撮像装置及び撮像装置の制御方法
【課題】撮影用光学系のズーム倍率と連動したズーム撮影補助機能を設けることにより、撮影用光学系の画角外の周辺から被写体を容易に探すことのできる撮像装置を提供する。
【解決手段】ズームレンズを有する撮影用光学系11と、撮影用光学系11とは別に補助光学系12を備えた撮像装置10であって、補助光学系12はデジタルズーム機能を有している。すなわち、補助光学系12には、撮影用光学系11でズーム操作が行われている際に、撮影用光学系11の光学ズーム位置に応じたデジタルズーム倍率に設定するデジタルズーム回路51が設けられている。
【解決手段】ズームレンズを有する撮影用光学系11と、撮影用光学系11とは別に補助光学系12を備えた撮像装置10であって、補助光学系12はデジタルズーム機能を有している。すなわち、補助光学系12には、撮影用光学系11でズーム操作が行われている際に、撮影用光学系11の光学ズーム位置に応じたデジタルズーム倍率に設定するデジタルズーム回路51が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影用光学系、及び該撮影用光学系とは別の補助光学系を有する撮像装置、及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長焦点距離の撮影用光学系を搭載したデジタルスチルカメラでは、遠方の被写体を大きく撮影できるが、この場合は画角が狭くなる。そのため、撮影用光学系を通して表示されるライブビューでは、目的の被写体を見つけて画角内に収めることが難しくなる。
【0003】
そこで、撮影用光学系よりも広い画角を持った補助光学系(この補助光学系には、専用の撮像素子が設けられている。)を、撮影用光学系とは別個に設けたデジタルスチルカメラが知られている。このようなデジタルスチルカメラにおいては、補助光学系を用いて、撮影用光学系よりも広い画角で映像入力し、撮影用光学系のライブビューを液晶画面に表示する際に、補助光学系からの映像を液晶画面にピクチャ・イン・ピクチャ形式で表示することができる。このような表示により撮影用光学系の画角外にある被写体を見つけ易くすることで、ユーザのズーム操作による撮影構図決定を補助することが可能である(以後、上記のようなピクチャ・イン・ピクチャ形式による表示を、「ズーム撮影補助機能」と称する。)。
【0004】
また、3D撮影用の複眼カメラにおいて、右撮像系でワイド(短距離焦点)、左撮像系でテレ(長距離焦点)の同時撮影を行う際に、ワイド側及びテレ側の位置関係を把握する目的で、枠サイズをガイダンスとして表示したり、テレ側の映像にワイド側の映像をピクチャ・イン・ピクチャ形式で表示したりすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や今までのズーム撮影補助機能では、より広い画角を持つ光学系(ワイド側の撮像系、前述の第ニの光学系)の画角が、探したい被写体や、撮影用光学系の画角に対して適切でなくなってしまう場合がある。例えば、被写体が小さな鳥であって、補助光学系からの映像が鳥を視認するのが難しいほど画角が広いと、被写体を探す用途に適さなくなってしまう。ズーム撮影補助機能において、補助光学系からの映像を撮影用光学系からのライブビューと同時表示するためにピクチャ・イン・ピクチャ形式で表示すると、表示領域が小さく、小さな被写体を視認するのがさらに難しくなる。
【0006】
一方、補助光学系の画角を狭く設計すると、補助光学系からの映像は撮影用光学系の画角の周囲の狭い範囲しか確認できず、撮影用光学系の画角外のより広い範囲から被写体を探す機能が損なわれてしまう。
【0007】
ズーム撮影補助機能を搭載した撮像装置では、コストなどの関係から撮影用光学系が高倍率のズームレンズであり、補助光学系は固定焦点レンズを用いる場合が多いが、例えば撮影用光学系の画角がズームにより狭くなると、補助光学系が撮影する映像の画角は変わらないため、撮影用光学系と補助光学系の撮影する画角が違いすぎて、この場合も撮影用光学系の画角外の周辺から被写体を探すのが難しくなるという問題がある。
【0008】
特許文献1の技術では、ワイド側とテレ側での表示倍率の差が大きくなりすぎたときに、ワイド側で小さな被写体が見つけにくくなるという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、撮影用光学系及び該撮影用光学系より広い画角を持つ補助光学系を有する撮像装置において、補助光学系からの映像を、撮影用光学系のズーム倍率に応じた適切な画角で表示するズーム撮影補助機能を設けることにより、補助光学系からの映像からユーザが目的の被写体を見つけやすくすることのできる撮像装置、及び撮像装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の撮像装置は、ズームレンズを有する第一の光学系と、前記第一の光学系とは別の第二の光学系を備えた撮像装置であって、前記第二の光学系は、前記第一の光学系の光学ズーム位置に応じたデジタルズーム倍率に設定され、前記撮像装置は、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データを、前記デジタルズーム倍率によりデジタルズームして表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影用光学系及び該撮影用光学系より広い画角を持つ補助光学系を有する撮像装置において、補助光学系からの映像を、撮影用光学系のズーム倍率に応じた適切な画角で表示するズーム撮影補助機能を設けることにより、補助光学系からの映像からユーザが目的の被写体を見つけやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ズーム撮影補助機能を有する撮像装置の外観斜視図である。
【図2】一般的な撮像装置のシステムブロック図である。
【図3】撮影用光学系の内部構成を説明する図である。
【図4】補助光学系の内部構成を説明する図である。
【図5】表示制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図6】ズームアシストモニタの表示例を示す図である。
【図7】撮影用光学系のズームレンズ位置検出機構について説明した図である。
【図8】ロータリーエンコーダ及びフォトインタラプタの出力関係を示した図である。
【図9】撮影用光学系の制御に用いられる制御用の変数、及びそのテーブルを示す図である。
【図10】ズームレンズの基準点検出の制御動作を説明したフローチャートである。
【図11】(A)はズーム操作制御の動作を説明したフローチャートであり、(B)はロータリーエンコーダパルス割込制御の動作を説明したフローチャートである。
【図12】ズーム位置の確認処理の動作を説明したフローチャートである。
【図13】ズーム位置テーブルを示す図である。
【図14】実施例1による撮像装置のシステムブロック図である。
【図15】図14の撮像装置におけるズーム制御用の変数、及びそのテーブルを示す図である
【図16】ズーム位置テーブルを示す図である。
【図17】(A)はズーム操作制御の動作を説明したフローチャートであり、(B)はロータリーエンコーダパルス割込制御の動作を説明したフローチャートである。
【図18】実施例2による撮像装置におけるズーム制御用の変数、及びそのテーブルを示す図である。
【図19】(A)は操作者がassist_magn_rateを選択するための画面例を示した図であり、(B)は選択の手順を示すフローチャートである。
