説明

撮像センサ

【課題】 OPLFを用いることなく結像光学系の光学特性を活かした撮像装置を実現することのできる撮像センサを提供する。
【解決手段】 撮像センサはR,G,Bの三原色に感度を有する3種類の複数の受光素子がベイヤー型に配置された受光部を有している。受光部は画素位置(i,j)にフォトダイオードからなる受光素子PDij(i=1,2,…、j=1,2,…)を配置し、R,G,Bの各色毎に、同一色の隣り合う4個の受光素子PDijをそれぞれ1つのフローティングディフュージョンアンプからなる増幅回路FDA(q)(q=R,G,B)に接続した構成となっている。各増幅回路FDA(q)は対応する色の出力ラインLR,LG,LBに接続されている。露光によって各受光素子PDijで得られた電気信号は、各色毎に、隣り合う4個の電気信号が増幅回路FDA(q)で加算されて出力ラインLR,LG,LBから順次、出力される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光像を電気信号に変換してカラー画像を得る単板式カラー撮像センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図31は従来の単板式カラー撮像センサを用いた撮像装置の概略構成を示す図であり、図32は単板式カラー撮像センサの各画素に設けられた色フィルタの配列を示す図である。
【0003】撮像装置100は、結像光学系101、光学ローパスフィルタ102(以下、OPLFという。)、撮像センサ103、信号処理部104及び画像メモリ105を備えている。
【0004】撮像センサ103は、単板式カラー撮像センサからなり、各画素には図32に示すように、色フィルタ103R,103G,103Bが設けられている。画素位置を(i,j)で表すとすると、Gの色フィルタは、(2k−1,2h)(但し、k=1,2,…(n+1)/2、h=1,2,…(m−1)/2),(2k,2h−1)(但し、k=1,2,…(n−1)/2、h=1,2,…(m+1)/2)の画素に設けられ、Rの色フィルタは(2k−1,2h−1)(但し、k=1,2,…(n+1)/2、h=1,2,…(m+1)/2)の画素に設けられ、Bの色フィルタは(2k,2h)(但し、k=1,2,…(n−1)/2、h=1,2,…(m−1)/2)の画素に設けられている。被写体光像は結像光学系101により撮像センサ103の撮像面に結像され、撮像センサ103を所定時間だけ露光することによりその露光光量が画像信号に光電変換され、カラーの電気画像として取り込まれる。そして、画像信号は、色成分毎に信号処理部104で所定の信号処理(サンプリングノイズの低減、信号レベルの調整、A/D変換、ホワイトバランス調整、γ補正等)が行なわれた後、画像メモリ105に記憶される。
【0005】単板式カラー撮像センサは撮像面にR,G,Bの色成分を受光する画素が所定のピッチで離散的に配列されているため、各色成分の画像信号は当該撮像面に結像される光像を二次元的にサンプリングしたものとなる。従って、単板式カラー撮像センサから出力される各色成分の画像信号には当該サンプリングに伴う折り返し歪みが生じる。そこで、かかる不具合を低減するため、結像光学系101と撮像センサ103との間に当該撮像センサ103に結像される光像の高周波成分のうち、サンプリング周波数fsの1/2以上の成分を除去するOPLF102が設けられている。
【0006】一般に、図33に示すように、複数の画素gが格子状に配列された撮像センサ103で明暗が正弦波状に変化する縦縞光像106を受光した場合、各画素の出力信号(以下、画素信号という。)のレベルは、当該画素gの受光面における平均像面照度Iaveに対応する。
【0007】図34は、撮像センサ103の各画素の受光面における平均像面照度Iaveを算出するための一次元モデルを示す図である。
【0008】同図に示すモデルは、複数の画素gが横方向に一列に並び、これらの画素gに対して周波数fで明暗が正弦波状に変化する光像106が、当該光像106のピークが中央の画素g(図中、斜線で示す画素)の中心に一致するように照射されているものである。同図において、横方向の画素ピッチをPs、サンプリング周波数をfs(=1/Ps)、画素ピッチPsに対する画素gの横方向寸法の比率(画素開口率)をa、中央の画素gの中心を横方向の位置xの座標基準0として周波数fで明暗が変化する縦縞光像106の像面照度の特性をy=cos(2πfx)とすると、中央の画素gの受光面における平均像面照度Iaveは、下記(1)式のようになる。
【0009】
【数1】


【0010】上記(1)式は、縦縞光像106の明暗の周波数fの関数であるから、撮像センサ103の出力信号の周波数応答特性Rs(f)を示すものである。
【0011】そして、a=1.0とし、上記(1)式を用いて画素開口率aが最大の場合の周波数応答特性Rs(f)を算出すると、図35の特性■のようになる。
【0012】周知のように、信号の標本化において、標本化定理(周波数帯域Wで制限された信号は、2W以上の周波数でサンプリングすれば、サンプリング値から元の信号が完全に復元できるという定理)が満足されない場合、復調した信号に折り返し成分が混入する。このことは、例えば図33の例においては、縦縞光像106の周波数成分のうち、fs/2以上の成分が撮像センサ103で撮影した画像に混入することを意味している。従って、撮像センサ103に結像される光像の周波数成分のうち、fs/2以上の成分を除去して撮影画像に折り返し歪みが混入しないようにする必要がある。
【0013】図32のようにモザイク状に色フィルタが配列された単板式カラー撮像センサ103においては、例えば横方向の隣接する画素のピッチをPHとすると、Gの画素の横の配列ピッチPHGはPHG=PHとなり、R,Bの画素の横の配列ピッチPHR,PHBはPHR=PHB=2PHとなる。すなわち、Gの色成分については、横方向のサンプリング周波数fHGは画素ピッチPHに基づくサンプリング周波数fH(=1/PH)に等しく、R,Bの色成分については、横方向のサンプリング周波数fHR,fHBはfH/2に等しい。
【0014】従って、上記(1)式にfs=fHを代入すれば、Gの色成分の周波数応答特性RSG(f)が下記(2)のように得られ、上記(1)式にfs=fH/2を代入すれば、R,Gの色成分の周波数応答特性RSR(f),RSB(f)が下記(3)式のように得られる。
【0015】
【数2】


【0016】そして、例えば撮像センサ103で縦縞光像106を撮影した場合、Gの色成分は、縦縞光像106の周波数成分のうち、fH/2までが撮影画像として再現され、fH/2以上の周波数成分は折り返し成分となる。すなわち、図35において、fs=fHとすると、特性■はGの色成分に対する周波数応答特性RSG(f)となるが、0.5≦f/fH<1.0の部分は特性■に示すように折り返し成分となって0≦f/fH≦0.5の周波数応答特性に混入することになる。また、図35において、fs=fH/2とすると、特性■はR,Bの色成分に対する周波数応答特性RHG(f)となるが、0.5≦2f/fH<1.0の部分、すなわち、0.25≦f/fH<0.5の部分は特性■に示すように折り返し成分となって0≦f/fH≦0.25の周波数応答特性に混入することになる。
【0017】単板式カラー撮像センサ103の画素毎にマイクロレンズを設けて画素開口率aを大きくすれば、Gの色成分の折り返し歪みは問題とならない程度に小さくすることができるが、図35に示すように、R,Bの色成分の折り返し成分は大きいため、十分に抑制することはできず、却ってR,Bの色成分の折り返し成分による偽解像が強くなる。このため、従来の撮像装置100では、図36に示すcos(πf/fs)の周波数応答特性ROPLF(f)を有する複屈折を利用したOPLF102を設け、撮像面に結像される光像の折り返し成分を効果的に減衰させるようにしている。
【0018】なお、OPLF102の周波数応答特性ROPLF(f)は、以下のように算出される。
【0019】すなわち、図37に示すように、結合光学系101を透過した光線は、OPLF102によって2つに分離され、撮像センサ103に結像される。図34の例において、y=cos(2πfx)の周波数特性を有する縦縞光像106が、図38に示すように、OPLF102によって±d/2だけずれて撮像センサ103に照射されるとすると、両光像の平均値が撮像センサ103の撮像面に照射された光像となる。
【0020】+d/2ずれた光像の周波数特性■はy=cos[2πf(x−d/2)]、−d/2ずれた光像の周波数特性■はy=cos[2πf(x+d/2)]であるから、両光像の平均値の周波数特性はy=〔cos[2πf(x−d/2)]+cos[2πf(x+d/2)]〕/2=cos(πfd)・cos(2πfx)となる。すなわち、OPLF102は、入射する縦縞光像106をゲインcos(πfd)で増幅するフィルタとなる。従って、光像の分離量dをPs(=1/fs)に設定すると、上述したOPLF102の周波数応答特性ROPLF(f)=cos(πf/fs)が得られる。
