説明

撮像機能を備えたプロジェクタ

【課題】撮像機能を兼ね備え、小型、軽量で携帯性に優れたプロジェクタを提供する。
【解決手段】本発明の撮像機能を備えたプロジェクタ1は、光源(レーザ光源12R,12G,12B)を含む照明装置2と、照明装置からの光を第1の光路、第2の光路のいずれか一方に偏向させて変調する光変調装置(DMD3)と、第1の光路上に配置され、光変調装置による変調後の光を被投写面上に投写するとともに、外部の被写体からの光を取り込んで光変調装置上に被写体の像を結像させる投写・対物光学系(投写・対物レンズ4)と、第2の光路上に配置され、光変調装置上の被写体の像を撮像する撮像装置(CCD5)と、光変調装置上の被写体の像を撮像装置上に結像させる結像光学系(結像レンズ6)と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機能を備えたプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタの分野において、会議やプレゼンテーション等の場で用いる業務用プロジェクタの他、家庭用プロジェクタが普及してきている。さらに、家庭用プロジェクタとしても、例えばリビングルーム等にプロジェクタを設置して家庭内で映像を鑑賞するだけでなく、プロジェクタを屋外に持ち出して外出先で映像を鑑賞するようなニーズも高まっている。このような用途の変化に伴って、近年、小型、軽量で携帯性に優れたプロジェクタの開発が進んでいる。
【0003】
また、外出先(例えば旅行先等)において、上記のような映像鑑賞の他、写真や動画を撮影したいという要求もある。このような場合、従来は、ユーザが上述のプロジェクタの他、カメラやビデオカメラ等を別途持っていく必要があり、いくらプロジェクタやカメラ等の携帯性が良くなったといっても、両方の機器を持って歩くのは負担が大きいものであった。そこで、プロジェクタの投写機能とカメラ等の撮影機能とを合わせ持った機器の登場が望まれている。
【0004】
ところで、画像読み取り機能を備えたプロジェクタが、下記の特許文献1に開示されている。このプロジェクタは、ディジタル・ライト・プロセッシング(Digital Light Processing, 以下、DLPと略記する、テキサス・インスツルメンツ社の登録商標)方式のプロジェクタである。このプロジェクタは、光変調素子としてディジタル・マイクロミラー・デバイス(Digital Micromirror Device, 以下、DMDと略記する)を備え、画像読み取り手段としてイメージセンサを備えている。そして、スクリーン上の画像を投影レンズでDMD上に結像させ、DMD上のスクリーン画像をイメージセンサで読み取るものである。このように、このプロジェクタによれば、読み取ったスクリーン画像を利用して、プロジェクタとスクリーンの設置、調整作業等を円滑に行うことができる。
【特許文献1】特開2004−163876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のプロジェクタは、画像読み取り機能を備えてはいるが、カメラやビデオカメラのように、任意の被写体を自由に撮影したいという要求を満たすものではなかった。
その理由は、上記のプロジェクタは、スクリーン画像を投影レンズでDMD上に結像させ、DMDで反射した光がイメージセンサに入射される構成になっている。ところが、スクリーン画像がイメージセンサ上に結像する構成になっていないため、イメージセンサではスクリーン上の大雑把な画像パターンが認識されるに過ぎない。したがって、プロジェクタとスクリーンの設置、調整作業等には使えるとしても、本発明が目的とする、任意の被写体を十分に撮影できるものではない。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、カメラやビデオカメラ等の持つ撮像機能を兼ね備え、小型、軽量で携帯性に優れたプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の撮像機能を備えたプロジェクタは、光源を含む照明装置と、前記照明装置から射出される光を第1の光路、第2の光路のいずれか一方に偏向させることで前記光の変調を行う光変調装置と、前記第1の光路上に配置され、前記光変調装置によって変調された光を被投写面上に投写するとともに、外部の被写体からの光を取り込んで前記光変調装置上に前記被写体の像を結像させる投写・対物光学系と、前記第2の光路上に配置され、前記光変調装置上の前記被写体の像を撮像する撮像装置と、前記光変調装置上の前記被写体の像を前記撮像装置上に結像させる結像光学系と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のプロジェクタは、投写モードでは、光変調装置が照明装置からの光を第1の光路、第2の光路のいずれか一方に偏向させることで光の変調が行なわれ、光変調装置上に所定の像が生成される。そして、第1の光路上に配置された投写・対物光学系により、光変調装置上の像が被投写面上に投写され、使用者は画像を鑑賞することができる。一方、撮影モードでは、投写・対物光学系が外部の被写体からの光を取り込み、光変調装置上に被写体の像が結像される。そして、第2の光路上に配置された撮像装置が光変調装置上の被写体の像を撮像する。このとき、本発明のプロジェクタには、光変調装置上の被写体の像を撮像装置上に結像させる結像光学系が備えられているため、撮像装置は光変調装置上の被写体の像を鮮明に撮像することができる。よって、結像光学系を持たない上記特許文献1のプロジェクタと異なり、十分に解像度の高い撮像機能を果たすことができる。
【0009】
また、本発明のプロジェクタは、光変調装置として以下の3つの形態を例示することができる。
第1の形態の光変調装置は、前記照明装置からの光を前記投写・対物光学系に向けて反射可能、かつ、前記投写・対物光学系を介して入射した前記被写体からの光を前記撮像装置に向けて反射可能な反射型光変調装置である。
