説明

撮像装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】CCDラインセンサを基板に電気的に接続することで発生する熱によってCCDラインセンサが湾曲することで画質が低下するのを防止することにある。
【解決手段】画像形成装置に取り付けられ、光学像を光電変換する撮像ユニット30であって、内部フレーム4と、基板35と、CCD(chage coupled device)ラインセンサ33と、保持板36と、保持部材37とを備えている。基板35は、内部フレーム4に固定されている。CCDラインセンサ33は、基板35に電気的に接続され、一方向に延びるように形成されている。保持板36は、CCDラインセンサ33の基板35が配置され、基板35に対向して設けられている。保持部材37は、保持板36に接続されており、CCDラインセンサ33の長手方向の略中央部分に配置され、CCDラインセンサ33を保持するための部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びこれを備えた画像形成装置、特に、画像形成装置に取り付けられた原稿読み取り装置に備えられ、光学像を光電変換する撮像装置及びこの撮像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、原稿の画像情報を読み取る原稿読み取り装置と、画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部と、画像形成部や排出部に用紙を搬送する用紙搬送部と、表面に画像が形成された用紙を排出する排出部とを備えている。このような画像形成装置では、原稿読みとり部で原稿の画像情報が読みとられ、画像形成部に用紙が搬送される。画像形成部に用紙が搬送されると、原稿の画像情報に基づいて用紙上に画像が形成され、画像が形成された用紙が排出部から排出される。
【0003】
ここで、原稿読み取り装置は、原稿に光を照射する光源と、複数の鏡を有し、原稿によって反射された光を所定位置まで導く反射部と、反射部によって反射された光を結像し光学像を読み取る撮像装置とを有している。撮像装置は、反射部によって所定位置に導かれた光を結像する結像レンズと、結像レンズによって結像された光学像を読み取るCCDラインセンサとを有している。この原稿読みとり装置では、光源から光が原稿に向かって照射され、原稿で反射された光が反射部によって所定位置に導かれる。所定位置に導かれた光は、結像レンズによって結像され、結像レンズで結像された光学像がCCDラインセンサによって読み取られる。
【0004】
この原稿読み取り装置の撮像装置は、CCDラインセンサに略平行に配置され、CCDラインセンサに電気的に接続可能な基板と、CCDラインセンサと基板との間に配置され、CCDラインセンサに略平行に配置された保持板と、CCDラインセンサを保持板に保持するための保持部材とをさらに有している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−171387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の撮像装置では、保持板にCCDラインセンサを配置可能な開口が形成されており、この開口を貫通してCCDラインセンサが基板に取り付けられている。そして、保持部材によってCCDラインセンサが基板から離れすぎないように支持されている。ここで、CCDラインセンサを基板に電気的に接続することによって熱が発生する可能性がある。また、基板に設けられたIC等が熱を発生する可能性がある。このとき、これらの熱によって基板が湾曲する可能性があり、基板の湾曲によってCCDラインセンサの位置が初期設定からずれる場合がある。この場合には、原稿の画像情報読み取り精度が低下し、画質が低下する。
【0006】
本発明の課題は、基板が湾曲することによってCCDラインセンサの位置が変わることに伴う画質低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る撮像装置は、画像形成装置に取り付けられる原稿読み取り装置に備えられ、光学像を光電変換する撮像装置であって、原稿読み取り装置のフレームと、基板と、CCD(chage coupled device)ラインセンサと、保持板と、保持部材とを備えている。基板は、フレームに固定されている。CCDラインセンサは、基板に電気的に接続され、一方向に延びるように形成されている。保持板は、CCDラインセンサの基板が配置され、基板に対向して設けられている。保持部材は、保持板に接続されており、CCDラインセンサの長手方向の略中央部分に配置され、CCDラインセンサを保持するための部材である。
【0008】
この撮像装置では、CCDラインセンサは、基板に電気的に接続されている。そして、基板に対向するように配置された保持板に接続された保持部材によってCCDラインセンサの長手方向の略中央部分が保持されている。
