撮像装置及びその制御方法
【課題】多重露出撮影において、複数の撮影モードを用いたより広い幅の表現が可能で、かつ効果的な多重露出撮影を行えるようにする。
【解決手段】撮影モードを変更する指示を受け付ける受付手段(S517)と、多重露出撮影モードに設定する設定手段と、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、第1の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを維持して該第1の撮影モードに変更するように制御し(S519)、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、第2の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを解除して、該第2の撮影モードに変更する(S520)ように制御する制御手段と、前記多重露出撮影モードに設定されている間に撮像された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成する生成手段とを有する。
【解決手段】撮影モードを変更する指示を受け付ける受付手段(S517)と、多重露出撮影モードに設定する設定手段と、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、第1の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを維持して該第1の撮影モードに変更するように制御し(S519)、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、第2の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを解除して、該第2の撮影モードに変更する(S520)ように制御する制御手段と、前記多重露出撮影モードに設定されている間に撮像された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成する生成手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に複数の撮影画像を多重合成可能な撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のデジタル画像信号を加算処理することにより、多重露出撮影を行う技術がある。特許文献1には、多重露出撮影を行う多重撮影モードを備えた撮像装置において、多重撮影モードの途中で、画像処理に関する設定の変更を禁止することが開示されている。
【0003】
また、撮影者の目的や撮影する場面に応じた様々な撮影モードを有する撮像装置が提案されている。特許文献1記載の撮像装置では、ポートレート撮影モード、風景撮影モード、接写撮影モード、スポーツ撮影モード、夜景撮影モードを備え、これら各モードの切換設定が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−218313号公報
【特許文献2】特開2000−184269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、多重露出撮影の途中で撮影条件を変更して撮影した画像を多重合成することができず、多重露出撮影での表現の幅が狭くなってしまう。一方、多重露出撮影の途中で多様な撮影条件での撮影を行えるように、多重露出撮影の途中で特許文献2のような複数の撮影モードのうちどの撮影モードにも変更できるようにすると、多重露出撮影モードが適さない撮影モードにも遷移してしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、多重露出撮影での表現の幅を広く提供しながら、効果的な多重露出撮影を行えるようにした撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、
撮影モードを、複数の撮影モードのうちいずれかの撮影モードに変更する指示を受け付ける受付手段と、
多重合成の対象となる複数の画像を撮像するための多重露出撮影モードに設定する設定手段と、
前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付手段により前記複数の撮影モードのうち第1の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを維持して該第1の撮影モードに変更するように制御し、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付手段により前記複数の撮影モードのうち第2の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを解除して、該第2の撮影モードに変更するように制御する制御手段と、
前記多重露出撮影モードに設定されている間に撮像された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成する生成手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多重露出撮影において、複数の撮影モードを用いたより広い幅の表現が可能で、かつ効果的な多重露出撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】デジタルカメラ100の構成ブロック図である。
【図2】デジタルカメラ100の外観図である。
【図3】多重露出撮影に関する事前設定のメニュー画面の表示例である。
【図4】多重露出撮影の際にバッファメモリ122に格納される画像データを説明する図である。
【図5】多重露出撮影モード処理のフローチャートである。
【図6】多重露出撮影処理のフローチャートである。
【図7】多重露出撮影におけるクイックレビュー・再生処理の表示例である。
【図8】多重露出撮影モード処理(LV)のフローチャートである。
【図9】多重ライブビュー表示処理のフローチャートである。
【図10】(a)自動露出調整モードにおける多重ライブビュー用合成比率の例である。(b)自動露出調整モードにおけるシミュレーションライブビュー用の合成比率の例である。
【図11】多重ライブビュー表示処理での表示例である。
【図12】フォーカス制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
<図1:構成ブロック図>
図1に、本発明を適用可能な撮像装置の一実施の形態としてのデジタルカメラ100の構成を示すブロック図を示す。
図1において、撮影レンズ101は、ズームレンズやフォーカスレンズなどからなる脱着可能な交換レンズである。
【0012】
AF(オートフォーカス)駆動回路102は、例えばDCモータやステッピングモータを含み、マイクロコンピュータ123の制御によって撮影レンズ101に含まれるフォーカスレンズの位置を変化させることによりピントを合わせる。
【0013】
絞り駆動回路104は、撮像素子112に到達する光量を調整する絞り103を駆動する。駆動されるべき量はマイクロコンピュータ123によって算出され、光学的な絞り値を変化させる。
【0014】
主ミラー105は撮影レンズ101から入射した光束をファインダ側と撮像素子112側とに切替えるためのミラーである。主ミラー105は通常時はファインダ部へと光束を導くよう反射させるように配されているが、撮影が行われる場合やライブビュー表示の場合には、撮像素子112へと光束を導くように上方に跳ね上がり光束中から待避する(ミラーアップ)。また主ミラー105はその中央部が光の一部を透過できるようにハーフミラーとなっており、光束の一部を、焦点検出を行うためのセンサに入射するように透過させる。
【0015】
サブミラー106は主ミラー105から透過してきた光束を反射させ焦点検出を行うためのセンサ(焦点検出回路109内に配置されている)に導くためのミラーである。
【0016】
ミラー駆動回路107は、マイクロコンピュータ123の制御によって主ミラー105を駆動する。
【0017】
ペンタプリズム108はファインダを構成する。ファインダは他にピント板、アイピースレンズ(不図示)などによって構成される。
【0018】
焦点検出回路109は焦点検出を行うためのブロックである。主ミラー105の中央部を透過し、サブミラー106で反射された光束は、焦点検出回路109の内部に配置された光電変換を行うためのセンサに至る。フォーカス演算に用いるデフォーカス量は、センサの出力を演算することによって求められる。マイクロコンピュータ123は演算結果を評価してAF駆動回路102に指示し、フォーカスレンズを駆動させる。
【0019】
シャッタ駆動回路111は、フォーカルプレーンシャッタ110を駆動する。シャッタの開口時間はマイクロコンピュータ123によって、制御される。
【0020】
撮像素子112には、CCDやCMOSセンサなどが用いられ、撮影レンズ101によって結像された被写体像を電気信号に変換する。
【0021】
AD変換器115は撮像素子112から出力されたアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0022】
映像信号処理回路116は、ゲートアレイなどのロジックデバイスにより実現され、各種映像信号処理を行う。
【0023】
表示駆動回路117は表示部材118に表示を行わせる駆動回路である。
表示部材118は、TFT液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのディスプレイであり、本実施の形態ではデジタルカメラ100の背面モニタである。
【0024】
メモリコントローラ119は、映像信号処理回路116から入力された未処理のデジタル画像データをバッファメモリ122に格納し、処理済みのデジタル画像データを記録媒体120に格納する。また、逆にバッファメモリ122や記録媒体120から画像データを映像信号処理回路116に出力する。さらに、メモリコントローラ119は、コンピュータ等と接続可能な外部インターフェース121を介して記録媒体120に記憶されている画像を出力可能である。
【0025】
記録媒体120はメモリーカードなどの着脱可能な記録媒体である。なお、デジタルカメラの内臓記録媒体としてもよいし、複数の記録媒体があってもよい。
【0026】
外部インターフェースは121は、有線、あるいは無線通信によりコンピュータ等の外部機器と接続するためのインターフェイスである。
【0027】
バッファメモリ122は、画像データを一時的に保持するためのメモリであり、多重露出撮影の途中で使用する各種画像もここに格納される。
【0028】
映像信号処理回路116は、デジタル化された画像信号に、フィルター処理、色変換処理、ガンマ処理を行い、現像データを作成すると共に、JPEGなどの圧縮処理を行い、メモリコントローラ119に出力する。
【0029】
映像信号処理回路116は、バッファメモリ122上の2つ以上の現像データの加算や、現像データから階調を高ビット化した高精度データの生成や、またその両方の処理を同時に実施し、結果をバッファメモリ122に書き戻すことが可能である。さらに、映像信号処理回路116は、撮像素子112からの映像信号や、メモリコントローラ119から逆に入力される画像信号を、表示駆動回路117を通して表示部材118に出力することも可能である。これらの機能切り替えはマイクロコンピュータ123の指示により行われる。映像信号処理回路116は、必要に応じて撮像素子112の信号の露出情報やホワイトバランスなどの情報をマイクロコンピュータ123に出力することが可能である。それらの情報を基にマイクロコンピュータ123はホワイトバランスやゲイン調整の指示を行う。連続撮影(連写)動作の場合においては、一旦、未処理画像のままバッファメモリ122に撮影データを格納し、メモリコントローラ119を通して未処理の画像データを読み出し、映像信号処理回路116にて画像処理や圧縮処理を行い、連続撮影を行う。連続撮影枚数は、バッファメモリ122の容量に左右される。
【0030】
マイクロコンピュータ123はデジタルカメラ100の全体を制御する主制御部であり、システムメモリ132をワークメモリとして、不揮発性メモリ130に記録された各種プログラムを実行する。
【0031】
操作検出部124は、操作部材が操作されたことを検出し、操作部材が操作されるとマイクロコンピュータ123にその状態を伝える。マイクロコンピュータ123はその操作部材の変化に応じて各部をコントロールする。なお、操作検出部124は記録媒体120を格納するスロットの蓋28(以下、カード蓋28)、電池蓋29の開閉状態も検知できるものとする。
【0032】
スイッチ1(125)(以後SW1)は、操作部材の一つであるレリーズボタン10の半押し操作によってオンとなるスイッチであり、オンとなるとマイクロコンピュータ123は、オートフォーカス(AF)動作や測光動作などの撮影準備処理を行う。
【0033】
スイッチ2(126)(以後SW2)は、操作部材の一つであるレリーズボタン10の全押し操作によってオンとなるスイッチである。SW2がオンとなるとマイクロコンピュータ123は、撮像を行い、撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体120に記録する本撮影処理を行う。
【0034】
またSW1、SW2がオンし続けている間は、連続撮影動作が行われる。
液晶駆動回路127は、マイクロコンピュータ123の表示内容命令に従って、文字、画像を用いて動作状態やメッセージ等を表示する外部液晶表示部材128やファインダ内液晶表示部材129を駆動する。また、ファインダ内液晶表示部材129には、不図示のLEDなどのバックライトが配置されており、そのLEDも液晶駆動回路127で駆動される。
【0035】
マイクロコンピュータ123は撮影前に設定されているISO感度、画像サイズ、画質に応じた、画像サイズの予測値データをもとに、メモリコントローラ119を通して、記録媒体120の残容量を確認した上で撮影可能残数を演算することができる。撮影可能残数は必要に応じて表示部材118、外部液晶表示部材128、ファインダ内液晶表示部材129にも表示することができる。
【0036】
不揮発性メモリ130はEEPROMやフラッシュメモリなどよりなり、カメラに電源が入れられていない状態でも、データを保存することができる。電源部131は、各ブロックや駆動系に必要な電源を供給する。
【0037】
<図2:外観図>
図2に、デジタルカメラ100の外観図を示す。図2(a)はデジタルカメラ100の正面斜視図であり、図2(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。なお、正面斜視図においては、交換レンズである撮影レンズ101を取り外した状態を図示している。
【0038】
図2(a)に図示したとおり、デジタルカメラ100は操作部材としてのレリーズボタン10、メイン電子ダイヤル11、ISO設定ボタン12、露出補正ボタン13、撮影モードダイヤル14、絞り込みボタン15を備える。絞り込みボタン15は絞り104を設定された絞り(F値)に絞り込ませるためのボタンであり、撮影モードにおけるライブビュー表示中に押下することにより、設定された絞りでの撮像画像の明るさを確認することができる。
【0039】
ライブビュー表示とは、主ミラー105を退避させた状態で、撮像素子112で撮像している画像(スルー画像)を略リアルタイムで連続的に表示部材118に表示させることで電子ビューファインダーとして機能させる表示である。ライブビュー表示では、撮像素子112に結像された画像を、AD変換器115でデジタル信号へと変換し、映像信号処理回路116で現像を行ってスルー画像を生成する。そして、スルー画像、あるいはスルー画像と撮影済みの画像を合成した多重合成画像を表示部材118に表示させる。表示された画像は逐次更新され、動画として視認される。例えばこの処理を1秒間に30回繰り返すことで30fpsのライブビュー表示が可能となる。
【0040】
メイン電子ダイヤル11は回転操作部材であり、撮影条件などの各種設定値を増減する際や、各種項目を選択する際に選択している項目を変更する操作、再生モードにおいて画像を組単位で切り替える操作等に用いられる。
【0041】
図2(b)に図示したとおり、デジタルカメラ100は操作部材としての情報表示ボタン16、メニューボタン17、再生ボタン18、消去ボタン19、メインSw20、セットボタン21を備える。また、サブ電子ダイヤル22、拡大ボタン23、縮小ボタン24、マルチコントローラー25を備える。メインSw20はデジタルカメラ100の電源のONとOFFを切り替えるための操作部材である。サブ電子ダイヤル22は回転操作部材であり、各種項目を選択する際に選択している項目を変更する操作、再生モードにおいて表示している画像を切り替える画像送り操作などに用いられる。ファインダ接眼部26は、ユーザーがファインダを覗き込んで光学像を見る際の接眼部である。ライブビューボタン27は、ライブビュー表示を開始する指示を受け付けるボタンであり、押下することでライブビュー表示のONとOFFを切り換えられる。カード蓋28は記録媒体120を格納する格納部の蓋であり、電池蓋29は電源部131としての電池を格納する格納部の蓋である。
【0042】
<多重露出撮影>
デジタルカメラ100では、複数のデジタル画像信号を加算処理することにより、多重露出撮影を行ことができる。多重露出撮影は、図3で後述するメニュー画面より、多重露出撮影「する」が選択されて多重露出撮影モードに設定されると開始される。多重露出撮影モードに設定してから撮影した複数の画像を加算処理(以下、多重、あるいは多重合成とも称する)して多重合成画像を生成して、画像ファイルとして記録媒体120に記録する。記録媒体120に記録する多重合成画像を生成する際の加算処理の方式として、「加算モード」と「自動露出調整モード」の2つの方式のうち任意の方式が利用できる。
【0043】
加算モードでは、式(1)のように、加算する複数の画像のそれぞれの輝度を単純に加算した合成比率で加算処理を行う。式(1)のように加算した結果、記録できる最大の輝度を超える場合も、記録できる最大の輝度を上限とする(飽和した状態)。自動露出調整モードでは、式(2)のような、多重合成画像の輝度が、加算される各々の画像の輝度の平均となる合成比率で加算処理を行う。
Yn=y1+y2+・・・+yn−1+yn …(1)
Yn=(y1+y2+・・・+yn−1+yn)/n …(2)
Yn :n枚の画像を多重合成して生成される多重合成画像の輝度
y1 :1枚目の画像の輝度
y2 :2枚目の画像の輝度
yn−1 :n−1枚目の画像の輝度
yn :n枚目の画像の輝度
n :加算する画像の枚数
【0044】
式(1)と式(2)をそれぞれ変換して、同義である式(3)、式(4)に基づき、1枚前までで既に多重合成した画像を用いて多重合成を行っても良い。すなわち、自動露出調整機能の設定が「しない」(加算モード)である場合は、前述の式(1)の合成比率となるように、以下の式(3)のように加算処理を行い多重合成する。自動露出調整機能の設定が「する」(自動露出調整モード)である場合は、前述の式(2)の合成比率となるように以下の式(4)のように加算処理を行い多重合成する。
Yn=Yn−1+yn …(3)
Yn={Yn−1×(n−1)/n}+{yn×1/n} …(4)
Yn :n枚の画像を多重合成して生成される多重合成画像の輝度
Yn−1 :n−1枚の画像を多重合成して生成される多重合成画像の輝度
yn :n枚目の画像の輝度
n :加算する画像の枚数
【0045】
多重露出撮影モードでライブビュー表示を開始すると、ベース画像と(ベース画像の設定が有の場合)、多重露出撮影モードにしてから既に撮影した撮影済画像と、スルー画像とを多重合成した画像を表示する。なお、ベース画像とは、これから行う多重露出撮影で撮影される画像に合成する画像として、多重露出撮影モードに設定する前に記録媒体120に記録されていた画像から選ばれた画像のことである。これにより、ユーザーは、次に撮影する画像がどのような構図で多重合成されるかを確認しながら撮影することができる。ただし、ライブビュー表示において、前述した式(1)や式(2)のような、記録媒体120に記録する多重合成画像を生成する場合と同じ合成比率で加算処理を行ってしまうと、ユーザーにとってスルー画像が見えにくくなる場合がある(はっきり見えなくなる場合がある)。そうすると、ユーザーはスルー画像を見て次に撮影する画像をどのような構図で撮影するかの構図調整をやり難くなる。例えば、加算モードでは、明るい部分の輝度が加算されると、輝度が飽和してしまう(最大輝度になる)場合があり、構図確認あるいはフォーカスの確認がしにくい場合がある。自動露出調整モードでは、撮影枚数分の輝度が平均されてしまうため、例えば多重露出撮影モードにしてから既に撮影した画像の枚数が多くなってくると、1枚あたりの輝度が低くなり、スルー画像の輝度も低くなるため、構図やフォーカスを確認しにくくなる。そのため本発明では、多重露出撮影モードでのライブビュー表示でスルー画像と撮影済みの画像を多重合成して表示する場合、通常、スルー画像の合成比率が、合成される撮影済みの画像の合成比率よりも高くなるようにする。このようにスルー画像の合成比率を高くすることで、スルー画像を撮影済みの画像よりも相対的にはっきり表示し、スルー画像の視認性を高める。さらに、スルー画像の合成比率を、合成する撮影済みの画像の枚数に関わらず一定としておくことで、よりスルー画像の視認性を高める。すなわち、ライブビュー表示において多重合成を行う場合、式(5)のような合成比率とする。
Yl={Yn×(1−M)}+{yt×M} …(5)
Yl :ライブビュー表示で表示する多重合成画像の輝度
yt :スルー画像の輝度
Yn :その時点で取得済みのn枚の画像を多重合成した画像の輝度。すなわち、スルー画像に合成する撮影済みの画像の輝度。
M :ライブビュー表示で表示する多重合成画像におけるスルー画像の合成比率。
【0046】
上述の式(5)において、Mは0.5以上1未満とする。すなわち、スルー画像の輝度の合成比率を、合成する撮影済みの画像の輝度の合成比率の合計以上にするものとする。なお、スルー画像の輝度の合成比率を、合成する撮影済み画像個々の合成比率よりも高くするとしてもよい。
【0047】
なお、ライブビュー表示において多重合成を行わず、スルー画像だけを表示すると設定することも可能である。その場合、式(5)においてM=1として、撮影済みの画像の輝度Ynの合成比率(1−M)を0とすることでスルー画像だけを表示するアルゴリズムとしても良い。スルー画像だけの表示とすることで、スルー画像に対する現在のフォーカス(ピント)の確認などがより行いやすくなる。
【0048】
式(5)を用いて生成した、ライブビュー表示において表示する多重合成画像は、スルー画像の視認性は向上する。しかしこの多重合成画像は、実際に本撮影を行った後に式(1)または(3)、あるいは式(2)または(4)を用いて生成され、記録媒体120に記録される多重合成画像とは異なる合成比率の画像となる。従って、記録媒体120に記録される多重合成画像が実際どのような画像となるのか(特に、どのような輝度バランス、明るさの画像となるのか)を確認することができず、露出などの撮影条件の設定の参考にはならない場合がある。そこで、多重露出撮影モードでのライブビュー表示中に絞り込みボタン15が押下されると、本撮影を行って生成される多重合成画像がどのようになるのかを模擬的に事前確認できるような表示を行う。この表示をシミュレーションライブビュー表示と称する。シミュレーションライブビュー表示で表示する多重合成画像は、自動露出調整機能の設定に応じて、自動露出調整機能「しない」(加算モード)の際は式(6)、「する」(自動露出調整モード)の際は式(7)のように合成される。
