説明

撮像素子基板の取付構造、画像読取装置、及び画像形成装置

【課題】撮像素子基板の面内方向の位置調整が不要となる撮像素子基板の取付構造を得る。
【解決手段】CCD基板76は、調整穴82と位置決め穴84が形成されており、下端部が支持部94で支持され、支持部94と反対側の上端部に付勢バネ96が接触されるようになっている。CCD基板76を走査ユニット32に取付けるとき、まず、位置決め穴84に位置決めネジ88がねじ込まれて位置決めされる。続いて、CCD基板76の下端部が支持部94で支持され、上端部が付勢バネ96で付勢される。ここで、CCD基板76は、位置決め穴84が支点となり、調整穴82の調整代だけ面内方向に移動可能であるが、付勢バネ96で支持部94側へ付勢されることで、結像位置に保持される。これにより、CCD基板76の面内方向の位置調整が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子基板の取付構造、画像読取装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(プリンタ)に、フラットベッド構成の画像読取装置(スキャナ)を一体化させた、MFP(Multi Function Printer)、AIO(All In One)と呼ばれるものがある。画像読取装置は、走査体であるキャリッジに、発光部と、結像光学系と、CCD(Charge Coupled Device)素子等からなる撮像素子基板とが取付けられており、キャリッジが走査すると、発光部から出射した光が画像で反射し、結像光学系を通してCCD素子に結像されて、所定の画像データが得られる。
【0003】
キャリッジは、輸送時の衝撃等により、光学部品の取付け位置等が変わる可能性があり、工場からユーザーへ届ける時の輸送時や、ユーザーからの返品時に、キャリッジを画像読取装置の本体に固定する必要がある。このため、キャリッジを固定するための固定手段を設けた画像読取装置がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1、2の画像読取装置は、キャリッジを走査方向の端部側へ寄せて固定するようになっている。
【特許文献1】特開2003−295338
【特許文献2】特開2005−234073
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の画像読取装置は、ゆるんだ撮像素子基板をキャリッジに固定する締結部材を、ユーザーが締め直すものではなかった。
【0006】
本発明は、撮像素子基板の面内方向の位置調整が不要となる撮像素子基板の取付構造、画像読取装置、及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る撮像素子基板の取付構造は、原稿に照射された光の反射光が結像される撮像素子を備えた撮像素子基板を、画像読取装置の走査体に立てて取付ける撮像素子基板の取付構造であって、前記撮像素子基板に形成された位置決め穴と、前記位置決め穴と並んで形成された調整穴と、前記位置決め穴へ挿通され前記撮像素子基板を前記走査体に締結する位置決め締結部材と、前記調整穴へ挿通され前記撮像素子基板を前記走査体に締結する前は、前記位置決め締結部材を支点として、前記撮像素子基板を面内方向に移動可能とする調整締結部材と、前記調整穴の下方で前記撮像素子基板の下端部を支持可能とする支持部材と、前記撮像素子基板の前記支持部材と反対側の上端部に接触し、前記撮像素子基板を前記支持部材に向けて付勢して前記撮像素子基板を結像位置に保持する付勢部材と、を有することを特徴としている。
【0008】
本発明の請求項2に係る画像読取装置は、請求項1に記載の撮像素子基板の取付構造で撮像素子基板が取付けられた走査体と、前記走査体を走査可能に収納する筐体と、前記筐体の側壁に形成され、外部から前記位置決め締結部材及び前記調整締結部材の締め付けを可能とする穴部と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明の請求項3に係る画像読取装置は、前記筐体に設けられ移動されて前記走査体を前記筐体に固定又は固定解除する固定手段と、前記側壁と対向して設けられ、移動して前記穴部を遮蔽又は開口する遮蔽板と、前記固定手段と連動し、前記遮蔽板を移動させる遮蔽板移動手段と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項2又は請求項3に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置で読み取られた画像情報に基づいて露光光を出射する露光部と、前記露光光で形成された潜像を現像剤で顕在化して現像剤像を形成する現像部と、前記現像部で顕在化された前記現像剤像を記録媒体上に転写する転写部と、前記転写部で転写された記録媒体上の前記現像剤像を定着する定着部と、前記転写部から前記定着部へ記録媒体を搬送する搬送部と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、撮像素子基板の面内方向の位置調整が不要となる。
