説明

撮像システム、撮像装置、情報伝達装置

【課題】 撮像装置と、撮像装置と無線通信が可能な周辺機器が離れた場所に設定されていても、周辺機器の設定情報が撮像装置に簡単に読みとれる、操作性の良い撮像システムを実現する。
【解決手段】 周辺機器は、周辺機器の設定情報を記憶する第1の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶された設定情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有し、撮像装置は、送信手段から人体を介して送信された設定情報を受信して復調する第1の受信手段と、
第1の受信手段で復調した設定情報を記憶する第2の記憶手段を有することを特徴とする撮像システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システム、撮像装置、情報伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体を立体的に照明するため、撮影時にカメラに内蔵または装着されたマスターフラッシュから信号を発光し、カメラから離れた位置に配置した少なくとも1台のスレーブフラッシュを同期発光させる、ワイヤレスフラッシュ撮影が行われている。
【0003】
フラッシュ発光によるワイヤレス通信は、カメラ側のマスターフラッシュが発光し、このフラッシュ光をスレーブフラッシュが信号光として受光し、この信号光を受光したスレーブフラッシュが、信号光に応じて所定発光量で発光する、ことで行われる。
【0004】
カメラ本体に設けられた演算部は、スレーブフラッシュの発光量に関する演算を行なっている。カメラ本体で演算された発光量データは、マスターフラッシュが発光する信号光によりスレーブフラッシュに対して送られる。
【0005】
その際、他の信号光により誤動作しないように、マスターフラッシュとスレーブフラッシュの間で、互いに同じチャンネルを設定するようになっている。マスターフラッシュは信号光を発光する前に、チャンネル識別開始信号光を発光する。スレーブフラッシュは該チャンネル識別開始信号光を受光し、チャンネルを識別してスレーブフラッシュに設定されたチャンネルと同一チャンネルの場合は、以降の信号光を受光し、信号光に応じて所定発光量で発光する。このように、マスターフラッシュとスレーブフラッシュはそれぞれ同じチャンネルに設定する必要がある。
【0006】
チャンネルの設定は、スレーブフラッシュのチャンネル設定を先に行う。また、フラッシュのガイドナンバの設定など、スレーブフラッシュの操作部材で設定する。
【0007】
次に、マスターフラッシュを有するカメラにスレーブフラッシュを装着し、接点を介して設定されたチャンネルの情報、ガイドナンバの情報などをカメラが得て、マスターフラッシュのチャンネルの設定、ガイドナンバの設定を行う。
【0008】
このようなワイヤレスフラッシュ撮影システムは、例えば特許文献1に開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
同様に、カメラと無線で通信を行う周辺機器には、リモートコントローラや測光用メータなどがあり、無線通信を開始する前に、周辺機器側でチャンネルを設定し、カメラ側も同じチャンネルに設定する必要があった。
【0010】
一方、異なる2つの機器間におけるデータ通信を、人体を介して行なう人体通信が提案されている。
【0011】
人体通信では、人体をケーブルの代わりとして、人体を流れる電流の変化により信号を伝送するので、ケーブル類を用いた有線通信と比べてケーブルを使わなければならない煩わしさがなくなるという利点がある。また、無線で伝送する場合と比べて、伝送距離が短いため少ない消費電力で信号を伝送でき、回路規模を小さくすることができる。
【0012】
例えば、トレーニングでの脈拍や心拍数などを測定する計測器を耳に装着し、腕に装着する腕時計のような表示手段とのデータのやり取りを人体を介して行なう方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、腕時計のような形状の送信部を装着し、受信部を備えた端末に振れることにより、人体を介してデータを送信する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、人体を介した交信を行って相手の機器を特定し、交信する相手を特定した後は、別の高速な通信手段を用いてデータ通信を行う方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−72300号公報
【特許文献2】特開2003−557号公報
【特許文献3】特開2003−132031号公報
【特許文献4】特開2004−260800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
撮影会などにおいて、複数の撮影者がワイヤレスフラッシュ撮影を行って、複数台のカメラのマスターフラッシュと複数台のスレーブフラッシュの間で、ワイヤレス通信により発光制御を行って撮影すると、設定された発光信号のチャンネルが重複し、フラッシュが誤発光する場合がある。その場合、スレーブフラッシュのチャンネル設定を変更した後、カメラの制御するマスターフラッシュのチャンネル設定を変更する必要がある。カメラと赤外光など無線で通信するリモートコントローラや測光用メータなどの周辺機器でも同様の問題が発生することがあり、その場合、カメラのチャンネル設定を変更する必要がある。
【0014】
また、ワイヤレスフラッシュ撮影において、カメラがスレーブフラッシュの発光量を制御するため、スレーブフラッシュに設定したガイドナンバの情報をカメラに入力する必要がある。
【0015】
しかしながら、撮影時にスレーブフラッシュは、カメラから離れた位置に配置された三脚等に装着されている場合が多い。従来、スレーブフラッシュの設定情報はカメラに装着して、カメラに入力するので、スレーブフラッシュを三脚からはずし、カメラに装着する必要があった。特に、複数台のスレーブフラッシュを使用して撮影する場合は、脱着とチャンネル設定変更の手間は大変面倒で、時間がかかる作業であった。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、人物が周辺機器とカメラに触れることにより、周辺機器の設定情報をカメラ本体に伝送し、カメラ側の設定を行うことができる、操作性の良い撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0018】
(1)
撮像装置と、
該撮像装置の有する無線通信手段と無線通信が可能な周辺機器と、
から構成される撮像システムであって、
前記周辺機器は、
前記周辺機器の設定情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された設定情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有し、
前記撮像装置は、
前記送信手段から人体を介して送信された前記設定情報を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した前記設定情報を記憶する第2の記憶手段を有することを特徴とする撮像システム。
【0019】
(2)
前記撮像装置は、
前記第2の記憶手段に記憶された前記設定情報に基づいて、
前記周辺機器と無線通信を行うことを特徴とする(1)に記載の撮像システム。
【0020】
(3)
前記周辺機器は、
少なくとも2つ以上の無線通信のチャンネルを設定するチャンネル設定手段を有し、
