説明

撮像装置及び撮像装置の表示方法

【課題】本発明は、表示する内容に応じて透過型表示と反射型表示を切り換えることで省電力化を図ると共に、見易い表示を行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】カメラ1は、画像及び撮影情報を表示する液晶表示部材51と、液晶表示部材を照明する照明部材53と、液晶表示部材51と照明部材53との間に配置され、入射光の反射又は透過を電気的に切り換える反射制御部材52とを備え、反射型表示と透過型表示に切り換えが可能な液晶表示装置5を備える。液晶表示装置5は、撮影準備動作、撮影動作、撮影後動作における表示内容に応じて、反射型表示を行う第1の表示状態、透過型表示を行う第2の表示状態、及び表示を行わない非表示状態のいずれかに切り換えて表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型表示と透過型表示の切り換えが可能な液晶表示装置を有する撮像装置及び撮像装置の表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置の概略構成を図16に示す。液晶表示装置には、液晶表示部材510と、該液晶表示部材510を照明するための照明部材530を備えるものがある。液晶表示部材510には、導電ゴム540を介して回路基板560が電気的に接合され、該回路基板560から入力される制御信号に応じて表示状態が切り換わる。
【0003】
液晶表示部材510は、図17(a)又は図17(b)に示すような断面構造を採っている。フロントガラス511とリアガラス512との間には、スペーサ515と呼ばれる直径数ミクロン程度の球が配置され、均一な隙間が作られている。この均一な隙間には液晶が封入されており、その周りが封止材516により封止されている。フロントガラス511及びリアガラス512の外側表面には、偏光板513,514が貼り合わされている。図17(b)に示す液晶表示部材では、偏光板514の外表面に反射板517が貼り合わされている。
【0004】
一般にTN型液晶と呼ばれる液晶表示装置では、フロントガラス511とリアガラス512との間に封入された液晶に電圧を印加して制御するための透明電極(ITO膜)が形成されている。
【0005】
一方、TFT(Thin Film Transistor)と呼ばれる液晶表示装置は、一般的にカラー表示が可能で、格子状に規則正しく並べられた画素構造を採る。部分的に液晶の制御を行うためにリアガラス512の内側表面に画素毎に薄膜トランジスタが形成されている。この薄膜トランジスタを個々に駆動させることで画素毎に透過/非透過を制御することができる。また、カラー表示するために各画素に対応してフロントガラス511の内面にカラーフィルタが形成されている。
【0006】
TN型液晶もTFTもどちらもフロントガラス511とリアガラス512との間に電圧をかけるとその間にある液晶の分子が回転して偏光方向が変わるというものである。これにより、リアガラス512方向から来る光線を遮光したり、透過したりして各画素の点灯/非点灯を制御して画像を形成するようにしている。
【0007】
これら液晶表示装置では、そのままでは表示画像がほとんど見えないため、何らかの方法で液晶表示部材510を照明する必要がある。液晶表示部材510の照明方法としては、液晶表示部材510の表面から入射した光線(外光)を反射させて照明するものと、液晶表示部材510の裏面に配置された照明部材530により照明するものがある。外光を用いて照明するものを反射型液晶、照明部材を用いて照明するものを透過型液晶と呼ぶ。反射型液晶には、例えば、図17(b)に示すように、リアガラス512上の偏光板514にさらに反射板517を貼り付けることで外光を反射させて照明を行うものがある。透過型液晶は、図17(a)に示すように、反射板517を持たず、照明部材530からの照明光がそのまま透過できるようになっている。
【0008】
反射型液晶は、外光を利用し、透過型液晶に比べて余分な照明部材が不要であることから省電力である。液晶表示装置の表示面積が大きくなればなるほど多くの光量が必要となり、電力がかかってしまうので照明部材がないのは非常にメリットがある。しかしながら、明るい場所では十分な照明光が得られ表示が見えるが、暗い場所では反射光が得られないために照明ができず、表示が見えないという問題がある。
【0009】
一方、透過型液晶は、暗い場所でも照明部材により照明するので表示が見えるが、その分電力がかかってしまう。また、かなり明るい場所では照明光が十分でなく表示が見難くなるという問題がある。これに対して、反射型、透過型の両方の特性を持つ半透過型液晶がある。半透過型液晶は、明るい場所では反射型液晶として、暗い場所では透過型液晶として使えるように工夫されたものである。