【0021】結像光学系101が、R,G,Bの各色成分に対して図39に示す周波数応答特性Ropt(f)を有しているとすると、例えば撮像装置100全体としての周波数特性RR(f),RG(f),RB(f)は、図35に示す撮像センサ103の周波数応答特性Rs(f)に結像光学系101の周波数応答特性Ropt(f)と図36に示すOPLF102の周波数応答特性ROPLF(f)とを掛け合わせた特性となるから、図40に示すようになる。
【0022】図40から明らかなように、0.5≦2f/fs<1.0では周波数特性R(f)が略0となり、この部分の折り返し成分が0≦f/fs≦0.5の周波数応答に混入しないようになっている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の撮像装置では、結像光学系101と撮像センサ103との間にOPLF102を設けて、結像光学系101によって撮像センサ103の撮像面に結像される光像の折り返し成分を低減するようにしているので、撮像装置100の部品点数が多く、コスト的に不利である。
【0024】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、OPLFを用いることなく結像光学系の光学特性を活かした撮像装置を実現することのできる撮像センサを提供するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、互いに異なる色に感度を有する少なくとも2種類の複数の受光素子が水平方向及び垂直方向に同一色が隣接しないように交互に配置されてなる受光部を備えた撮像センサであって、露光によって上記受光部の各受光素子で得られた電荷を、各色毎に、隣り合う所定数の電荷毎に統合する電荷統合手段と、上記電荷統合手段で統合された電荷を、各色に分離して外部に順次、読み出す電荷読出手段とを備えたものである。
【0026】なお、上記電荷統合手段で統合される電荷の所定数は4の整数倍の数にするとよい(請求項2)。また、上記電荷統合手段で統合される電荷を発生する所定数の受光素子は二次元的に配置されているとよい(請求項3)。また、上記受光部は赤、緑、青の三原色に感度を有する3種類の複数の受光素子をベイヤー型に配置したものであるとよい(請求項4)。
【0027】上記構成によれば、露光によって受光部の各受光素子で得られた電荷は、各色毎に、隣り合う所定数の電荷毎に統合される。そして、統合された電荷は順次、外部に読み出される。ここに、「統合」とは、所定数の電荷を1つにすることをいい、当該電荷が電圧信号として扱われる場合の各電圧レベルを加算し、必要に応じて増幅する処理や当該電荷が電荷量として扱われる場合の各電荷量を加算する処理を含む。
【0028】例えば受光部が赤、緑、青の三原色に感度を有する3種類の複数の受光素子をベイヤー型に配置したものでは、各色毎に、例えば二次元的に隣り合って配置された4個の受光素子を一組として、各組毎に4個の受光素子で得られた電荷が統合される。そして、統合された各組の電荷は順次、色分離されて外部に読み出される。
【0029】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された撮像装置において、上記電荷統合手段は、統合すべき電荷を発生する所定数の受光素子が接続され、当該所定数の受光素子で得られた電荷を電圧に変換して加算するフローティングディフュージョンアンプからなり、上記電荷読出手段は、上記フローティングディフュージョンアンプからの電圧信号の出力を制御するものである。
【0030】上記構成によれば、統合すべき電荷を発生する所定数の受光素子はそれぞれフローティングディフュージョンアンプに接続されており、露光によってこれらの受光素子で得られた電荷はフローティングディフュージョンアンプで電圧信号に変換されて加算(ゲインが設定されている場合は、併せて増幅)される。そして、フローティングディフュージョンアンプからの電圧信号の出力を制御することにより、統合された電荷に対応する電圧信号が、色分離されて順次、外部に出力される。
【0031】請求項6記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された撮像装置において、上記受光素子の列毎に隣設され、各列の受光素子で得られた電荷を垂直方向に順次、転送する複数の垂直転送手段と、上記複数の垂直転送手段の下端に設けられ、当該垂直転送手段で転送された電荷を水平方向に順次、転送して外部に出力する水平転送手段と、各列の上記受光素子で得られた電荷を、統合すべき電荷が加算されるタイミングで順次、上記垂直転送手段に転送させ、且つ、各垂直転送手段で転送される電荷を、統合すべき加算された電荷が同時に上記水平転送手段に到達するように、上記電荷の垂直転送手段への転送および当該垂直転送手段での電荷の転送を制御する第1の転送制御手段と、上記各垂直転送手段で順次、転送された統合すべき複数の加算された電荷を更に加算するように、上記水平転送手段での電荷の転送を制御する第2の転送制御手段とからなり、上記電荷読出手段は、上記水平転送手段で加算された電荷を順次、外部に出力するものである。
【0032】例えば受光部が赤、緑、青の三原色に感度を有する3種類の複数の受光素子をベイヤー型に配置したもので、各色毎に、例えば二次元的に隣り合って配置された4個の受光素子を一組として、当該4個の受光素子で得られた電荷が統合される場合の、2行2列に配列されている4個一組のRの受光素子R11,R12,R13,R14(R11,R13は第1列に上下に配置され、R12,R14は第2列に上下に配置されているとする)で得られた電荷を統合する場合を例に取ると、上記構成によれば、露光によって受光素子R11,R12,R13,R14でそれぞれ得られた電荷Qr11,Qr12,Qr13,Qr14は、まず、受光素子R11,R12で得られた電荷Qr11,Qr12が垂直転送手段に読み出される。
【0033】垂直転送手段に読み出された電荷Qr11,Qr12は下方向に転送され、電荷Qr11,Qr12が受光素子R13,R14で得られた電荷Qr13,Qr14の読出位置に移動したタイミングで当該電荷Qr13,Qr14が垂直転送手段に読み出され、これにより電荷Qr11と電荷Qr13、電荷Qr12と電荷Qr14とがそれぞれ加算されて垂直転送用の電荷(Qr11+Qr13),(Qr12+Qr14)とされる。そして、加算された電荷(Qr11+Qr13),(Qr12+Qr14)は垂直転送手段で下方向に転送され、水平転送手段に同時に到達すると、当該水平転送手段で更に加算されて水平転送用の電荷(Qr11+Qr13+Qr12+Qr14)とされ、この1つに統合された電荷(Qr11+Qr13+Qr12+Qr14)が外部に読み出される。
【0034】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る単板式カラー撮像センサを用いた撮像装置の第1実施形態の概略構成を示す図である。
【0035】撮像装置1は、結像光学系2、MOS(Metal Oxside Semiconductor)型撮像センサ3、信号処理部4及び画像メモリ5で構成されている。本実施形態に係る撮像装置1は、後述するように撮像センサ3の構成を改良することで結像光学系2と撮像センサ3との間にOLPFを設けなくてもよい構成となっている。
【0036】撮像センサ3は、フローティングディフュージョンアンプを備えた増幅型MOS型撮像センサからなる単板式カラー撮像センサで構成されている。撮像センサ3の各画素には図2に示す配列で色フィルタが設けられている。なお、図2は、説明の便宜上、8×8画素分についてのみ表示している。また、撮像センサ3は、画素サイズが、図32に示す従来の撮像装置100の撮像センサ103の画素サイズの1/2(面積で1/4)となっており、R,G,Bの色フィルタの配列は撮像センサ103と同一のベイヤー方式となっている。
【0037】図3は、撮像センサ3の具体的な回路構成を示す図である。同図は、図2の画素配列における左上隅の4×4の領域(画素位置(1,1)〜(4,4)の部分)の回路構成を示したものである。
【0038】図3において、PDij(i=1,2,…、j=1,2,…)は、画素位置(i,j)の受光素子であり、FDA(R),FDA(G),FDA(B)は、フローティングディフュージョンアンプ(以下、増幅回路という。)である。そして、複数の受光素子全体は本発明に係る受光部に相当している。R,G,Bの各受光素子PDijは、同一色の隣り合う4個を1組として1つの増幅回路FDA(q)(q=R,G,B)に接続され、各増幅回路FDA(q)は対応する色の出力ラインLR,LG,LBに接続されている。すなわち、Rの受光素子PD11,PD13,PD31,PD33は増幅回路FDA(R)に接続され、この増幅回路FDA(R)は出力ラインLRに接続されている。また、Gの受光素子PD12,PD21,PD23,PD32は増幅回路部FDA(G)に接続され、この増幅回路FDA(G)は出力ラインLGに接続されている。また、Bの受光素子PD22,PD24,PD42,PD44は増幅回路FDA(B)に接続され、この増幅回路FDA(B)は出力ラインLBに接続されている。
