説明

撮像装置、その制御方法、および制御プログラム

【課題】フレーム毎に急激なゲインの変化が生じても精度よくノイズ補正を行う。
【解決手段】互いに異なる第1および第2の露出量で撮像素子に光学像を与えて撮像素子からアンダー画像およびオーバー画像を出力させる。アンダー画像およびオーバー画像に対して巡回ノイズ補正処理を行う際、のアンダー画像およびオーバー画像を巡回ノイズ補正処理した際にそれぞれ得られた巡回データを引き継いで、アンダー画像およびオーバー画像に対する巡回ノイズ補正処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、その制御方法、および制御プログラムに関し、特に、動画又は静止画を撮影する際に露出を変えつつ撮影する場合の補正制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用ビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどの撮像装置が一般に普及している。撮像装置で用いられる撮像素子において、CCD撮像素子に加えて、CMOS撮像素子が用いられている。これらの撮像素子ついては、市場(ユーザ)の要望によって高画素化が進んでいる。撮像素子の高画素化に伴って、撮像素子自体に起因するノイズの問題があり、ノイズを低減又は補正するための手法が種々提案されている。
【0003】
例えば、撮像装置において、動画撮影の際に発生するノイズを巡回処理して補正低減するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
一方、撮像素子のダイナミックレンジを超えるダイナミックレンジで撮影を行うための所謂ダイナミックレンジ拡張撮影(HDR撮影)が知られている。
【0005】
例えば、撮像装置において、所謂アンダー画像とオーバー画像とを合成して、ダイナミックレンジを拡張する手法がある(特許文献2参照)。このHDR処理によって撮像素子のダイナミックレンジを超える撮影が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−245998号公報
【特許文献2】特開平6−273354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のノイズ補正手法では、HDR撮影のようにフレーム毎に意図的に露出を変化させる処理について何ら考慮されていない。
【0008】
よって本発明の目的は、露出を異ならせながら連続して画像を撮像する場合でも精度良くノイズ補正を行うことのできる撮像装置、その制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明による撮像装置は、被写体を撮影して得た光学像に応じた画像信号を得る撮像素子を有する撮像装置であって、互いに異なる第1および第2の露出量で前記撮像素子に前記光学像を与えて前記撮像素子から前記第1および前記第2の露出量に応じた第1および第2の画像信号を出力させる露出制御手段と、前記第1および前記第2の画像信号に対して巡回ノイズ補正処理を行う巡回処理手段と、前記巡回ノイズ補正処理の後の前記第1および前記第2の画像信号を合成して合成画像信号とする合成手段とを有し、前記巡回処理手段は、第1の画像信号および第2の画像信号を巡回ノイズ補正処理した際にそれぞれ得られた巡回データを引き継いで、第1の画像信号および第2の画像信号に対する巡回ノイズ補正処理を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明による制御方法は、被写体を撮影して得た光学像に応じた画像信号を得る撮像素子を有する撮像装置の制御方法であって、互いに異なる第1および第2の露出量で前記撮像素子に前記光学像を与えて前記撮像素子から前記第1および前記第2の露出量に応じた第1および第2の画像信号を出力させる露出制御ステップと、前記第1および前記第2の画像信号に対して巡回ノイズ補正処理を行う巡回処理ステップと、前記巡回ノイズ補正処理の後の前記第1および前記第2の画像信号を合成して合成画像信号とする合成ステップとを有し、前記巡回処理ステップでは、第1の画像信号および第2の画像信号を巡回ノイズ補正処理した際にそれぞれ得られた巡回データを引き継いで、第1の画像信号および第2の画像信号に対する巡回ノイズ補正処理を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明による制御プログラムは、被写体を撮影して得た光学像に応じた画像信号を得る撮像素子を有する撮像装置で用いられる制御プログラムであって、前記撮像装置が備えるコンピュータに、互いに異なる第1および第2の露出量で前記撮像素子に前記光学像を与えて前記撮像素子から前記第1および前記第2の露出量に応じた第1および第2の画像信号を出力させる露出制御ステップと、前記第1および前記第2の画像信号に対して巡回ノイズ補正処理を行う巡回処理ステップと、前記巡回ノイズ補正処理の後の前記第1および前記第2の画像信号を合成して合成画像信号とする合成ステップとを実行させ、前記巡回処理ステップでは、第1の画像信号および第2の画像信号を巡回ノイズ補正処理した際にそれぞれ得られた巡回データを引き継いで、第1の画像信号および第2の画像信号に対する巡回ノイズ補正処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フレーム毎に急激なゲインの変化が生じても精度よくノイズ補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態による撮像装置の一例であるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す撮像装置におけるHDR動画撮影を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示す撮像素子について説明するための図である。