【0010】
しかしながら、半透過(半反射)の反射板により、外光も照明部材からの光線もその半分が捨てられてしまうので光線の利用効率が悪く、表示が暗くなってしまうという問題がある。この問題を改善するために、例えば、特許文献1記載の表示装置が提案されている。この表示装置の構造は、画像を表示するための制御信号に基づいて駆動される第1液晶素子110の背面に、第1液晶素子110を照明する照明部140が配置されている。そして、第1液晶素子110と照明部140との間に、その光学的特性が透過及び反射の程度の異なる2状態のいずれにも切り換え可能な第2液晶素子130が挿入されている。また、外光の輝度を測定するための外光照度検出部104を備えている。
【0011】
外光照度検出部104で測定されたデータが制御部102に送られ、制御部102は外光輝度が所定値以上であると判断したときに、第2液晶素子130を透過式モード(透過式表示)に切り換える。そして、所定値以下のときに反射式モード(反射型表示)に切り換える。このように、外部環境の明るさに応じて視認性の高い照明方式を選択するというものである。
【特許文献1】特開2004−361727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1記載の表示装置では、反射型表示と透過型表示とを切り換えるために、外光照度検出部104のような検出装置を備えなければならず、コストがかかるという問題がある。
【0013】
また、外光を利用する反射型表示の場合、例えば、夕日などのように外光に色が付いていると表示画像にその色が付加され、正確なカラー画像が見ることができないおそれがある。すなわち、撮影した画像を確認して評価する場合は、表示画像に本来はない色が付加されたことで誤った評価をしないように、周辺の輝度に寄らず照明部材を用いた透過型表示で画像表示を行い、正しい色を再現させる方が望ましい。このことから、外光の輝度(周囲の明るさ)により反射型表示と透過型表示を切り換えてしまうと問題になることがある。
【0014】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたもので、表示する内容に応じて透過型表示と反射型表示を切り換えることで省電力化を図ると共に、見易い表示を行うことができる撮像装置及び撮像装置の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、画像及び撮影情報を表示する液晶表示部材と、前記液晶表示部材を照明する照明部材と、前記液晶表示部材と前記照明部材との間に配置され、入射光の反射又は透過を電気的に切り換える反射制御部材とを備え、反射型表示と透過型表示に切り換えが可能な液晶表示装置を備える撮像装置において、前記液晶表示装置は、撮影準備動作、撮影動作、撮影後動作における表示内容に応じて、反射型表示を行う第1の表示状態、透過型表示を行う第2の表示状態、及び表示を行わない非表示状態のいずれかに切り換えて表示を行うことを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置の表示方法は、画像及び撮影情報を表示する液晶表示部材と、前記液晶表示部材を照明する照明部材と、前記液晶表示部材と前記照明部材との間に配置され、入射光の反射又は透過を電気的に切り換える反射制御部材とを備え、反射型表示と透過型表示に切り換えが可能な液晶表示装置を備える撮像装置の表示方法において、撮影準備動作、撮影動作、撮影後動作における表示内容に応じて、反射型表示を行う第1の表示状態、透過型表示を行う第2の表示状態、及び表示を行わない非表示状態のいずれかに切り換えて表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示する内容に応じて透過型表示と反射型表示を切り換えることで省電力化を図ると共に、見易い表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
【0020】
本発明の実施形態に係る撮像装置は一眼レフカメラ(以下、単に「カメラ」と略す。)1から成る。カメラ1は、CPU2と、シャッタ3と、撮像部4と、液晶表示装置5と、焦点検出装置6と、測光装置7と、設定変更ボタン群8と、表示切り換えボタン9と、レリーズSW10と、メインミラー11とを備える。なお、カメラ1の構成はこれらに限定されないが、本発明の説明に必要な部分以外は省略する。
【0021】
CPU2は、カメラ1の動作を制御する中央演算装置である。撮像部4は、撮影レンズ(不図示)、CCD等で構成され、静止画、動画を撮影することができる。シャッタ3は、撮像部4への入射光の遮断、通過を制御するためのシャッタである。
【0022】
