説明

撮像装置、データ処理方法、およびプログラム

【課題】障害物による被写体画像の欠落部分を他の被写体画像を用いて修復しない構成において、メモリの効率的な利用が可能な撮像装置を得る。
【解決手段】携帯型電話機1は、左目用画像データ801を生成するための第1の撮像素子と、右目用画像データ802を生成するための第2の撮像素子と、CPUと、RAMとを備える。CPUは、左目用画像データ801に、第1の撮像素子への外光の入射を遮る指901等の障害物の画像が含まれているか否かを判断し、右目用画像データ802に、第2の撮像素子への外光の入射を遮る障害物の画像が含まれているか否かを判断する。CPUは、左目用画像データ801および右目用画像データ802のうち、一方の画像データに障害物の画像が含まれ、他方の画像データに障害物の画像が含まれないとき、当該一方の画像データをRAMから消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、データ処理方法、およびプログラムに関する。特に、本発明は、立体画像データを生成する複眼式の撮像装置、当該撮像装置におけるデータ処理方法、および当該撮像装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像により得られた左目用画像データと右目用画像データとに基づいて、立体画像を表示するための立体画像データを生成する複眼式の撮像装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、複眼式の撮像装置として、複眼デジタルカメラが開示されている。当該複眼デジタルカメラは、複数の撮像手段と、縦撮りか否かを検出する検出手段と、複数の撮像手段のうちの一部又は全部の撮像手段から得られる画像を記録媒体に記録する記録手段と、撮影を指示するシャッタボタンと、検出手段により縦撮りが検出され、かつシャッタボタンにより撮影が指示された場合に、複数の撮像手段のうちの一部の撮像手段から得られる画像を記録媒体に記録するように記録手段を制御する制御手段とを備える。
【0004】
特許文献2には、複眼式の撮像装置として、複眼カメラが開示されている。複眼カメラは、2つの撮影部が取得した視点画像の画角に障害物が含まれているか否かを判定する。具体的には、複眼カメラは、視点画像の周囲の所定範囲の領域に障害物が含まれるか否かを判定する。複眼カメラは、障害物が含まれていると判定された場合、障害物が含まれる障害物領域を立体視可能なように、2つの撮影部が取得した視点画像を修正する。さらに、複眼カメラは、修正された視点画像を用いて3次元処理を行い、立体表示用画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−141514号公報
【特許文献2】特開2010−288253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の複眼式デジタルカメラは、縦撮りの場合、複数の撮像手段のうち予め定められた撮像手段からの得られる画像のみを記録媒体に記録する。このため、当該予め定められた撮像手段のレンズにユーザの指や当該複眼式デジタルカメラのストラップ等の物体がかかった場合、ユーザは、物体が写った画像しか得られない。
【0007】
また、横撮りの場合、たとえば1つの撮像手段のレンズに上記物体がかかった場合であっても、左目用画像データと、右目用画像データと、当該左目用画像データおよび右目用画像データに基づいて生成された立体画像データとが、記録媒体に記録される。
【0008】
したがって、ユーザにとって利用価値の低い画像データが、記録媒体に記録されることになる。それゆえ、記録媒体における記憶可能容量が、このような画像データの存在により少なくなる。
【0009】
また、特許文献2の複眼カメラは、障害物による被写体画像の欠落部分を他の被写体画像を用いて修復する。したがって、複眼カメラは、ユーザにとって失敗と考えられる画像データが記録媒体に格納されることは防ぐことができる。しかしながら、複眼カメラは、障害物が含まれるか否かを判断するためのデータ処理と、2つの撮像部が取得した視点画像の少なくとも一方を修正するためのデータ処理とが必要であるため、データ処理に時間を要する。
【0010】
本願発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、障害物による被写体画像の欠落部分を他の被写体画像を用いて修復しない構成において、メモリの効率的な利用が可能な撮像装置、データ処理方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある局面に従うと、撮像装置は、撮像により得られた左目用画像データと右目用画像データとに基づいて、立体画像を表示するための立体画像データを生成する複眼式の撮像装置である。撮像装置は、左目用画像データを生成するための第1の撮像素子と、右目用画像データを生成するための第2の撮像素子と、プロセッサと、左目用画像データと前記右目用画像データと前記立体画像データとを格納するためのメモリとを備える。プロセッサは、左目用画像データに、第1の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断する。プロセッサは、右目用画像データに、第2の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断する。プロセッサは、左目用画像データおよび右目用画像データのうち、一方の画像データに物体の画像が含まれ、他方の画像データに物体の画像が含まれないとき、一方の画像データをメモリから消去する。
【0012】
好ましくは、プロセッサは、一方の画像データをメモリから消去する場合には、さらに、左目用画像データと右目用画像データとに基づいて生成された立体画像データをメモリから消去する。
【0013】
好ましくは、撮像装置は、シャッタボタンと、シャッタボタンの押下により動作するメカニカルシャッタとをさらに備える。プロセッサは、メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた左目用画像データおよび右目用画像データの各々に、物体の画像が含まれているか否かを判断する。プロセッサは、メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた左目用画像データのみに物体の画像が含まれていると判断した場合、当該左目用画像データをメモリから消去し、メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた右目用画像データのみに物体の画像が含まれていると判断した場合、当該右目用画像データをメモリから消去する。
【0014】
好ましくは、撮像装置は、ディスプレイと、ディスプレイにスルー画像を表示させるための電子シャッタと、シャッタボタンと、シャッタボタンの押下により動作するメカニカルシャッタとをさらに備える。プロセッサは、電子シャッタを用いた撮像により得られた左目用画像データおよび右目用画像データの各々に、物体の画像が含まれるか否かを判断する。プロセッサは、電子シャッタを用いた撮像により得られた左目用画像データのみに物体の画像が含まれていると判断した場合に、シャッタボタンが押し下げられると、メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた左目用画像データを、メモリから消去する。プロセッサは、電子シャッタを用いた撮像により得られた右目用画像データのみに物体の画像が含まれていると判断した場合に、シャッタボタンが押し下げられると、メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた右目用画像データを、メモリから消去する。
