説明

撮像装置、制御方法、およびプログラム

【課題】シャッター幕の劣化を防止する。
【解決手段】半透過ミラーは、レンズを介して入射する入射光の光路上に配置され、入射光の一部を反射し、他の一部を透過させる。記録用イメージセンサは、半透過ミラーを透過した入射光を受光して画像を撮像する。また、半透過ミラーと記録用イメージセンサとの間に、シャッター後幕およびシャッター先幕が配置されており、シャッター先幕は、通常時に記録用イメージセンサを遮光している。ライブビュー用イメージセンサの画像から、半透過ミラーで反射した入射光に基づいて、入射光の強度が検出され、その検出結果から、入射光の強度が規定値以上である場合、シャッター先幕が開かれた状態となるように駆動される。本開示は、例えば、光路上に半透過ミラーが配置されたデジタルスチルカメラに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、制御方法、およびプログラムに関し、特に、シャッター幕の劣化を防止することができるようにした撮像装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一眼レフタイプのデジタルスチルカメラでは、撮像光路内に配置されたミラーで反射した光により、リアルタイムに被写体を観察するための画像(以下、適宜、ライブビュー画像と称する)が取得され、電子ビューファインダーまたは背面パネルに表示される。そして、ユーザがシャッターボタンを操作すると、撮像光路内のミラーが持ち上げられるとともに、撮像用のイメージセンサの手前に配置されたシャッター幕がシャッタスピードに応じて開かれることで、撮像用のイメージセンサが露光され、静止画像が取得される。
【0003】
また、近年、撮像光路内に半透過ミラーが配置された撮像装置が開発されている。この撮像装置では、半透過ミラーで反射した光によりライブビュー画像を取得する一方、半透過ミラーを透過した光により静止画像の撮像が行われる。
【0004】
例えば、特許文献1で開示されている一眼レフレックスカメラでは、撮像光路内に半透過ミラーが配置されており、半透過型ミラーで反射した光によりライブビュー画像が取得される。また、半透過型ミラーを透過した光は、フィルムの手前に配置されているフォーカルプレーンシャッタに常に照射されており、撮像時に、そのフォーカルプレーンシャッタが開かれてフィルムが露光され、画像が撮像される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−133846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、撮像光路内に半透過ミラーが配置された構成の撮像装置では、半透過ミラーを透過した光がシャッター幕に常に照射されているため、例えば、撮像装置のレンズが太陽に向けられると、レンズによって直射日光がシャッター幕に集光される。これにより、シャッター幕の温度が上昇してシャッター幕が劣化(損傷)する、いわゆる幕焼けが発生する恐れがあった。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、シャッター幕の劣化を防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面の撮像装置は、レンズを介して入射する入射光の光路上に配置され、前記入射光の一部を反射し、他の一部を透過させる反射透過部と、前記反射透過部を透過した入射光を受光して、画像を撮像する撮像部と、前記反射透過部と前記撮像部との間に配置され、前記撮像部を露光する露光時間に従って開閉動作を行い、通常時に前記撮像部を遮光するシャッター部と、前記反射透過部で反射した入射光に基づいて、前記入射光の強度を検出する検出部と、前記検出部による検出結果から、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記シャッター部が開放状態となるように制御する制御部とを備える。
【0009】
本開示の一側面の制御方法またはプログラムは、レンズを介して入射する入射光の光路上に配置され、前記入射光の一部を反射し、他の一部を透過させる反射透過部と、前記反射透過部を透過した入射光を受光して、画像を撮像する撮像部と、前記反射透過部と前記撮像部との間に配置され、前記撮像部を露光する露光時間に従って開閉動作を行い、通常時に前記撮像部を遮光するシャッター部と、前記反射透過部で反射した入射光に基づいて、前記入射光の強度を検出する検出部とを備える撮像装置の制御方法、または、その撮像装置を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、前記検出部による検出結果から、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記シャッター部が開放状態となるように制御するステップを含む。
【0010】
本開示の一側面においては、反射透過部は、レンズを介して入射する入射光の光路上に配置されており、入射光の一部を反射し、他の一部を透過させる。撮像部は、反射透過部を透過した入射光を受光して、画像を撮像する。シャッター部は、反射透過部と撮像部との間に配置されており、撮像部を露光する露光時間に従って開閉動作を行い、通常時に撮像部を遮光する。検出部は、反射透過部で反射した入射光に基づいて、入射光の強度を検出する。そして、検出部による検出結果から、入射光の強度が規定値以上である場合、シャッター部が開放状態となるように制御される。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一側面によれば、シャッター幕の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本技術を適用した撮像装置の第1の実施の形態の構成例を示す断面図である。
【図2】撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】幕焼けを防止する第1の処理例を説明するフローチャートである。
【図4】本技術を適用した撮像装置の第2の実施の形態の構成例を示す断面図である。
【図5】幕焼けを防止する第2の処理例を説明するフローチャートである。
【図6】幕焼けを防止する第3の処理例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本技術を適用した撮像装置の第1の実施の形態の構成例を示す断面図である。図1Aには、シャッターが閉鎖された状態の撮像装置が示されており、図1Bには、シャッターが開放された状態の撮像装置が示されている。
【0015】
図1において、撮像装置11は、カメラボディ12にレンズ部13が装着されて構成されており、被写体14からの光は、レンズ部13に収納されている光学系15の光軸(図1に示されている一点鎖線の矢印)に沿ってカメラボディ12の内部に導入される。
【0016】
カメラボディ12は、半透過ミラー31、シャッター後幕32、シャッター先幕33、記録用イメージセンサ34、ライブビュー用イメージセンサ35、電子ビューファインダー36、および背面表示部37を備えて構成される。
【0017】
