説明

撮像装置

【課題】ある特定の撮影画像が失敗画像であるとユーザーが判断してその画像を削除したとき、削除された画像の撮影条件などを解析し、その後の撮影に活かすことができる撮像装置を得る。
【解決手段】撮像手段と、撮影設定変更手段と、撮影画像に撮影設定を記憶する記憶手段と、撮影画像や撮影設定情報を表示する画像表示手段と、表示した撮影画像から任意の画像を選択する画像選択スイッチと、選択した画像を削除する削除ボタンと、削除する画像から失敗頻度を計測する失敗頻度計測手段と、を有し、撮影設定変更手段によって撮影設定を変更し、撮影画像を画像表示手段で表示し、画像選択スイッチにて画像を選択し、削除ボタンで画像が削除されるタイミング時に、削除される画像に記憶されている撮影設定の中で、所定の設定項目について、失敗頻度計測手段によって設定値を抽出し、設定回数を加算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子画像を撮像し再生するカメラなどの撮像装置に関するもので、失敗画像の削除処理に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
最近のカメラでは、AF(オートフォーカス)、AE(オート露出制御)、AWB(オートホワイトバランス)など撮影環境に応じてカメラが自動的に撮影シーンを判断し、適正なフォーカス、露出、ホワイトバランスで撮影を行う機能が備わっている。しかし、AF、AE、AWBはカメラメーカーが想定した状況下で最適と考える設定を行っているのであって、全てのユーザーにとって最適と感じるかは別である。そのような点を考慮して、多くのカメラではユーザーが任意にカメラ設定を変更できるマニュアル設定機能を備えている。カメラ設定を自由に変えられることによりユーザーの選択肢は広がる。一方、どのようなカメラ設定の撮影で失敗したかということは、撮影シーンとカメラ設定をユーザーが記憶しておいて、次に同様の状況下になったときにカメラ設定を思い出して避けるようにする以外に方法がない。
【0003】
そこで、本発明は、ある特定の撮影画像が失敗画像であるとユーザーが判断してその画像を削除したとき、削除された画像の撮影条件などを解析し、その後の撮影において、なるべく失敗のない撮影ができるようにユーザーをサポートするという発想のもとになされたものである。
【0004】
本発明に関連のある先行技術として、ユーザーが撮影した画像データの撮影状態を分析し、分析結果に対応する発生頻度を蓄積し、集計および蓄積された各状態項目の頻度と予め設定したしきい値を比較し、しきい値を超えた場合にアドバイス情報を表示する手段を備えた撮影アドバイスカメラがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、デジタルカメラの稼働状態を表す稼働情報、例えば総撮影回数や各種の撮影モード毎の利用回数、ストロボ使用回数などを収集して記録メディアに記録し、顧客が写真プリント受付店へ写真処理を依頼する際に記録メディアから稼動情報を読み出し、通信網を介してデータセンタへ転送され写真関連情報データベースに記憶し、カメラメーカーは製造しているデジタルカメラに対応する稼働情報をデータセンタから定期的に受信し、受信した稼働情報をデジタルカメラの機種毎に集計して分析することで、当該機種の改良や次機種の開発に利用することができる技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
カメラの電源起動時や電源オフ時に、LCDモニタ上にカメラ情報、例えば、カメラ撮影モード、電池残量、可能撮影枚数などの情報を表示する撮像装置も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−112054号公報
【特許文献2】特開2004−096718号公報
【特許文献3】特開2005−236702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記各特許文献などで知られている従来の技術には、撮影画像ごとに撮影条件などの撮影データを分析し処理して記録し、その後の撮影やカメラの開発などに役立てることができるものがある。しかし、失敗画像であるとユーザーが判断してその画像を削除したとき、削除された画像の撮影条件などを解析し、その後の撮影に活かすことを意図したカメラなどの撮像装置に関しては知られていない。
仮に、カメラなどの撮像装置に保存されている撮影画像の中に、ユーザーが失敗画像であると判断している画像があり、その画像を削除したとき、その画像の撮影条件などのデータが残っていれば、それを解析することにより、どのような撮影条件の場合に失敗する可能性が高いかを把握することができ、以後の撮影では失敗のない、あるいは失敗の確率の低い条件下で撮影する、というように、以後の撮影に活かすことができる。
【0009】
