説明

撮像装置

【課題】通信品質の低下を防止することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】本体ケースと、グリップベルト10と、本体ケースに格納されたWi−Fiモジュール40と、を備える。通信モジュール40は、基板41と、処理回路42と、アンテナ43と、を有する。グリップベルト10は、本体ケースの右側面に設けられた第1の取付部11から本体ケースのレンズ鏡筒の開口部側と反対側に設けられた第2の取付部12まで延在する。光軸に対して略直交し、第1の取付部11を通る基準面200よりもレンズ鏡筒の開口部側若しくは基準面200の近傍に、通信モジュール40が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置に通信手段を付加した技術が知られている。例えば、特許文献1には、電気絶縁領域内にアンテナが配置されたレンズ装置が開示されている。アンテナを電気絶縁領域に配置することにより、当該アンテナはアンテナ特性を阻害する金属の影響を受けず、良好な通信特性を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−139242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、撮像装置は小型化が進んでいるため、ユーザが撮像装置を把持する際に、撮像装置の大部分をユーザの手が覆ってしまう。そのため、ユーザの手が撮像装置に設けられたアンテナ部分に被ってしまい、通信品質が低下してしまうという問題があった。
【0005】
なお、特許文献1に記載のレンズ装置においては、レンズ装置を構成する金属の影響からアンテナを保護することについては開示されているが、アンテナがユーザの手に覆われてしまうことについての対策は何ら開示されていない。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、通信品質の低下を防止することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る撮像装置(100)は、基板(41)と、前記基板(41)に設けられたアンテナ(43)と、前記基板(41)に設けられ前記アンテナ(43)が送受信する信号を処理する処理回路(42)と、を有する通信モジュール(40)と、レンズ鏡筒(31)を有するレンズユニット(30)及び前記通信モジュール(40)を格納する筐体(1)と、前記筐体(1)の第1の側面に設けられた第1の取付部(11)から前記筐体(1)の前記レンズ鏡筒(31)の開口部側と反対側に設けられた第2の取付部(12)まで延在するグリップベルト(10)と、を備え、前記レンズ鏡筒(31)の光軸に対して略直交し、前記第1の取付部(11)を通る基準面(200)よりも前記レンズ鏡筒(31)の開口部側若しくは前記基準面(200)の近傍に、前記通信モジュール(40)が配置されているものである。
前記アンテナ(43)は、前記処理回路(42)よりも前記レンズ鏡筒(31)の開口部側に配置され、前記処理回路(42)は、前記基準面(200)よりも前記レンズ鏡筒(31)の開口部側若しくは前記基準面(200)の近傍に配置されていてもよい。
前記筐体(1)の前記第1の側面と対向する第2の側面に、開閉可能に設けられた表示部(3)をさらに備え、前記通信モジュール(40)は、前記第2の側面と前記レンズユニット(30)との間の空間以外に配置されていてもよい。
前記筐体の前記第1の側面と前記第2の側面との間の幅を変化させるための段差部(80)が、前記第1の側面に設けられ、前記筐体(1)は、前記段差部(80)の前記レンズ鏡筒(31)の開口部側に設けられた幅広部と、前記段差部(80)の前記レンズ鏡筒(31)の開口部側に設けられた幅狭部と、を有し、前記通信モジュール(40)は、前記幅広部に配置されていてもよい。
前記アンテナ(43)は、前記レンズ鏡筒(31)の側方に設けられていてもよい。
前記筐体(1)の前記レンズ鏡筒(31)の開口部側と反対側に設けられた操作部(8)をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信品質の低下を防止することができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態にかかる撮像装置の外観斜視図である。
【図2】実施の形態にかかる撮像装置の外観斜視図である。
【図3】実施の形態にかかる撮像装置の外観斜視図である。