半透過ミラー31は、レンズ部13の光学系15の光軸に対して略45°の角度となるように、その光路上に配置されている。半透過ミラー31は、レンズ部13の光学系15の光軸に沿ってカメラボディ12に入射される入射光の一部を反射することにより、その入射光を、図1に示されている矢印aおよび矢印bそれぞれへ向かう2方向に分岐する。例えば、半透過ミラー31により、入射光の一部(例えば、30%未満)は、ライブビュー用イメージセンサ35の方向(矢印a)に向かって反射され、入射光の他の一部分(例えば、70%以上)は、記録用イメージセンサ34の方向(矢印b)に向かって透過する。
【0018】
また、半透過ミラー31は、カメラボディ12の内部で固定されており、つまり、可動部として構成されておらず、カメラボディ12に入射される入射光を、常に、2方向に分岐する。
【0019】
シャッター後幕32およびシャッター先幕33は、記録用イメージセンサ34の前方に、つまり、半透過ミラー31と記録用イメージセンサ34との間に配置される。そして、シャッター後幕32およびシャッター先幕33は、シャッター速度(露光時間)に従って開閉動作を行うことで、記録用イメージセンサ34の露光を機械的に制御するメカニカルフォーカルプレーンシャッターを構成する。例えば、図1Aに示すように、シャッター先幕33が閉じた状態では、記録用イメージセンサ34は遮光されている。一方、図1Bに示すように、シャッター後幕32およびシャッター先幕33が開いた状態とされると、記録用イメージセンサ34が露光される。
【0020】
記録用イメージセンサ34は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子を有して構成される。記録用イメージセンサ34は、ユーザのシャッター操作に従って、記録媒体(例えば、図2の記録媒体65)に記録するための画像(静止画像または動画像)を撮像する。例えば、記録用イメージセンサ34は、シャッター後幕32およびシャッター先幕33が開放される時間(露光時間)で、半透過ミラー31を透過した光を受光し、静止画像の撮像を行う。
【0021】
ライブビュー用イメージセンサ35は、CCDやCMOSセンサなどの撮像素子を有して構成され、半透過ミラー31により反射された入射光を常に受光し、ライブビュー画像を撮像する。つまり、撮像装置11では、記録用イメージセンサ34およびライブビュー用イメージセンサ35の両方を常に独立して露光することが可能とされている。このため、記録用イメージセンサ34により静止画像の撮像が行われているときにも、ライブビュー用イメージセンサ35によるライブビュー画像の撮像を行うことができる。
【0022】
電子ビューファインダー36は、小型表示部41、接眼レンズ42、およびファインダー部43を有して構成され、ユーザは、電子ビューファインダー36を覗き込むことで被写体14の確認を行う。
【0023】
小型表示部41は、カメラボディ12内部に収納可能な液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)などにより構成されており、ライブビュー用イメージセンサ35により撮像されたライブビュー画像を表示する。接眼レンズ42は、小型表示部41に表示されるライブビュー画像に焦点を合わせるためのレンズであり、ファインダー部43は、ユーザが小型表示部41を覗き込むための窓である。
【0024】
背面表示部37は、小型表示部41よりも大型の液晶ディスプレイや有機ELなどにより構成されており、ライブビュー用イメージセンサ35により撮像されたライブビュー画像を表示する。ユーザは、電子ビューファインダー36の代わりに背面表示部37により被写体14を確認することができる。
【0025】
このように構成されている撮像装置11では、通常時には、図1Aに示すように、シャッター先幕33が閉じられた状態とされ、記録用イメージセンサ34は遮光されている。そして、ユーザがシャッターボタン(図示せず)を操作すると、図1Bに示すように、シャッター先幕33が駆動して開かれた状態とされ、記録用イメージセンサ34の露光が開始される。そして、シャッター後幕32が、シャッター速度に応じ、シャッター先幕33に連動して閉じられることで、記録用イメージセンサ34の露光が完了される。
【0026】
次に、図2は、撮像装置11の構成例を示すブロック図である。
【0027】
撮像装置11では、CPU(Central Processing Unit)51,ROM(Read Only Memory)52,RAM(Random Access Memory)53、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory))54が、バス55により相互に接続されている。そして、CPU51が、ROM52またはフラッシュメモリ54に記憶されているプログラムをRAM53にロードして実行することで、撮像装置11の各部が制御される。
【0028】
また、バス55には、入出力インタフェース56が接続されている。入出力インタフェース56には、操作部57、センサ部58、画像処理部59、表示駆動部60、シャッター駆動部61、フォーカス駆動部62、音声出力部63、およびドライブ64が接続されている。
【0029】
操作部57は、例えば、カメラボディ12の外側に配設されたシャッターボタンやファンクションダイヤル(図示せず)などからなり、ユーザの操作に応じた操作信号をCPU51に供給する。
【0030】
センサ部58は、例えば、撮像装置11の撮像時における手振れを検出するための加速度センサや、撮像装置11の水平度を検知する水準器などの各種のセンサを有して構成される。センサ部58は、それらのセンサから出力される信号をCPU51に供給する。
【0031】
画像処理部59は、記録用イメージセンサ34およびライブビュー用イメージセンサ35から出力される画像信号に対して、ホワイトバランス調整、ノイズ除去、圧縮処理などの各種の信号処理を施す。例えば、画像処理部59は、記録用イメージセンサ34からの画像信号に画像処理を施した結果得られる画像データを、入出力インタフェース56およびドライブ64を介して記録媒体65に記録させる。
【0032】
また、画像処理部59は、ライブビュー用イメージセンサ35からの画像信号に画像処理を施し、その結果得られるライブビュー画像を背面表示部37または小型表示部41に表示させる。さらに、画像処理部59は、露出を自動的に決定する機能(AE:Automatic Exposure)を備えており、ライブビュー用イメージセンサ35からの画像信号に基づいて、ライブビュー用イメージセンサ35に照射される光の強度を検出する。そして、画像処理部59は、ライブビュー用イメージセンサ35の一部に既定の強度(規定値)以上の強い光が照射されていることを検出すると、レンズ部13の光学系15を介してカメラボディ12内に、直射日光が入射していると判断する。これにより、画像処理部59は、直射日光が入射していると判断している間、直射日光の入射を警告する信号をCPU51に供給する。
【0033】