【0012】
請求項2の発明は、本構成を有していない場合に比較して、筐体を分解しないでも、締結部材の締め直しを行うことができる。
【0013】
請求項3の発明は、本構成を有していない場合に比較して、穴部から筐体内部に粉塵等が侵入しにくくなる。
【0014】
請求項4の発明は、本構成を有していない場合に比較して、画像ムラが抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の撮像素子基板の取付構造、画像読取装置、及び画像形成装置の実施形態を図面に基づき説明する。
【0016】
図1には、記録用紙上に画像形成を行う画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、原稿を読み取る原稿読取部12と、原稿読取部12の下部に配置された本体部14とを有している。本体部14では、原稿読取部12で読み取られた画像データに基づいて画像形成が行われる。また、原稿読取部12上には、当該原稿読取部12の開閉蓋を兼用する原稿搬送装置16が設けられている。
【0017】
原稿搬送装置16には、複写しようとする原稿を(複数枚の場合は重ねて)載せるフィーダートレイ18が設けられている。また、フィーダートレイ18の下方には、フィーダートレイ18から送り込まれて読み取られた原稿が排出される排紙トレイ20が設けられている。ここで、原稿搬送装置16及び原稿読取部12では、排紙トレイ20上に載せられた原稿(複数枚重ねられている場合は、その最上層の原稿)が、図示しない原稿反転ユニットへ送り込まれ、反転しながら原稿読取部12のプラテンガラス22(図2(a)参照)上の読取領域を通過し、排紙トレイ20上に排出されることにより、原稿の読み取りが行われる。
【0018】
本体部14は、本体下部に3段に渡って配設された給紙トレイ26と、給紙トレイ26の上部に配置され画像形成を行う画像形成部120とを有している。また、原稿読取部12には、ユーザが原稿読取、或いは複写指示等を入力操作するための表示部(パネル)及び操作部(テンキー、スタートボタン等)からなるユーザインターフェイス24が配設されている。ここで、原稿読取部12で記録用紙のサイズが指定されることで、選択的に給紙トレイ26から記録用紙が給紙装置(図示省略)によって1枚ずつ引き出され、画像形成部120に搬送されるようになっている。
【0019】
図2に示すように、画像形成部120は、本体を構成する筐体122に露光装置124が固定されており、露光装置124に隣接する位置に、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御ユニット42が設けられている。
【0020】
露光装置124は、原稿読取部12で読み取られた画像情報に基づいて、図示しない光源から出射された光ビームを回転多面鏡(ポリゴンミラー)で走査し、反射ミラー等の複数の光学部品で反射して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び ブラック(K)の各トナーに対応した光ビーム126Y、126M、126C、126Kを出射するようになっている。光ビーム126Y、126M、126C、126Kは、それぞれ対応する各感光体128Y、128M、128C、128Kに導かれる。
【0021】
画像形成部120の下方側には、前述の給紙トレイ26が配設されており、給紙トレイ26の上方には、記録用紙Pの先端部位置を調整する一対のレジストロール129が設けられている。また、画像形成部120の中央には、画像形成ユニット130が設けられている。画像形成ユニット130は、前述の4つの感光体128Y、128M、128C、128Kを備えており、これらが上下一列に並んでいる。
【0022】
感光体128Y、128M、128C、128Kの回転方向上流側には、感光体128Y、128M、128C、128Kの表面を帯電する帯電ローラ132Y、132M、132C、132Kが設けられている。また、感光体128Y、128M、128C、128Kの回転方向下流側には、Y、M、C、Kの各トナーをそれぞれ感光体128Y、128M、128C、128K上に現像する現像器134Y、134M、134C、134Kが設けられている。
【0023】