Ys=Yn+yt …(6)
Ys={Yn×n/(n+1)}+{yt×1/(n+1)} …(7)
Ys :シミュレーションライブビュー表示で表示する多重合成画像の輝度
yt :スルー画像の輝度
Yn :その時点で取得済みのn枚の画像を多重合成した画像の輝度。すなわち、スルー画像に合成する撮影済みの画像の輝度。
n :その時点で取得済みの画像の枚数。ベース画像が設定されていない場合は1組の多重露出撮影において現在までに撮影が実行された枚数。ベース画像が設定されている場合は1組の多重露出撮影において現在までに撮影が実行された枚数+1。
【0049】
式(6)または式(7)における、撮影済み画像Ynの輝度の合成比率は、もう一枚画像を本撮影した際に行われる、記録媒体に記録するための多重合成画像Yn+1における合成比率と同じとなる。
【0050】
なお、前述の式(1)〜(7)に基づく多重合成は、各色毎に行っても良い。
以上のような合成比率での多重合成を行う多重露出撮影の動作について、以下で詳しく説明する。
【0051】
<図3:多重露出撮影に関する事前設定>
多重露出撮影に関する事前設定項目を設定する方法について説明する。
【0052】
図3に、多重露出撮影に関するデジタルカメラ100の設定を行うメニュー画面の表示例を示す。図3(a)の多重露出撮影に関するメニュー画面300は、メニューボタン17を押下して全体メニューを表示し、全体メニューの中から多重露出撮影に関するメニューを選択して確定すると、表示部材118に表示される。
【0053】
メニュー画面300には、メニュー項目301〜304が表示される。ユーザーはサブ電子ダイヤル22の操作によってメニュー項目301〜304の中から任意のメニュー項目を選択することができる。いずれかのメニュー項目を選択した状態でセットボタン21を押下することで、選択したメニュー項目についての設定候補一覧が表示される。そして、表示された設定候補一覧の中から所望の設定候補をサブ電子ダイヤル22の操作などにより選択し、再度セットボタンを押下することで、選択した設定候補を設定値として確定して設定することができる。
【0054】
メニュー項目301は多重露出撮影を行うか否かを選択するメニュー項目であり、「する」・「しない」の2つの設定候補のうちいずれかを選択して設定可能である。以下、本項目の設定を多重露出撮影要否設定と称する。多重露出撮影要否設定は、システムメモリ132あるいは不揮発性メモリ130に記録される。ユーザーの操作に応じて多重露出撮影要否設定が「しない」から「する」に設定変更された場合、次回の撮影から多重露出撮影を開始する。多重露出撮影要否設定は、多重露出撮影が予定枚数に達して終了した場合など、後述するいくつかの条件で自動的に「する」から「しない」に変更される。多重露出撮影の途中であっても、ユーザー操作に応じて本項目を「しない」に設定すると、その時点で多重露出撮影を終了する。その際、多重合成画像のファイルが生成可能であればマイクロコンビュータ123の制御に基づいて多重合成画像のファイルを生成する。
【0055】
メニュー項目302は1組の多重露出撮影において合成する画像の枚数を選択するメニュー項目であり、2〜9の設定候補のうち何れかの画像枚数を選択して設定可能である。後述のベース画像が選択されていない場合、メニュー項目302で設定した画像枚数が、多重露出撮影予定枚数となる。ベース画像を選択した場合は、多重露出撮影予定枚数が、メニュー項目302で設定した画像枚数から1減った値となる。多重露出撮影予定枚数はシステムメモリ132に記録される。なお本項目は多重露出撮影にて1枚以上の画像を撮影した後、多重露出撮影が完了していない状態(以下、多重露出撮影中状態と称する。後述の多重露出撮影中フラグ=1である状態である)では、選択して変更することができない。
【0056】
メニュー項目303は多重露出撮影における自動露出調整機能の実行要否を選択するメニュー項目であり、「する」・「しない」の2つの設定候補のうちいずれかを選択して設定可能である。自動露出調整機能を「する」に設定すると、記録媒体120に記録される多重合成画像を生成する際、前述の自動露出調整モードでの加算処理が行われるものとして設定される。自動露出調整機能を「しない」に設定すると、記録媒体120に記録される多重合成画像を生成する際、前述の加算モードでの加算処理が行われるものとして設定される。本項目は多重露出撮影中状態では、選択して変更することができない。
【0057】
メニュー項目304は多重露出撮影におけるベース画像を選択するメニュー項目であり、記録媒体120に記録されている画像(多重露出撮影モードに設定する前に記録されていた画像)から1つの画像を選択してベース画像に設定することが可能である。本項目は多重露出撮影要否設定が「する」に設定されており、かつ、多重露出撮影中状態ではない状態でのみ設定可能である。すなわち、多重露出撮影要否設定を「する」に設定してから1枚目の撮影をする前にのみ、メニュー項目304でのベース画像設定が可能である。ベース画像を設定すると、図3(b)のような画面表示となる。画像306は記録媒体に記録された画像のうちベース画像として設定された画像である。ベース画像は、多重露出撮影モードで1枚以上の撮影が行われるか、ライブビュー表示を開始した際に、映像信号処理回路116によって、記録媒体120から読みだされ、バッファメモリ122上に現像データとして変換された形で配置される。ベース画像を選択すると、撮影条件としての画像サイズの設定値(以降の多重露出撮影で撮影される画像の画像サイズ)が、ベース画像の画像サイズと同じ値に設定される。このようにベース画像を選択すると、過去に撮影した画像を1枚目撮影の画像として、多重露出撮影を行うことができる。本実施の形態では、ベース画像として選択可能な画像は画像サイズを合わせる必要性のため、過去に本デジタルカメラ100で撮影された画像のみとする。なお、デジタルカメラ100で撮影条件として設定可能な画像サイズを有する画像であれば、デジタルカメラ100で撮影された画像以外の画像をベース画像に設定できるものとしてもよい。また、デジタルカメラ100で撮影条件として設定可能な画像サイズと異なる画像の場合は、映像信号処理回路116でリサイズしてベース画像に設定できるものとしてもよい。ベース画像の設定は多重露出撮影が終了すると解除され、ベース画像が選択されていない状態になる。画像選択解除ボタン305は選択したベース画像をキャンセルするためのボタンアイコンであり、選択決定するとベース画像が選択されていない状態になる。
【0058】
<図4:バッファメモリ122に保持される画像データ>
図4を用いて多重露出撮影を行った際にバッファメモリ122に保持されるデータについて説明する。各撮影によって、バッファメモリ122には最大で、現像データ、高精度データ、多重現像データ、表示用多重データ、前回撮影時表示用多重データの5つの画像データが保持される。
【0059】
現像データは直前の撮像で撮像素子から得られた画像信号に色処理などの現像処理を施したデータである。現像データをJpeg形式などで圧縮することで、記録媒体120に記録される各元画像の画像ファイルが生成される。
【0060】
高精度データは、前回の撮影で得られた現像データを、多重合成するために映像信号処理回路116を用いて高ビット化(以下、高精度化と称する)し、前回までに生成していた高精度データに加算した画像データである。高精度化することで、多重合成処理に伴って階調が飽和してしまう可能性を低減することができる。高精度化以外にも多重合成しやすくするための他の処理を施したものとしても良い。
【0061】
多重現像データは、今回生成した高精度データ(前回までに得た画像を多重したもの)に、今回の撮影で得られた現像データを加算したデータである。この多重現像データをJpeg形式などで圧縮することで、記録媒体120に記録される多重合成画像の画像ファイルが生成される。
【0062】
表示用多重データは、多重現像データを表示のために縮小・圧縮したデータである。このデータを用いて後述の多重中クイックレビュー(以下、QRとも称する)・再生処理、及び多重中1枚目QR・再生処理での表示を行う。
前回撮影時表示用多重データは、前回までの撮影で生成された表示用多重データである。
【0063】
図4(a)〜(d)は、多重露出撮影において、ベース画像を無しとした場合に、それぞれの状態においてバッファメモリ122に保持されるデータを表している。
【0064】
図4(a)は、1枚目の撮影の後のバッファメモリ122の状態である。1枚目の撮影で画像信号Aが得られると、それを現像した現像データAをバッファメモリ122に保持する。ただし高精度データ、多重現像データ、表示用多重データ、前回撮影時表示用多重データは生成も格納もせず、その分のバッファメモリ122の容量を空けてある。高精度データ、多重現像データ、表示用多重データ、前回撮影時表示用多重データの格納に必要な容量を空けてある分だけ、他の処理に容量を割り当てることで他の処理を高速に行うことができる。他の処理とは例えば、ライブビュー撮影を用いた顔検出処理、コントラストAF処理などがある。
【0065】
図4(b)は、2枚目の撮影の後のバッファメモリ122の状態である。2枚目の撮影で画像信号Bが得られると、画像信号Bを現像した現像データBを生成してバッファメモリ122に保持する。また、1枚目の後に保持していた現像データAを高精度化して高精度データAとして保持する(1枚目の後には高精度データは保持していないので加算は行わない)。高精度データAと現像データBとを多重合成して多重現像データA+Bを生成して保持する。多重現像データA+Bを縮小・圧縮して表示用多重データA+Bを生成して保持する。また、2枚目の撮影の場合は、1枚目の撮影で表示用多重データを生成していないので、記録媒体120に記録された1枚目の画像Aの画像ファイルから前回撮影時表示用多重データを生成して保持する。
【0066】
図4(c)は、3枚目の撮影の後のバッファメモリ122の状態である。3枚目の撮影で画像信号Cが得られると、画像信号Cを現像した現像データCを生成してバッファメモリ122に保持する。また、2枚目の後に保持していた現像データBを高精度化して、2枚目の後に保持していた高精度データAと加算することにより、高精度データA+Bを生成して保持する。高精度データA+Bと現像データCとを多重合成して多重現像データA+B+Cを生成して保持する。多重現像データA+B+Cを縮小・圧縮して表示用多重データA+B+Cを生成して保持する。また、2枚目の撮影のときに生成した表示用多重データA+Bを、前回撮影時表示用多重データA+Bとして保持する。
【0067】
図4(d)は、後述する多重中QR・再生処理によって3枚目の撮影で得た画像を破棄した場合のバッファメモリ122の状態である。3枚目の撮影で得た画像を破棄すると、図4(c)の状態から、現像データC、多重現像データA+B+C、表示用多重データA+B+Cをバッファメモリ122から破棄する。また、図4(c)で前回撮影時表示用多重データA+Bとして保持されていた画像データを、図4(d)で表示用多重データA+Bとして保持する。
【0068】
図4(e)は、3枚目の撮影を破棄した後に、3枚目の撮影をやり直した場合のバッファメモリ122の状態である。3枚目のやり直しの撮影(撮り直しの指示を受け付けた後の多重露出撮影モードでの撮影)で画像信号Dが得られると、画像信号Dを現像した現像データDを生成してバッファメモリ122に保持する。また、3枚目の破棄後に保持していた高精度データA+Bはそのまま保持する。高精度データA+Bと現像データDとを多重合成して多重現像データA+B+Dを生成して保持する。多重現像データA+B+Dを縮小・圧縮して表示用多重データA+B+Dを生成して保持する。また、3枚目の破棄後に保持していた表示用多重データA+Bを、前回撮影時表示用多重データA+Bとして保持する。
【0069】
<処理に用いるデータ>
次に、多重露出撮影の処理において用いるデータについて説明する。多重露出撮影の処理を実行するにあたっては、以下の変数を用いる。
・多重露出撮影要否設定:「する」あるいは「しない」のいずれかが設定可能であり、不揮発性メモリ130あるいはシステムメモリ132に設定値が記録される。「する」の状態が多重露出撮影モードであることを示す。
・多重露出撮影中フラグ:多重露出撮影の途中であるか否かを示す変数であり、システムメモリ132に記録される。多重露出撮影要否設定を「する」にした後、1枚以上の撮影を行うと1(多重露出撮影中状態)になり、多重露出撮影が終了すると0になる。クイックレビューでの処理を通常時の処理とするか多重中の処理とするかなどはこのフラグにより判断する。
・多重露出撮影予定枚数:1つの多重画像を生成するために行う多重露出撮影(以下、1組の多重露出撮影と称する)の回数を示す値であり、システムメモリ132に記録される。ベース画像を無しに設定している場合は多重露出撮影予定枚数は図3のメニュー項目302での設定枚数である。ベース画像を有りに設定している場合は多重露出撮影予定枚数は図3のメニュー項目302での設定枚数マイナス1である。
・多重露出撮影完了枚数:1組の多重露出撮影において現在までに撮影が実行された枚数を示す値であり、システムメモリ132に記録される。多重露出撮影完了枚数=多重露出撮影予定枚数となると、1組の多重露出撮影が終了したこととなり、多重露出撮影処理を完了する。
・拡大モードフラグ:ライブビュー表示で拡大を行う拡大モードであるか否かの状態を管理する変数であり、システムメモリ132に記録される。拡大ボタン23の押下に応じて、拡大モードOFF(スルー画像の全体を全画面表示)、拡大モード(5倍拡大)、拡大モード(10倍拡大)が順次切り替わる。
【0070】
また、多重露出撮影中状態では、1組の多重露出撮影において現在までに撮影された各元画像の記録媒体120上での格納場所を示す情報を、書き込み済みファイル情報としてシステムメモリ132に記録する。画像を記録する記録媒体が複数ある場合には、格納先の記録媒体を特定する情報も記録される。
【0071】
<図5:多重露出撮影モード処理>
図5に、多重露出撮影モード処理のフローチャートを示す。図5の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。多重露出撮影要否設定が「する」に設定されると、図5の処理を開始する。
【0072】
S500では、ライブビュー表示の開始指示があったか否かを判定する。具体的には、ライブビューボタン27が押下されたか否かの判定である。ライブビューボタン27が押下された(ライブビュー表示の指示があった)と判定した場合はS530に進み、そうでない場合はS501へ進む。S530では、ライブビュー表示を伴う多重露出撮影モード処理(LV)を行う。ライブビュー表示を伴う多重露出撮影モード処理(LV)については、図8を用いて後述する。
【0073】
S501では、SW2がONであるか否かを判定し、オンであればS502へ進み、ONで無ければS507に進む。
【0074】
S502では、マイクロコンピュータ123は、多重露出撮影処理を行う。多重露出撮影処理の詳細は図6を用いて後述する。
【0075】
S503では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照し、多重露出撮影完了枚数が1であるか否かを判定する。これはすなわち、S502で行われた多重露出撮影処理で1組の多重露出撮影の1枚目の画像が撮影されたか否かの判定である。多重露出撮影完了枚数が1である場合はS504に進み、システムメモリ132の多重露出撮影中フラグを1として保持する。S503で多重露出撮影完了枚数が1でないと判定した場合、及びS504で多重撮影完了フラグを1にした場合はS505に進む。
【0076】
S505では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132に保持した多重露出撮影完了枚数と多重露出撮影予定枚数が等しくなったか否かを判定する。等しくなった場合は1組の多重露出撮影が完了したので、S506で「保存して終了処理」を行った後に多重露出撮影モード処理を完了する。
【0077】
S506の「保存して終了処理」では、マイクロコンピュータ123は、この時点で多重露出撮影を終了し、この時点までに取得した画像を用いて多重合成画像を生成して、画像ファイルとして記録媒体120に記録する。この際の多重合成画像の生成では、図3のメニュー画面で設定された自動露出調整機能の設定に応じて、自動露出調整機能が「する」に設定されていた場合は前述の式(4)に基づいて多重合成処理を行う。自動露出調整機能が「しない」に設定されていた場合は前述の式(3)に基づいて多重合成処理を行う。また、マイクロコンピュータ123は、多重露出撮影の初期化処理を行う。初期化処理では、バッファメモリ122に記録された画像データを全て破棄する。システムメモリ132に記録した多重露出撮影予定枚数、多重露出撮影完了枚数をリセットする。多重露出撮影要否設定を「しない」に変更する。システムメモリ132に保持している多重露出撮影中フラグを0にする。システムメモリ132に保持している書き込み済みファイル情報の内容をすべて消去する。
【0078】
一方S507では、マイクロコンピュータ123は、再生ボタン18が押下されたか否か(再生モードへ移行する指示があったか否か)を判定する。再生ボタン18が押下された場合はS508へ進み、再生ボタン18が押下されていない場合はS514へ進む。
【0079】
S508では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照して多重露出撮影中フラグが1であるか否か(多重露出撮影中状態であるか否か)を判定する。多重露出撮影中フラグが1であればS510へ進み、1で無ければS509へ進む。
【0080】
S509では、マイクロコンピュータ123は、通常再生モード処理を行う。通常再生モード処理では、記録媒体120に記録され、デジタルカメラ100で再生可能な全ての画像を対象として、1枚表示、マルチ表示、画像送り、消去、属性付与などの再生モード処理を行う。
【0081】
S510では、マイクロコンピュータ123は、ベース画像が有に設定されているか否かを判定する。ベース画像が無しに設定されている場合はS511へ進み、ベース画像が有りに設定されている場合はS513へ進む。
【0082】
S511では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132に記録された多重露出撮影完了枚数が2以上であるか否かを判定する。2以上であると判定するとS513へ進み、2未満である場合はS512に進む。多重露出撮影中フラグ=1である場合なので、ここで多重露出撮影完了枚数が2未満であるということは、多重露出撮影完了枚数が1ということである。
【0083】
S512では、マイクロコンピュータ123は、多重中1枚目QR・再生処理を行う。多重中1枚目QR・再生処理は、多重露出撮影モードに移行してから撮影した1枚目の画像を確認するための表示処理であり、多重露出撮影モードへ移行する前に撮像された画像は表示しない。多重中1枚目QR・再生処理では、多重露出撮影モードに移行してから撮影した1枚目の画像を表示部材118に表示する。
【0084】
図7(a)に、多重露出撮影における、多重中1枚目QR・再生処理によって表示部材118に表示される表示例を示す(表示制御)。図7(a)は、前述の図3のメニュー項目302で多重露出撮影において画像を重ねる枚数を3枚、メニュー項目304でベース画像無しに設定した場合の表示例である。表示アイテム701は、多重露出撮影によって得られた画像であることを示すアイコンと、多重露出撮影予定枚数まで残り2枚であることを表している。表示アイテム702は、消去ボタン19を押下することで処理選択ダイアログを表示させることができることを表すガイド表示である。画像703はまだ1枚しか撮影されていないために多重合成の行われていない画像である。ユーザーは表示された画像を見て、問題なければ多重露出撮影における次の撮影へ進む。なにか処理を行いたい場合は消去ボタン19を押下して処理選択ダイアログを表示させる。処理選択ダイアログには、処理の選択肢として少なくとも「1枚戻る」、「保存して終了」、「保存しないで終了」が表示される。「一枚戻る」では、表示された1枚目の画像を消去して、図3のメニュー画面で設定した多重露出撮影にかかる現在の設定を維持して多重露出撮影をやり直すことができる。「保存して終了」では、この時点で多重露出撮影モードを終了させる。また、「保存しないで終了」では、表示した1枚目の画像を記録媒体120に記録することなく(あるいは記録媒体120から消去して)、この時点で多重露出撮影モードを終了させる。「保存して終了処理」あるいは「保存しないで終了処理」をした場合は、システムメモリ132に記録した多重露出撮影中フラグを0にし、多重露出撮影要否設定を「しない」に設定する。
【0085】
S513では、マイクロコンピュータ123は、多重中QR・再生処理を行う。多重中QR・再生処理は、多重露出撮影モードに移行してから取得した画像およびそれらの多重合成の具合を確認するための表示処理であり、ベース画像以外の多重露出撮影モードへ移行する前に撮像された画像は表示しない。
【0086】
図7(b)に、多重露出撮影における、多重中QR・再生処理によって表示部材118に表示される表示例を示す(表示制御)。図7(b)は、図7(a)と同様、前述の図3のメニュー項目302で多重露出撮影において画像を重ねる枚数を3枚、メニュー項目304でベース画像無しに設定した場合の表示例である。さらにこの例は、2枚目の撮影の後の表示例である。表示アイテム704が表す意味は図7(a)の表示アイテム701と同様であるが、多重露出撮影予定枚数が1枚減って残り1枚であることを表している。画像705は1枚目の画像と今回の撮影で得た2枚目の画像とを多重合成した画像である。これは、図4(b)における表示用多重データA+Bを表示したものである。表示用多重データは、ベース画像が設定されている場合はベース画像と、多重露出撮影モードに移行してから現在までに撮影した画像とをモードに応じて式(3)あるいは式(4)のように多重合成した多重合成画像を縮小したものである。すなわち、この時点で多重露出撮影を終了し、この時点までに取得した画像を用いて、記録媒体120に記録するために多重合成画像を生成する処理(保存して終了処理)を行って生成される多重合成画像と同じ合成比率で多重合成された画像である。ユーザーは表示された画像を見て、問題なければ多重露出撮影における次の撮影へ進む。なにか処理を行いたい場合は消去ボタン19を押下して処理選択ダイアログを表示させる。処理選択ダイアログには、処理の選択肢として少なくとも「1枚戻る」、「保存して終了」、「保存しないで終了」が表示される。「一枚戻る」では、直前に撮影した1枚の画像だけを消去して、多重露出撮影を1枚戻ったところからやり直すことができる。「保存して終了」では、この時点で多重露出撮影を終了し、この時点までに取得した画像を用いて多重合成画像を生成して記録媒体120に記録する。「保存しないで終了」では、この時点までに取得した画像を用いた多重合成画像を記録媒体120に記録することなく、この時点で多重露出撮影モードを終了する。「保存して終了処理」あるいは「保存しないで終了処理」をした場合は、システムメモリ132に記録した多重露出撮影中フラグを0にし、多重露出撮影要否設定を「しない」に設定する。