【図20】ズーム撮影補助倍率比が選択される際の動作を示すフローチャートである。
【図21】ズーム制御時にデジタルズーム回路倍率設定での倍率設定制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0014】
《実施例1》
先ず、ズーム撮影補助機能を有する撮像装置の一般的な構成について、図1〜図13を用いて説明する。
【0015】
図1は、ズーム撮影補助機能を有する撮像装置10の外観斜視図である。この撮像装置10は、撮影用光学系11と、第二の光学系としての補助光学系12とを備えている。
【0016】
撮影用光学系11には、高倍率のズームレンズが使用されており、ライブビュー及び保存用の画像撮影等に用いられる。補助光学系12には、固定焦点レンズ31(図4参照)が使用されている。この補助光学系12は、撮影用光学系11を用いて高倍率ズームのライブビュー表示を行う場合に、より広い画角で映像を入力し、ピクチャ・イン・ピクチャ形式のライブビュー表示を行うことで、撮影用光学系11が写している画角範囲の外側から被写体を探すことを可能とするために設けられている。
【0017】
図2は、一般的な撮像装置10のシステムブロック図である。当該撮像装置10には、図1で示したように、撮影用光学系11及び補助光学系12が設けられ、これら各光学系11,12は、入力映像を伝送する映像I/F13、及び光学系を制御する制御I/F14を介して、画像処理チップ15にそれぞれ接続されている。画像処理チップ15は、制御用マイコンを内蔵し、周辺機器の制御を行う。
【0018】
映像I/F13は、入力映像のデジタル信号を伝送するもので、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)などが用いられている。制御I/F14は、光学系のレンズ制御装置や撮像装置のコントローラに制御コマンドを送信するもので、3線シリアルなどが用いられている。光学系から入力された映像信号は、画像処理チップ15内でYUV変換などのフォーマット変換、ガンマ補正、ノイズリダクションなどの画質補正の処理が施される。画像処理チップ15で処理された映像は、データバスを介して表示制御部16に送られ、LCD(Liquid Crystal Display)17に表示される。
【0019】
また、画像処理チップ15には、外部メモリ18及び操作部19が接続されている。外部メモリ18は、SDメモリカードなどの着脱可能なフラッシュメモリであり、撮影画像を保存する。また、操作部19は、撮像時に、操作者のボタン操作を受け付ける。
【0020】
図3は撮影用光学系11の内部構成を示す図である。撮影用光学系11は、対物レンズ21、ズームレンズ22,23、ズームレンズ駆動機構24、ズームレンズ位置検出機構25、撮像素子26、及びズームレンズ22,23間に配置された中間レンズ27を備えている。
【0021】
ズームレンズ22,23は、レンズの焦点距離を換えるためのレンズである。ズームレンズ駆動機構24は、ズームレンズ22,23を光軸に平行に駆動(移動)させるためのもので、モータや、ズームレンズ22,23の移動量を検出するロータリーエンコーダなどを内蔵している。ズームレンズ位置検出機構25は、ズームレンズ23の基準位置を検出するためのもので、フォトインタラプタなどのセンサを内蔵している。撮像素子26は、CMOS撮像素子やCCD撮像素子で、各レンズにより結像された像をデジタル信号に変換する。なお、ズームレンズ駆動機構24に設けられた回転軸24Aの2箇所に形成されたねじ山24B,24Cはそれぞれ逆向きになっており、回転軸24Aが回転すると、ズームレンズ22,23は互いに近付いたり、遠ざかったりする。
【0022】
図4は補助光学系12の内部構成を示す図である。補助光学系12は、固定焦点レンズ31、レンズ32、及びCMOSなどからなる撮像素子33を備えている。この補助光学系12には、図3の撮影用光学系11と異なり、ズーム機構は設けられていない。
【0023】
図5は表示制御部16の内部構成を示すブロック図である。表示制御部16には、VRAM1 35、VRAM2 36、及び映像合成部37を備えている。このように表示制御部16は、画像処理チップ15(図2参照)とそれぞれバス接続されたVRAM1 35、VRAM2 36からなる二面のVRAMを持ち、映像合成部37によってピクチャ・イン・ピクチャなどの映像を合成し、その合成した映像をLCD17に出力する。
【0024】
図6は、ズームアシストモニタ(LCD17)における表示例を示している。撮影用光学系11から入力された映像のライブビュー41と、補助光学系12から入力された映像のライブビュー42とが、ピクチャ・イン・ピクチャ形式で合成されてLCD17に表示されている。この場合、撮像装置10の操作者は、撮影中の映像(つまり、ライブビュー41)と、より広い画角で撮影される周辺の映像(つまり、ライブビュー42)とを同時に見ることができる。そのため、ライブビュー42の映像を確認することにより、撮影用光学系11の画角外にあるような被写体も容易に見つけることが可能となる。
【0025】
図7は、撮影用光学系11のズームレンズ位置検出機構25について説明した図である。ズームレンズ23は、ズームレンズ駆動機構24に内蔵されたロータリーエンコーダ43によりズームレンズ23の移動量を検知することができ、またズームレンズ位置検出機構25に内蔵したフォトインタラプタ44により、ズームレンズ23が基準位置にあるかどうかを検知する。そして、ズームレンズ23は、フォトインタラプタ44で検知された基準位置を基に、ズームレンズ駆動機構24の駆動により矢印A1,A2方向に移動する。
【0026】
図8は、ロータリーエンコーダ43及びフォトインタラプタ44の出力関係を示した図である。図7においてズームレンズ23がA1,A2方向に移動すると、ロータリーエンコーダ43からは、ズームレンズ23の移動量に応じて、図8(A)に示すように、一定周期でパルスが出力される。ズームレンズ23が基準位置を通過すると、図8(B)に示すように、フォトインタラプタ44から1つのパルスが出力される。この場合、図8(C)に示すように、基準位置通過時のパルス数を0と数え、それ以降、ロータリーエンコーダ43からのパルス出力のたびにパルス数を加算して記憶することで、ズームレンズ23の位置を記録することができる。その結果、ズームレンズ23が移動すると、図8(D)に示すように、焦点距離が時間に比例して変化する。
【0027】
図9は、撮影用光学系11の制御に用いられる制御用の変数、及びそのテーブルを示している。ここで、position_cntは撮影用光学系のズームレンズ群の基準点からの位置をパルス数で保持することを示しており、また、position_tableは撮影用光学系のposition_cntで示されるズームレンズ位置と焦点距離のテーブルを、zoom_positionは撮影用光学系の現在の焦点距離をそれぞれ示している。
【0028】
図10は、ズームレンズの基準点検出の制御動作について説明した図である。図10(A)に示すように、ズームレンズ駆動機構24のモータを駆動し(ステップS11)、ズームレンズ23が基準位置に到達したことの検出、つまり基準点検出まで待機して(ステップS12)、モータを停止する(ステップS13)。
【0029】