【0039】受光素子PDijは、図4(a)に示すようにpnフォトダイオード31からなり、これに直列接続されるMOS型FET(Field Effect Transistor)からなるスイッチ素子32を含んでいる。具体的には、同図(b)に示すように、n基板311の上にp−ウェル(well)312を形成し、その上にpn接合でnフォトダイオード313が形成されるとともに、nフォトダイオード313に所定の間隔を設けてn+フローティングディフュージョン(floating diffusion)領域314(以下、FD領域314という。)が形成されている。更にnフォトダイオード313からFD領域314に亘るp−ウェル312の表面にゲート酸化膜315が形成され、このゲート酸化膜314のnフォトダイオード313とFD領域314との隙間部分に対応する位置に電極316が形成されている。この電極316はMOS型FET32のゲートに相当し、水平読出信号SHが入力される端子となっている。また、FD領域314は増幅回路FDA(q)(q=R,G,B)のMOS型FETからなるソースフォロアアンプ34のゲートに接続されている。
【0040】また、増幅回路FDA(q)は、MOS型FETからなるソースフォロアアンプ34と、FD領域314の電荷蓄積をリセットするためのMOS型FET33と、ソースフォロアアンプ34から出力ラインLq(q=R,G,B)への信号出力を制御するためのMOS型FETからなるスイッチ素子35とを含む。
【0041】なお、図4では、1個の増幅回路FDA(q)に1個の受光素子PDijが接続された構成を示しているが、上述したように、本実施形態に係る撮像センサ3では1個の増幅回路FDA(q)に4個一組の同一色の受光素子PDijが接続されている。例えば図4(a)の増幅回路FDA(q)をRの増幅回路FDA(R)、出力ラインLqをRの出力ラインLRとすると、増幅回路FDA(q)のc点には4個の受光素子PD11,PD13,PD31,PD33のFD領域314がそれぞれ接続されている。G,Bの増幅回路FDA(G),FDA(B)についても同様である。
【0042】撮像センサ3の撮像動作においては、例えばRの増幅回路FDA(R)のリセット用MOS型FET33に駆動制御部6からハイの制御パルスSRSが入力され、これにより増幅回路FDA(R)に接続されている4個の受光素子PD11,PD13,PD31,PD33の各FD領域314の電位が電源電圧VDDにリセットされる。制御パルスSRSがローになると、MOS型FET33がオフになり、受光素子PD11,PD13,PD31,PD33の各FD領域314の電位はフローティング状態となる。一方、nフォトダイオード313に入射した光エネルギーは電荷に変換されてnフォトダイオード313の下部の空之層313aに蓄積される。各FD領域314の電位が電圧VDDにリセットされた後、各電極316に駆動制御部6からハイの制御パルスSHが入力されると、受光素子PD11,PD13,PD31,PD33では空之層313aとFD領域314との間の電位障壁が無くなり、空之層313aに蓄積された電荷(受光光量に比例した電荷)がFD領域314に注入され、これによりFD領域314の電位が変化する。
【0043】空之層313aの蓄積電荷が完全にFD領域314に転送されるタイミングでMOS型FET35に駆動制御部6からハイの制御パルスSVが入力されると、受光素子PD11,PD13,PD31,PD33の各FD領域314の電圧(受光光量に比例した電圧)がc点で加算され、ソースフォロアアンプ34で増幅されてMOS型FET35を介して出力ラインLRに出力される。すなわち、4個の画素R11,R13,R31,R33の受光光量を加算した光量に対応する信号(電圧信号)が出力ラインLRから出力される。
【0044】Gの4個の受光素子PD12,PD21,PD23,PD32と増幅回路FDA(G)やBの4個の受光素子PD22,PD24,PD42,PD44と増幅回路FDA(B)についても、上述したRの4個の受光素子PD11,PD13,PD31,PD33と増幅回路FDA(R)の動作と同様の動作が行なわれ、出力ラインLGから4個の画素G12,G21,G23,G32の受光光量を加算した光量に対応する信号(電圧信号)が出力され、出力ラインLBから4個の画素B22,B24,B42,B44の受光光量を加算した光量に対応する信号(電圧信号)が出力される。
【0045】上述したように、第1実施形態に係る撮像センサ3は、各画素の受光面積は従来の撮像センサ103の各画素の受光面積の1/4であるが、各色毎に、隣り合う4個の画素を1組とし、これらの画素で受光した光量の積算値をフローティングディフュージョンアンプで増幅して出力させるようにしているので、4画素1組が従来の撮像センサ103の1画素に対応し、従来の撮像センサ103と比較して著しくダイナミックレンジが低下したり、ノイズが増加するようなことはない。
【0046】図5〜図7は、それぞれR,B,Gの色成分について、従来の撮像センサ103の各画素の受光信号と本実施形態に係る撮像センサ3の実質的な受光信号との対応関係を示したものである。図5〜図7において、(a)は従来の撮像センサ103の画素配置であり、(b)は本実施形態に係る撮像センサ3の画素配置である。なお、説明の便宜上、図5(b)、図7(b)は左上隅の4×8画素の範囲だけを示し、図6(b)は左上隅の5×9画素の範囲だけを示している。
【0047】Rの色成分は、図5(b)に示すように、範囲A1内にある画素位置(1,1),(1,3),(3,1),(3,3)の画素R11,R13,R31,R33の受光信号を加算した信号、範囲A2内にある画素位置(1,5),(1,7),(3,5),(3,7)の画素R15,R17,R35,R37の受光信号を加算した信号が、それぞれ同図(a)に示す従来の撮像センサ103の画素位置(1,1),(1,3)の画素R11,R13の受光信号に対応する。
【0048】Bの色成分は、図6(b)に示すように、範囲B1内にある画素位置(2,2),(2,4),(4,2),(4,4)の画素B22,B24,B42,B44の受光信号を加算した信号、範囲B2内にある画素位置(2,6),(2,8),(4,6),(4,8)の画素B26,B28,B46,B48の受光信号を加算した信号が、それぞれ同図(a)に示す従来の撮像センサ103の画素位置(2,2),(2,4)の画素B22,B24の受光信号に対応する。
【0049】Gの色成分は、図7(b)に示すように、範囲C1内にある画素位置(1,2),(2,1),(2,3),(3,2)の画素G12,G21,G23,G32の受光信号を加算した信号、範囲C2内にある画素位置(1,6),(2,5),(2,7),(3,6)の画素G16,G25,G27,G36の受光信号を加算した信号、範囲C3内にある画素位置(3,4),(4,3),(4,5),(5,4)の画G34,G43,G45,G54の受光信号を加算した信号、範囲C4内にある画素位置(3,8),(4,7),(4,9),(5,8)の画素G38,G47,G49,G58の受光信号を加算した信号が、それぞれ同図(a)に示す従来の撮像センサ103の画素位置(1,2),(1,4),(2,3),(2,5)の画素G12,G14,G23,G25の受光信号に対応する。
【0050】そして、例えばRの色成分については、上記のように、範囲A1内にある画素R11,R13,R31,R33の受光信号を加算した信号は従来の撮像センサ103の画素R11の受光信号に対応するから、画素R11,R13,R31,R33の平均像面照度Iave(r)を算出することにより、Rの周波数応答特性RSR(f)を得ることができる。
【0051】図8に示すように、空間周波数fで正弦波状に明暗が変化する縦縞光像Lが、そのピーク値(明ラインの最大値)が範囲A1の縦方向中心と一致するように照射されている場合、4個の画素R11,R13,R31,R33における平均像面照度Iave(r)は、図35で説明したのと同様の方法によって、以下のように算出される。
【0052】すなわち、画素ピッチをPs'、画素開口率をa、範囲A1の縦方向中心を横方向(x方向)の原点0として縦縞光像Lによる照度特性をy=cos(2πfx)とすると、−(2+a)Ps'/2から+(2+a)Ps'/2の範囲(受光領域■+■+■)における像面照度I1は、上記(1)式において、a・Psを(2+a)Ps'に置換することにより、I1=sin[π(2+a)fPs’]/πf…(4)となる。一方、−(2−a)Ps'/2から+(2−a)Ps'/2の範囲(受光領域■)における像面照度I2は、上記(1)式において、a・Psを(2−a)Ps'に置換することにより、I2=sin[π(2-a)fPs’]/πf…(5)となる。
【0053】画素R11,R31に対応する受光領域■に照射される光像と画素R13,R33に対応する受光領域■に照射される光像とは縦方向中心に対して対称であるから、受光領域■の像面照度と受光領域■の像面照度とは同一となる。その像面照度をI3とすると、像面照度I3は、(I1−I2)/2で算出され、下記(6)式のようになる。
【0054】
【数3】


【0055】従って、4個の画素R11,R13,R31,R33における平均像面照度Iave(r)は、I3を受光領域(■+■)= 2a・Ps'=2a/fs'で割ることにより、下記(7)式となるから、Rの周波数応答特性RSR(f)は、下記(8)式となる。
【0056】
【数4】