【0087】
S514では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照して、多重露出撮影中フラグが1であるか否かを判定する。多重露出撮影中フラグが1である場合にはS515に進み、1でない場合にはS517へ進む。
【0088】
S515では、マイクロコンピュータ123は、途中終了イベントがあったか否かを判定する。途中終了イベントとは、多重露出撮影モードを途中で終了させるべきイベントであり、例えば以下のようなものがある。
・ユーザの操作により多重露出撮影要否設定を「しない」にするイベント
・ユーザによるメインSW20の操作、カード蓋28の開き、電池蓋29の開き。オートパワーオフ時間の経過などの電源がOFFとなるイベント
・撮影設定の条件により多重露出撮影を継続できないような状態となるイベント
途中終了イベントがあった場合はS516へ進み、なかった場合はS517へ進む。
【0089】
S516では、マイクロコンピュータ123は、「保存して終了処理」を行う。この処理は前述したS506と同様の処理である。
【0090】
S517では、マイクロコンピュータ123は、撮影モードを変更する操作があったか否かを判定する。ここでの判定は、多重露出撮影要否設定を直接変更する操作ではなく、撮影モードダイヤル14を回転させる操作があったか否かの判定である。撮影モードを変更する操作を受付けたと判定するとS518に進み、無かったと判定するとS521に進む。
【0091】
S518では、マイクロコンピュータ123は、撮影モードを変更する操作による変更先の撮影モードが、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードとして予め定められた撮影モード(第1の撮影モード)であるか否かを判定する。撮影モードダイヤル14の操作によって遷移できる撮影モードのうち、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードには、以下の撮影モードがあるものとする。マニュアルモード、シャッター速度優先モード、絞り優先モード、プログラムAEモード、バルブモード。逆に、撮影モードダイヤル14の操作によって遷移できる撮影モードのうち、多重露出撮影モード処理を継続できない撮影モード(第2の撮影モード)としては、以下の撮影モードがあるものとする。全自動モード、ストロボ発行禁止モード、クリエイティブ全自動モード、ポートレートモード、風景モード、クローズアップモード、スポーツモード、夜景ポートレートモード、動画モード。多重露出撮影を継続できる撮影モードであるか否かをこのように分けた理由は後述する。
【0092】
S518で、変更された撮影モードが、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードであると判定した場合はS519に進み、そうでない場合はS520へ進む。
【0093】
S519では、マイクロコンピュータ123は、撮影モードダイヤル14の操作に応じた撮影モードに切り替え、多重露出撮影モード処理を継続する。なおこの際、多重露出撮影要否設定、多重露出撮影中フラグ、多重露出撮影予定枚数、多重露出撮影完了枚数、書き込み済みファイル情報、ベース画像(設定されている場合)は変更せず維持する。
【0094】
S520では、マイクロコンピュータ123は、「保存して終了処理」を行う。この処理は前述したS506と同様の処理である。ただし、この時点で多重合成画像を生成するだけの画像が集まっていない場合には、多重合成画像の生成は行わない。「保存して終了処理」により、その後のS521でNoと判定され、多重露出撮影モード処理が撮影モードダイヤル14の操作に応じて自動的に終了することになる。この際、多重露出撮影モード処理が自動的に終了したこと(多重露出撮影モードが解除されたこと)を表す表示を表示部材118に表示してもよい。多重露出撮影モードを終了すると、撮影モードダイヤル14の操作に応じた撮影モードに切り替える。
【0095】
S521では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132あるいは不揮発性メモリ130の多重露出撮影要否設定を参照し、多重露出撮影が「する」に設定されているか否かを判定する。「する」に設定されている場合はS500に進んで処理を繰り返す。「しない」に設定されている場合は多重露出撮影モード処理を終了する。
【0096】
多重露出撮影を継続できる撮影モードであるか否かを上述のように分けた理由を説明する。
【0097】
多重露出撮影で生成される多重合成画像は、複数の画像を加算して合成した画像であるため、現実を忠実に表す映像ではない。すなわち、多重露出撮影は現実を正確に記録するためというよりは、撮影者による表現の手法の一種として利用される撮影方法と言える。そのため、多重露出撮影ではより多くの撮影条件を調整できたほうが、表現の幅を広げられるため好適である。従ってより多くの撮影条件を調整できる撮影モードを、多重露出撮影を継続できる撮影モードとしている。すなわち、多重露出撮影条件を継続できない撮影モードよりも、多重露出撮影を継続できる撮影モードのほうがユーザーが指定した値に設定できる撮影条件の項目数が多い。そして、多重露出撮影の途中であってもこれらのモード間であれば撮影モードの変更を可能としている。従って、互いに異なる撮影モードで撮影された画像を多重合成した画像を作成することができ、表現の幅をより広くすることができる。
【0098】
また、多重露出撮影においては、加算される各画像の輝度を調整できると特に好ましい。なぜなら、多重露出撮影は複数の画像の輝度を加算して合成していくという特徴があるため、各画像の輝度を調整できないと、加算モードでは意図せずにすぐ輝度が飽和してしまうことがあるためである。また、加算モードでなくとも、合成する他の画像に比べて輝度が高すぎるとその画像だけ目立ちすぎる多重合成画像となってしまう。逆に、合成する他の画像に比べて輝度が低すぎるとその画像だけ目立たな過ぎる多重合成画像となってしまう。このため、各画像の輝度値に影響する露出補正、シャッタースピード、絞り値のうち少なくとも一つの値と、ISO感度をユーザーが設定可能である撮影モードを、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードとしている。
【0099】
さらに、多重合成する複数の画像間の比較で色味調整ができるように、ホワイトバランスを調整できる撮影モードを、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードとしている。
【0100】
多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モード(第1の撮影モード)としての上述のような条件に合致するのが、マニュアルモード、シャッター速度優先モード、絞り優先モード、プログラムAEモード、バルブモードである。マニュアルモードではシャッター速度、絞り値、ISO感度、露出補正、ホワイトバランスをユーザーが決めた値に設定することができる。シャッター速度優先モードではシャッター速度、ISO感度、露出補正、ホワイトバランスをユーザーが決めた値に設定することができ、絞り値は、適正露出になるように、ユーザーが設定した撮影条件に合わせてマイクロコンピュータ123が自動的に設定する。絞り優先モードでは絞り値、ISO感度、露出補正、ホワイトバランスをユーザーが決めた値に設定することができ、シャッター速度は、適正露出になるように、ユーザーが設定した撮影条件に合わせてマイクロコンピュータ123が自動的に設定する。プログラムAEモードではISO感度、露出補正、ホワイトバランスをユーザーが決めた値に設定することができ、シャッター速度と絞り値は、適正露出になるように、ユーザーが設定した撮影条件に合わせてマイクロコンピュータ123が自動的に設定する。バルブモードでは絞り値、ISO感度、ホワイトバランスなどをユーザーが決めた値に設定することができる。
【0101】
一方で、多重露出撮影モード処理を継続しない撮影モード(第2の撮影モード)は、ユーザーが指定できる撮影条件が、上述の多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードより少ない撮影モードとしている。特に、各画像の輝度値に影響する露出補正、シャッタースピード、絞り値のうち少なくとも一つの値と、ISO感度と、ホワイトバランスを調整できない(自動的に設定される)撮影モードは、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードとはしていない。これらの撮影モードの例として、全自動モード、ストロボ発行禁止モード、クリエイティブ全自動モード、ポートレートモード、風景モード、クローズアップモード、スポーツモード、夜景ポートレートモード、動画モードがある。これらの撮影モードでは、撮影条件の多くが、マイクロコンピュータ123によって自動的に設定され、ユーザーが設定できる撮影条件の項目は少ない。多重露出撮影の途中でこれらの撮影モードに変更する場合に多重露出撮影モード処理を自動的に終了させるため、ユーザが多重露出撮影に適さない撮影モードで多重露出撮影を行ってしまうことを防止することができる。また、これらの撮影モードが多重露出撮影に適さないことを知っている上級の撮影者にとっては、多重露出撮影の途中でこれらの撮影モードに切り換えようとする操作は、多重露出撮影を継続する意思がないことを示す。従って本実施の形態のように多重露出撮影に適さない撮影モードに変更する操作に応じて自動的に多重露出撮影モード処理を終了することで、多重露出撮影モードを終了させるための操作をする手間を減らすことができる。
【0102】
また、多くの撮影条件が自動的に設定されるこれらの撮影モードは、初心者ユーザーが使用することが多い撮影モードである。多重露出撮影で得られる多重合成画像は、上述したように、現実を忠実に表す映像ではないため、多重露出撮影の仕組みを理解していない初心者は高品位ではない画像が撮影された、あるいは誤動作であると誤解してしまう恐れがある。これに対し、本実施の形態のように、初心者が使用することの多い撮影モードでは多重露出撮影をさせないようにすることで、ユーザーが多重露出撮影で得られた多重合成画像が高品位で無い画像であると誤解したり、誤動作を起こしたと誤解することを抑制できる。
【0103】
このように、多重露出撮影を継続できる撮影モードであるか否かを上述のように分けることで、より広い幅の表現を可能としながらも、効果的な多重露出撮影を行うことができる。
【0104】
<図6:多重露出撮影処理>
図6に、前述した図5のS502の多重露出撮影処理のフローチャートを示す。図6の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。図6で行われる撮影を、後述のスルー画像を取得するための撮像と区別するために、本撮影と称する。
【0105】
S601では、マイクロコンピュータ123は、撮像素子112、AD変換器115がパワーセーブモードになっている場合は電源を供給する制御を行う。さらに露光の制御を行い、露光が完了するとS602で撮像素子112に蓄積された画像信号の読み出し、AD変換器115でデジタル信号へと変換する制御を行う。
【0106】
S603では、マイクロコンピュータ123は、S602で読み出した画像信号から現像データを生成するように映像信号処理回路116に指示する。生成された現像データは、図4で説明したように、バッファメモリ122に格納される。
【0107】
S604では、マイクロコンピュータ123は、S603で生成した現像データを映像信号処理回路116に圧縮させ、S605で画像ファイルとして記録媒体120へ記録する。この画像ファイルは合成されたものではなく、単体の元画像である。続いてS606で、システムメモリ132に保持した書き込み済みファイル情報に、S605で記録した画像ファイルの格納場所を示す情報を記録する。画像ファイルの格納場所を示す情報の代わりに、あるいは加えて、画像ファイルを特定する情報(ファイル名など)を記録してもよい。また、システムメモリ132に保持している多重露出撮影完了枚数に1を加算する。
【0108】
S607では、マイクロコンピュータ123は、ベース画像が有に設定されているか否かを判定する。ベース画像が有りである場合はS608に進む。ベース画像が無しに設定されている場合はS611に進む。
【0109】
S608では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照し、多重露出撮影完了枚数が2以上であるか否かを判定する。2未満、すなわち今回の撮影分のみの1である場合はS609へ進む。2以上である場合はS610へ進む。
【0110】
S609では、マイクロコンピュータ123は、ベース画像を記録媒体120から読み出してベース画像の現像データを取得し、ベース画像の現像データを映像信号処理回路116を用いて高精度化し、高精度データをバッファメモリ122に格納する。この処理はすなわち、ベース画像を図4(b)における1枚目の撮影で得られた画像信号A、今回の撮影によってS602で取得した画像データを図4(b)における2枚目の撮影で得られた画像信号Bとみなした処理である。
【0111】
S610では、マイクロコンピュータ123は、前回の撮影で得られた現像データを映像信号処理回路116を用いて高精度化し、前回までに生成していた高精度データに加算した高精度データを生成して、バッファメモリ122に格納する。図4の例では、図4(c)の3枚目の撮影の際に、2枚目の撮影で得られた現像データBを高精度化し、2枚目の撮影の際に生成した高精度データAに加算して高精度データA+Bを生成し、バッファメモリ122に格納することに相当する。
【0112】
一方S611では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照して多重露出撮影完了枚数が2以上であるか否かを判定する。2以上であると判定するとS612に進み、2未満、すなわち今回の撮影分のみの1である場合はS618に進む。S611で多重露出撮影完了枚数が、今回の撮影分のみの1であると判定された場合のバッファメモリ122の状態は、図4(a)に示した状態である。
【0113】
S612では、マイクロコンピュータ123は、多重露出撮影完了枚数が2であるか否かを判定する。2でない、すなわち3以上である場合はS610へ進み、2である場合にはS613に進む。
【0114】
S613では、マイクロコンピュータ123は、前回の撮影で得られた現像データを映像信号処理回路116を用いて高精度化した高精度データを生成して、バッファメモリ122に格納する。図4の例では、図4(b)の2枚目の撮影の際に、1枚目の撮影で得られた現像データAを高精度化し、高精度データAとしてバッファメモリ122に格納することに相当する。
【0115】
S614では、マイクロコンピュータ123は、S609、S610、S613のいずれかで生成した高精度データと、S603で生成した今回の撮影分の現像データとを映像信号処理回路116を用いて多重合成する。この時の多重合成では、図3のメニュー画面で設定された自動露出調整機能の設定に応じて、前述の式(3)あるいは式(4)に基づいて多重合成する。なお、Yn−1はS609、S610、S613のいずれかで生成した高精度データの輝度となる。また、ynはS603で生成した今回の撮影分の現像データの輝度となる。多重合成して生成した画像を多重現像データとしてバッファメモリ122に格納する。
【0116】
S615では、マイクロコンピュータ123は、S614で生成した多重現像データを映像信号処理回路116を用いて縮小・圧縮し、表示用多重データとしてバッファメモリ122に格納する。
【0117】
S616では、クイックレビュー(QR)を行う設定となっているかを判定する。撮影直後にQRを行うか否かは、ユーザーの操作に応じて予め設定しておけるものとする。QRを行うと設定されていた場合はS617に進み、多重中QR・再生処理を行う。多重中QR・再生処理は前述した図5のS513と同様の処理である。S616でQRを行わないと設定されていると判定された場合、及びS617の処理を終えた場合は多重露出撮影処理を終了し、前述の図5のS503へ進む。
【0118】
一方S618では、クイックレビュー(QR)を行う設定となっているかを判定する。QRを行うと設定されていた場合はS619に進み、多重中1枚目QR・再生処理を行う。多重中1枚目QR・再生処理は前述した図5のS512と同様の処理である。S618でQRを行わないと設定されていると判定された場合、及びS619の処理を終えた場合は多重露出撮影処理を終了し、前述の図5のS503へ進む。
【0119】
<図8:多重露出撮影モード処理(LV)>
図8に、前述した図5のS530のライブビューでの多重露出撮影モード処理(LV)のフローチャートを示す。図8の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。
【0120】
S8001では、被写体光の光束を撮像素子112へと導くように主ミラー105を上方に跳ね上げるミラーアップを行う。またシャッタ駆動回路111を制御してシャッタ110をあける制御をおこなう。
【0121】
S8002では、バッファメモリ122に保持されている多重現像データを取得する。多重現像データは、1組の多重露出撮影で現時点までに得られた画像(ベース画像がある場合はベース画像を含む)を多重合成したものである。
【0122】
S8003では、S8007で取得した多重現像データに対し、多重合成のための前処理を施す。前処理としては例えば、前述した高精度化などがある。また、ライブビュー表示での多重表示は表示部材118か外部インターフェース121を介した外部モニタでの全画面表示(1倍)でしか行わないので、それに必要な画素数に多重現像データをリサイズする。これにより、過大な画素数を処理することによって処理負荷が過大にかかることを防止する。
【0123】
S8004では、撮像素子112、AD変換器115がパワーセーブモードになっている場合は電源を供給し、ライブビュー用に初期設定を行う。
【0124】
S8005では、多重ライブビュー表示処理を行う。多重ライブビュー表示処理については図9を用いて後述する。
【0125】
S8006では、SW1がONであるか否かを判定し、オンであればS8007へ進み、ONで無ければS8507に進む。
S8007では、フォーカス制御処理を行う。フォーカス制御処理については図12を用いて後述する。
【0126】
S8008では、システムメモリ132に保持している拡大モードフラグをOFFに初期化する。これによって、S8007での多重露出撮影処理の前に、拡大モードでライブビュー表示を行っていた場合にはスルー画像だけでの拡大表示をやめ、後述する多重ライブビュー表示に切り替わる。
【0127】
S8503〜S8523は、前述した図5のS503〜S521と同様の処理なので説明を省略する。
【0128】
S8009では、ライブビュー表示を終了する指示があったか否かを判定する。具体的には、ライブビューボタン27が押下されたか否かの判定である。ライブビューボタン27が押下された(ライブビュー表示を終了する指示があった)と判定した場合は、S8010に進み、主ミラー105を、光束をファインダ部へと導くよう反射させる通常時の位置に戻し(ミラーダウン)、図5のS500に進む。ライブビューボタン27が押下されていない場合はS8011に進む。
【0129】
S8011では、マニュアルフォーカス(MF)操作が行われたか否かを判定する。MF操作とは例えば、撮影レンズ101の鏡筒回りに設けられたフォーカスリングを回す操作であり、これによってフォーカスレンズが駆動される(フォーカス調整処理)。なお、マニュアルフォーカスを行う操作であればフォーカスリングの操作に限らず、他の操作でもよい。MF操作が行われたと判定するとS8012に進み、MF操作が行われていないと判定するとS8005に進み処理を繰り返す。
【0130】
S8012では、前述した図8のS8003で前処理した多重現像データとの合成を行うことなく、スルー画像だけを表示部材118または外部モニタに表示するライブビュー表示を行う。ただし、各種情報表示やアイコン表示は重畳して表示する場合がある。なお、スルー画像と撮影済みの多重現像画像との合成比率を100:0として多重合成した画像を表示するものとしてもよく、実質的に同義である。このときの表示例を、図11(b)に示す。なお、S8012の前に撮影済みの多重現像データとスルー画像とを多重したライブビュー表示を行っていた場合は、多重現像データの合成比率をだんだんと下げていき、滑らかにスルー画像だけの表示に移行するようにしてもよい。このように多重表示をやめてスルー画像のみの表示とすることで、マニュアルフォーカスをする際にスルー画像が合焦しているか否かを判断しやすくなり、MFが行いやすくなる。
【0131】
S8013では、MF操作が終了してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、ユーザーによるMF操作と、それに伴うスルー画像の確認が終了したと想定できる程度の時間であればよく、数秒程度が好ましい。所定時間が経過していないと判定するとMF操作が終了して所定時間が経過するのを待ち、所定時間が経過したと判定するとS8014へ進む。
【0132】
S8014では、ライブビューでの合成比率をS8012の前の状態に戻す。これによって、拡大モードでなければ、S8005の多重ライブビュー表示処理において、図9で後述するとおり、S8003で前処理した多重現像データとスルー画像との多重合成画像でのライブビュー表示が行われる。S8014の処理を終えるとS8005に進み処理を繰り返す。
【0133】
<図9:多重ライブビュー表示処理>
図9に、前述した図8のS8005の多重ライブビュー表示処理のフローチャートを示す。図9の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。また図11(a)に多重現像データの例を示す。この画像は、現在までに撮影された画像を多重合成した画像であり、S8002で取得した多重現像データである。図11(b)に、スルー画像のみの表示例を示す。多重ライブビュー表示処理では、図11(a)に示した多重現像データと、図11(b)に示したスルー画像を、シミュレーションライブビューであるか否かに応じて異なる合成比率で多重合成した画像をライブビュー表示として表示する。
【0134】