すなわち、本構成は、投写モードで考えたときの反射型光変調装置のオフ状態(反射型光変調装置への入射光を投写・対物光学系側以外に反射させている状態)を利用し、このときの反射光を撮像装置に入射させるというものである。この構成によれば、反射型光変調装置による光の反射方向を制御するのみで投写モードと撮影モードを切り替えることができるため、装置構成が簡単になる。
【0010】
より具体的には、前記反射型光変調装置として、複数の反射ミラーをアレイ状に配置した反射ミラーアレイを採用することができる。
この構成における反射ミラーアレイは一般的なプロジェクタでよく用いられており、本発明の撮像機能を備えたプロジェクタを実現するのに特殊な光変調装置を準備する必要がない。
【0011】
第2の形態の光変調装置は、光の回折方向を制御可能であり、前記照明装置からの光を前記投写・対物光学系に向けて回折可能、かつ、前記投写・対物光学系を介して入射した前記被写体からの光を前記撮像装置に向けて回折可能な回折型光変調装置である。
この構成においても、反射型光変調装置の場合と同様、回折型光変調装置による光の回折方向を制御するのみで投写モードと撮影モードを切り替えることができるため、装置構成が簡単になる。
【0012】
第3の形態の光変調装置は、透過光の射出方向を制御可能であり、前記照明装置からの光を前記投写・対物光学系に向けて射出可能であるとともに、前記投写・対物光学系を介して入射した前記被写体からの光を前記撮像装置に向けて射出可能な透過型光変調装置である。
この構成によれば、上記の反射型、回折型の場合と異なり、光変調装置を中心として投写・対物光学系を配置した側と反対側に、照明装置や撮像装置を配置することができる。そのため、これら投写・対物光学系、照明装置、撮像装置等の部品の配置の自由度が大きくなり、装置設計が容易になる。
【0013】
より具体的には、前記透過型光変調装置として、透過光の偏光状態を制御可能な偏光制御素子と、前記偏光制御素子から射出された光の偏光状態に応じて透過光の射出方向を変更可能な複屈折素子と、を備えた構成を採用することができる。
一例としては、透過光の偏光状態を制御可能な偏光制御素子として例えば液晶ライトバルブを用い、光の偏光状態に応じて透過光の射出方向を変更可能な複屈折素子として例えば方解石のような複屈折性を有する異方性結晶を用いれば良い。このように、既存の材料を用いて本発明に好適な透過型光変調装置を容易に構成することができる。
【0014】
また、本発明のプロジェクタにおいて、前記照明装置が固体光源を備えることが望ましい。
この構成によれば、照明装置に固体光源を備えることによって、装置の小型化が図れるとともに、照明装置を瞬時に点灯させることができ、使い勝手の良いプロジェクタが実現できる。固体光源としては、レーザ、発光ダイオード(LED)等が挙げられる。特にレーザ光源を用いた場合には、射出光の色の彩度に優れるため、鮮やかな色のカラー画像を得ることができる。さらにレーザ光源の場合、射出する光が偏光であるため、表示に偏光を用いる液晶ライトバルブ等の光変調装置を用いる場合に入射側偏光板が不要となる。
【0015】
また、本発明のプロジェクタにおいて、前記照明装置は、異なる波長域の光を時間順次に射出可能であることが望ましい。
本発明のプロジェクタは白黒表示を行うものでも良いが、照明装置が異なる波長域の光を時間順次(時分割)に射出する構成(いわゆる色順次方式、カラーシーケンシャル方式などと呼ばれる方式)によれば、1個の光変調装置を用いるだけでカラーフィルターを備えることなく、カラー表示が可能となる。
【0016】
また、上記の色順次方式を採用する構成において、前記照明装置の光射出側に回転カラーホイールを有し、前記回転カラーホイールが前記撮像装置の光入射側に位置している構成としても良い。
色順次方式を実現する場合、異なる波長域(色)の光を時間順次に射出する複数の光源を備える構成でも良いが、白色光源を用い、その光射出側に回転カラーホイールを配置する構成でも良い。後者の場合、さらに回転カラーホイールが撮像装置の光入射側に位置する構成とすれば、撮像側も被写体からの光を各色毎に分けて時分割で取り込むことができ、撮像装置の画素数を減らすことができる。このとき、投写側と撮像側で回転カラーホイールを共用するため、回転カラーホイールが1個で済み、部品点数の低減と装置の小型化を図ることができる。
【0017】
あるいは、本発明のプロジェクタにおいて、前記撮像装置がカラーフィルターを備えたものであっても良い。
カラー撮影を行う場合、上記のような時分割方式に代えて、撮像装置にカラーフィルターを備え、空間的に色合成するものであっても良い。この構成によれば、回転カラーホイールが不要となるため、装置の小型化に大きく寄与することができる。
【0018】
また、本発明のプロジェクタにおいて、前記照明装置に電力を供給する電源部を備え、前記照明装置のうちの少なくとも前記光源と前記電源部とが第1の筐体に収容されるとともに、前記光変調装置と前記投写・対物光学系と前記撮像装置と前記結像光学系とが前記第1の筐体とは別体の第2の筐体に収容される構成としても良い。
一般に照明装置や電源部は熱を発生する一方、光変調装置、投写・対物光学系、撮像装置、結像光学系などはほとんど駆動のエネルギーを必要とせず、むしろ熱を受けない方が好ましい部品である。その点、上記の構成であれば、照明装置と電源部とが第1の筐体に収容され、光変調装置、投写・対物光学系、撮像装置、結像光学系が第2の筐体に収容されているため、第1の筐体側の部品の冷却効率が良く、第2の筐体側の部品の熱による悪影響を排除することができる。また、特に重量がある電源部等が別体になることで光学系側の小型化、軽量化が図れるため、より携帯性に優れるものとなる。
【0019】
また、本発明のプロジェクタにおいて、前記照明装置が前記光源からの光の照度分布を均一化する均一照明系を備え、前記光源からの光が光ファイバーを介して前記均一照明系に導入される構成としても良い。