一方、感光体128Y、128Mには第1中間転写体136が接触し、感光体128C、128Kには第2中間転写体138が接触している。そして、第1中間転写体136、第2中間転写体138には第3中間転写体140が接触している。第3中間転写体140と対向する位置には、転写ロール142が設けられている。ここで、転写ロール142と第3中間転写体140との間を記録用紙Pが搬送され、第3中間転写体140上のトナー像を記録用紙Pに転写させる。
【0024】
記録用紙Pが搬送される用紙搬送路144の下流には、定着装置146が設けられている。定着装置146は、定着ロール148と加圧ロール150を有しており、記録用紙Pを加熱・加圧してトナー像を記録用紙Pに定着させる。トナー像が定着された記録用紙Pは、用紙搬送ロール152で画像形成部120の上部に設けられた排出トレイ28に排出される。
【0025】
ここで、画像形成部120の画像形成について説明する。
【0026】
画像形成が開始されると、各感光体128Y〜128Kの表面が帯電ローラ132Y〜132Kによって一様に帯電される。露光装置124から出力画像に対応した光ビーム126Y〜126Kが、帯電後の感光体128Y〜128Kの表面に照射され、感光体128Y〜128K上に各色分解画像に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像に対して、現像器134Y〜134Kが選択的に各色、すなわちY〜Kのトナーを付与し、感光体128Y〜128K上にY〜K色のトナー像が形成される。
【0027】
その後、マゼンタ用の感光体128Mから第1中間転写体136にマゼンタのトナー像が一次転写される。また、イエロー用の感光体128Yから第1中間転写体136にイエローのトナー像が一次転写され、第1中間転写体136上で前記マゼンタのトナー像に重ね合わされる。
【0028】
一方、同様にブラック用の感光体128Kから第2中間転写体138にブラックのトナー像が一次転写される。また、シアン用の感光体128Cから第2中間転写体138にシアンのトナー像が一次転写され、第2中間転写体138上で前記ブラックのトナー像に重ね合わされる。
【0029】
第1中間転写体136へ一次転写されたマゼンタとイエローのトナー像は、第3中間転写体140へ二次転写される。一方、第2中間転写体138へ一次転写されたブラックとシアンのトナー像も、第3中間転写体140へ二次転写される。ここで、先に二次転写されているマゼンタ 、イエローのトナー像と、シアン、ブラックのトナー像とが重ね合わされ、カラー(3色)とブラックのフルカラートナー像が第3中間転写体140上に形成される。
【0030】
二次転写されたフルカラートナー像は、第3中間転写体140と転写ロール142との間のニップ部に達する。そのタイミングに同期して、レジストロール129から記録用紙Pが当該ニップ部分に搬送され、記録用紙P上にフルカラートナー像が三次転写(最終転写)される。
【0031】
この記録用紙Pは、その後、定着装置146に送られ、定着ロール148と加圧ロール150とのニップ部を通過する。その際、定着ロール148と加圧ロール150とから与えられる熱と圧力との作用により、フルカラートナー像が記録用紙Pに定着される。定着後、記録用紙Pは用紙搬送ロール152により排出トレイ28に排出され、記録用紙Pへのフルカラー画像形成が終了する。
【0032】
図3(a)及び図3(b)に示すように、原稿読取部12の本体を構成するケース13の上面には開口が形成されており、当該開口に、透明のガラス板からなり原稿31が載置されるプラテンガラス22が嵌め込まれている。なお、原稿搬送装置16にあるフィーダートレイ18を用いることができない製本原稿等を、直接プラテンガラス22に載せて複写する場合は、原稿搬送装置16を上方へ開放することになる。
【0033】
プラテンガラス22の下部の装置内空間部には、原稿31の読み取りを行う走査ユニット32が配設されている。走査ユニット32は、画像形成装置10の正面から奥側に向かう方向を長手方向(主走査方向)として原稿31に向けて発光する棒状の光源34と、光源34と平行に配置され、原稿31で反射された光Lを反射する複数のミラーからなる反射部36と、反射部36で反射された光Lを集光するレンズからなる集光部38と、集光部38で集光された光Lを受光(結像)して電気信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ40と、を有している。また、CCDラインセンサ40は、画像形成装置10の本体内に設けられた前述のコントロールユニット42に接続されている。なお、反射部36で複数のミラーにより光Lを折り返すのは、CCDラインセンサ40への結像に所定の光路長を必要とするためである。