S901では、拡大ボタン23が押下されたか否かを判定する。拡大ボタン23が押下されたと判定するとS902に進み、押下されていない場合はS903に進む。S902では、拡大ボタン23の押下に応じてモードを変更する。すなわち、S901で拡大ボタン23が押下されたときに、システムメモリ132に保持された拡大モードフラグを参照し、拡大モードオフ(拡大しない)であれば、拡大モード(5倍拡大)に変更する。拡大モード(5倍拡大)であれば拡大モード(10倍拡大)に変更する。拡大モード(10倍拡大)であれば拡大モードオフに変更する。拡大モード(5倍拡大)に変更した場合は、ライブビュー表示における多重表示をやめ、スルー画像だけを全画面表示(スルー画像全体が表示領域全体に収まる最大のサイズでの表示)の5倍に拡大して表示する。拡大モード(10倍拡大)に変更した場合は、スルー画像だけを全画面表示の10倍に拡大して表示する。拡大モードオフ(拡大しない)に変更した場合は、スルー画像と撮影済みの画像(前述のS8003で前処理を施した多重現像データ)との多重表示を再開する。変更した結果の拡大モードの情報を拡大モードフラグとしてシステムメモリ132に記録する、
S903では、システムメモリ132に保持された拡大モードフラグを参照し、現在拡大モードである否かを判定する。拡大モード(5倍拡大)または拡大モード(10倍拡大)である場合は拡大モードであると判定し、S920に進む。拡大モードオフ(拡大しない)である場合は拡大モードではないと判定し、S904に進む。
【0135】
S904では、現在の表示種別がスルー画像だけでのライブビューであるか否かを判定する。ライブビュー中の表示種別として、情報表示ボタン16の押下に応じて、多重表示を行うか、多重表示を行わずにスルー画像だけでのライブビュー表示とするかを切り換えることができる(S927,S927で後述する)。スルー画像だけでのライブビューであると判定した場合はS920に進み、そうでない場合はS905に進む。
【0136】
S905では、絞り込みボタン15が押下されているか否かを判定する。絞り込みボタン15が押下されている(押下中)であると判定するとS912に進み、絞り込みボタン15が押下されていない(すなわち離されている)と判定した場合はS906に進む。
【0137】
S906では、撮像素子112、絞り駆動回路104を制御し、スルー画像取得用の通常露光を行い、スルー画像を取得する。スルー画像取得用の通常露光では、SW2での本撮影用に設定された絞り値に関わらず、ライブビュー表示でのピントの確認をしやすくするために、絞り103を開放(絞り値を最小)にして被写界深度を浅くする。そして、見やすい明るさにするために撮像素子112での電荷蓄積時間と感度(ISO感度)を調整した露光を行う。
【0138】
S907では、S906の露光で取得したスルー画像に現像処理を施す。
【0139】
S908では、S907で現像したスルー画像と、前述した図8のS8003で前処理した多重現像データとを、多重ライブビュー用合成比率で多重合成する。多重ライブビュー用合成比率は、前述した式(5)で示した合成比率である。すなわち、スルー画像の合成比率をM(Mは0.5以上)、多重現像データの合成比率を1−Mとした合成比率である。これにより、スルー画像を撮影済みの画像と多重合成する多重ライブビュー表示において、撮影済みの画像(多重現像データ)よりも、これから撮影するスルー画像を視認しやすくする。
【0140】
多重ライブビュー用合成比率の例を図10(a)に示す。例えば自動露出調整モードでの多重ライブビュー用合成比率では、スルー画像の合成比率を60%(M=0.6)に固定し、撮影済みの画像である多重現像データの合成比率を40%(1−M=0.4)とする。1組の多重露出撮影において2枚以上の撮影をすでに行っていた場合は(あるいはベース画像が設定されていて1枚以上の撮影を既に行っていた場合は)、多重現像データは既に何枚かの画像が均等に合成された状態である。そのため、多重ライブビュー用合成比率における撮影済みの画像の1枚あたりの合成比率は、多重現像データの合成比率である40%を均等に配分した比率となる。これによって、多重ライブビュー表示においては、撮影済みの画像は薄く、スルー画像は相対的にはっきりと表示されることになる。従って撮影者は、撮影済みの画像にこれから撮影する画像をどう合わせるかの構図調整が行いやすくなる。なおかつ、これから撮影する画像のピント調整やシャッタータイミングの調整が行いやすくなる。
【0141】
S909では、S908で合成したスルー画像と撮影済みの画像(多重現像データ)との多重合成画像を、出力先(表示部材118または外部モニタ)に合わせてリサイズする。例えば、出力先がカメラ本体の表示部材118である場合は横幅720画素、縦480画素にリサイズする。出力先が外部モニタでハイビジョンモニタである場合は横幅1620画素、縦1080画素にリサイズする。また、上下をトリミングした後にリサイズして横幅1920画素、縦1080画素にしてもよい。
【0142】
S910では、S909でリサイズした多重合成画像を表示部材118または外部モニタに表示する(多重ライブビュー表示)。多重ライブビュー表示の表示例を図11(c)に示す。図11(c)では、前述のS908での合成処理によって、撮影済みの画像は薄く、スルー画像は相対的にはっきりと表示されており、ユーザーがスルー画像を特に視認しやすいようになっている。
【0143】
S911では、S906で取得したスルー画像に基づいて、次フレームでのスルー画像の取得(撮像)に用いる露光量を算出し、絞り値は開放として、撮像素子112での電荷蓄積時間と感度を設定する。
【0144】
一方、S905で絞り込みボタン15が押下中であると判定した場合は、本撮影によって実際に生成される多重合成画像のシミュレーション表示を行うべく、S912に進む。
【0145】
S912では、SW2での本撮影用に設定された撮影条件としての絞り値(ユーザが設定した絞り値あるいは、プログラム線図に基づき自動的に算出された絞り値)で絞り103を駆動する。絞りを本撮影用に設定された絞り値に駆動することで、スルー画像の被写界深度を本撮影で撮影される画像の被写界と同じにすることができ、ボケ味の具合などを確認することができる。
【0146】
S913では、本撮影用に設定された現在の撮影条件での本撮影で得られる画像の明るさに近い明るさになるように、本撮影用に設定された絞り値を固定して、電荷蓄積時間及び感度を調整する(シミュレーション調整)。まず、電荷蓄積時間を、スルー画像取得用の電荷蓄積時間での範囲内で、撮影条件として設定されているシャッター速度に近くなるように設定する。そして電荷蓄積時間の設定だけでは調整できない分を、感度の調整で補う。例えば、スルー画像を1/30秒毎に更新する場合には、スルー画像取得用の電荷蓄積は1/30秒より長くは出来ない。そのため、撮影条件としてのシャッター速度の設定が1/30秒より長かった場合には、スルー画像取得用の電荷蓄積時間は設定可能な最長の時間とし、足りない分を感度の増幅で補う。
【0147】
S914では、S912、S913で設定した絞り値、電荷蓄積時間、感度での露光を行ってスルー画像を取得する(シミュレーション露光)。
【0148】
S915では、S914の露光で取得したスルー画像に現像処理を施す。
【0149】
S916では、S915で現像したスルー画像と、前述した図8のS8003で前処理した多重現像データとを、シミュレーションライブビュー用合成比率で多重合成する。シミュレーションライブビュー用合成比率は、前述した式(6)または(7)で示した合成比率である。シミュレーションライブビュー表示を見ることにより、現在の撮影条件で本撮影を行うとどのような多重合成画像が生成されるのかを本撮影の前に確認することが可能となる。
【0150】
シミュレーションライブビュー用合成比率の例を図10(b)に示す。自動露出調整モードでの多重ライブビュー用合成比率では、スルー画像と撮影済みの各画像の合成比率が均等となるように合成比率が決定される。すなわちスルー画像の合成比率は、撮影済みの画像の枚数に応じて変動する。例えば、ベース画像無しに設定されていて、1組の多重露出撮影において現在までに撮影が実行された枚数が3枚である場合、スルー画像の合成比率は1/4(25%)、多重現像画像の合成比率は3/4(75%。各画像は25%ずつ)となる。これによって、撮影者は現在の撮影条件で本撮影を行うとどの様な合成バランス、明るさ、濃度、被写界深度の多重合成画像が生成されるのかを確認することができ、撮影条件を適切に調整することができる。
【0151】
S917では、S916で合成したスルー画像と撮影済みの画像(多重現像データ)との多重合成画像を、出力先(表示部材118または外部モニタ)に合わせてリサイズする。
【0152】
S918では、S917でリサイズした多重合成画像を表示部材118または外部モニタに表示する(シミュレーションライブビュー表示)。シミュレーションライブビューの表示例を図11(d)に示す。図11(d)は、撮影条件と自動露出調整機能の設定状態を反映した画像であるため、必ずしもスルー画像の視認性が高いわけではないが、本撮影を行って生成される多重合成画像がどのようになるのかを確認することができる。また、図11(d)は撮影条件が反映された表示であるため、ダイアログ1101を表示し、現在設定されている撮影条件をユーザーに通知する。図11(d)のダイアログ1101には、左から順にシャッター速度(Tv値)、絞り値(Av値)、露出補正、残り撮影可能枚数、ISO感度、電池残量が表示されている。ユーザーはこのダイアログ1101とシミュレーションライブビューの表示を見ることで、撮影条件の効き具合を確認しながら撮影条件を変更することができる。
【0153】
S919では、S914で取得したスルー画像に基づいて、次フレームでのスルー画像の取得(撮像)に用いる露光量を算出し、絞り値は撮影条件として設定された絞り値とし、撮像素子112での電荷蓄積時間と感度を設定する。
【0154】
一方、拡大モード中またはスルー画像だけでのライブビューモードの場合に行うS920,S921,S922の処理は、それぞれS906、S907、S909の処理と同様なので説明を省略する。
【0155】
S923では、多重合成することなく、S922でリサイズされたスルー画像だけを表示部材118または外部モニタに表示する。ただし、各種情報表示やアイコン表示は重畳して表示する場合がある。
【0156】
このときの表示例を図11(b)に示す。S924の処理は、S911と処理と同様なので説明を省略する。
【0157】
このように、拡大モード中またはスルー画像だけでのライブビューモードの場合は、ライブビューにおいては多重合成を行わず、スルー画像だけが表示される。なお、スルー画像と撮影済みの多重現像画像との合成比率を100:0としてS906〜S911の処理を行うものとしてもよく、実質的に同義である。
【0158】
S925では、撮影条件を変更する操作が行われたか否かを判定する。撮影条件を変更する操作が行われた場合はS926で操作に応じて撮影条件を変更する(撮影条件設定)。ユーザー操作に応じて変更可能な撮影条件には、少なくともシャッター速度(Tv値)、絞り値(Av値)、露出補正、ISO感度、ホワイトバランスなどがある。なお、これらのうちユーザー操作に応じて変更可能な撮影条件は、前述の通り撮影モードダイヤル14で設定されている撮影モードに応じて異なる。
【0159】
S927では、情報表示ボタン16の押下による表示種別変更操作があったか否かを判定する。情報表示ボタン16が押下されたと判定するとS928で表示種別を変更する。現在の表示種別が、多重表示を行うライブビューモードであれば、スルー画像だけでのライブビューモードに変更し、現在の表示種別がスルー画像だけでのライブビューモードであれば多重表示を行うライブビューモードに変更する。スルー画像だけでのライブビューモードでの表示例を図11(b)に示す。図11(b)はスルー画像だけを表示したものであり、これを見ることで、フォーカス(ピント)の確認をしたり、シャッタータイミングを計るなどの、スルー画像に特化した操作が行いやすくなる。なお、多重表示を行うライブビューモードとスルー画像だけでのライブビューモードの切り替えの際、一瞬で切り換えるのではなく、徐々に合成比率を変えて滑らかに表示が変化するようにしても良い。
S927で表示種別変更操作が無いと判定するか、S928の処理を終えると、多重ライブビュー表示処理を終了し、図8のS8006に進む。
【0160】
<図12:フォーカス制御処理>
図12に、前述した図8のS8007のフォーカス制御処理のフローチャートを示す。図12の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。
【0161】
S1201では、前述した図8のS8003で前処理した多重現像データとの合成を行うことなく、スルー画像だけを表示部材118または外部モニタに表示するライブビュー表示を行う。ただし、各種情報表示やアイコン表示は重畳して表示する場合がある。なお、スルー画像と撮影済みの多重現像画像との合成比率を100:0として多重合成した画像を表示するものとしてもよく、実質的に同義である。このときの表示例を、図11(b)に示す。なお、S1201の前に撮影済みの多重現像データとスルー画像とを多重したライブビュー表示を行っていた場合は、多重現像データの合成比率をだんだんと下げていき、滑らかにスルー画像だけの表示に移行するようにしてもよい。
【0162】
S1202では、撮影準備処理を開始する。撮影準備処理には、少なくともオートフォーカス処理(フォーカス調整処理)と、測光処理(あるいはAE処理)が含まれる。
【0163】
S1203では、オートフォーカス(AF)の動作が終了したか否かを判定する。終了していないと判定するとS1204に進み、終了したと判定するとS1205に進む。
【0164】
S1204では、SW1がOFFとなったか、すなわちレリーズボタン10の半押しが解除されたか否かを判定する。SW1がOFFとなっていなければS1203に戻り、引き続き撮影準備処理を行う。SW1がOFFとなった場合はS1209に進む。
【0165】
S1205では、ライブビューの合成比率をS1201の前の状態に戻す。これによって、拡大モードでなければ、S8005の多重ライブビュー表示処理において、S8003で前処理した多重現像データとスルー画像との多重合成画像でのライブビュー表示が行われる。すなわち、拡大モードでなければ、図9で前述した多重ライブビュー表示あるいはシミュレーションライブビュー表示を行う。
【0166】
S1206では、SW2がオンとなったか否かを判定する。SW2がオンとなっていなければS1207に進み、SW2がオンとなっていればS1208に進む。
【0167】
S1207では、SW1がOFFとなったか、すなわちレリーズボタン10の半押しが解除されたか否かを判定する。SW1がOFFとなっていなければS1206に戻り、SW1がOFFとなった場合はS1209に進む。
【0168】
S1208では、多重露出撮影処理を行い。多重露出撮影処理は、前述した図6の処理であるので説明を省略する。S1208の処理を終えるとフォーカス制御処理を終了し、図8のS8008に進む。
【0169】
一方、S1209では、本撮影を行う前にSW1がオフとなったので、ライブビューの合成比率をS1201の前の状態に戻し、図8のS8507に進む。
【0170】
図12の処理によれば、SW1を押下してAF動作が始まると多重したライブビュー表示をやめてスルー画像だけの表示とし、AF動作が終了すると再び多重したライブビュー表示に戻す。これによって、AF動作中は、ユーザーはAFによるピントの合い具合をスルー画像の目視により確認しやすくなる。また、AFが完了してフォーカスが定まったあとは、多重したライブビュー表示が行われるので、ユーザーはSW2での本撮影に備えて構図を最終調整することが可能となる。なお、AFの完了後にユーザーがより確実にAF結果を確認できるように、AF完了から所定時間はスルー画像だけでのライブビュー表示とし、AF完了後から所定時間経過後に多重したライブビュー表示に戻すようにしてもよい。この場合は、S1205の直前で、S1203でAF動作完了と判定されてから所定時間(数秒程度)が経過したか否かの判定ステップを設け、所定時間が経過したと判定するとS1205に進むようにすればよい。
【0171】
以上説明したように、本発明によれば、ライブビュー表示でスルー画像と撮影済みの画像を多重合成して表示する場合、スルー画像の合成比率が、合成される撮影済みの画像の合成比率よりも高くなるようにする。こうすることで、スルー画像を相対的にはっきり表示し、スルー画像の視認性を高めることができる。さらに、スルー画像の合成比率を、合成する撮影済みの画像の枚数に関わらず一定としておくことで、よりスルー画像の視認性を高めることができる。一方で、ユーザーの指示に応じて、スルー画像と、合成される撮影済みの画像との合成比率を変え、本撮影を行って生成される記録媒体120に記録するための多重合成画像がどのようになるのかを模擬的に事前確認することができる。このように、多重露出撮影において、ユーザーの意図に応じたより好適な合成比率でスルー画像を多重合成したライブビュー表示をすることが可能となる。
【0172】
また、AFまたはMFによるフォーカス調整中は多重ライブビュー表示をやめてスルー画像だけの表示とすることで、調整されたフォーカス(ピント)の合い具合を確認しやすくなる。かつ、フォーカス調整が完了すると多重ライブビュー表示に戻るため、撮影指示(SW2)の直前にこれから撮影する画像が撮影済みの画像にどのように多重合成されるかの構図の確認と調整を行ったうえで撮影が行える。
【0173】
なお、上述した実施の形態では、現像データを用いて多重合成を行う例を説明したが、現像する前のRAW画像データを用いて多重合成を行ってもよい。
【0174】
また、上述の実施の形態では、多重ライブビュー用の合成比率(第1の合成比率)と、シミュレーションライブビュー用の合成比率(第2の合成比率)とを絞り込みボタン15が押下されているか否かに応じて切り換えるものとした。しかし、ユーザーの目的に応じて更に異なる合成比率に切り換えることができるようにしてもよい。例えば、夜景撮影モードなど、スルー画像が非常に暗くなる撮影モードである場合や、取得されたスルー画像が暗いことが検出された場合などはスルー画像の合成比率をさらに高くすると言った方法が挙げられる。さらに、上述の実施の形態では、絞り込みボタン15が押されている間はシミュレーションライブビュー表示を行うものとしたが、ユーザーの操作に応じてシミュレーションライブビュー表示と多重ライブビューを切り換えられればこれに限定されるものではない。
【0175】
また、マイクロコンピュータ123の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0176】
さらに、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。また、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0177】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、撮像手段を有する撮像装置であれば適用可能である。すなわち、本発明はデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付のパーソナルコンピュータやPDA、カメラ付携帯電話端末やカメラ付の音楽プレーヤー、カメラ付ゲーム機、カメラ付電子ブックリーダーなどに適用可能である。
【0178】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に複数の撮影画像を多重合成可能な撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のデジタル画像信号を加算処理することにより、多重露出撮影を行う技術がある。特許文献1には、多重露出撮影を行う多重撮影モードを備えた撮像装置において、多重撮影モードの途中で、画像処理に関する設定の変更を禁止することが開示されている。
【0003】
また、撮影者の目的や撮影する場面に応じた様々な撮影モードを有する撮像装置が提案されている。特許文献1記載の撮像装置では、ポートレート撮影モード、風景撮影モード、接写撮影モード、スポーツ撮影モード、夜景撮影モードを備え、これら各モードの切換設定が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−218313号公報
【特許文献2】特開2000−184269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、多重露出撮影の途中で撮影条件を変更して撮影した画像を多重合成することができず、多重露出撮影での表現の幅が狭くなってしまう。一方、多重露出撮影の途中で多様な撮影条件での撮影を行えるように、多重露出撮影の途中で特許文献2のような複数の撮影モードのうちどの撮影モードにも変更できるようにすると、多重露出撮影モードが適さない撮影モードにも遷移してしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、多重露出撮影での表現の幅を広く提供しながら、効果的な多重露出撮影を行えるようにした撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、
撮影モードを、複数の撮影モードのうちいずれかの撮影モードに変更する指示を受け付ける受付手段と、
多重合成の対象となる複数の画像を撮像するための多重露出撮影モードに設定する設定手段と、
前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付手段により前記複数の撮影モードのうち第1の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを維持して該第1の撮影モードに変更するように制御し、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付手段により前記複数の撮影モードのうち第2の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを解除して、該第2の撮影モードに変更するように制御する制御手段と、
前記多重露出撮影モードに設定されている間に撮像された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成する生成手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多重露出撮影において、複数の撮影モードを用いたより広い幅の表現が可能で、かつ効果的な多重露出撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】デジタルカメラ100の構成ブロック図である。
【図2】デジタルカメラ100の外観図である。
【図3】多重露出撮影に関する事前設定のメニュー画面の表示例である。
【図4】多重露出撮影の際にバッファメモリ122に格納される画像データを説明する図である。
【図5】多重露出撮影モード処理のフローチャートである。
【図6】多重露出撮影処理のフローチャートである。
【図7】多重露出撮影におけるクイックレビュー・再生処理の表示例である。
【図8】多重露出撮影モード処理(LV)のフローチャートである。
【図9】多重ライブビュー表示処理のフローチャートである。
【図10】(a)自動露出調整モードにおける多重ライブビュー用合成比率の例である。(b)自動露出調整モードにおけるシミュレーションライブビュー用の合成比率の例である。
【図11】多重ライブビュー表示処理での表示例である。
【図12】フォーカス制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
<図1:構成ブロック図>