【図4】図1に示す撮像装置で行われるHDR撮影で用いられる合成比率テーブルの一例を示す図である。
【図5】図1に示す撮像装置で行われる巡回ノイズ補正処理を説明するための図である。
【図6】図1に示す撮像装置で行われる相互参照型巡回ノイズ補正について説明するための図である。
【図7】図1に示す撮像装置においてゲインを変更した際の巡回ノイズ補正処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による撮像装置について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態による撮像装置の一例であるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【0016】
図示の撮像装置100は撮影レンズ10および絞り機能を備える機械式シャッター12を有している。光学像が撮影レンズ10およびシャッター12を介して撮像素子14に結像する。撮像素子14はこの光学像に応じた電気信号(アナログ信号)を出力する。このアナログ信号はA/D変換器16によってデジタル信号(画像データ)に変換される。
【0017】
撮像素子14およびA/D変換器16にはタイミング発生回路(タイミング発生部)18からクロック信号および制御信号が供給され、撮像素子14およびA/D変換器16はクロック信号および制御信号に応じて動作する。タイミング発生回路18はメモリ制御回路22およびシステム制御回路50によって制御される。
【0018】
タイミング発生回路18によって、撮像素子14のリセットタイミングを制御すれば、撮像素子14の電荷蓄積時間を制御することができる。つまり、タイミング発生回路18によるリセットタイミング制御によって所謂電子シャッタが実現される。
【0019】
画像処理回路(画像処理部)20はA/D変換器16から供給される画像データ又はメモリ制御回路22から与えられる画像データに対して所定の画素補間処理および色変換処理を行う。画像処理回路20は画像データから画像の切り出しおよび変倍処理を行って電子ズーム機能を行う。
【0020】
さらに、画像処理回路20は、撮像の結果得られた画像データに応じて所定の演算処理を行う。そして、システム制御回路(システム制御部)50は当該演算結果に基づいて露光制御部40および測距制御部42を制御する。これによって、露光制御部40および測距制御部42は、所謂TTL(through the lens)方式によるAF(自動焦点)処理、AE(自動露出)処理、およびEF処理を行う。
【0021】
加えて、画像処理回路20は、撮像の結果得られた画像データに応じて所定の演算処理を行って得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0022】
メモリ制御回路22はA/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、メモリ30、および圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16から出力された画像データは画像処理回路20およびメモリ制御回路22を介して又は直接メモリ制御回路22を介してメモリ30に書き込まれる。
【0023】
画像表示部28は、例えば、TFT LCDで構成され、メモリ30に書き込まれた画像データはメモリ制御回路22によって画像として画像表示部28に表示される。そして、画像表示部28に画像を逐次表示するようにすれば、電子ファインダー機能として用いることができる。
【0024】
さらに、画像表示部28はシステム制御回路50の制御によってその表示がオン又はオフされる。表示をオフすれば、撮像装置100における電力消費を大幅に低減することができる。
【0025】
メモリ30には、前述のように、撮影の結果得られた画像データが格納される(この画像データには静止画像データ動画像データが含まれる)。このメモリ30は所定枚数の静止画像データおよび所定時間の動画像データを格納するための十分な記憶容量を有している。
【0026】
この結果、複数枚の静止画像を連続して撮影する所謂連写撮影又はパノラマ撮影の際においても、高速かつ大量の画像データをメモリ30に書き込むことができる。
【0027】
なお、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても用いることが可能である。
【0028】
不揮発性メモリ31は、例えば、Flash ROMであり、システム制御回路50が実行するプログラムコードが不揮発性メモリ31に格納されている。そして、システム制御回路50は不揮発性メモリ50からプログラムコードを逐次読み出して実行する。
【0029】
なお、不揮発性メモリにはシステム情報を記憶する領域、ユーザ設定情報を記憶する領域が設定され、種々の情報および設定を次回起動の際に、システム制御回路50が読み出す。
【0030】