【0034】
ここで、走査ユニット32が、前記主走査方向と直交する方向(副走査方向:矢印X)に移動することで、光源34からの発光光が、原稿31に記録された画像にライン状に照射される。続いて、原稿31からの反射光が、反射部36及び集光部38を介してCCDラインセンサ40で受光される。CCDラインセンサ40では、光電変換によって画像濃度に応じた電気信号をコントロールユニット42に出力する。そして、コントロールユニット42では、得られた電気信号に基づいて照射領域の画像濃度を検出する。このようにして、原稿31の画像の読み取りが行われる。
【0035】
一方、プラテンガラス22の周囲には、原稿セットガイド30が設けられている。原稿セットガイド30は、プラテンガラス22より僅かな凸状の段差となっており、原稿セットガイド30の段差に接するように原稿31の角部を合わせることにより、容易に原稿31の位置決めが行われる。原稿セットガイド30の周囲で画像形成装置10の奥側(図の上方)には、原稿搬送装置16の底面側に設けられたヒンジ部材(図示省略)が固定される固定部44A、44Bが設けられている。
【0036】
原稿セットガイド30の左手前側には、輸送時の振動等で走査ユニット32が移動するのを防ぐための固定ノブ46が設けられている。固定ノブ46は、画像形成装置10の手前側から奥側へ向けてスライド可能となっており、奥側でロック状態とすることにより、走査ユニット32が原稿読取部12内で固定されるようになっている。また、ケース13の左側壁13Aには、貫通穴48、50が形成されている。なお、貫通穴48、50は、それぞれ後述する貫通穴104、106と同じ穴径となっている。
【0037】
図4には、本実施の形態の画像形成装置10における原稿読取部12及び本体部14の駆動を制御するコントロールユニット42の制御ブロック図が示されている。コントロールユニット42には、データ経路であるバス52が設けられており、バス52には、CPU54、RAM56、ROM58、画像読取I/F(インターフェイス)60、画像出力I/F62、前述のユーザインターフェイス(UI)24が接続されている。また、画像読取I/F60には原稿読取部12が接続され、画像出力I/F62には本体部14が接続されている。
【0038】
ここで、ユーザインターフェイス24で図示しないスタートボタンが操作されると、画像読取I/F60を介して、原稿読取部12で原稿31(図3(b)参照)の読み取りが開始される。そして、画像形成が必要なときは、読み取られた原稿31の画像データに基づいて、画像出力I/F62を介して、本体部14で、記録用紙に画像形成が行われる。
【0039】
次に、原稿読取部12の詳細について説明する。
【0040】
図5及び図6(b)に示すように、原稿読取部12内には、走査ユニット32が配設されている。走査ユニット32は、主走査方向(矢印Y方向)を長手方向とする略直方体状で、上面が開放された本体ケース64を有している。本体ケース64の内部には、前述の光源34と反射部36(図3参照)が設けられている。
【0041】
また、本体ケース64の上面には、反射部36の大半を覆うようにしてカバー部材66が取付けられており、光源34の上方は、開放され開口部68が形成されている。これにより、本体ケース64内部の光源34から出射された光が、開口部68を経由して原稿31で反射して、再度開口部68を経由して、本体ケース64内部の反射部36で反射されるようになっている。
【0042】
本体ケース64の主走査方向両端部の下面には、円形の貫通穴70が形成された挿通部72が2箇所ずつ突設されている。なお、紙面手前側には挿通部72A、72Bがあり、奥側には挿通部72C、72Dがあるが、挿通部72C、72Dは図示を省略している。また、本体ケース64の主走査方向一端側(手前側)の側壁64Aには、略コ字状で上面及び一側面(手前側)が開口された係合部74が形成されている。
【0043】
原稿読取部12のケース13内には、副走査方向(X方向)を長手方向として、所定間隔で2本の円柱状のレール部材71が配設されている。ここで、レール部材71に走査ユニット32の貫通穴70が外挿されることにより、走査ユニット32が副走査方向に移動可能となる。なお、走査ユニット32は、図示しないモータ、ギア、ベルト等の駆動手段が、コントロールユニット42によって制御されることで、副走査方向に駆動される。
【0044】