【0009】
ここでは、CCDラインセンサが保持板に支持されていないために基板が湾曲した場合であってもCCDラインセンサが湾曲するのを防止でき、CCDラインセンサの位置が変わることに伴う画質の低下を防止できる。また、CCDラインセンサの長手方向の略中央部を保持されているために、バランス良く保持することができる。
【0010】
請求項2に係る撮像装置は、請求項1に記載の撮像装置であって、保持部材は、保持板に接続され、保持板からCCDラインセンサの上側と下側とを押圧狭持するように延びる1対の板バネである。
【0011】
ここでは、1対の板バネによってCCDラインセンサの上側と下側とを押圧狭持するためにCCDラインセンサを安定して保持できる。
【0012】
請求項3に係る撮像装置は、請求項1または2に記載の撮像装置であって、保持部材は、CCDラインセンサの延びる方向に沿って並べて複数設けられている。
【0013】
ここでは、CCDラインセンサの保持が1つの保持部材を用いる場合よりもさらに安定する。
【0014】
請求項4に係る撮像装置は、請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置であって、CCDラインセンサは、光学像を受光可能であり保持板側に面している受光面を有している。保持板は、受光面が露出可能な開口を有している。
【0015】
ここでは、受光面が保持板側に面している場合であっても受光面が露出しているために光学像を受光しやすくなる。
【0016】
請求項5に係る画像形成装置は、原稿に光を照射する光源と、原稿によって反射された光を所定位置に導く複数のミラーと、ミラーによって所定位置に導かれた光を画像情報として読み取る撮像装置と、表面に画像を形成可能な用紙を収納する用紙収納部と、撮像装置によって読み取った画像情報に基づいて用紙収納部の用紙に画像を形成する画像形成部と、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、CCDラインセンサを基板に電気的に接続することで発生する熱によってCCDラインセンサが湾曲することで画質が低下するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
1.全体構造
図1に本発明の一実施形態に係る複写機100の全体断面図を示す。この図1に基づいて複写機100の全体構成を説明する。この複写機100は、用紙収納部110と、画像形成部120と、定着部130と、用紙搬送部140と、原稿読み取り装置1とを備えている。ここで原稿読み取り装置1については後に詳述する。
【0019】
用紙収納部110は、表面に画像を形成可能な用紙を収納する部分であって、複写機100の下部に配置されている。
【0020】
画像形成部120は、原稿読み取り装置1で読み取った原稿の画像情報に基づいて用紙に画像を形成可能な部分であって、用紙収納部110に上方に配置されている。この画像形成部120は、表面に静電潜像を形成可能な感光体ドラム121と、感光体ドラム121にトナー供給か可能な現像装置122とを有している。
【0021】
定着部130は、画像形成部120で表面に形成された画像を用紙に定着させる部分であって、画像形成部120に並べて配置されている。
【0022】
用紙搬送部140は画像形成部120や定着部130に用紙を搬送する部分である。
【0023】
2.原稿読み取り装置の構成
以下、本発明の一実施形態に係る原稿読み取り装置1を図面に基づき説明する。
【0024】
最初に、本発明の実施形態に係る原稿読み取り装置1について、図2及び図3を用いてその構造の概略を説明する。図2は原稿読み取り装置1の模式的垂直断面正面図、図3は原稿読み取り装置1を上方から見た部分斜視図である。なお、本発明の実施形態に係る原稿読み取り装置1は、画像形成装置である複写機、または複写機やファクシミリ等の機能を備えた複合機の上部に搭載された原稿読み取り装置1として設計されたものとする。
【0025】
図2に示すように、原稿読み取り装置1は、画像形成装置である複写機、または複合機の上部に搭載されている。原稿読み取り装置1の本体2は、外装カバー3と内部フレーム4とで構成されている。そして、原稿読み取り装置1は、本体2の上面に原稿台5を備えている。原稿台5は透明ガラスで構成され、この透明ガラス表面に、原稿が、読取面(原稿面)が下になるように載置される。
【0026】
図2及び図3に示すように、原稿台5の下方であって、本体2の内部フレーム4の内側には、原稿面に向かって光を照射するための光学系構成要素が設けられている。この光学系構成要素としては、第1光学系ユニット10、第2光学系ユニット20、及び撮像ユニット30を備えている。
【0027】