【0015】
好ましくは、撮像装置は、オートフォーカス機能を更に備える。プロセッサは、オートフォーカス機能によってピントが合った状態で電子シャッタを用いた撮像により得られた左目用画像データおよび右目用画像データを用いて、左目用画像データおよび右目用画像データの各々に物体の画像が含まれるか否かを判断する。
【0016】
好ましくは、メモリは、揮発性メモリと不揮発性メモリとを含む。プロセッサは、揮発性メモリに、左目用画像データと右目用画像データとを格納する。プロセッサは、左目用画像データおよび右目用画像データのうち、一方の画像データに物体の画像が含まれ、他方の画像データに物体の画像が含まれていないと判断した場合には、揮発性メモリから一方の画像データを消去し、他方の画像データを不揮発性メモリに格納する。
【0017】
好ましくは、不揮発性メモリは、撮像装置に着脱可能な記録媒体である。
本発明の他の局面に従うと、データ処理方法は、撮像により得られた左目用画像データと右目用画像データとに基づいて立体画像を表示するための立体画像データを生成する複眼式の撮像装置におけるデータ処理方法である。撮像装置は、左目用画像データを生成するための第1の撮像素子と、右目用画像データを生成するための第2の撮像素子と、プロセッサと、左目用画像データと前記右目用画像データと前記立体画像データとを格納するためのメモリとを備える。データ処理方法は、プロセッサが、左目用画像データに、第1の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断するステップと、プロセッサが、右目用画像データに、第2の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断するステップと、左目用画像データおよび右目用画像データのうち、一方の画像データに物体の画像が含まれ、他方の画像データに物体の画像が含まれていないときに、プロセッサが、一方の画像データをメモリから消去するステップとを備える。
【0018】
本発明のさらに他の局面に従うと、プログラムは、撮像により得られた左目用画像データと右目用画像データとに基づいて立体画像を表示するための立体画像データを生成する複眼式の撮像装置を制御するためのプログラムである。撮像装置は、左目用画像データを生成するための第1の撮像素子と、右目用画像データを生成するための第2の撮像素子と、プロセッサと、左目用画像データと右目用画像データと立体画像データとを格納するためのメモリとを備える。プログラムアは、左目用画像データに、第1の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断するステップと、右目用画像データに、第2の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断するステップと、左目用画像データおよび右目用画像データのうち、一方の画像データに物体の画像が含まれ、他方の画像データに物体の画像が含まれていないときに、一方の画像データをメモリから消去するステップとを、プロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、障害物による被写体画像の欠落部分を他の被写体画像を用いて修復しない構成において、メモリの効率的な利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】携帯型電話機の外観を示した図である。
【図2】2つのカメラを用いて被写体を撮像したときに、携帯型電話機で行なわれるデータ処理の第1の例を説明するための図である。
【図3】2つのカメラを用いて被写体を撮像したときに、携帯型電話機で行なわれるデータ処理の第2の例を説明するための図である。
【図4】2つのカメラを用いて被写体を撮像したときに、携帯型電話機で行なわれるデータ処理の第3の例を説明するための図である。
【図5】携帯型電話機のハードウェア構成を示した図である。
【図6】携帯型電話機のハードウェア構成の要部を示した図である。
【図7】携帯型電話機において行われる処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】図7のステップS28における処理の詳細を示したフローチャートである。
【図9】携帯型電話機において行われる処理の他の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る撮像装置について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0022】
撮像装置としては、デジタル一眼レフカメラ、コンパクトデジタルカメラ、スマートフォンを含む携帯型電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等が挙げられる。以下では、撮像装置として携帯型電話機を例に挙げて説明する。
【0023】
<携帯型電話機の外観>
図1は、携帯型電話機1の外観を示した図である。図1(a)は、携帯型電話機1の正面図である。図1(b)は、携帯型電話機1の裏面図である。図1(a)を参照して、携帯型電話機1は、ディスプレイ20と、シャッタボタン181を含む操作ボタン18とを備える。なお、シャッタボタン181は、撮像を行なうモードでない場合には、撮像以外の処理の実行を指示するためのボタンとして機能してもよい。図1(b)を参照して、携帯型電話機1は、ディスプレイ20が設けられた表面とは反対側の表面に、カメラ11と、カメラ12と、ストロボ19とを備える。
【0024】
携帯型電話機1は、カメラ11により撮像された画像(以下、「左目用画像」とも称する)と、カメラ12により撮像された画像(以下、「右目用画像」とも称する)とに基づき、観察者から立体的に見える画像(以下、「立体画像」または「3D画像」と称する)を生成する。なお、3D画像を得るときには、カメラ11とカメラ12とによる同時撮像が行なわれる。
【0025】
<携帯型電話機のデータ処理の概要>
図2は、2つのカメラ11,12を用いて被写体を撮像したときに、携帯型電話機1で行なわれるデータ処理の第1の例を説明するための図である。図2(a)は、携帯型電話機1のユーザが、被写体の撮像のために、両手で携帯型電話機1を把持した状態を示した図である。図2(b)は、図2(a)の状態でシャッタボタン181が押下された場合における、データ処理の内容を時系列に沿って示した図である。
【0026】
図2(a)を参照して、ユーザの右手の指および左手の指は、カメラ11およびカメラ12にかかっていない。このため、撮像された左目用画像および右目用画像には、指が写ることはない。
【0027】