圧縮・伸長回路32は適応離散コサイン変換(ADCT)などによって画像データを圧縮伸長する。例えば、圧縮・伸長回路32はメモリ30に格納された画像データを読み込んで圧縮処理又は伸長処理を行って、処理済みの画像データをメモリ30に書き込む。
【0031】
露光制御部40は絞り機能を備えるシャッター12を制御する。また、露光制御部40はフラッシュ48と連動するフラッシュ調光機能も有している。
【0032】
測距制御部42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御する。ズーム制御部44は撮影レンズ10のズーミングを制御する。フラッシュ48はAF補助光の投光機能およびフラッシュ調光機能を有している。
【0033】
前述のように、露光制御部40および測距制御部42はTTL方式によって制御され、画像処理回路20による演算結果に基づいて、システム制御回路50が露光制御部40および測距制御部42を制御する。
【0034】
図示のように、システム制御回路50には、モードダイアルスイッチ60、シャッタースイッチ62および64、表示切替スイッチ66、操作部70、およびズームスイッチ72が接続されている。
【0035】
モードダイアルスイッチ60は、電源のオフ、自動撮影モード、撮影モード、パノラマ撮影モード、動画撮影モード、およびHDR(ダイナミックレンジ拡張撮影)動画撮影モードなとの機能モードを切り替え設定する際に用いられる。
【0036】
シャッタースイッチ62は、シャッターボタン(図示せず)の操作途中でオンとなって、第1のシャッタースイッチ信号SW1をシステム制御回路50に送出する。これによって、システム制御回路50はAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、およびAWB(オートホワイトバランス)処理などの動作開始を指示する。
【0037】
シャッタースイッチ64はシャッターボタンの操作完了でオンとなって、第2のシャッタースイッチ信号SW1をシステム制御回路50に送る。これによって、システム制御回路50は、例えば、フラッシュ撮影の場合には、EF(フラッシュプリ発光)処理を行った後、AE処理で決定された露光時間だけ撮像素子14を露光させる。
【0038】
フラッシュ撮影の場合には、露光時間中にフラッシュ48の発光が行われて、露光時間が終了すると、露光制御部40はシステム制御回路50の制御下でシャッター12を制御して遮光を行って、撮像素子14に対する露光を終了させる。
【0039】
前述のように、撮像素子14から読み出されたアナログした信号はA/D変換器16およびメモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データとして書き込まれる(読み出し処理)。そして、画像処理回路20およびメモリ制御回路22における演算結果を用いた現像処理とメモリ30から画像データを読み出して圧縮・伸長回路32で圧縮を行う圧縮処理とがシステム制御回路50の制御下で行われる。そして、圧縮後の画像データは後述する記録媒体200に書き込まれる(記録処理)。
【0040】
表示切替スイッチ66の操作によって、システム制御回路50の制御下で画像表示部28の表示切替が行われる。この表示切替によって光学ファインダー104を用いて撮影を行う際、前述のように画像表示部28に対する電源供給が遮断されて省電力を図ることができる。
【0041】
操作部70は、例えば、各種のボタン、タッチパネル、および回転式ダイアルを備えている。図示はしないが、各種のボタンには、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、および単写/連写/セルフタイマー切り替えボタンなどがある。
【0042】
加えて、各種のボタンには、メニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタン、再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像移動−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、日付/時間設定ボタン名とがある。
【0043】
ズームスイッチ72はユーザーによって操作され、ズームスイッチ72の操作によって、システム制御回路50は撮像画像の倍率変更指示を行う。このズームスイッチ72は、撮像画角を望遠側に変更させるテレスイッチと、広角側に変更させるワイドスイッチとを有している。
【0044】
このズームスイッチ72の操作によって、ズーム制御部44はシステム制御回路50の制御下で撮影レンズ10の撮像画角を変更して光学ズームを実行する。また、ズームスイッチ72の操作によって、画像処理回路20による画像の切り出しおよび画素補間処理などの撮像画角の電子的なズーミング変更が行われる。
【0045】
電源86は、例えば、アルカリ電池などの一次電池、又はNiCd電池、NiMH電池、又はLiイオン電池等の二次電池を備えるとともに、ACアダプターを有している。
【0046】
インタフェース(I/F)90はメモリカード又はハードディスク等の記録媒体200と撮像装置100とのインタフェースであり、I/F90はコネクタ92によって記録媒体200と接続される。と接続を行うコネクタである。
【0047】
記録媒体200は半導体メモリ又は磁気ディスクなどの記録部202およびインタフェース(I/F)204を備えており、記録媒体200はコネクタ206によって撮像装置100に接続される。
【0048】