液晶表示装置5は、反射型表示と透過型表示に切り換え可能な液晶表示装置である。液晶表示装置5は、撮像部4で撮影された静止画や動画等の画像情報、撮影情報を表示する液晶表示部材51と、入射光の反射及び透過を電気的に切り換える反射制御部材52と、液晶表示部材51を裏面から照明する照明部材53とで構成される。
【0023】
焦点検出装置6は被写体までの焦点状態を検出するための焦点検出装置である。測光装置7は被写体の明るさを測定するための測光装置である。設定変更ボタン群8は、カメラ1の撮影設定等を変更するための複数のボタンで構成される。表示切り換えボタン9(表示切り換え手段)は、液晶表示装置5の現在の表示を他の表示に切り換えるためのボタンである。
【0024】
レリーズスイッチ10は被写体を撮像するときのトリガーとなるレリーズスイッチである。レリーズスイッチ10は、SW1,SW2という2段階の構成を有する。1段目のSW1がONされたときは、CPU2が焦点検出装置7による被写体までの焦点検出を行ったり、測光装置7による被写体の明るさ測定を行う。そして、2段目のSW2がONされたときは、SW1のON時に行われた前述の動作を元に撮影が行われる。11はメインミラーであり、撮像部3内の撮影レンズにより結像される被写体像を、フォーカシングスクリーン(図11の21)に導くと共に、その一部を透過させ、サブミラー(図11の22)を通して焦点検出装置6へ導くためのミラーである。
【0025】
図2は、図1の液晶表示装置5の概略構造を示す断面図である。
【0026】
図2において、液晶表示部材51は、導電ゴム54によって回路基板56が電気的に接合されており、CPU2等が配置された回路基板56からの制御信号により画像や撮影情報等を表示することができる。
【0027】
反射制御部材52は、液晶表示部材51と照明部材53との間に配置され、導電ゴム55によって回路基板56が電気的に接合されており、回路基板56からの制御信号により表面を反射状態又は透過状態に切り換えることができる。これにより、液晶表示装置5を反射型表示と透過型表示に切り換えが可能となる。
【0028】
反射型表示として外光により液晶表示部材51を照明する場合、反射制御部材52が回路基板56からの制御信号により反射状態になる。この場合、図2に示すように、液晶表示部材51の上面からの外光である光線100aが液晶表示部材51を通って反射制御部材52によって反射され、再び液晶表示部材51に入射する。これにより、液晶表示部材51の照明を行うことができる。
【0029】
一方、透過型表示として照明部材53により液晶表示部材51を照明する場合、反射制御部材52が回路基板56からの制御信号により透過状態になる。この場合、照明部材53からの光線100bが反射制御部材52を通過して液晶表示部材51を照明する。
【0030】
次に、カメラ1の動作に対する液晶表示装置5の表示状態について説明する。
【0031】
図3は、液晶表示装置5に撮影情報表示がされたカメラ1の外観を示す図である。図4は、液晶表示装置5に設定変更表示がされたカメラ1の外観を示す図である。図5は、カメラの動作に関する設定が変更されたときのカメラ1の外観を示す図である。図6は、液晶表示装置5に撮影画像が表示されたカメラ1の外観を示す図である。図7は、液晶表示装置5に撮影画像とそのヒストグラムが表示されたカメラ1の外観を示す図である。
【0032】
図3〜図7において、カメラ1の液晶表示装置5の周囲には、設定変更ボタン群8と、表示切り換えボタン9と、光学ファインダ20とが配置されている。設定変更ボタン群8には、メニューボタン81、上下方向ボタン82、左右方向ボタン83、セットボタン84が含まれる。
【0033】
カメラ1の動作を大きく分けると、撮影準備動作(撮影前動作)、撮影動作、撮影後動作の3つに分けられる。
【0034】
撮影準備動作は、撮影前に、カメラ1がシャッタスピードや絞り値の変更等を含む撮影に関する設定の変更を受け付ける動作をいう。カメラ1のユーザは、設定変更ボタン群8を操作し、シャッタスピードや絞り値等を変更しながら所望の撮影条件を設定する。設定変更ボタン群8での操作内容は、CPU2で演算されてシャッタ3等に伝えられる。このような設定が行われる場合、液晶表示装置5は図3に示すような撮影情報表示状態になる。撮影情報表示状態では、その表示内容が、シャッタスピードや絞り値、感度(ISO)撮影モード(シャッタ優先、絞り優先、プログラム等)、測光方式、ホワイトバランス設定、撮影枚数などのカメラ1の状態を示すものになっている。撮影情報表示状態時には、文字やアイコンを使った表示となる。
【0035】
