説明

撮像装置、その制御方法及びプログラム

【課題】露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで画像を表示するスロー表示中であっても、撮影者の意図する構図や画角で被写体を撮影できるようにする。
【解決手段】スロー表示開始トリガを受け付けると、撮像装置1は記録のための露光フレームレートで画像の露光を開始し、露光された画像をバッファメモリ16に蓄えはじめる一方で、画像表示部7では指定された表示フレームレートでバッファメモリ16に蓄えられた画像を順次表示する。このときの表示フレームレートは露光フレームレートよりも低いため、画像表示部7のスルー画像は実際の動きよりもスローモーションで表示される。スロー表示中に撮影者が意図する構図で撮影を行うために、撮像装置1の方向を意図的に動かすと、撮像装置1のずらし量に基づいて画像切り出し範囲51が変更されるので、表示画像及び記録画像の構図を変化させ撮影者の意図する構図に近付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮影して記録する撮像装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャッターチャンスを逃すことを防止するための機能を備えた撮像装置が提案されている。例えば特許文献1には、撮像手段から撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示手段に表示させる第1の被写体像表示処理を実行し、この第1の被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録手段に記録させる構成が開示されている。
【0003】
ここで、図8を参照して、撮像フレームレート(露光フレームレート)よりも低い表示フレームレートで画像を表示するスロー表示時の処理動作を説明する。静止画記録の準備状態(スルー画像の通常表示状態)では、露光フレームレートと表示フレームレートは等しく、被写体の動きと表示手段に表示される画像とはほぼ等しいタイミングで変化する。その状態で、スロー表示を開始するためのスロー表示開始トリガを受け付けると、撮像装置は、記録のための露光フレームレートで画像の露光を開始し、露光された画像をバッファメモリに蓄えはじめる。その一方で、表示手段では指定された表示フレームレートでバッファメモリに蓄えられた画像を順次表示する。このときの表示フレームレートは露光フレームレートよりも低いため、表示手段のスルー画像は実際の動きよりもスローモーションで表示される。撮影者はそのスローモーション画像で被写体の動きを見ながら静止画記録トリガとしてレリーズボタンを操作することで、意図するシャッターチャンスの画像を記録することが可能となる。画像記録後は、再び露光フレームレートと表示フレームレートの等しいスルー画像の通常表示状態に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−85689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スロー表示中に被写体の構図を変化させようと撮影者が撮像装置の構えている方向を変えたり、画角を変化させようとズームレバー等を操作して焦点距離を変えたりしても、スロー表示されている画像はバッファメモリに蓄えられた画像であって、既に露光済みの画像であるため、表示手段に表示される画像は変化しない。
【0006】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで画像を表示するスロー表示中であっても、撮影者の意図する構図や画角で被写体を撮影できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、被写体を露光し画像データを出力する撮像手段と、前記画像データから画像を切り出して記録画像データとする画像切り出し手段と、前記画像切り出し手段によって切り出した記録画像データを、前記撮像手段での露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示部に表示するスロー表示を実行する制御手段と、当該撮像装置の姿勢を検出する姿勢検出手段とを備え、前記スロー表示中において、前記画像切り出し手段が記録画像データを切り出す画像切り出し位置は、画像表示時及び露光時の両方又はいずれか一方での前記姿勢検出手段の出力に応じて決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで画像を表示するスロー表示中であっても、撮影者が撮像装置の構えている方向を変えたり、ズームレバー等を操作して焦点距離を変えたりすると、それに応じて表示部に表示される画像が変化する。これにより、撮影者の意図する構図や画角で被写体を撮影することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】画像切り出し位置とフレームレートの切替りタイミングの概要を説明する図である。