図2(b)を参照して、カメラ11を用いた撮像より得られた左目用画像データ801と、カメラ12を用いた撮像により得られた右目用画像データ802とが、後述する画像処理エンジン13内のRAM310(図6参照)に格納される。携帯型電話機1は、画像処理エンジン13により、左目用画像データ801と右目用画像データ802とから3D画像データ803を生成する。
【0028】
携帯型電話機1は、左目用画像データ801と、右目用画像データ802と、3D画像データ803とを、画像処理エンジン13の外部に設けられたRAM(Random Access Memory)16(図5,図6参照)に転送する。携帯型電話機1は、さらに、ユーザからデータ保存の指示を受け付けた場合、あるいは当該指示を待つことなく自動的に、RAM16に格納された画像データ801,802,803を、IC(Integrated Circuit)記録メディア221(図5,図6参照)に書き込む。
【0029】
図3は、2つのカメラ11,12を用いて被写体を撮像したときに、携帯型電話機1で行なわれるデータ処理の第2の例を説明するための図である。図3(a)は、携帯型電話機1のユーザが、被写体の撮像のために、両手で携帯型電話機1を把持した状態であって、左手の中指901がカメラ11のレンズの一部にかかっている状態を示した図である。図3(b)は、図3(a)の状態でシャッタボタン181が押下された場合における、データ処理の内容を時系列に沿って示した図である。
【0030】
図3(a)を参照して、ユーザの左手の中指901がカメラ11にかかっているため、撮像された左目用画像には中指901が写ることになる。
【0031】
図3(b)を参照して、カメラ11を用いた撮像より得られた左目用画像データ801と、カメラ12を用いた撮像により得られた右目用画像データ802とが、画像処理エンジン13内のRAM310に格納される。この場合、左目用画像データ801は、中指901を表す画像データを含むことになる。
【0032】
携帯型電話機1は、画像処理エンジン13により、左目用画像データ801と右目用画像データ802とから3D画像データ803を生成する。この場合、3D画像データ803にも、中指901を表す画像データが含まれることになる。携帯型電話機1は、左目用画像データ801と、右目用画像データ802と、3D画像データ803とを、画像処理エンジン13の外部に設けられたRAM16に転送する。
【0033】
携帯型電話機1は、中指901が写っている左目用画像データ801をRAM16から消去する。さらに、携帯型電話機1は、中指901が写っている左目用画像データ801を用いて生成された3D画像データ803をRAM16から消去する。
【0034】
携帯型電話機1は、さらに、ユーザからデータ保存の指示を受け付けた場合、あるいは自動的に、消去することなくRAM16に残した右目用画像データ802のみを、IC記録メディア221に書き込む。
【0035】
図4は、2つのカメラ11,12を用いて被写体を撮像したときに、携帯型電話機1で行なわれるデータ処理の第3の例を説明するための図である。図4(a)は、携帯型電話機1のユーザが、被写体の撮像のために、両手で携帯型電話機1を把持した状態であって、右手の中指902がカメラ12のレンズの一部にかかっている状態を示した図である。図4(b)は、図4(a)の状態でシャッタボタン181が押下された場合における、データ処理の内容を時系列に沿って示した図である。
【0036】
図4(a)を参照して、ユーザの右手の中指902がカメラ12にかかっているため、撮像された右目用画像には中指902が写ることになる。
【0037】
図4(b)を参照して、カメラ11を用いた撮像より得られた左目用画像データ801と、カメラ12を用いた撮像により得られた右目用画像データ802とが、画像処理エンジン13内のRAM310に格納される。この場合、右目用画像データ802は、中指902を表す画像データを含むことになる。
【0038】
携帯型電話機1は、画像処理エンジン13により、左目用画像データ801と右目用画像データ802とから3D画像データ803を生成する。この場合、3D画像データ803にも、中指902を表す画像データが含まれることになる。携帯型電話機1は、左目用画像データ801と、右目用画像データ802と、3D画像データ803とを、画像処理エンジン13の外部に設けられたRAM16に転送する。
【0039】
携帯型電話機1は、中指902が写っている右目用画像データ802をRAM16から消去する。さらに、携帯型電話機1は、中指902が写っている右目用画像データ802を用いて生成された3D画像データ803をRAM16から消去する。
【0040】
携帯型電話機1は、さらに、ユーザからデータ保存の指示を受け付けた場合、あるいは自動的に、消去することなくRAM16に残した左目用画像データ801のみを、IC記録メディア221に書き込む。
【0041】
以上のように、携帯型電話機1は、中指901または中指902が写ってしまった画像データをRAM16から消去するとともに、当該画像データに基づき生成された3D画像データ803をRAM16から消去する。また、携帯型電話機1は、画像データの消去後に、消去されずにRAM16に残った画像データを、携帯型電話機1に着脱可能なIC記録メディア221へ保存する。
【0042】
したがって、携帯型電話機1によれば、指が写っていない方の画像データのみを、IC記録メディア221へ保存可能となる。つまり、左目用画像データ801および右目用画像データ802のうち、ユーザにとって失敗と考えられる画像データを保存することなく、成功と考えられる画像データのみを、IC記録メディア221へ保存できる。このため、ユーザにとって失敗と考えられる画像データが、IC記録メディア221に格納されることが防げる。このため、携帯型電話機1を用いることにより、IC記録メディア221の記憶領域を効率よく利用可能となる。
【0043】
また、指が写った画像データに基づいて生成された3D画像データ803は、ユーザにとって失敗と考えられる画像データである。それゆえ、携帯型電話機1は、当該3D画像データ803をIC記録メディア221へ保存しないことにより、より効率的にIC記録メディア221の記憶領域を効率よく利用可能となる。
【0044】
ところで、図3の場合においては、右目用画像データ802をIC記録メディア221に保存した後に、左目用画像データ801および3D画像データ803をRAM16から消去するように、携帯型電話機1を構成してもよい。また、図4の場合においては、左目用画像データ801をIC記録メディア221に保存した後に、右目用画像データ802および3D画像データ803をRAM16から消去するように、携帯型電話機1を構成してもよい。
【0045】
以下では、このようなデータ処理を実現するための携帯型電話機1の具体的な構成について、説明する。
【0046】
<ハードウェア構成>
図5は、携帯型電話機1のハードウェア構成を示した図である。図5を参照して、携帯型電話機1は、カメラ11と、カメラ12と、画像処理エンジン13と、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)101と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)15と、データを揮発的に格納するRAM16と、NAND型のフラッシュメモリ17と、携帯型電話機1のユーザによる指示の入力を受ける操作ボタン18と、ストロボ19と、ディスプレイ20と、通信IF(Interface)21と、リーダライタ22と、電源ユニット23とを備える。