また、撮影準備動作には、上述した撮影に関する設定変更の他に、カメラの動作に関する設定の変更を受け付ける動作が含まれる。このとき、液晶表示装置5は図4に示すような設定変更表示状態になる。設定変更表示状態では、その表示内容が、撮影画像の保存形式の設定やストロボ発光時の補正量を決める調光補正の設定、カメラの動作をユーザが好みにカスタマイズできるカスタムファンクションの設定等を行うためのものになっている。撮影画像の保存形式の設定は、画像の記録形式を決定するためのもので、RAW形式とかJPEG形式といった形式を選択したり、JPEG形式での圧縮率を設定したりというものである。カメラ1のユーザは、このような設定を行う場合も設定変更ボタン群8を操作して好みのものを探して設定を行う。設定された情報は、CPU2内の設定値の変更に使われたり、別のユニット内の設定の変更に使われたりする。設定変更表示状態時には、上述の撮影情報表示状態時と同様に、文字やアイコンを使った表示となる。
【0036】
ここで、カメラの動作に関する設定についての操作例を図4及び図5を参照して説明する。
【0037】
通常は、図3に示す撮影情報表示状態となっていてメニューボタン81が押下されると、図4に示す設定変更表示状態に変化する。次に、設定変更表示状態時に、ユーザは上下方向ボタン82又は左右方向ボタン83を押して変更したいメニューにカーソルを移動させる。ここでは『色空間』を変更するため『色空間』のところにカーソルを移動させている。そして、セットボタン84が押下されると、液晶表示装置5は図5に示す表示状態に変化する。この表示状態時には、選択可能な項目が選択したメニューの右側に現れる。ユーザは上下方向ボタン82、左右方向ボタン83で選択したい項目にカーソルを移動させ(ここでは『sRGB』を選択)、セットボタン84を押すとその項目が設定される。
【0038】
撮影後動作は、画像確認や画像評価を行う動作をいう。画像確認とは、図6に示すように撮影した画像を表示させ、どのような画像が撮れたか、色合いや構図、ピントがあっているかどうかを確認するものである。また、画像の評価は、図7に示すように画像の輝度分布を表すヒストグラム等を表示させて画像の質を見るものである。ヒストグラムと同時に撮影画像も表示させておいて画素が飽和した(1画素に蓄えられる光の量に上限があり、これを越えた状態)部分を点滅表示して警告を行うなどの表示がなされている。これら以外にも撮影の条件や日付などの情報も表示されるものである。
【0039】
図8は、カメラ1の動作と液晶表示装置5の表示状態との対応を示す図である。
【0040】
図8において、左側の項目がカメラの動作内容を示し、右側の項目が液晶表示装置5の表示状態を示している。図3に示した撮影情報表示(S101)の場合、液晶表示装置5に表示された内容は外光の色などの影響を多少受けても特に問題にならないものである。また、この撮影情報表示は、メニューボタン81が押されなければ常時表示される形態であるため、表示時間が長いものとなっている。この撮影情報表示の際に、液晶表示装置5を反射型で表示する第1の表示状態(S111)にすることで、照明部材53による液晶表示部材51の照明を行う必要がなく、省電力化を図ることができる。
【0041】
次に、図4及び図5に示した設定変更表示(S102)の場合、S101と同じように液晶表示装置5に文字やアイコンが表示されるが、液晶表示装置5の輝度や色合いが変更されることがある。また、設定変更表示は、メニューボタン81を押してから設定を変更するまでの間に表示されるため、表示時間は比較的短い。そこで、設定変更表示の場合は、短時間の表示で省電力効果も少ないことから、液晶表示装置5を透過型で表示する第2の表示状態(S112)に切り換える。
【0042】
撮影動作(S103)の場合は、通常、ユーザは光学ファインダ20を覗いている状態にあり、液晶表示装置5を見ていないので、液晶表示装置5を消灯(S113)する(非表示状態)。これにより、さらに省電力化を図ることができる。また、撮影動作時に限定せず、光学ファインダ20を覗いている間は、液晶表示装置5を消灯するように構成してもよい。
【0043】
撮影後動作時の撮影画像表示(S104)の場合、撮影した画像を評価するときは、液晶表示装置5に撮影画像ができるだけ忠実に表示されている必要がある。また、外光の状態に影響されると誤った評価を行う恐れがあるので、液晶表示装置5を第2の表示状態(S112)に切り換える。画像確認を行う場合、撮影直後に撮影画像を一定時間表示する状態と過去に撮影した画像を表示する状態とがあるが、どちらも忠実な表示が要求されるので、同様に、液晶表示装置5を第2の表示状態とする方が好ましい。
【0044】
一方、画像の詳細情報を表示するヒストグラム表示(S105)の場合、ヒストグラムと共に画像も表示されるので、液晶表示装置5が第2の表示状態にある方が良いと思われる。しかしながら、この表示状態のときはヒストグラムなどの分析データを元に画像を評価するものであるため、画像そのものを見て評価するものではない。そこで、液晶表示装置5を第1の表示状態(S111)にし、その分省電力化を図るようにする。