【図4】第1の実施形態における撮像装置による処理動作の手順を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態におけるスロー表示中の画像切り出し処理の概要を説明する図である。
【図6】第2の実施形態における撮像装置による処理動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態におけるスロー表示中の画像切り出し処理の概要を説明する図である。
【図8】スロー表示時の処理動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に、以下に説明する実施形態に係る撮像装置1の機能構成を示す。10は被写体を撮影するための光学ブロックである。11は光学ブロック10を駆動制御するレンズ制御部である。12は光学像を電気信号に変換する撮像素子である。13は撮像素子12のタイミング制御等を行う撮像制御部である。14は画像処理部であり、撮像素子12のアナログ信号出力をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。15は画像切り出し処理部であり、画像処理部14が出力する画像データや、バッファメモリ16に保存された画像データから画像を切り出し、新たな画像データを出力する。16はバッファメモリである。
【0011】
7は画像表示部であり、撮影した画像や各種メニューやガイド等を表示する。8はシステムコントローラであり、撮像装置1全体を制御する。9は画像データを記録、保存するための保存メモリである。
【0012】
2、3、4、5及び6は各種の動作指示を入力するための操作手段であり、スイッチやダイアル、タッチパネル等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。2は電源ボタンであり、この信号をトリガとして撮像装置1への電源の供給をON/OFFする。3はレリーズボタンであり、静止画を記録するためのシャッタを動作させるトリガ信号や、動画記録をスタートやストップさせるためのトリガ信号を出力するのに使用される。4はズームレバーであり、光学ブロック10を制御し焦点距離を調整するのに使用される。5はメニュー操作ボタンであり、撮像装置1の各種設定等に使用される。6はスローボタンであり、後述するスロー表示を開始するためのトリガ信号を出力するのに使用される。なお、スローボタン6はレリーズボタン3の半押し信号等、他の信号と兼用しても構わない。
【0013】
17は撮像装置1に加わる加速度を検知する加速度センサである。18は撮像装置1の揺れを検出する揺れ検出センサである。加速度センサ17によって撮像装置1に働く重力や外力の方向を検知し、揺れ検出センサ18によって撮像装置1の揺れの状態や回転角速度等を検出することができる。19は姿勢検出部であり、これらセンサ17、18の情報から撮像装置1の姿勢を検出する。
【0014】
次に、図2を参照して、実施形態に係る撮像装置1による処理の流れを説明する。図2は、実施形態に係る撮像装置1の機能構成を示す図であり、図1と同じ構成要素には同一の符号を付す。図2において、フレームレート制御部20は、システムコントローラ8の制御下で撮像制御部13によってタイミング制御される撮像素子12の露光フレームレートを管理するとともに、画像表示部7に画像データを表示する表示フレームレートを管理する。露光時データ処理部21は、撮像素子12で露光され、画像処理部14によって処理された画像データを、レンズ制御部11から取得される露光時の焦点距離情報と、姿勢検出部19から取得される露光時の撮像装置1の姿勢情報とともにまとめて、一括の露光時データとしてバッファメモリ16に露光フレーム毎に保存する。
【0015】
一方、画像切り出し処理部15は、フレームレート制御部20によって管理される表示フレームレートのタイミングに基づいてバッファメモリ16から画像データを取得し、取得した画像データに対して切り出し処理を行う。そして、画像切り出し処理部15によって切り出された画像は画像表示部7に表示される。このとき、露光フレームレートと表示フレームレートとが等しい場合には、画像表示部7には通常のスルー画像が表示されることになる。また、表示フレームレートが露光フレームレートよりも低い場合には、画像表示部7に表示される画像はスローモーションのような表示(以後、スロー表示と呼ぶ)となる。
【0016】
次に、図3を参照して、画像切り出し位置とフレームレートの切替りタイミングの概要について説明する。図3において、50は撮像素子12によって露光され画像処理部14によって処理された露光画像データであり、撮像素子12の全画素のデータを持つ。51は露光画像データ50に対して画像切り出しを行う範囲であり、その位置やサイズは可変であるとする。52は画像切り出し範囲51によって切り出された画像であり、画像表示部7に表示されるとともに最終的に保存される記録画像データでもある。