通信部110は、例えば、USB、IEEE1394の機能、LAN機能、無線通信機能などを備えている。そして、通信部110はコネクタ112によって外部機器(図示せず)に接続される。なお、無線通信機能を用いる場合には、コネクタ112にはアンテナが接続される。
【0049】
図2は、本実施形態におけるHDR動画撮影を説明するためのフローチャートである。
【0050】
HDR動画撮影では、撮像素子14のダイナミックレンジをアンダー/オーバーとして2種類の画像を得て、当該2種類の画像を合成処理してダイナミックレンジを拡大する。
【0051】
HDR動画撮影が開始されると、システム制御回路50は適正な露出(第1の露出量)よってダイナミックレンジがアンダーの画像(第1の画像信号:以下アンダー画像と呼ぶ)を取得する(ステップS101)。アンダー画像の撮影の際には巡回処理によって画像の補正が行われる。
【0052】
続いて、システム制御回路50は第2の露出量でダイナミックレンジがオーバーの画像(第2の画像信号:以下オーバー画像と呼ぶ)を取得する(ステップS102)。オーバー画像の撮影の際にも巡回処理による画像の補正が行われる。これら巡回処理による画像の補正については後述する。
【0053】
露出の異なる2種類の画像を取得した後(つまり、アンダー画像およびオーバー画像を取得した後)、画像処理回路20はシステム制御回路50の制御下で2種類の画像データについて合成処理を行って、合成画像データ(合成画像信号)とする(ステップS103)。この合成処理については後述する。
【0054】
合成処理を行った後、画像処理回路20は合成画像データをYUV信号の形式に現像処理を行った後、符号化処理を行う(ステップS104)。そして、画像処理回路20はメモリ制御回路22によって符号化処理後の画像データを記録媒体200に動画像データとして記録する(ステップS105)。
【0055】
システム制御回路50は動画像データの記録が完了したか否かを監視しており(ステップS106)、動画撮影中であれば(ステップS106において、NO)、システム制御回路50はステップS101の処理に戻ってHDR動画記録を継続する。
【0056】
一方、動画撮影が終了すると(ステップS106において、YES)、システム制御回路50はHDR動画記録を終了する。
【0057】
続いて、本実施形態で行われる巡回処理による画像の補正(以下巡回ノイズ補正処理という)について説明する。本実施形態では、撮像素子14における列単位のオフセットを補正する列オフセット補正を行うものとする。ただし、巡回ノイズ補正処理の方法としてはこれに限らない。以下、列オフセット補正について説明する。
【0058】
図3は、図1に示す撮像素子18の構造を示す図である。
【0059】
撮像素子18は、複数の画素が2次元マトリックス状に配置されており、撮像素子18の撮像面(表面)は複数の領域に分けられている。
【0060】
図示の例では、撮像素子18は有効画素領域(画像が有効な領域)である映像領域18Aを備えており、映像領域18Aの周囲には常時黒レベルを出力するOB領域18Bが位置づけられている。そして、撮像素子18はその上部に列オフセット検出領域18Cが規定されている。列オフセット検出領域18Cにおいて列毎に巡回処理による列オフセット検出が行われて、この検出結果に応じてオフセット補正量が求められる。
【0061】
列オフセット補正においては列単位でそのオフセット補正量が異なるので、オフセット補正量を記憶するための容量は撮像素子18の水平画素数分だけ必要となる。例えば、水平方向の画素数がN(Nは2以上の整数)画素であれば、Offset[1]〜Offset[N]の巡回データ用のメモリが必要となる。
【0062】
まず、動画像データの記録開始の際には巡回データの初期化が必要となるので、Offset[1]〜Offset[N]に0を代入する。
【0063】
巡回列オフセット補正では、入力画素Pix[x,y]に対して巡回係数αを掛けて巡回データを求める。つまり、オフセット補正量は次の式(1)で求められる。
【0064】
Offset[x]=(Pix[x,y]−setup)×α+Offset[x]×(1−α) (1)
ここで、[x,y]は画素の座標位置、setupは黒レベルである固定オフセット量、そして、αは巡回係数(0≦α≦1.0)である。
【0065】
式(1)で示す演算をオフセット検出領域18Cの1ライン目の1画素目からN画素目まで行って、1ライン分の巡回処理を行う。同様にして、オフセット検出領域18Cの2ライン目についても1画素目からN画素目まで、式(1)で示す演算を行う。そして、オフセット検出領域18Cの全ラインについて巡回演算を行う。
【0066】
この巡回演算はサンプルするライン数が多ければ多いほどその検出精度が高まるので、オフセット検出領域18Cのライン数を多いほど検出精度は高いことになる。
【0067】
オフセット検出領域18Cより下部の領域(映像領域)では、巡回演算によって求めたオフセット補正量を減算して、次の式(2)を用いて列オフセット補正を行う。
【0068】
PixOut[x,y]=PixIn[x,y]−Offset[x] (2)
ここで、PixOut[x]は補正後の出力を示し、PixIn[x]は補正前の入力を示す。そして、Offset[x]はオフセット補正量を示す。
【0069】
式(2)に示すオフセット補正を映像領域18Aに亘って行うと、列単位でオフセット成分が除去された画像データを得ることができる。
【0070】
上記のオフセット補正では、動画像データにおいてはフレーム毎に巡回処理を行うので、次フレームの巡回データOffset[x]の初期値は前フレームの最終巡回データとなる。この結果、フレーム数が進行するほどオフセット検出の精度が高まり、誤補正を低減することが可能となる。