【0045】
上記実施の形態によれば、表示内容に応じて透過型表示と反射型表示を切り換えることで表示品位を落とすことなく省電力化を図ると共に、見易い表示を行うことができる。
【0046】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る撮像装置は、その構成(図1〜図2)が上記第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の動作と液晶表示装置の表示状態との対応を示す図であり、図8と同様に、左側の項目が撮像装置(カメラ1)の動作内容を示し、右側の項目が液晶表示装置5の表示状態を示している。
【0048】
上述したように、設定変更表示(S102)の状態で操作が行われる場合、液晶表示装置5の輝度や色合い等の設定が変更されることがあるので、第2の表示状態(S112)としていたが、中には液晶表示装置5の設定に関係のない設定というのもある。そこで、設定変更表示(S102)の状態でも、その設定内容に応じて液晶表示装置5の状態を切り換えるようにしてもよい。
【0049】
液晶表示装置5の表示状態を設定する表示器設定(S102a)の場合と、カメラの動作に関する設定を行なうカメラ設定(S102b)の場合とで場合分けをする。表示器設定の場合とは、液晶表示装置5の見え、例えば色合いや輝度、コントラストなど、液晶表示装置の表示設定を行うことをいう。カメラ設定の場合とは、電子音のON/OFFや一定時間動作させなかった場合に電源を落とすオートパワーオフといったものをいう。
【0050】
そして、表示器設定(S102a)の場合には液晶表示装置5の見えが絡むので、液晶表示装置5を第2の表示状態(S112)に切り換え、カメラ設定(S102b)の場合には第1の表示状態(S111)に切り換える。このように、同じ設定変更表示の状態であっても、その表示内容に応じて第1の表示状態か第2の表示状態かを細かく切り換えることでさらに効率良く省電力化を図ることができる。
【0051】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る撮像装置は、その構成(図1〜図2)が上記第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
【0052】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の動作と液晶表示装置の表示状態との対応を示す図であり、図8と同様に、左側の項目が撮像装置(カメラ1)の動作内容を示し、右側の項目が液晶表示装置5の表示状態を示している。
【0053】
撮影準備動作における撮影情報表示(S101)の場合は、液晶表示装置5を第1の表示状態(S111)に切り換えて省電力化を図る。一方、設定変更表示(S102)の場合は、液晶表示装置5を第2の表示状態(S112)に切り換えることで目的に合った表示を行う。本第3の実施形態は、これらに関して上記第1の実施形態と同じであるが、撮影準備動作時に動画表示(S106)を行う点が異なる。
【0054】
デジタル一眼レフカメラの場合、撮影準備動作時には、図11(a)に示すようにメインミラー11が下り、被写体からの光線が光学ファインダ20へと導かれる。一方、撮影動作時には、図11(b)に示すように、メインミラー11が跳ね上げられ、シャッタ3が開放されて撮像部4へと光線が導かれるようになる。そのため、撮影準備動作時には、撮像部4に光線が届かないので、このままでは被写体画像を得ることができない。
【0055】
そこで、メインミラー11をハーフミラーにしたり、光学ファインダ内に観察用の撮像素子を設けてメインミラー11が下りていても被写体画像を得るように工夫したものがある。また、撮影準備動作時において、図11(b)のような状態となるモードを備え、被写体画像が得られるようにしたものもある。さらに、図12(a)に示すコンパクトデジタルカメラや図12(b)に示すビデオカメラにおいてはメインミラー11が存在しないので、撮像部4には常に被写体からの光線が当るようになっている。
【0056】
これらの構成を採るような場合、被写体画像を逐一液晶表示装置5に表示させて実際撮像される状態を観察しながら撮像することができる。この場合が撮影準備動作時における動画表示(S106)である。
【0057】
動画表示(S106)で撮影を行う場合、構図の確認を行うために画像を表示させるので、必ずしも色合いまで忠実に再現されていなくてもよい。また、動画表示の際は、画像が長時間表示されている可能性が高いので、透過型表示にするとかなりの電力を消費してしまう。そこで、撮影準備動作の動画表示(S106)の際は液晶表示装置5を第1の表示状態(S111)に切り換える。