また、図10(B)に示すように、ステップS11におけるモータ駆動の開始によってズームレンズ23が動作し、ズームレンズ23が基準位置を通過すると、ズームレンズ位置検出機構25が基準点検出割込を発生する。この基準点検出割込を発生したときは、position_cntを0クリアする(ステップS14)。
【0030】
図11(A)は、ズーム操作制御における動作を説明したフローチャートである。図11(A)において、撮影者がズームボタンを押してズーム操作が開始すると、ズームボタンの種類検出を行い(ステップS20)、さらにズームアップボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS21)。ズームアップボタンが押下された場合(つまり、ズームアップの場合)はズームレンズ駆動機構24のモータをテレ側に駆動開始し(ステップS22)、ズームアップボタンが押下されていない場合(つまり、ズームダウンの場合)はワイド側にモータを駆動開始する(ステップS23)。
【0031】
ズームレンズ駆動機構24のモータをテレ側又はワイド側に駆動する処理が終了したら、ズームボタン開放割込を待って(ステップS24)、ズームレンズ駆動機構24のモータを停止する(ステップS25)。
【0032】
図11(B)は、ロータリーエンコーダパルス割込制御における動作を説明したフローチャートである。ロータリーエンコーダパルス割込はズームレンズ駆動機構24のモータの動作によって発生し、ズームボタンの種類を検出し(ステップS26)、さらにズームアップボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS27)。ズームアップボタンが押下された場合(つまり、ズームアップの場合)は、position_cntをカウントアップし(ステップS28)、ズームアップボタンが押下されていない場合(つまり、ズームダウンの場合)は、position_cntをカウントダウンする(ステップS29)。
【0033】
このように制御することにより、position_cntには現在のレンズ位置に応じた値を格納することができる。
【0034】
図12は、ズーム位置の確認処理における動作を説明したフローチャートである。zoom_positionは、事前に設計したposition_cntと焦点距離の対応表position_tableを引くことで取得することができる(ステップS30)。
【0035】
図13はズーム位置テーブルを示している。同図(A)のようなposition_cntの値に応じて、事前に設計した焦点距離を同図(B)のようなposition_tableとして保持しておくことで、position_cntより焦点距離を知ることができる。
【0036】
ここで、知った焦点距離は、LCD17に表示して操作者に撮影情報として見せることや、撮影画像の記録情報として保存することや、画像処理のパラメータなどに使用される。
【0037】
次に、本実施例の特徴部分について説明する。本実施例では、図14に示すように、補助光学系12と画像処理チップ15との間にデジタルズーム回路51が介在されている。デジタルズーム回路51は映像I/F52及び制御I/F53を介して画像処理チップ15に接続されている。また、補助光学系12は制御I/F14のみを介して画像処理チップ15に接続されている。
【0038】
撮影用光学系11は、図2の場合と同様、映像I/F13及び制御I/F14を介して画像処理チップ15に接続されている。表示制御部16、LCD17、外部メモリ18、操作部19は、図2の場合と同様である。
【0039】
図15は、図14の撮像装置10におけるズーム制御用の変数、及びそのテーブルを示している。ここで、position_cntは撮影用光学系のズームレンズ群の基準点からの位置をパルス数で保持することを示しており、また、position_tableは撮影用光学系のposition_cntで示されるズームレンズ位置と焦点距離のテーブルを、zoom_positionは撮影用光学系の現在の焦点距離を、zoom_assist_magn_tableは、position_cntと、対応するズーム撮影補助機能の表示倍率のテーブルをそれぞれ示している。
【0040】
図16はズーム位置テーブルを示している。図16(A)のposition_cntの値は図13(A)のposition_cntの値と同じであり、また、図16(B)のposition_tableの値は図13(B)のposition_tableの値と同じである。図13との差異は、ズーム撮影補助機能のズーム倍率をposition_cnt毎に設定できるzoom_assist_magn_tableを追加していることである。
【0041】
次に、図14に示した撮像装置10におけるズーム操作の動作について説明する。
【0042】
図17(A)は、ズーム操作制御における動作を説明したフローチャートである。図17(A)における制御は、図11(A)の場合と同様である。すなわち、撮影者がズームボタンを押してズーム操作が開始すると、ズームボタンの種類検出を行い(ステップS40)、さらにズームアップボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS41)。ズームアップボタンが押下された場合(つまり、ズームアップの場合)はズームレンズ駆動機構24のモータをテレ側に駆動開始し(ステップS42)、ズームアップボタンが押下されていない場合(つまり、ズームダウンの場合)はワイド側にモータを駆動開始(ステップS43)する。
【0043】
ズームレンズ駆動機構24のモータをテレ側又はワイド側に駆動する処理が終了したら、ズームボタン開放割込を待って(ステップS44)、ズームレンズ駆動機構24のモータを停止する(ステップS45)。
【0044】
図17(B)は、ロータリーエンコーダパルス割込制御における動作を説明したフローチャートである。図17(B)におけるステップS46〜ステップS49の処理は、図11(B)におけるステップS26〜ステップS29の処理と同様である。すなわち、ロータリーエンコーダパルス割込はズームレンズ駆動機構24のモータの動作によって発生し、ズームボタンの種類を検出し(ステップS46)、さらにズームアップボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS47)。ズームアップボタンが押下された場合(つまり、ズームアップの場合)は、position_cntをカウントアップし(ステップS48)、ズームアップボタンが押下されていない場合(つまり、ズームダウンの場合)は、position_cntをカウントダウンする(ステップS49)。
【0045】
本実施例では、ステップS48の処理又はステップS49の処理の後、ロータリーエンコーダのパルス割込に、ズームの位置確認処理を行い(ステップS50)、その後、デジタルズーム回路倍率の設定を行う(ステップS51)。
【0046】
本実施例によれば、ステップS51における処理を追加したことにより、補助光学系のライブビュー42(図6参照)が、撮影用光学系のズーム位置に応じて拡大(又は縮小)表示される。
【0047】
すなわち、補助光学系の撮像素子からの入力に対して、表示倍率拡大を行うための画像処理プロセッサを追加することにより、撮影用光学系のズームポジション及び事前設定に従って、ピクチャ・イン・ピクチャ表示における補助光学系からの画像データの拡大倍率を変更することができる。
【0048】
よって、補助光学系からの映像において、ユーザが目的の被写体を見つけやすくすることができ、結果として撮像光学系のズーム操作による撮影構図決定がしやすくなる。
【0049】
《実施例2》