そこで本発明は、ある特定の撮影画像が失敗画像であるとユーザーが判断してその画像を削除したとき、削除された画像の撮影条件などを解析し、その後の撮影に活かすことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被写体像を撮像するための撮像手段と、撮影設定を変更可能な撮影設定変更手段と、撮影画像に撮影設定を記憶する記憶手段と、前記撮像手段により撮像された撮影画像や撮影設定情報を表示する画像表示手段と、前記画像表示手段に表示した撮影画像から任意の画像を選択可能な画像選択スイッチと、選択した画像を削除する削除ボタンと、削除する画像から失敗頻度を計測する失敗頻度計測手段と、を有し、ユーザーが前記撮影設定変更手段によって撮像装置の撮影設定を変更し、前記撮像手段によって撮影された撮影画像を前記画像表示手段で表示し、前記画像選択スイッチにて画像を選択し、かつ、前記削除ボタンが押されて画像が削除されるタイミング時に、削除される画像に記憶されている撮影設定の中で、所定の設定項目について、前記失敗頻度計測手段によって設定値を抽出し、設定回数を加算することを最も主要な特徴とする撮像装置である。
【0011】
上記撮像装置において、前記失敗頻度計測手段で取得した情報に基づき、設定回数の上位から画像表示手段に表示するモードを有しているとよい。
設定項目毎に設定回数の上位から画像表示手段に表示するようにするとよい。
前記失敗頻度計測手段で取得した情報に基づいて、設定回数が上位の撮影設定条件が複数の設定項目で発生するような撮影条件が生じたとき、警告メッセージを画像表示手段に表示するようにするとよい。
【0012】
所定の設定項目とはISO感度であり、ISO感度の設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測するようにするとよい。
所定の設定項目とはシャッター速度であり、シャッター速度の設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測するようにするとよい。
所定の設定項目とは露出設定であり、露出設定の設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測するようにするとよい。
所定の設定項目とはホワイトバランス設定であり、ホワイトバランスの設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測するようにするとよい。
所定の設定項目とはマクロモードであり、マクロモードのON/OFFで設定回数を失敗頻度計測手段にて計測するようにするとよい。
所定の設定項目とはシーンモードであり、設定したシーンモードの設定毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測するようにするとよい。
所定の設定項目とはフォーカス設定であり、フォーカスの設定毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測するようにするとよい。

所定の設定項目とは手振れ補正設定であり、手振れ補正設定のON/OFFで設定回数を失敗頻度計測手段にて計測するようにするとよい。
所定の設定項目とはズームレンズ位置設定であり、ズームレンズ位置の設定毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測するようにするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、撮影画像削除時にカメラ設定の情報を取得することで、ユーザーが自分の判断で撮影画像が失敗しているかどうか判断することができ、ユーザーそれぞれの失敗頻度データを構築することができる。
失敗頻度データを表示することにより、ユーザーはどのような設定で失敗撮影が多いのかを認識することができる。
失敗頻度データを利用することにより、失敗撮影の発生頻度が高い状況においてカメラが自動的に回避するように制御することができる。
失敗頻度データを利用することにより、失敗撮影の発生頻度が高い状況においてユーザーに警告メッセージを表示することができる。
【0014】
また、ユーザーそれぞれの失敗頻度データを使用することにより、ユーザーそれぞれの失敗撮影のクセを検知し警告メッセージを表示することができる。
失敗頻度データを利用することにより、無数にあるカメラ設定の中で失敗撮影の少ない設定を見つけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明にかかる撮像装置の実施の形態について説明する。図1ないし図3は、本発明にかかる撮像装置の実施形態であるデジタルカメラの例を示す外観図であり、図4は、同デジタルカメラの制御系の例を示すブロック図である。なお、本明細書において、液晶表示デバイス(素子)は「LCD」、オートフォーカスは「AF」、中央演算処理ユニットは「CPU」、発光ダイオードは「LED」と表示する。
【0016】