【0017】
静止画記録の準備状態(スルー画像の通常表示状態)では、露光フレームレートと表示フレームレートは等しく、被写体の動きと画像表示部7に表示される画像とはほぼ等しいタイミングで変化する。また、その際の画像切り出し範囲51は、露光画像データ50の中心に位置する。
【0018】
その状態で、スロー表示を開始するためのスロー表示開始トリガを受け付けると、撮像装置1は記録のための露光フレームレートで画像の露光を開始し、露光された画像をバッファメモリ16に蓄えはじめる。その一方で、画像表示部7では指定された表示フレームレートでバッファメモリ16に蓄えられた画像を順次表示する。このときの表示フレームレートは露光フレームレートよりも低いため、画像表示部7のスルー画像は実際の動きよりもスローモーションで表示されるスロー表示状態となる。撮影者はそのスローモーション画像で被写体の動きを見ながら静止画記録トリガとしてレリーズボタン3を操作することで、意図するシャッターチャンスの画像を記録することが可能となる。画像記録後は、再び露光フレームレートと表示フレームレートの等しいスルー画像の通常表示状態に戻る。
【0019】
ここで、スロー表示中に撮影者が意図する構図で撮影を行うために、撮像装置1の方向を意図的に動かした場合を考える。図3において、矢印53は撮像装置1を動かす方向を示している。例えばスロー表示中に、撮影者が表示画像を見ながら右上の方向にずらすように構図を変えようと、撮像装置1を右上にずらしたとする。しかしながら、このとき撮影者が見ている画像はスロー表示であり、既に露光が終了しバッファメモリ16に蓄えられた画像から切り出したものであるため、撮像装置1をずらしたとしても、表示画像が通常スルー表示のときのように右上にずれることはない。
【0020】
そこで、撮像装置1のずらし量に基づいて画像切り出し範囲51を変更することで、表示画像及び記録画像の構図を変化させ撮影者の意図する構図に近付ける。これにより、撮影者はスロー表示中でも構図の変更を感覚的に行うことが可能である。撮影者はそのスローモーション画像で被写体の動きを見ながら静止画記録トリガとしてレリーズボタン3を操作することで、意図するシャッターチャンスの画像を記録することが可能となる。画像記録後は、再び露光フレームレートと表示フレームレートの等しいスルー画像の通常表示状態に戻る。
【0021】
(第1の実施形態)
図4に、第1の実施形態における撮像装置1による処理動作の手順を示す。第1の実施形態では、スロー表示中に撮像装置1の姿勢を変えて画像切り出し位置を変更することを考える。図4のフローチャートは、システムコントローラ8の制御下で各部が機能することにより実行される。
【0022】
システムコントローラ8が静止画撮影モードであると判定すると(ステップS101)、まずは必要に応じてスロー表示の表示フレームレートを設定する(ステップS102、S103)。例えば、動きの遅い被写体の場合はそれほどゆっくりした表示フレームレートは必要としないが、動きの速い被写体の場合には低い表示フレームレートでスロー表示を行うよう設定する。続いて、必要に応じて画像記録サイズを設定し(ステップS104、S105)、その画像記録サイズに応じて画像切り出し位置やサイズを決定する(ステップS106)。
【0023】
スロー表示を開始する前には、スルー露光フレームレートで露光を行う(ステップS107)。そして、ステップS106において決定された画像切り出し位置やサイズに基づいて画像を切り出し(ステップS108)、その画像を画像表示部7に表示する(ステップS109)。このときは通常スルー表示のため、表示フレームレートと露光フレームレートは等しいものとなる。
【0024】
次に、レリーズボタン3の半押し操作の有無を判定し(ステップS110)、レリーズボタン3の半押し操作を検知すると、それをトリガ信号としてスロー表示を開始する。なお、ここではレリーズボタン3の半押し操作をスロー表示のトリガ信号としているが、レリーズボタン3とは別のボタンによる操作をトリガ信号としても構わない。その後、撮像素子12が記録露光フレームレートで露光をフレーム毎に行う(ステップS111)。また、そのときの撮像装置1の姿勢情報を姿勢検出部19から取得し(ステップS112)、それらを時系列データとしてバッファメモリ16に保存する(ステップS113)。
【0025】
一方、表示側ではスロー表示フレームレートのタイミングに基づき、バッファメモリ16から画像データと露光時の撮像装置1の姿勢情報をフレーム単位で読み出す(ステップS114)。そして、その読み出された撮像装置1の姿勢情報及び表示を行っている現時点(画像表示時)の撮像装置1の姿勢情報に応じて画像切り出し位置を算出する(ステップS115)。
【0026】