図2に示すように、第1光学系ユニット10は、光源11と、第1ミラー12とを備えている。光源11は、原稿面に向かって光を照射するものである。第1ミラー12は、光源11から原稿面に向かって照射され、原稿面で反射した反射光を受けて、さらに90度の角度で方向転換させるものである。これら光源11と、第1ミラー12とは、図示しない第1光学系支持部材に固定されている。
【0028】
第2光学系ユニット20は、第2ミラー21と、第3ミラー22とを備えている。第2ミラー21は、第1光学系ユニット10の第1ミラー12が反射させた光を受けて、さらに90度の角度で方向転換させるものである。第3ミラー22は、第2ミラー21が反射させた光を受けて、さらに90度の角度で方向転換させるものである。これら第2ミラー21と、第3ミラー22とは、図示しない第2光学系支持部材に固定されている。
【0029】
撮像ユニット30は、取り付け台31の上部に、結像レンズ32と、撮像素子であるCCDラインセンサ33とを備えている。第2光学系ユニット20の第3ミラー22によって反射された、原稿面からの反射光は、結像レンズ32に入射する。そして、結像レンズ32は、光路の下流側に設けられたCCDラインセンサ33の表面上に、反射光を結像する。このようにして、CCDラインセンサ33により、原稿画像を読み取ることができる。
【0030】
ここで、上記構成の原稿読み取り装置1において、撮像ユニット30は本体2の内部フレーム4に固定されているが、第1光学系ユニット10、及び第2光学系ユニット20は原稿面全体の画像情報を読み取るべく原稿面と平行に往復移動できるようになっている。このため内部フレーム4の内側には、図2において左右方向に延びる移動用のレール(図示せず)が設けられている。そして、第1光学系ユニット10、及び第2光学系ユニット20は、そのレールに沿って移動し、原稿面全体の画像情報を読み取ることが可能である。以下に撮像ユニット30について詳細に説明する。
【0031】
3.撮像ユニット
続いて、原稿読み取り装置1の撮像ユニット30の詳細な構成について、図4〜図6を用いて説明する。図4は撮像ユニット30の斜視図、図5は撮像ユニット30の模型的部分側面図、図6は撮像ユニット30のCCDラインセンサの保持部分の斜視図、図中の矢印は、原稿面からの反射光の入射方向を示している。
【0032】
図4及び図5に示すように、撮像ユニット30は、そのベースとなる取り付け台31を備えている。取り付け台31は、その下部に、本体2の内部フレーム4(図2、図3参照)との係合部34を備えている。係合部34は、取り付け台31の正面側と背面側の二箇所に設けられている。係合部34には、複数の丸穴34aと長穴34bとが設けられている。これらの丸穴34aと長穴34bとは、撮像ユニット30を内部フレーム4に取り付ける時の、位置、及び角度調整の際に用いられる。複数の丸穴34aのうちいずれかを選択して内部フレーム4に設けられたピン(図示せず)に係合させることにより、光軸方向の位置を決定する。また、複数の長穴34bのうちいずれかを選択してピンに係合させることにより、光軸の角度を調整する。
【0033】
取り付け台31の上面には、結像レンズ32が設けられている。結像レンズ32は、原稿面からの反射光を受け入れ、光路の下流側に設けられたCCDラインセンサ33に導く形で取り付けられている(図5参照)。
【0034】
また、取り付け台31の上面には、CCDラインセンサ33が設けられている。図5及び6に示すように、このCCDラインセンサ33は、基板35に接続されており、保持部材37によって保持されている。CCDラインセンサ33は、本体部33aと、複数の電極端子33bとを有している。本体部33aは、板状の部分であって、光学像を受光可能な受光面33cを有している。複数の電極端子33bは、本体部33aから外方に突出するように設けられた部分であって、電気的に基板35に接続されている。基板35は、板状の部材であって、複数の電極端子33bを挿入可能な端子挿入部分を有している。そして、端子挿入部分に電極端子33bを挿入することで電極端子33bに電圧が印加される。保持板36は、取り付け台31に対して略垂直に取り付け台31に固定された部材であって、CCDラインセンサ33を保持するための部材である。また、保持板36は、CCDラインセンサ33の受光面33cが結像レンズ32側に露出可能なように開口36aが形成されている。さらに、保持板36は、長方形状の部材であって、長手方向両端には基板35にビス止めするためのビス止め部36bが形成されている。保持部材37は、CCDラインセンサ33を保持するための部材であって、図5に示すように、帯状に形成された1対の板バネである。この1対の板バネは、一端が保持板36にビス止めされており、他端の近傍でCCDラインセンサ33に接触している。また、1対の板バネは、CCDラインセンサ33の上側側面及び下側側面に接触しており、CCDラインセンサ33の長手方向略中央部にCCDラインセンサ33の延びる方向に並べて2つ配置されている。
【0035】
4.動作
