作部材を有し、
前記操作部材を操作することにより通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記操作部材は人体と接触する電極部を有し、
電極部を介して通信信号を送信または受信することを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記情報はレンズ固有の情報であることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記カメラ本体は表示手段を有し、前記第2の記憶手段に記憶した情報を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項6】
カメラ本体と、該カメラ本体に対して交換可能なレンズから構成される撮像システムに用いられるカメラ本体であって、
前記カメラ本体は、
前記レンズから人体を介して送信された情報を、受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した情報を、記憶する第2の記憶手段と、
を有することを特徴とするカメラ本体。
【請求項7】
カメラ本体に対して交換可能なレンズであって、
前記レンズは、
情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記レンズまたは前記カメラ本体の少なくとも一方に備えられた操作部材の操作に応答して、前記第1の記憶手段に記憶された前記情報を変調し、人体を介してカメラ本体に送信する送信手段と、
を有することを特徴とするレンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−17746(P2007−17746A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199882(P2005−199882)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】