【0057】なお、図8において、Rの画素R11,R13,R31,R33をBの画素B22,B24,B42,B44に置き換えれば、縦縞光像Lを範囲B1内の4個のB画素で受光した場合の、各画素B22,B24,B42,B44における平均像面照度Iave(b)が算出されるから、Bの周波数応答特性RSB(f)は、Rの周波数応答特性RSR(f)と同じ特性となる。
【0058】一方、Gの周波数応答特性RSG(f)は、図9に示すように、空間周波数fで正弦波状に明暗が変化する縦縞光像Lが、そのピーク値(明ラインの最大値)が範囲C1の縦方向中心と一致するように照射されている場合の4個の画素G12,G21,G23,G32における平均像面照度Iave(g)を算出することによって得ることができる。
【0059】図9において、画素G21に対応する受光領域■の像面照度と画素G23に対応する受光領域■の像面照度とは同一となり、その像面照度I3は、上述したように上記(6)式となる。また、画素G12,G32に対応する受光領域■の像面照度I4は、上記(1)式において、a・Psをa・Ps'に置換することにより、I4=sin(πafPs’)/πf…(9)となる。
【0060】従って、4個の画素G12,G21,G23,G32における平均像面照度Iave(g)は、2(I3+I4)を受光領域(■+■+2×■)=4a・Ps'=4a/fs'で割ることにより、下記(10)式のようになり、Gの周波数応答特性RSG(f)は、下記(11)式のようになる。
【0061】
【数5】


【0062】図10は、a=1.0として上記(8),(11)式により算出した周波数応答特性RSR(f),RSG(f)の図である。本実施形態に係る撮像センサ3の実際の周波数応答特性RR(f)’,RG(f)’は、図10に示す周波数応答特性RSR(f),RSG(f)と図39に示す結像光学系2の周波数応答特性Ropt(f)とを掛け合わせた特性となるから、図11に示すようになる。
【0063】図11に示すように、0.5≦f/fs<1.0ではR,Bの周波数特性RR(f)’,RB(f)’が0以下となり、この部分の折り返し成分が0≦f/fs≦0.5の周波数応答特性に混入することはない。従って、R,Bの色成分の折り返し成分による偽解像は殆ど生じない。一方、f/fs=0.5においては、Gの周波数応答特性RG(f)’>0となるが、そのレベルは小さいので折り返し成分が0≦f/fs≦0.5の周波数応答特性に混入しても特に問題とはならず、むしろOLPFによりRG(f)'=0とするよりも解像力が向上する。
【0064】上記のように、本実施形態に係る撮像装置1は結像光学系2と撮像センサ3との間にOPLFを設けることなく従来の撮像装置100よりも解像特性の高い撮像装置となっている。また、各色成分毎に4画素を1組として画素信号が読み出されるので、駆動制御の観点から見ると、従来の撮像センサ103のように1画素ずつ画素信号を読み出す場合に比べて総画素数が実質的に1/4となるので、画素信号の読出速度が速くなる利点がある。逆に言えば、画素信号の読出期間が従来と変わらなければ、画素信号の読出制御の駆動周波数を低くくすることができる利点がある。
【0065】図1に戻り、信号処理部4は、撮像センサ3から出力される画像信号(各FDAから出力される信号)に対して所定の信号処理(サンプリングノイズの低減、信号レベルの調整、A/D変換、ホワイトバランス調整、γ補正等)を行なうものである。信号処理部4は、R,G,Bの色成分の画像信号毎に所定の信号を行う。画像メモリ5は、信号処理部4から出力される画像信号を記憶するものである。画像メモリ5は、R,G,Bの各色成分に対応した記憶領域を有し、R,G,Bの色成分の画像信号をそれぞれ記憶する。従って、撮像センサ3から出力されるR,G,Bの色成分の画像信号は、信号処理部104で上記の所定の信号処理が行われた後、画像メモリ105にそれぞれ記憶される。
【0066】上記第1実施形態では、撮像センサ3は長方形若しくは正方形の画素が各辺を縦方向と横方向とに平行にしてマトリックス形状に配列されていたが、図12に示すように、正方形の画素が対角線を縦方向と横方向とに平行にしてマトリックス形状に配列されている場合にも、上述した構成と同様の構成を採用することにより、結像光学系2と撮像センサ3との間にOPLFを設けることなく従来の撮像装置100よりも解像特性の高い撮像装置1を実現することができる。
【0067】図12に示す撮像センサ3(以下、この撮像センサ3を第2実施形態に係る撮像センサ3という。)は、縦方向の行数が奇数個で、横方向の列数は、奇数行では偶数個、偶数行では奇数個となっている。縦方向の行数iを(2n−1)、奇数行i=2k−1(k=1,2,…n)の列数jを2m、偶数行i=2k(k=1,2,…(n−1))の列数jを2m+1とすると、画素位置(2k−1,2h−1),(2k−1,2h)(k=1,2,…n、h=1,2,…m)にはGの色フィルタ3G(右下斜線で示すフィルタ)が設けられ、画素位置(4k−2,2h)(k=1,2,…(n−1)、h=1,2,…m)にはRの色フィルタ3R(縦縞で示すフィルタ)が設けられ、画素位置(4k,2h−1)(k=1,2,…(n−1)、h=1,2,…(m+1))にはBの色フィルタ3B(横縞で示すフィルタ)が設けられている。
【0068】そして、図13に示すように、画素位置(4k−2,2h),(4k,2h−1),(4k,2h+1),(4k+2,2h)(k,h;共に奇数又は共に偶数)の4個のR画素(図13では太線で囲まれた部分に含まれる4個のR画素)の受光部PD4k-2,2h,PD4k,2h-1,PD4k,2h+1,PD4k+2,2hは、1個の増幅部FPA(R)(図略)に接続され、これらの受光部PD4k-2,2h〜PD4k+2,2hの画像信号は当該増幅部FPA(R)で加算、増幅されて出力ラインLRから出力されるようになっている。同様に、図14に示すように、画素位置(4k−2,2h+1),(4k,2h),(4k,2h+2),(4k+2,2h+1)(k,h;共に奇数又は共に偶数)の4個のB画素(図14では太線で囲まれた部分に含まれる4個のB画素)の受光部PD4k-2,2h+1,PD4k,2h,PD4k,2h+2,PD4k+2,2h+1は1個の増幅部FPA(B)(図略)に接続され、これらの受光部PD4k-2,2h+1〜PD4k+2,2h+1の画像信号は当該増幅部FPA(B)で加算、増幅されて出力ラインLBから出力され、図15に示すように、画素位置(2k−1,2h−1),(2k−1,2h),(2k+1,2h−1),(2k+1,2h)(k=1,2,…n、h=1,2,…m)の4個のG画素(図15では太線で囲まれた部分に含まれる4個のR画素)の受光部PD2k-1,2h-1,PD2k-1,2h,PD2k-1,2h-1,PD2k+1,2hは1個の増幅部FPA(G)(図略)に接続され、これらの受光部PD2k-1,2h+1〜PD2k+1,2hの画像信号は当該増幅部FPA(G)で加算、増幅されて出力ラインLGから出力されるようになっている。
【0069】上記第1,第2実施形態は、FDAを備えた増幅型MOS型撮像センサを用いたものであったが、IT−CCD(Interline transfer CCD)型撮像センサを用いた場合(以下、IT−CCD型撮像センサを用いたものを第3実施形態に係る撮像センサという。)にも撮像センサの受光部と垂直転送部の構成を改良するとともに各画素の読出しを制御することで同様の効果を得ることができる。
【0070】図16は、第3実施形態に係る撮像センサ3の構成を示す図である。なお、同図は、説明の便宜上、最小構成単位が含まれる5×5画素の受光部の部分Aとこの受光部の部分Aから読み出された蓄積電荷が転送される水平転送部とその近傍の垂直転送部の部分Bとを描いている。
【0071】ここに、最小構成単位とは、例えば図17において、画素位置(1,2),(2,1),(2,3),(3,2)の4個のGの画素、画素位置(1,1),(1,3),(3,1),(3,3)の4個のRの画素、画素位置(2,2),(2,4),(4,2),(4,4)の4個のBの画素、画素位置(3,4),(4,3),(5,4),(4,5)の4個のGの画素をそれぞれ1組とし、これら4組の画素群をいうものである。これは、後述するように、各組の画素で得られた電荷は垂直転送部8及び水平転送部9を移動する際に加算されて転送されるから、R,G,Bの各組の出力電荷が従来の撮像センサ103のR,G,Bの各画素の出力電荷に対応し、従来の撮像センサ103では隣接するR,Bの画素と2つのGの画素の合計4個の画素を最小構成単位として扱っているので、これに対応させて隣接する1組のRの画素群、1組のBの画素群及び2組のGの画素群とを最小構成単位とするものである。
【0072】図16において、受光部の部分Aの縦長長方形で示す部分は受光光量を電荷量に光電変換するフォトダイオードからなる受光素子gである。複数の受光素子gが縦方向に配列された部分は受光部7であり、各受光部7の右隣に各受光素子gで光電変換された電荷が読み出される垂直転送部8が設けられている。垂直転送部8は縦方向の帯状をなし、受光部7よりも下方に延びてその下端がゲート82を介して水平転送部9に接続されている。奇数列の受光部7の各画素gにはRとGの色フィルタが交互に設けられ、偶数列の受光部7の各画素gにはGとBの色フィルタが交互に設けられている。従って、第3実施形態に係る撮像センサ3も図2に示す色フィルタの配列と同一の色フィルタの配列を有している。そして、一点鎖線で囲まれた部分が最小構成単位を構成するR,G,Bの画素である。