次に、実施例2について説明する。図18は、実施例2による撮像装置におけるズーム制御用の変数、及びそのテーブルを示している。ここで、position_cntは撮影用光学系のズームレンズ群の基準点からの位置をパルス数で保持することを示しており、また、position_tableは撮影用光学系のposition_cntで示されるズームレンズ位置と焦点距離のテーブルを、zoom_positionは撮影用光学系の現在の焦点距離を、assist_magn_rateは撮影用光学系とズーム撮影補助機能の表示倍率比を、assist_magnは補助光学系のデジタルズーム回路に適用する拡大倍率をそれぞれ示している。
【0050】
また、zoom_assist_magn_table1は、position_cntと、対応するズーム撮影補助機能の表示倍率のテーブル1(assist_magn_rate=0.25用)を、zoom_assist_magn_table2は、position_cntと、対応するズーム撮影補助機能の表示倍率のテーブル1(assist_magn_rate=0.5用)を、zoom_assist_magn_table3は、position_cntと、対応するズーム撮影補助機能の表示倍率のテーブル1(assist_magn_rate=0.75用)をそれぞれ示している。
【0051】
本実施例においては、上記のように、操作者により選択されるassist_magn_rate値を持つことと、zoom_assist_magn_tableを複数持つことである。これら2つの点が実施例1の場合と大きく異なっている。assist_magn_rateは、撮影用光学系と、補助光学系のズーム倍率の比を保持するために使用される。
【0052】
図19(A)は操作者がassist_magn_rateを選択するための画面例を示した図であり、また、図19(B)は選択の手順を示したフローチャートである。図19(A)の上図のように、画面上にズームアシスト倍率選択メニューが表示される(ステップS60)。そして、操作者が画面上でズーム撮影補助倍率比をクリックすると、図19(A)の下図のように、同画面上に0.25倍、0.5倍、0.75倍のズーム撮影補助倍率比が表示される。その表示されたズーム撮影補助倍率比の中から、操作者が任意のズーム撮影補助倍率比(例えば0.5倍)を選択すると、その選択されたズーム撮影補助倍率比に設定される(ステップS61)。
【0053】
図20は、ズーム撮影補助倍率比が選択される際の動作を示すフローチャートである。先ず、assist_magn_rateが0.25倍に選択されたか否かを判断され(ステップS70)、0.25倍に選択された場合は、ズーム撮影補助倍率比を0.25倍に設定する(ステップS71)。
【0054】
ステップS70において、0.25倍に選択されなかった場合は、assist_magn_rateが0.5倍に選択されたか否かを判断され(ステップS72)、0.5倍に選択された場合は、ズームアシト倍率比を0.5倍に設定する(ステップS73)。
【0055】
ステップS72において、0.5倍に選択されなかった場合は、ズーム撮影補助倍率比を0.75倍に設定する(ステップS74)。
【0056】
図21は、ズーム制御時にデジタルズーム回路倍率設定での倍率設定制御を説明する図である。図21(A)のposition_cntの値は図16(A)のposition_cntの値と同じであり、また図21(B)のposition_tableの値は図16(B)のposition_tableの値と同じである。本実施例では、図16(C)のzoom_assist_magn_tableの代わりに、図21(C)〜(E)のようにzoom_assist_magn_table1、zoom_assist_magn_table2、zoom_assist_magn_table3が追加されている。
【0057】
本実施例によれば、操作者が、選択した倍率に従ってズーム撮影補助倍率テーブルを選択して、補助光学系のライブビューの拡大倍率を決定することができる。これにより、操作者の要望に適したズーム撮影補助機能のライブビュー表示を得ることが可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
10 撮像装置
11 撮影用光学系
12 補助光学系
13 映像I/F
14 制御I/F
15 画像処理チップ
16 表示制御部
17 LCD
18 外部メモリ
19 操作部
22,23 ズームレンズ
24 ズームレンズ駆動機構
25 ズームレンズ位置検出機構
26 撮像素子
31 固定焦点レンズ
33 撮像素子
43 ロータリーエンコーダ
44 フォトインタラプタ
51 デジタルズーム回路
52 映像I/F
53 制御I/F
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2011‐045039号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影用光学系、及び該撮影用光学系とは別の補助光学系を有する撮像装置、及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長焦点距離の撮影用光学系を搭載したデジタルスチルカメラでは、遠方の被写体を大きく撮影できるが、この場合は画角が狭くなる。そのため、撮影用光学系を通して表示されるライブビューでは、目的の被写体を見つけて画角内に収めることが難しくなる。
【0003】
そこで、撮影用光学系よりも広い画角を持った補助光学系(この補助光学系には、専用の撮像素子が設けられている。)を、撮影用光学系とは別個に設けたデジタルスチルカメラが知られている。このようなデジタルスチルカメラにおいては、補助光学系を用いて、撮影用光学系よりも広い画角で映像入力し、撮影用光学系のライブビューを液晶画面に表示する際に、補助光学系からの映像を液晶画面にピクチャ・イン・ピクチャ形式で表示することができる。このような表示により撮影用光学系の画角外にある被写体を見つけ易くすることで、ユーザのズーム操作による撮影構図決定を補助することが可能である(以後、上記のようなピクチャ・イン・ピクチャ形式による表示を、「ズーム撮影補助機能」と称する。)。
【0004】
また、3D撮影用の複眼カメラにおいて、右撮像系でワイド(短距離焦点)、左撮像系でテレ(長距離焦点)の同時撮影を行う際に、ワイド側及びテレ側の位置関係を把握する目的で、枠サイズをガイダンスとして表示したり、テレ側の映像にワイド側の映像をピクチャ・イン・ピクチャ形式で表示したりすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や今までのズーム撮影補助機能では、より広い画角を持つ光学系(ワイド側の撮像系、前述の第ニの光学系)の画角が、探したい被写体や、撮影用光学系の画角に対して適切でなくなってしまう場合がある。例えば、被写体が小さな鳥であって、補助光学系からの映像が鳥を視認するのが難しいほど画角が広いと、被写体を探す用途に適さなくなってしまう。ズーム撮影補助機能において、補助光学系からの映像を撮影用光学系からのライブビューと同時表示するためにピクチャ・イン・ピクチャ形式で表示すると、表示領域が小さく、小さな被写体を視認するのがさらに難しくなる。
【0006】
一方、補助光学系の画角を狭く設計すると、補助光学系からの映像は撮影用光学系の画角の周囲の狭い範囲しか確認できず、撮影用光学系の画角外のより広い範囲から被写体を探す機能が損なわれてしまう。