この構成によれば、光ファイバーからなる均一照明系への光の導入経路がフレキシブルなものとなるため、各部品の配置の自由度が増し、装置設計が容易になるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0020】
また、上記の光ファイバーを備える構成において、前記照明装置は各々が異なる波長域の光を射出可能な複数の光源を備え、前記複数の光源と前記光ファイバーとの間に前記異なる波長域の光を合成する光合成手段を備える構成としても良い。
この構成によれば、複数の光源からの複数の光が光合成手段によって光ファイバーに導入される前に合成されることになるため、光ファイバーが1本で済み、装置構成が簡単になる。また、特に可干渉性の高いレーザ光源を用いる場合には、スペックル(干渉縞によるぎらつき)の発生が問題となるが、光合成手段を配置した箇所にスペックル除去装置を配置することもできる。
【0021】
また、本発明のプロジェクタにおいて、前記撮像装置が固体撮像素子を備える構成としても良い。
この構成によれば、固体撮像素子の応答速度が速いため、上述の色順次で被写体の像を取り込む方式にも十分に適応が可能である。
【0022】
また、本発明のプロジェクタにおいて、前記投写・対物光学系がズーム機能とフォーカシング機能と可変絞り機能とを有することが望ましい。
投写機能のみを備えた従来一般のプロジェクタならば、投写・対物光学系にズーム機能とフォーカシング機能があれば十分である。ところが、本発明のプロジェクタは撮像機能を備えており、被写体の明るさが場合によって大きく変わる場合が考えられるので、特に投写・対物光学系に可変絞り機能を備えることが有効である。これにより、被写体の明るさが変わっても、最適な絞り条件で撮影を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図4を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクタは、光変調装置にDMD(反射型光変調装置)を用い、投写モードと撮影モードを兼ね備えたプロジェクタの例である。
図1は本実施形態のプロジェクタの概略構成図である。図2は投写モードでの各部の作用を説明するための図(投写モードの動作に関わる構成要素のみを示している)、図3は撮影モードでの各部の作用を説明するための図(撮影モードの動作に関わる構成要素のみを示している)である。図4はレーザ光源の駆動波形を示すタイミングチャートである。なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、各構成要素間の寸法の縮尺などは適宜異ならせてある。
【0024】
本実施形態のプロジェクタ1は、図1に示すように、照明装置2と、DMD3(光変調装置、反射ミラーアレイ)と、投写・対物レンズ4(投写・対物光学系)と、電荷結合素子5(Charge Coupled Device,以下、CCDと略記する、撮像装置、固体撮像素子)と、結像レンズ6(結像光学系)と、筐体7とを備えている。照明装置2は、投写モードにおいてDMD3を照明する光を射出するものである。DMD3は、照明装置2から入射される光を反射する際に入射光の光路を偏向することで入射光の変調を行うものである。投写・対物レンズ4は、DMD3によって変調された光をスクリーン(被投写面)上に投写する一方、外部の被写体からの光を取り込んでDMD3上に被写体の像を結像させるためのレンズである。CCD5は、撮影モードにおいてDMD3上の被写体の像を撮像するものである。結像レンズ6は、DMD3上の被写体の像をCCD5上に結像させるためのレンズである。
【0025】
照明装置2は、レーザ光源部8と、光ファイバー9と、ロッドインテグレータ10(均一照明系)と、拡大レンズ11とを備えている。レーザ光源部8は、各々が異なる波長域の光、すなわち異なる色の光を射出する複数のレーザ光源12R,12G,12Bを有している。本実施形態の場合、複数のレーザ光源12R,12G,12Bは赤色光(R光)、緑色光(G光)、青色光(B光)をそれぞれ射出するレーザ光源である。上記の各色光の波長域は、例えばR光が580〜780nm、G光が480〜580nm、B光が380〜480nmである。ただし、この波長域の区分はほんの一例であり、これに限定されるものではない。
【0026】
レーザ光源部8において、複数のレーザ光源12R,12G,12Bはまとめて配置されており、これら複数のレーザ光源12R,12G,12Bを冷却するための冷却装置13が複数のレーザ光源12R,12G,12Bに近接して配置されている。冷却装置13は、例えば水冷型、空冷型等、冷却の方式を問わず、各種のものを用いることができる。また、複数のレーザ光源12R,12G,12Bから射出される色光を合成する光合波器14(光合成手段)が設けられ、光合波器14により複数の色光が合成される。光合波器14にはスペックルキャンセラー(図示せず)が内蔵されており、スペックルキャンセラーによって可干渉性の高いレーザ光同士を合成する際のスペックルの発生が抑えられる。
【0027】
光合波器14の出力端には光ファイバー9の一端が接続されており、光ファイバー9の他端にはロッドインテグレータ10が接続されている。ロッドインテグレータ10の光射出側には拡大レンズ11が配置されている。以上の構成により、複数のレーザ光源12R,12G,12Bから射出される色光が光合波器14で合成された後、1本の光ファイバー9によってロッドインテグレータ10に入射される。そして、各色光は、ロッドインテグレータ10によって照度が均一化されると同時に、DMD3の光入射面の形状に合致するように矩形変換された後、拡大レンズ11によってDMD3の光入射面に伝達される。
【0028】