【0071】
ところが、オフセット補正量はゲインに応じて変動するので、ゲインの変化が生じると、オフセット補正量が収束するまで時間を要することになる。ここでは、HDR撮影におけるゲインの変化に対して有効な巡回ノイズ補正処理について説明する。
【0072】
図4は、本実施形態におけるHDR画像の生成に用いられる合成比率テーブルの一例を示す図である。
【0073】
図4において、縦軸は合成比率を表し、横軸はアンダー画像の画素レベルを表す。そして、アンダー画像の画素レベルに応じてアンダー画像合成比率Aおよびオーバー画像合成比率Bが変化する。なお、この合成比率テーブルは、例えば、不揮発性メモリ48に格納され、システム制御回路50によって読み出されてメモリ制御回路22を介して画像処理回路20に与えられる。
【0074】
前述のように、HDR撮影においてはアンダー画像およびオーバー画像の2種類の画像を得る。そして、画像処理回路20はアンダー画像を参照してその合成比率を求める。つまり、画像処理回路20はアンダー画像における各画素のレベルに応じて、図4に示す合成比率テーブルを参照し、画素毎の合成比率を決定する。そして、画像処理回路20は式(3)によって2種類の画像の画像合成処理を行う。
【0075】
PixOut[x,y]=PixUnder[x,y]×A+PixOver[x,y]×B (3)
ここで、PixOut[x,y]は合成後の出力を示し、PixUnder[x,y]はアンダー画像を示す。そして、PixOver[x,y]はオーバー画像を示す。また、Aはアンダー画像合成比率を示し、Bはオーバー画像合成比率を示す。
【0076】
前述のように、アンダー画像合成比率Aおよびオーバー画像合成比率Bの各々はアンダー画像の画素レベルによって決定される。アンダー画像の画素レベルが低い場合は、当該画素は極めて輝度レベルが低いので、オーバー画像合成比率Bが高くなり、アンダー画像合成比率Aは低くなる。
【0077】
一方、アンダー画像の画素レベルが高い場合は、当該画素は極めて輝度レベルが高いので、アンダー画像合成比率Aが高くなり、オーバー画像合成比率Aは低くなる。
【0078】
このようにして、2種類の画像データ(第1の画像信号および第2の画像信号)を合成処理すると、1度の露出で得られた画像データに比べて、ダイナミックレンジの広い画像データを得ることができる。
【0079】
ここで、本実施形態における巡回ノイズ補正処理の理解を容易にするため、従来の巡回ノイズ補正処理の性質について説明する。
【0080】
特許文献1にあるような従来の巡回ノイズ補正処理では、動画のように連続した撮影において急激なゲイン変動がないことが望ましい。これは、ノイズの発生パターンはゲインに依存するからであり、つまり前のフレームを参照する巡回処理では、ゲインが変動すると補正精度が低下してしまう。また急激なゲインの変更は、動画の見た目の滑らかさが損なわれる。このため、通常の動画の撮影および記録の際には、連続したフレーム間で急激なゲインの変更は行われていない。
【0081】
ここで、HDR撮影における露出は、被写界深度を変えずに撮影する必要があるので、通常、絞りを固定しシャッター速度あるいはゲインを調整して異なる露出としている。
【0082】
被写体が比較的明るければ、シャッター速度選択の自由度が高く、ゲインを変更することなく絞りを固定して、シャッター速度の変更のみで異なる露出を実現することができる。 ところが、被写体が暗いとシャッター速度が長秒側に位置してしまい、シャッター速度の調整のみで対応することができない場合がある。この際には、読み出しゲインを上げることによって露出を上げる必要がある。
【0083】
HDR撮影の効果を得るためには、一般にアンダーとオーバーとの露出差は少なくとも3〜4段分必要である。つまり、シャッター速度の調整によって露出差を実現できない場合には、ゲインの調整によって3〜4段分の露出差を実現する必要がある。この問題は、被写体の動きが大きいことで画像間の被写体のぶれ量が変わってくることを低減するために、シャッター速度の違いのみによって所望の露出差をつけられない場合などにも出てくることが考えられる。
【0084】
このように、ゲインの調整によって露出差を実現すると、連続したフレーム間においてゲインが大きく異なることがある。
【0085】
例えば、アンダー画像についてはGain−AあるいはGain−Aから所定範囲内のゲインで撮影を行い、オーバー画像については、Gain−Aと異なるGain−BあるいはGain−Bから所定範囲内のゲインで撮影を行ったとする。なお本実施形態では、上述した所定範囲はGain−AとGain−Bの差よりも小さいものとする。この際、前フレームからそのまま巡回データを引き継ぐと、前述したようにゲインの変動が大きいために現フレームにおいては正しい初期値によって巡回処理を行うことができないことがある。このため、従来の巡回ノイズ補正処理では補正精度が落ちてしまうことになる。
【0086】
そこで、本実施形態では、アンダー画像およびオーバー画像毎に異なる巡回初期値を用意して、別々に巡回処理を行う。
【0087】
図5は本実施形態における巡回ノイズ補正処理を説明するための図である。
【0088】