【0073】垂直転送部8の複数の分割された小領域81(図中、略正方形状で示す部分)は、受光部7から読み出された電荷を水平転送部9に転送するためのポテンシャル井戸を形成する部分である。垂直転送部8は図略の駆動制御回路により、例えば3相駆動方式で駆動される。3相駆動方式では、隣合う3個の井戸81を1組として1画素の蓄積電荷の転送が行われる。すなわち、3個の井戸81を上から81a,81b,81cとし、各井戸のポテンシャルを(Pa,Pb,Pc)とすると、(L,H,H)(但し、Lはローレベル、Hはハイレベルである。)のポテンシャル状態で井戸81aに電荷が読み出された後、所定の周期でポテンシャル(Pa,Pb,Pc)を(L,L,H)→(H,L,H)と変化させることで、電荷が隣の井戸81bに移動する。以下同様の方法で、各井戸81のポテンシャルを変化させることで、垂直転送部8に読み出された電荷は順次、水平転送部9側に移動される。
【0074】垂直転送部8の水平転送部9に近接した領域では、偶数列の井戸81の数が奇数列の井戸81の数の略1/2となっている。このように、水平転送部9の近傍領域で偶数列の井戸81の数を奇数列の井戸81より少なくしているのは、奇数列の垂直転送部8を移動する電荷と偶数列の垂直転送部8を移動する電荷との移動速度を変化させ、これにより奇数列の電荷と遇数列の電荷との水平転送部9への到達タイミングをずらし、各色毎に、最小構成単位を構成する4個の電荷(実際は垂直転送部8で2個ずつ加算されるので、2個の電荷)を分離して水平転送部9に転送できるようにするためである。なお、この垂直転送部8及び水平転送部9における各組の画素群から読み出された4個の電荷を加算合成する動作については後述する。
【0075】ゲート82は、垂直転送部8の最下端に移動した電荷の水平転送部9への転送を制御するものである。各ゲート82は個別に開閉が制御可能になされ、各ゲート82の開閉を制御することで、各色毎に、最小構成単位を構成する4個の電荷(実際は垂直転送部8で2個ずつ加算されるので、2個の電荷)が水平転送部9に転送され、当該水平転送部9で加算される。水平転送部9は横方向の帯状をなしている。水平転送部9の複数に分割された小領域91(図中の略正方形状で示す部分)は垂直転送部8から転送された電荷を水平左方向(図略の出力部側)に順次、転送させるためのポテンシャル井戸を形成する部分である。水平転送部9も図略の駆動制御回路により、3相駆動方式で駆動され、上述した垂直転送部8と同様の方法で電荷が順次、出力部側に転送される。
【0076】Rの画素g及びBの画素gは右側の垂直転送部8に接続され、これらの画素gで得られた電荷は右側の垂直転送部8の井戸81に転送されるようになっている。なお、Rの画素g及びBの画素gを右側の垂直転送部8に接続しているのは、各列の受光部7に対応する垂直転送部8が当該受光部7の右側に配置されているためで、各列の受光部7に対応する垂直転送部8が当該受光部7の左側に配置されていれば、Rの画素g及びBの画素gは左側の垂直転送部8に接続されることになる。
【0077】一方、Gの画素gは、1,5,9、…(4n−3)の行では全て右側の垂直転送部8に接続され、3,7,11、…(4n−1)の行では全て左側の垂直転送部8に接続されている。また、2,6,10、…(4n−2)の行では、1,5,9、…(4m−3)の列にあるものは右側の垂直転送部8に接続され、3,7,11、…(4m−1)の列にあるものは左側の垂直転送部8に接続されている。また、4,8,12、…4nの行では、1,5,9、…(4m−3)の列にあるものは左側の垂直転送部8に接続され、3,7,11、…(4m−1)の列にあるものは右側の垂直転送部8に接続されている。この接続関係は、図17に示すように、隣接する4個の画素g(菱形で結合した4個の画素g)を1組とするように撮像センサ3の撮像面のGの画素gを分類したとすると、各組において、上側及び左側の画素gで得られる電荷は右側の垂直転送部8に転送し、右側及び下側の画素gで得られる電荷は左側の垂直転送部8に転送するような接続関係である。
【0078】このように、Gの画素gについては、上側及び左側の画素gで得られる電荷を右側の垂直転送部8に転送し、右側及び下側の画素gで得られる電荷を左側の垂直転送部8に転送するような接続関係としているのは、Gの画素群が菱形状に配置された4個のGの画素gで構成されているからである。後述するように、第3実施形態では4個一組の画素gで得られた4個の電荷を垂直転送部8と水平転送部9とで順次、転送しながら出力部に読み出す際、垂直転送部8では2個の電荷を加算して1個の電荷として水平転送部9に転送し、当該水平転送部9で2個の加算された電荷を更に加算して(すなわち、4個の電荷を加算合成して)図略の出力部に転送するようにしている。Gの色成分については、4個一組の画素が菱形状に配置されているので、一組の全ての画素を右側の垂直転送部8に接続すると、垂直転送部8で2個の電荷を加算して1個の電荷として水平転送部9に転送することができないから、上側及び左側の画素を右側の垂直転送部8に接続し、右側及び下側の画素を左側の垂直転送部8に接続することで、垂直転送部8で電荷が2個ずつ加算できるようにしている。
【0079】なお、上記目的に照らせば、例えば画素位置(1,2),(2,1),(2,3),(3,2)の4個のGの画素をG11,G12,G13,G14とすると、画素G11の左側の垂直転送部8(以下、説明の便宜上、第1垂直転送部8という。)と画素G11の右側の垂直転送部8(以下、説明の便宜上、第2垂直転送部8という。)とにそれぞれ画素G11,G12,G13,G14から転送された蓄積電荷Qg11,Qg12,Qg13,Qg14で2個ずつを加算して垂直転送用の電荷を作成する場合、その組合わせは、(a)(Qg11,Qg12),(Qg13,Qg14)
(b)(Qg11,Qg13),(Qg12,Qg14)
となるから、画素G11,G12,G13,G14と第1,第2垂直転送部8との接続関係は、(c)画素G11,G12を第1垂直転送部8に接続し、画素G13,G14を第2垂直転送部8に接続する、(d)画素G11,G13を第2垂直転送部8に接続し、画素G12,G14を第1垂直転送部8に接続する、という関係となる。
【0080】図16に示す4個一組のGの画素群の接続関係は、上記(d)の接続関係に相当する。従って、上記(c)の接続関係にしてもよく、この場合は上側及び右側の画素で得られる電荷は両画素で挟まれた垂直転送部8に転送され、左側及び下側の画素で得られる電荷は両画素で挟まれた垂直転送部8に転送されることになる。
【0081】一方、R,Bの色成分については、一組の画素群が正方形状に配列され、左側の上下2個の画素と右側の上下の画素とでそれぞれペアが構成されるため、左側の上下に配置される2個の画素は両画素の右側の垂直転送部8に接続され、右側の上下に配置される2個の画素は両画素の右側の垂直転送部8に接続されている。
【0082】次に、第3実施形態に係る撮像センサ3の露光終了後の各画素で得られた電荷の垂直転送部8及び水平転送部9における転送方法について、図18〜図30の図を用いて説明する。
【0083】図18〜図26は、各画素で得られた電荷の露光終了後の垂直転送部8及び水平転送部9における移動を最小構成単位について示したものである。
【0084】各画素gに付されたR11,G11,B11等の符号は、画素gを識別するための符号である。Rij,Gij,Bijのiは組番号であり、jは配置位置の番号である。R,Bの1組の画素群は、4個の画素gが矩形の四隅を構成するように配置されるので、配置位置の番号を左上=1,左下=2,右上=3,右下=4としている。一方、Gの1組の画素群は、4個の画素gが菱形の上下左右の頂点を構成するように配置されるので、配置位置の番号を上=1,左=2,右=3,下=4としている。従って、例えばR11,B11は、組番号1のR,Bの画素群のうち、左上に位置する画素を示し、G31は、組番号3のGの画素群のうち、上に位置する画素を示している。
【0085】また、図18〜図26において、垂直転送部8及び水平転送部9の井戸81,91に描かれた○印は画素gから読み出された電荷Qを示し、丸の中の符号は当該電荷Qが読み出された画素gの符号に相当するものである。画素gの符号と区別するため、アルファベットは小文字にしている。例えば「g12」はGの画素G12から読み出された電荷Qであることを示し、「b11」はBの画素B11から読み出された電荷Qであることを示している。また、太字の矢印は画素gから電荷Qが垂直転送部8に読み出されることを示している。
【0086】なお、説明の便宜上、以下の説明では電荷間の区別を行うため、電荷Qに当該電荷Qの丸符号を付すものとする。例えば「g12」の電荷Qは、「Qg12」と表記する。また、説明の便宜と図面の見易さを考慮して、説明に関係しない電荷については図面への記載を省き、以下の説明では、図面に記載した電荷についてのみ垂直転送部8及び水平転送部9における移動の説明を行う。