図1ないし図3に示すように、デジタルカメラは、カメラ上面に、サブLCD1と、レリーズボタン2と、撮影/再生切り換えダイヤル4を備えている。サブLCD1は、例えば、撮影可能枚数などの情報を表示するための表示部である。また、カメラ正面に、ストロボ発光部3と、測距ユニット5と、リモコン受光部6と、撮影レンズ鏡胴ユニット7と、光学ファインダー(正面)11aが配置されている。符号121は、後述のメモリカード130を挿入するメモリカードスロットを示しており、カメラ側面に設けてある。さらに、カメラ裏面には、AF表示用のLED8と、ストロボ表示用のLED9と、LCDモニタ10と、光学ファインダー(裏面:接眼部)11bと、ズームボタン12と、電源スイッチ13と、操作部14が配置されている。上記レリーズボタン2、撮影/再生切り換えダイヤル4、ズームボタン12、電源スイッチ13のほか、各種操作キーの操作によってオン・オフ動作するスイッチを備えている。これらの操作キーを、図4では「操作キーユニットSW1〜13」として一括して表している。
【0017】
図1ないし図3,図4に基づいてデジタルカメラの動作を説明する。図1,図2において、ストロボ発光部3,ストロボ回路114は、自然光などの光が足りない場合に光量を補う装置である。暗い場所や被写体が暗い場合の撮影においては、後述するデジタルスチルカメラプロセッサ104からストロボ回路114にストロボ発光信号を送信する。ストロボ回路114は、ストロボ発光部3の動作を制御するもので、上記プロセッサ104からの信号によりストロボ発光部3を発光させ被写体を明るくする。
【0018】
測距ユニット5は、カメラと被写体との距離を測る装置である。現在のデジタルカメラの多くは、撮像素子(CCD)に形成された像のコントラストを検出し、最もコントラストの高い位置にレンズを移動させてフォーカスを合わせるCCD−AF方式を採用している。しかし、CCD−AF方式は、レンズを少しずつ動かしながらコントラストを検出し、最もコントラストの高い位置を探していくため、フォーカス動作が遅いという問題があった。そこで、測距ユニット5を用いて被写体との距離情報を常に取得し、距離情報からレンズを一気に移動してフォーカス動作を高速化している。温度センサ124(図4参照)は環境温度を測定する装置で、カメラ内外の温度を測定する。温度測定の結果は、温度が異常に上昇している場合にカメラの電源を落とす、あるいは、温度センサのデータを参照してカメラの制御内容を変更する、というようにして利用する。
【0019】
図4において、鏡胴ユニット7は、被写体の光学画像を取り込むズームレンズ7−1a、ズーム駆動モータ7−1bからなるズーム光学系7−1と、フォーカスレンズ7−2a、フォーカス駆動モータ7−2bからなるフォーカス光学系7−2と、絞り7−3a、絞りモータ7−3bからなる絞りユニット7−3と、メカシャッタ7−4a、メカシャッタモータ7−4bからなるメカシャッタユニット7−4と、各モータを駆動するモータドライバ7−5を有する。そして、モータドライバ7−5は、図1ないし図3に示すリモコン受光部6入力や、各種操作部キーの操作に基づくスイッチのオン・オフ動作により、後述するカメラプロセッサ104内にあるCPUブロック104−3からの駆動指令により駆動制御される。
【0020】
ROM108には、CPUブロック104−3にて解読可能なコードで記述された、制御プログラムや制御するためのパラメータが格納されている。このデジタルカメラの電源がオン状態になると、前記プログラムはSDRAM103にロードされ、前記CPUブロック104−3はそのプログラムに従って装置各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を、一時的に、RAM107および後述するカメラプロセッサ104内にあるローカル(Local)SRAM104−4に保存する。ROM108として書き換え可能なフラッシュROMを使用することで、制御プログラムや制御するためのパラメータを変更することが可能となり、撮像装置の機能のバージョンアップを容易に行うことができる。
【0021】
CCD101は、光学画像を光電変換するための固体撮像素子である。F/E(フロントエンド)−IC102は、画像ノイズ除去用相関二重サンプリングを行うCDS102−1、利得調整を行うAGC102−2、ディジタル信号変換を行うA/D102−3、TG(タイミングジェネレータ)102−4を有する。TG102−4には、CCD1信号処理ブロック104−1より、垂直同期信号(以下、「VD信号」と記す。)、水平同期信号(以下、「HD信号」と記す。)が供給される。TG102−4は、上記VD、HDにしたがって、CPUブロック104−3によって制御されるCCD101、およびF/E−IC102の駆動タイミング信号を発生する。
【0022】
カメラプロセッサ104は、以下のような信号処理ブロックないしは機能ブロックをそなえている。
CCD101からF/E―IC102を経て出力されるデータにホワイトバランス設定やガンマ設定を行い、また、VD信号、HD信号をTG102−4に供給するCCD1信号処理ブロック104−1。
フィルタリング処理により、輝度データ・色差データへの変換を行うCCD2信号処理ブロック104−2。
前述した装置各部の動作を制御するCPUブロック104−3。
前述した制御に必要なデータ等を一時的に保存するローカルSRAM104−4。
パソコンなどの外部機器とUSB通信を行うUSBブロック104−5。
パソコンなどの外部機器とシリアル通信を行うシリアルブロック104−6。