【図4】実施の形態にかかる撮像装置の分解斜視図である。
【図5】実施の形態にかかる撮像装置の側面透視図である。
【図6】実施の形態にかかる撮像装置の内部構成を示す図である。
【図7】実施の形態にかかる撮像装置の内部構成を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1〜図3は、本実施の形態に係る撮像装置100の全体的な構成を示す斜視図である。以下の説明では、説明の明確化のため、図に示すようなxyz直交座標系を用いて、説明を行う。
【0011】
ここでは、x軸が、撮像装置100の前後方向を示し、y軸が撮像装置100の上下方向(鉛直方向)を示し、z軸が撮像装置100の左右方向(横方向、幅方向)を示している。すなわち、x方向が、撮像装置100に設けられたレンズの光軸に平行な方向であり、y方向、及びz方向が撮像装置100に設けられたレンズの光軸と垂直な方向である。さらに、撮像装置100を把持するユーザを基準に方向を特定する。すなわち、+x側が後方側(レンズ鏡筒の開口部側の反対側)、−x側が前方側(レンズ鏡筒の開口部側)、+y側が上方側、−y側が下方側、+z側が左側、−z側が右側とする。もちろん、上記の方向は、相対的なものであり、撮像装置100の向きに応じて変化する。
【0012】
図1、図2に示すように、撮像装置100は、本体ケース1、フロントカバー2、モニタ部3、及びヒンジ4を備える。本体ケース1の前端には、フロントカバー2が取り付けられている。なお、図1では、フロントカバー2に設けられたレンズバリア21が閉状態となっている。図2では、レンズバリア21は開状態となっている。本体ケース1は、複数のレンズを有するレンズユニットや、撮像素子、バッテリ、Wi−Fiモジュール等を格納する筐体である。
【0013】
また、本体ケース1の左側面(第2の側面)には、モニタ部3が設けられている。モニタ部3は、本体ケース1に対して、ヒンジ4を介して連結されている。モニタ部3は、被写体、記憶された画像データ、設定情報、その他の情報を表示する液晶ディスプレイなどを有している。例えば、ユーザが撮像を行うために、モニタ部3を開くことで、電源がオン状態となる。これにより、図2に示すように、レンズバリア21が開状態となる。レンズバリア21が開状態となると、フロントカバー2に設けられた開口部を通じて、レンズ5が露出する。これにより、撮像装置100が、撮像可能な状態となる。なお、モニタ部3を開いた状態では、モニタ部3のモニタは、後方側、すなわちユーザ側を向いて配置されている。
【0014】
レンズ5は、外部の光を撮像装置100内の撮像素子に導くものである。撮像装置100は、レンズ5を通して伝播してきた光を受光して、被写体を撮像する。
【0015】
図3は、図1、図2において示した撮像装置100の左側面と対向する右側面(第1の側面)から見た斜視図である。撮像装置100は、グリップ部6、突片7、操作部8、及びグリップベルト10を備える。グリップ部6は、ユーザが手(右手)で撮像装置100を把持する部分である。グリップ部6の一部には、バッテリカバー61が配置されている。バッテリカバー61の内側にバッテリが搭載される。バッテリは、撮像装置100のモニタ部3や撮像素子に電源を供給する。
【0016】
突片7は、本体ケース1から、幅方向(右方向)に突出している。レンズバリア21を開状態から閉状態に移行させる場合、ユーザが、突片7を操作する。これにより、レンズバリア21が開状態から閉状態になる。
【0017】
操作部8は、本体ケース1の上面の後方(レンズ鏡筒の開口部側と反対側)端部に設けられている。操作部8は、ボタン、レバー等からなり、シャッター操作、ズーム操作、その他の各種命令に応じた操作を受け付ける。なお、タッチパネル機能を備える場合には、モニタ部3のディスプレイが操作部の一部となる。また、操作部8の配置位置は、本体ケース1の上面の後方端部に限られない。
【0018】
グリップベルト10は、撮像装置100の右側面に延在している。グリップベルト10は、グリップ部6を把持するユーザの手を押さえる。グリップベルト10の一端は、本体ケース1の右側面に設けられた第1の取付部11に取り付けられている。一方、グリップベルト10の他端は、本体ケース1の後方端部に設けられた第2の取付部(不図示)に取り付けられている。第1の取付部11は、グリップ部6よりも前方に設けられている。より詳細には、第1の取付部11は、グリップ部6よりも前方、かつ突片7よりも後方であって、レンズバリア21(レンズ5)よりも下方に配置されている。なお、第1の取付部11及び第2の取付部の位置は、図3に示した位置に限られない。第1の取付部11と第2の取付部との間にユーザの手が入るように、第1の取付部11と第2の取付部が間隔を空けて配置されていればよい。例えば、第2の取付部は、本体ケース1の後方側(レンズ鏡筒の開口部側と反対側)に設けられていればよく、本体ケース1の右側面の後方に設けられていてもよい。