ここで、画像切り出し位置の算出について図5を参照して説明する。F000〜F006は露光画像データを示し、露光フレームレートに従って露光された時系列の画像データである。F020〜F023は表示画像データを示し、F010〜F013はその表示画像データを切り出す前の元となる露光画像データを示しており、これら表示画像データと切り出し前画像データは、表示フレームレートに基づいて処理されるものである。図5における横軸は時間軸を示しており、(F000、F010、F020)は同タイミングに処理される画像データであり、(F003、F011、F021)、(F006、F012、F022)も同様にそれぞれ同タイミングに処理されるデータである。また、F010にて使用される画像はF000にて、F011で使用される画像はF001にて、F012にて使用される画像はF002にて、F013にて使用される画像はF003にて露光された画像を使用することをここでは想定している。
【0027】
まず、F020にて表示される画像はスロー表示開始時の画像であり、F000の露光画像データの中心切り出し位置60から画像を切り出したものとする。次に、F021の表示画像について考える。ここではF021のタイミングにて撮影者が撮像装置1を意図的に右上方向にずらしていることを想定している。その撮像装置1のずらし量と焦点距離からそのときにずれる画角のズレ量をδX1とすると、露光画像データF001の中心切り出し位置71よりδX1ずらした切り出し位置61で切り出しを行う。これにより、表示画像F021は実際に撮像装置1をずらしたときと同等の画角となる。さらに、表示画像F022でも同様に、露光画像データF002の中心切り出し位置72からδX2ずらした切り出し位置62で切り出しを行うことで撮像装置1のずらし量に応じた画角のズレを実現する。
【0028】
次に、F023の表示画像について考える。F023においても同様に撮像装置1のずらし量に基づいた画角ズレ量をδX3とおくと、このδX3は「表示開始時F020の画角からのズレ量」を示すことになる。しかし、表示画像F023の切り出しで使用する露光画像データF003は表示画像F021を表示するタイミングと等しいタイミングで露光されたものであるため、前述のようにF021のタイミングで撮像装置1は既にずらされており、そのずらし量はδX1と等しくなる。つまり、表示画像F021が表示されるときと同時に撮像素子12で露光される露光画像データF003の画角は既にδX1ずれて露光されていることとなる。したがって、表示画像F023を「表示開始時F020の画角からδX3だけずらした画像」とするためには、元となる露光画像F003から画像を切り出す際の切り出し位置を「画像中心よりδX3−δX1ずらした位置」とする必要がある。
【0029】
図4のフローチャートに説明を戻して、前述のように撮像装置1の姿勢情報に基づいて算出した画像切り出し位置にて画像の切り出しを行い(ステップS116、S117)、切り出された画像をスロー表示として画像表示部7に表示する(ステップS118)。その後、レリーズボタン3の全押し等の静止画記録のトリガを検出すると(ステップS119)、そのときの画像表示に使用している切り出し位置で切り出された画像データを静止画として保存メモリ9に保存する(ステップS120)。画像データの保存後、バッファメモリ16をクリアし、通常のスルー表示に戻る(ステップS121)。
【0030】
(第2の実施形態)
図6に、第2の実施形態における撮像装置1による処理動作の手順を示す。第2の実施形態では、スロー表示中にズームレバー4を操作して画角を変更することを考える。図6のフローチャートは、システムコントローラ8の制御下で各部が機能することにより実行される。
【0031】
システムコントローラ8が静止画撮影モードであると判定すると(ステップS201)、まずは必要に応じてスロー表示の表示フレームレートを設定する(ステップSS202、S203)。続いて、必要に応じて画像記録サイズを設定し(ステップS204、S205)、その画像記録サイズに応じて画像切り出し位置やサイズを決定する(ステップS206)。さらに、撮影者がズームレバー4を操作した際には、それに伴って光学ズームの焦点距離を変更する(ステップS207、S208)。
【0032】
スロー表示を開始する前には、スルー露光フレームレートで露光を行う(ステップS209)。そして、ステップS206において決定された画像切り出し位置やサイズに基づいて画像を切り出し(ステップS210)、その画像を画像表示部7に表示する(ステップS211)。このときは通常スルー表示のため、表示フレームレートと露光フレームレートは等しいものとなる。
【0033】
次に、レリーズボタン3の半押し操作の有無を判定し(ステップS212)、レリーズボタン3の半押し操作を検知すると、それをトリガ信号としてスロー表示を開始する。なお、第1の実施形態でも述べたように、ここではレリーズボタン3の半押し操作をスロー表示のトリガ信号としているが、レリーズボタン3とは別のボタンによる操作をトリガ信号としても構わない。
【0034】
スロー表示中にズームレバー4の操作があれば、光学ズームの焦点距離の変更を行う(ステップS213、S214)。そして、撮像素子12が記録露光フレームレートで露光をフレーム毎に行う(ステップS215)。また、そのときの光学ズームの焦点距離情報をレンズ制御部11から取得し(ステップS216)、それらを時系列データとしてバッファメモリ16に保存する(ステップS217)。