複写機100では、原稿読み取り装置1によって原稿の画像情報を読み取られる。そして、画像形成部120に用紙搬送部140によって用紙収納部110の用紙が画像形成部120に搬送され、画像形成部120で画像情報に基づいて画像が用紙の表面に形成される。その用紙が用紙搬送部140によって定着部130に搬送され、用紙に画像が定着される。その後、画像が定着された用紙が複写機100の外部に排出される。
【0036】
原稿の画像情報を読み取る際には、光源11から原稿に対して光が照射された状態で、原稿に沿って原稿の一端から他端までを第1光学系ユニット10が移動する。光源11から照射された光は原稿によって反射され、第1ミラー12に側に入射される。第1ミラー12に入射した光は、第1ミラー12によって90度方向転換させられ、第2ミラー21に入射する。第2ミラー21に入射した光は、第2ミラー21によって90度方向転換させられ、第3ミラー22に入射する。第3ミラー22に入射した光は、第3ミラー22によって90度方向転換させられ、結像レンズ32に入射する。結像レンズ32に入射された光は、結像レンズ32によって結像される。結像レンズ32によって結像された光学像はCCDラインセンサ33によって読み取られる。
【0037】
ここでは、CCDラインセンサ33が保持部材37によって保持されているために、CCDラインセンサ33を基板35に電気的に接続することによって発生する熱及び基板35に実装されるIC等が発生する熱によって基板35が湾曲した場合であっても、CCDラインセンサ33の位置が変わりにくくなる。このために、基板35の湾曲に伴う画質の低下を防止できる。
【0038】
5.他の実施形態
上記実施形態では、CCDラインセンサ33の保持部材37として板バネを用いたが、本発明はこれに限られず、CCDラインセンサ33を保持可能な部材で有れば良く、例えば保持板36から保持部を切り起こしてCCDラインセンサ33を保持するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】複合機の全体図。
【図2】原稿読み取り装置の全体概略図。
【図3】結像レンズ及びCCDラインセンサの周囲を示す図。
【図4】結像レンズ及びCCDラインセンサ、保持板等を示す図。
【図5】結像レンズ及びCCDラインセンサの側面図。
【図6】CCDラインセンサ及びその保持部材などを示す斜視図。
【符号の説明】
【0040】
1 原稿読み取り装置
30 撮像ユニット
33 CCDラインセンサ
33a 本体部
33b 電極端子
33c 受光面
35 基板
36 保持板
36a 開口
37 保持部材
100 複写機
110 用紙収納部
120 画像形成部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に取り付けられる原稿読み取り装置に備えられ、光学像を光電変換する撮像装置であって、
前記原稿読み取り装置のフレームと、
前記フレームに固定された基板と、
前記基板に電気的に接続され、一方向に延びるように形成されたCCDラインセンサと、
前記CCDラインセンサの側部に配置され、前記基板に対向して設けられた保持板と、
前記保持板に接続されており、前記CCDラインセンサの長手方向の略中央部分に配置され、前記CCDラインセンサを保持するための保持部材と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記保持板に接続され、前記保持板から前記CCDラインセンサの上側と下側とを押圧狭持するように延びる1対の板バネである、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記保持部材は、前記CCDラインセンサの延びる方向に沿って並べて複数設けられている、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記CCDラインセンサは、光学像を受光可能であり前記保持板側に面している受光面を有しており、
前記保持板は、前記受光面が露出可能な開口を有している、
請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
原稿に光を照射する光源と、前記原稿によって反射された光を所定位置に導く複数のミラーと、前記ミラーによって所定位置に導かれた光を画像情報として請求項1から4のいずれかに記載の読み取る撮像装置と、
表面に画像を形成可能な用紙を収納する用紙収納部と、
前記撮像装置によって読み取った画像情報に基づいて前記用紙収納部の用紙に画像を形成する画像形成部と、
を備えた画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−271306(P2008−271306A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113069(P2007−113069)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】