説明

撮像装置

【課題】 無線機器を携帯電子機器に内蔵した場合、無線通信状態を携帯電子機器の体勢に関わらずユーザが確認できるようにする。
【解決手段】 本発明は、外部装置との無線信号を送受信するためのアンテナ72と無線信号を処理するための無線処理手段と無線通信状況を表示するための発光手段10を有する撮像装置において、前記発光手段10から発した光を少なくとも2方向に導光する導光部材9を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、詳しくは、無線通信を備えた撮像装置において、無線通信状況をユーザに通知するする表示手段に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンや周辺機器のワイヤレス化の進行に伴い、デジタルカメラのような携帯電子機器への無線LANや、Buletoothの搭載が望まれている。携帯電子機器に無線機器を搭載することにより、パソコンや周辺機器とのワイヤレスの通信が可能となり、幅広い使用が可能となる。しかしこのような場合に、従来のようなケーブルを繋いで外部機器との接続することなく通信を行うため、ユーザが無線通信中や通信可能状況にあることを視覚的に判断しにくいという問題が生じる。このような問題を解決するために、LED(Light Emitting Diode)のような発光手段を用いて無線通信状態をユーザに知らせる方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、通常動作モードと、メンテナンスモードと、電源投入時のパワーオンセルフテストモードの、それぞれのモードにおいてLEDの発光制御を行い、ユーザへの通知を行う方法を提案している。
【0004】
他の方法としては、LCD(Liquid Crystal Display)のような表示手段を用いて無線通信状況をユーザに知らせる方法が知られている。この方法では、LCDに無線通信状況および無線待機中の表示をすることによりユーザが携帯電子機器の通信状況確認することが可能となる。
【特許文献1】特開2001−345881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線機器を携帯電子機器に搭載することにより、ケーブルの長さにとらわれない遠距離からの通信が可能となる。さらに、パソコンや周辺機器からの遠隔操作が容易になるため、携帯電子機器に対し、様々な角度からの使用が予想される。
【0006】
このような場合に、前述ようなLEDやLCDによりユーザに知らせる方法では、LEDの光やLCDの画面を見ることができない角度で使用した場合や、LCDに表示されている文字が見えない距離から操作を行った場合に、無線通信状況を確認できないという問題が生じる。
【0007】
そこで、無線機器を携帯電子機器に内蔵した場合、無線通信状況を様々な角度や遠距離から確認できることが望まれていた。
【0008】
本発明は、以上のような問題点に着目して成されたものであって、無線の通信状況(通信ON/OFF、通信待機)を複数方向から容易に判断できるための表示手段を備えた撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、外部装置との無線信号を送受信するためのアンテナと、無線信号を処理するための無線処理手段と、無線通信状況を表示するための発光手段と、を有する撮像装置において、前記発光手段から発した光を少なくとも2方向に導光する導光部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯電子機器に無線機器を搭載した場合に、無線通信状況を表示する手段が必要であり、その表示は、遠隔操作時を想定し様々な角度および遠距離からの確認が可能であることが望ましい。
【0011】
請求項1に記載のように無線通信状況を表示するための発光手段を有し、発光手段から発した光を少なくとも2方向に導光する導光部材を有することにより、一つの発光手段で複数方向への表示が可能となる。これにより、無線通信状況を複数の方向に表示することが可能となり、携帯電子機器を操作する方向にとらわれないユーザへの表示が可能となる。また、発光手段により、無線通信状況を表示するため、LCDに通信状況を表示する場合と比較し遠距離からの確認が可能となる。さらに、一つの発光手段により複数の方向への発光が可能になるため、低コスト、低消費電力化が可能となる。
【0012】
また、請求項2に記載のように、発行手段から発せられた光を複数方向に導光する導光部材が一部品で構成されることにより、部品コストの低減および構成部品の省スペース化が可能となる。
【0013】
さらに、請求項3に記載のように導光部材により導光される方向が携帯電子機器の前後であることは、携帯電子機器の多くは正面、後面の面積が最も大きい場合が多いため、発光手段から発光された光をユーザが確認できる範囲の拡大が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本実施例で用いるデジタルカメラ1の外観図である。本実施例で用いる撮像装置は、デジタルカメラとしての機能を有するカメラ部と無線通信機能を有する無線通信部に大別される。カメラ部には、シャッターを切るためのレリーズボタン2、撮影する範囲の確認を行うためのファインダ3、暗い所での撮影を補助するためのストロボ4、光学系の処理を行うためのレンズ、鏡筒ユニット5、撮影画像、メニュー設定画面などの画像表示のための表示部であるLCD6、各種機能を設定するための機能設定ボタン7を備えている。また、無線通信部8には、無線通信を制御するための無線モジュール、無線信号を送受信するためのアンテナを有している。また、カメラ部と無線通信部8の間には、無線通信状況を表示するためのLEDとLEDから発した光を導光するための導光部材9が配置される。
【0016】
図2にLEDと導光部材の拡大図を、図3にLEDの導光状況を、それぞれ示す。
【0017】
図3のように、LED10から発した光が導光部材9により、カメラの正面方向と後面方向に分光される。これにより、カメラの正面、後面からもLED10の発光を確認することができる。