前記第1の記憶手段に記憶された設定情報は、前記チャンネル設定手段で設定したチャンネル情報である、
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の撮像システム。
【0021】
(4)
前記周辺機器は、
フラッシュであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0022】
(5)
前記周辺機器は、
リモートコントローラであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0023】
(6)
前記周辺機器は、
測光用メータであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0024】
(7)
前記撮像装置は、
前記第2の記憶手段に記憶された前記設定情報に基づいて、
前記周辺機器の制御を行うことを特徴とする(1)に記載の撮像システム。
【0025】
(8)
前記周辺機器はフラッシュであり、
前記設定情報は、
前記フラッシュの有するガイドナンバ設定手段で設定したガイドナンバ情報であることを特徴とする(7)に記載の撮像システム。
【0026】
(9)
撮像装置と、
該撮像装置と人体を介して通信可能な周辺機器、
から構成される撮像システムに用いられる情報伝達装置であって、
前記周辺機器の送信手段から、人体を介して送信された設定情報を、
受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した設定情報を記憶する第3の記憶手段と、
前記第3の記憶手段に記憶された設定情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有することを特徴とする情報伝達装置。
【0027】
(10)
撮像装置と、
該撮像装置の有する無線通信手段と通信可能な周辺機器と、
から構成される撮像システムに用いられる撮像装置であって、
前記撮像装置は、
前記周辺機器から人体を介して送信された情報を、受信して復調する受信手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【0028】
(11)
前記撮像装置は、
シャッタボタンと、
情報の受信を制御する情報受信制御手段を有し、
前記情報受信制御手段はシャッタボタンの操作を検知して、前記情報の受信を開始するように制御する、
ことを特徴とする(10)に記載の撮像装置。
【0029】
(12)
前記シャッタボタンは、
人体と接触する電極部を有し、
前記電極部を介して前記情報を受信することを特徴とする(10)または(11)に記載の撮像装置。
【発明の効果】
【0030】
撮像装置と周辺機器が無線通信を行う撮像システムにおいて、周辺機器の設定情報を人体を介して撮像装置に伝送するので、周辺機器の設定情報を簡単に伝送できる、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0031】
周辺機器で設定した無線通信チャンネルの情報を人体通信で伝送するので、無線通信を開始するために必要な無線通信チャンネルの情報を、人体を介して撮像装置に伝送できる、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0032】
また、撮像装置に伝送された無線通信チャンネルの情報に基づいて、無線通信を開始する、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0033】
周辺機器がフラッシュ、リモートコントローラ、測光用メータの場合も、設定情報を簡単に伝送できる、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0034】
周辺機器がフラッシュの場合は、ガイドナンバの情報も無線通信を開始する前に撮像装置に伝送できるので、設定手順が少ない、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0035】
情報伝達装置は、撮像装置と周辺機器の間で人体を介して通信する情報を中継することができるので、撮像装置と周辺機器が離れていても、人体通信の通信機能を用いて通信することができる情報伝達装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態に係わる撮像システムについて説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態における、人体を介しての通信する際の伝送経路を説明する説明図である。
【0038】
図1に示すように、電極A 301と電極C 201が、人体と電気的に接続されることにより、「電極A 301→人体→電極C 201」というルートが構成される。電極A 301と人体との界面のインピーダンス値をZ〔電極A−人〕、人体のインピーダンス値をZ〔人〕、人体と電極Cとの界面のインピーダンス値をZ〔電極C−人〕とすると、「電極A 301→人体→電極C 201」の間のインピーダンス値はZ〔電極A−人〕+Z〔人〕+Z〔電極C−人〕である。
【0039】
一方、電極B 302と人体との界面インピーダンス値は、電極A 301と人体との界面のインピーダンス値より大きくなるように電極を設けている。同様に、電極D 202と人体との界面インピーダンス値は、電極C 201と人体との界面のインピーダンス値より大きくなるように電極を設けているので、電極B 302と電極D 202は静電結合し、「電極B 302→電極D 202」というルートが構成される。このルートのインピーダンス値は、電極B 302と電極D 202との静電結合のインピーダンス値Z〔電極B−電極D〕である。
【0040】
図2はこの2つの伝送経路を、上記のインピーダンス値を用いて等価回路で表現した等価回路図である。受信部200の入力インピーダンス値をZ〔受〕とすれば、単純な電圧分配により、Z〔受〕にかかる電圧を検出することによって、送信部300から受信部200への伝送信号を検出でき、通信が実現される。
【0041】
図3は、本発明の実施形態における、撮像システムを構成する撮像装置10の外観図である。撮像装置10は、交換レンズ3を交換可能な一眼レフ型のデジタルカメラである。
【0042】
撮像装置10のグリップ部205の上部に配置されたシャッタボタン61には、本発明の実施形態における周辺機器である後述するフラッシュ5やリモートコントローラ6、測光用メータ7、および情報伝達装置8などと、人体を介して通信するための電極C 201が設けられている。また、グリップ部205の横には、人体を介して通信するための、もう一方の電極D 202が設けられている。
【0043】
なお、電極C 201は撮像装置10が周辺機器などと通信時に指など人体に接触するように配置されれば良く、シャッタボタン61上に限定されるものではない。一方、電極D 202は撮像装置10が周辺機器と通信時に、人体の近くで人体に接触しない位置に配置されれば良く、撮像装置10の上面や筐体の内面などに配置しても良い。
【0044】
赤外線受光部44は、リモートコントローラ6、測光用メータ7などの周辺機器が、あらかじめ決められた通信手順に則って所定の時間間隔で発光する赤外光を受光し、前記周辺機器と通信を行う。
【0045】
撮像装置10の上面側には撮影モードダイアル64と内蔵フラッシュ94が設けられている。
【0046】
内蔵フラッシュ94は、あらかじめ決められた通信手順に則って所定の時間間隔で発光することにより、撮像装置10から離れた位置に設置された少なくとも1台のフラッシュ5と通信を行う。内蔵フラッシュ94の指令によりフラッシュ5が制御されるので、内蔵フラッシュ94は、マスターフラッシュであり、フラッシュ5はスレーブフラッシュである。