【0087】まず、図18に示すように、画素G12,G14,B11,G31,B12の蓄積電荷Qg12,Qg14,Qb11,Qg31,Qb12が垂直転送部8に読み出され、これらの蓄積電荷Qg12,Qg14,Qb11,Qg31,Qb12は当該垂直転送部8を水平転送部9側に転送される。最初の蓄積電荷の読出しでは、画素G12の蓄積電荷Qg12と画素G31の蓄積電荷Qg31とが上下にペア(Qg12,Qg31)となって読み出され、これらの電荷Qg12,Qg31は加算されて1つの電荷(以下、この電荷を垂直転送電荷という。)となる。
【0088】なお、図18では、別々の井戸81に格納された電荷Qg12と電荷Qg14とが分離した状態で描かれているが、これは説明の便宜上、加算される電荷を分り易くするためのもので、実際の動作では1つの転送電荷として扱われる。他の電荷についても同様で、垂直転送部18に読み出された電荷のうち、上下に隣接しているペアは加算された1つの垂直転送電荷である。以下、明細書上では、加算された転送電荷を(Qg12+Qg14)のように表記する。
【0089】続いて、図19に示すように、電荷Qb11,Qg31,Qb12が垂直転送部8の画素B13,G32,B14の蓄積電荷の読出位置の上に移動したタイミングで、画素R11,G11,G13,R12,B13,G32,B14の蓄積電荷Qr11,Qg11,Qg13,Qr12,Qb13,Qg32,Qb14が垂直転送部8に読み出される。この電荷の読み出しにより、画素G11から読み出された電荷Qg11と画素G13から読み出された電荷Qg13とが加算され、1つの垂直転送電荷(Qg11+Qg13)となる。また、画素B11,G31,B12から読み出された電荷Qb11,Qg31,Qb12と電荷Qb13,Qg32,Qb14とがそれぞれ加算され、それぞれ1つの垂直転送電荷(Qb11+Qb13),(Qg31+Qg32),(Qb12+Qb14)となる。
【0090】続いて、図20に示すように、画素R11,R12から読み出された電荷Qr11,Qr12が垂直転送部8の画素R13,R14の蓄積電荷の読出位置の上に移動したタイミングで、当該画素R13,R14の蓄積電荷Qr13,Qr14が垂直転送部8に読み出される。この電荷の読み出しにより、画素R11,R12から読み出された電荷Qr11,Qr12と電荷Qr13,Qr14とがそれぞれ加算され、それぞれ1つの垂直転送電荷(Qr11+Qr13),(Qr12+Qr14)となる。
【0091】続いて、図21に示すように、垂直転送電荷(Qr11+Qr13),(Qg11+Qg13),(Qr12+Qr14)が垂直転送部8の画素G33の蓄積電荷の読出位置に移動したタイミングで、画素G33,G34の蓄積電荷Qg33,Qg34が垂直転送部8に読み出され、加算されて1つの垂直転送電荷(Qg33+Qg34)となる。
【0092】画素G33,G34の蓄積電荷Qg33,Qg34の読み出しにより、最小構成単位の画素(R11〜R14),(G11〜G14),(G31〜G34),(B11〜B14)の蓄積電荷の垂直転送部8への読出しが終了し、読み出された電荷(Qr11〜Qr14),(Qg11〜Qg14),(Qg31〜Qg34),(Qb11〜Qb14)は、図21に示すように、それぞれ1つの垂直転送電荷(Qg12+Qg14),(Qr11+Qr13),(Qb11+Qb13),(Qg11+Qg13),(Qg31+Qg32),(Qr12+Qr14),(Qb12+Qb14),(Qg33+Qg34)に加算されて垂直転送部8を水平転送部9側に転送される。そして、同図に示すように、水平転送部9の近傍では、偶数列の垂直転送部8の井戸数が奇数列の垂直転送部8より少ないので、2列目と4列目のBの色成分の垂直転送電荷(Qb11+Qb13),(Qb12+Qb14)が1列目と3列目のGの色成分の垂直転送電荷(Qg12+Qg14),(Qg31+Qg32)より速く水平転送部9に到達する。
【0093】Bの色成分の垂直転送電荷(Qb11+Qb13),(Qb12+Qb14)が水平転送部9に到達すると、図22に示すように、4列目の垂直転送部8に設けられたゲート82がオンになり、Bの色成分の垂直転送電荷(Qb12+Qb14)だけが水平転送部9に転送される。その後、この電荷(Qb12+Qb14)は水平転送部9を左側に転送され、図23に示すように2列目の垂直転送部8の下に転送されると、図24に示すように当該垂直転送部8に設けられたゲート82がオンになり、Bの色成分の垂直転送電荷(Qb11+Qb13)が水平転送部9に転送され、電荷(Qb12+Qb14)と加算される。そして、加算された電荷(Qb11+Qb12+Qb13+Qb14)は水平転送部9により左側に順次、移動され、図略の出力部に転送される。
【0094】Bの色成分の垂直転送電荷(Qb11+Qb13),(Qb12+Qb14)が水平転送部9で出力部に転送されると、垂直転送部8の垂直転送電荷(Qg12+Qg14),(Qr11+Qr13),(Qg11+Qg13),(Qg31+Qg32),(Qr12+Qr14),(Qg33+Qg34)が水平転送部9側に移動され、図25に示すようにGの色成分の垂直転送電荷(Qg12+Qg14),(Qg11+Qg13),(Qg31+Qg32),(Qg33+Qg34)が水平転送部9に到達すると、図26に示すように、Bの色成分の垂直転送電荷(Qb11+Qb13),(Qb12+Qb14)の場合と同様の方法で、電荷(Qg12+Qg14)と電荷(Qg11+Qg13)、電荷(Qg31+Qg32)と電荷(Qg33+Qg34)とが水平転送部9でそれぞれ加算されて、図略の出力部に搬送される。
【0095】具体的には、図27に示すように、1列目〜4列目の垂直転送部8に設けられたゲート82を識別するため、それぞれゲート82d,ゲート82c,ゲート82b,ゲート82aとし、ゲート82aに接続された水平転送部9の井戸91から左側の6個の井戸91を識別するため、それぞれ井戸91a,91b,91c,91d,91e,91fとし、各井戸91a〜91fのポテンシャルを(Pa,Pb,Pc,Pd,Pe,Pf)とすると、図28(a)に示すようにGの色成分の垂直転送電荷(Qg12+Qg14),(Qg11+Qg13),(Qg31+Qg32),(Qg33+Qg34)が水平転送部9に到達するタイミングで、井戸91a〜91fのポテンシャルは(L,L,H,L,L,H)に設定され、ゲート82a〜82dがオンになる。これにより垂直転送部8から水平転送部9の井戸91a,91b,91d,91eに電荷(Qg12+Qg14),(Qg11+Qg13),(Qg31+Qg32),(Qg33+Qg34)がそれぞれ転送される。
【0096】井戸91a,91bはローレベル(図では白抜きで示す。)にあるため、水平転送部9に転送された電荷(Qg12+Qg14)と電荷(Qg11+Qg13)とは井戸91a,91bで加算される。同様に井戸91d,91eもローレベルにあるため、水平転送部9に転送された電荷(Qg31+Qg32)と電荷(Qg33+Qg34)とは井戸91d,91eで加算される。一方、井戸91c,91fはハイレベル(図では斜線で示す。)にあるため、加算された電荷(Qg12+Qg14+Qg11+Qg13)と電荷(Qg31+Qg32+Qg33+Qg34)とが混合することはない。
【0097】この後は、ゲート82a〜82dはオフにされるとともに、井戸91a〜91fのポテンシャルが(H,L,H,H,L,H)→(H,L,L,H,L,L)→(H,H,L,H,H,L)…と順次、切り換えられ、図28(b)〜(d)に示すように、加算された電荷(Qg12+Qg14+Qg11+Qg13),(Qg31+Qg32+Qg33+Qg34)が各井戸91を順次、図略の出力部側に移動する。
【0098】図26に戻り、Gの色成分の垂直転送電荷(Qg12+Qg14),(Qg11+Qg13),(Qg31+Qg32),(Qg33+Qg34)が水平転送部9で出力部に転送されると、垂直転送部8の垂直転送電荷(Qr11+Qr13),(Qr12+Qr14)が水平転送部9側に移動され、Bの色成分の垂直転送電荷(Qb11+Qb13),(Qb12+Qb14)の場合と同様の方法で、電荷(Qr11+Qr13)と電荷(Qr12+Qr14)とが水平転送部9でそれぞれ加算されて、図略の出力部に搬送される。
【0099】なお、上記説明では、基準構成単位について、R,G,Bの各色成分毎の垂直転送部8及び水平転送部9における電荷の転送を説明したが、実際の撮像センサでは、垂直転送部8から水平転送部9にRとBの色成分の垂直転送電荷が混合したもの(図29の状態参照)とGの色成分の垂直転送電荷のみのもの(図27の状態参照)とが交互に順次、転送される。
【0100】従って、Gの色成分の垂直転送電荷のみが水平転送部9に転送された場合は、図27,図28に示す駆動方法によりGの色成分の電荷のみが分離されて出力部に転送される。一方、RとBの色成分の垂直転送電荷が混合している場合は、図30に示す駆動方法によりRの色成分の垂直転送電荷とBの色成分の垂直転送電荷とが分離されて出力部に転送される。
【0101】すなわち、Rの色成分の垂直転送電荷(Qr11+Qr13),(Qr12+Qr14)とBの色成分の垂直転送電荷(Qb11+Qb13),(Qb12+Qb14)とが水平転送部9に到達するタイミングで、図30(a)に示すように、井戸91a〜91fのポテンシャルは(H,L,H,H,L,H)に設定され、ゲート82bがオンになる。これによりRの色成分の垂直転送電荷(Qr12+Qr14)だけが水平転送部9の井戸91bに転送される。