【0047】
画像処理エンジン13は、カメラ11,12に含まれる各撮像素子に光が照射されることにより発生した電荷に基づいて画像データを生成する。画像処理エンジン13の詳細については、後述する。
【0048】
CPU14は、画像処理エンジン13が担うデータ処理以外のデータ処理を行なう。
フラッシュメモリ17は、不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ17は、携帯型電話機1を制御するための各種のプログラム、携帯型電話機1が生成したデータ、携帯型電話機1の外部装置から取得したデータ等の各種データを揮発的に格納する。
【0049】
通信IF21は、携帯型電話機1が外部の通信装置と無線通信を行なうための信号処理を行なう。電源ユニット23は、データバスを介して、カメラ11,12、画像処理エンジン13、CPU14、ストロボ19、ディスプレイ20、通信IF21、リーダライタ22等に電力を供給する。
【0050】
各構成要素11〜23は、相互にデータバスによって接続されている。リーダライタ22には、IC記録メディア221が装着される。
【0051】
携帯型電話機1における処理は、各ハードウェアと画像処理エンジン13とCPU14とにより実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、画像処理エンジン13、フラッシュメモリ17に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、IC記録メディア221その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、リーダライタ22その他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信IFを介してダウンロードされた後、フラッシュメモリ17に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU14によってフラッシュメモリ17から読み出され、さらに実行可能なプログラムの形式でフラッシュメモリ17あるいは画像処理エンジン13に格納される。画像処理エンジン13またはCPU14は、そのプログラムを実行する。
【0052】
同図に示される携帯型電話機1を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、画像処理エンジン13、フラッシュメモリ17、IC記録メディア221その他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、携帯型電話機1の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0053】
なお、記録媒体としては、ICカードに限られず、DVD-ROM、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、当該プログラム等をコンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。
【0054】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0055】
図6は、携帯型電話機1のハードウェア構成の要部を示した図である。図6を参照して、携帯型電話機1は、カメラ11と、カメラ12と、画像処理エンジン13と、RAM16と、ディスプレイ20と、リーダライタ22と、A/D(Analog/Digital)変換器24と、A/D変換器25とを含む。リーダライタ22には、IC記録メディア221が装着されている。
【0056】
カメラ11は、レンズ111と、メカニカルシャッタ112と、撮像素子113とを備える。カメラ12は、レンズ121と、メカニカルシャッタ122と、撮像素子123とを備える。
【0057】
レンズ111は、外光(被写体により反射した光等)を集光する。メカニカルシャッタ112は、レンズ111を通過した光を、撮像素子113に照射するか否かを切換えるための装置である。メカニカルシャッタ112は、シャッタボタン181の押下により動作する。より詳しくは、メカニカルシャッタ112は、CPU14の指令に基づき動作する。撮像素子113は、光を電気信号に変換する。また、撮像素子113は、電気信号をA/D変換器24に送る。撮像素子113は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Charge Coupled Device)である。
【0058】
レンズ121は、外光(被写体により反射した光)を集光する。メカニカルシャッタ122は、レンズ121を通過した光を、撮像素子123に照射するか否かを切換えるための装置である。メカニカルシャッタ122は、シャッタボタン181の押下により動作する。より詳しくは、メカニカルシャッタ122は、CPU14の指令に基づき動作する。撮像素子123は、光を電気信号に変換する。また、撮像素子123は、電気信号をA/D変換器25に送る。撮像素子123も、撮像素子113と同じタイプの素子である。
【0059】
A/D変換器24は、撮像素子113が出力したアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換器24は、変換により得られたデジタル信号を画像処理エンジン13に送る。
【0060】
A/D変換器25は、撮像素子123が出力したアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換器25は、変換により得られたデジタル信号を画像処理エンジン13に送る。
【0061】
次に、画像処理エンジン13について説明する。画像処理エンジン13は、プロセッサ300と、RAM310と、ROM320とを備える。プロセッサ300は、CPU301と、DSP(Digital Signal Processor)302とを有する。CPU301と、DSP302と、RAM310と、ROM320とは、データバスにより互いに接続されている。
【0062】
プロセッサ300は、ROM320に格納されているプログラムに基づいた処理を実行する。CPU301は、画像処理エンジン13における全体制御および通信に関する処理を実行する。CPU301は、たとえばRISC(Reduced Instruction Set Computer)アーキテクチャのCPUである。DSP302は、画像処理専用のプロセッサである。なお、プロセッサ300を構成するDSP302の数は、1個に限定されるものではない。
【0063】
RAM310は、A/D変換器24,25から入力されるデジタル信号を一時的に記憶するバッファメモリとして機能する。また、RAM310は、CPU301およびDSP302によるデータ処理の際のワークメモリとしても機能する。ROM320は、プロセッサ300が実行するプログラムを含んでいる。
【0064】
CPU301は、RAM310,16へのデータの書き込み、RAM310,16からのデータの読み出し、RAM310,16に記録されたデータの消去を実行する。また、CPU301は、IC記録メディア221へのデータの書き込み、IC記録メディア221からのデータの読み出し、IC記録メディア221に記録されたデータの消去を制御する。