図1に、本発明を適用可能な撮像装置の一実施の形態としてのデジタルカメラ100の構成を示すブロック図を示す。
図1において、撮影レンズ101は、ズームレンズやフォーカスレンズなどからなる脱着可能な交換レンズである。
【0012】
AF(オートフォーカス)駆動回路102は、例えばDCモータやステッピングモータを含み、マイクロコンピュータ123の制御によって撮影レンズ101に含まれるフォーカスレンズの位置を変化させることによりピントを合わせる。
【0013】
絞り駆動回路104は、撮像素子112に到達する光量を調整する絞り103を駆動する。駆動されるべき量はマイクロコンピュータ123によって算出され、光学的な絞り値を変化させる。
【0014】
主ミラー105は撮影レンズ101から入射した光束をファインダ側と撮像素子112側とに切替えるためのミラーである。主ミラー105は通常時はファインダ部へと光束を導くよう反射させるように配されているが、撮影が行われる場合やライブビュー表示の場合には、撮像素子112へと光束を導くように上方に跳ね上がり光束中から待避する(ミラーアップ)。また主ミラー105はその中央部が光の一部を透過できるようにハーフミラーとなっており、光束の一部を、焦点検出を行うためのセンサに入射するように透過させる。
【0015】
サブミラー106は主ミラー105から透過してきた光束を反射させ焦点検出を行うためのセンサ(焦点検出回路109内に配置されている)に導くためのミラーである。
【0016】
ミラー駆動回路107は、マイクロコンピュータ123の制御によって主ミラー105を駆動する。
【0017】
ペンタプリズム108はファインダを構成する。ファインダは他にピント板、アイピースレンズ(不図示)などによって構成される。
【0018】
焦点検出回路109は焦点検出を行うためのブロックである。主ミラー105の中央部を透過し、サブミラー106で反射された光束は、焦点検出回路109の内部に配置された光電変換を行うためのセンサに至る。フォーカス演算に用いるデフォーカス量は、センサの出力を演算することによって求められる。マイクロコンピュータ123は演算結果を評価してAF駆動回路102に指示し、フォーカスレンズを駆動させる。
【0019】
シャッタ駆動回路111は、フォーカルプレーンシャッタ110を駆動する。シャッタの開口時間はマイクロコンピュータ123によって、制御される。
【0020】
撮像素子112には、CCDやCMOSセンサなどが用いられ、撮影レンズ101によって結像された被写体像を電気信号に変換する。
【0021】
AD変換器115は撮像素子112から出力されたアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0022】
映像信号処理回路116は、ゲートアレイなどのロジックデバイスにより実現され、各種映像信号処理を行う。
【0023】
表示駆動回路117は表示部材118に表示を行わせる駆動回路である。
表示部材118は、TFT液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのディスプレイであり、本実施の形態ではデジタルカメラ100の背面モニタである。
【0024】
メモリコントローラ119は、映像信号処理回路116から入力された未処理のデジタル画像データをバッファメモリ122に格納し、処理済みのデジタル画像データを記録媒体120に格納する。また、逆にバッファメモリ122や記録媒体120から画像データを映像信号処理回路116に出力する。さらに、メモリコントローラ119は、コンピュータ等と接続可能な外部インターフェース121を介して記録媒体120に記憶されている画像を出力可能である。
【0025】
記録媒体120はメモリーカードなどの着脱可能な記録媒体である。なお、デジタルカメラの内臓記録媒体としてもよいし、複数の記録媒体があってもよい。
【0026】
外部インターフェースは121は、有線、あるいは無線通信によりコンピュータ等の外部機器と接続するためのインターフェイスである。
【0027】
バッファメモリ122は、画像データを一時的に保持するためのメモリであり、多重露出撮影の途中で使用する各種画像もここに格納される。
【0028】
映像信号処理回路116は、デジタル化された画像信号に、フィルター処理、色変換処理、ガンマ処理を行い、現像データを作成すると共に、JPEGなどの圧縮処理を行い、メモリコントローラ119に出力する。
【0029】
映像信号処理回路116は、バッファメモリ122上の2つ以上の現像データの加算や、現像データから階調を高ビット化した高精度データの生成や、またその両方の処理を同時に実施し、結果をバッファメモリ122に書き戻すことが可能である。さらに、映像信号処理回路116は、撮像素子112からの映像信号や、メモリコントローラ119から逆に入力される画像信号を、表示駆動回路117を通して表示部材118に出力することも可能である。これらの機能切り替えはマイクロコンピュータ123の指示により行われる。映像信号処理回路116は、必要に応じて撮像素子112の信号の露出情報やホワイトバランスなどの情報をマイクロコンピュータ123に出力することが可能である。それらの情報を基にマイクロコンピュータ123はホワイトバランスやゲイン調整の指示を行う。連続撮影(連写)動作の場合においては、一旦、未処理画像のままバッファメモリ122に撮影データを格納し、メモリコントローラ119を通して未処理の画像データを読み出し、映像信号処理回路116にて画像処理や圧縮処理を行い、連続撮影を行う。連続撮影枚数は、バッファメモリ122の容量に左右される。
【0030】
マイクロコンピュータ123はデジタルカメラ100の全体を制御する主制御部であり、システムメモリ132をワークメモリとして、不揮発性メモリ130に記録された各種プログラムを実行する。
【0031】
操作検出部124は、操作部材が操作されたことを検出し、操作部材が操作されるとマイクロコンピュータ123にその状態を伝える。マイクロコンピュータ123はその操作部材の変化に応じて各部をコントロールする。なお、操作検出部124は記録媒体120を格納するスロットの蓋28(以下、カード蓋28)、電池蓋29の開閉状態も検知できるものとする。
【0032】
スイッチ1(125)(以後SW1)は、操作部材の一つであるレリーズボタン10の半押し操作によってオンとなるスイッチであり、オンとなるとマイクロコンピュータ123は、オートフォーカス(AF)動作や測光動作などの撮影準備処理を行う。
【0033】
スイッチ2(126)(以後SW2)は、操作部材の一つであるレリーズボタン10の全押し操作によってオンとなるスイッチである。SW2がオンとなるとマイクロコンピュータ123は、撮像を行い、撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体120に記録する本撮影処理を行う。
【0034】
またSW1、SW2がオンし続けている間は、連続撮影動作が行われる。
液晶駆動回路127は、マイクロコンピュータ123の表示内容命令に従って、文字、画像を用いて動作状態やメッセージ等を表示する外部液晶表示部材128やファインダ内液晶表示部材129を駆動する。また、ファインダ内液晶表示部材129には、不図示のLEDなどのバックライトが配置されており、そのLEDも液晶駆動回路127で駆動される。
【0035】
マイクロコンピュータ123は撮影前に設定されているISO感度、画像サイズ、画質に応じた、画像サイズの予測値データをもとに、メモリコントローラ119を通して、記録媒体120の残容量を確認した上で撮影可能残数を演算することができる。撮影可能残数は必要に応じて表示部材118、外部液晶表示部材128、ファインダ内液晶表示部材129にも表示することができる。
【0036】
不揮発性メモリ130はEEPROMやフラッシュメモリなどよりなり、カメラに電源が入れられていない状態でも、データを保存することができる。電源部131は、各ブロックや駆動系に必要な電源を供給する。
【0037】
<図2:外観図>
図2に、デジタルカメラ100の外観図を示す。図2(a)はデジタルカメラ100の正面斜視図であり、図2(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。なお、正面斜視図においては、交換レンズである撮影レンズ101を取り外した状態を図示している。
【0038】
図2(a)に図示したとおり、デジタルカメラ100は操作部材としてのレリーズボタン10、メイン電子ダイヤル11、ISO設定ボタン12、露出補正ボタン13、撮影モードダイヤル14、絞り込みボタン15を備える。絞り込みボタン15は絞り104を設定された絞り(F値)に絞り込ませるためのボタンであり、撮影モードにおけるライブビュー表示中に押下することにより、設定された絞りでの撮像画像の明るさを確認することができる。
【0039】
ライブビュー表示とは、主ミラー105を退避させた状態で、撮像素子112で撮像している画像(スルー画像)を略リアルタイムで連続的に表示部材118に表示させることで電子ビューファインダーとして機能させる表示である。ライブビュー表示では、撮像素子112に結像された画像を、AD変換器115でデジタル信号へと変換し、映像信号処理回路116で現像を行ってスルー画像を生成する。そして、スルー画像、あるいはスルー画像と撮影済みの画像を合成した多重合成画像を表示部材118に表示させる。表示された画像は逐次更新され、動画として視認される。例えばこの処理を1秒間に30回繰り返すことで30fpsのライブビュー表示が可能となる。
【0040】
メイン電子ダイヤル11は回転操作部材であり、撮影条件などの各種設定値を増減する際や、各種項目を選択する際に選択している項目を変更する操作、再生モードにおいて画像を組単位で切り替える操作等に用いられる。
【0041】
図2(b)に図示したとおり、デジタルカメラ100は操作部材としての情報表示ボタン16、メニューボタン17、再生ボタン18、消去ボタン19、メインSw20、セットボタン21を備える。また、サブ電子ダイヤル22、拡大ボタン23、縮小ボタン24、マルチコントローラー25を備える。メインSw20はデジタルカメラ100の電源のONとOFFを切り替えるための操作部材である。サブ電子ダイヤル22は回転操作部材であり、各種項目を選択する際に選択している項目を変更する操作、再生モードにおいて表示している画像を切り替える画像送り操作などに用いられる。ファインダ接眼部26は、ユーザーがファインダを覗き込んで光学像を見る際の接眼部である。ライブビューボタン27は、ライブビュー表示を開始する指示を受け付けるボタンであり、押下することでライブビュー表示のONとOFFを切り換えられる。カード蓋28は記録媒体120を格納する格納部の蓋であり、電池蓋29は電源部131としての電池を格納する格納部の蓋である。
【0042】
<多重露出撮影>
デジタルカメラ100では、複数のデジタル画像信号を加算処理することにより、多重露出撮影を行ことができる。多重露出撮影は、図3で後述するメニュー画面より、多重露出撮影「する」が選択されて多重露出撮影モードに設定されると開始される。多重露出撮影モードに設定してから撮影した複数の画像を加算処理(以下、多重、あるいは多重合成とも称する)して多重合成画像を生成して、画像ファイルとして記録媒体120に記録する。記録媒体120に記録する多重合成画像を生成する際の加算処理の方式として、「加算モード」と「自動露出調整モード」の2つの方式のうち任意の方式が利用できる。
【0043】
加算モードでは、式(1)のように、加算する複数の画像のそれぞれの輝度を単純に加算した合成比率で加算処理を行う。式(1)のように加算した結果、記録できる最大の輝度を超える場合も、記録できる最大の輝度を上限とする(飽和した状態)。自動露出調整モードでは、式(2)のような、多重合成画像の輝度が、加算される各々の画像の輝度の平均となる合成比率で加算処理を行う。
Yn=y1+y2+・・・+yn−1+yn …(1)
Yn=(y1+y2+・・・+yn−1+yn)/n …(2)
Yn :n枚の画像を多重合成して生成される多重合成画像の輝度
y1 :1枚目の画像の輝度
y2 :2枚目の画像の輝度
yn−1 :n−1枚目の画像の輝度
yn :n枚目の画像の輝度
n :加算する画像の枚数
【0044】
式(1)と式(2)をそれぞれ変換して、同義である式(3)、式(4)に基づき、1枚前までで既に多重合成した画像を用いて多重合成を行っても良い。すなわち、自動露出調整機能の設定が「しない」(加算モード)である場合は、前述の式(1)の合成比率となるように、以下の式(3)のように加算処理を行い多重合成する。自動露出調整機能の設定が「する」(自動露出調整モード)である場合は、前述の式(2)の合成比率となるように以下の式(4)のように加算処理を行い多重合成する。
Yn=Yn−1+yn …(3)
Yn={Yn−1×(n−1)/n}+{yn×1/n} …(4)
Yn :n枚の画像を多重合成して生成される多重合成画像の輝度
Yn−1 :n−1枚の画像を多重合成して生成される多重合成画像の輝度
yn :n枚目の画像の輝度
n :加算する画像の枚数
【0045】
多重露出撮影モードでライブビュー表示を開始すると、ベース画像と(ベース画像の設定が有の場合)、多重露出撮影モードにしてから既に撮影した撮影済画像と、スルー画像とを多重合成した画像を表示する。なお、ベース画像とは、これから行う多重露出撮影で撮影される画像に合成する画像として、多重露出撮影モードに設定する前に記録媒体120に記録されていた画像から選ばれた画像のことである。これにより、ユーザーは、次に撮影する画像がどのような構図で多重合成されるかを確認しながら撮影することができる。ただし、ライブビュー表示において、前述した式(1)や式(2)のような、記録媒体120に記録する多重合成画像を生成する場合と同じ合成比率で加算処理を行ってしまうと、ユーザーにとってスルー画像が見えにくくなる場合がある(はっきり見えなくなる場合がある)。そうすると、ユーザーはスルー画像を見て次に撮影する画像をどのような構図で撮影するかの構図調整をやり難くなる。例えば、加算モードでは、明るい部分の輝度が加算されると、輝度が飽和してしまう(最大輝度になる)場合があり、構図確認あるいはフォーカスの確認がしにくい場合がある。自動露出調整モードでは、撮影枚数分の輝度が平均されてしまうため、例えば多重露出撮影モードにしてから既に撮影した画像の枚数が多くなってくると、1枚あたりの輝度が低くなり、スルー画像の輝度も低くなるため、構図やフォーカスを確認しにくくなる。そのため本発明では、多重露出撮影モードでのライブビュー表示でスルー画像と撮影済みの画像を多重合成して表示する場合、通常、スルー画像の合成比率が、合成される撮影済みの画像の合成比率よりも高くなるようにする。このようにスルー画像の合成比率を高くすることで、スルー画像を撮影済みの画像よりも相対的にはっきり表示し、スルー画像の視認性を高める。さらに、スルー画像の合成比率を、合成する撮影済みの画像の枚数に関わらず一定としておくことで、よりスルー画像の視認性を高める。すなわち、ライブビュー表示において多重合成を行う場合、式(5)のような合成比率とする。
Yl={Yn×(1−M)}+{yt×M} …(5)
Yl :ライブビュー表示で表示する多重合成画像の輝度
yt :スルー画像の輝度
Yn :その時点で取得済みのn枚の画像を多重合成した画像の輝度。すなわち、スルー画像に合成する撮影済みの画像の輝度。
M :ライブビュー表示で表示する多重合成画像におけるスルー画像の合成比率。
【0046】
上述の式(5)において、Mは0.5以上1未満とする。すなわち、スルー画像の輝度の合成比率を、合成する撮影済みの画像の輝度の合成比率の合計以上にするものとする。なお、スルー画像の輝度の合成比率を、合成する撮影済み画像個々の合成比率よりも高くするとしてもよい。
【0047】
なお、ライブビュー表示において多重合成を行わず、スルー画像だけを表示すると設定することも可能である。その場合、式(5)においてM=1として、撮影済みの画像の輝度Ynの合成比率(1−M)を0とすることでスルー画像だけを表示するアルゴリズムとしても良い。スルー画像だけの表示とすることで、スルー画像に対する現在のフォーカス(ピント)の確認などがより行いやすくなる。
【0048】
式(5)を用いて生成した、ライブビュー表示において表示する多重合成画像は、スルー画像の視認性は向上する。しかしこの多重合成画像は、実際に本撮影を行った後に式(1)または(3)、あるいは式(2)または(4)を用いて生成され、記録媒体120に記録される多重合成画像とは異なる合成比率の画像となる。従って、記録媒体120に記録される多重合成画像が実際どのような画像となるのか(特に、どのような輝度バランス、明るさの画像となるのか)を確認することができず、露出などの撮影条件の設定の参考にはならない場合がある。そこで、多重露出撮影モードでのライブビュー表示中に絞り込みボタン15が押下されると、本撮影を行って生成される多重合成画像がどのようになるのかを模擬的に事前確認できるような表示を行う。この表示をシミュレーションライブビュー表示と称する。シミュレーションライブビュー表示で表示する多重合成画像は、自動露出調整機能の設定に応じて、自動露出調整機能「しない」(加算モード)の際は式(6)、「する」(自動露出調整モード)の際は式(7)のように合成される。
Ys=Yn+yt …(6)
Ys={Yn×n/(n+1)}+{yt×1/(n+1)} …(7)
Ys :シミュレーションライブビュー表示で表示する多重合成画像の輝度
yt :スルー画像の輝度
Yn :その時点で取得済みのn枚の画像を多重合成した画像の輝度。すなわち、スルー画像に合成する撮影済みの画像の輝度。
n :その時点で取得済みの画像の枚数。ベース画像が設定されていない場合は1組の多重露出撮影において現在までに撮影が実行された枚数。ベース画像が設定されている場合は1組の多重露出撮影において現在までに撮影が実行された枚数+1。
【0049】
式(6)または式(7)における、撮影済み画像Ynの輝度の合成比率は、もう一枚画像を本撮影した際に行われる、記録媒体に記録するための多重合成画像Yn+1における合成比率と同じとなる。
【0050】
なお、前述の式(1)〜(7)に基づく多重合成は、各色毎に行っても良い。
以上のような合成比率での多重合成を行う多重露出撮影の動作について、以下で詳しく説明する。
【0051】
<図3:多重露出撮影に関する事前設定>
多重露出撮影に関する事前設定項目を設定する方法について説明する。
【0052】
図3に、多重露出撮影に関するデジタルカメラ100の設定を行うメニュー画面の表示例を示す。図3(a)の多重露出撮影に関するメニュー画面300は、メニューボタン17を押下して全体メニューを表示し、全体メニューの中から多重露出撮影に関するメニューを選択して確定すると、表示部材118に表示される。
【0053】
メニュー画面300には、メニュー項目301〜304が表示される。ユーザーはサブ電子ダイヤル22の操作によってメニュー項目301〜304の中から任意のメニュー項目を選択することができる。いずれかのメニュー項目を選択した状態でセットボタン21を押下することで、選択したメニュー項目についての設定候補一覧が表示される。そして、表示された設定候補一覧の中から所望の設定候補をサブ電子ダイヤル22の操作などにより選択し、再度セットボタンを押下することで、選択した設定候補を設定値として確定して設定することができる。
【0054】
メニュー項目301は多重露出撮影を行うか否かを選択するメニュー項目であり、「する」・「しない」の2つの設定候補のうちいずれかを選択して設定可能である。以下、本項目の設定を多重露出撮影要否設定と称する。多重露出撮影要否設定は、システムメモリ132あるいは不揮発性メモリ130に記録される。ユーザーの操作に応じて多重露出撮影要否設定が「しない」から「する」に設定変更された場合、次回の撮影から多重露出撮影を開始する。多重露出撮影要否設定は、多重露出撮影が予定枚数に達して終了した場合など、後述するいくつかの条件で自動的に「する」から「しない」に変更される。多重露出撮影の途中であっても、ユーザー操作に応じて本項目を「しない」に設定すると、その時点で多重露出撮影を終了する。その際、多重合成画像のファイルが生成可能であればマイクロコンビュータ123の制御に基づいて多重合成画像のファイルを生成する。
【0055】
メニュー項目302は1組の多重露出撮影において合成する画像の枚数を選択するメニュー項目であり、2〜9の設定候補のうち何れかの画像枚数を選択して設定可能である。後述のベース画像が選択されていない場合、メニュー項目302で設定した画像枚数が、多重露出撮影予定枚数となる。ベース画像を選択した場合は、多重露出撮影予定枚数が、メニュー項目302で設定した画像枚数から1減った値となる。多重露出撮影予定枚数はシステムメモリ132に記録される。なお本項目は多重露出撮影にて1枚以上の画像を撮影した後、多重露出撮影が完了していない状態(以下、多重露出撮影中状態と称する。後述の多重露出撮影中フラグ=1である状態である)では、選択して変更することができない。
【0056】
メニュー項目303は多重露出撮影における自動露出調整機能の実行要否を選択するメニュー項目であり、「する」・「しない」の2つの設定候補のうちいずれかを選択して設定可能である。自動露出調整機能を「する」に設定すると、記録媒体120に記録される多重合成画像を生成する際、前述の自動露出調整モードでの加算処理が行われるものとして設定される。自動露出調整機能を「しない」に設定すると、記録媒体120に記録される多重合成画像を生成する際、前述の加算モードでの加算処理が行われるものとして設定される。本項目は多重露出撮影中状態では、選択して変更することができない。
【0057】
メニュー項目304は多重露出撮影におけるベース画像を選択するメニュー項目であり、記録媒体120に記録されている画像(多重露出撮影モードに設定する前に記録されていた画像)から1つの画像を選択してベース画像に設定することが可能である。本項目は多重露出撮影要否設定が「する」に設定されており、かつ、多重露出撮影中状態ではない状態でのみ設定可能である。すなわち、多重露出撮影要否設定を「する」に設定してから1枚目の撮影をする前にのみ、メニュー項目304でのベース画像設定が可能である。ベース画像を設定すると、図3(b)のような画面表示となる。画像306は記録媒体に記録された画像のうちベース画像として設定された画像である。ベース画像は、多重露出撮影モードで1枚以上の撮影が行われるか、ライブビュー表示を開始した際に、映像信号処理回路116によって、記録媒体120から読みだされ、バッファメモリ122上に現像データとして変換された形で配置される。ベース画像を選択すると、撮影条件としての画像サイズの設定値(以降の多重露出撮影で撮影される画像の画像サイズ)が、ベース画像の画像サイズと同じ値に設定される。このようにベース画像を選択すると、過去に撮影した画像を1枚目撮影の画像として、多重露出撮影を行うことができる。本実施の形態では、ベース画像として選択可能な画像は画像サイズを合わせる必要性のため、過去に本デジタルカメラ100で撮影された画像のみとする。なお、デジタルカメラ100で撮影条件として設定可能な画像サイズを有する画像であれば、デジタルカメラ100で撮影された画像以外の画像をベース画像に設定できるものとしてもよい。また、デジタルカメラ100で撮影条件として設定可能な画像サイズと異なる画像の場合は、映像信号処理回路116でリサイズしてベース画像に設定できるものとしてもよい。ベース画像の設定は多重露出撮影が終了すると解除され、ベース画像が選択されていない状態になる。画像選択解除ボタン305は選択したベース画像をキャンセルするためのボタンアイコンであり、選択決定するとベース画像が選択されていない状態になる。