【0007】
ズーム撮影補助機能を搭載した撮像装置では、コストなどの関係から撮影用光学系が高倍率のズームレンズであり、補助光学系は固定焦点レンズを用いる場合が多いが、例えば撮影用光学系の画角がズームにより狭くなると、補助光学系が撮影する映像の画角は変わらないため、撮影用光学系と補助光学系の撮影する画角が違いすぎて、この場合も撮影用光学系の画角外の周辺から被写体を探すのが難しくなるという問題がある。
【0008】
特許文献1の技術では、ワイド側とテレ側での表示倍率の差が大きくなりすぎたときに、ワイド側で小さな被写体が見つけにくくなるという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、撮影用光学系及び該撮影用光学系より広い画角を持つ補助光学系を有する撮像装置において、補助光学系からの映像を、撮影用光学系のズーム倍率に応じた適切な画角で表示するズーム撮影補助機能を設けることにより、補助光学系からの映像からユーザが目的の被写体を見つけやすくすることのできる撮像装置、及び撮像装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の撮像装置は、ズームレンズを有する第一の光学系と、前記第一の光学系とは別の第二の光学系を備えた撮像装置であって、前記第二の光学系は、前記第一の光学系の光学ズーム位置に応じたデジタルズーム倍率に設定され、前記撮像装置は、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データを、前記デジタルズーム倍率によりデジタルズームして表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影用光学系及び該撮影用光学系より広い画角を持つ補助光学系を有する撮像装置において、補助光学系からの映像を、撮影用光学系のズーム倍率に応じた適切な画角で表示するズーム撮影補助機能を設けることにより、補助光学系からの映像からユーザが目的の被写体を見つけやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ズーム撮影補助機能を有する撮像装置の外観斜視図である。
【図2】一般的な撮像装置のシステムブロック図である。
【図3】撮影用光学系の内部構成を説明する図である。
【図4】補助光学系の内部構成を説明する図である。
【図5】表示制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図6】ズームアシストモニタの表示例を示す図である。
【図7】撮影用光学系のズームレンズ位置検出機構について説明した図である。
【図8】ロータリーエンコーダ及びフォトインタラプタの出力関係を示した図である。
【図9】撮影用光学系の制御に用いられる制御用の変数、及びそのテーブルを示す図である。
【図10】ズームレンズの基準点検出の制御動作を説明したフローチャートである。
【図11】(A)はズーム操作制御の動作を説明したフローチャートであり、(B)はロータリーエンコーダパルス割込制御の動作を説明したフローチャートである。
【図12】ズーム位置の確認処理の動作を説明したフローチャートである。
【図13】ズーム位置テーブルを示す図である。
【図14】実施例1による撮像装置のシステムブロック図である。
【図15】図14の撮像装置におけるズーム制御用の変数、及びそのテーブルを示す図である
【図16】ズーム位置テーブルを示す図である。
【図17】(A)はズーム操作制御の動作を説明したフローチャートであり、(B)はロータリーエンコーダパルス割込制御の動作を説明したフローチャートである。
【図18】実施例2による撮像装置におけるズーム制御用の変数、及びそのテーブルを示す図である。
【図19】(A)は操作者がassist_magn_rateを選択するための画面例を示した図であり、(B)は選択の手順を示すフローチャートである。
【図20】ズーム撮影補助倍率比が選択される際の動作を示すフローチャートである。
【図21】ズーム制御時にデジタルズーム回路倍率設定での倍率設定制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0014】
《実施例1》
先ず、ズーム撮影補助機能を有する撮像装置の一般的な構成について、図1〜図13を用いて説明する。
【0015】
図1は、ズーム撮影補助機能を有する撮像装置10の外観斜視図である。この撮像装置10は、撮影用光学系11と、第二の光学系としての補助光学系12とを備えている。
【0016】
撮影用光学系11には、高倍率のズームレンズが使用されており、ライブビュー及び保存用の画像撮影等に用いられる。補助光学系12には、固定焦点レンズ31(図4参照)が使用されている。この補助光学系12は、撮影用光学系11を用いて高倍率ズームのライブビュー表示を行う場合に、より広い画角で映像を入力し、ピクチャ・イン・ピクチャ形式のライブビュー表示を行うことで、撮影用光学系11が写している画角範囲の外側から被写体を探すことを可能とするために設けられている。
【0017】
図2は、一般的な撮像装置10のシステムブロック図である。当該撮像装置10には、図1で示したように、撮影用光学系11及び補助光学系12が設けられ、これら各光学系11,12は、入力映像を伝送する映像I/F13、及び光学系を制御する制御I/F14を介して、画像処理チップ15にそれぞれ接続されている。画像処理チップ15は、制御用マイコンを内蔵し、周辺機器の制御を行う。
【0018】
映像I/F13は、入力映像のデジタル信号を伝送するもので、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)などが用いられている。制御I/F14は、光学系のレンズ制御装置や撮像装置のコントローラに制御コマンドを送信するもので、3線シリアルなどが用いられている。光学系から入力された映像信号は、画像処理チップ15内でYUV変換などのフォーマット変換、ガンマ補正、ノイズリダクションなどの画質補正の処理が施される。画像処理チップ15で処理された映像は、データバスを介して表示制御部16に送られ、LCD(Liquid Crystal Display)17に表示される。
【0019】
また、画像処理チップ15には、外部メモリ18及び操作部19が接続されている。外部メモリ18は、SDメモリカードなどの着脱可能なフラッシュメモリであり、撮影画像を保存する。また、操作部19は、撮像時に、操作者のボタン操作を受け付ける。
【0020】
図3は撮影用光学系11の内部構成を示す図である。撮影用光学系11は、対物レンズ21、ズームレンズ22,23、ズームレンズ駆動機構24、ズームレンズ位置検出機構25、撮像素子26、及びズームレンズ22,23間に配置された中間レンズ27を備えている。
【0021】
ズームレンズ22,23は、レンズの焦点距離を換えるためのレンズである。ズームレンズ駆動機構24は、ズームレンズ22,23を光軸に平行に駆動(移動)させるためのもので、モータや、ズームレンズ22,23の移動量を検出するロータリーエンコーダなどを内蔵している。ズームレンズ位置検出機構25は、ズームレンズ23の基準位置を検出するためのもので、フォトインタラプタなどのセンサを内蔵している。撮像素子26は、CMOS撮像素子やCCD撮像素子で、各レンズにより結像された像をデジタル信号に変換する。なお、ズームレンズ駆動機構24に設けられた回転軸24Aの2箇所に形成されたねじ山24B,24Cはそれぞれ逆向きになっており、回転軸24Aが回転すると、ズームレンズ22,23は互いに近付いたり、遠ざかったりする。