【0035】
一方、表示側ではスロー表示フレームレートのタイミングに基づき、バッファメモリ16から画像データと露光時の焦点距離情報をフレーム単位で読み出す(ステップS218)。そして、その読み出された焦点距離情報及び表示を行っている現時点(画像表示時)の焦点距離情報に応じて画像切り出しサイズを算出する(ステップS219)。
【0036】
ここで、画像の切り出しサイズの算出について図7を参照して説明する。第1の実施形態で説明した図5と同様、F100〜F106は露光画像データを示し、F120〜F123は表示画像データを示し、F110〜F113はその表示画像データを切り出す前の露光画像データを示している。また、(F100、F110、F120)、(F103、F111、F121)、(F106、F112、F122)はそれぞれ同タイミングに処理される画像データである。また、F110にて使用される画像はF100にて、F111で使用される画像はF101にて、F112にて使用される画像はF102にて、F113にて使用される画像はF103にて露光された画像を使用することを想定している。
【0037】
まず、F120にて表示される画像はスロー表示開始時の画像であり、F100の露光画像データの切り出しサイズ160から画像を切り出したものとする。次に、F121の表示画像について考える。ここではF121のタイミングにて撮影者がズームレバー4を望遠側に操作して光学ズームの焦点距離を変更していることを想定している。その画角サイズ変化比率をα1とすると、露光画像データF101の当初の切り出しサイズ171よりα1倍した切り出しサイズ161で切り出しを行うことで、表示画像F121は実際に光学ズームを望遠側にずらしたときと同等の画角となる。さらに、表示画像F122でも同様に、露光画像データF102の当初の切り出しサイズ172からα2倍した切り出しサイズ162で切り出しを行うことで光学ズームの焦点距離の変化量に応じた画角サイズの変更を実現する。
【0038】
次に、F123の表示画像について考える。F123においても同様に焦点距離の変化量に基づいた画角サイズ変更比率をα3とおくと、このα3は「表示開始時F120の際の画角からのサイズ変化比率」を示すことになる。しかし、表示画像F123の切り出しで使用する露光画像データF103は表示画像F121を表示するタイミングと等しいタイミングで露光されたものであり、前述のようにF121のタイミングでは光学ズームの焦点距離は既に変更されており、その画角サイズの変化比率はα1と等しくなる。つまり、表示画像F121が表示されるときに撮像素子12で露光される露光画像データF103の画角サイズは既に当初よりもα1倍の画角サイズとなっている状態で露光されていることとなる。したがって、表示画像F123を「表示開始時F120から画角サイズをα3倍にした画像」とするためには、元となる露光画像F103から画像を切り出す際の切り出しサイズを「α3/α1倍の切り出しサイズ」とする必要がある。
【0039】
図6のフローチャートに説明を戻して、前述のように光学ズームの焦点距離に基づいて算出した画像切り出しサイズにて画像の切り出しを行い(ステップS220、S221)、切り出された画像をスロー表示として画像表示部7に表示する(ステップS222)。その後、レリーズボタン3の全押し等の静止画記録のトリガを検出すると(ステップS223)、そのときの画像表示に使用している切り出しサイズで切り出された画像を静止画として保存メモリ9に保存する(ステップS224)。画像データの保存後、バッファメモリ16をクリアし、通常のスルー表示に戻る(ステップS225)。
【0040】
以上説明した実施形態は本発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、第1の実施形態ではスロー表示中の撮像装置1のずらしによる構図の変更を説明し、第2の実施形態ではスロー表示中のズームレバー4の操作による焦点距離の変更を説明したが、これらはそれぞれ単独に機能として持つものでも構わないし、両方の機能を有するものとしても構わない。
【0041】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0042】
1:撮像装置、3:レリーズボタン、4:ズームレバー、6:スローボタン、7:画像表示部、8:システムコントローラ、14:画像処理部、16:バッファメモリ、19:姿勢検出部、20:フレームレート制御部、21:露光時データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を露光し画像データを出力する撮像手段と、
前記画像データから画像を切り出して記録画像データとする画像切り出し手段と、