【0058】
一方、色合いの忠実な再現は不要でも反射型表示にすると外光の明るさによって表示画像が暗かったり、また明るかったりしてしまうため、露出制御を誤ってしまう可能性もある。このような考え方の場合は、撮影準備動作時の動画表示(S106)であっても、図13に示すように、液晶表示装置5を第2の表示状態(S112)にしてもよい。また、通常は液晶表示装置5を第1の表示状態(S111)にし、動画表示中のあるタイミング(例えば、レリーズスイッチ2のSW1がONになったとき)には第2の表示状態(S112)に切り換えてもよい。これにより、明るさの確認が必要な場合にのみ透過型表示となり、省電力化を図りながら必要な確認もできる。
【0059】
なお、本第3の実施形態では、上記第1の実施形態に適用した場合について説明したが、第2の実施形態に適用可能であることは云うまでもない。すなわち、図9に対して、S106の動画表示とS111の第1の表示状態が追加しても本発明の効果が得られる。
【0060】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る撮像装置は、その構成(図1〜図2)が上記第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
【0061】
図14は、本発明の第4の実施形態に係る撮像装置の動作と液晶表示装置の表示状態との対応を示す図であり、図8と同様に、左側の項目が撮像装置(カメラ1)の動作内容を示し、右側の項目が液晶表示装置5の表示状態を示している。
【0062】
撮影情報表示(S101)や設定変更表示(S102)、動画表示(S106)を行う撮影準備動作時には、基本的に文字やアイコンで表示される情報が多い。また、動画表示(S106)の際には、上記第3の実施形態で説明したように、構図の確認を行うために画像を表示させるので、さほど忠実な画像表示を必要としない。
【0063】
一方、撮影後動作時には、撮影した画像の確認(S104の撮影画像表示)や評価(S105のヒストグラム表示)といった作業が行われることから、できるだけ忠実な画像表示が必要となる。
【0064】
このことから、撮影準備動作時には常に第1の表示状態(S111)にし、撮影後動作時には常に第2の表示状態(S112)としておくと、十分な省電力効果がある。また、液晶表示装置5の表示状態がどちらであるかをユーザが感覚的に分かるので、外光状態を考慮して見難いであろうと判断したときには、ユーザが素早く表示切り換えボタン9を操作して対応を採ることができる。これにより、カメラ1の使い勝手を向上させることができる。
【0065】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る撮像装置は、その構成(図1〜図2)が上記第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
【0066】
図15は、本発明の第5の実施形態に係る撮像装置の液晶表示装置5の表示制御を示すフローチャートである。本処理は、液晶表示装置5が第2の表示状態(透過型表示)にあるとき(ステップS200)に、CPU2により実行される処理である。
【0067】
ステップS201において、CPU2は、液晶表示装置5が第2の表示状態で表示されている時間tが所定時間t1を越えるか否かを判定する。時間の計測は、CPU2に内蔵された計時手段が行っても、他の計時手段が行ってもよい。第2の表示状態での表示時間tが所定時間t1を越えていなければステップS202へ進み、引き続き第2の表示状態で表示を行い、ステップS203へ進む。一方、第2の表示状態での表示時間tが所定時間t1を越えた場合にはステップS204へと進む。
【0068】
ステップS203では、CPU2は、設定変更ボタン群8などが操作されたか否かを判断する。何らかのボタンが操作された場合は、計時手段をリセットするためにリターンしてルーチンから抜ける。一方、操作されていない場合は再びステップS201へ戻って表示時間tと所定時間t1との比較を行う。
【0069】
ステップS204では、第1の表示状態での表示時間tが所定時間t2を越えるか否かを判定する。表示時間tが所定時間t2を超えていなければステップS205に進み、液晶表示装置5を第1の表示状態に切り換える。その後、上述のステップS203と同じように、いずれかのボタンが操作されたか否かを判断し、操作されていればリターンしてルーチンから抜ける。一方、第1の表示状態での表示時間が所定時間t2を越えた場合にはステップS206へと進んで液晶表示装置5を消灯する。
【0070】