DMD3は、各画素に対応する位置にマイクロミラー16を備えた反射型光変調素子であり、静電力等によりマイクロミラー16を駆動して反射角度を変更することによって射出光(反射光)の輝度を変調する。DMD3では、マイクロミラー16の下方に信号線、駆動トランジスタ等の遮光部位が作り込まれるので、開口率(単位画素領域において光利用が可能な領域の割合)が大きく、モアレも目立ちにくいという特徴を有している。DMD3は、画素を構成するマイクロミラー16が変調信号に応じて個別に変位して光の反射方向を制御する。言い換えると、DMD3は、投写・対物レンズ4へ光が入射される状態(以下、ON状態という)と入射されない状態(以下、OFF状態という)とをスイッチングして各状態の時間を制御することによって入射光の輝度変調を行う。したがって、DMD3はON状態、OFF状態の2値の制御を行っており、装置外部から投写・対物レンズ4を経て入射する光から見ると、全てのマイクロミラー16がON状態にあるときの反射光の光路上に照明装置2が配置される一方、全てのマイクロミラー16がOFF状態にあるときの反射光の光路上にCCD5が配置されている。
【0029】
本実施形態のCCD5には、所定の画素数の多数の撮像素子を有する従来一般のCCDを用いることができる。なお、撮像装置として、CCDの他、撮像管、CMOSセンサーアレイ等を用いることもできる。CCD5の光入射側には、図示しないカラーフィルターが設けられている。
【0030】
投写・対物レンズ4は、ズーム機能とフォーカシング機能と可変絞り機能とを有している。投写・対物レンズ4がズーム機能、フォーカシング機能に加えて、可変絞り機能を備えたことによって、後述する撮影モードにおいて被写体の明るさが大きく変わる場合でも最適な条件で撮影を実施することができる。
結像レンズ6は、DMD3上の像をCCD5の撮像素子上に結像するように、その焦点位置が固定されている。あるいは、結像レンズ6の焦点位置が可変であってもよい。
【0031】
投写モードにおいては、照明装置2の3つのレーザ光源12R,12G,12BがそれぞれR光、G光、B光を時間順次に射出する構成となっている。すなわち、図4に示すように、1フレーム期間が3分割され、1/3フレーム期間毎にR光、G光、B光が順次射出される。この各色光が、光合波器14、光ファイバー9、ロッドインテグレータ10、拡大レンズ11を経てDMD3に照射される。よって、DMD3側も1/3フレーム期間毎に各色光に対応する画像を生成すべく、駆動信号に基づいて各マイクロミラー16が駆動される。このように、本実施形態のプロジェクタ1は、いわゆる色順次(カラーシーケンシャル)方式のプロジェクタである。
【0032】
照明装置2からの光がDMD3上に照射される際には、図2に示すように、DMD3の各画素に対応するマイクロミラー16が、画素毎にON状態あるいはOFF状態となるように異なる方向を向く。ON状態にあるマイクロミラー16aで反射した光は投写・対物レンズ4へ入射され、OFF状態にあるマイクロミラー16bで反射した光は投写・対物レンズ4へ入射されないようになっている。すなわち、ON状態の画素が明状態、OFF状態の画素が暗状態とすると、DMD3は駆動信号に応じて画素毎に明状態、暗状態を制御することで1/3フレーム期間に各色光に対応した画像を生成する。そして、DMD3上に生成された画像が投写・対物レンズ4によってスクリーン18上に投写される。ユーザは、網膜上での各色光毎の画像の積分効果によってフルカラーの画像を見ることができる。
【0033】
一方、撮影モードにおいては、図3に示すように、装置外部の任意の被写体Mからの光が投写・対物レンズ4を介して取り込まれ、DMD3上に結像することによって、被写体Mの像がDMD3上に生成される。撮影モードにおいては、投写モードと異なり、DMD3の各画素に対応するマイクロミラー16は全てOFF状態となるように設定されている。したがって、投写モードの場合と異なる光の経路を辿って、投写・対物レンズ4から入射された光がDMD3上のOFF状態のマイクロミラー16上に結像され、被写体Mの像がマイクロミラー16上に形成される。このとき、投写・対物レンズ4に備えられた手動フォーカシング機能、あるいは自動フォーカシング機能によって、被写体Mの像はCCD5上ではなく、DMD3上にフォーカシングされる。さらに、マイクロミラー16で反射した光が結像レンズ6によってCCD5の撮像素子上に結像されることにより、CCD5がDMD3上の被写体Mの像を撮像する。
【0034】
本実施形態のプロジェクタ1は、投写モードでは、DMD3の各マイクロミラー16が照明装置2からの光を画素毎に異なる方向に偏向させることで光の変調が行なわれ、DMD3上に所定の画像が生成される。そして、投写・対物レンズ4によりDMD3上の像がスクリーン18上に投写され、ユーザは画像を鑑賞することができる。一方、撮影モードでは、投写・対物レンズ4によって被写体Mからの光が取り込まれ、DMD3上に被写体Mの像が結像される。そして、CCD5がDMD3上の被写体Mの像を撮像する。ここで、DMD3上の被写体Mの像をCCD5上に結像させる結像レンズ6が備えられているため、CCD5はDMD3上の被写体Mの像を鮮明に撮像することができる。よって、結像光学系を持たない上記特許文献1のプロジェクタと異なり、十分に解像度の高い撮像機能を備えたプロジェクタを実現することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、光変調装置として反射型光変調装置の一種であるDMD3を用い、DMD3のOFF状態を利用してDMD3からの反射光をCCD5に入射させるという構成を採用している。この構成によれば、DMD3による光の反射方向(ON状態、OFF状態)を制御するのみで投写モードと撮影モードを切り替えることができるため、装置構成が簡単になる。さらに、照明装置がレーザ光源12R,12G,12Bから構成されている点、1個のDMD3のみを用いた色順次方式である点なども相俟って、装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0036】