表示駆動部60は、背面表示部37または小型表示部41を駆動して、ライブビュー用イメージセンサ35により撮像されたライブビュー画像を、背面表示部37または小型表示部41に表示させる。また、表示駆動部60は、CPU51の制御に従って、各種のメッセージを背面表示部37または小型表示部41に表示させる。
【0034】
シャッター駆動部61は、CPU51の制御に従って、シャッター後幕32およびシャッター先幕33の開閉動作を行う。例えば、シャッター駆動部61は、画像処理部59がレンズ部13の光学系15を介して直射日光が入射していることを検出したとき、CPU51の制御に従って、シャッター先幕33が開かれた状態となるように駆動する。
【0035】
フォーカス駆動部62は、CPU51の制御に従って、レンズ部13の光学系15が有するフォーカスレンズを駆動し、記録用イメージセンサ34に対する被写体14の像のフォーカスを調整する。また、CPU51は、フォーカス駆動部62によるフォーカスの状態を把握しており、例えば、記録用イメージセンサ34の手前にあるシャッター先幕33に対するフォーカス度合いを検知することができる。
【0036】
音声出力部63は、例えば、電子的なシャッター音などを発するスピーカであり、CPU51の制御に従って、各種の音声や警告音などを出力する。
【0037】
ドライブ64には、記録媒体65が着脱可能であり、ドライブ64は、装着された記録媒体65に対して、記録用イメージセンサ34により撮像された画像に応じた画像データを記録する。
【0038】
このように構成される撮像装置11では、例えば、CPU51が、プログラムに従って各種の処理を実行し、例えば、シャッター先幕33の幕焼けを防止する処理を実行する。即ち、撮像装置11では、通常時には、シャッター先幕33が閉じられた状態とされているので、レンズ部13の光学系15を介して入射する入射光が、常に、シャッター先幕33に照射される状態となっている。そのため、レンズ部13の光学系15を介して直射日光が入射すると、光学系15により直射日光が集光されることにより、シャッター先幕33に幕焼けが発生することが想定される。
【0039】
例えば、ユーザが、撮像装置11による撮像を行っている最中に、意図せずに撮像装置11のレンズ部13を太陽に向けたとき、画像処理部59は、直射日光の入射を警告する信号を出力する。その後、CPU51が、シャッター先幕33の幕焼けを防止する条件が揃ったと判断すると、シャッター駆動部61によりシャッター先幕33が開かれた状態とされ、シャッター先幕33の幕焼けが防止される。
【0040】
次に、図3は、シャッター先幕33の幕焼けを防止する第1の処理例を説明するフローチャートである。例えば、ユーザの操作に応じて撮像装置11に電源が投入されて撮像可能な状態になると処理が開始される。
【0041】
ステップS11において、CPU51は、画像処理部59からの信号に基づいて、レンズ部13の光学系15を介して直射日光が入射しているか否かを判定し、直射日光が入射していると判定するまで処理を待機する。そして、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号を出力すると、CPU51は、レンズ部13の光学系15を介して直射日光が入射していると判定し、処理はステップS12に進む。
【0042】
ステップS12において、CPU51は、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を開始してから一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過していないと判定した場合、処理はステップS11に戻る。即ち、画像処理部59は、直射日光が入射していると判断している間、直射日光の入射を警告する信号を出力し続けており、直射日光の入射を警告する信号が一定時間出力され続けるまで、処理が待機される。ここで、一定時間は、例えば、シャッター先幕33の材質に応じて設計時に求められており、その材質の強度や耐熱性などに従って幕焼けの発生することのない時間に設定され、例えば、1秒程度、好ましくは数100m秒程度の時間に設定される。
【0043】
ステップS12において、CPU51が、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を開始してから一定時間が経過したと判定した場合、処理はステップS13に進む。即ち、この場合、CPU51は、直射日光が一定時間より長く連続して入射していることから、シャッター先幕33の幕焼けを防止する条件が揃ったと判断する。
【0044】
ステップS13において、CPU51は、シャッター駆動部61に対してシャッター先幕33を開くように制御を行う。これに従って、シャッター駆動部61は、シャッター先幕33を駆動して開かれた状態とし、処理はステップS14に進む。
【0045】
ステップS14において、CPU51は、画像処理部59からの信号に基づいて、レンズ部13の光学系15を介して直射日光が入射しない状態となったか否かを判定し、直射日光が入射しない状態となったと判定するまで処理を待機する。例えば、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を停止すると、ステップS14において、CPU51は、レンズ部13の光学系15を介して直射日光が入射しない状態となったと判定し、処理はステップS15に進む。
【0046】
ステップS15において、CPU51は、シャッター駆動部61に対してシャッター先幕33を閉じるように制御を行う。これに従って、シャッター駆動部61は、シャッター先幕33を駆動して閉じられた状態とし、処理はステップS11に戻って、以下、同様の処理が繰り返される。
【0047】
以上のように、撮像装置11では、レンズ部13の光学系15を介して直射日光が一定時間より長く連続して入射している場合には、シャッター先幕33が開かれた状態となるので、シャッター先幕33の幕焼けを防止することができる。また、シャッター先幕33が開かれた状態とするまでに、一定時間を設けることにより、シャッター先幕33の開閉が頻繁に行われるような事態を回避することができる。
【0048】
つまり、レンズ部13の光学系15の光軸上に半透過ミラー31が配置された構成の撮像装置11では、半透過ミラー31を透過した光がシャッター先幕33に常に照射される構造となっている。このため、ユーザが意図せずに撮像装置11のレンズ部13を太陽に向けたとき、直射日光がレンズ部13により集光されることによってシャッター先幕33に幕焼けが発生する恐れがあった。これに対し、撮像装置11では、上述のような処理を実行することで、シャッター先幕33の幕焼けを防止し、シャッター先幕33の劣化を回避することができる。
【0049】
なお、例えば、通常時に、シャッター先幕33が開かれた状態とすることで、シャッター先幕33の幕焼けの発生を回避することができると想定される。しかしながら、通常時に、シャッター先幕33が開かれた状態とした場合には、撮像時に、シャッター先幕33を一旦閉じた状態とした後に、シャッター後幕32およびシャッター先幕33をシャッター速度に応じて連動して駆動する必要がある。従って、この場合、ユーザがシャッターボタンを押してから撮像が開始されるまでの時間、いわゆるレリーズタイムラグが長くなってしまい、撮像装置11の操作性(レスポンス)が悪化してしまう。さらに、この場合、シャッター先幕33を一旦閉じた状態とする際の駆動音に、ユーザが違和感を覚えることがある。