【0065】
なお、画像処理エンジン13により実行される他の各処理については、後述する(図7,8)。また、以下では、RAM310と、RAM16と、IC記録メディア221とを含んだ構成を、「メモリ90」と称する。
【0066】
<制御構造>
図7は、携帯型電話機1において行われる処理の流れを示したフローチャートである。具体的には、図7は、携帯型電話機1の動作モードが撮像モードに切換った状態におけるデータ処理の流れを示している。
【0067】
図7を参照して、ステップS2において、CPU14は、ユーザによってシャッタボタン181が押下されたか否かを判断する。ここで、「シャッタボタン181が押下された」とは、オートフォーカス機能によりピントを合わせるためのシャッタボタン181の半押を除くものとする。
【0068】
画像処理エンジン13のCPU301は、CPU14からシャッタボタン181の押下げがなされていない旨の指示を受け付けると(ステップS2においてNO)、電子シャッタを用いた被写体の撮像を行なう。なお、電子シャッタは、画像処理エンジン13により実現されるシャッタであり、物理的な遮光板は不要である。
【0069】
電子シャッタを用いた撮像を行なう場合、CPU301は、たとえば、メカニカルシャッタ112を開状態にし、メカニカルシャッタ122を閉状態にしておく。CPU301は、撮像素子113が出力したアナログ信号に基づくデジタル信号を受け付ける。なお、両方のメカニカルシャッタ112,122を開状態としてもよい。
【0070】
ステップS4において、CPU301は、デジタルデータ(以下、「RAWデータ」と称する)を生成する。ステップS6において、CPU301は、生成されたRAWデータを現像処理する。当該現像処理により、RAWデータは、人間の目で画像として認識可能な可視画像データとなる。ステップS10において、CPU301は、ディスプレイ20にスルー画像を表示させる。これにより、ユーザは、電子シャッタを用いて撮像している被写体の画像を、ディスプレイ20でリアルタイムに視認可能となる。
【0071】
CPU301は、CPU14からシャッタボタン181の押下げがなされた旨の指示を受け付けつけると(ステップS2においてYES)、ステップS12において、2つのメカニカルシャッタ112,122を用いて被写体の撮像を行なう。ステップS14において、CPU301は、A/D変換器24,25からそれぞれ出力されたデジタル信号に基づいて、RAWデータを生成する。つまり、CPU301は、2つのRAWデータを生成する。
【0072】
ステップS16において、CPU301は、撮像モードにおける詳細設定において、RAWデータを保存するモードに設定されているか否かを判断する。なお、携帯型電話機1がRAWデータを保存する機能を有していない場合には、当該判定は行なわれることなく、CPU301は、処理をステップS22に進める。
【0073】
CPU301は、RAWデータを保存するモードに設定されていると判断した場合(ステップS16においてYES)、ステップS18において、RAWデータを圧縮する。詳しくは、CPU301は、RAWデータを可逆圧縮する。ステップS20において、CPU301は、可逆圧縮したRAWデータを、IC記録メディア221へ書き込み、その後、処理をステップS22に進める。
【0074】
CPU301は、RAWデータを保存するモードに設定されていないと判断した場合(ステップS16においてNO)、ステップS22において、現像処理を行なう。具体的には、CPU301は、センサ補正処理、デモザイク処理、画素補間処理、色補正処理(ホワイトバランス調整、カラーマトリクス変換、ガンマ変換)、RGB画像処理(シャープネス補正、トーン補正、露出補正等)を行なう。
【0075】
ステップS22の処理の結果、たとえば図2〜図4で示したような、左目用画像データ801と右目用画像データ802とが、画像処理エンジン13内のRAM310に格納される。ステップS24において、CPU301は、ステップS22の現像処理で得られた左目用画像データと右目用画像データとを用いて、3D画像データを生成する。CPU301は、生成した3D画像データをRAM310に格納する。
【0076】
ステップS26において、CPU301は、ステップS22の現像処理で得られた左目用画像データおよび右目用画像データと、ステップS24の処理で得られた3D画像データとを、RAM16に書き込む。具体的には、CPU301は、左目用画像データと、右目用画像データと、3D画像データとを、対応付けてRAM16に転送する。
【0077】
ステップS28において、CPU301は、左目用画像データ、右目用画像データ、および3D画像データのうち、RAM16から消去する画像データの特定と、当該特定した画像データのRAM16からの消去とを実行する。ステップS28の処理の詳細については、後述する(図9)。
【0078】
ステップS30において、CPU301は、左目用画像データ、右目用画像データ、および3D画像データのうち、RAM16から消去しなかった画像データを圧縮する。具体的には、CPU301は、RAM16から消去しなかった画像データを非可逆圧縮する。たとえば、CPU301は、RAM16から消去しなかった画像データを、予め定められたフォーマット(JPEGフォーマット、DCFフォーマット、Exifフォーマット、またはTIFFフォーマット)の画像データに変換する。ステップS32において、CPU301は、ステップS30で圧縮した画像データを、IC記録メディア221に書き込む。
【0079】
以上により、CPU301は、一連の処理を終了する。
ところで、CPU301が行なうデータ処理の順序は、図7に示した順序に限定されるものではない。たとえば、CPU301は、ステップS18の処理およびステップS20の処理を、ステップS22からステップS32の処理と並列に行なってもよい。また、ステップS32に示したIC記録メディア221への画像データの書き込みが終了した後に、RAM16から消去すべき画像データを消去してもよい。また、ステップS28の処理と、ステップS30との処理の順序を入れ換えてもよい。また、ステップS22で得られた左目用画像データと右目用画像データとをRAM16に格納する処理は、ステップS24に示した3D画像データの生成よりも前であってもよい。
【0080】
図8は、図7のステップS28における処理の詳細を示したフローチャートである。図8を参照して、ステップS102において、CPU301は、左目用画像データに、撮像素子113への外光の入射を遮る指等の物体(以下、「障害物」とも称する)の画像が含まれているか否かを判断する。当該判断は、たとえば、背景技術として記載した技術を用いることができる。あるいは、CPU301は、左目用画像データに基づく左目用画像において、予め定められた広さにわたり輝度が閾値以下となる領域が存在する場合に、左目用画像データに障害物の画像が含まれていると判断してもよい。あるいは、CPU301は、左目用画像データに基づく左目用画像において予め定められた広さにわたり輝度が閾値以下となる領域が存在し、かつ、右目用画像データに基づく右目用画像において予め定められた広さにわたり輝度が閾値以下となる領域が存在しない場合に、左目用画像データに障害物の画像が含まれていると判断してもよい。障害物の画像が含まれているか否かの手法は、特に限定されるものではない。