【0047】
図4に示すカメラ本体部2の背面側には電源スイッチ102、本発明の表示手段である液晶モニタ81、モードスイッチ62、表示切り替えボタン63、十字キー65、実行ボタン66、ファインダ104、ファインダ接眼部105、メモリカード蓋82が設けられている。
【0048】
モードスイッチ62は撮影モードと再生モードとセットアップモードを切り替えるスイッチである。撮影モードは、写真撮影を行うモードであり、再生モードは、メモリカード25に記録された撮影画像を液晶モニタ81に再生表示するモードである。セットアップモードは各種設定を行うモードである。セットアップモードにおける各種設定は、セットアップモードを選択した後、液晶モニタ81に表示される設定画面を見ながら、十字キー65、実行ボタン66で設定する。
【0049】
撮影モードダイアル64は、マルチフラッシュ撮影モード、リモコン撮影モード、メータ測光モードなど各種撮影モードを切り替えるダイアルである。マルチフラッシュ撮影モードは、内蔵フラッシュ94からの無線による制御により、外部に設置した後述するフラッシュ5を発光させる撮影モード、リモコン撮影モードは、後述するリモートコントローラ6からの遠隔指令により撮影する撮影モード、メータ測光モードは後述する測光用メータ7の測定結果を無線通信で得て、撮影条件を決定する撮影モードである。
【0050】
図5は、撮像システム1と、撮像システム1を構成する図3、図4に示した撮像装置10の主たる機能構成を示すブロック図である。なお、図3、図4に示したものと同じ構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0051】
撮像システム1は、撮像装置10と周辺機器、情報伝達装置8から構成される。本発明の実施形態における周辺機器は後述するフラッシュ5、後述するリモートコントローラ6、後述する測光用メータ7である。
【0052】
フラッシュ5は、内蔵フラッシュ94からのフラッシュ光により、無線通信を行う。また、本発明の実施形態における周辺機器であるリモートコントローラ6、測光用メータ7は赤外光により信号を送信し、撮像装置10は赤外線受光部44により受信する。また、フラッシュ5、リモートコントローラ6、測光用メータ7はそれぞれ撮像装置10と人体通信を行う。情報伝達装置8はそれぞれの周辺機器と撮像装置10の間で人体通信を行う。人体通信、無線通信については後に詳しく説明する。
【0053】
撮像装置10は、交換レンズ3、A/D変換部21、画像処理部22、操作部60、メインマイコン部79、赤外線受光部44、内蔵フラッシュ94、画像メモリ23、メモリカード25等を有する。
【0054】
制御手段として機能するメインマイコン部79は、マイクロコンピュータを備えて構成される。すなわち、メインマイコン部79は、各種演算処理を行うメインCPU70と、演算を行うための作業領域となるRAM75と、制御プログラムなどが記憶されるROM76とを備え、デジタルカメラ1の各処理部の動作を統括的に制御する。
【0055】
RAM75は本実施形態の第2の記憶手段であり、周辺機器の設定情報を一時記憶する。不揮発性メモリであるROM76としては、例えば、データの電気的な書き換えが可能なEEPROMが採用される。これにより、ROM76は、データの書き換えが可能で、かつ、電源を落とした場合でもそのデータの内容を保持する。
【0056】
メインマイコン部79は、入力された各センサの出力電圧をデジタル値に変換し、メインマイコン部79に入力する、図示せぬA/D変換部を備えて構成されている。
【0057】
赤外線受光部44、定常光を測光する測光センサ41、フラッシュ光測光センサ43の信号出力は、メインマイコン部79に入力され、メインマイコン部79の内部でA/D変換されている。メインマイコン部79は入力された信号を解析し、各部の制御を行う。制御の詳細については後で詳しく説明する。
【0058】
撮影時において、ミラー駆動部91はメインマイコン部79の指令により、ミラー34を駆動し、交換レンズ3の光路から退避させる。また、シャッタ駆動部93はメインマイコン部79の指令によりシャッタ51を開放する。すると、交換レンズ3のレンズ群32と絞り33を透過した光束は、CCD53上に結像する。
【0059】
A/D変換部21、バッファメモリ26、画像処理部22および画像メモリ23は、CCD53にて取得された画像を扱う処理部を示している。CCD53にて取得されたアナログ信号の画像は、A/D変換部21にて例えば14ビットのデジタル信号に逐次変換され、デジタル画像データとしてバッファメモリ26に一時記憶される。前記画像データを画像処理を行う前の生データ、すなわちRAWデータと呼ぶ。
【0060】
画像処理部22は、WB(White Balance)補正、画素補間、リニアマトリクス、ガンマ補正、色差マトリクス処理、輪郭補正、画像圧縮などの画像処理機能を有する。ガンマ補正、輪郭補正、WB補正の補正量の設定値はメインマイコン部79からの指令により設定される。
【0061】
また、メインマイコン部79は、本実施形態の無線通信手段である無線通信制御部71、人体通信受信制御部73の他、フラッシュ制御、リモコン制御、自動合焦制御(以下、AF制御と呼ぶ)、自動露出制御(以下、AE制御と呼ぶ)、などの各種の制御機能を有する。メインマイコン部79の各種の機能は、予めROM76内に記憶される制御プログラムに従ってメインCPU70が演算処理を行うことにより実現される。
【0062】
無線通信制御部71は、周辺機器との無線通信を制御する制御手段である。無線通信制御部71は、後述するフラッシュ5との通信において、内蔵フラッシュ94の発光を制御し、後述するリモートコントローラ6、測光用メータ7との通信において、赤外線受光部44で受光した信号を解析し、所定の制御を行う。
【0063】
無線通信制御部71は、通信を開始するのに先立って、RAM75に一時記憶された周辺機器の設定情報に基づいて、周辺機器と通信する際の無線通信のチャンネルを設定する。
【0064】
例えば、RAM75に一時記憶された設定情報によれば、後述するフラッシュ5がAチャンネルに設定されている場合、送信側の無線通信制御部71が内蔵フラッシュ94を制御して通信する際、最初にAチャンネルのチャンネル識別信号を発光する。フラッシュ5は、チャンネル識別信号が異なる場合は以降の指令を受信しない。通信の詳細については後に詳しく説明する。
【0065】
また、RAM75に一時記憶された設定情報によれば、後述するリモートコントローラ6が1チャンネル、測光用メータ7が5チャンネルに設定されていたとすると、受信側の無線通信制御部71が赤外線受光部44で受光した信号を解析し、チャンネル識別信号が1チャンネルと5チャンネル以外の場合は以降の指令を受信しない。なお、リモートコントローラ6と測光用メータ7が同一チャンネルに設定されていても、以降の指令を解析することにより判別できるので問題ない。
【0066】
無線通信制御部71によるフラッシュ5との通信について説明する前に、メインマイコン部79が行うフラッシュ制御について説明する。
【0067】
メインマイコン部79は、内蔵フラッシュ94の発光量、またはフラッシュ5の発光量を決定するため、シャッタ51が閉じたタイミングで内蔵フラッシュ94を予備的に発光させる。発光後に被写体で反射した光束が、レンズ群32と絞り33を透過し、シャッタ51の表面に設けられた反射板に反射して、撮像装置10の内部に設けられたフラッシュ光量測光センサ43に入射する。メインマイコン部79は、フラッシュ光量測光センサ43より得られた、フラッシュ発光時における被写体からの反射光の積分値から、内蔵フラッシュ94、またはフラッシュ5の発光時のガイドナンバ設定と発光時間を算出する。