いま、アンダー画像はゲインGain−AあるいはGain−Aから所定範囲内のゲインで撮影を行い、オーバー画像はゲインGain−BあるいはGain−Bから所定範囲内のゲインで撮影を行っているものとする。「アンダー画像1」は最初に撮影される画像であるので、初期値が0であり、Offset[x]=0として、オフセット検出領域18Cに対する巡回処理によってオフセット検出を開始する。そして、このオフセット検出で得られたオフセット補正量に応じて映像領域18Aについて補正が行われる。
【0089】
「アンダー画像1」の撮影、オフセット検出、およびオフセット補正が終了すると、次に「オーバー画像1」の撮影、オフセット検出、およびオフセット補正の順で処理が行われる。
【0090】
前述のように、「アンダー画像」の撮影と「オーバー画像」の撮影とではゲインが異なるので、基本的に「アンダー画像」から次フレームの「オーバー画像」には巡回データを引き継がないようにする。また、「オーバー画像」から次フレームの「アンダー画像」には巡回データを引き継がないようにする。つまり、「アンダー画像」同士で巡回データを引き継ぎ、「オーバー画像」同士で巡回データを引き継ぐ。
【0091】
ただし、巡回初期値に関しては、直前フレームの巡回データを使用する。すなわち、画像処理回路20はシステム制御回路50の制御下で、式(4)で示す換算式を用いて「アンダー画像1」の巡回データを補正して、「オーバー画像1」で用いる巡回初期値を得る。
【0092】
OffsetOver[x]=OffsetUnder[x]×2^GainDiff (4)
ここで、OffsetOver[x]はオーバー画像1の巡回初期値を示し、OffsetUnder[x]は直前のアンダー画像1の巡回データを示す。また、GainDiffはアンダー画像撮影とオーバー画像撮影とのゲイン差[段数]を示す。
【0093】
式(4)に示す換算式で得られた巡回初期値を用いれば、巡回初期値を0として巡回処理を開始する場合に比べて、巡回演算の収束を早くすることができる。ここでは、OffsetUnder[x]を「アンダー画像1」における巡回データとし、式(4)で得られたOffsetOver[x]を「オーバー画像1」における巡回初期値として用いる。そして、画像処理回路20はシステム制御回路50の制御下で「オーバー画像1」に係るオフセット検出およびオフセット補正を行う。
【0094】
続いて、「アンダー画像2」の撮影が行われる。「アンダー画像2」に係る巡回データは、直前に撮影された「オーバー画像1」の巡回データではなく、画像処理回路20は同一のゲインで撮影された「アンダー画像1」の巡回データを参照する。
【0095】
「アンダー画像1」および「アンダー画像2」の撮影におけるゲインは同一かもしくは所定範囲内であるので、「アンダー画像2」では巡回データを正しく引き継ぐことができる。このため、「アンダー画像2」について精度よくオフセット検出を行うことができる。
【0096】
同様にして、「オーバー画像2」に係る巡回初期値についても「オーバー画像1」の巡回データから引き継ぐ。このようにして、アンダー画像については、アンダー画像のみで巡回データを引き継ぎ、巡回処理Aが行われる。一方、オーバー画像については、オーバー画像のみで巡回データを引き継いで、巡回処理Bを行う。この結果、ゲインの異なる画像において精度よくオフセット検出およびオフセット補正を行うことができる。
【0097】
図5で説明した巡回ノイズ補正処理はHDR動画のように連続して撮影を行ってノイズの検出および補正を行う場合に適している。一方、インターバル撮影のように撮影と撮影との間隔が開くような場合には、次に述べる相互参照巡回ノイズ補正が有効である。
【0098】
図6は、図1に示す撮像装置で行われる相互参照型巡回ノイズ補正について説明するための図である。
【0099】
図1に示す撮像素子14は温度変化によって補正すべきオフセット量が変動する。動画データのようにフレームにおける時間差が短い場合には比較的温度変化による影響度は低い。
【0100】
一方、インターバル撮影のように撮影の間隔が長く開くと、その間における撮像素子14の温度変化が無視できなくなる。このため、時系列上においてより近くに位置する画像の巡回データを参照した方が温度変化の影響を少なくしてオフセット検出の精度を高くすることができる。従って、ここでは、アンダー画像およびオーバー画像の双方における巡回データを参照して、撮像素子14の温度変化に対するオフセット検出の精度を向上させる。
【0101】
また、通常のHDR動画撮影においても、アンダー画像及びオーバー画像にかけるゲインの差が小さくなってくると、直前フレームも加味して現フレームにとっての巡回データとすることも有効になる。
【0102】
図6において、「アンダー画像1」および「オーバー画像1」の撮影、オフセット検出、およびオフセット補正については図5で説明したようにして行われる。
【0103】
「アンダー画像2」に係るオフセット検出およびオフセットについては、画像処理回路20は、システム制御回路50の制御下で「アンダー画像1」および「オーバー画像1」における巡回データを、巡回初期値を求める際に参照する。そして、画像処理回路20は、式(5)に基づいて、「アンダー画像2」における巡回データを決定する。
【0104】
OffsetUnder2[x]=OffsetUnder1[x]×β+OffsetOver1[x]×2^GainDiff×(1−β) (5)
ここで、OffsetUnder1[x]はアンダー画像1を示し、OffsetOver1[x]は直前のオーバー画像1を示す。また、GainDiffはアンダー画像撮影とオーバー画像撮影とのゲイン差[段数]を示し、βは相互参照係数(0≦β≦1.0)を示す。
【0105】