【0081】
CPU301は、左目用画像データに障害物の画像が含まれていると判断した場合(ステップS102においてYES)、ステップS104において、右目用画像データに、撮像素子123への外光の入射を遮る障害物の画像が含まれているか否かを判断する。当該判断は、たとえば、背景技術として記載した技術を用いることができる。あるいは、CPU301は、右目用画像において、予め定められた広さにわたり輝度が閾値以下となる領域が存在する場合に、右目用画像データに障害物の画像が含まれていると判断してもよい。あるいは、CPU301は、右目用画像において予め定められた広さにわたり輝度が閾値以下となる領域が存在し、かつ、左目用画像において予め定められた広さにわたり輝度が閾値以下となる領域が存在しない場合に、右目用画像データに障害物の画像が含まれていると判断してもよい。障害物の画像が含まれているか否かの手法は、特に限定されるものではない。
【0082】
CPU301は、右目用画像データに障害物の画像が含まれていると判断した場合(ステップS104においてYES)、一連の処理を終了する。つまり、CPU301は、左目用画像データ、右目用画像データ、および3D画像用データのいずれもRAM16から消去しない。一方、CPU301は、右目用画像データに障害物の画像が含まれていないと判断した場合(ステップS104においてNO)、ステップS106において、左目用画像データと3D画像データとをRAM16から消去する。
【0083】
CPU301は、左目用画像データに障害物の画像が含まれていないと判断した場合(ステップS102においてNO)、ステップS108において、右目用画像データに障害物の画像が含まれているか否かを判断する。CPU301は、右目用画像データに障害物の画像が含まれていないと判断した場合(ステップS108においてNO)、一連の処理を終了する。つまり、CPU301は、左目用画像データ、右目用画像データ、および3D画像用データのいずれかもRAM16から消去しない。一方、CPU301は、右目用画像データに障害物の画像が含まれていると判断した場合(ステップS108においてYES)、ステップS110において、右目用画像データと3D画像データとをRAM16から消去する。
【0084】
以上のように、CPU301は、メカニカルシャッタ112,122を用いて撮像された左目用画像データおよび右目用画像データの各々が、指等の障害物の画像を含んでいないといった条件を満たしているか否かを判断する。CPU301は、左目用画像データおよび右目用画像データのうちの一方の画像データが当該条件を満たしていないと判断した場合、当該一方の画像データをRAM16から消去する。CPU301は、左目用画像データおよび右目用画像データのうちの一方の画像データが当該条件を満たしていないと判断した場合、さらに、当該左目用画像データと当該右目用画像データとに基づいて生成された3D画像データを、RAM16から消去する。
【0085】
<変形例>
(1)上記においては、左目用画像データおよび右目用画像データに障害物の画像が含まれているときに、左目用画像データおよび右目用画像データを消去しない構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、左目用画像データおよび右目用画像データに障害物の画像が含まれているときに、左目用画像データおよび右目用画像データを消去するように、携帯型電話機1を構成してもよい。
【0086】
(2)また、左目用画像データまたは右目用画像データに障害物の画像が含まれているときには、3D画像データを生成しないように、携帯型電話機1を構成してもよい。さらに、左目用画像データおよび右目用画像データに障害物の画像が含まれているときには、3D画像データを生成しないように、携帯型電話機1を構成してもよい。
【0087】
(3)上記においては、図7に示したとおり、消去する画像データの特定を、メカニカルシャッタ112,122を用いて撮像を行なった後に、消去する画像データを特定する構成を例に挙げ説明した。より詳しくは、左目用画像データと右目用画像データと3D画像データとをRAM16に書き込んだ後に、消去するデータを特定する構成を例に挙げて説明した。
【0088】
以下では、メカニカルシャッタ112,122を用いた撮像を行なう前であって、かつ電子シャッタを用いた撮像を行なった後に、消去する画像データを特定する構成について説明する。具体的には、メカニカルシャッタ112,122を用いて得られた左目用画像データおよび右目用画像データがRAM16に書き込まれる前に、何れかのデータを消去する構成について説明する。
【0089】
図9は、携帯型電話機1において行われる処理の他の流れを示したフローチャートである。詳しくは、図9は、メカニカルシャッタ112,122を用いた撮像を行なう前であって、かつ電子シャッタを用いた撮像を行なった後に、消去する画像データを特定する場合における、処理の他の流れを示したフローチャートである。
【0090】
図9を参照して、ステップS8の処理とステップS10との処理の間にステップS202の処理を行なう点において、図9のフローチャートは図7のフローチャートと異なる。また、ステップS28の処理の代わりに、ステップS24の処理とステップS26の処理との間にステップS204およびステップS206を備える点において、図9のフローチャートは図7のフローチャートと異なる。したがって、以下では、主として、図7のフローチャートと異なる点を説明する。
【0091】
なお、以下では、電子シャッタを用いた撮像の際には、携帯型電話機1は、両方のメカニカルシャッタ112,122を開状態にするものとする。さらに、携帯型電話機1は、オートフォーカス機能を備えるものとして説明する。
【0092】
ステップS202において、CPU301は、電子シャッタを用いて撮像された左目用画像データおよび右目用画像データを用いて、消去する画像データの特定を行なう。具体的には、CPU301は、以下の処理を行なう。
【0093】
まず、電子シャッタを用いて撮像された左目用画像データおよび右目用画像データの各々が、指等の障害物の画像を含んでいるか否かを判断する。より詳しくは、CPU301は、オートフォーカス機能によってピントが合った状態で電子シャッタを用いて撮像された左目用画像データおよび右目用画像データの各々が、指等の障害物の画像を含んでいるか否かを判断する。具体例を挙げれば、CPU301は、シャッタボタン181が半押されることによりピントが合ったと判断したときに、障害物の画像を含んでいるか否かを判断する。CPU301は、指等の障害物の画像を含んでいる画像データを画像処理エンジン13に出力したカメラを特定する。
【0094】
次いで、CPU301は、カメラ11が障害物の画像を含んだ左目用画像データを画像処理エンジン13に出力したと特定した場合、メカニカルシャッタ112を用いて撮像された左目用画像データを消去する画像データとして特定する。一方、CPU301は、カメラ12が障害物の画像を含んだ右目用画像データを画像処理エンジン13に出力したと特定した場合、メカニカルシャッタ122を用いて撮像された右目用画像データを消去する画像データとして特定する。これらの場合、メカニカルシャッタ112,122により撮像された左目用画像および右目用画像データに基づき生成される3D画像データについても、消去対象として特定する。特定した消去対象を示すデータは、RAM310に格納される。