【0068】
内蔵フラッシュ94だけが発光する通常の撮影モードにおいては、メインマイコン部79は、内蔵フラッシュ94を算出した前記ガイドナンバに設定し、シャッタ51が全開になるタイミングで内蔵フラッシュ94に発光を指令し、前記算出した発光時間経過後、発行停止を指令する。
【0069】
マルチフラッシュ撮影モードにおいて、メインマイコン部79は、フラッシュ5の発光により適正露光が得られるように、フラッシュ5の必要なガイドナンバと発光時間を算出する。フラッシュ5へのガイドナンバ設定、発光開始、発行停止の指令は、無線通信制御部71が内蔵フラッシュ94の発光を制御して行う。
【0070】
リモコン撮影モードにおいて、無線通信制御部71は赤外線受光部44が受光したリモートコントローラ6からの指令を解析し、各部を制御する。
【0071】
メータ測光モードにおいて、無線通信制御部71は赤外線受光部44が受光した測光用メータ7の測光情報をRAM75に一時記憶し、メインマイコン部79は前記測光情報に基づいて自動露光制御を行う。
【0072】
通常撮影モードにおいて、メインマイコン部79は、測光センサ41より得られた被写体輝度の測光値により露出値を得て、シャッタ駆動部93と絞り駆動部331を制御し、所定のシャッタ速度と絞り値に調整することによって自動露出制御を実現する。
【0073】
人体通信受信制御部73は、後述する本実施形態の受信手段である受信部200で受信した設定情報を、本実施形態の第2の記憶手段であるRAM75に記憶する。
【0074】
AF制御において、メインマイコン部79は、交換レンズ3の固有の情報と、測距センサ42より得られた輝度情報により合焦用評価値を得て、交換レンズ3の焦点位置を調整することによって自動合焦制御を実現する。
【0075】
また、メインマイコン部79は、圧縮後の画像をメモリカード25に記録したり、また液晶モニタ81などに表示出力する制御機能も持っている。このような画像に対する各種の処理もメインマイコン部79の制御に基づいて行われる。
【0076】
操作部60として、それぞれ独立して設けられた複数の操作部材であるシャッタボタン61、モードスイッチ62、表示切り替えボタン63、撮影モードダイアル64、十字キー65,実行ボタン66および電源スイッチ102の各出力は、メインマイコン部79に入力されている。
【0077】
操作者(ユーザ)は、この操作部60にて所定の操作を行うことにより、各種の設定操作を行うことができる。
【0078】
シャッタボタン61には半押しでONになるスイッチSW1 181と全押しでONになるスイッチSW2 182が連動しており、メインCPU70が半押し(SW1 181 ON)、全押し(SW2 182 ON)のタイミングを検知できるようになっている。
【0079】
図6は、本発明の実施形態における受信手段である受信部200を説明するブロック図である。
【0080】
図6に示すように受信部200には、人体に対するインピーダンス値が小さい受信電極である電極C 201と、それに比較してインピーダンス値が大きい受信電極である電極D 202を備えている。
【0081】
受信部200は、送信部300の搬送波周波数のみを取り出すことができるように調節されたフィルタ手段203と、フィルタ手段203の出力信号を増幅するアンプ等の増幅手段204と、増幅手段204の出力から変調された伝送信号を復調する復調手段205と、を備えている。なお、送信部300には、回路の基準電位となる回路グランド(図示せず)が設けられるが、この回路グランドを人体に対するインピーダンス値が小さい方の電極である電極C 201として形成してもよい。
【0082】
また、電極A 301、電極C 201は、それぞれ電極B 302、電極D 202の人体に対するインピーダンス値より小さくなるように設けられていればよく、例えば、電極A 301及び電極C 201が、人体に近設されており、電極B 302及び電極D 202が人体から離設されていればよい。さらに、電極と人体との電気的接続を阻止するものでなければ、人体と電極との間に繊維やケーシング材料等が介在してもよく、直接人体に触れる必要はない。
【0083】
図7は、本発明の第1の実施形態における、撮像システムを構成するフラッシュ5の外観図、図8は、マルチフラッシュ撮影時の無線通信を説明するための説明図である。図7(a)は正面図、図7(b)は背面図である。なお、これまでの図に示したものと同じ構成要素には、同符号を付して説明を省略する。
【0084】
フラッシュ5はマルチフラッシュ撮影に対応したフラッシュである。フラッシュ5は、図8のようにマスターフラッシュである内蔵フラッシュ94が通信手順に則って所定の時間間隔で発光した光束の一部を受光部332で受光し、指令を解析して発光するスレーブフラッシュとして機能する。
【0085】
フラッシュ5の背面のチャンネル設定スイッチ330は、フラッシュ光による無線通信のチャンネルを設定するスイッチであり、混信を避けるため少なくとも2つ以上のチャンネルを設定できる。例えば、AチャンネルとBチャンネルのいずれかを選択して設定できるようになっている。フラッシュ5がAチャンネルに設定されている場合は、送信側が最初にAチャンネルのチャンネル識別信号を発光しなければ、フラッシュ5は受信しない。チャンネル識別信号は、例えばAチャンネルの場合は5ms間隔で2回発光、Bチャンネルの場合は10ms間隔で2回発光というように、あらかじめ決められており、チャンネル識別信号を受光したフラッシュ5は、発光の時間間隔からチャンネルを識別し、チャンネル設定スイッチ330で設定されたチャンネルと一致する場合だけ以降の指令を受信する。なお、このようなフラッシュ光を用いて無線通信を行うワイヤレスフラッシュシステムの詳細については、例えば特許文献1等の多くの特許文献に開示されている。
【0086】
フラッシュ5の背面のガイドナンバ設定スイッチ331はフラッシュ5の発光量をあらわすガイドナンバを設定するスイッチである。このスイッチによりガイドナンバを、例えば64、32、16というように設定できる。
【0087】
フラッシュ5の背面には、後で詳しく説明する本実施形態の人体通信を開始するための操作部材である通信開始ボタン303aが設けられている。通信開始ボタン303aを押すとフラッシュ5の設定情報を人体を介して撮像装置10に送信する。通信開始ボタン303aの表面には、通信開始ボタン303aを押すと指と接触するように電極A 301が設けられている。また、フラッシュ5の正面部の筐体裏側には人体を介して通信するためのもう一方の電極B 302が設けられている。
【0088】
なお、通信開始ボタン303aの位置は本実施の形態に限定されるものではなく、操作を妨げない位置であれば、フラッシュ5の上面や側面などに配置しても良い。電極A 301、電極B 302も同様であり、電極A 301はフラッシュ5が撮像装置10と通信時に指など人体に接触するように配置されれば良く、通信開始ボタン303a上に限定されるものではない。一方、電極B 302はフラッシュ5がカメラ本体2と通信時に、人体の近くで人体に接触しない位置に配置されれば良く、発光部333の内側などに配置しても良い。
【0089】
表示部334は各種設定値を表示する表示部、発光部333はフラッシュ5の発光部である。
【0090】
図9は本発明の第1の実施形態における、撮像システムを構成するフラッシュ5のブロック図である。なお、これまでの図に示したものと同じ構成要素には、同符号を付して説明を省略する。