また、本実施形態においては、照明装置2が均一照明系であるロッドインテグレータ10を備え、レーザ光源12R,12G,12Bからの光が光ファイバー9を介してロッドインテグレータ10に導入される構成となっている。そのため、光ファイバー9からなる光の導入路がフレキシブルなものとなるため、各部品の配置の自由度が増し、装置設計が容易になるとともに、装置の小型化に寄与することができる。さらに、複数のレーザ光源12R,12G,12Bからの光が光ファイバー9に導入される前に光合波器14により合成されるため、光ファイバー9が1本で済み、装置構成が簡単になる。また、光合波器14がスペックルキャンセラーを備えたことで、可干渉性の高いレーザ光源を用いていてもスペックル(干渉縞によるぎらつき)の発生を抑えることができる。
【0037】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態を図5〜図7を参照して説明する。
第1実施形態のプロジェクタが光変調装置に反射型の光変調装置(DMD)を用いていたのに対し、本実施形態のプロジェクタは光変調装置に透過型の光変調装置を用いた点が異なっている。
図5は本実施形態のプロジェクタの概略構成図である。図6は透過型光変調装置の部分だけを抜き出して示す概略構成図、図7は透過型光変調装置の変形例を示す概略構成図である。なお、これらの図において、第1実施形態の図1〜図4と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0038】
第1実施形態のプロジェクタ1は、図1に示すように、DMD3のマイクロミラー16が設けられた側に照明装置2、投写・対物レンズ4、CCD5、結像レンズ6等の全ての光学部品が配置されていた。これに対して、本実施形態のプロジェクタ21は、図5に示すように、透過型光変調装置22を中心としてみると、一方の側に照明装置2、CCD5、結像レンズ6等が配置され、他方の側に投写・対物レンズ4が配置されている。本実施形態の場合、透過型光変調装置22と照明装置2との位置関係は、透過型光変調装置22の中心を通る法線H1と照明装置2から射出される光線の中心軸L1とがほぼ一致するように配置されている。透過型光変調装置22の内部構成については後述するが、本実施形態の場合、液晶ライトバルブと複屈折結晶とから構成されている。
【0039】
透過型光変調装置22の動作についても後述するが、透過型光変調装置22がON状態のとき、照明装置2から透過型光変調装置22に入射された光は透過型光変調装置22の内部をほぼ直進して投写・対物レンズ4に入射される。一方、透過型光変調装置22がOFF状態のとき、照明装置2から透過型光変調装置22に入射された光は透過型光変調装置22の内部で偏向され、投写・対物レンズ4に入射されない位置に射出される。透過型光変調装置22がOFF状態のときに光が射出される方向を2点鎖線の矢印Aoffで示すと、矢印Aoffを逆方向に延長した延長線上にCCD5と結像レンズ6とが配置されている。照明装置2、投写・対物レンズ4、CCD5、結像レンズ6等の各光学部品の役割は第1実施形態と同様である。
【0040】
次に、透過型光変調装置22の構成について説明する。
本実施形態の透過型光変調装置22は、図6に示すように、液晶ライトバルブ23(偏光制御素子)と複屈折結晶24(複屈折素子)とを有しており、照明装置2からの光が入射される側(図における下側)から液晶ライトバルブ23、複屈折結晶24の順に配置されている。液晶ライトバルブ23は、例えばTN(Twisted Nematic)モード、垂直配向モード等の液晶パネルであり、液晶の配向状態によって透過光の偏光状態を制御する。また、複屈折結晶24は、例えば方解石のような光学的異方性を有する結晶であり、入射光の偏光状態に応じて光を偏向させて異なる方向に向けて射出する。
【0041】
本実施形態の場合、照明装置2から射出されるのはレーザ光源の光であるから、液晶ライトバルブ23の入射側に偏光板がなくても、液晶ライトバルブ23には一定方向の直線偏光が入射される。したがって、投写モードにおいて、図6の右側に示すように、例えば紙面に垂直な偏光方向を持つ光(この偏光方向の光をS偏光とする)が液晶ライトバルブ23に入射されると仮定する。このとき、液晶ライトバルブ23で液晶の配向状態を制御することにより、S偏光をS偏光のまま射出させるか、S偏光を紙面に平行な偏光方向を持つ光(この偏光方向の光をP偏光とする)に変換して射出させるかを切り替える。次に、複屈折結晶24は、入射光がP偏光であればその光を直進させる一方、入射光がS偏光であればその光を所定の角度だけ偏向させる。この例においては、液晶ライトバルブ23がS偏光をP偏光に変換したときに液晶ライトバルブ23からの射出光が複屈折結晶24を経て投写・対物レンズ4に入射される(ON状態)一方、液晶ライトバルブ23がS偏光をそのまま射出させるときには液晶ライトバルブ23からの射出光は複屈折結晶24で偏向されて投写・対物レンズ4には入射されない(OFF状態)。このようにして、透過型光変調装置22は入射光を変調し、画像を生成する。
【0042】
一方、撮影モードでは投写モードとは逆に、被写体からの光は複屈折結晶24、液晶ライトバルブ23の順に透過する。投写・対物レンズ4を経て入射される被写体からの光は自然光であるから、ランダム偏光光(S偏光とP偏光とが混在した光)である。したがって、図6の左側に示すように、S偏光とP偏光とが混在した光が複屈折結晶24に入射されると、P偏光成分は複屈折結晶24の内部を直進する一方、S偏光成分は所定の角度だけ偏向する。ここで、撮影モードにおいては入射光がその偏光状態を維持したまま射出するように液晶ライトバルブ23の配向状態を制御しておく。すると、複屈折結晶24からの光は液晶ライトバルブ23を透過し、P偏光成分は照明装置2側に導かれるが、S偏光成分は結像レンズ6およびCCD5側に向けて射出される。この光は結像レンズ6によりCCD5上に結像される。このようにして、CCD5が被写体の像を撮像する。