【0095】
なお、CPU301は、カメラ11およびカメラ12を、障害物の画像を含んでいる画像データを画像処理エンジン13に出力したカメラであると特定しなかった場合には、左目用画像データと右目用画像データと3D画像データとは消去対象とはしない。
【0096】
ステップS204において、CPU301は、消去する画像データが特定されているか否かを判断する。CPU301は、特定されていると判断した場合(ステップS204においてYES)、ステップS206において、当該特定された画像データを、画像処理エンジン13のRAM310から消去する。CPU301は、消去する画像が特定されていない場合(ステップS204においてNO)、処理をステップS30に進める。
【0097】
このように、CPU301は、当該左目用画像データおよび当該右目用画像データのうちの一方の画像データが障害物の画像を含んでいると判断した場合、シャッタボタン181が押下される(つまり、メカニカルシャッタ112,122による撮像が行なわれる)と、メカニカルシャッタ112,122による撮像により得られた画像データのうち、予め特定しておいた画像データをRAM310から消去する。
【0098】
この場合、ステップS26では、左目用画像データと右目用画像データと3D画像データとのうち、RAM310において消去されなかった画像データを、RAM16に書き込む。なお、3D画像データの生成は、RAM16に左目用画像データと右目用画像データとが書き込まれた後であってもよい。
【0099】
以上のように、CPU301は、電子シャッタを用いた撮像により得られた左目用画像データおよび右目用画像データの各々に、障害物の画像が含まれるか否かを判断する。CPU301は、電子シャッタを用いた撮像により得られた左目用画像データのみに物体の画像が含まれていると判断した場合に、シャッタボタン181が押し下げられると、メカニカルシャッタ112を用いた撮像により得られた左目用画像データを、RAM310から消去する。CPU301は、電子シャッタを用いた撮像により得られた右目用画像データのみに障害物の画像が含まれていると判断した場合に、シャッタボタン181が押し下げられると、メカニカルシャッタ122を用いた撮像により得られた右目用画像データを、RAM310から消去する。
【0100】
また、上記においては、RAM310から消去対象として特定した画像データを消去する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。一旦、CPU301が、RAM310に格納した左目用画像データおよび右目用画像データを、RAM16に書き込んだ後に、RAM16から消去対象として特定された左目用画像データまたは右目用画像データを消去するように、携帯型電話機1を構成してもよい。CPU301は、3D画像データについても、RAM16に格納された時点で消去すればよい。
【0101】
また、障害物が含まれているか否かを判断する画像データを、メカニカルシャッタ112,122を動作させるためのシャッタボタン181の押下げがあった時点より予め定められた前の時間に電子シャッタを用いて取得した画像データとしてもよい。
【0102】
(4)上記においては、CPU301は、左目用画像データ、右目用画像データ、および3D画像データのうち、消去対象として特定した画像データを、RAM16またはRAM310から消去する構成について説明したが、これに限定されるものではない。
【0103】
たとえば、CPU301が、IC記録メディア221に左目用画像データと右目用画像データと3D画像データを書き込んだ後に、IC記録メディア221から消去対象として特定した画像データを消去するように、携帯型電話機1を構成してもよい。なお、IC記録メディア221を外部記憶メモリと、RAM310,16を内部記憶メモリと称することもできる。
【0104】
このように、携帯型電話機1においては、消去対象となる画像データの消去のタイミングは、特に限定されるものではない。
【0105】
また、左目用画像データおよび右目用画像データの一方を消去する場合、3D画像データを生成しなくてもよいし、あるいは3D画像データを生成してから当該3D画像データを消去してもよい。つまり、3D画像データの生成の有無は特に限定されるものではない。
【0106】
<まとめ>
携帯型電話機1は、撮像により得られた左目用画像データと右目用画像データとに基づいて、立体画像を表示するための立体画像データを生成する複眼式の撮像装置である。携帯型電話機1は、左目用画像データを生成するための撮像素子113と、右目用画像データを生成するための撮像素子123と、CPU301と、左目用画像データと右目用画像データと立体画像データとを格納するためのメモリ90とを備える。CPU301は、左目用画像データに、撮像素子113への外光の入射を遮る障害物の画像が含まれているか否かを判断し、右目用画像データに、撮像素子123への外光の入射を遮る障害物の画像が含まれているか否かを判断する。CPU301は、左目用画像データおよび右目用画像データのうち、一方の画像データに障害物の画像が含まれ、他方の画像データに障害物の画像が含まれないとき、障害物の画像が含まれた方の画像データをメモリ90から消去する。
【0107】
したがって、上述した携帯型電話機1によれば、障害物が写っていない方の画像データのみをIC記録メディア221に保存可能、あるいは障害物が写っていない方の画像データをIC記録メディアに保存し続けることが可能となる。つまり、左目用画像データ801および右目用画像データ802のうち、ユーザにとって失敗と考えられる画像データを保存する、あるいは保存し続けることなく、成功と考えられる画像データのみを、IC記録メディア221に保存、あるいは保存し続けることができる。このため、ユーザにとって失敗と考えられる画像データが、IC記録メディア221に格納されること、あるいは格納され続けることを防げる。このため、携帯型電話機1を用いることにより、IC記録メディア221の記憶領域を効率よく利用可能となる。
【0108】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
1 携帯型電話機、11,12 カメラ、13 画像処理エンジン、14,301 CPU、16,310 RAM、17 フラッシュメモリ、18 操作ボタン、19 ストロボ、20 ディスプレイ、22 リーダライタ、23 電源ユニット、90 メモリ、111,121 レンズ、112,122 メカニカルシャッタ、113,123 撮像素子、181 シャッタボタン、221 IC記録メディア、300 プロセッサ、302 DSP、320 ROM、801 左目用画像データ、802 右目用画像データ、803 3D画像データ、901,902 中指。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像により得られた左目用画像データと右目用画像データとに基づいて、立体画像を表示するための立体画像データを生成する複眼式の撮像装置であって、
前記左目用画像データを生成するための第1の撮像素子と、