【0058】
<図4:バッファメモリ122に保持される画像データ>
図4を用いて多重露出撮影を行った際にバッファメモリ122に保持されるデータについて説明する。各撮影によって、バッファメモリ122には最大で、現像データ、高精度データ、多重現像データ、表示用多重データ、前回撮影時表示用多重データの5つの画像データが保持される。
【0059】
現像データは直前の撮像で撮像素子から得られた画像信号に色処理などの現像処理を施したデータである。現像データをJpeg形式などで圧縮することで、記録媒体120に記録される各元画像の画像ファイルが生成される。
【0060】
高精度データは、前回の撮影で得られた現像データを、多重合成するために映像信号処理回路116を用いて高ビット化(以下、高精度化と称する)し、前回までに生成していた高精度データに加算した画像データである。高精度化することで、多重合成処理に伴って階調が飽和してしまう可能性を低減することができる。高精度化以外にも多重合成しやすくするための他の処理を施したものとしても良い。
【0061】
多重現像データは、今回生成した高精度データ(前回までに得た画像を多重したもの)に、今回の撮影で得られた現像データを加算したデータである。この多重現像データをJpeg形式などで圧縮することで、記録媒体120に記録される多重合成画像の画像ファイルが生成される。
【0062】
表示用多重データは、多重現像データを表示のために縮小・圧縮したデータである。このデータを用いて後述の多重中クイックレビュー(以下、QRとも称する)・再生処理、及び多重中1枚目QR・再生処理での表示を行う。
前回撮影時表示用多重データは、前回までの撮影で生成された表示用多重データである。
【0063】
図4(a)〜(d)は、多重露出撮影において、ベース画像を無しとした場合に、それぞれの状態においてバッファメモリ122に保持されるデータを表している。
【0064】
図4(a)は、1枚目の撮影の後のバッファメモリ122の状態である。1枚目の撮影で画像信号Aが得られると、それを現像した現像データAをバッファメモリ122に保持する。ただし高精度データ、多重現像データ、表示用多重データ、前回撮影時表示用多重データは生成も格納もせず、その分のバッファメモリ122の容量を空けてある。高精度データ、多重現像データ、表示用多重データ、前回撮影時表示用多重データの格納に必要な容量を空けてある分だけ、他の処理に容量を割り当てることで他の処理を高速に行うことができる。他の処理とは例えば、ライブビュー撮影を用いた顔検出処理、コントラストAF処理などがある。
【0065】
図4(b)は、2枚目の撮影の後のバッファメモリ122の状態である。2枚目の撮影で画像信号Bが得られると、画像信号Bを現像した現像データBを生成してバッファメモリ122に保持する。また、1枚目の後に保持していた現像データAを高精度化して高精度データAとして保持する(1枚目の後には高精度データは保持していないので加算は行わない)。高精度データAと現像データBとを多重合成して多重現像データA+Bを生成して保持する。多重現像データA+Bを縮小・圧縮して表示用多重データA+Bを生成して保持する。また、2枚目の撮影の場合は、1枚目の撮影で表示用多重データを生成していないので、記録媒体120に記録された1枚目の画像Aの画像ファイルから前回撮影時表示用多重データを生成して保持する。
【0066】
図4(c)は、3枚目の撮影の後のバッファメモリ122の状態である。3枚目の撮影で画像信号Cが得られると、画像信号Cを現像した現像データCを生成してバッファメモリ122に保持する。また、2枚目の後に保持していた現像データBを高精度化して、2枚目の後に保持していた高精度データAと加算することにより、高精度データA+Bを生成して保持する。高精度データA+Bと現像データCとを多重合成して多重現像データA+B+Cを生成して保持する。多重現像データA+B+Cを縮小・圧縮して表示用多重データA+B+Cを生成して保持する。また、2枚目の撮影のときに生成した表示用多重データA+Bを、前回撮影時表示用多重データA+Bとして保持する。
【0067】
図4(d)は、後述する多重中QR・再生処理によって3枚目の撮影で得た画像を破棄した場合のバッファメモリ122の状態である。3枚目の撮影で得た画像を破棄すると、図4(c)の状態から、現像データC、多重現像データA+B+C、表示用多重データA+B+Cをバッファメモリ122から破棄する。また、図4(c)で前回撮影時表示用多重データA+Bとして保持されていた画像データを、図4(d)で表示用多重データA+Bとして保持する。
【0068】
図4(e)は、3枚目の撮影を破棄した後に、3枚目の撮影をやり直した場合のバッファメモリ122の状態である。3枚目のやり直しの撮影(撮り直しの指示を受け付けた後の多重露出撮影モードでの撮影)で画像信号Dが得られると、画像信号Dを現像した現像データDを生成してバッファメモリ122に保持する。また、3枚目の破棄後に保持していた高精度データA+Bはそのまま保持する。高精度データA+Bと現像データDとを多重合成して多重現像データA+B+Dを生成して保持する。多重現像データA+B+Dを縮小・圧縮して表示用多重データA+B+Dを生成して保持する。また、3枚目の破棄後に保持していた表示用多重データA+Bを、前回撮影時表示用多重データA+Bとして保持する。
【0069】
<処理に用いるデータ>
次に、多重露出撮影の処理において用いるデータについて説明する。多重露出撮影の処理を実行するにあたっては、以下の変数を用いる。
・多重露出撮影要否設定:「する」あるいは「しない」のいずれかが設定可能であり、不揮発性メモリ130あるいはシステムメモリ132に設定値が記録される。「する」の状態が多重露出撮影モードであることを示す。
・多重露出撮影中フラグ:多重露出撮影の途中であるか否かを示す変数であり、システムメモリ132に記録される。多重露出撮影要否設定を「する」にした後、1枚以上の撮影を行うと1(多重露出撮影中状態)になり、多重露出撮影が終了すると0になる。クイックレビューでの処理を通常時の処理とするか多重中の処理とするかなどはこのフラグにより判断する。
・多重露出撮影予定枚数:1つの多重画像を生成するために行う多重露出撮影(以下、1組の多重露出撮影と称する)の回数を示す値であり、システムメモリ132に記録される。ベース画像を無しに設定している場合は多重露出撮影予定枚数は図3のメニュー項目302での設定枚数である。ベース画像を有りに設定している場合は多重露出撮影予定枚数は図3のメニュー項目302での設定枚数マイナス1である。
・多重露出撮影完了枚数:1組の多重露出撮影において現在までに撮影が実行された枚数を示す値であり、システムメモリ132に記録される。多重露出撮影完了枚数=多重露出撮影予定枚数となると、1組の多重露出撮影が終了したこととなり、多重露出撮影処理を完了する。
・拡大モードフラグ:ライブビュー表示で拡大を行う拡大モードであるか否かの状態を管理する変数であり、システムメモリ132に記録される。拡大ボタン23の押下に応じて、拡大モードOFF(スルー画像の全体を全画面表示)、拡大モード(5倍拡大)、拡大モード(10倍拡大)が順次切り替わる。
【0070】
また、多重露出撮影中状態では、1組の多重露出撮影において現在までに撮影された各元画像の記録媒体120上での格納場所を示す情報を、書き込み済みファイル情報としてシステムメモリ132に記録する。画像を記録する記録媒体が複数ある場合には、格納先の記録媒体を特定する情報も記録される。
【0071】
<図5:多重露出撮影モード処理>
図5に、多重露出撮影モード処理のフローチャートを示す。図5の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。多重露出撮影要否設定が「する」に設定されると、図5の処理を開始する。
【0072】
S500では、ライブビュー表示の開始指示があったか否かを判定する。具体的には、ライブビューボタン27が押下されたか否かの判定である。ライブビューボタン27が押下された(ライブビュー表示の指示があった)と判定した場合はS530に進み、そうでない場合はS501へ進む。S530では、ライブビュー表示を伴う多重露出撮影モード処理(LV)を行う。ライブビュー表示を伴う多重露出撮影モード処理(LV)については、図8を用いて後述する。
【0073】
S501では、SW2がONであるか否かを判定し、オンであればS502へ進み、ONで無ければS507に進む。
【0074】
S502では、マイクロコンピュータ123は、多重露出撮影処理を行う。多重露出撮影処理の詳細は図6を用いて後述する。
【0075】
S503では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照し、多重露出撮影完了枚数が1であるか否かを判定する。これはすなわち、S502で行われた多重露出撮影処理で1組の多重露出撮影の1枚目の画像が撮影されたか否かの判定である。多重露出撮影完了枚数が1である場合はS504に進み、システムメモリ132の多重露出撮影中フラグを1として保持する。S503で多重露出撮影完了枚数が1でないと判定した場合、及びS504で多重撮影完了フラグを1にした場合はS505に進む。
【0076】
S505では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132に保持した多重露出撮影完了枚数と多重露出撮影予定枚数が等しくなったか否かを判定する。等しくなった場合は1組の多重露出撮影が完了したので、S506で「保存して終了処理」を行った後に多重露出撮影モード処理を完了する。
【0077】
S506の「保存して終了処理」では、マイクロコンピュータ123は、この時点で多重露出撮影を終了し、この時点までに取得した画像を用いて多重合成画像を生成して、画像ファイルとして記録媒体120に記録する。この際の多重合成画像の生成では、図3のメニュー画面で設定された自動露出調整機能の設定に応じて、自動露出調整機能が「する」に設定されていた場合は前述の式(4)に基づいて多重合成処理を行う。自動露出調整機能が「しない」に設定されていた場合は前述の式(3)に基づいて多重合成処理を行う。また、マイクロコンピュータ123は、多重露出撮影の初期化処理を行う。初期化処理では、バッファメモリ122に記録された画像データを全て破棄する。システムメモリ132に記録した多重露出撮影予定枚数、多重露出撮影完了枚数をリセットする。多重露出撮影要否設定を「しない」に変更する。システムメモリ132に保持している多重露出撮影中フラグを0にする。システムメモリ132に保持している書き込み済みファイル情報の内容をすべて消去する。
【0078】
一方S507では、マイクロコンピュータ123は、再生ボタン18が押下されたか否か(再生モードへ移行する指示があったか否か)を判定する。再生ボタン18が押下された場合はS508へ進み、再生ボタン18が押下されていない場合はS514へ進む。
【0079】
S508では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照して多重露出撮影中フラグが1であるか否か(多重露出撮影中状態であるか否か)を判定する。多重露出撮影中フラグが1であればS510へ進み、1で無ければS509へ進む。
【0080】
S509では、マイクロコンピュータ123は、通常再生モード処理を行う。通常再生モード処理では、記録媒体120に記録され、デジタルカメラ100で再生可能な全ての画像を対象として、1枚表示、マルチ表示、画像送り、消去、属性付与などの再生モード処理を行う。
【0081】
S510では、マイクロコンピュータ123は、ベース画像が有に設定されているか否かを判定する。ベース画像が無しに設定されている場合はS511へ進み、ベース画像が有りに設定されている場合はS513へ進む。
【0082】
S511では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132に記録された多重露出撮影完了枚数が2以上であるか否かを判定する。2以上であると判定するとS513へ進み、2未満である場合はS512に進む。多重露出撮影中フラグ=1である場合なので、ここで多重露出撮影完了枚数が2未満であるということは、多重露出撮影完了枚数が1ということである。
【0083】
S512では、マイクロコンピュータ123は、多重中1枚目QR・再生処理を行う。多重中1枚目QR・再生処理は、多重露出撮影モードに移行してから撮影した1枚目の画像を確認するための表示処理であり、多重露出撮影モードへ移行する前に撮像された画像は表示しない。多重中1枚目QR・再生処理では、多重露出撮影モードに移行してから撮影した1枚目の画像を表示部材118に表示する。
【0084】
図7(a)に、多重露出撮影における、多重中1枚目QR・再生処理によって表示部材118に表示される表示例を示す(表示制御)。図7(a)は、前述の図3のメニュー項目302で多重露出撮影において画像を重ねる枚数を3枚、メニュー項目304でベース画像無しに設定した場合の表示例である。表示アイテム701は、多重露出撮影によって得られた画像であることを示すアイコンと、多重露出撮影予定枚数まで残り2枚であることを表している。表示アイテム702は、消去ボタン19を押下することで処理選択ダイアログを表示させることができることを表すガイド表示である。画像703はまだ1枚しか撮影されていないために多重合成の行われていない画像である。ユーザーは表示された画像を見て、問題なければ多重露出撮影における次の撮影へ進む。なにか処理を行いたい場合は消去ボタン19を押下して処理選択ダイアログを表示させる。処理選択ダイアログには、処理の選択肢として少なくとも「1枚戻る」、「保存して終了」、「保存しないで終了」が表示される。「一枚戻る」では、表示された1枚目の画像を消去して、図3のメニュー画面で設定した多重露出撮影にかかる現在の設定を維持して多重露出撮影をやり直すことができる。「保存して終了」では、この時点で多重露出撮影モードを終了させる。また、「保存しないで終了」では、表示した1枚目の画像を記録媒体120に記録することなく(あるいは記録媒体120から消去して)、この時点で多重露出撮影モードを終了させる。「保存して終了処理」あるいは「保存しないで終了処理」をした場合は、システムメモリ132に記録した多重露出撮影中フラグを0にし、多重露出撮影要否設定を「しない」に設定する。
【0085】
S513では、マイクロコンピュータ123は、多重中QR・再生処理を行う。多重中QR・再生処理は、多重露出撮影モードに移行してから取得した画像およびそれらの多重合成の具合を確認するための表示処理であり、ベース画像以外の多重露出撮影モードへ移行する前に撮像された画像は表示しない。
【0086】
図7(b)に、多重露出撮影における、多重中QR・再生処理によって表示部材118に表示される表示例を示す(表示制御)。図7(b)は、図7(a)と同様、前述の図3のメニュー項目302で多重露出撮影において画像を重ねる枚数を3枚、メニュー項目304でベース画像無しに設定した場合の表示例である。さらにこの例は、2枚目の撮影の後の表示例である。表示アイテム704が表す意味は図7(a)の表示アイテム701と同様であるが、多重露出撮影予定枚数が1枚減って残り1枚であることを表している。画像705は1枚目の画像と今回の撮影で得た2枚目の画像とを多重合成した画像である。これは、図4(b)における表示用多重データA+Bを表示したものである。表示用多重データは、ベース画像が設定されている場合はベース画像と、多重露出撮影モードに移行してから現在までに撮影した画像とをモードに応じて式(3)あるいは式(4)のように多重合成した多重合成画像を縮小したものである。すなわち、この時点で多重露出撮影を終了し、この時点までに取得した画像を用いて、記録媒体120に記録するために多重合成画像を生成する処理(保存して終了処理)を行って生成される多重合成画像と同じ合成比率で多重合成された画像である。ユーザーは表示された画像を見て、問題なければ多重露出撮影における次の撮影へ進む。なにか処理を行いたい場合は消去ボタン19を押下して処理選択ダイアログを表示させる。処理選択ダイアログには、処理の選択肢として少なくとも「1枚戻る」、「保存して終了」、「保存しないで終了」が表示される。「一枚戻る」では、直前に撮影した1枚の画像だけを消去して、多重露出撮影を1枚戻ったところからやり直すことができる。「保存して終了」では、この時点で多重露出撮影を終了し、この時点までに取得した画像を用いて多重合成画像を生成して記録媒体120に記録する。「保存しないで終了」では、この時点までに取得した画像を用いた多重合成画像を記録媒体120に記録することなく、この時点で多重露出撮影モードを終了する。「保存して終了処理」あるいは「保存しないで終了処理」をした場合は、システムメモリ132に記録した多重露出撮影中フラグを0にし、多重露出撮影要否設定を「しない」に設定する。
【0087】
S514では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照して、多重露出撮影中フラグが1であるか否かを判定する。多重露出撮影中フラグが1である場合にはS515に進み、1でない場合にはS517へ進む。
【0088】
S515では、マイクロコンピュータ123は、途中終了イベントがあったか否かを判定する。途中終了イベントとは、多重露出撮影モードを途中で終了させるべきイベントであり、例えば以下のようなものがある。
・ユーザの操作により多重露出撮影要否設定を「しない」にするイベント
・ユーザによるメインSW20の操作、カード蓋28の開き、電池蓋29の開き。オートパワーオフ時間の経過などの電源がOFFとなるイベント
・撮影設定の条件により多重露出撮影を継続できないような状態となるイベント
途中終了イベントがあった場合はS516へ進み、なかった場合はS517へ進む。
【0089】
S516では、マイクロコンピュータ123は、「保存して終了処理」を行う。この処理は前述したS506と同様の処理である。
【0090】
S517では、マイクロコンピュータ123は、撮影モードを変更する操作があったか否かを判定する。ここでの判定は、多重露出撮影要否設定を直接変更する操作ではなく、撮影モードダイヤル14を回転させる操作があったか否かの判定である。撮影モードを変更する操作を受付けたと判定するとS518に進み、無かったと判定するとS521に進む。
【0091】
S518では、マイクロコンピュータ123は、撮影モードを変更する操作による変更先の撮影モードが、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードとして予め定められた撮影モード(第1の撮影モード)であるか否かを判定する。撮影モードダイヤル14の操作によって遷移できる撮影モードのうち、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードには、以下の撮影モードがあるものとする。マニュアルモード、シャッター速度優先モード、絞り優先モード、プログラムAEモード、バルブモード。逆に、撮影モードダイヤル14の操作によって遷移できる撮影モードのうち、多重露出撮影モード処理を継続できない撮影モード(第2の撮影モード)としては、以下の撮影モードがあるものとする。全自動モード、ストロボ発行禁止モード、クリエイティブ全自動モード、ポートレートモード、風景モード、クローズアップモード、スポーツモード、夜景ポートレートモード、動画モード。多重露出撮影を継続できる撮影モードであるか否かをこのように分けた理由は後述する。
【0092】
S518で、変更された撮影モードが、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードであると判定した場合はS519に進み、そうでない場合はS520へ進む。
【0093】
S519では、マイクロコンピュータ123は、撮影モードダイヤル14の操作に応じた撮影モードに切り替え、多重露出撮影モード処理を継続する。なおこの際、多重露出撮影要否設定、多重露出撮影中フラグ、多重露出撮影予定枚数、多重露出撮影完了枚数、書き込み済みファイル情報、ベース画像(設定されている場合)は変更せず維持する。
【0094】
S520では、マイクロコンピュータ123は、「保存して終了処理」を行う。この処理は前述したS506と同様の処理である。ただし、この時点で多重合成画像を生成するだけの画像が集まっていない場合には、多重合成画像の生成は行わない。「保存して終了処理」により、その後のS521でNoと判定され、多重露出撮影モード処理が撮影モードダイヤル14の操作に応じて自動的に終了することになる。この際、多重露出撮影モード処理が自動的に終了したこと(多重露出撮影モードが解除されたこと)を表す表示を表示部材118に表示してもよい。多重露出撮影モードを終了すると、撮影モードダイヤル14の操作に応じた撮影モードに切り替える。
【0095】
S521では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132あるいは不揮発性メモリ130の多重露出撮影要否設定を参照し、多重露出撮影が「する」に設定されているか否かを判定する。「する」に設定されている場合はS500に進んで処理を繰り返す。「しない」に設定されている場合は多重露出撮影モード処理を終了する。
【0096】
多重露出撮影を継続できる撮影モードであるか否かを上述のように分けた理由を説明する。
【0097】
多重露出撮影で生成される多重合成画像は、複数の画像を加算して合成した画像であるため、現実を忠実に表す映像ではない。すなわち、多重露出撮影は現実を正確に記録するためというよりは、撮影者による表現の手法の一種として利用される撮影方法と言える。そのため、多重露出撮影ではより多くの撮影条件を調整できたほうが、表現の幅を広げられるため好適である。従ってより多くの撮影条件を調整できる撮影モードを、多重露出撮影を継続できる撮影モードとしている。すなわち、多重露出撮影条件を継続できない撮影モードよりも、多重露出撮影を継続できる撮影モードのほうがユーザーが指定した値に設定できる撮影条件の項目数が多い。そして、多重露出撮影の途中であってもこれらのモード間であれば撮影モードの変更を可能としている。従って、互いに異なる撮影モードで撮影された画像を多重合成した画像を作成することができ、表現の幅をより広くすることができる。
【0098】
また、多重露出撮影においては、加算される各画像の輝度を調整できると特に好ましい。なぜなら、多重露出撮影は複数の画像の輝度を加算して合成していくという特徴があるため、各画像の輝度を調整できないと、加算モードでは意図せずにすぐ輝度が飽和してしまうことがあるためである。また、加算モードでなくとも、合成する他の画像に比べて輝度が高すぎるとその画像だけ目立ちすぎる多重合成画像となってしまう。逆に、合成する他の画像に比べて輝度が低すぎるとその画像だけ目立たな過ぎる多重合成画像となってしまう。このため、各画像の輝度値に影響する露出補正、シャッタースピード、絞り値のうち少なくとも一つの値と、ISO感度をユーザーが設定可能である撮影モードを、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードとしている。