【0050】
これに対し、撮像装置11では、通常時に、シャッター先幕33が閉じられた状態とされているので、レリーズタイムラグが長くなることを回避すること、即ち、既存の一眼レフタイプの撮像装置と同等のレリーズタイムラグを実現することができる。さらに、シャッター先幕33を一旦閉じた状態とするための駆動音が発生することもない。従って、撮像装置11では、より良い操作性を提供することができるとともに、駆動音にユーザが違和感を覚えることを回避することができる。
【0051】
また、撮像装置11では、直射日光によるシャッター先幕33の幕焼けを防止する条件として、例えば、レンズ部13の光学系15のフォーカス状態を使用することができる。上述したように、CPU51は、フォーカス駆動部62を駆動してフォーカスを調整する際に、シャッター先幕33に対するフォーカス度合いを検知することができる。従って、CPU51は、シャッター先幕33にフォーカスが合っている場合に、シャッター先幕33の幕焼けを防止する必要があると判断することができる。
【0052】
つまり、シャッター先幕33にフォーカスが合っていない場合には、直射日光の集光度合いが低減するためシャッター先幕33に幕焼けが発生する可能性が低下する。従って、この場合には、CPU51は、シャッター先幕33の幕焼けを防止する条件が揃っていないと判断することができる。
【0053】
なお、シャッター先幕33にフォーカスが合っていない場合であっても、直射日光が長時間照射されている場合には、シャッター先幕33に幕焼けが発生する可能性がある。このため、CPU51は、シャッター先幕33にフォーカスが合っていない場合には、シャッター先幕33の幕焼けを防止する条件が揃ったと判断するまでの時間を長く設定し、その時間が経過したときには、シャッター先幕33を開くように制御を行う。
【0054】
さらに、CPU51は、シャッター先幕33にフォーカスが合っている場合において、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を開始してから一定時間が経過したと判定すると、シャッター先幕33からフォーカスをずらすように、フォーカス駆動部62を制御してもよい。例えば、CPU51は、焦点距離がシャッター先幕33から遠くなる方向へフォーカスを移動させる。これにより、レンズ部13の光学系15を介して直射日光が入射してから、シャッター先幕33を開くまでの時間を長く設定することができる。このように、シャッター先幕33を開くまでの時間を長くすることで、シャッター先幕33の開閉が頻繁に行われるような事態を回避することができる。
【0055】
また、CPU51は、直射日光の入射を検知してシャッター先幕33を開いた状態とした後、設定された規定時間が経過した後に、シャッター先幕33を閉じるように制御してもよい。
【0056】
なお、シャッター先幕33に幕焼けが発生することを抑制するために、レンズ部13の光学系15を介してカメラボディ12に入射する光の光量を制限してもよい。
【0057】
図4は、本技術を適用した撮像装置の第2の実施の形態の構成例を示す断面図である。図4Aには、シャッターが閉鎖された状態の撮像装置が示されており、図4Bには、シャッターが開放された状態の撮像装置が示されている。
【0058】
図4において、撮像装置11’は、図1の撮像装置11と同様に、カメラボディ12’にレンズ部13’が装着されて構成されている。また、カメラボディ12’が、半透過ミラー31、シャッター後幕32、シャッター先幕33、記録用イメージセンサ34、ライブビュー用イメージセンサ35、電子ビューファインダー36、および背面表示部37を備える点で、図1の撮像装置11と共通しており、以下、共通する点についての詳細な説明は省略する。
【0059】
即ち、撮像装置11’は、絞り71、絞り駆動機構72、および絞り駆動モータ73を備える点で、図1の撮像装置11と異なる構成となっている。なお、図4では、図2のCPU51が図示されている。
【0060】
絞り71は、レンズ部13’の内部に配置された複数枚の開閉可能な羽部材により構成されており、レンズ部13’の光学系15を通過した光のうちの、カメラボディ12’の内部に入射する光の光量を調整する。絞り駆動機構72は、駆動モータ73の動力を絞り71に伝達するための機構である。駆動モータ73は、CPU51の制御に従って、絞り71を開閉駆動するための動力を発生する。
【0061】
このように構成されている撮像装置11’は、例えば、ユーザが操作を一定時間以上行わない場合に、即ち、撮影を行わない状態が一定時間以上継続された場合、絞り71を最大限に絞ることによって、カメラボディ12’の内部に入射する光の光量が制限される。このように、入射光の光量を予め制限することで、ユーザが、意図せずに撮像装置11のレンズ部13’を太陽に向けたとしても、直射日光が集光されることによってシャッター先幕33に幕焼けが発生する可能性を低減させることができる。
【0062】
次に、図5は、シャッター先幕33の幕焼けを防止する第2の処理例を説明するフローチャートである。例えば、ユーザの操作に応じて撮像装置11’に電源が投入されて撮像可能な状態になると処理が開始される。
【0063】
ステップS21において、CPU51は、操作部57(図2)からの信号に基づいて、ユーザによる操作があったか否かを判定し、ユーザによる操作があったと判定した場合には処理を待機する。例えば、ユーザが、カメラボディ12の外側に配設されたシャッターボタンやファンクションダイヤル(図示せず)などを操作すると、それらの操作に応じた操作信号が、操作部57からCPU51に供給され、CPU51は、ユーザによる操作があったと判定する。
【0064】
ステップS21において、CPU51が、ユーザによる操作がなかったと判定した場合、即ち、操作部57から操作信号が供給されなかった場合、処理はステップS22に進む。
【0065】
ステップS22において、CPU51は、ユーザによる操作が行われなくなってから一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過していないと判定した場合、処理はステップS21に戻る。例えば、CPU51は、図示しないタイマーにより、ステップS21でユーザによる操作があったと最後に判定したタイミングからの時刻を計時しており、ユーザによる操作が行われなくなったタイミングから一定時間が経過するまで処理を待機する。
【0066】
ステップS22において、ユーザによる操作が行われなくなってから一定時間が経過したと判定された場合、処理はステップS23に進み、CPU51は、絞り71を最大限に絞るように、駆動モータ73に対して制御を行う。これにより、駆動モータ73は、絞り駆動機構72を介して絞り71を駆動し、絞り71が最大限に絞られた状態とする。また、このとき、CPU51は、絞り71を最大限に絞る前の絞り量を記憶しておく。
【0067】