前記右目用画像データを生成するための第2の撮像素子と、
プロセッサと、
前記左目用画像データと、前記右目用画像データと、前記立体画像データとを格納するためのメモリとを備え、
前記プロセッサは、
前記左目用画像データに、前記第1の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断し、
前記右目用画像データに、前記第2の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断し、
前記左目用画像データおよび前記右目用画像データのうち、一方の画像データに前記物体の画像が含まれ、他方の画像データに前記物体の画像が含まれないとき、前記一方の画像データを前記メモリから消去する、撮像装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記一方の画像データを前記メモリから消去する場合には、さらに、前記左目用画像データと前記右目用画像データとに基づいて生成された前記立体画像データを前記メモリから消去する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
シャッタボタンと、
前記シャッタボタンの押下により動作するメカニカルシャッタとをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた前記左目用画像データおよび前記右目用画像データの各々に、前記物体の画像が含まれているか否かを判断し、
前記メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた前記左目用画像データのみに前記物体の画像が含まれていると判断した場合、当該左目用画像データを前記メモリから消去し、
前記メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた前記右目用画像データのみに前記物体の画像が含まれていると判断した場合、当該右目用画像データを前記メモリから消去する、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
ディスプレイと、
前記ディスプレイにスルー画像を表示させるための電子シャッタと、
シャッタボタンと、
前記シャッタボタンの押下により動作するメカニカルシャッタとをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記電子シャッタを用いた撮像により得られた前記左目用画像データおよび前記右目用画像データの各々に、前記物体の画像が含まれるか否かを判断し、
前記電子シャッタを用いた撮像により得られた前記左目用画像データのみに前記物体の画像が含まれていると判断した場合に、前記シャッタボタンが押し下げられると、前記メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた前記左目用画像データを、前記メモリから消去し、
前記電子シャッタを用いた撮像により得られた前記右目用画像データのみに前記物体の画像が含まれていると判断した場合に、前記シャッタボタンが押し下げられると、前記メカニカルシャッタを用いた撮像により得られた前記右目用画像データを、前記メモリから消去する、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
オートフォーカス機能を更に備え、
前記プロセッサは、前記オートフォーカス機能によってピントが合った状態で前記電子シャッタを用いた撮像により得られた前記左目用画像データおよび前記右目用画像データを用いて、前記左目用画像データおよび前記右目用画像データの各々に前記物体の画像が含まれるか否かを判断する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記メモリは、揮発性メモリと不揮発性メモリとを含み、
前記プロセッサは、
前記揮発性メモリに、前記左目用画像データと前記右目用画像データとを格納し、
前記左目用画像データおよび前記右目用画像データのうち、一方の画像データに前記物体の画像が含まれ、他方の画像データに前記物体の画像が含まれていないと判断した場合には、前記揮発性メモリから前記一方の画像データを消去し、前記他方の画像データを前記不揮発性メモリに格納する、請求項1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記不揮発性メモリは、前記撮像装置に着脱可能な記録媒体である、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像により得られた左目用画像データと右目用画像データとに基づいて立体画像を表示するための立体画像データを生成する複眼式の撮像装置におけるデータ処理方法であって、
前記撮像装置は、前記左目用画像データを生成するための第1の撮像素子と、前記右目用画像データを生成するための第2の撮像素子と、プロセッサと、前記左目用画像データと、前記右目用画像データと、前記立体画像データとを格納するためのメモリとを備え、
前記データ処理方法は、
前記プロセッサが、前記左目用画像データに、前記第1の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断するステップと、
前記プロセッサが、前記右目用画像データに、前記第2の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断するステップと、
前記左目用画像データおよび前記右目用画像データのうち、一方の画像データに前記物体の画像が含まれ、他方の画像データに前記物体の画像が含まれていないときに、前記プロセッサが、前記一方の画像データを前記メモリから消去するステップとを備える、データ処理方法。
【請求項9】
撮像により得られた左目用画像データと右目用画像データとに基づいて立体画像を表示するための立体画像データを生成する複眼式の撮像装置を制御するためのプログラムであって、
前記撮像装置は、前記左目用画像データを生成するための第1の撮像素子と、前記右目用画像データを生成するための第2の撮像素子と、プロセッサと、前記左目用画像データと、前記右目用画像データと、前記立体画像データとを格納するためのメモリとを備え、
前記左目用画像データに、前記第1の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断するステップと、
前記右目用画像データに、前記第2の撮像素子への外光の入射を遮る物体の画像が含まれているか否かを判断するステップと、
前記左目用画像データおよび前記右目用画像データのうち、一方の画像データに前記物体の画像が含まれ、他方の画像データに前記物体の画像が含まれていないときに、前記一方の画像データを前記メモリから消去するステップとを、前記プロセッサに実行させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−159715(P2012−159715A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19683(P2011−19683)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】