JPEG圧縮・伸張を行うJPEGCODECブロック104−7。
画像データのサイズを補間処理により拡大/縮小するRESIZEブロック104−8。
画像データを液晶モニタやTVなどの外部表示機器に表示するためのビデオ信号に変換するTV信号表示ブロック104−9。
撮影された画像データを記録するメモリカードの制御を行うメモリカードコントローラブロック104−10。
【0023】
SDRAM103は、前述したカメラプロセッサ104で画像データに各種処理を施す際に、画像データを一時的に保存する。保存される画像データの例は以下のとおりである。
CCD101からF/E−IC102を経由して取り込み、CCD1信号処理ブロック104−1でホワイトバランス設定、ガンマ設定が行われた状態の「RAW−RGB画像データ」。
CCD2信号処理ブロック104−2で輝度データ・色差データ変換が行われた状態の「YCbCr画像データ」。
JPEGCODECブロック104−7でJPEG圧縮された「JPEG画像データ」。
【0024】
メモリカードスロット121は、着脱可能なメモリカードを装着するためのスロットである。内蔵メモリ120は、前述したメモリカードスロット121にメモリカードが装着されていない場合であっても、撮影した画像データを記憶できるようにするためのメモリである。
【0025】
LCDドライバ117は、後述するLCDモニタ10を駆動するドライブ回路であり、TV信号表示ブロック104−9から出力されるビデオ信号を、LCDモニタ10に表示するための信号に変換する機能も有している。LCDモニタ10は、撮影前に被写体の状態を監視する、撮影した画像を確認するために表示する、メモリカードや前述した内蔵メモリ120に記録した画像データを表示する、などの役割を持ったモニタである。ビデオAMP118は、TV信号表示ブロック104−9から出力されるビデオ信号を、75Ωインピーダンス変換するためのアンプである。ビデオジャック119は、TVなどの外部表示機器と接続するためのジャックである。USBコネクタ122は、パソコンなどの外部機器とUSB接続を行うためのコネクタである。シリアルドライバ回路123−1は、パソコンなどの外部機器とシリアル通信を行うために、前述したシリアルブロック104−6の出力信号を電圧変換するための回路である。RS−232Cコネクタは、パソコンなどの外部機器とシリアル接続を行う溜めのコネクタである。
【0026】
SUB−CPU109は、ROM・RAMをワンチップにして内蔵したCPUである。SUB−CPU109は、操作キーユニットSW1〜13やリモコン受光部6の出力信号をユーザーの操作情報として、前述したCPUブロック104−3に出力し、あるいは、前述したCPUブロック104−3より出力されるカメラの状態を、後述するサブLCD1、AFLED8、ストロボLED9,ブザー113の制御信号に変換して出力する。サブLCD1は、例えば、撮影可能枚数など表示するための表示部であり、LCDドライバ111は、前述したSUB−CPU109の出力信号より、前述したサブLCD1を駆動するためのドライブ回路である。AFLED8は、撮影時の合焦状態を表示するためのLEDであり、ストロボLED9は、ストロボ充電状態を表すためのLEDである。なお、このAFLED8とストロボLED9を、メモリカードアクセス中などの別の表示用途に使用してもよい。操作キー(Key)ユニットSW1〜13は、ユーザーが操作する各種キー操作でオン・オフするスイッチをまとめた回路である。リモコン受光部6は、ユーザーが操作するリモコン送信機から送信される信号の受信部である。
【0027】
音声記録ユニット115は、ユーザーが音声信号を入力するマイク115−3、入力された音声信号を増幅するマイクAMP115−2、増幅された音声信号を記録する音声記録回路115―3からなる。音声再生ユニット116は、記録された音声信号をスピーカーから出力できる信号に変換する音声再生回路116−1、変換された音声信号を増幅し、スピーカーを駆動するためのオーディオAMP116−2、音声信号を出力するスピーカー116−3からなる。
【0028】
上述のように構成されたデジタルカメラの動作、特に、本発明の特徴部分について重点的に説明する。図5は本発明の特徴部分である撮影画像削除時に所定の設定項目の設定回数を加算する(失敗頻度データ取得)一連の動作を示している。各動作ステップをS1,S2,・・・のように表記する。ユーザーは、ある画像を削除しようとするときは、まず再生ボタン16を押す。再生ボタン16が押されると(S1)、画像表示手段であるLCDモニタ10に撮影画像が表示される(S2)。次に、ユーザーは画像選択スイッチとして操作Keyユニットの例えば十字状に配置されているキーを使用し、再生画像を変更して削除したい画像を表示させる(S3)。削除したい画像が表示されたら削除ボタン17を押して削除を決定する(S4)。
【0029】