ステップS23の処理後、処理はステップS24に進み、CPU51は、操作部57からの信号に基づいて、ユーザによる操作があったか否かを判定する。ステップS24において、CPU51が、ユーザによる操作があったと判定した場合、即ち、操作部57からCPU51に操作信号が供給された場合、処理はステップS25に進む。
【0068】
ステップS25において、CPU51は、絞り71がステップS23で最大限に絞る前の絞り量となるように、駆動モータ73に対して制御を行う。これにより、駆動モータ73は、絞り駆動機構72を介して絞り71を駆動し、ステップS23で絞り71の絞り量を最大限に絞る前の状態に戻す。そして、ステップS25の処理後、処理はステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0069】
一方、ステップS24において、ユーザによる操作がなかったと判定された場合、処理はステップS26に進み、CPU51は、画像処理部59からの信号に基づいて、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射しているか否かを判定する。なお、このとき、画像処理部59は、絞り71が最大限に絞られた状態での直射日光の判断を行う既定の強度(規定値)に基づいて、直射日光が入射しているか否かを判断する。
【0070】
ステップS26において、CPU51が、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射していないと判定した場合、処理はステップS24に戻る。即ち、ステップS24およびS26の処理により、ユーザによる操作があったと判定されるか、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射していると判定されるまで、処理が待機される。
【0071】
例えば、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号を出力すると、CPU51は、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射していると判定し、処理はステップS27に進む。
【0072】
ステップS27において、CPU51は、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を開始してから一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過していないと判定した場合、処理はステップS26に戻る。即ち、直射日光の入射を警告する信号が一定時間出力され続けるか、直射日光の入射を警告する信号の出力が停止されるまで、処理が待機される。ここで、一定時間は、絞り71が最大限に絞られた状態での光量によってシャッター先幕33に幕焼けの発生することのない時間が設計時に求められて設定されている。なお、この一定時間は、光量が少ない状態におけるものであるので、例えば、図3のステップS12の判定で使用される一定時間よりも長く設定されている。
【0073】
ステップS27において、CPU51が、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を開始してから一定時間が経過したと判定した場合、処理はステップS28に進み、CPU51は、シャッター駆動部61に対してシャッター先幕33を開くように制御を行う。これに従って、シャッター駆動部61は、シャッター先幕33を駆動して開かれた状態とし、処理はステップS29に進む。
【0074】
ステップS29において、CPU51は、操作部57からの信号に基づいて、ユーザによる操作があったか否かを判定する。ステップS29において、CPU51が、ユーザによる操作がなかったと判定した場合、即ち、操作部57からCPU51に操作信号が供給されていない場合、処理はステップS30に進む。
【0075】
ステップS30において、CPU51は、画像処理部59からの信号に基づいて、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射しない状態となったか否かを判定する。
【0076】
例えば、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を継続している間、ステップS30において、CPU51は、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射しない状態となっていない(即ち、直射日光が入射し続けている)と判定する。この場合、処理はステップS29に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。即ち、ステップS29において、ユーザによる操作があったと判定されるか、ステップS30において、直射日光が入射しない状態となったと判定されるまで、処理が待機される。
【0077】
そして、ステップS29において、ユーザによる操作があったと判定された場合、または、ステップS30において、直射日光が入射しない状態となったと判定された場合、処理はステップS31に進む。
【0078】
ステップS31において、CPU51は、シャッター駆動部61に対してシャッター先幕33を閉じるように制御を行う。これに従って、シャッター駆動部61は、シャッター先幕33を駆動して閉じられた状態として、処理はステップS25に進み、絞り71の絞り量を最大限に絞る前の状態に戻す。その後、処理はステップS21に戻って、以下、同様の処理が繰り返される。
【0079】
以上のように、撮像装置11’では、ユーザによる操作がない場合には、絞り71を最大限に絞った状態として、入射光の光量を予め制限することにより、シャッター先幕33の幕焼けの発生を予備的に防止することができる。さらに、直射日光が一定時間より長く連続して入射している場合には、シャッター先幕33を開くことにより、シャッター先幕33の幕焼けを防止することができる。このように、撮像装置11’では、シャッター先幕33の損傷を防止することができる。
【0080】
なお、図4の撮像装置11’では、カメラボディ12’の内部に駆動モータ73が配置されているが、撮像装置11’は、駆動モータ73がレンズ部13’の内部に配置される構成としてもよい。このように構成された撮像装置11’では、カメラボディ12’の内部のCPU51から出力される電気信号が、レンズ部13’の内部の駆動モータ73に伝達され、絞り71の制御が行われる。
【0081】
また、ステップS21において、ユーザによる操作があったか否かを判定するのと共に、センサ部58から出力される信号に基づいて、例えば、ユーザが撮像装置11を保持しているか否か、即ち、撮像装置11が振動しているか否かを判定してもよい。そして、撮像装置11が振動していると判定された場合には、ユーザによる操作があったと判定された場合と同様に、処理を待機することができる。これにより、ユーザが、例えば、撮像装置11を保持して良好なアングルを探しているときなどに、絞り71が自動的に絞られた状態となることを回避することができる。
【0082】