【0091】
フラッシュ5は、発光部333のほか、フラッシュ5全体を制御するフラッシュマイコン部320、本実施形態のチャンネル設定手段であるチャンネル設定スイッチ330、本実施形態のガイドナンバ設定手段であるガイドナンバ設定スイッチ331、操作部材である操作ボタン303aと、操作ボタン303aに連動する通信開始スイッチ303、人体を介しての送信手段である送信部300、などから構成され、フラッシュマイコン部320が各部を制御している。
【0092】
フラッシュマイコン部320はフラッシュCPU321、フラッシュRAM322、フラッシュROM323等から構成され、不揮発性の記憶部であるフラッシュROM323に記憶されているプログラムをフラッシュRAM322に読み出し、当該プログラムに従って発光部322、操作ボタン303a、送信部300を含むフラッシュ5の各部を集中制御する。
【0093】
フラッシュマイコン部320は、チャンネル設定スイッチ330、ガイドナンバ設定スイッチ331にアクセスし、設定状態を読みとって、フラッシュRAM322に記憶する。フラッシュRAM322は本実施形態における第1の記憶手段である。
【0094】
送信部300は本実施形態における送信手段である。図1で説明したように、送信部300と接続される電極A301、電極B302とカメラ1の受信部200に接続される電極C201、電極D202の間で人体を介して通信が行われる。フラッシュマイコン部320の人体通信送信制御部325はフラッシュRAM322に記憶した情報を、送信部300を制御して送信する。
【0095】
図6(b)の操作ボタン303aのように、通信開始スイッチ303の操作ボタン303aに人体と接触する電極A 301を形成した実施形態を説明する。通信を開始するために通信開始スイッチ303を押して、人体(指)が操作ボタン303aに触れると、電極A 301と人体を介して信号を送信または受信できるようになっている。
【0096】
図1に示すように、送信部300は、人体に対するインピーダンス値が小さい送信電極である電極A 301と、それに比較してインピーダンス値が大きい送信電極である電極B 302を備えている。
【0097】
送信部300は搬送波周波数を発生するPLL等の発振手段304と、その搬送波周波数に重畳して変調信号を生成する変調手段305と、変調信号に対応する電圧を印加する電圧印加手段306と、を備えている。
【0098】
通信開始スイッチ303はフラッシュマイコン部320に接続されている。フラッシュマイコン部320の人体通信送信制御部325が通信開始スイッチ303がONになったことを検知すると、図示せぬ電源部が送信部の給電を開始するように制御する。
【0099】
人体通信送信制御部325の出力端子は変調手段305に接続されている。人体通信送信制御部325がフラッシュRAM322から読み出したチャンネル設定情報などの出力信号は、変調手段305で変調され、伝送信号として伝送されるようになっている。
【0100】
また、送信部300には、回路の基準電位となる回路グランド(図示せず)が設けられるが、この回路グランドを電極A 301、又は電極B 302のいずれか一方として形成すれば、別途回路グランドの電極を設けなくてもよい。
【0101】
図10は、本発明の第2の実施形態における、撮像システムを構成するリモートコントローラ6の外観図である。図10(a)は正面図、図10(b)は背面図である。なお、これまでの図に示したものと同じ構成要素には、同符号を付して説明を省略する。
【0102】
リモートコントローラ6は赤外線による無線通信機能を有し、赤外線通信発光部433から撮像装置10の赤外線受光部44に向けて、あらかじめ赤外線の発光間隔により定められている指令を送信する。
【0103】
リモートコントローラ6の背面のチャンネル設定スイッチ330は、リモートコントローラ6による赤外線による無線通信のチャンネルを設定するスイッチであり、フラッシュ光による無線通信の場合と同様に、混信を避けるため少なくとも2つ以上のチャンネルを設定できる。送信側のリモートコントローラ6と受信側の撮像装置10が同じチャンネルに設定されていなければ、撮像装置10は受信しない。
【0104】
通信を開始するにあたっては、リモートコントローラ6は最初にチャンネル識別信号を発光する。チャンネル識別信号は、例えばAチャンネルの場合は5ms間隔で2回発光、Bチャンネルの場合は10ms間隔で2回発光というように、あらかじめ決められており、チャンネル識別信号を受光した撮像装置10は、発光の時間間隔からチャンネルを識別し、RAM75に記憶されている設定情報と一致する場合だけ以降の指令を受信する。
【0105】
リモートコントローラ6の正面には、図7で説明した303aが設けられている。通信開始ボタン303aを押すとリモートコントローラ6のチャンネル設定情報を人体を介して撮像装置10に送信する。通信開始ボタン303aの表面には、通信開始ボタン303aを押すと指と接触するように電極A 301が設けられている。また、リモートコントローラ6の背面部の筐体裏側には人体を介して通信するためのもう一方の電極B 302が設けられている。
【0106】
なお、通信開始ボタン303の位置は本実施の形態に限定されるものではなく、操作を妨げない位置であれば、リモートコントローラ6の上面や側面などに配置しても良い。電極A 301、電極B 302も同様であり、電極A 301はリモートコントローラ6が撮像装置10と通信時に指など人体に接触するように配置されれば良く、通信開始ボタン303a上に限定されるものではない。一方、電極B 302はフラッシュ5がカメラ本体2と通信時に、人体の近くで人体に接触しない位置に配置されれば良い。
【0107】
図11は本発明の第2の実施形態における、撮像システムを構成するリモートコントローラ6のブロック図である。なお、これまでの図に示したものと同じ構成要素には、同符号を付して説明を省略する。
【0108】
リモートコントローラ6は、赤外線通信発光部433のほか、リモートコントローラ6全体を制御するリモコンマイコン部520、本実施形態のチャンネル設定手段であるチャンネル設定スイッチ330、操作部材である操作ボタン303aと、操作ボタン303aに連動する通信開始スイッチ303、人体を介しての送信手段である送信部300、リモコンキー531などから構成され、リモコンマイコン部320が各部を制御している。
【0109】
リモコンマイコン部520はリモコンCPU521、リモコンRAM522、リモコンROM523等から構成され、不揮発性の記憶部であるリモコンROM523に記憶されているプログラムをリモコンRAM522に読み出し、当該プログラムに従って赤外線通信発光部433、リモコンキー531、送信部300を含むリモートコントローラ6の各部を集中制御する。
【0110】
リモコンマイコン部520は、チャンネル設定スイッチ330にアクセスし、設定状態を読みとって、リモコンRAM522に記憶する。リモコンRAM522は第2の実施形態における第1の記憶手段である。
【0111】
送信部300は第2の実施形態における送信手段である。図1で説明したように、送信部300と接続される電極A301、電極B302とカメラ1の受信部200に接続される電極C201、電極D202の間で人体を介して通信が行われる。リモコンマイコン部520の人体通信送信制御部325はリモコンRAM522に記憶した情報を、送信部300を制御して送信する。
【0112】
図12は、本発明の第3の実施形態における、撮像システムを構成する測光用メータ7の外観図である。図12(a)は正面図、図12(b)は背面図である。なお、これまでの図に示したものと同じ構成要素には、同符号を付して説明を省略する。