削除ボタン17が押されたら、デジタルカメラは削除画像のデータ分析を行う(S5)。データ分析には、DCF(Design rule for Camera File System)のファイルシステムの規格に準拠した、Exif(Exchangeable image file format for digital still camera)データを用いることができる。デジタルカメラのファイルフォーマットとしてはJPEGデータが主流であるが、ExifデータはJPEG画像のファイルヘッダーに記録されており、レンズF値、ISO感度、シャッター秒時、露出補正量など撮影時のカメラ設定を記録している。また、RAW−RGB画像データ(以下、「RAWデータ」という)の場合も、カメラメーカーによりフォーマットが異なっているが、米アドビシステムズが提唱している「Digital Negative」(DNG)の画像ファイル形式では、同様にレンズF値、ISO感度、シャッター秒時、露出補正量など撮影時のカメラ設定を記録しており、これを利用することができる。
【0030】
データ分析方法として以下の2つの方法を実施例として挙げる。撮影データに記録されている撮影時のカメラ設定情報から、所定の設定項目に注目する。所定の設定項目はカメラ内に固定されていてもよいし、ユーザーが設定できるようにしてもよい。例えば、ISO感度、シャッター速度を所定の設定項目とし、削除される画像と画像情報を以下の通りとする。
A画像(ISO感度:100,シャッター速度:1/3s)
B画像(ISO感度:150,シャッター速度:1/15s)
C画像(ISO感度:100,シャッター速度:1/20s)
D画像(ISO感度:200,シャッター速度:1/3s)
E画像(ISO感度:100,シャッター速度:1/8s)
以上の画像のデータをISO感度とシャッター速度でそれぞれ頻度を集計すると以下のようになる。
ISO感度(100:3,150:1,200:1)
シャッター速度(1/3s:2,1/8s:1,1/15s:1,1/20s:1)
ISO感度ではISO100で、シャッター速度では1/3sでそれぞれ失敗頻度が高くなっていることが分かる。
【0031】
[複数項目で考慮する場合]
次に、複数の設定データの相関を考慮したデータ分析方法の実施例を示す。削除される画像の画像情報を以下の通りとする。
A画像(ISO感度:100,シャッター速度:1/3s)
B画像(ISO感度:150,シャッター速度:1/15s)
C画像(ISO感度:100,シャッター速度:1/20s)
D画像(ISO感度:200,シャッター速度:1/8s)
E画像(ISO感度:100,シャッター速度:1/8s)
F画像(ISO感度:150,シャッター速度:1/8s)
G画像(ISO感度:100,シャッター速度:1/15s)
H画像(ISO感度:100,シャッター速度:1/3s)
I画像(ISO感度:200,シャッター速度:1/8s)
J画像(ISO感度:100,シャッター速度:1/3s)
ISO感度とシャッター速度でそれぞれの項目の頻度を見ると、
ISO感度(100:6,150:2,200:2)
シャッター速度(1/8s:4,1/3s:3,1/15s:2,1/20s:1)
ISO感度ではISO100で、シャッター速度では1/8sでそれぞれ失敗頻度が高くなっていることが分かる。
【0032】
一方、ISO感度とシャッター速度の2つの組合せの頻度を見たときには、
(ISO感度,シャッター速度)=
(100,1/3s) :3,
(200,1/8s) :2,
(100,1/8s) :1,
(150,1/8s) :1,
(100,1/15s):1,
(150,1/15s):1,
(100,1/20s):1,
となる。ISO100でシャッター速度1/3sのときに失敗頻度が高くなっていることが分かり、それぞれの項目で見たときよりも失敗状況が鮮明となる利点がある。本実施例では2つの項目での相関を見たが、本発明はこれに限定されず2以上の項目の組合せでデータを取得することも含まれる。
【0033】
以上、図5における削除画像データ分析ステップ(S5)について具体的に説明した。次に、削除画像の所定の設定項目の設定回数を加算し(S6)、その後指定された画像の削除を実行する(S7)。次に、指定された画像のすべてを削除したか否かを判断し(S8)、終了していなければステップS3に戻ってそれ以降のステップを実行し、指定された画像のすべてを削除した場合は、一連の削除動作を終了する。
【0034】
最近のカメラには、ユーザーが誤って必要なファイルを削除した場合にカメラの電源をオフしない範囲であれば、削除ファイルを復活させる機能が備わっているものがある。そのような機能がある撮像装置においては、画像が復活されたときに、復活した画像ファイルの画像情報を取得し、加算した設定回数から復活画像ファイルに該当する設定項目については減算処理を行ってもよい。メモリカードの容量が不足し、メモリカードをフォーマットし、また、画像を一括削除する場合がある。こういった場合、撮影が失敗しているとは言えない場合が多いため、失敗頻度を取得しないようにしてもよい。上記の方法で分析し取得した失敗頻度データをカメラ内部のSDRAM103に保存し、デジタルカメラの電源がオフされるときに書換え可能なフラッシュROM108に記憶させるようにすると、デジタルカメラで削除した画像の情報を全て保持することができる。上記のようにして取得した失敗頻度データを利用する方法を以下に示す。
【0035】