【0043】
本実施形態のプロジェクタ21においても、小型、軽量で高解像度の撮像機能を備えたプロジェクタを実現できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。また、反射型光変調装置を用いた第1実施形態の場合と異なり、透過型光変調装置22を中心として投写・対物レンズ4を配置した側と反対側に、照明装置2や結像レンズ6、CCD5等を配置することができる。そのため、これら光学部品の配置の自由度が大きくなり、装置設計が容易になる。
【0044】
なお、本実施形態では照明装置2がレーザ光源12R,12G,12Bを有する場合として説明したが、レーザ光源以外のランダム偏光光を射出する光源を用いた場合、透過型光変調装置の構成が変わってくる。その構成を図7に示す。図7の透過型光変調装置26は、照明装置2からの光が入射される側(図における下側)から偏光板27、視角補償板28a、液晶ライトバルブ23、視角補償板28b、複屈折結晶24の順に配置されている。
【0045】
本構成例の場合、投写モードにおいて、照明装置2から射出されるのはランダム偏光光であるが、液晶ライトバルブ23の入射側に偏光板27が配置されているため、この光のうち、例えばS偏光が偏光板27(偏光板27の透過軸を紙面と垂直方向とする)を透過する。以降、光が複屈折結晶24を透過するまでの作用は上述の図6の場合と同様である。一方、撮影モードにおいても、光が液晶ライトバルブ23を射出するまでの作用は上述の図6の場合と同様である。その後、液晶ライトバルブ23の内部を直進したP偏光成分は偏光板27で吸収されるが、S偏光成分は偏光板27を透過し、結像レンズ6およびCCD5側に向けて射出される。この光は結像レンズ6によってCCD5上に結像される。このようにして、CCD5が被写体の像を撮像する。また、S偏光成分は複屈折結晶24で偏向された後、液晶ライトバルブ23の内部を斜めに透過することになるが、液晶ライトバルブ23の入射側、射出側にそれぞれ視角補償板28a,28bが備えられているため、S偏光が維持される。なお、投写モードにおいては、照明装置2からの光は液晶ライトバルブ23に対してほぼ垂直に入射されるため、視角補償板28a,28bは特に機能しない。このように、ランダム偏光光を射出する光源を用いた場合であっても、透過型光変調装置を採用することが可能である。
【0046】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態を図8、図9を参照して説明する。
第1、第2実施形態のプロジェクタが単色光を射出するレーザ光源を用いていたのに対し、本実施形態のプロジェクタは白色光を射出する光源を用いた点が異なっている。また、光変調装置にDMD(反射型光変調装置)を用いた点は第1実施形態と同様である。
図8は本実施形態のプロジェクタの概略構成図である。図9は同プロジェクタに用いる回転カラーホイールの平面図である。なお、これらの図において、第1実施形態の図1と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0047】
本実施形態のプロジェクタ31は、図8に示すように、照明装置32と、DMD3と、投写・対物レンズ4(投写・対物光学系)と、CCD33(固体撮像素子)と、結像レンズ6(結像光学系)とを備えている。なお、図8では筐体の図示を省略している。また、照明装置32は、白色光源34と、集光レンズ35と、回転カラーホイール36と、光ファイバー9と、ロッドインテグレータ10(均一照明系)と、拡大レンズ11とを備えている。白色光源34は、例えば超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプのような白色光を射出可能な光源である。白色光源34から射出された白色光は集光レンズ35によって回転カラーホイール36上に集光される。
【0048】
回転カラーホイール36は、図9に示すように、略等しい面積のR,G,Bのカラーフィルター37R,37G,37Bを備えた円盤38がモータ39によって回転軸40を中心として回転する構成となっている。よって、投写モードにおいて、白色光源34から射出された白色光は集光レンズ35を経て回転カラーホイール36を透過する際に時間的に色分離され、回転カラーホイール36からR光、G光、B光が順次射出される。図8に示すように、回転カラーホイール36の射出側には光ファイバー9の一端に設けられた受光部41が配置されている。回転カラーホイール36から射出された各色光は受光部41から光ファイバー9に導入され、ロッドインテグレータ10に入射される。そして、各色光は、ロッドインテグレータ10で照度が均一化されると同時に矩形状に変換された後、拡大レンズ11によってDMD3の光入射面に伝達される。
【0049】
図8に示すように、DMD3に対するロッドインテグレータ10、拡大レンズ11、投写・対物レンズ4、結像レンズ6、CCD33等の光学部品の配置は、第1実施形態と略同様である。ただし、本実施形態の場合、結像レンズ6とCCD33との間に上述の回転カラーホイール36が配置されている。図9に示すように、白色光源34とCCD33とは互いに干渉しない位置に配置されている。回転カラーホイール36は、投写モードのみならず、撮影モードにおいても回転するように構成されている。また本実施形態の場合、CCD33はカラーフィルターを備えていない。
【0050】
投写モードにおいては、回転カラーホイール36が1フレーム期間に1回転している。したがって、照明装置2からR,G,Bの各色光が1/3フレーム期間毎に射出される。ここで、DMD3のON状態にあるマイクロミラー16で反射した光は投写・対物レンズ4へ入射され、OFF状態にあるマイクロミラー16で反射した光は投写・対物レンズ4へ入射されない。すなわち、DMD3は駆動信号に応じて画素毎に明状態、暗状態を制御することで1/3フレーム期間に各色光に対応した画像を生成する。そして、DMD3上の画像が投写・対物レンズ4によってスクリーン上に投写される。