【0018】
そのため、無線によりデジタルカメラを遠隔操作している場合にも、カメラの体勢に関わらずLEDの光を確認することが可能となる。また、導光部材9は一部品で構成されているため、部品コスト低減、部品の省スペース化を達成できる。さらに、一つのLED10で2方向への発光が可能なため、部品コストの低減に加え低消費電力化が可能となる。
【0019】
本実施例で示した無線通信機能を搭載したデジタルカメラのブロック図を図4に示す。
【0020】
図示するように、デジタルカメラ1には、撮像部20、撮像信号処理部30、制御部40、操作部50、表示部60、無線通信部8が設けられている。
【0021】
撮像部20は、フォーカスレンズやズームレンズ等の撮影レンズ21とCCD22を有し、撮影レンズ21を通過した被写体象がCCD22の受光面上に結像し、結像した被写体の光量に応じ、電荷が蓄積される。撮像部20はさらに、ファインダ3とストロボ4を有しており、ファインダ3では、撮影する範囲の確認を行うことができ、ストロボ4は、コンデンサに蓄えられたエネルギーが放電管に供給されたときに発光することで機能する。
【0022】
撮像信号処理部30では、CCD22から出力されたアナログ信号を、R、G、B成分に分解し、ホワイトバランスが調整される。さらに、撮像信号処理部30では、ガンマ補正を行い、必要なタイミングでR、G、B信号を順じA/D変換し、得られたデジタル画像データを制御部40に出力する。
【0023】
制御部40はCPU41とメモリ制御部42からなる。CPU41はカメラを動作させるための制御を行う。ストロボ発光の制御や絞りの調整、外部装置との通信の際、無線による通信か有線による通信かの制御も行う。メモリ制御部42は、不揮発性メモリとメインメモリを制御する。不揮発性メモリには、ユーザによる設定情報や出荷時の調整値等、デジタルカメラの電源がOFFの間も保持すべきデータが格納されている。メインメモリには、撮像信号処理部30から出力されたデータを格納するフレームメモリとしての機能、各種プログラムをロードするシステムメモリとしての機能、その他ワークエリアとしての機能をもつ。
【0024】
操作部50は、ユーザによるスイッチ操作を検出し制御部40に制御信号を出力する。パワースイッチ51は、デジタルカメラの電源ON/OFFを決める。レリーズボタン2は、半押しと全押しの二段階押し込み構造になっている。半押しで、AFおよびAEをロックし、全押しで撮影画像の取り込みが行われる。ズームボタン52はズームレンズの倍率を設定する。操作部50では、これらのスイッチの他、回転モードダイヤルや十字キー等によるボタンを設定してもよく、機能設定ボタン7と称している。機能設定ボタン7で指定できる動作としては、ファイルフォーマット、特殊機能、決定/保存、表示切り替え、無線通信を行うための無線通信ボタンがある。
【0025】
表示部60は、LCD6、LCD駆動回路61を備えている。LCD6はLCD駆動回路61により制御されることにより画像データを表示するほか、無線通信を行うためのメニューのような設定画面を表示する。
【0026】
無線通信部8は無線通信を制御するための無線モジュール71、無線信号を送受信するためのアンテナ72、無線通信状況を表示するためのLED10を備えている。操作部50により無線通信の操作が行われると、制御部40を通じて無線モジュール71に信号が伝わり、アンテナ72を通じて外部装置とのデータのやり取りを行う。ここで、無線モジュール71は、無線通信のための信号をアンテナ72に送るとともに、LED10の発光制御を行う。本実施例では、無線通信によりデータを通信している場合にはLEDを点滅させ、無線待機状態の場合にはLEDを点灯させる。さらに、無線部がスリープモードの場合や通信状態が悪く通信が行うことができない場合にはLEDを消灯する。これにより、ユーザはデジタルカメラの通信状況を遠隔操作をしているような場合においても把握することができる。そのため、通信中にデジタルカメラの電源やパソコン、周辺機器の電源を落としてしまうようなことを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施例におけるデジタルカメラの外観概略図
【図2】本実施例におけるLEDと導光部材の拡大図
【図3】本実施例におけるLEDの導光状況を説明する図
【図4】本実施例における無線通信機能を搭載したデジタルカメラのブロック図
【符号の説明】
【0028】
1 デジタルカメラ
2 レリーズボタン
3 ファインダ
4 ストロボ
5 レンズ、鏡筒ユニット
6 LCD
7 機能設定ボタン
8 無線通信部
9 導光部材
10 LED
21 撮影レンズ
22 CCD
30 撮像信号処理部
40 制御部
41 CPU
42 メモリ制御部
50 操作部
51 パワースイッチ
52 ズームボタン
60 表示部
61 LCD駆動回路
71 無線モジュール
72 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置との無線信号を送受信するためのアンテナと、無線信号を処理するための無線処理手段と、無線通信状況を表示するための発光手段と、を有する撮像装置において、前記発光手段から発した光を少なくとも2方向に導光する導光部材を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記導光部材が一つの部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記導光部材が撮像装置の前後方向に延在していることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−33884(P2007−33884A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−217334(P2005−217334)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】