上記のようにして取得した失敗頻度データを表示するモードを準備する。表示方法としては、例えば図6に示すように失敗頻度回数の上位から所定の順位までの設定組合せを表示するようにしてもよい。あるいは、図7に示すように設定項目別に失敗頻度回数の高い設定を表示するようにしてもよい。さらに、図8に示すように、カメラ設定時に失敗頻度データを表示するようにしてもよい。こうすることで、失敗しやすい設定を見ながら撮影条件を設定することができるため、失敗撮影設定を未然に防ぐことができる。
【0036】
デジタルカメラでは撮影タイミングを決定するレリーズボタン2が2段式となっており、多くのカメラでは、1段階目で半押し状態、2段階目で撮影されるようになっている。半押し状態のときにフォーカス、露出、ホワイトバランスなどの撮影設定データが決定される。そこで、半押し状態のときにカメラ設定値と失敗頻度データとを照合し、現在のカメラ設定状態が失敗頻度データの上位にある場合には、LCDモニタ10に「失敗しやすい撮影設定になっています」のように警告メッセージを表示するようにする。さらに、現在の設定では失敗撮影が予測される場合には、設定変更を促すメッセージを表示してもよいし、「失敗撮影が予測されましたので、ISO感度を100から200に変更してください。」と詳細に設定変更アドバイスを表示してもよい。その他にも警告音を出すようにしてもよい。
【0037】
撮影時に、失敗頻度データの上位に該当するカメラ設定条件となったときには、カメラが自動的にその設定にならないように、設定を変更して制御し撮影する構成にするとよい。その場合、設定を自動で変更したときには、LCDモニタ10上に「失敗撮影が予測されましたので、ISO感度を変更しました」などと表示してもよい。失敗頻度データを参照して警告メッセージを出すか出さないかの判断に関しては、失敗頻度データの上位何番目までに該当する場合には出す、というようにしてもよいし、失敗頻度データの上位30%、などと表示するようにしてもよい。また、ユーザー側で、どこまで該当する場合に警告メッセージを出すかを調節できるようにしてもよい。警告メッセージ機能についても、警告表示条件を満たせば常に表示させるようにしてもよいし、警告メッセージ機能オン/オフの設定メニューを別に準備してユーザーに選択させ、オフ設定の時には表示させないようにしてもよい。
【0038】
以上説明した実施例は、削除ボタンが押されて画像が削除されるタイミング時に、削除される画像に記憶されている撮影設定の中で、所定の設定項目について、前記失敗頻度計測手段によって設定値を抽出し、設定回数を加算するようになっている。上記「所定の設定項目」とは、以下に列挙するように、各種の項目があり、それに応じた失敗頻度計測を行うようにする。
所定の設定項目とはISO感度であり、ISO感度の設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測する。
所定の設定項目とはシャッター速度であり、シャッター速度の設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測する。
所定の設定項目とは露出設定であり、露出設定の設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測する。
所定の設定項目とはホワイトバランス設定であり、ホワイトバランスの設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測する。
所定の設定項目とはマクロモードであり、マクロモードのON/OFFで設定回数を失敗頻度計測手段にて計測する。
所定の設定項目とはシーンモードであり、設定したシーンモードの設定毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測する。
所定の設定項目とは手振れ補正設定であり、手振れ補正設定のON/OFFで設定回数を失敗頻度計測手段にて計測する。
所定の設定項目とはフォーカス設定であり、フォーカスの設定毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測する。
所定の設定項目とはズームレンズ位置設定であり、ズームレンズ位置の設定毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測する。
【0039】
以上説明した実施例はデジタルカメラの例であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、撮影画像を記録、再生する画像機器装置や携帯電子機器などにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る撮像装置の一実施例としてデジタルカメラの例を示す上面図である。
【図2】上記デジタルカメラの正面図である。
【図3】上記デジタルカメラの背面図である。
【図4】上記デジタルカメラの制御系の例を示すブロック図である。
【図5】上記デジタルカメラにおける失敗頻度データ取得動作を示すフローチャートである。
【図6】上記デジタルカメラにおける失敗頻度の表示例を示す概念図である。