前述の固定ノブ46は、上面に滑り止めのための複数の溝が形成された平板部46Aと、平板部46Aの下面から下方側へ一対で延設され下端が副走査方向に突出した略レ字状の係合部46Bと、平板部46Aの下面から主走査方向の一方(手前側)へ突出した突部46Cと、突部46Cから下方側へ柱状に延設された柱部46Dと、突部46Cから副走査方向の一方(左側)へ柱状に突出した付勢部46Eと、平板部46Aの下面で一対の係合部46Bの間から下方側に突設された略半円柱状の突部46F(図8(a)参照)と、で構成されている。
【0045】
ここで、図8(a)に示すように、原稿読取部12のケース13の上面に形成された略矩形状の開口部47に、係合部46B(図示省略)が係合されることにより、固定ノブ46が、主走査方向にスライド可能となっている。また、開口部47は、一部に底部47Aが形成されており、底部47Aの上面に略半円柱状の突部47Bが形成されている。これにより、固定ノブ46がスライドすると、柱部46Dの先端が走査ユニット32の係合部74と係合すると共に、突部46Fが突部47Bを乗り越えて、ケース13に走査ユニット32が固定される。
【0046】
一方、図5及び図6(b)に示すように、走査ユニット32において、本体ケース64の光源34と反対側の側壁64Bには、図示しない開口が形成されている。この開口と対向する位置には、前述のCCDラインセンサ40(図3(b)参照)が配置される。CCDラインセンサ40は、回路パターンが形成された略矩形状のCCD基板76に半田付けされている。
【0047】
図6(b)及び図7(a)〜(c)に示すように、CCD基板76は、中央から左端までの間の下端の一部に、切欠部76Aが形成されている。また、CCD基板76の中央から右端までの間の略中央には、締結用の調整穴82と位置決め用の位置決め穴84が形成されている。調整穴82の穴径は、所定の調整代を含んで位置決め穴84の穴径よりも大きくなっており、調整穴82には調整ネジ86が挿通され、位置決め穴84には位置決めネジ88がねじ込まれて締結されるようになっている。
【0048】
一方、本体ケース64には、側壁64B側に図示しないネジ等によりブラケット78、80が取付けられている。ブラケット78は、略L字状に折り曲げられた立設部分の形状が正面視にて略コ字状となっており、このコ字状の両先端部に、調整穴82の穴径よりも小さい穴径で調整ネジ86がねじ込まれる第1締結穴90と、位置決め穴84の穴径と等しい穴径で位置決めネジ88がねじ込まれる第2締結穴92とが形成されている。また、ブラケット80は、略水平方向に張り出した状態となっており、上面に略円柱状のピンからなる支持部94が設けられている。
【0049】
CCD基板76は、支持部94と対向する上端部に、付勢バネ96が接触されるようになっている。付勢バネ96は、略T字状の固定部96Aと、固定部96Aの先端で略水平方向に張り出した部位が逆へ字状に折り曲げられた2箇所の接触部96Bとで構成されている。ここで、接触部96BがCCD基板76の上端部に接触し、固定部96Aがカバー部材66上面にネジ等で固定されることにより、CCD基板76が、本体ケース64に取付けられる。
【0050】
図5及び図6(a)に示すように、CCD基板76の手前側(本体ケース64と反対側)には、CCD基板76と略平行に略矩形状のシャッター部材102が配置されている。シャッター部材102は、調整ネジ86の外径よりも大きい内径の貫通穴104と、位置決めネジ88の外径よりも大きい内径の貫通穴106が形成されている。また、シャッター部材102の一端(手前側)は、略L字状に折り曲げられ、接触部102Aが形成されている。
【0051】
一方、ケース13(図3参照)の底面には、突部108が立設されており、突部108の上部に形成された穴部(図示省略)にコイルばね110の一端が係合されている。コイルばね110の他端は、シャッター部材102の接触部102Aの略中央に形成された穴部(図示省略)に係合されている。また、ケース13の左側壁13Aの内面には、略L字状の保持部112が設けられている。保持部112は、シャッター部材102の上下端部に挟むように配置されており、ここでは、合計2組(4箇所)に設けられている。
【0052】
シャッター部材102は、保持部112で保持されることにより、主走査方向(矢印Y方向)にスライド可能となっている。なお、固定ノブ46がスライドしたときに、シャッター部材102の接触部102Aと固定ノブ46の付勢部46Eとが接触するように、予めこれらの高さが設定されている。また、固定ノブ46がスライドしてケース13に固定されたとき、貫通穴104を通して調整ネジ86が視認及び締結作業可能な配置となっており、貫通穴106を通して位置決めネジ88が視認及び締結作業可能な配置となっている。
【0053】
次に、本発明の実施形態の作用について説明する。
【0054】
まず、走査ユニット32の組立時のCCD基板76の取付け手順について説明する。
【0055】