さらに、撮像装置11’では、絞り71が最大限に絞られることにより、電子ビューファインダー36または背面表示部37に表示されるライブビュー画像が変化して暗くなる。このようなライブビュー画像の変化により、ライブビュー画像を視認しているユーザに対して、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射していることを気付かせることができる。これにより、ユーザが、撮像装置11’の向きを変更させて直射日光の入射を回避させることによっても、シャッター先幕33の幕焼けを防止することができる。
【0083】
なお、このようなライブビュー画像の変化だけでなく、撮像装置11’が、ユーザに対して積極的に、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射していること警告してもよい。
【0084】
次に、図6は、シャッター先幕33の幕焼けを防止する第3の処理例を説明するフローチャートである。例えば、ユーザの操作に応じて撮像装置11’に電源が投入されて撮像可能な状態になると処理が開始される。
【0085】
ステップS41において、CPU51は、画像処理部59からの信号に基づいて、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射しているか否かを判定し、直射日光が入射していると判定するまで処理を待機する。そして、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号を出力すると、CPU51は、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射していると判定し、処理はステップS42に進む。
【0086】
ステップS42において、CPU51は、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を開始してから一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過していないと判定した場合、処理はステップS41に戻る。即ち、画像処理部59は、直射日光が入射していると判断している間、直射日光の入射を警告する信号を出力し続けており、直射日光の入射を警告する信号が一定時間出力され続けるまで、処理が待機される。なお、この一定時間は、例えば、図3のステップS12の判定で使用される一定時間よりも短く設定されている。
【0087】
ステップS42において、CPU51が、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を開始してから一定時間が経過したと判定した場合、処理はステップS43に進む。
【0088】
ステップS43において、CPU51は、絞り71を最大限に絞るように、駆動モータ73に対して制御を行い、駆動モータ73が絞り駆動機構72を介して絞り71を駆動し、絞り71が最大限に絞られた状態とする。また、このとき、CPU51は、絞り71を最大限に絞る前の絞り量を記憶しておく。
【0089】
ステップS43の処理後、処理はステップS44に進み、CPU51は、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射していることをユーザに対して警告する。例えば、CPU51は、ユーザへ注意を促す警告メッセージ「直射日光の入射を避けて下さい」を背面表示部37または小型表示部41に表示するように、表示駆動部60に対する制御を行う。また、CPU51は、ユーザへ注意を促す警告音を出力するように音声出力部63に対する制御を行う。このように、背面表示部37または小型表示部41に表示されるメッセージ、または、音声出力部63から出力される警告音によって、ユーザに対する警告が行われる。
【0090】
ステップS44の処理後、処理はステップS45に進み、CPU51は、画像処理部59からの信号に基づいて、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光の入射が継続しているか否かを判定する。なお、このとき、画像処理部59は、絞り71が最大限に絞られた状態での直射日光の判断を行う既定の強度(規定値)に基づいて、直射日光が入射しているか否かを判断する。
【0091】
ステップS45において、直射日光の入射が継続していないと判定された場合、処理はステップS46に進み、CPU51は、ステップS44で行ったユーザに対する警告を停止する。つまり、背面表示部37または小型表示部41のメッセージを消去(非表示)し、音声出力部63からの警告音の出力を停止する。
【0092】
ステップS46の処理後、処理はステップS47に進み、CPU51は、絞り71がステップS43で最大限に絞る前の絞り量となるように、駆動モータ73に対して制御を行う。これにより、駆動モータ73は、絞り駆動機構72を介して絞り71を駆動し、絞り71の絞り量を最大限に絞る前の状態に戻す。そして、ステップS47の処理後、処理はステップS41に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0093】
一方、ステップS45において、CPU51が、直射日光の入射が継続していると判定した場合、処理はステップS48に進む。
【0094】
ステップS48において、CPU51は、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を開始してから一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過していないと判定した場合、処理はステップS45に戻る。即ち、ステップS45で直射日光の入射が継続していないと判定されるか、ステップS48で一定時間が経過したと判定されるまで処理が待機される。ここで、この一定時間は、ステップS42の判定で使用される一定時間と加算したときに、絞り71による光量の変化も考慮してシャッター先幕33に幕焼けが発生することのない時間となるように設定される。
【0095】
一方、ステップS48において、CPU51が、画像処理部59が直射日光の入射を警告する信号の出力を開始してから一定時間が経過したと判定した場合、処理はステップS49に進む。即ち、この場合、CPU51は、直射日光が一定時間以上連続して入射していることから、直射日光によるシャッター先幕33の幕焼けを防止する条件が揃ったと判断する。
【0096】
ステップS49において、CPU51は、シャッター駆動部61に対してシャッター先幕33を開くように制御を行う。これに従って、シャッター駆動部61は、シャッター先幕33を駆動して開かれた状態とし、処理はステップS50に進む。
【0097】
ステップS50において、CPU51は、画像処理部59からの信号に基づいて、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射しない状態となったか否かを判定し、直射日光が入射しない状態となったと判定するまで処理を待機する。
【0098】
例えば、ユーザが、ステップS44で行われた警告によって、撮像装置11’の向きを変更させ、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光の入射が行われないようにすると、画像処理部59は直射日光の入射を警告する信号の出力を停止する。これにより、ステップS50において、CPU51は、レンズ部13’の光学系15を介して直射日光が入射しない状態となったと判定し、処理はステップS51に進む。