【図7】上記デジタルカメラにおける失敗頻度の別の表示例を示す概念図である。
【図8】上記デジタルカメラにおける撮影設定時の失敗頻度の表示例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0041】
1 サブLCD
2 レリーズボタン
3 ストロボ発光部
4 撮影/再生切り替えダイヤル
5 測距ユニット
6 リモコン受光部
7 レンズ鏡胴ユニット
10 LCDモニタ
13 電源スイッチ
14 操作部
16 再生ボタン
17 削除ボタン
121 メモリカードスロット
130 メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像するための撮像手段と、
撮影設定を変更可能な撮影設定変更手段と、
撮影画像に撮影設定を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段により撮像された撮影画像や撮影設定情報を表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段に表示した撮影画像から任意の画像を選択可能な画像選択スイッチと、
選択した画像を削除する削除ボタンと、
削除する画像から失敗頻度を計測する失敗頻度計測手段と、を有し、
ユーザーが前記撮影設定変更手段によって撮像装置の撮影設定を変更し、前記撮像手段によって撮影された撮影画像を前記画像表示手段で表示し、前記画像選択スイッチにて画像を選択し、かつ、前記削除ボタンが押されて画像が削除されるタイミング時に、削除される画像に記憶されている撮影設定の中で、所定の設定項目について、前記失敗頻度計測手段によって設定値を抽出し、設定回数を加算することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置において、前記失敗頻度計測手段で取得した情報に基づき、設定回数の上位から画像表示手段に表示するモードを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の撮像装置において、設定項目毎に設定回数の上位から画像表示手段に表示することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1記載の撮像装置において、前記失敗頻度計測手段で取得した情報に基づいて、設定回数が上位の撮影設定条件が複数の設定項目で発生するような撮影条件が生じたとき、警告メッセージを画像表示手段に表示することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1記載の撮像装置において、所定の設定項目とはISO感度であり、ISO感度の設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1記載の撮像装置において、所定の設定項目とはシャッター速度であり、シャッター速度の設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1記載の撮像装置において、所定の設定項目とは露出設定であり、露出設定の設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1記載の撮像装置において、所定の設定項目とはホワイトバランス設定であり、ホワイトバランスの設定値毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1記載の撮像装置において、所定の設定項目とはマクロモードであり、マクロモードのON/OFFで設定回数を失敗頻度計測手段にて計測することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1記載の撮像装置において、所定の設定項目とはシーンモードであり、設定したシーンモードの設定毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1記載の撮像装置において、所定の設定項目とは手振れ補正設定であり、手振れ補正設定のON/OFFで設定回数を失敗頻度計測手段にて計測することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項1記載の撮像装置において、所定の設定項目とはフォーカス設定であり、フォーカスの設定毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
請求項1記載の撮像装置において、所定の設定項目とはズームレンズ位置設定であり、ズームレンズ位置の設定毎に設定回数を失敗頻度計測手段にて計測することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−218932(P2009−218932A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61445(P2008−61445)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】