【0022】
図4は補助光学系12の内部構成を示す図である。補助光学系12は、固定焦点レンズ31、レンズ32、及びCMOSなどからなる撮像素子33を備えている。この補助光学系12には、図3の撮影用光学系11と異なり、ズーム機構は設けられていない。
【0023】
図5は表示制御部16の内部構成を示すブロック図である。表示制御部16には、VRAM1 35、VRAM2 36、及び映像合成部37を備えている。このように表示制御部16は、画像処理チップ15(図2参照)とそれぞれバス接続されたVRAM1 35、VRAM2 36からなる二面のVRAMを持ち、映像合成部37によってピクチャ・イン・ピクチャなどの映像を合成し、その合成した映像をLCD17に出力する。
【0024】
図6は、ズームアシストモニタ(LCD17)における表示例を示している。撮影用光学系11から入力された映像のライブビュー41と、補助光学系12から入力された映像のライブビュー42とが、ピクチャ・イン・ピクチャ形式で合成されてLCD17に表示されている。この場合、撮像装置10の操作者は、撮影中の映像(つまり、ライブビュー41)と、より広い画角で撮影される周辺の映像(つまり、ライブビュー42)とを同時に見ることができる。そのため、ライブビュー42の映像を確認することにより、撮影用光学系11の画角外にあるような被写体も容易に見つけることが可能となる。
【0025】
図7は、撮影用光学系11のズームレンズ位置検出機構25について説明した図である。ズームレンズ23は、ズームレンズ駆動機構24に内蔵されたロータリーエンコーダ43によりズームレンズ23の移動量を検知することができ、またズームレンズ位置検出機構25に内蔵したフォトインタラプタ44により、ズームレンズ23が基準位置にあるかどうかを検知する。そして、ズームレンズ23は、フォトインタラプタ44で検知された基準位置を基に、ズームレンズ駆動機構24の駆動により矢印A1,A2方向に移動する。
【0026】
図8は、ロータリーエンコーダ43及びフォトインタラプタ44の出力関係を示した図である。図7においてズームレンズ23がA1,A2方向に移動すると、ロータリーエンコーダ43からは、ズームレンズ23の移動量に応じて、図8(A)に示すように、一定周期でパルスが出力される。ズームレンズ23が基準位置を通過すると、図8(B)に示すように、フォトインタラプタ44から1つのパルスが出力される。この場合、図8(C)に示すように、基準位置通過時のパルス数を0と数え、それ以降、ロータリーエンコーダ43からのパルス出力のたびにパルス数を加算して記憶することで、ズームレンズ23の位置を記録することができる。その結果、ズームレンズ23が移動すると、図8(D)に示すように、焦点距離が時間に比例して変化する。
【0027】
図9は、撮影用光学系11の制御に用いられる制御用の変数、及びそのテーブルを示している。ここで、position_cntは撮影用光学系のズームレンズ群の基準点からの位置をパルス数で保持することを示しており、また、position_tableは撮影用光学系のposition_cntで示されるズームレンズ位置と焦点距離のテーブルを、zoom_positionは撮影用光学系の現在の焦点距離をそれぞれ示している。
【0028】
図10は、ズームレンズの基準点検出の制御動作について説明した図である。図10(A)に示すように、ズームレンズ駆動機構24のモータを駆動し(ステップS11)、ズームレンズ23が基準位置に到達したことの検出、つまり基準点検出まで待機して(ステップS12)、モータを停止する(ステップS13)。
【0029】
また、図10(B)に示すように、ステップS11におけるモータ駆動の開始によってズームレンズ23が動作し、ズームレンズ23が基準位置を通過すると、ズームレンズ位置検出機構25が基準点検出割込を発生する。この基準点検出割込を発生したときは、position_cntを0クリアする(ステップS14)。
【0030】
図11(A)は、ズーム操作制御における動作を説明したフローチャートである。図11(A)において、撮影者がズームボタンを押してズーム操作が開始すると、ズームボタンの種類検出を行い(ステップS20)、さらにズームアップボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS21)。ズームアップボタンが押下された場合(つまり、ズームアップの場合)はズームレンズ駆動機構24のモータをテレ側に駆動開始し(ステップS22)、ズームアップボタンが押下されていない場合(つまり、ズームダウンの場合)はワイド側にモータを駆動開始する(ステップS23)。
【0031】
ズームレンズ駆動機構24のモータをテレ側又はワイド側に駆動する処理が終了したら、ズームボタン開放割込を待って(ステップS24)、ズームレンズ駆動機構24のモータを停止する(ステップS25)。
【0032】
図11(B)は、ロータリーエンコーダパルス割込制御における動作を説明したフローチャートである。ロータリーエンコーダパルス割込はズームレンズ駆動機構24のモータの動作によって発生し、ズームボタンの種類を検出し(ステップS26)、さらにズームアップボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS27)。ズームアップボタンが押下された場合(つまり、ズームアップの場合)は、position_cntをカウントアップし(ステップS28)、ズームアップボタンが押下されていない場合(つまり、ズームダウンの場合)は、position_cntをカウントダウンする(ステップS29)。
【0033】
このように制御することにより、position_cntには現在のレンズ位置に応じた値を格納することができる。
【0034】
図12は、ズーム位置の確認処理における動作を説明したフローチャートである。zoom_positionは、事前に設計したposition_cntと焦点距離の対応表position_tableを引くことで取得することができる(ステップS30)。
【0035】
図13はズーム位置テーブルを示している。同図(A)のようなposition_cntの値に応じて、事前に設計した焦点距離を同図(B)のようなposition_tableとして保持しておくことで、position_cntより焦点距離を知ることができる。
【0036】
ここで、知った焦点距離は、LCD17に表示して操作者に撮影情報として見せることや、撮影画像の記録情報として保存することや、画像処理のパラメータなどに使用される。
【0037】
次に、本実施例の特徴部分について説明する。本実施例では、図14に示すように、補助光学系12と画像処理チップ15との間にデジタルズーム回路51が介在されている。デジタルズーム回路51は映像I/F52及び制御I/F53を介して画像処理チップ15に接続されている。また、補助光学系12は制御I/F14のみを介して画像処理チップ15に接続されている。
【0038】
撮影用光学系11は、図2の場合と同様、映像I/F13及び制御I/F14を介して画像処理チップ15に接続されている。表示制御部16、LCD17、外部メモリ18、操作部19は、図2の場合と同様である。
【0039】
