説明

撮像機器用保護ケース

【課題】撮像機器の保護ケースのシール部材に非使用時にはシール部材に応力が掛からない様な構造、更にその状態での誤使用を避ける構造を提供することを目的とする。
【解決手段】保護ケースには、保護ケースの開口部に構成されるシール部材装着部を複数構成し、使用時と非使用時に装着位置を変更できるような構造を有し、非使用時にシール部材には負荷が掛からないように構成する。更に非使用時の状態で使用することを防ぐ為に、シール部材装着部の一部の色を変えて報知する構造を設ける事、音により報知する構造を設ける事、非使用時の状態では撮像機器を装着し難くする構造を設ける事でより使い勝手の良い安心して使用できる撮像機器の保護ケースとする事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機器用の保護ケース防水シール部の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像機器を収納し撮影可能な保護ケース特に防水を目的としたケース(特許文献1:例えばマリンパック等)においては、撮像機器を収納するための開口部があり、開口部を防水する為のシール部材(Oリング等)が設けられている。
【0003】
このシール部材は開口部を閉じた際に適切な潰し量が確保される様に保持されており、シール部材が潰された状態で開口部が閉じ外部からの水などの浸入を防ぐ様になっている。
【0004】
シール部材にはOリング等ゴム様の部材が用いられる事が一般的であり、非使用時(保管時)に開口部を長期間閉じたままにすると、シール部材が変形等を起こし、必要な潰し量が得られなくなり防水性能が落ち、水漏れが発生する原因となることがあった。
【0005】
その対応として、開口部にスペーサ部材を挟み、開口部が閉じない状態やシール部材を外して保管を行なっている。
【0006】
しかしながら、スペーサでは開口部が閉じないようにすることはできても開いたり、外した場合は別々に保管して紛失する恐れがあると言った事があり、煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−107571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に述べてきたように従来のビデオカメラ等の撮像機器を収納し撮影可能な保護ケース特に防水を目的としたケース(例えばマリンパック等)においては、撮像機器を収納するための開口部があり、開口部を防水する為のシール部材(Oリング等)が設けられており、非使用時に開口部を長期間閉じたままでもシール部材が劣化しないようにする配慮が必要となっている。
【0009】
また、従来の劣化判断装置では、構造が複雑であり、劣化した事はわかっても劣化自体の防止には対応できていなかった。
【0010】
これらのことから撮像機器の保護ケースの様に、シール部材で外部からの水の浸入を防いでいる構造に対して、非使用時のシール部材の劣化が起き難く、保管しやすい使い勝手の良い構造が望まれている。
【0011】
本発明は、上記従来の問題に鑑み、撮像機器の保護ケースのシール部材に非使用時にはシール部材に応力が掛からない様な構造、更にその状態での誤使用を避ける構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成する為に、本発明による保護ケースには、保護ケースの開口部に構成されるシール部材装着部を複数構成し、使用時と非使用時に装着位置を変更できるような構造を有し、非使用時にシール部材には負荷が掛からないように構成する。
【0013】
更に非使用時の状態で使用することを防ぐ為に、シール部材装着部の一部の色を変えて報知する構造を設ける事、音により報知する構造を設ける事、非使用時の状態では撮像機器を装着し難くする構造を設ける事でより使い勝手の良い安心して使用できる撮像機器の保護ケースとする事が出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明による撮像機器の保護ケースによれば、保護ケースの開口部に構成されるシール部材装着部を複数構成し、使用時と非使用時に装着位置を変更できるような構造を有し、非使用時にシール部材には負荷が掛からないように構成することが出来る。