【0099】
ステップS51において、CPU51は、シャッター駆動部61に対してシャッター先幕33を閉じるように制御を行う。これに従って、シャッター駆動部61は、シャッター先幕33を駆動して閉じられた状態とする。その後、処理はステップS46およびS47に進み、上述したように、ユーザに対する警告が停止され、絞り71の絞り量が最大限に絞る前の状態に戻される。そして、ステップS47の処理後、処理はステップS41に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0100】
以上のように、撮像装置11’では、レンズ部13の光学系15を介して直射日光が入射したときに、ユーザに対する警告を行うので、直射日光の入射を素早く回避させることができる。また、このとき、絞り71を最大限に絞った状態として、入射光の光量を制限することにより、シャッター先幕33の幕焼けの発生を抑制することができる。さらに、直射日光が一定時間より長く連続して入射している場合には、シャッター先幕33を開くことにより、シャッター先幕33の幕焼けを防止することができる。このように、撮像装置11’では、シャッター先幕33の損傷を防止することができる。
【0101】
なお、ユーザによる警告は、警告メッセージの表示または警告音の出力のいずれか一方だけでもよい。
【0102】
また、本実施の形態では、撮像装置11に電源が投入されている間、シャッター先幕33の幕焼けを防止する処理が実行され続けている。これに対し、例えば、CPU51は、時間帯に応じて、直射日光が入射する可能性のある昼間の時間帯だけ、シャッター先幕33の幕焼けを防止する処理を実行してもよい。また、CPU51は、センサ部58から出力される信号に基づいて、撮像装置11が水平よりも上側を向いているときだけ、シャッター先幕33の幕焼けを防止する処理を実行してもよい。
【0103】
また、撮像装置11に設定されている撮像モードに基づいて、直射日光が入射する可能性が低い場合、例えば、ポートレートを撮像するモードである場合には処理を停止し、直射日光が入射する可能性が高い場合、例えば、風景を撮像するモードである場合には処理を実行することができる。また、撮影装置11が位置測定機能を備えている場合、撮影装置11が屋内であると測定された場合、処理を停止することができる。このように処理の実行を限定することで、撮像装置11の電力消費を抑制することができる。
【0104】
また、撮影装置11では、ライブビュー用イメージセンサ35により撮像された画像に基づいて、直射日光の入射を検出しているが、例えば、撮影装置11に内蔵された他の光センサにより直射日光の入射を検出してもよい。また、シャッター後幕32およびシャッター先幕33が組み合わされて構成されるメカニカルなシャッターの他、例えば、電子シャッターとシャッター先幕33とが組み合わされて構成されるシャッターにも適用することができる。
【0105】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。また、プログラムは、1のCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0106】
また、CPU51が実行するプログラムは、あらかじめROM52またはフラッシュメモリ54に記憶されているものの他、適宜、フラッシュメモリ54にダウンロードして更新することができる。
【0107】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
レンズを介して入射する入射光の光路上に配置され、前記入射光の一部を反射し、他の一部を透過させる反射透過部と、
前記反射透過部を透過した入射光を受光して、画像を撮像する撮像部と、
前記反射透過部と前記撮像部との間に配置され、前記撮像部を露光する露光時間に従って開閉動作を行い、通常時に前記撮像部を遮光するシャッター部と、
前記反射透過部で反射した入射光に基づいて、前記入射光の強度を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果から、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記シャッター部が開放状態となるように制御する制御部と
を備える撮像装置。
(2)
ユーザの操作に応じた操作信号を出力する操作部と、
前記レンズを介して入射する前記入射光の光量を調整する光量調整部と
をさらに備え、
前記制御部は、ユーザによる操作が一定時間以上行われない場合、前記光量調整部により前記入射光の光量を制限し、その制限の後、前記入射光の強度が制限状態での規定値以上であるとき、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
前記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記レンズを介して入射する前記入射光の光量を調整する光量調整部をさらに備え、
前記制御部は、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記光量調整部により前記入射光の光量を制限し、その制限の後、前記入射光の強度が制限状態での規定値以上であることが継続しているとき、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)
ユーザに対する警告を行う警告部をさらに備え、
前記制御部は、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記光量調整部により前記入射光の光量を制限するとともに、前記警告部による警告を行い、その警告の後、前記入射光の強度が制限状態での規定値以上であることが継続しているとき、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
前記(1)から(3)のいずれかに記載の撮像装置。
(5)
前記警告部は、画像を表示する表示部に警告メッセージを表示すること、および、警告音を出力することのうちの、少なくともいずれか一方により警告を行う
前記(1)から(4)のいずれかに記載の撮像装置。
(6)
前記検出部は、前記反射透過部で反射した入射光を受光して、リアルタイムに被写体を観察するための画像を撮像する第2の撮像部である
前記(1)から(5)のいずれかにに記載の撮像装置。
(7)
前記制御部は、前記規定値以上の前記入射光が検出されたタイミングから所定の一定時間が経過したときに、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
前記(1)から(6)のいずれかにに記載の撮像装置。
(8)
前記レンズにより集光される前記入射光の焦点を調整する焦点調整部をさらに備え、
前記制御部は、前記焦点調整部による焦点の調整に従い、前記シャッター部への前記入射光の集光度合いに応じて、前記シャッター部の開閉動作を制御する
前記(1)から(7)のいずれかにに記載の撮像装置。