【0051】
一方、撮影モードにおいては、被写体からの光が投写・対物レンズ4によってDMD3上に結像され、被写体の像がDMD3上に生成される。撮影モードにおいては、DMD3の各マイクロミラー16は全てOFF状態となっており、投写・対物レンズ4から入射された光がDMD3上のOFF状態のマイクロミラー16上に結像され、被写体の像がマイクロミラー16上に形成される。そして、CCD33がDMD3上の被写体の像を撮像する。このとき、本実施形態において、回転カラーホイール36は撮影モードにおいても1フレーム期間に1回転している。したがって、CCD33は、DMD3上の被写体の像をR,G,Bの各色毎の画像として時分割で撮像する。
【0052】
本実施形態のプロジェクタ31においても、小型、軽量で高解像度の撮像機能を備えたプロジェクタを実現できる、といった第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。色順次方式の場合、異なる色の光を時分割で射出する複数のレーザ光源を備える第1、第2実施形態のような構成でも良いが、本実施形態のように、白色光源34を用い、その射出側に回転カラーホイール36を配置する構成を採用することもできる。本実施形態の場合、回転カラーホイール36がCCD33の光入射側に配置されており、被写体からの光を各色毎に時分割で取り込むため、CCD33がカラーフィルターを備えることなく、画素数を第1、第2実施形態に比べて1/3に減らすことができる。また、投写側と撮像側で回転カラーホイール36を共用しているため、回転カラーホイールが1個で済み、部品点数の低減と装置の小型化を図ることができる。
【0053】
[第4の実施の形態]
以下、本発明の第4の実施の形態を図10を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクタの基本構成は第1実施形態のプロジェクタと同様であり、光学部品の筐体への収納構造が異なるのみである。
図10は本実施形態のプロジェクタの概略構成図である。図10において、第1実施形態の図1と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0054】
本実施形態のプロジェクタ51は、図10に示すように、レーザ光源部8に電力を供給する電源部53を備え、ACアダプタ等を含む電源部53とレーザ光源部8とが第1の筐体54に収容されている。また、DMD3、DMD駆動回路55、投写・対物レンズ4、CCD5、結像レンズ6等が第1の筐体54とは別体の第2の筐体56に収容されている。そして、光ファイバー9によって第1の筐体54内のレーザ光源部8と第2の筐体56内のロッドインテグレータ10とが接続されている。
【0055】
一般に光源や電源部は熱を発生する一方、光変調装置、投写・対物光学系、撮像装置、結像光学系などはほとんど駆動のエネルギーを必要とせず、むしろ熱を受けない方が好ましい部品である。その点、本実施形態の構成であれば、レーザ光源部8と電源部53とが第1の筐体54に収容され、DMD3、投写・対物レンズ4、CCD5、結像レンズ6等の光学部品が第2の筐体56に収容されているため、第1の筐体54側の部品の冷却効率が良く、第2の筐体56側の部品の熱による悪影響を排除することができる。また、特に重量がある電源部53等が別体になることで光学系側の小型化、軽量化が図れるため、より携帯性に優れるものとなる。
【0056】
また、異なる応用形態として、例えば第1の筐体と第2の筐体とを光ファイバーを内蔵したアームで連結しておき、第2の筐体側を机やテーブルに設置する一方、第1の筐体側を投写・対物レンズが下向きになるようにアームを介して空中に配置する構成とすることもできる。そして、この構成のプロジェクタを用いて、机上に画像を投写するとともに机上の書類等を撮影する、といったことも可能である。
【0057】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば第1実施形態では反射型光変調装置、第2実施形態では透過型光変調装置の例を示したが、その他、照明装置からの光を投写・対物光学系に向けて回折可能、かつ、投写・対物光学系を介して入射した被写体からの光を撮像装置に向けて回折可能な回折型光変調装置を用いることもできる。この構成においても、回折型光変調装置による光の回折方向を制御するのみで投写モードと撮影モードを切り替えることができるため、装置構成が簡単になる。また、光源としてはレーザ光源、ランプ光源の他、発光ダイオード(LED)等を用いることも可能である。その他、上記実施形態で例示した各種光学部品の具体的な構成については、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1実施形態のプロジェクタの概略構成図である。
【図2】同プロジェクタの投写モードでの各部の作用を説明するための図である。
【図3】同プロジェクタの撮影モードでの各部の作用を説明するための図である。
【図4】同プロジェクタのレーザ光源の駆動波形を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態のプロジェクタの概略構成図である。
【図6】同プロジェクタの透過型光変調装置の概略構成図である。
【図7】同透過型光変調装置の変形例を示す概略構成図である。
【図8】本発明の第3実施形態のプロジェクタの概略構成図である。
【図9】同プロジェクタの回転カラーホイールの平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態のプロジェクタの概略構成図である。
【符号の説明】
【0059】