【0113】
測光用メータ7は図10で説明した赤外線通信発光部433による無線通信機能を有している。測光用メータ7の背面のチャンネル設定スイッチ330は、測光用メータ7による赤外線による無線通信のチャンネルを設定するスイッチである。
【0114】
測光用メータ7の正面には、図7で説明した通信開始ボタン303aが設けられている。また、通信開始ボタン303aの表面には、通信開始ボタン303aを押すと指と接触するように電極A 301が設けられている。測光用メータ7の背面部の筐体裏側には人体を介して通信するためのもう一方の電極B 302が設けられている。
【0115】
なお、通信開始ボタン303aの位置は本実施の形態に限定されるものではなく、操作を妨げない位置であれば、測光用メータ7の上面や側面などに配置しても良い。電極A 301、電極B 302も同様であり、電極A 301は測光用メータ7が撮像装置10と通信時に指など人体に接触するように配置されれば良く、通信開始ボタン303上に限定されるものではない。一方、電極B 302はフラッシュ5がカメラ本体2と通信時に、人体の近くで人体に接触しない位置に配置されれば良い。
【0116】
図13は本発明の第3の実施形態における、撮像システムを構成する周辺機器である測光用メータ7のブロック図である。なお、これまでの図に示したものと同じ構成要素には、同符号を付して説明を省略する。
【0117】
測光用メータ7は、赤外線通信発光部433のほか、測光用メータ7全体を制御するメータマイコン部420、本実施形態のチャンネル設定手段であるチャンネル設定スイッチ330、操作部材である操作ボタン303aと、操作ボタン303aに連動する通信開始スイッチ303、人体を介しての送信手段である送信部300、測光開始スイッチ431などから構成され、メータマイコン部420が各部を制御している。
【0118】
メータマイコン部420はメータCPU421、メータRAM422、メータROM423等から構成され、不揮発性の記憶部であるメータROM423に記憶されているプログラムをメータRAM422に読み出し、当該プログラムに従って赤外線通信発光部433、測光開始スイッチ431、送信部300を含む測光用メータ7の各部を集中制御する。
【0119】
メータマイコン部420は、チャンネル設定スイッチ330にアクセスし、設定状態を読みとって、メータRAM422に記憶する。メータRAM422は第3の実施形態における第1の記憶手段である。
【0120】
送信部300は第3の実施形態における送信手段である。図1で説明したように、送信部300と接続される電極A301、電極B302とカメラ1の受信部200に接続される電極C201、電極D202の間で人体を介して通信が行われる。メータマイコン部420の人体通信送信制御部325はメータRAM422に記憶した情報を、送信部300を制御して送信する。
【0121】
測光部432は光電変換素子を内蔵し、光量に応じた電圧を出力する。測光部432の接続されたメータマイコン部420は、内蔵するA/D変換器により測光部432の出力電圧をデジタル値に変換し、測光値とする。測光開始スイッチ431がオンになると、メータマイコン部420は測光部432の出力電圧を測光値としてメータRAM422に記憶する。通信開始スイッチ303がオンになると、メータRAM422に記憶された測光値を、赤外線通信発光部433により赤外線信号に変調して送信する。
【0122】
図14は、本発明の第4の実施形態における、情報伝達装置8の外観図である。図15は、本発明の第4の実施形態における、情報伝達装置8を使った情報伝達を説明する説明図である。なお、これまでの図に示したものと同じ構成要素には、同符号を付して説明を省略する。
【0123】
図14(a)は正面図、図14(b)は背面図である。情報伝達装置8の正面には、送信ボタン501、受信ボタン502が設けられている。送信ボタン501の表面には、送信ボタン501を押すと指と接触するように電極A 301が設けられている。受信ボタン502の表面には、受信ボタン502を押すと指と接触するように電極C 201が設けられている。
【0124】
情報伝達装置8の背面部には人体を介して通信するためのもう一方の電極B 302と電極D 202が設けられている。
【0125】
図15を用いて、情報伝達装置8の機能を説明する。
【0126】
情報伝達装置8は周辺機器と撮像装置10との間の人体通信を中継するための装置である。例えば図15のように、フラッシュ5と撮像装置10が、手の届かない位置にそれぞれ三脚に固定されている場合などでは、どちらかを三脚から取り外さないと人体通信を行うことができない。
【0127】
このようなとき、図15(a)のように撮影者は情報伝達装置8を持ってフラッシュ5の通信開始ボタン303aを押し、人体通信によってフラッシュ5の設定情報を情報伝達装置8に記憶させる。
【0128】
次に撮影者は図15(b)のように情報伝達装置8を持って、撮像装置10のシャッタボタン61を半押しして、情報伝達装置8に記憶した設定情報を、人体通信により撮像装置10に送信する。
【0129】
図16は本発明の第4の実施形態における、情報伝達装置8のブロック図である。なお、これまでの図に示したものと同じ構成要素には、同符号を付して説明を省略する。
【0130】
情報伝達装置8は、情報伝達装置8全体を制御する伝達機マイコン部620、送信ボタン501に連動する通信開始スイッチ303、受信ボタン502に連動する受信スイッチ503、人体を介しての送信手段である送信部300、人体を介しての第1の受信手段である受信部200、などから構成され、伝達機マイコン部620が各部を制御している。
【0131】
伝達機マイコン部620は伝達機CPU621、本実施形態の第3の記憶手段である伝達機RAM622、伝達機ROM623等から構成され、不揮発性の記憶部である伝達機ROM623に記憶されているプログラムを伝達機RAM622に読み出し、当該プログラムに従って情報伝達装置8の各部を集中制御する。
【0132】
伝達機マイコン部620の人体通信受信制御部73は、受信スイッチ503がONになると、他の機器の送信部300から人体通信で送信された信号を、情報伝達装置8の受信部200で受信し、伝達機RAM622に記憶する。
【0133】
伝達機マイコン部620の人体通信送信制御部325は伝達機RAM622に記憶された情報を、送信部300を制御して送信する。
【0134】
図17は本発明の実施の形態における、周辺機器が行うデータ送信の概略の手順を説明するフローチャートである。
【0135】
図17(a)は本発明の実施の形態における周辺機器が、設定情報を送信する概略の手順を説明するフローチャートである。図17(b)は、前記周辺機器が、設定情報を送信するときに起動するサブルーチンである情報送信ルーチンの送信手順を説明するフローチャートである。
【0136】
本実施の形態では、人体通信送信制御部325は、内部タイマーにより一定時間間隔で通信監視スイッチ302の状態を監視し、通信監視スイッチ302をONにすると、人体を介しての伝送信号を受信可能となり、通信を開始するものとする。
【0137】
図17(a)のステップS100において、人体通信送信制御部325は通信開始スイッチ302がONであることを検知したものとする(ステップS100)。人体通信送信制御部325は、サブルーチンである情報送信ルーチンを起動する(ステップS101)。情報送信ルーチンが終了すると、設定情報の送信が完了する。
【0138】
次に図17(b)を用いて、情報送信ルーチンの概略の手順を説明する。
【0139】