【0102】その後、井戸91a〜91fのポテンシャルは(H,L,H,H,L,H)→(H,L,L,H,L,L)→(H,H,L,H,H,L)…と順次、切り換えられ、電荷(Qr12+Qr14)は、同図(b)〜(d)に示すように井戸91c,91dに順次移動する。そして、井戸91a〜91fのポテンシャルが(L,H,H,L,H,H)に切り換わり、電荷(Qr12+Qr14)が井戸91dに移動したタイミングでゲート82aがオンになり、これによりBの色成分の垂直転送電荷(Qb12+Qb14)のみが水平転送部9の井戸91aに転送される(同図(d)参照)。
【0103】続いて、井戸91a〜91fのポテンシャルが(H,L,H,H,L,H)に切り換わり、電荷(Qr12+Qr14),(Qb12+Qb14)がそれぞれ井戸91e,91bに移動したタイミングでゲート82dがオンになり、Rの色成分の垂直転送電荷(Qr11+Qr13)が水平転送部9の井戸91eに転送され、電荷(Qr12+Qr14)と加算される(同図(e)参照)。
【0104】そして、井戸91a〜91fのポテンシャルが(H,L,H,H,L,H)→(H,L,L,H,L,L)→(H,H,L,H,H,L)→(L,H,H,L,L,H)…と切り換わるのに応じて、加算された電荷(Qr11+Qr13+Qr12+Qr14)と電荷(Qb12+Qb14)とは順次、井戸91を左側に移動し、電荷(Qb12+Qb14)が井戸91dに移動したタイミングでゲート82cがオンになる。これによりBの色成分の垂直転送電荷(Qb11+Qb13)が水平転送部9の井戸91dに転送され、電荷(Qb12+Qb14)と加算される(同図(f)参照)。
【0105】加算された電荷(Qb11+Qb13+Qb12+Qb14)は、井戸91a〜91fのポテンシャルの変化に応じて井戸91を順次左側に移動し、出力部に転送される。このようにゲート82と垂直転送部9の各井戸91のポテンシャルの切換えとを制御することにより、Rの色成分の垂直転送電荷とBの色成分の垂直転送電荷とが同時に水平転送部9に到達する場合にも両色成分の電荷が確実に分離され、R,Bの色成分毎に基本構成単位を構成する4個の電荷が加算されて順次、出力部に出力される。
【0106】ところで、3相駆動によりCCD型撮像センサを駆動した場合、転送部では2クロック毎に電荷が隣の井戸に移動する。また、電荷を保持する井戸同士の間に2つの空の井戸が必要となるから、水平転送部からは6クロック毎に1個の電荷が出力部に出力されることになる。第3実施形態に係る撮像センサ3では、6クロック毎に基本構成単位を構成する4個の電荷を1個の電荷に加算して出力部に出力しているので、第1,第2実施形態に係る撮像センサ3と同様に、従来の撮像センサ103のように1画素ずつ画素信号を読み出す場合に比べて総画素数が実質的に1/4となり、画素信号の読出速度が速くなる利点がある。また、画素信号の読出期間が従来と変わらなければ、画素信号の読出制御の駆動周波数を低くくすることができる利点がある。
【0107】なお、上記実施形態では、垂直転送部8の水平転送部9の近傍領域における奇数列の井戸数と遇数列の井戸数を異ならせることで、奇数列の垂直転送部8を移動する電荷の速度と偶数列の垂直転送部8を移動する電荷の速度とに差を設け、水平転送部9への電荷の到達タイミングにずれを生じさせるようにしていたが、垂直転送部8における電荷の移動を制御するクロックパルスを制御することで、奇数列の垂直転送部8を移動する電荷と偶数列の垂直転送部8を移動する電荷との水平転送部9への到達タイミングをずらせるようにしても良い。
【0108】また、上記実施形態では、各色成分毎に、隣り合う4個の画素から出力される受光信号を加算合成するようにしていたが、隣り合う4の整数倍の個数の画素から出力される受光信号を加算合成するようにしてもよい。この場合、受光信号が加算合成される画素が縦横両方向に対称に配置されるように、受光信号を加算合成する画素数を4×n2(nは整数)個とすると好ましい。
【0109】また、上記実施形態では、加色系の三原色の色フィルタを備えた撮像センサについて説明したが、本発明は、減色系の三原色の色フィルタ等の他の色フィルタを備えた撮像センサについても適用することができる。
【0110】また、上記実施形態では、3色の色フィルタを備えた単板式カラー撮像センサを例に説明したが、本発明は、少なくとも2色の色フィルタが交互に配置された撮像センサに適用することができる。更に、本実施形態では、光電変換素子の受光面に色フィルタを設けて当該光電変換素子の感度特性を調整する構成について説明したが、光電変換素子自体が偏った色に対して感度特性を有し、互いに異なる色に対して感度特性を有する少なくとも2種類の光電変換素子を同一色が隣接しないように配置された撮像センサの場合についても本発明を適用することができる。
【0111】なお、第3実施形態に係る撮像センサ3は、各画素gから垂直転送部8への電荷Qの読出タイミングを制御して、最小構成単位を構成する4個の画素gの蓄積電荷Qを2個ずつ加算して垂直転送電荷を生成するように垂直転送部8に読み出し、更に水平転送部9でこれら2個の垂直転送電荷を加算して出力部に出力するようにしていたが、電荷Qを2個ずつ加算した垂直転送電荷が生成されないように、各画素gから独立して蓄積電荷Qを垂直転送部8に読み出す制御をすることで、電荷の読出時間は最小構成単位を構成する4個の画素gの蓄積電荷Qを加算しながら読み出す方法に比べて長時間(約4倍)となるが、従来の撮像センサ103と同様の撮像センサとして利用することができる。
【0112】この場合、画素gの蓄積電荷Qを全て読み出す第1の読出モードと縦横両方向に画素gの蓄積電荷Qを1/2に間引いて読み出す第2の読出モードとが選択可能な撮像センサでは、折返し成分の増大を招く第2の読出モードでの電荷読み出しをすることなく、最小限の駆動時間で電荷を読み出すことのできる撮像センサを実現することができる。
【0113】また、第1実施形態においても、FDAとこのFDAに接続されている4個の受光部PDijとの間にスイッチを設け、各スイッチのON/OFFを制御して各PDijから独立して受光信号を順次、読み出すようにすることで、従来の撮像センサ103と同様の撮像センサとして利用することができる。
【0114】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、互いに異なる色に感度を有する少なくとも2種類の複数の受光素子が水平方向及び垂直方向に同一色が隣接しないように交互に配置されてなる受光部を備えた撮像装置において、受光部の各受光素子で得られた電荷を、各色毎に、隣り合う所定数の電荷毎に統合し、その統合した電荷を各色に分離して外部に順次、読み出すようにしたので、光学ローパスフィルタを用いることなく従来の撮像センサと同等以上の解像特性に優れた撮像センサを構成することができる。これにより簡単な構成で結像光学系の光学特性を十分に生かした撮像装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単板式カラー撮像センサを用いた撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る撮像センサの各画素に設けられた色フィルタの配列を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る撮像センサの具体的な回路構成を示す図である。
【図4】受光部と増幅部の回路構成を示すもので、(a)は具体的な回路構成図であり、(b)は受光部が形成された半導体基板の要部断面図である。
【図5】従来の撮像センサのRの色成分の画素と第1実施形態に係る撮像センサのRの色成分の画素との対応関係を説明するための図である。
【図6】従来の撮像センサのBの色成分の画素と第1実施形態に係る撮像センサのBの色成分の画素との対応関係を説明するための図である。
【図7】従来の撮像センサのGの色成分の各画素と第1実施形態に係る撮像センサのGの色成分の画素との対応関係を説明するための図である。
【図8】第1実施形態に係る撮像センサのRの色成分の最小構成単位を構成する4個一組の画素群による受光面の平均像面照度を算出する方法を説明するための図である。
【図9】第1実施形態に係る撮像センサのGの色成分の最小構成単位を構成する4個一組の画素群による受光面の平均像面照度を算出する方法を説明するための図である。
【図10】(8)式,(11)式により算出した第1実施形態に係る撮像センサの各色成分の周波数応答特性を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る撮像装置の全体としての周波数応答特性を示す図である。
【図12】第2実施形態に係る撮像センサの画素及び色フィルタの配列を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る撮像センサのRの色成分の最小構成単位を構成する4個一組の画素群を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る撮像センサのBの色成分の最小構成単位を構成する4個一組の画素群を示す図である。
【図15】第2実施形態に係る撮像センサのGの色成分の最小構成単位を構成する4個一組の画素群を示す図である。