1,21,31,51…プロジェクタ、2,32,52…照明装置、3…DMD(反射型光変調装置、反射ミラーアレイ)、4…投写・対物レンズ(投写・対物光学系)、5,33…CCD(撮像装置、固体撮像素子)、6…結像レンズ(結像光学系)、7…筐体、10…ロッドインテグレータ(均一照明系)、12R,12G,12B…レーザ光源、14…光合波器(光合成手段)、18…スクリーン(被投写面)、22,26…透過型光変調装置、23…液晶ライトバルブ(偏光制御素子)、24…複屈折結晶(複屈折素子)、34…白色光源、36…回転カラーホイール、53…電源部、54…第1の筐体、56…第2の筐体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を含む照明装置と、
前記照明装置から射出される光を第1の光路、第2の光路のいずれか一方に偏向させることで前記光の変調を行う光変調装置と、
前記第1の光路上に配置され、前記光変調装置によって変調された光を被投写面上に投写するとともに、外部の被写体からの光を取り込んで前記光変調装置上に前記被写体の像を結像させる投写・対物光学系と、
前記第2の光路上に配置され、前記光変調装置上の前記被写体の像を撮像する撮像装置と、
前記光変調装置上の前記被写体の像を前記撮像装置上に結像させる結像光学系と、を有することを特徴とする撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項2】
前記光変調装置が、前記照明装置からの光を前記投写・対物光学系に向けて反射可能、かつ、前記投写・対物光学系を介して入射した前記被写体からの光を前記撮像装置に向けて反射可能な反射型光変調装置であることを特徴とする請求項1に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項3】
前記反射型光変調装置が、複数の反射ミラーをアレイ状に配置した反射ミラーアレイであることを特徴とする請求項2に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項4】
前記光変調装置が、光の回折方向を制御可能であり、前記照明装置からの光を前記投写・対物光学系に向けて回折可能、かつ、前記投写・対物光学系を介して入射した前記被写体からの光を前記撮像装置に向けて回折可能な回折型光変調装置であることを特徴とする請求項1に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項5】
前記光変調装置が、透過光の射出方向を制御可能であり、前記照明装置からの光を前記投写・対物光学系に向けて射出可能であるとともに、前記投写・対物光学系を介して入射した前記被写体からの光を前記撮像装置に向けて射出可能な透過型光変調装置であることを特徴とする請求項1に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項6】
前記透過型光変調装置が、透過光の偏光状態を制御可能な偏光制御素子と、前記偏光制御素子から射出された光の偏光状態に応じて透過光の射出方向を変更可能な複屈折素子と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項7】
前記照明装置が、固体光源を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項8】
前記照明装置が、異なる波長域の光を時間順次に射出可能であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項9】
前記照明装置の光射出側に回転カラーホイールを有し、前記回転カラーホイールが前記撮像装置の光入射側に位置していることを特徴とする請求項8に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項10】
前記撮像装置が、カラーフィルターを備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項11】
前記照明装置に電力を供給する電源部を備え、前記照明装置のうちの少なくとも前記光源と前記電源部とが第1の筐体に収容されるとともに、前記光変調装置と前記投写・対物光学系と前記撮像装置と前記結像光学系とが前記第1の筐体とは別体の第2の筐体に収容されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項12】
前記照明装置が前記光源からの光の照度分布を均一化する均一照明系を備え、前記光源からの光が光ファイバーを介して前記均一照明系に導入されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項13】
前記照明装置は各々が異なる波長域の光を射出可能な複数の光源を備え、前記複数の光源と前記光ファイバーとの間に前記異なる波長域の光を合成する光合成手段を備えたことを特徴とする請求項12に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項14】
前記撮像装置が、固体撮像素子を備えたことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。
【請求項15】
前記投写・対物光学系が、ズーム機能とフォーカシング機能と可変絞り機能とを有することを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載の撮像機能を備えたプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−134321(P2008−134321A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318706(P2006−318706)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】