式(5)によって、「アンダー画像2」の巡回初期値を決定すれば、「アンダー画像1」における巡回データと「オーバー画像1」における巡回データとが、「アンダー画像2」の巡回初期値に加味されることになる。これによって、「アンダー画像2」の撮影が時系列上「アンダー画像1」より「オーバー画像1」の撮影に近いことのメリットが受けられることになる。
【0106】
相互参照係数βはフレームレートによって変更させることが望ましい。フレームレートが高くなるにつれて画像間(つまり、フレーム間)の時間差が少なくなるので、画像処理回路20は同一ゲインの画像における巡回データの参照度合いを高める。このため、画像処理回路20は、フレームレートが高くなるにつれて相互参照係数をβ=1.0に近づける。
【0107】
一方、フレームレートが低くなるにつれて、画像処理回路20は異なるゲインの画像における巡回データの参照度合いを高めるため相互参照係数をβ=1.0から下げる。
【0108】
このようにして、「アンダー画像1」〜「アンダー画像4」および「オーバー画像1」〜「オーバー画像4」について巡回データを参照し、この際フレームレートに応じて相互参照係数βを変更するようにすれば、精度よくオフセット補正を行うことができる。
【0109】
また、アンダー画像とオーバー画像のゲイン差GainDiffによって参照係数βを変えることも有効である。この場合、前述したように、GainDiffが小さいほど、直前フレームも有効に活用できると考えられるので、β=1.0から下げて0に近づける。
【0110】
図7は、図1に示す撮像装置においてゲインを変更した際の巡回ノイズ補正処理を説明するための図である。
【0111】
ここでは、撮影の際に、例えば、被写体の輝度が変化して、これによってアンダー画像およびオーバー画像に拘わらずゲインが変更された場合について説明する。
【0112】
図7において、いま、「アンダー画像1」〜「アンダー画像4」、「オーバー画像1」、および「オーバー画像4」ついてはゲインGain−Aで撮影が行われ、「オーバー画像2」および「オーバー画像3」についてはゲインGain−Bで撮影が行われるとする。
【0113】
「アンダー画像1」、「オーバー画像1」、および「アンダー画像2」の撮影では、同一のゲインであるGain−Aで撮影が行われているため、画像処理回路20はシステム制御回路50の制御下で、これらの画像については図5で説明したようにして巡回データを用いてオフセット補正を行う。
【0114】
つまり、「アンダー画像1」から「オーバー画像1」にその巡回データを巡回初期値として引き継ぐ。続いて、「オーバー画像1」から「アンダー画像2」にその巡回データを巡回初期値として引き継ぐ。
【0115】
「オーバー画像2」の撮影からがゲインがGain−Bに変更されているので、画像処理回路20は「オーバー画像2」の巡回初期値として「アンダー画像2」の巡回データをそのまま引き継がない。そして、画像処理回路20は式(6)を用いてゲインの差分に応じて「オーバー画像2」における巡回初期値を求める。
【0116】
OffsetOver2[x]=OffsetUnder1[x]×2^(GainB−GainA) (6)
ここで、OffsetOver2[x]は「オーバー画像2」の巡回初期値を示し、OffsetUnder1[x]は「アンダー画像1」の巡回データを示す。GainAは「アンダー画像2」の撮影ゲインを示し、GainBは「オーバー画像2」の撮影ゲインを示す。
【0117】
そして、「アンダー画像3」は「アンダー画像2」と同一のゲインで撮影されているので、画像処理回路20は「アンダー画像2」の巡回データを、「アンダー画像3」の巡回初期値として引き継ぐ。「オーバー画像3」ついても同様にして、画像処理回路20は「オーバー画像2」の巡回データを、「オーバー画像3」の巡回初期値として引き継ぐ。
【0118】
さらに、「アンダー画像4」は「アンダー画像3」と同一のゲインで撮影されているので、画像処理回路20は「アンダー画像3」の巡回データを、「アンダー画像4」の巡回初期値として引き継ぐ。
【0119】
「オーバー画像4」は「アンダー画像4」と同一のゲインで撮影されているので、画像処理回路20は「アンダー画像4」の巡回データを、「オーバー画像4」の巡回初期値として引き継ぐ。
【0120】
このようにして、撮影の途中でゲインが変更された際には、同一のゲインで撮影された直近のアンダー画像又はオーバー画像の巡回データを現フレームの巡回データとして引き継いで、巡回処理を行う。
【0121】
以上のように、本実施形態によれば、たとえ、フレーム毎に急激なゲインの変化が生じても精度よくオフセット補正(つまり、ノイズ補正)を行うことができる。
【0122】
上述の説明から明らかなように、図1において、システム制御回路50および露光制御部40が露出制御手段として機能する。また、画像処理回路20およびシステム制御回路50は巡回処理手段、合成手段、および決定手段として機能する。そして、画像処理回路20は重み付け手段として機能する。
【0123】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0124】
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を撮像装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、この制御プログラムを撮像装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0125】