前記画像切り出し手段によって切り出した記録画像データを、前記撮像手段での露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示部に表示するスロー表示を実行する制御手段と、
当該撮像装置の姿勢を検出する姿勢検出手段とを備え、
前記スロー表示中において、前記画像切り出し手段が記録画像データを切り出す画像切り出し位置は、画像表示時及び露光時の両方又はいずれか一方での前記姿勢検出手段の出力に応じて決定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体を露光し画像データを出力する撮像手段と、
前記画像データから画像を切り出して記録画像データとする画像切り出し手段と、
前記画像切り出し手段によって切り出した記録画像データを、前記撮像手段での露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示部に表示するスロー表示を実行する制御手段と、
焦点距離を調整する焦点調整手段とを備え、
前記スロー表示中において、前記画像切り出し手段が記録画像データを切り出す画像切り出しサイズは、画像表示時及び露光時の両方又はいずれか一方での焦点距離に応じて決定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
被写体を露光し画像データを出力する撮像手段と、
前記画像データから画像を切り出して記録画像データとする画像切り出し手段と、
前記画像切り出し手段によって切り出した記録画像データを、前記撮像手段での露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示部に表示するスロー表示を実行する制御手段と、
当該撮像装置の姿勢を検出する姿勢検出手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記スロー表示中において、前記画像切り出し手段が記録画像データを切り出す画像切り出し位置は、画像表示時及び露光時の両方又はいずれか一方での前記姿勢検出手段の出力に応じて決定することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項4】
被写体を露光し画像データを出力する撮像手段と、
前記画像データから画像を切り出して記録画像データとする画像切り出し手段と、
前記画像切り出し手段によって切り出した記録画像データを、前記撮像手段での露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示部に表示するスロー表示を実行する制御手段と、
焦点距離を調整する焦点調整手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記スロー表示中において、前記画像切り出し手段が記録画像データを切り出す画像切り出しサイズは、画像表示時及び露光時の両方又はいずれか一方での焦点距離に応じて決定することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項5】
被写体を露光し画像データを出力する撮像手段と、
前記画像データから画像を切り出して記録画像データとする画像切り出し手段と、
前記画像切り出し手段によって切り出した記録画像データを、前記撮像手段での露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示部に表示するスロー表示を実行する制御手段と、
当該撮像装置の姿勢を検出する姿勢検出手段とを備えた撮像装置を制御するためのプログラムであって、
前記スロー表示中において、前記画像切り出し手段が記録画像データを切り出す画像切り出し位置は、画像表示時及び露光時の両方又はいずれか一方での前記姿勢検出手段の出力に応じて決定する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
被写体を露光し画像データを出力する撮像手段と、
前記画像データから画像を切り出して記録画像データとする画像切り出し手段と、
前記画像切り出し手段によって切り出した記録画像データを、前記撮像手段での露光フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示部に表示するスロー表示を実行する制御手段と、
焦点距離を調整する焦点調整手段とを備えた撮像装置を制御するためのプログラムであって、
前記スロー表示中において、前記画像切り出し手段が記録画像データを切り出す画像切り出しサイズは、画像表示時及び露光時の両方又はいずれか一方での焦点距離に応じて決定する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−98624(P2013−98624A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237276(P2011−237276)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】