図15は、図14の撮像装置10におけるズーム制御用の変数、及びそのテーブルを示している。ここで、position_cntは撮影用光学系のズームレンズ群の基準点からの位置をパルス数で保持することを示しており、また、position_tableは撮影用光学系のposition_cntで示されるズームレンズ位置と焦点距離のテーブルを、zoom_positionは撮影用光学系の現在の焦点距離を、zoom_assist_magn_tableは、position_cntと、対応するズーム撮影補助機能の表示倍率のテーブルをそれぞれ示している。
【0040】
図16はズーム位置テーブルを示している。図16(A)のposition_cntの値は図13(A)のposition_cntの値と同じであり、また、図16(B)のposition_tableの値は図13(B)のposition_tableの値と同じである。図13との差異は、ズーム撮影補助機能のズーム倍率をposition_cnt毎に設定できるzoom_assist_magn_tableを追加していることである。
【0041】
次に、図14に示した撮像装置10におけるズーム操作の動作について説明する。
【0042】
図17(A)は、ズーム操作制御における動作を説明したフローチャートである。図17(A)における制御は、図11(A)の場合と同様である。すなわち、撮影者がズームボタンを押してズーム操作が開始すると、ズームボタンの種類検出を行い(ステップS40)、さらにズームアップボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS41)。ズームアップボタンが押下された場合(つまり、ズームアップの場合)はズームレンズ駆動機構24のモータをテレ側に駆動開始し(ステップS42)、ズームアップボタンが押下されていない場合(つまり、ズームダウンの場合)はワイド側にモータを駆動開始(ステップS43)する。
【0043】
ズームレンズ駆動機構24のモータをテレ側又はワイド側に駆動する処理が終了したら、ズームボタン開放割込を待って(ステップS44)、ズームレンズ駆動機構24のモータを停止する(ステップS45)。
【0044】
図17(B)は、ロータリーエンコーダパルス割込制御における動作を説明したフローチャートである。図17(B)におけるステップS46〜ステップS49の処理は、図11(B)におけるステップS26〜ステップS29の処理と同様である。すなわち、ロータリーエンコーダパルス割込はズームレンズ駆動機構24のモータの動作によって発生し、ズームボタンの種類を検出し(ステップS46)、さらにズームアップボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS47)。ズームアップボタンが押下された場合(つまり、ズームアップの場合)は、position_cntをカウントアップし(ステップS48)、ズームアップボタンが押下されていない場合(つまり、ズームダウンの場合)は、position_cntをカウントダウンする(ステップS49)。
【0045】
本実施例では、ステップS48の処理又はステップS49の処理の後、ロータリーエンコーダのパルス割込に、ズームの位置確認処理を行い(ステップS50)、その後、デジタルズーム回路倍率の設定を行う(ステップS51)。
【0046】
本実施例によれば、ステップS51における処理を追加したことにより、補助光学系のライブビュー42(図6参照)が、撮影用光学系のズーム位置に応じて拡大(又は縮小)表示される。
【0047】
すなわち、補助光学系の撮像素子からの入力に対して、表示倍率拡大を行うための画像処理プロセッサを追加することにより、撮影用光学系のズームポジション及び事前設定に従って、ピクチャ・イン・ピクチャ表示における補助光学系からの画像データの拡大倍率を変更することができる。
【0048】
よって、補助光学系からの映像において、ユーザが目的の被写体を見つけやすくすることができ、結果として撮像光学系のズーム操作による撮影構図決定がしやすくなる。
【0049】
《実施例2》
次に、実施例2について説明する。図18は、実施例2による撮像装置におけるズーム制御用の変数、及びそのテーブルを示している。ここで、position_cntは撮影用光学系のズームレンズ群の基準点からの位置をパルス数で保持することを示しており、また、position_tableは撮影用光学系のposition_cntで示されるズームレンズ位置と焦点距離のテーブルを、zoom_positionは撮影用光学系の現在の焦点距離を、assist_magn_rateは撮影用光学系とズーム撮影補助機能の表示倍率比を、assist_magnは補助光学系のデジタルズーム回路に適用する拡大倍率をそれぞれ示している。
【0050】
また、zoom_assist_magn_table1は、position_cntと、対応するズーム撮影補助機能の表示倍率のテーブル1(assist_magn_rate=0.25用)を、zoom_assist_magn_table2は、position_cntと、対応するズーム撮影補助機能の表示倍率のテーブル1(assist_magn_rate=0.5用)を、zoom_assist_magn_table3は、position_cntと、対応するズーム撮影補助機能の表示倍率のテーブル1(assist_magn_rate=0.75用)をそれぞれ示している。
【0051】
本実施例においては、上記のように、操作者により選択されるassist_magn_rate値を持つことと、zoom_assist_magn_tableを複数持つことである。これら2つの点が実施例1の場合と大きく異なっている。assist_magn_rateは、撮影用光学系と、補助光学系のズーム倍率の比を保持するために使用される。
【0052】
図19(A)は操作者がassist_magn_rateを選択するための画面例を示した図であり、また、図19(B)は選択の手順を示したフローチャートである。図19(A)の上図のように、画面上にズームアシスト倍率選択メニューが表示される(ステップS60)。そして、操作者が画面上でズーム撮影補助倍率比をクリックすると、図19(A)の下図のように、同画面上に0.25倍、0.5倍、0.75倍のズーム撮影補助倍率比が表示される。その表示されたズーム撮影補助倍率比の中から、操作者が任意のズーム撮影補助倍率比(例えば0.5倍)を選択すると、その選択されたズーム撮影補助倍率比に設定される(ステップS61)。
【0053】
図20は、ズーム撮影補助倍率比が選択される際の動作を示すフローチャートである。先ず、assist_magn_rateが0.25倍に選択されたか否かを判断され(ステップS70)、0.25倍に選択された場合は、ズーム撮影補助倍率比を0.25倍に設定する(ステップS71)。
【0054】
ステップS70において、0.25倍に選択されなかった場合は、assist_magn_rateが0.5倍に選択されたか否かを判断され(ステップS72)、0.5倍に選択された場合は、ズームアシト倍率比を0.5倍に設定する(ステップS73)。
【0055】
ステップS72において、0.5倍に選択されなかった場合は、ズーム撮影補助倍率比を0.75倍に設定する(ステップS74)。
【0056】
図21は、ズーム制御時にデジタルズーム回路倍率設定での倍率設定制御を説明する図である。図21(A)のposition_cntの値は図16(A)のposition_cntの値と同じであり、また図21(B)のposition_tableの値は図16(B)のposition_tableの値と同じである。本実施例では、図16(C)のzoom_assist_magn_tableの代わりに、図21(C)〜(E)のようにzoom_assist_magn_table1、zoom_assist_magn_table2、zoom_assist_magn_table3が追加されている。