【0099】
さらに、多重合成する複数の画像間の比較で色味調整ができるように、ホワイトバランスを調整できる撮影モードを、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードとしている。
【0100】
多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モード(第1の撮影モード)としての上述のような条件に合致するのが、マニュアルモード、シャッター速度優先モード、絞り優先モード、プログラムAEモード、バルブモードである。マニュアルモードではシャッター速度、絞り値、ISO感度、露出補正、ホワイトバランスをユーザーが決めた値に設定することができる。シャッター速度優先モードではシャッター速度、ISO感度、露出補正、ホワイトバランスをユーザーが決めた値に設定することができ、絞り値は、適正露出になるように、ユーザーが設定した撮影条件に合わせてマイクロコンピュータ123が自動的に設定する。絞り優先モードでは絞り値、ISO感度、露出補正、ホワイトバランスをユーザーが決めた値に設定することができ、シャッター速度は、適正露出になるように、ユーザーが設定した撮影条件に合わせてマイクロコンピュータ123が自動的に設定する。プログラムAEモードではISO感度、露出補正、ホワイトバランスをユーザーが決めた値に設定することができ、シャッター速度と絞り値は、適正露出になるように、ユーザーが設定した撮影条件に合わせてマイクロコンピュータ123が自動的に設定する。バルブモードでは絞り値、ISO感度、ホワイトバランスなどをユーザーが決めた値に設定することができる。
【0101】
一方で、多重露出撮影モード処理を継続しない撮影モード(第2の撮影モード)は、ユーザーが指定できる撮影条件が、上述の多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードより少ない撮影モードとしている。特に、各画像の輝度値に影響する露出補正、シャッタースピード、絞り値のうち少なくとも一つの値と、ISO感度と、ホワイトバランスを調整できない(自動的に設定される)撮影モードは、多重露出撮影モード処理を継続できる撮影モードとはしていない。これらの撮影モードの例として、全自動モード、ストロボ発行禁止モード、クリエイティブ全自動モード、ポートレートモード、風景モード、クローズアップモード、スポーツモード、夜景ポートレートモード、動画モードがある。これらの撮影モードでは、撮影条件の多くが、マイクロコンピュータ123によって自動的に設定され、ユーザーが設定できる撮影条件の項目は少ない。多重露出撮影の途中でこれらの撮影モードに変更する場合に多重露出撮影モード処理を自動的に終了させるため、ユーザが多重露出撮影に適さない撮影モードで多重露出撮影を行ってしまうことを防止することができる。また、これらの撮影モードが多重露出撮影に適さないことを知っている上級の撮影者にとっては、多重露出撮影の途中でこれらの撮影モードに切り換えようとする操作は、多重露出撮影を継続する意思がないことを示す。従って本実施の形態のように多重露出撮影に適さない撮影モードに変更する操作に応じて自動的に多重露出撮影モード処理を終了することで、多重露出撮影モードを終了させるための操作をする手間を減らすことができる。
【0102】
また、多くの撮影条件が自動的に設定されるこれらの撮影モードは、初心者ユーザーが使用することが多い撮影モードである。多重露出撮影で得られる多重合成画像は、上述したように、現実を忠実に表す映像ではないため、多重露出撮影の仕組みを理解していない初心者は高品位ではない画像が撮影された、あるいは誤動作であると誤解してしまう恐れがある。これに対し、本実施の形態のように、初心者が使用することの多い撮影モードでは多重露出撮影をさせないようにすることで、ユーザーが多重露出撮影で得られた多重合成画像が高品位で無い画像であると誤解したり、誤動作を起こしたと誤解することを抑制できる。
【0103】
このように、多重露出撮影を継続できる撮影モードであるか否かを上述のように分けることで、より広い幅の表現を可能としながらも、効果的な多重露出撮影を行うことができる。
【0104】
<図6:多重露出撮影処理>
図6に、前述した図5のS502の多重露出撮影処理のフローチャートを示す。図6の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。図6で行われる撮影を、後述のスルー画像を取得するための撮像と区別するために、本撮影と称する。
【0105】
S601では、マイクロコンピュータ123は、撮像素子112、AD変換器115がパワーセーブモードになっている場合は電源を供給する制御を行う。さらに露光の制御を行い、露光が完了するとS602で撮像素子112に蓄積された画像信号の読み出し、AD変換器115でデジタル信号へと変換する制御を行う。
【0106】
S603では、マイクロコンピュータ123は、S602で読み出した画像信号から現像データを生成するように映像信号処理回路116に指示する。生成された現像データは、図4で説明したように、バッファメモリ122に格納される。
【0107】
S604では、マイクロコンピュータ123は、S603で生成した現像データを映像信号処理回路116に圧縮させ、S605で画像ファイルとして記録媒体120へ記録する。この画像ファイルは合成されたものではなく、単体の元画像である。続いてS606で、システムメモリ132に保持した書き込み済みファイル情報に、S605で記録した画像ファイルの格納場所を示す情報を記録する。画像ファイルの格納場所を示す情報の代わりに、あるいは加えて、画像ファイルを特定する情報(ファイル名など)を記録してもよい。また、システムメモリ132に保持している多重露出撮影完了枚数に1を加算する。
【0108】
S607では、マイクロコンピュータ123は、ベース画像が有に設定されているか否かを判定する。ベース画像が有りである場合はS608に進む。ベース画像が無しに設定されている場合はS611に進む。
【0109】
S608では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照し、多重露出撮影完了枚数が2以上であるか否かを判定する。2未満、すなわち今回の撮影分のみの1である場合はS609へ進む。2以上である場合はS610へ進む。
【0110】
S609では、マイクロコンピュータ123は、ベース画像を記録媒体120から読み出してベース画像の現像データを取得し、ベース画像の現像データを映像信号処理回路116を用いて高精度化し、高精度データをバッファメモリ122に格納する。この処理はすなわち、ベース画像を図4(b)における1枚目の撮影で得られた画像信号A、今回の撮影によってS602で取得した画像データを図4(b)における2枚目の撮影で得られた画像信号Bとみなした処理である。
【0111】
S610では、マイクロコンピュータ123は、前回の撮影で得られた現像データを映像信号処理回路116を用いて高精度化し、前回までに生成していた高精度データに加算した高精度データを生成して、バッファメモリ122に格納する。図4の例では、図4(c)の3枚目の撮影の際に、2枚目の撮影で得られた現像データBを高精度化し、2枚目の撮影の際に生成した高精度データAに加算して高精度データA+Bを生成し、バッファメモリ122に格納することに相当する。
【0112】
一方S611では、マイクロコンピュータ123は、システムメモリ132を参照して多重露出撮影完了枚数が2以上であるか否かを判定する。2以上であると判定するとS612に進み、2未満、すなわち今回の撮影分のみの1である場合はS618に進む。S611で多重露出撮影完了枚数が、今回の撮影分のみの1であると判定された場合のバッファメモリ122の状態は、図4(a)に示した状態である。
【0113】
S612では、マイクロコンピュータ123は、多重露出撮影完了枚数が2であるか否かを判定する。2でない、すなわち3以上である場合はS610へ進み、2である場合にはS613に進む。
【0114】
S613では、マイクロコンピュータ123は、前回の撮影で得られた現像データを映像信号処理回路116を用いて高精度化した高精度データを生成して、バッファメモリ122に格納する。図4の例では、図4(b)の2枚目の撮影の際に、1枚目の撮影で得られた現像データAを高精度化し、高精度データAとしてバッファメモリ122に格納することに相当する。
【0115】
S614では、マイクロコンピュータ123は、S609、S610、S613のいずれかで生成した高精度データと、S603で生成した今回の撮影分の現像データとを映像信号処理回路116を用いて多重合成する。この時の多重合成では、図3のメニュー画面で設定された自動露出調整機能の設定に応じて、前述の式(3)あるいは式(4)に基づいて多重合成する。なお、Yn−1はS609、S610、S613のいずれかで生成した高精度データの輝度となる。また、ynはS603で生成した今回の撮影分の現像データの輝度となる。多重合成して生成した画像を多重現像データとしてバッファメモリ122に格納する。
【0116】
S615では、マイクロコンピュータ123は、S614で生成した多重現像データを映像信号処理回路116を用いて縮小・圧縮し、表示用多重データとしてバッファメモリ122に格納する。
【0117】
S616では、クイックレビュー(QR)を行う設定となっているかを判定する。撮影直後にQRを行うか否かは、ユーザーの操作に応じて予め設定しておけるものとする。QRを行うと設定されていた場合はS617に進み、多重中QR・再生処理を行う。多重中QR・再生処理は前述した図5のS513と同様の処理である。S616でQRを行わないと設定されていると判定された場合、及びS617の処理を終えた場合は多重露出撮影処理を終了し、前述の図5のS503へ進む。
【0118】
一方S618では、クイックレビュー(QR)を行う設定となっているかを判定する。QRを行うと設定されていた場合はS619に進み、多重中1枚目QR・再生処理を行う。多重中1枚目QR・再生処理は前述した図5のS512と同様の処理である。S618でQRを行わないと設定されていると判定された場合、及びS619の処理を終えた場合は多重露出撮影処理を終了し、前述の図5のS503へ進む。
【0119】
<図8:多重露出撮影モード処理(LV)>
図8に、前述した図5のS530のライブビューでの多重露出撮影モード処理(LV)のフローチャートを示す。図8の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。
【0120】
S8001では、被写体光の光束を撮像素子112へと導くように主ミラー105を上方に跳ね上げるミラーアップを行う。またシャッタ駆動回路111を制御してシャッタ110をあける制御をおこなう。
【0121】
S8002では、バッファメモリ122に保持されている多重現像データを取得する。多重現像データは、1組の多重露出撮影で現時点までに得られた画像(ベース画像がある場合はベース画像を含む)を多重合成したものである。
【0122】
S8003では、S8007で取得した多重現像データに対し、多重合成のための前処理を施す。前処理としては例えば、前述した高精度化などがある。また、ライブビュー表示での多重表示は表示部材118か外部インターフェース121を介した外部モニタでの全画面表示(1倍)でしか行わないので、それに必要な画素数に多重現像データをリサイズする。これにより、過大な画素数を処理することによって処理負荷が過大にかかることを防止する。
【0123】
S8004では、撮像素子112、AD変換器115がパワーセーブモードになっている場合は電源を供給し、ライブビュー用に初期設定を行う。
【0124】
S8005では、多重ライブビュー表示処理を行う。多重ライブビュー表示処理については図9を用いて後述する。
【0125】
S8006では、SW1がONであるか否かを判定し、オンであればS8007へ進み、ONで無ければS8507に進む。
S8007では、フォーカス制御処理を行う。フォーカス制御処理については図12を用いて後述する。
【0126】
S8008では、システムメモリ132に保持している拡大モードフラグをOFFに初期化する。これによって、S8007での多重露出撮影処理の前に、拡大モードでライブビュー表示を行っていた場合にはスルー画像だけでの拡大表示をやめ、後述する多重ライブビュー表示に切り替わる。
【0127】
S8503〜S8523は、前述した図5のS503〜S521と同様の処理なので説明を省略する。
【0128】
S8009では、ライブビュー表示を終了する指示があったか否かを判定する。具体的には、ライブビューボタン27が押下されたか否かの判定である。ライブビューボタン27が押下された(ライブビュー表示を終了する指示があった)と判定した場合は、S8010に進み、主ミラー105を、光束をファインダ部へと導くよう反射させる通常時の位置に戻し(ミラーダウン)、図5のS500に進む。ライブビューボタン27が押下されていない場合はS8011に進む。
【0129】
S8011では、マニュアルフォーカス(MF)操作が行われたか否かを判定する。MF操作とは例えば、撮影レンズ101の鏡筒回りに設けられたフォーカスリングを回す操作であり、これによってフォーカスレンズが駆動される(フォーカス調整処理)。なお、マニュアルフォーカスを行う操作であればフォーカスリングの操作に限らず、他の操作でもよい。MF操作が行われたと判定するとS8012に進み、MF操作が行われていないと判定するとS8005に進み処理を繰り返す。
【0130】
S8012では、前述した図8のS8003で前処理した多重現像データとの合成を行うことなく、スルー画像だけを表示部材118または外部モニタに表示するライブビュー表示を行う。ただし、各種情報表示やアイコン表示は重畳して表示する場合がある。なお、スルー画像と撮影済みの多重現像画像との合成比率を100:0として多重合成した画像を表示するものとしてもよく、実質的に同義である。このときの表示例を、図11(b)に示す。なお、S8012の前に撮影済みの多重現像データとスルー画像とを多重したライブビュー表示を行っていた場合は、多重現像データの合成比率をだんだんと下げていき、滑らかにスルー画像だけの表示に移行するようにしてもよい。このように多重表示をやめてスルー画像のみの表示とすることで、マニュアルフォーカスをする際にスルー画像が合焦しているか否かを判断しやすくなり、MFが行いやすくなる。
【0131】
S8013では、MF操作が終了してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、ユーザーによるMF操作と、それに伴うスルー画像の確認が終了したと想定できる程度の時間であればよく、数秒程度が好ましい。所定時間が経過していないと判定するとMF操作が終了して所定時間が経過するのを待ち、所定時間が経過したと判定するとS8014へ進む。
【0132】
S8014では、ライブビューでの合成比率をS8012の前の状態に戻す。これによって、拡大モードでなければ、S8005の多重ライブビュー表示処理において、図9で後述するとおり、S8003で前処理した多重現像データとスルー画像との多重合成画像でのライブビュー表示が行われる。S8014の処理を終えるとS8005に進み処理を繰り返す。
【0133】
<図9:多重ライブビュー表示処理>
図9に、前述した図8のS8005の多重ライブビュー表示処理のフローチャートを示す。図9の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。また図11(a)に多重現像データの例を示す。この画像は、現在までに撮影された画像を多重合成した画像であり、S8002で取得した多重現像データである。図11(b)に、スルー画像のみの表示例を示す。多重ライブビュー表示処理では、図11(a)に示した多重現像データと、図11(b)に示したスルー画像を、シミュレーションライブビューであるか否かに応じて異なる合成比率で多重合成した画像をライブビュー表示として表示する。
【0134】
S901では、拡大ボタン23が押下されたか否かを判定する。拡大ボタン23が押下されたと判定するとS902に進み、押下されていない場合はS903に進む。S902では、拡大ボタン23の押下に応じてモードを変更する。すなわち、S901で拡大ボタン23が押下されたときに、システムメモリ132に保持された拡大モードフラグを参照し、拡大モードオフ(拡大しない)であれば、拡大モード(5倍拡大)に変更する。拡大モード(5倍拡大)であれば拡大モード(10倍拡大)に変更する。拡大モード(10倍拡大)であれば拡大モードオフに変更する。拡大モード(5倍拡大)に変更した場合は、ライブビュー表示における多重表示をやめ、スルー画像だけを全画面表示(スルー画像全体が表示領域全体に収まる最大のサイズでの表示)の5倍に拡大して表示する。拡大モード(10倍拡大)に変更した場合は、スルー画像だけを全画面表示の10倍に拡大して表示する。拡大モードオフ(拡大しない)に変更した場合は、スルー画像と撮影済みの画像(前述のS8003で前処理を施した多重現像データ)との多重表示を再開する。変更した結果の拡大モードの情報を拡大モードフラグとしてシステムメモリ132に記録する、
S903では、システムメモリ132に保持された拡大モードフラグを参照し、現在拡大モードである否かを判定する。拡大モード(5倍拡大)または拡大モード(10倍拡大)である場合は拡大モードであると判定し、S920に進む。拡大モードオフ(拡大しない)である場合は拡大モードではないと判定し、S904に進む。
【0135】
S904では、現在の表示種別がスルー画像だけでのライブビューであるか否かを判定する。ライブビュー中の表示種別として、情報表示ボタン16の押下に応じて、多重表示を行うか、多重表示を行わずにスルー画像だけでのライブビュー表示とするかを切り換えることができる(S927,S927で後述する)。スルー画像だけでのライブビューであると判定した場合はS920に進み、そうでない場合はS905に進む。
【0136】
S905では、絞り込みボタン15が押下されているか否かを判定する。絞り込みボタン15が押下されている(押下中)であると判定するとS912に進み、絞り込みボタン15が押下されていない(すなわち離されている)と判定した場合はS906に進む。
【0137】
S906では、撮像素子112、絞り駆動回路104を制御し、スルー画像取得用の通常露光を行い、スルー画像を取得する。スルー画像取得用の通常露光では、SW2での本撮影用に設定された絞り値に関わらず、ライブビュー表示でのピントの確認をしやすくするために、絞り103を開放(絞り値を最小)にして被写界深度を浅くする。そして、見やすい明るさにするために撮像素子112での電荷蓄積時間と感度(ISO感度)を調整した露光を行う。
【0138】
S907では、S906の露光で取得したスルー画像に現像処理を施す。
【0139】
S908では、S907で現像したスルー画像と、前述した図8のS8003で前処理した多重現像データとを、多重ライブビュー用合成比率で多重合成する。多重ライブビュー用合成比率は、前述した式(5)で示した合成比率である。すなわち、スルー画像の合成比率をM(Mは0.5以上)、多重現像データの合成比率を1−Mとした合成比率である。これにより、スルー画像を撮影済みの画像と多重合成する多重ライブビュー表示において、撮影済みの画像(多重現像データ)よりも、これから撮影するスルー画像を視認しやすくする。
【0140】
多重ライブビュー用合成比率の例を図10(a)に示す。例えば自動露出調整モードでの多重ライブビュー用合成比率では、スルー画像の合成比率を60%(M=0.6)に固定し、撮影済みの画像である多重現像データの合成比率を40%(1−M=0.4)とする。1組の多重露出撮影において2枚以上の撮影をすでに行っていた場合は(あるいはベース画像が設定されていて1枚以上の撮影を既に行っていた場合は)、多重現像データは既に何枚かの画像が均等に合成された状態である。そのため、多重ライブビュー用合成比率における撮影済みの画像の1枚あたりの合成比率は、多重現像データの合成比率である40%を均等に配分した比率となる。これによって、多重ライブビュー表示においては、撮影済みの画像は薄く、スルー画像は相対的にはっきりと表示されることになる。従って撮影者は、撮影済みの画像にこれから撮影する画像をどう合わせるかの構図調整が行いやすくなる。なおかつ、これから撮影する画像のピント調整やシャッタータイミングの調整が行いやすくなる。
【0141】
S909では、S908で合成したスルー画像と撮影済みの画像(多重現像データ)との多重合成画像を、出力先(表示部材118または外部モニタ)に合わせてリサイズする。例えば、出力先がカメラ本体の表示部材118である場合は横幅720画素、縦480画素にリサイズする。出力先が外部モニタでハイビジョンモニタである場合は横幅1620画素、縦1080画素にリサイズする。また、上下をトリミングした後にリサイズして横幅1920画素、縦1080画素にしてもよい。
【0142】
S910では、S909でリサイズした多重合成画像を表示部材118または外部モニタに表示する(多重ライブビュー表示)。多重ライブビュー表示の表示例を図11(c)に示す。図11(c)では、前述のS908での合成処理によって、撮影済みの画像は薄く、スルー画像は相対的にはっきりと表示されており、ユーザーがスルー画像を特に視認しやすいようになっている。
【0143】
S911では、S906で取得したスルー画像に基づいて、次フレームでのスルー画像の取得(撮像)に用いる露光量を算出し、絞り値は開放として、撮像素子112での電荷蓄積時間と感度を設定する。
【0144】
一方、S905で絞り込みボタン15が押下中であると判定した場合は、本撮影によって実際に生成される多重合成画像のシミュレーション表示を行うべく、S912に進む。
【0145】
S912では、SW2での本撮影用に設定された撮影条件としての絞り値(ユーザが設定した絞り値あるいは、プログラム線図に基づき自動的に算出された絞り値)で絞り103を駆動する。絞りを本撮影用に設定された絞り値に駆動することで、スルー画像の被写界深度を本撮影で撮影される画像の被写界と同じにすることができ、ボケ味の具合などを確認することができる。
【0146】
S913では、本撮影用に設定された現在の撮影条件での本撮影で得られる画像の明るさに近い明るさになるように、本撮影用に設定された絞り値を固定して、電荷蓄積時間及び感度を調整する(シミュレーション調整)。まず、電荷蓄積時間を、スルー画像取得用の電荷蓄積時間での範囲内で、撮影条件として設定されているシャッター速度に近くなるように設定する。そして電荷蓄積時間の設定だけでは調整できない分を、感度の調整で補う。例えば、スルー画像を1/30秒毎に更新する場合には、スルー画像取得用の電荷蓄積は1/30秒より長くは出来ない。そのため、撮影条件としてのシャッター速度の設定が1/30秒より長かった場合には、スルー画像取得用の電荷蓄積時間は設定可能な最長の時間とし、足りない分を感度の増幅で補う。
【0147】
S914では、S912、S913で設定した絞り値、電荷蓄積時間、感度での露光を行ってスルー画像を取得する(シミュレーション露光)。
【0148】
S915では、S914の露光で取得したスルー画像に現像処理を施す。