この際、制御方法および制御プログラムの各々は、少なくとも露出制御ステップ、巡回処理ステップ、合成ステップ、および決定ステップを有することになる。
【0126】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0127】
14 撮像素子
20 画像処理回路
22 メモリ制御回路
28 画像表示部
30 メモリ
40 露光制御部
42 測距制御部
50 システム制御回路
60 モードダイアルスイッチ
62,64 シャッタースイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して得た光学像に応じた画像信号を得る撮像素子を有する撮像装置であって、
互いに異なる第1および第2の露出量で前記撮像素子に前記光学像を与えて前記撮像素子から前記第1および前記第2の露出量に応じた第1および第2の画像信号を出力させる露出制御手段と、
前記第1および前記第2の画像信号に対して巡回ノイズ補正処理を行う巡回処理手段と、
前記巡回ノイズ補正処理の後の前記第1および前記第2の画像信号を合成して合成画像信号とする合成手段とを有し、
前記巡回処理手段は、第1の画像信号および第2の画像信号を巡回ノイズ補正処理した際にそれぞれ得られた巡回データを引き継いで、第1の画像信号および第2の画像信号に対する巡回ノイズ補正処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記合成手段は、前記巡回ノイズ補正処理の後の前記第1および前記第2の画像信号を合成する際、前記第1の画像信号の画素レベルに応じて定められた合成比率に応じて前記第1および前記第2の画像信号の合成を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1および前記第2の画像信号の各々は連続した複数のフレームを有し、
前記第1および前記第2の画像信号のゲインが異なると、前記第1および前記第2の画像信号の各々について前フレームで得られた前記巡回データを次のフレームに対する巡回ノイズ補正処理に用いると決定する決定手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記第2の画像信号における最初のフレームに対して巡回ノイズ補正処理を行う際、前記第1の画像信号における最初のフレームで得られた巡回データを前記第1および前記第2の画像信号のゲインの差に応じて換算した巡回データを用いると決定することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1および前記第2の画像信号のフレームレートに応じて、前記決定手段は前記ゲインの差および前記第1の画像信号における最初のフレームで得られた巡回データに重み付けを行う重み付け手段を有することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1および前記第2の画像信号のゲインが同一であると、前記決定手段は前記第1および前記第2の画像信号の前フレームに対する巡回ノイズ補正処理で得られた巡回データをそれぞれ前記第2および前記第1の画像信号の次フレームに対する巡回ノイズ補正処理に用いると決定することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
被写体を撮影して得た光学像に応じた画像信号を得る撮像素子を有する撮像装置の制御方法であって、
互いに異なる第1および第2の露出量で前記撮像素子に前記光学像を与えて前記撮像素子から前記第1および前記第2の露出量に応じた第1および第2の画像信号を出力させる露出制御ステップと、
前記第1および前記第2の画像信号に対して巡回ノイズ補正処理を行う巡回処理ステップと、
前記巡回ノイズ補正処理の後の前記第1および前記第2の画像信号を合成して合成画像信号とする合成ステップとを有し、
前記巡回処理ステップでは、第1の画像信号および第2の画像信号を巡回ノイズ補正処理した際にそれぞれ得られた巡回データを引き継いで、第1の画像信号および第2の画像信号に対する巡回ノイズ補正処理を行うことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
被写体を撮影して得た光学像に応じた画像信号を得る撮像素子を有する撮像装置で用いられる制御プログラムであって、
前記撮像装置が備えるコンピュータに、
互いに異なる第1および第2の露出量で前記撮像素子に前記光学像を与えて前記撮像素子から前記第1および前記第2の露出量に応じた第1および第2の画像信号を出力させる露出制御ステップと、
前記第1および前記第2の画像信号に対して巡回ノイズ補正処理を行う巡回処理ステップと、
前記巡回ノイズ補正処理の後の前記第1および前記第2の画像信号を合成して合成画像信号とする合成ステップとを実行させ、
前記巡回処理ステップでは、第1の画像信号および第2の画像信号を巡回ノイズ補正処理した際にそれぞれ得られた巡回データを引き継いで、第1の画像信号および第2の画像信号に対する巡回ノイズ補正処理を行うことを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−46348(P2013−46348A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184758(P2011−184758)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】