(9)
前記シャッター部は、前記露光時間に従って連動して駆動する1組のシャッター幕により構成されており、
前記制御部は、前記一組のシャッター幕のうちの、通常時に前記撮像部を遮光しているシャッター幕を、前記入射光の強度が規定値以上である場合に開くことにより前記シャッター部を開放状態とする
前記(1)から(8)のいずれかにに記載の撮像装置。
【0108】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
11 撮像装置, 12 カメラボディ, 13 レンズ部, 14 被写体, 15 光学系, 31 半透過ミラー, 32 シャッター後幕, 33 シャッター先幕, 34 記録用イメージセンサ, 35 ライブビュー用イメージセンサ, 36 電子ビューファインダー, 37 背面表示部, 41 小型表示部, 42 接眼レンズ, 43 ファインダー部, 51 CPU, 52 ROM, 53 RAM, 54 フラッシュメモリ, 55 バス, 56 入出力インタフェース, 57 操作部, 58 センサ部, 59 画像処理部, 60 表示駆動部, 61 シャッター駆動部, 62 フォーカス駆動部, 63 音声出力部, 64 ドライブ, 65 記録媒体, 71 絞り, 72 絞り駆動機構, 73 絞り駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを介して入射する入射光の光路上に配置され、前記入射光の一部を反射し、他の一部を透過させる反射透過部と、
前記反射透過部を透過した入射光を受光して、画像を撮像する撮像部と、
前記反射透過部と前記撮像部との間に配置され、前記撮像部を露光する露光時間に従って開閉動作を行い、通常時に前記撮像部を遮光するシャッター部と、
前記反射透過部で反射した入射光に基づいて、前記入射光の強度を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果から、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記シャッター部が開放状態となるように制御する制御部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
ユーザの操作に応じた操作信号を出力する操作部と、
前記レンズを介して入射する前記入射光の光量を調整する光量調整部と
をさらに備え、
前記制御部は、ユーザによる操作が一定時間以上行われない場合、前記光量調整部により前記入射光の光量を制限し、その制限の後、前記入射光の強度が制限状態での規定値以上であるとき、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記レンズを介して入射する前記入射光の光量を調整する光量調整部をさらに備え、
前記制御部は、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記光量調整部により前記入射光の光量を制限し、その制限の後、前記入射光の強度が制限状態での規定値以上であることが継続しているとき、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
ユーザに対する警告を行う警告部をさらに備え、
前記制御部は、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記光量調整部により前記入射光の光量を制限するとともに、前記警告部による警告を行い、その警告の後、前記入射光の強度が制限状態での規定値以上であることが継続しているとき、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記警告部は、画像を表示する表示部に警告メッセージを表示すること、および、警告音を出力することのうちの、少なくともいずれか一方により警告を行う
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記反射透過部で反射した入射光を受光して、リアルタイムに被写体を観察するための画像を撮像する第2の撮像部である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記規定値以上の前記入射光が検出されたタイミングから所定の一定時間が経過したときに、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記レンズにより集光される前記入射光の焦点を調整する焦点調整部をさらに備え、
前記制御部は、前記焦点調整部による焦点の調整に従い、前記シャッター部への前記入射光の集光度合いに応じて、前記シャッター部の開閉動作を制御する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記シャッター部は、前記露光時間に従って連動して駆動する1組のシャッター幕により構成されており、
前記制御部は、前記一組のシャッター幕のうちの、通常時に前記撮像部を遮光しているシャッター幕を、前記入射光の強度が規定値以上である場合に開くことにより前記シャッター部を開放状態とする
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
レンズを介して入射する入射光の光路上に配置され、前記入射光の一部を反射し、他の一部を透過させる反射透過部と、
前記反射透過部を透過した入射光を受光して、画像を撮像する撮像部と、
前記反射透過部と前記撮像部との間に配置され、前記撮像部を露光する露光時間に従って開閉動作を行い、通常時に前記撮像部を遮光するシャッター部と、
前記反射透過部で反射した入射光に基づいて、前記入射光の強度を検出する検出部と
を備える撮像装置の制御方法において、
前記検出部による検出結果から、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
ステップを含む制御方法。
【請求項11】
レンズを介して入射する入射光の光路上に配置され、前記入射光の一部を反射し、他の一部を透過させる反射透過部と、
前記反射透過部を透過した入射光を受光して、画像を撮像する撮像部と、
前記反射透過部と前記撮像部との間に配置され、前記撮像部を露光する露光時間に従って開閉動作を行い、通常時に前記撮像部を遮光するシャッター部と、
前記反射透過部で反射した入射光に基づいて、前記入射光の強度を検出する検出部と
を備える撮像装置を制御するコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記検出部による検出結果から、前記入射光の強度が規定値以上である場合、前記シャッター部が開放状態となるように制御する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−220545(P2012−220545A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83234(P2011−83234)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】