以上のように、液晶表示装置5が第2の表示状態にある場合、0≦t≦t1の間では液晶表示装置5を第2の表示状態で表示し、t1<t≦t2の間では第1の表示状態に切り換える。そして、表示時間tが所定時間t2を越えると液晶表示装置5を消灯する。これにより、第2の表示状態での長時間の表示を防ぐことができ、省電力化を図ることができる。
【0071】
また、表示時間tが所定時間t1を越えても、所定時間t2までは液晶表示装置5が表示を行うので、詳細な評価をする場合でなければ、所定時間t2までは表示を見ることができる。液晶表示装置5が第1の表示状態になっても、ボタン操作を行うとルーチンから抜けるので、ボタン操作だけで表示内容を変更しなければ再び第2の表示状態に戻ることになる。そして、改めて計時が開始されることになる。
【0072】
上記第1〜5の実施の形態では、カメラ1の動作に対応して液晶表示装置5を第1の表示状態又は第2の表示状態(又は非表示状態)に切り換えている。しかしながら、外光がない真っ暗な環境において反射型表示(第1の表示状態)では見えず、外光がかなり明るい場合は透過型表示(第2の表示状態)では照明部材53の輝度によっては見難くなってしまう。
【0073】
そこで、表示切り換えボタン9が押下されたときに、現在の表示状態を他の表示状態に切り換えるように構成してもよい。例えば、周囲が暗い環境で第1の表示状態にあるときに表示切り換えボタン9が押下されると、液晶表示装置5を第2の表示状態に切り換え、照明部材53を点灯して液晶表示部材51を照明する。これにより、どんな環境であってもユーザが液晶表示装置5の表示状態を変更することができる。その上、省電力でありながら表示状態に問題がある場合は、ユーザ自身の操作により容易に対処できるので、カメラの使い勝手を向上させることができる。
【0074】
また、設定の確認や撮影条件の確認等で一時的に表示状態を切り換えたい場合や画像を観察するなどでしばらくその表示状態を維持したい場合がある。そこで、表示切り換えボタンに対する操作内容に応じて、第1の表示状態、第2の表示状態、及び非表示状態のいずれかに切り換えて表示を行ってもよい。例えば、表示切り換えボタン9が押し続けられている間(ON時)は他の表示状態に一時的に切り換え、ボタン9が離されたとき(OFF時)に元の表示状態に戻すように構成してもよい。また、短時間押された(押してすぐ離された)場合は、他の表示状態に切り換えるように構成してもよい。これにより、ボタンの数を増やすことなく操作性及び機能性を向上させることができる。
【0075】
上記実施の形態では、本発明を一眼レフカメラに適用した場合について説明したが、動画撮影を行うビデオカメラであっても同様の効果が得られることはいうまでもない。その他のカメラにおいても本構成を適応できるカメラであれば実施例になんら制限を与えるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】図1の液晶表示装置5の概略構造を示す断面図である。
【図3】液晶表示装置5に撮影情報表示がされたカメラ1の外観を示す図である。
【図4】液晶表示装置5に設定変更表示がされたカメラ1の外観を示す図である。
【図5】カメラの動作に関する設定が変更されたときのカメラ1の外観を示す図である。
【図6】液晶表示装置5に撮影画像が表示されたカメラ1の外観を示す図である。
【図7】液晶表示装置5に撮影画像とそのヒストグラムが表示されたカメラ1の外観を示す図である。
【図8】カメラ1の動作と液晶表示装置5の表示状態との対応を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の動作と液晶表示装置の表示状態との対応を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の動作と液晶表示装置の表示状態との対応を示す図である。
【図11】デジタル一眼レフカメラの概略構造を示す縦断面図であり、(a)は撮影準備動作時、(b)は撮影動作時を示す。
【図12】(a)はコンパクトデジタルカメラの概略構造を示す縦断面図、(b)はビデオカメラの概略構造を示す縦断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の動作と液晶表示装置の表示状態との対応の他の例を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る撮像装置の動作と液晶表示装置の表示状態との対応を示す図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る撮像装置の液晶表示装置5の表示制御を示すフローチャートである。
【図16】照明装置を用いた従来の液晶表示装置の概略構成を示す図である。