図7(a)に示すように、矢印Z方向(鉛直下方)にCCD基板76が移動され、支持部94上に切欠部76Aが載置される。これによりCCD基板76の一端が支持される。そして、ブラケット78の第2締結穴92とCCD基板76の位置決め穴84とが連通した状態で、位置決めネジ88がねじ込まれ、CCD基板76がブラケット78に仮留めされる。なお、仮留めとは、CCD基板76を面内方向に僅かにスライド移動させることが可能な程度に、位置決めネジ88を締結することである。
【0056】
ここで、第2締結穴92と位置決め穴84の穴径が等しく、位置決めネジ88の中心と、第2締結穴92及び位置決め穴84の中心とが一致した状態で締結されるので、ブラケット78(本体ケース64)に対してCCD基板76の右側が位置決めされる。
【0057】
続いて、図7(b)に示すように、ブラケット78の第1締結穴90とCCD基板76の調整穴82とが連通した状態で、調整ネジ86がねじ込まれる。調整ネジ86も位置決めネジ88と同様に仮留め状態となっている。
【0058】
続いて、図7(c)に示すように、CCD基板76の上端面で支持部94と対向する位置に付勢バネ96の接触部96Bが接触されると共に、付勢バネ96の固定部96Aが、カバー部材66の上面に固定される。このとき、CCD基板76は、位置決めネジ88の中心が支点となり、調整穴82の調整代の分だけ面内方向に移動可能となっているが、付勢バネ96により支持部94側へ付勢されるため、結像位置(設計位置)に保持される。
【0059】
続いて、CCD基板76は、調整ネジ86及び位置決めネジ88が、所定トルクのドライバで完全に締結され、走査ユニット32の本体ケース64に固定される。ここで、例えば輸送等により画像形成装置10が振動し、CCD基板76の取付け箇所に振動が生じても、CCD基板76は、付勢バネ96で支持部94側へ付勢されているため、結像位置に保持される。これにより、輸送後のCCD基板76の面内方向の位置調整が不要となる。
【0060】
次に、走査ユニット32の固定について説明する。
【0061】
図8(a)、図8(b)、及び図9に示すように、画像形成装置10の移送等で走査ユニット32を固定するとき、固定ノブ46を矢印Y方向にスライドさせる。固定ノブ46の突部46Fが突部47Bを乗り越えるまでスライドさせると、柱部46Dが係合部74と係合すると共に、付勢部46Eが接触部102Aを付勢して、シャッター部材102が矢印Y方向に移動する。
【0062】
走査ユニット32は、柱部46Dと係合部74とが係合することにより、副走査方向及び主走査方向の移動が規制され、ケース13内に固定される。なお、突部46Fと突部47Bが係合しているため、コイルばね110による戻り力(矢印Y方向と逆方向の力)が付勢部46Eに作用しても、固定ノブ46は固定状態を保持する。
【0063】
一方、シャッター部材102は、固定ノブ46が元の位置(非固定位置)にあるとき、ケース13の貫通穴48、50を塞いでいるが、固定ノブ46が固定位置(走査ユニット32を固定する位置)にスライドされるときには、矢印Y方向に移動して、貫通穴48と貫通穴104、貫通穴50と貫通穴106をそれぞれ連通状態とする。
【0064】
これにより、例えば、画像形成装置10の移送後、振動等の影響により調整ネジ86及び位置決めネジ88の締め付けがゆるんだとしても、左側壁13Aの貫通穴48及び貫通穴104を介して、又は貫通穴50及び貫通穴106を介して、調整ネジ86又は位置決めネジ88をドライバ120で締め直すことが容易となる。このように、左側壁13Aの貫通穴48、50から調整ネジ86、位置決めネジ88をそれぞれ締め直すことができるので、原稿読取部12のケース13を分解しなくて済む。
【0065】
また、固定ノブ46の固定を解除したとき、シャッター部材102が、コイルばね110の戻り力によって矢印Y方向と逆方向へ移動して貫通穴48、50を遮蔽する。これにより、画像形成装置10の使用時には、貫通穴48、50からケース13内部に粉塵等が侵入するのを抑えられる。
【0066】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0067】
CCDラインセンサ40に換えてCMOSセンサを用いて、CIS(Contact Image Sensor)方式で走査ユニットを構成してもよい。また、シャッター部材102の移動手段として、例えば、固定ノブ46をスライドさせたときにスイッチがONとなり、シャッター部材102を移動させるモータ、ギア等を用いてもよい。
【0068】
シャッター部材102の移動方向は、水平方向に限らず、鉛直方向であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成部の構成図である。