更に非使用時の状態で使用することを防ぐ為に、シール部材装着部の一部の色を変えて報知する構造を設ける事、音により報知する構造を設ける事、非使用時の状態では撮像機器を装着し難くする構造を設ける事で、従来の保護ケースに比べより高機能を得る事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のシール部構造説明の断面図
【図2】実施例1のシール部構造説明の断面図
【図3】実施例1の後側カバーを示す図
【図4】実施例1の警笛部構造説明の断面図
【図5】実施例1のシール部露出構造説明の図
【図6】実施例1のシール部露出構造説明の図
【図7】保護ケースを示す図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
本実施例は保護ケースの中でも水の浸入を防ぐいわゆる防水ケースを例に説明する。図7は撮像機器としてビデオカメラを防水する保護ケースを示す図であり、90は保護ケース、91はビデオカメラ、92は保護ケース開口部のシール部、93はビデオカメラ91の三脚ネジに取付けて保護ケース91へ装着する為の台座である。また、94は保護ケース90の前側カバーである。
【0017】
保護ケース90を使用する際には、この台座93にビデオカメラ91を装着し台座93と保護ケース90が係合するように構成され位置を決めて装着する事が出来る。
保護ケース90のシール部はゴム様のOリング等で構成される事が多く前側カバー94を閉じることでシール部92が設定した量だけ圧縮して潰され外部の水の浸入を防いでいる。また、95は前側カバーを閉じた状態で保持するバックルである。
【0018】
図1、図2は本実施例の保護ケースのシール部断面を示す図であり、図1は使用時、図2は非使用時の状態を示している。ケースの基本的な構成は図7に示したものと同様である。図1において、10は保護ケース、11は保護ケース10の後側カバー、12は保護ケース10の前側カバーである。また、13はシール部としてのOリング、14は後側カバー11に設けたシール部13の保持溝である。
【0019】
保持溝14は従来の保護ケースにも同様に構成されているものであり、この保持溝14にOリング13をはめる様にして保持し、前側ケース12を閉じると必要な設定量だけOリング13を圧縮して所望の防水機能を果たすようになっている。このOリングはゴム様の材料で構成されており、常時潰した状態では徐々に変形等を起こし前側カバー12を閉じた際に得られる圧縮量が徐々に足りなくなり、防水性能を満足できなくなる事がある。
【0020】
15は後側カバー11に設けたシール部13の第二の保持溝である。この保持溝15の溝の幅b1高さb2はOリングの径φaと次の様な関係とする。
【0021】
a≦b1 a≦b2
この保持溝15は、保護ケースとしての機能を必要としない保管時などの非使用時にOリング13を保持溝15の位置に装着し、その状態で前側カバー12を閉じることでOリング13を圧縮せず、変形等の劣化を防止する事を可能としている。
【0022】
図3は本実施例の後側カバーを示す図で、先に説明した様に保持溝14、15を構成して、30は保持溝底面に設けた識別色部、31は保持溝底面に設けた識別文字である。
【0023】
この保持溝14、15の内、識別色部30を保持溝14に設け、保持溝15にOリング13を取り付けた状態、すなわち非使用時の時に識別色が認識できる様に構成した。また、保持溝15に識別文字31を「使用可能」として設ける事で保持溝14にOリング13を取り付けた状態で文字判読できる様に構成した。
【0024】
このように構成する事で使用者に対して、ひと目でどちらの保持溝にOリング13がはめられているか分かるようにする事が可能となる。
【0025】
この識別色部は例えば、本実施例の様に保持溝14に設ける場合はOリング13を灰色などの色で構成した場合、赤などの警告色とすると判別が容易となる。
【0026】
また、この識別色部30と識別文字31は図示しないが、保持溝15に識別色部30を設けて効果を得ることも可能である。例えばOリング13の色を青とした場合、識別色部30にも同じ色をつけておくことで、同じ色が二本認識できた時は使用可能といったことで報知できる。
【0027】
また、識別色部のみ識別文字のみと所望の報知内容に応じて組合わせる事が可能である。
【0028】