【図17】従来の液晶表示装置に用いられる液晶表示部材の概略断面図であり、(a)は透過型、(b)は反射型を示す。
【符号の説明】
【0077】
1 カメラ
2 CPU
4 撮像部
5 液晶表示装置
8 設定変更ボタン群
9 表示切り換えボタン
51 液晶表示部材
52 反射制御部材
53 照明部材
81 メニューボタン
82 上下方向ボタン
83 左右方向ボタン
84 セットボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像及び撮影情報を表示する液晶表示部材と、前記液晶表示部材を照明する照明部材と、前記液晶表示部材と前記照明部材との間に配置され、入射光の反射又は透過を電気的に切り換える反射制御部材とを備え、反射型表示と透過型表示に切り換えが可能な液晶表示装置を備える撮像装置において、
前記液晶表示装置は、撮影準備動作、撮影動作、撮影後動作における表示内容に応じて、反射型表示を行う第1の表示状態、透過型表示を行う第2の表示状態、及び表示を行わない非表示状態のいずれかに切り換えて表示を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記液晶表示装置は、前記撮影準備動作時の表示内容が、前記撮像装置の状態を示す撮影情報表示の場合は前記第1の表示状態で表示を行い、前記撮像装置の動作に関する設定を変更するための設定変更表示の場合は前記第2の表示状態で表示を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記液晶表示装置は、前記撮影動作時には前記非表示状態とすると共に、前記撮影後動作時の表示内容が撮影画像を表示している場合は前記第2の表示状態で表示を行なうことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記液晶表示装置は、前記撮影準備動作時の表示内容が、前記撮像装置の状態を示す撮影情報表示の場合は前記第1の表示状態で表示を行い、前記撮像装置の動作に関する設定を変更するための設定変更表示の場合、当該液晶表示装置の表示設定を行うときは、前記第2の表示状態で表示を行う一方、前記撮像装置の動作に関する設定を変更するための設定変更表示の場合は前記第1の表示状態で表示を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記液晶表示装置は、前記撮影準備動作時の表示内容が、構図の確認を行うために画像を表示する動画表示の場合は前記第1の表示状態で表示を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記液晶表示装置は、前記撮影準備動作時には前記第1の表示状態で表示を行い、前記撮影後動作時には前記第2の表示状態で表示を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記液晶表示装置の現在の表示を他の表示に切り換えるための表示切り換え手段を更に備え、
前記液晶表示装置は、前記表示切り換え手段に対する操作内容に応じて、前記第1の表示状態、前記第2の表示状態、及び前記非表示状態のいずれかに切り換えて表示を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記液晶表示装置は、前記表示切り換え手段が押し続けられている間は他の表示状態に一時的に切り換え、また押してすぐ離されたときは他の表示状態に切り換えることを特徴とする請求項6記載の撮像装置。
【請求項9】
前記液晶表示装置は、前記第2の表示状態での表示時間が所定時間を越えたときは、前記第1の表示状態に切り換えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
画像及び撮影情報を表示する液晶表示部材と、前記液晶表示部材を照明する照明部材と、前記液晶表示部材と前記照明部材との間に配置され、入射光の反射又は透過を電気的に切り換える反射制御部材とを備え、反射型表示と透過型表示に切り換えが可能な液晶表示装置を備える撮像装置の表示方法において、
撮影準備動作、撮影動作、撮影後動作における表示内容に応じて、反射型表示を行う第1の表示状態、透過型表示を行う第2の表示状態、及び表示を行わない非表示状態のいずれかに切り換えて表示を行うことを特徴とする撮像装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−60395(P2009−60395A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226162(P2007−226162)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】