情報送信ルーチンが起動すると、人体通信送信制御部325は送信部300の図示せぬ電源をONにし、周辺機器の情報と設定情報の数Nの情報を含むデータ送信開始信号を人体を介して送信する(ステップS102)。設定情報は周辺機器がフラッシュ5の場合はチャンネル設定情報、ガイドナンバ設定情報、機器情報などであり、各データを2バイトデータとして送信する。各データを識別するため、送信する順に固有の番号Nを割り当てている。例えばデータ1はチャンネル設定情報、データ2はガイドナンバ設定情報、データ3は機器情報である。
【0140】
ステップS103では人体通信送信制御部325は内部の第1の記憶手段であるフラッシュRAM322のデータ1を読み出し、送信部300から変調信号を人体を介して送信する(ステップS103)。ステップS104までの間、データ2〜Nまで順次送信する(ステップS104)。
【0141】
データNまで送信を終えると、人体通信送信制御部325はデータ送信終了信号を送信する(ステップS105)。これで、データ1〜Nの送信は終了し、メインルーチンに戻って終了する。
【0142】
本実施の形態では通信開始スイッチ303を設け、通信開始スイッチ303がONの場合にデータを送信するように構成しているが、通信開始スイッチ303を無くしてステップS101を省略し、常にデータを繰り返し送信するようにしても良い。
【0143】
図18は本発明の実施形態における、撮像装置10が行うデータ受信の概略の手順を説明するフローチャートである。このとき、操作者は例えば右手で撮像装置10のグリップ部205を握り、電極A 301に指が触れている状態であり、もう一方の手には周辺機器であるフラッシュ5、またはリモートコントローラ6、または測光用メータ7、または情報伝達装置8を持ち通信開始スイッチ303を押しているものとする。また、本実施の形態では、メインマイコン部79は、内部タイマーにより一定時間間隔でシャッタボタン112の状態を監視し、シャッタボタン112を半押し(SW1 181 ON)にすると、人体を介しての伝送信号を受信可能となり、通信を開始するものとする。
【0144】
ステップS301において、人体通信受信制御部73はシャッタボタン61が半押し(SW1 181 ON)であることを検知したものとする。人体通信受信制御部73は、後で詳しく説明する情報受信ルーチンを起動する(ステップS302)。情報受信ルーチンが実行されると、RAM75には周辺機器の設定情報が記憶されている。設定情報はフラッシュ5の場合は、チャンネル設定情報、ガイドナンバ情報、機器情報である。
【0145】
リモートコントローラ6、測光用メータ7の場合は、チャンネル設定情報、ガイドナンバ情報、機器情報である。機器情報はフラッシュ5など各周辺機器を示す固有の情報であり、チャンネル設定情報などは機器毎にRAM75内の所定の場所に記憶される。情報伝達装置8の場合は、情報伝達装置8以外の周辺機器の設定情報を伝達する。
【0146】
無線通信制御部71は、RAM75内に記憶されている各周辺機器ごとのチャンネル設定情報を読み出して、各周辺機器ごとの無線通信のチャンネルを設定する(ステップS303)。これで、人体を介しての情報受信は終了である。メインマイコン部79は、以降受信した設定情報に基づいて、所定の制御を行う。
【0147】
なお、本実施の形態では操作者がシャッタボタン61を半押し(SW1 181 ON)にしたとき、受信部200が受信を開始するようにしているが、受信を開始する操作部材はシャッタボタン61に限定されるものではなく、そのほかスイッチやボタンでも良い。また、電極C201をシャッタボタン61などの操作部材表面に形成しても良い。さらに、スイッチやボタンの操作に関係なく常時受信部200が受信するようにしても良い。
【0148】
図19は本発明の第4の実施形態における、情報伝達装置8が行うデータ受信の概略の手順を説明するフローチャートである。
【0149】
図19のステップS350において、人体通信受信制御部73は、受信スイッチ503がONか、どうか、判定する(ステップS350)。受信スイッチ503がONの場合(ステップS350;Yes)、情報受信ルーチンを起動し(ステップS302)、処理が終了するとステップS350に戻る。
【0150】
受信スイッチ503がOFFの場合(ステップS350;No)、人体通信送信制御部325は、通信開始スイッチ303がONか、どうか、判定する(ステップS351)。通信開始スイッチ303がONの場合(ステップS351;Yes)、情報送信ルーチンを起動し(ステップS101)、処理が終了するとステップS350に戻る。通信開始スイッチ303がOFFの場合(ステップS351;No)、ステップS350に戻る。

【0151】
図20は本発明の実施の形態における、人体を介して情報を受信するサブルーチンである情報受信ルーチンの手順を説明するフローチャートである。
【0152】
情報受信ルーチンが起動されると、受信失敗の回数を表す変数Mを初期化し、0とする(ステップS401)。次に、変数Mを取得し(ステップS402)、M=3かどうか、判定する。(ステップS403)。M<3、すなわち受信失敗回数が3回未満のとき、ステップS405に進む(ステップS403;No)。
【0153】
情報送信開始信号を所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS405;No)、M=M+1とし、ステップS402に戻る(ステップS413)。
【0154】
情報送信開始信号を所定時間以内に受信できたときは(ステップS405;Yes)、情報送信開始信号に含まれる情報の種類と数の情報を得て、データ1を受信する(ステップS406)。データ1は例えばチャンネル設定情報である。
【0155】
データ1を所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS407;No)、M=M+1とし、ステップS402に戻る(ステップS413)。
【0156】
データ1を所定時間以内に受信できたときは(ステップS407;Yes)受信したデータ、すなわちデータ1をRAM75に記憶する(ステップS408)。
【0157】
同様に、データNまで同じ手順で受信し、RAM75に記憶する。
【0158】
データNを受信し(ステップS409)、データNを所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS410;No)、M=M+1とし、ステップS402に戻る(ステップS413)。
【0159】
データNを所定時間以内に受信できたときは(ステップS410;Yes)、受信したデータを順にRAM75に記憶する(ステップS411)。
【0160】
次にデータ終了信号を受信する(ステップS412)。データ終了信号を所定時間以内に受信できなかったときは(ステップS414;No)、M=M+1とし、ステップS402に戻る(ステップS413)。
【0161】
データ終了信号を所定時間以内に受信できたときは(ステップS414;Yes)、処理を終了し、元のメインルーチンに戻る。このとき、メインマイコン部79は設定情報であるデータ1〜Nをすべて受信し、各情報は第2の記憶手段であるRAM75に記憶されている。
【0162】
ステップS403において、M=3、すなわち3回受信に失敗したとき(ステップS403;Yes)、受信不能と判定し、メインマイコン部79はエラー処理を行う(ステップS404)。メインマイコン部79はエラー処理として、たとえばRAM75の所定の場所に受信不能を示す情報を記録する。
【0163】
以上のように本実施の形態によれば、人物が周辺機器とカメラに触れることにより、周辺機器の設定情報をカメラ本体に伝送し、カメラ側の設定を行うことができるので、操作性の良い撮像システムを提供できる。