図4は保護ケースの前側カバー12を閉じた状態を保持するバックル部の断面を示す図であり、40はバックル、41は保護ケースに設けた内圧調整穴部である。更に、42はこの内圧調整穴部41の内側設けた警笛部42である。この内圧調整穴部41はバックルが閉じた状態では外部とは遮断された状態であるが、何らかの原因で内外の圧力に差が出来て開閉が出来なくなる事などを防いでいる。
【0029】
Oリング13を保持溝14に装着した際、すなわち使用時の状態で、保護ケース10の前側カバー12を閉じる場合に前側カバー12が十分に閉じる前にOリング13による開口部のシールが開始される。そのため十分に閉じた状態よりも内部容積が大きい状態で閉じ込められた空気により内部の圧力が上昇開始する。
【0030】
更に閉じて行くと、内部の空気が内圧調整穴部41を通り外部へ押し出されるこの内圧調整穴部41に設けた警笛部42を内部の空気が通過する際に音を発する。この音によって、使用者にきちんと閉じたこと、すなわちOリング13が使用位置、保持溝14に有る事を報知することが出来る。音がしない場合はOリング13の装着してある保持溝が保持溝15、非使用時の位置に有り使えないことが分かる。
【0031】
図5は保護ケース10のOリング13を非使用時の位置、保持溝15の時にケースの一部に露出させた状態を示す図である。保持溝15を保護ケース10の正位置に対して下側に構成し上側を無くすことで、Oリング13を開口部に露出させる。
【0032】
この様に構成する事で、図6の様に撮像機器を装着する時に邪魔をして、誤使用できないようにすることが可能となる。
【0033】
この様に、保護ケースの開口部のシール部材を装着する保持溝を使用時、非使用時と複数構成する事で非使用時にシール部材に負荷が掛からずにすることが可能となる。更に、保持溝に色をつけること、内圧調整穴部に警笛部を設ける事で使用者にどの位置にシール部材が装着されているかを知らせる事や、シール部材を露出させて撮像機器を装着する時に報知することも可能で、従来の保護ケースに比べより高機能を得る事が出来る。
【符号の説明】
【0034】
10・・保護ケース
11・・保護ケースの後側カバー
12・・保護ケースの前側カバー
13・・Oリング
14・・保持溝
15・・保持溝
30・・識別色部
31・・識別文字
90・・保護ケース
91・・ビデオカメラ
92・・シール部
93・・台座
94・・保護ケースの前側カバー
95・・バックル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像機器を収納して撮影が可能な保護ケースであって、該保護ケースの撮像機器収納の為の開口部に設けられたシール部材が継続的な加圧による変形での劣化を防ぐ事を可能に保持できる構造を持つことを特徴とする撮像機器の保護ケース。
【請求項2】
請求項1の保護ケースであって、シール部材を加圧し保持する保護ケース使用時の第一の保持位置と加圧変形による劣化を防ぐ事を可能に保持できる保護ケース非使用時の第二の保持位置を構成するようにシール部材の保持部を複数設け、第二の位置の寸法はシール部材の寸法と同寸以上の寸法を採る事で加圧による変形をさせないように構成したことを特徴とする撮像機器の保護ケース。
【請求項3】
請求項2の保護ケースであって、シール部材の保持位置を報知する為に、保持部の内部の色を変えたことを特徴とする撮像機器の保護ケース。
【請求項4】
請求項2の保護ケースであって、シール部材の保持位置を報知する為に、保持部の内部の文字で行なうことを特徴とする撮像機器の保護ケース。
【請求項5】
請求項2の保護ケースであって、シール部材の取り付け位置を報知する為に、内圧調整の為の通気部に警笛部を持たせ、通過する空気により音を発して報知することを特徴とする撮像機器の保護ケース。
【請求項6】
請求項2の保護ケースであって、シール部材が第二の保持位置に有る時に、撮像機器を収納できない様に構成する為に、第二の保持位置を全域に設けずにシール部材の一部を開口部に露出させることを特徴とする撮像機器の保護ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−88409(P2012−88409A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233180(P2010−233180)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】