【0149】
S916では、S915で現像したスルー画像と、前述した図8のS8003で前処理した多重現像データとを、シミュレーションライブビュー用合成比率で多重合成する。シミュレーションライブビュー用合成比率は、前述した式(6)または(7)で示した合成比率である。シミュレーションライブビュー表示を見ることにより、現在の撮影条件で本撮影を行うとどのような多重合成画像が生成されるのかを本撮影の前に確認することが可能となる。
【0150】
シミュレーションライブビュー用合成比率の例を図10(b)に示す。自動露出調整モードでの多重ライブビュー用合成比率では、スルー画像と撮影済みの各画像の合成比率が均等となるように合成比率が決定される。すなわちスルー画像の合成比率は、撮影済みの画像の枚数に応じて変動する。例えば、ベース画像無しに設定されていて、1組の多重露出撮影において現在までに撮影が実行された枚数が3枚である場合、スルー画像の合成比率は1/4(25%)、多重現像画像の合成比率は3/4(75%。各画像は25%ずつ)となる。これによって、撮影者は現在の撮影条件で本撮影を行うとどの様な合成バランス、明るさ、濃度、被写界深度の多重合成画像が生成されるのかを確認することができ、撮影条件を適切に調整することができる。
【0151】
S917では、S916で合成したスルー画像と撮影済みの画像(多重現像データ)との多重合成画像を、出力先(表示部材118または外部モニタ)に合わせてリサイズする。
【0152】
S918では、S917でリサイズした多重合成画像を表示部材118または外部モニタに表示する(シミュレーションライブビュー表示)。シミュレーションライブビューの表示例を図11(d)に示す。図11(d)は、撮影条件と自動露出調整機能の設定状態を反映した画像であるため、必ずしもスルー画像の視認性が高いわけではないが、本撮影を行って生成される多重合成画像がどのようになるのかを確認することができる。また、図11(d)は撮影条件が反映された表示であるため、ダイアログ1101を表示し、現在設定されている撮影条件をユーザーに通知する。図11(d)のダイアログ1101には、左から順にシャッター速度(Tv値)、絞り値(Av値)、露出補正、残り撮影可能枚数、ISO感度、電池残量が表示されている。ユーザーはこのダイアログ1101とシミュレーションライブビューの表示を見ることで、撮影条件の効き具合を確認しながら撮影条件を変更することができる。
【0153】
S919では、S914で取得したスルー画像に基づいて、次フレームでのスルー画像の取得(撮像)に用いる露光量を算出し、絞り値は撮影条件として設定された絞り値とし、撮像素子112での電荷蓄積時間と感度を設定する。
【0154】
一方、拡大モード中またはスルー画像だけでのライブビューモードの場合に行うS920,S921,S922の処理は、それぞれS906、S907、S909の処理と同様なので説明を省略する。
【0155】
S923では、多重合成することなく、S922でリサイズされたスルー画像だけを表示部材118または外部モニタに表示する。ただし、各種情報表示やアイコン表示は重畳して表示する場合がある。
【0156】
このときの表示例を図11(b)に示す。S924の処理は、S911と処理と同様なので説明を省略する。
【0157】
このように、拡大モード中またはスルー画像だけでのライブビューモードの場合は、ライブビューにおいては多重合成を行わず、スルー画像だけが表示される。なお、スルー画像と撮影済みの多重現像画像との合成比率を100:0としてS906〜S911の処理を行うものとしてもよく、実質的に同義である。
【0158】
S925では、撮影条件を変更する操作が行われたか否かを判定する。撮影条件を変更する操作が行われた場合はS926で操作に応じて撮影条件を変更する(撮影条件設定)。ユーザー操作に応じて変更可能な撮影条件には、少なくともシャッター速度(Tv値)、絞り値(Av値)、露出補正、ISO感度、ホワイトバランスなどがある。なお、これらのうちユーザー操作に応じて変更可能な撮影条件は、前述の通り撮影モードダイヤル14で設定されている撮影モードに応じて異なる。
【0159】
S927では、情報表示ボタン16の押下による表示種別変更操作があったか否かを判定する。情報表示ボタン16が押下されたと判定するとS928で表示種別を変更する。現在の表示種別が、多重表示を行うライブビューモードであれば、スルー画像だけでのライブビューモードに変更し、現在の表示種別がスルー画像だけでのライブビューモードであれば多重表示を行うライブビューモードに変更する。スルー画像だけでのライブビューモードでの表示例を図11(b)に示す。図11(b)はスルー画像だけを表示したものであり、これを見ることで、フォーカス(ピント)の確認をしたり、シャッタータイミングを計るなどの、スルー画像に特化した操作が行いやすくなる。なお、多重表示を行うライブビューモードとスルー画像だけでのライブビューモードの切り替えの際、一瞬で切り換えるのではなく、徐々に合成比率を変えて滑らかに表示が変化するようにしても良い。
S927で表示種別変更操作が無いと判定するか、S928の処理を終えると、多重ライブビュー表示処理を終了し、図8のS8006に進む。
【0160】
<図12:フォーカス制御処理>
図12に、前述した図8のS8007のフォーカス制御処理のフローチャートを示す。図12の処理は、不揮発性メモリ130に記録されたプログラムを、システムメモリ132に展開してマイクロコンピュータ123が実行することで実現する。
【0161】
S1201では、前述した図8のS8003で前処理した多重現像データとの合成を行うことなく、スルー画像だけを表示部材118または外部モニタに表示するライブビュー表示を行う。ただし、各種情報表示やアイコン表示は重畳して表示する場合がある。なお、スルー画像と撮影済みの多重現像画像との合成比率を100:0として多重合成した画像を表示するものとしてもよく、実質的に同義である。このときの表示例を、図11(b)に示す。なお、S1201の前に撮影済みの多重現像データとスルー画像とを多重したライブビュー表示を行っていた場合は、多重現像データの合成比率をだんだんと下げていき、滑らかにスルー画像だけの表示に移行するようにしてもよい。
【0162】
S1202では、撮影準備処理を開始する。撮影準備処理には、少なくともオートフォーカス処理(フォーカス調整処理)と、測光処理(あるいはAE処理)が含まれる。
【0163】
S1203では、オートフォーカス(AF)の動作が終了したか否かを判定する。終了していないと判定するとS1204に進み、終了したと判定するとS1205に進む。
【0164】
S1204では、SW1がOFFとなったか、すなわちレリーズボタン10の半押しが解除されたか否かを判定する。SW1がOFFとなっていなければS1203に戻り、引き続き撮影準備処理を行う。SW1がOFFとなった場合はS1209に進む。
【0165】
S1205では、ライブビューの合成比率をS1201の前の状態に戻す。これによって、拡大モードでなければ、S8005の多重ライブビュー表示処理において、S8003で前処理した多重現像データとスルー画像との多重合成画像でのライブビュー表示が行われる。すなわち、拡大モードでなければ、図9で前述した多重ライブビュー表示あるいはシミュレーションライブビュー表示を行う。
【0166】
S1206では、SW2がオンとなったか否かを判定する。SW2がオンとなっていなければS1207に進み、SW2がオンとなっていればS1208に進む。
【0167】
S1207では、SW1がOFFとなったか、すなわちレリーズボタン10の半押しが解除されたか否かを判定する。SW1がOFFとなっていなければS1206に戻り、SW1がOFFとなった場合はS1209に進む。
【0168】
S1208では、多重露出撮影処理を行い。多重露出撮影処理は、前述した図6の処理であるので説明を省略する。S1208の処理を終えるとフォーカス制御処理を終了し、図8のS8008に進む。
【0169】
一方、S1209では、本撮影を行う前にSW1がオフとなったので、ライブビューの合成比率をS1201の前の状態に戻し、図8のS8507に進む。
【0170】
図12の処理によれば、SW1を押下してAF動作が始まると多重したライブビュー表示をやめてスルー画像だけの表示とし、AF動作が終了すると再び多重したライブビュー表示に戻す。これによって、AF動作中は、ユーザーはAFによるピントの合い具合をスルー画像の目視により確認しやすくなる。また、AFが完了してフォーカスが定まったあとは、多重したライブビュー表示が行われるので、ユーザーはSW2での本撮影に備えて構図を最終調整することが可能となる。なお、AFの完了後にユーザーがより確実にAF結果を確認できるように、AF完了から所定時間はスルー画像だけでのライブビュー表示とし、AF完了後から所定時間経過後に多重したライブビュー表示に戻すようにしてもよい。この場合は、S1205の直前で、S1203でAF動作完了と判定されてから所定時間(数秒程度)が経過したか否かの判定ステップを設け、所定時間が経過したと判定するとS1205に進むようにすればよい。
【0171】
以上説明したように、本発明によれば、ライブビュー表示でスルー画像と撮影済みの画像を多重合成して表示する場合、スルー画像の合成比率が、合成される撮影済みの画像の合成比率よりも高くなるようにする。こうすることで、スルー画像を相対的にはっきり表示し、スルー画像の視認性を高めることができる。さらに、スルー画像の合成比率を、合成する撮影済みの画像の枚数に関わらず一定としておくことで、よりスルー画像の視認性を高めることができる。一方で、ユーザーの指示に応じて、スルー画像と、合成される撮影済みの画像との合成比率を変え、本撮影を行って生成される記録媒体120に記録するための多重合成画像がどのようになるのかを模擬的に事前確認することができる。このように、多重露出撮影において、ユーザーの意図に応じたより好適な合成比率でスルー画像を多重合成したライブビュー表示をすることが可能となる。
【0172】
また、AFまたはMFによるフォーカス調整中は多重ライブビュー表示をやめてスルー画像だけの表示とすることで、調整されたフォーカス(ピント)の合い具合を確認しやすくなる。かつ、フォーカス調整が完了すると多重ライブビュー表示に戻るため、撮影指示(SW2)の直前にこれから撮影する画像が撮影済みの画像にどのように多重合成されるかの構図の確認と調整を行ったうえで撮影が行える。
【0173】
なお、上述した実施の形態では、現像データを用いて多重合成を行う例を説明したが、現像する前のRAW画像データを用いて多重合成を行ってもよい。
【0174】
また、上述の実施の形態では、多重ライブビュー用の合成比率(第1の合成比率)と、シミュレーションライブビュー用の合成比率(第2の合成比率)とを絞り込みボタン15が押下されているか否かに応じて切り換えるものとした。しかし、ユーザーの目的に応じて更に異なる合成比率に切り換えることができるようにしてもよい。例えば、夜景撮影モードなど、スルー画像が非常に暗くなる撮影モードである場合や、取得されたスルー画像が暗いことが検出された場合などはスルー画像の合成比率をさらに高くすると言った方法が挙げられる。さらに、上述の実施の形態では、絞り込みボタン15が押されている間はシミュレーションライブビュー表示を行うものとしたが、ユーザーの操作に応じてシミュレーションライブビュー表示と多重ライブビューを切り換えられればこれに限定されるものではない。
【0175】
また、マイクロコンピュータ123の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0176】
さらに、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。また、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0177】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、撮像手段を有する撮像装置であれば適用可能である。すなわち、本発明はデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付のパーソナルコンピュータやPDA、カメラ付携帯電話端末やカメラ付の音楽プレーヤー、カメラ付ゲーム機、カメラ付電子ブックリーダーなどに適用可能である。
【0178】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影モードを、複数の撮影モードのうちいずれかの撮影モードに変更する指示を受け付ける受付手段と、
多重合成の対象となる複数の画像を撮像するための多重露出撮影モードに設定する設定手段と、
前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付手段により前記複数の撮影モードのうち第1の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを維持して該第1の撮影モードに変更するように制御し、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付手段により前記複数の撮影モードのうち第2の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを解除して、該第2の撮影モードに変更するように制御する制御手段と、
前記多重露出撮影モードに設定されている間に撮像された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成する生成手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の撮影モードは、前記第2の撮影モードよりも、ユーザーからの指示に応じて設定可能な撮影条件の項目数が多い撮影モードであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の撮影モードは、露出補正、シャッタースピード、絞り値のうち少なくとも1つの値をユーザーからの指示に応じて設定可能な撮影モードであることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の撮影モードは、ISO感度をユーザーからの指示に応じて設定可能な撮影モードであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の撮影モードは、ホワイトバランスをユーザーからの指示に応じて設定可能な撮影モードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の撮影モードは、マニュアルモード、シャッター速度優先モード、絞り優先モード、プログラムAEモード、バルブモードの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2の撮影モードは、露出補正、シャッタースピード、絞り値が自動的に設定される撮影モードであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の撮影モードは、ISO感度とホワイトバランスの少なくとも一方が自動的に設定される撮影モードであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記生成手段は、多重露出撮影モードが解除されると、当該多重露出撮影モードが解除されるまでに該多重露出撮影モードで撮影された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記受付手段により前記第2の撮影モードに変更する指示を受け付けたことに応じて多重露出撮影モードを解除すると、該多重露出撮影モードが解除されたことを示す表示を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記受付手段により前記第1の撮影モードに変更する指示を受け付けたことに応じて該第1の撮影モードに変更する際、多重露出撮影モードに係る設定を維持することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
撮影モードを、複数の撮影モードのうちいずれかの撮影モードに変更する指示を受け付ける受付ステップと、
多重合成の対象となる複数の画像を撮像するための多重露出撮影モードに設定する設定ステップと、
前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付ステップにより前記複数の撮影モードのうち第1の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを維持して該第1の撮影モードに変更するように制御し、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付ステップにより前記複数の撮影モードのうち第2の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを解除して、該第2の撮影モードに変更するように制御する制御ステップと、
前記多重露出撮影モードに設定されている間に撮像された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成する生成ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載された撮像装置の各手段として機能させるプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載された撮像装置の各手段として機能させるプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
撮影モードを、複数の撮影モードのうちいずれかの撮影モードに変更する指示を受け付ける受付手段と、
多重合成の対象となる複数の画像を撮像するための多重露出撮影モードに設定する設定手段と、
前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付手段により前記複数の撮影モードのうち第1の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを維持して該第1の撮影モードに変更するように制御し、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付手段により前記複数の撮影モードのうち第2の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを解除して、該第2の撮影モードに変更するように制御する制御手段と、
前記多重露出撮影モードに設定されている間に撮像された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成する生成手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の撮影モードは、前記第2の撮影モードよりも、ユーザーからの指示に応じて設定可能な撮影条件の項目数が多い撮影モードであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の撮影モードは、露出補正、シャッタースピード、絞り値のうち少なくとも1つの値をユーザーからの指示に応じて設定可能な撮影モードであることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の撮影モードは、ISO感度をユーザーからの指示に応じて設定可能な撮影モードであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の撮影モードは、ホワイトバランスをユーザーからの指示に応じて設定可能な撮影モードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の撮影モードは、マニュアルモード、シャッター速度優先モード、絞り優先モード、プログラムAEモード、バルブモードの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2の撮影モードは、露出補正、シャッタースピード、絞り値が自動的に設定される撮影モードであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の撮影モードは、ISO感度とホワイトバランスの少なくとも一方が自動的に設定される撮影モードであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記生成手段は、多重露出撮影モードが解除されると、当該多重露出撮影モードが解除されるまでに該多重露出撮影モードで撮影された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記受付手段により前記第2の撮影モードに変更する指示を受け付けたことに応じて多重露出撮影モードを解除すると、該多重露出撮影モードが解除されたことを示す表示を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記受付手段により前記第1の撮影モードに変更する指示を受け付けたことに応じて該第1の撮影モードに変更する際、多重露出撮影モードに係る設定を維持することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
撮影モードを、複数の撮影モードのうちいずれかの撮影モードに変更する指示を受け付ける受付ステップと、
多重合成の対象となる複数の画像を撮像するための多重露出撮影モードに設定する設定ステップと、
前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付ステップにより前記複数の撮影モードのうち第1の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを維持して該第1の撮影モードに変更するように制御し、前記多重露出撮影モードに設定されている場合に、前記受付ステップにより前記複数の撮影モードのうち第2の撮影モードに変更する指示を受け付けると、前記多重露出撮影モードを解除して、該第2の撮影モードに変更するように制御する制御ステップと、
前記多重露出撮影モードに設定されている間に撮像された複数の画像を多重合成した多重合成画像を生成する生成ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載された撮像装置の各手段として機能させるプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載された撮像装置の各手段として機能させるプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−235228(P2012−235228A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101314(P2011−101314)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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