【0057】
本実施例によれば、操作者が、選択した倍率に従ってズーム撮影補助倍率テーブルを選択して、補助光学系のライブビューの拡大倍率を決定することができる。これにより、操作者の要望に適したズーム撮影補助機能のライブビュー表示を得ることが可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
10 撮像装置
11 撮影用光学系
12 補助光学系
13 映像I/F
14 制御I/F
15 画像処理チップ
16 表示制御部
17 LCD
18 外部メモリ
19 操作部
22,23 ズームレンズ
24 ズームレンズ駆動機構
25 ズームレンズ位置検出機構
26 撮像素子
31 固定焦点レンズ
33 撮像素子
43 ロータリーエンコーダ
44 フォトインタラプタ
51 デジタルズーム回路
52 映像I/F
53 制御I/F
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2011‐045039号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームレンズを有する第一の光学系と、前記第一の光学系とは別の第二の光学系を備えた撮像装置であって、
前記第二の光学系は、前記第一の光学系の光学ズーム位置に応じたデジタルズーム倍率に設定され、
前記撮像装置は、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データを、前記デジタルズーム倍率によりデジタルズームして表示する表示手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第一の光学系の光学ズーム位置に対応する前記第二の光学系のズーム倍率を設定する設定手段を更に備え、
前記第一の光学系の光学ズーム位置が変更されると、第二の光学系は、前記設定手段により設定した、前記第一の光学系の変更した光学ズーム位置に対応する前記第二の光学系のズーム倍率に変更されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第一の光学系により結像される被写体像に基づく画像データをライブビュー表示するとともに、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データをライブビュー表示することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
ズームレンズを有する第一の光学系と、前記第一の光学系とは別の第二の光学系を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記第二の光学系を、前記第一の光学系の光学ズーム位置に応じたズーム倍率に設定し、
前記撮像装置の表示手段に、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データを、前記デジタルズーム倍率によりデジタルズームして表示することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項5】
前記第一の光学系の光学ズーム位置に対応する前記第二の光学系のズーム倍率を設定する設定手段を更に備えている場合、
前記第一の光学系の光学ズーム位置が変更されたとき、第二の光学系を、前記設定手段により設定した、前記第一の光学系の変更した光学ズーム位置に対応する前記第二の光学系のズーム倍率に変更することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項6】
前記第一の光学系により結像される被写体像に基づく画像データをライブビュー表示するとともに、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データをライブビュー表示することを特徴とする請求項4または5に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項1】
ズームレンズを有する第一の光学系と、前記第一の光学系とは別の第二の光学系を備えた撮像装置であって、
前記第二の光学系は、前記第一の光学系の光学ズーム位置に応じたデジタルズーム倍率に設定され、
前記撮像装置は、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データを、前記デジタルズーム倍率によりデジタルズームして表示する表示手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第一の光学系の光学ズーム位置に対応する前記第二の光学系のズーム倍率を設定する設定手段を更に備え、
前記第一の光学系の光学ズーム位置が変更されると、第二の光学系は、前記設定手段により設定した、前記第一の光学系の変更した光学ズーム位置に対応する前記第二の光学系のズーム倍率に変更されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第一の光学系により結像される被写体像に基づく画像データをライブビュー表示するとともに、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データをライブビュー表示することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
ズームレンズを有する第一の光学系と、前記第一の光学系とは別の第二の光学系を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記第二の光学系を、前記第一の光学系の光学ズーム位置に応じたズーム倍率に設定し、
前記撮像装置の表示手段に、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データを、前記デジタルズーム倍率によりデジタルズームして表示することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項5】
前記第一の光学系の光学ズーム位置に対応する前記第二の光学系のズーム倍率を設定する設定手段を更に備えている場合、
前記第一の光学系の光学ズーム位置が変更されたとき、第二の光学系を、前記設定手段により設定した、前記第一の光学系の変更した光学ズーム位置に対応する前記第二の光学系のズーム倍率に変更することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項6】
前記第一の光学系により結像される被写体像に基づく画像データをライブビュー表示するとともに、前記第二の光学系により結像される被写体像に基づく画像データをライブビュー表示することを特徴とする請求項4または5に記載の撮像装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−98905(P2013−98905A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242234(P2011−242234)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]