【図3】(a)本発明の実施形態に係る原稿読取部の斜視図である。(b)本発明の実施形態に係る原稿読取部を模式的に示した断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るコントロールユニットの構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る走査体の斜視図である。
【図6】(a)本発明の実施形態に係る遮蔽板の取付け状態を示す斜視図である。(b)本発明の実施形態に係る走査体への撮像素子基板の取付け状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る走査体への撮像素子基板の取付け手順を示す工程図である。
【図8】(a)本発明の実施形態に係る固定手段の固定状態を示す断面図である。(b)本発明の実施形態に係る遮蔽板の移動状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像読取装置の側壁の穴部にドライバが挿通される状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成装置(画像形成装置)
12 原稿読取部(画像読取装置)
13 ケース(筐体)
13A 左側壁(側壁)
31 原稿(原稿)
32 走査ユニット(走査体)
40 CCDラインセンサ(撮像素子)
46 固定ノブ(固定手段)
46E 付勢部(遮蔽板移動手段)
48 貫通穴(穴部)
50 貫通穴(穴部)
76 CCD基板(撮像素子基板)
82 調整穴(調整穴)
84 位置決め穴(位置決め穴)
86 調整ネジ(調整締結部材)
88 位置決めネジ(位置決め締結部材)
94 支持部(支持部材)
96 付勢バネ(付勢部材)
102 シャッター部材(遮蔽板)
102A 接触部(遮蔽板移動手段)
124 露光装置(露光部)
134 現像器(現像部)
142 転写ロール(転写部)
144 用紙搬送路(搬送部)
146 定着装置(定着部)
P 記録用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に照射された光の反射光が結像される撮像素子を備えた撮像素子基板を、画像読取装置の走査体に立てて取付ける撮像素子基板の取付構造であって、
前記撮像素子基板に形成された位置決め穴と、
前記位置決め穴と並んで形成された調整穴と、
前記位置決め穴へ挿通され前記撮像素子基板を前記走査体に締結する位置決め締結部材と、
前記調整穴へ挿通され前記撮像素子基板を前記走査体に締結する前は、前記位置決め締結部材を支点として、前記撮像素子基板を面内方向に移動可能とする調整締結部材と、
前記調整穴の下方で前記撮像素子基板の下端部を支持可能とする支持部材と、
前記撮像素子基板の前記支持部材と反対側の上端部に接触し、前記撮像素子基板を前記支持部材に向けて付勢して前記撮像素子基板を結像位置に保持する付勢部材と、
を有することを特徴とする撮像素子基板の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子基板の取付構造で撮像素子基板が取付けられた走査体と、
前記走査体を走査可能に収納する筐体と、
前記筐体の側壁に形成され、外部から前記位置決め締結部材及び前記調整締結部材の締め付けを可能とする穴部と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記筐体に設けられ移動されて前記走査体を前記筐体に固定又は固定解除する固定手段と、
前記側壁と対向して設けられ、移動して前記穴部を遮蔽又は開口する遮蔽板と、
前記固定手段と連動し、前記遮蔽板を移動させる遮蔽板移動手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取られた画像情報に基づいて露光光を出射する露光部と、
前記露光光で形成された潜像を現像剤で顕在化して現像剤像を形成する現像部と、
前記現像部で顕在化された前記現像剤像を記録媒体上に転写する転写部と、
前記転写部で転写された記録媒体上の前記現像剤像を定着する定着部と、
前記転写部から前記定着部へ記録媒体を搬送する搬送部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−232279(P2009−232279A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76677(P2008−76677)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】