【図16】IT−CCDを用いた第3実施形態に係る撮像センサの構成を示す図である
【図17】第3実施形態に係る撮像センサの各色成分の最小構成単位を構成する4個一組の画素群を説明するための図である。
【図18】第3実施形態に係る撮像センサの最初に受光部から垂直転送部へ読み出される電荷を示す図である。
【図19】第3実施形態に係る撮像センサの2番目に受光部から垂直転送部へ読み出される電荷を示す図である。
【図20】第3実施形態に係る撮像センサの3番目に受光部から垂直転送部へ読み出される電荷を示す図である。
【図21】第3実施形態に係る撮像センサの4番目に受光部から垂直転送部へ読み出される電荷を示す図である。
【図22】垂直転送部の最下端に転送されたBの色成分の電荷Qb11,Qb12,Qb13,Qb14のうち、電荷Qb12,Qb14のみが水平転送部に転送された状態を示す図である。
【図23】電荷Qb12,Qb14が水平転送部上の電荷Qb11,Qb13の転送位置に移動した状態を示す図である。
【図24】電荷Qb11,Qb13を水平転送部に転送することにより当該電荷Qb11,Qb13と電荷Qb12,Qb14とが加算され、その後出力部に転送される状態を示す図である。
【図25】垂直転送部の最下端にGの色成分の電荷Qg12,Qg14,Qg11,Qg13,Qg31,Qg32,Qg33,Qg34が転送された状態を示す図である。
【図26】電荷Qg11,Qg13と電荷Qg33,Qg34とをそれぞれ水平転送部に転送し、これらの電荷を水平転送部上の電荷Qg12,Qg14と電荷Qg31,Qg32との転送位置に転送した後、当該電荷Qg12,Qg14と電荷Qg31,Qg32とを水平転送部に転送することにより、電荷Qg11,Qg13と電荷Qg12,Qg14、電荷Qg31,Qg32とQg33,Qg34とがそれぞれ加算される状態を示す図である。
【図27】垂直転送部から水平転送部への電荷の転送および水平転送部での電荷の転送の動作を説明するために、関係のあるゲートと水平転送部の井戸とに識別符号を付した図である。
【図28】Gの色成分の電荷Qg12,Qg14,Qg11,Qg13,Qg31,Qg32,Qg33,Qg34を垂直転送部から水平転送部に転送し、更に水平転送部上を転送する際に電荷Qg12,Qg14と電荷Qg11,Qg13、電荷Qg31,Qg32と電荷Qg33,Qg34とがそれぞれ加算され、分離された状態で出力部に出力される様子を示す図である。
【図29】Rの色成分の垂直転送電荷とBの色成分の垂直転送電荷とが同時に垂直転送部8の下端に転送された状態を示す図である。
【図30】Rの色成分の電荷Qr11,Qr13,Qr12,Qr14とBの色成分の電荷Qb12,Qb14,Qb11,Qb13とを垂直転送部から水平転送部に転送し、更に水平転送部上を転送する際にRの色成分の電荷Qr11,Qr13と電荷Qr12,Qr14、Bの色成分の電荷Qb12,Qb14と電荷Qb11,Qb13とがそれぞれ加算され、分離された状態で出力部に出力される様子を示す図である。
【図31】従来の単板式カラー撮像センサを用いた撮像装置の概略構成を示す図である。
【図32】単板式カラー撮像センサの各画素に設けられた色フィルタの配列を示す図である。
【図33】明暗が正弦波状に変化する縦縞光像を撮像センサで受光した場合の縦縞光像と各画素との関係を示す図である。
【図34】撮像センサの各画素の受光面における平均像面照度を算出するための一次元モデルを示す図である。
【図35】従来の単板式カラー撮像センサの周波数応答特性を示す図である。
【図36】従来の撮像装置に用いられる光学ローパスフィルタの周波数応答特性を示す図である。
【図37】結合光学系を透過した光線が光学ローパスフィルタにより2つに分離されて撮像面に照射される様子を示す図である。
【図38】光学ローパスフィルタを透過した光像を単板式カラー撮像センサで受光した場合の各画素の受光面における平均像面照度を算出するための一次元モデルを示す図である。
【図39】結像光学系の周波数応答特性を示す図である。
【図40】従来の撮像装置の装置全体の周波数応答特性を示す図である。
【符号の説明】
1 撮像装置
2 結像光学系
3 撮像センサ
31 pnフォトダイオード
311 n基板
312 P−ウェル
313 nフォトダイオード
314 n+フローティングディフュージョン領域
315 ゲート酸化膜
316 電極
32 画素選択用スイッチ素子(MOS型FET)
33 リセット用MOS型FET
34 ソースフォロアアンプ
35 出力制御用スイッチ素子(MOS型FET)
4 信号処理部
5 画像メモリ
6 駆動制御部(電荷読出手段)
7 受光部
8 垂直転送部(電荷統合手段)
81 井戸
82 ゲート
9 水平転送部(電荷統合手段)
91 井戸
PDij 受光素子
DFA(R),DFA(G),DFA(B) 増幅回路(フローティングディフュージョンアンプ)(電荷統合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに異なる色に感度を有する少なくとも2種類の複数の受光素子が水平方向及び垂直方向に同一色が隣接しないように交互に配置されてなる受光部を備えた撮像センサであって、露光によって上記受光部の各受光素子で得られた電荷を、各色毎に、隣り合う所定数の電荷毎に統合する電荷統合手段と、上記電荷統合手段で統合された電荷を、各色に分離して外部に順次、読み出す電荷読出手段とを備えたことを特徴とする撮像センサ。
【請求項2】 上記電荷統合手段で統合される電荷の所定数は、4の整数倍の数であることを特徴とする請求項1記載の撮像センサ。
【請求項3】 上記電荷統合手段で統合される電荷を発生する所定数の受光素子は、二次元的に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の撮像センサ。
【請求項4】 上記受光部は赤、緑、青の三原色に感度を有する3種類の複数の受光素子をベイヤー型に配置したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の撮像センサ。
【請求項5】 上記電荷統合手段は、統合すべき電荷を発生する所定数の受光素子が接続され、当該所定数の受光素子で得られた電荷を電圧に変換して加算するフローティングディフュージョンアンプからなり、上記電荷読出手段は、上記フローティングディフュージョンアンプからの電圧信号の出力を制御するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の撮像センサ。
【請求項6】 上記電荷統合手段は、上記受光素子の列毎に隣設され、各列の受光素子で得られた電荷を垂直方向に順次、転送する複数の垂直転送手段と、上記複数の垂直転送手段の下端に設けられ、当該垂直転送手段で転送された電荷を水平方向に順次、転送して外部に出力する水平転送手段と、各列の上記受光素子で得られた電荷を、統合すべき電荷が加算されるタイミングで順次、上記垂直転送手段に転送させ、且つ、各垂直転送手段で転送される電荷を、統合すべき加算された電荷が同時に上記水平転送手段に到達するように、上記電荷の垂直転送手段への転送および当該垂直転送手段での電荷の転送を制御する第1の転送制御手段と、上記各垂直転送手段で順次、転送された統合すべき複数の加算された電荷を更に加算するように、上記水平転送手段での電荷の転送を制御する第2の転送制御手段とからなり、上記電荷読出手段は、上記水平転送手段で加算された電荷を順次、外部に出力するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の撮像センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図37】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図27】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図28】
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【図29】
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【図31】
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【図30】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図38】
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【図36】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2003−189316(P2003−189316A)
【公開日】平成15年7月4日(2003.7.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−386654(P2001−386654)
【出願日】平成13年12月19日(2001.12.19)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】