【0164】
なお、本実施形態としてデジタルカメラを例示したが、銀塩カメラやビデオカメラなどにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の実施の形態における伝送経路を説明する説明図である。
【図2】2つの伝送経路を、上記のインピーダンス値を用いて等価回路で表現した等価回路図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る撮像装置10の外観図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る撮像装置10の背面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る撮像システム1と、撮像システム1を構成する撮像装置10の主たる機能構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態における受信手段である受信部200を説明するブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における、撮像システムを構成するフラッシュ5の外観図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における、マルチフラッシュ撮影時の無線通信を説明するための説明図である
【図9】本発明の第1の実施形態における、撮像システムを構成するフラッシュ5のブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における、撮像システムを構成するリモートコントローラ6の外観図である。
【図11】本発明の第2の実施形態における、撮像システムを構成するリモートコントローラ6のブロック図である。
【図12】本発明の第3の実施形態における、撮像システムを構成する測光用メータ7の外観図である。
【図13】本発明の第3の実施形態における、撮像システムを構成する周辺機器である測光用メータ7のブロック図である。
【図14】本発明の第4の実施形態における、情報伝達装置8の外観図である。
【図15】本発明の第4の実施形態における、情報伝達装置8を使った情報伝達を説明する説明図である。
【図16】本発明の第4の実施形態における、情報伝達装置8のブロック図である。
【図17】本発明の実施形態における、周辺機器がが行うデータ送信の概略の手順を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態における、撮像装置10が行うデータ受信の概略の手順を説明するフローチャートである。
【図19】本発明の第4の実施形態における、情報伝達装置8が行うデータ受信の概略の手順を説明するフローチャートである。
【図20】本発明の実施の形態における、像装置10が行う情報受信ルーチンの手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0166】
1 撮像システム
3 交換レンズ
5 フラッシュ
6 リモートコントローラ
7 測光用メータ
8 情報伝達装置
10 撮像装置
79 メインマイコン部
200 受信部
201 電極C
202 電極D
300 送信部
301 電極A
302 電極B
303 通信開始スイッチ
320 フラッシュマイコン部
420 メータマイコン部
520 リモコンマイコン部
620 伝達機マイコン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と、
該撮像装置の有する無線通信手段と無線通信が可能な周辺機器と、
から構成される撮像システムであって、
前記周辺機器は、
前記周辺機器の設定情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された設定情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有し、
前記撮像装置は、
前記送信手段から人体を介して送信された前記設定情報を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した前記設定情報を記憶する第2の記憶手段を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記撮像装置は、
前記第2の記憶手段に記憶された前記設定情報に基づいて、
前記周辺機器と無線通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記周辺機器は、
少なくとも2つ以上の無線通信のチャンネルを設定するチャンネル設定手段を有し、
前記第1の記憶手段に記憶された設定情報は、前記チャンネル設定手段で設定したチャンネル情報である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記周辺機器は、
フラッシュであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記周辺機器は、
リモートコントローラであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記周辺機器は、
測光用メータであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記撮像装置は、
前記第2の記憶手段に記憶された前記設定情報に基づいて、
前記周辺機器の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記周辺機器はフラッシュであり、
前記設定情報は、
前記フラッシュの有するガイドナンバ設定手段で設定したガイドナンバ情報であることを特徴とする請求項7に記載の撮像システム。
【請求項9】
撮像装置と、
該撮像装置と人体を介して通信可能な周辺機器、
から構成される撮像システムに用いられる情報伝達装置であって、
前記周辺機器の送信手段から、人体を介して送信された設定情報を、
受信して復調する受信手段と、
前記受信手段で復調した設定情報を記憶する第3の記憶手段と、
前記第3の記憶手段に記憶された設定情報を変調し、人体を介して送信する送信手段を有することを特徴とする情報伝達装置。
【請求項10】
撮像装置と、
該撮像装置の有する無線通信手段と通信可能な周辺機器と、
から構成される撮像システムに用いられる撮像装置であって、
前記撮像装置は、
前記周辺機器から人体を介して送信された情報を、受信して復調する受信手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記撮像装置は、
シャッタボタンと、
情報の受信を制御する情報受信制御手段を有し、
前記情報受信制御手段はシャッタボタンの操作を検知して、前記情報の受信を開始するように制御する、
ことを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記シャッタボタンは、
人体と接触する電極部を有し、
前記電極部を介して前記情報を受信することを特徴とする請求項10または11に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−53664(P2007−53664A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238562(P2005−238562)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】