【0019】
次に、図4に示す分解斜視図を用いて、本体ケース1の内部構造について説明する。フロントカバー2の後方には、レンズユニット30が配置される。レンズユニット30は、レンズ5を有する境筒31と、図示しない複数のレンズを格納する。レンズユニット30の後方には、図示しない撮像素子、制御基板、バッテリ等が配置される。
【0020】
Wi−Fiモジュール40(通信モジュール)は、レンズユニット30と本体ケース1の右側面1aとの間に配置される。Wi−Fiモジュール40は、レンズユニット30の側面に配置される。より詳細には、Wi−Fiモジュール40は、例えばネジ等により、レンズユニット30の右側面に対して位置固定される。勿論、Wi−Fiモジュール40は、レンズユニット30に対して直接取り付けられてもよいし、他の構成部品を介して取り付けられてもよい。
【0021】
Wi−Fiモジュール40は、基板41、処理回路42、及びアンテナ43を有する。基板41は、右側面1aと平行に配置されている。処理回路42は、基板41上に配置され、アンテナ43が送受信する信号を処理する回路である。アンテナ43は、基板41内部に設けられたパターンアンテナであり、外部機器と信号の送受信を行う。勿論、通信方式はWi−Fiに限られず、Bluetooth等の様々な方式が適用できることは言うまでもない。
【0022】
次に、図5〜図7を用いて、Wi−Fiモジュール40の配置位置について詳細に説明する。図5は、撮像装置100の右側面透視図である。図6は、撮像装置100の内部構成を示す図である。図7は、図6の破線で囲まれた部分の拡大図である。図6及び図7においては、本体ケース1が透明になっている。また、図5においては、説明の便宜のため、本体ケース1の内部構成として、Wi−Fiモジュール40のみを破線で示している。なお、図5、図6においては、グリップベルト10の他端は、本体ケース1の後ろ側面に設けられた第2の取付部12に取り付けられている。
【0023】
レンズユニット30の後方には、撮像素子やモニタ部3を制御する制御基板50が配置されると共に、バッテリ70が配置される。制御基板50は、本体ケース1の左側面において、レンズユニット30の後方端部から本体ケース1の後方端部まで延在する。すなわち、本体ケース1の内部においては、レンズユニット30及び制御基板50が、光軸(x軸)方向に並んで配置されている。なお、制御基板50は、複数の基板に別れて配置されていてもよい。
【0024】
バッテリ70は、本体ケース1の右側面において、レンズユニット30の後方端部から本体ケース1の後方端部まで延在する。すなわち、本体ケース1の内部においては、レンズユニット30及びバッテリ70が、光軸(x軸)方向に並んで配置されている。
【0025】
本体ケース1の右側面には、本体ケース1の幅を変化させるための段差部80が設けられている。このため、本体ケース1において、段差部80の後方部分(幅狭部)は、段差部80の前方部分(幅広部)よりもz軸方向の幅(横方向の長さ)が狭くなっている。言い換えると、幅狭部と幅広部とが段差部80となる。幅狭部の右側面は、グリップ部6である。幅狭部には、制御基板50及びバッテリ70が格納されている。レンズユニット30は、幅広部から幅狭部にかけて延在している。Wi−Fiモジュール40は、幅広部に格納されている。つまり、Wi−Fiモジュール40は、グリップ部6よりも前方に配置されている。このとき、ユーザは幅狭部(グリップ部6)を把持するため、幅広部に格納されたアンテナ43がユーザの手に覆われることを回避できる。なお、段差部80における幅の変化は、図5に示すように滑らかな変化(傾斜形状)であってもよいし、急な変化(ステップ形状)であってもよい。
【0026】
Wi−Fiモジュール40は、レンズユニット30の右側であって、第1の取付部11及び突片7よりも上方に配置されている。言い換えると、Wi−Fiモジュール40は、レンズユニット30に設けられたレンズ鏡筒31の側方に配置されている。
【0027】
すなわち、Wi−Fiモジュール40は、レンズ鏡筒31の光軸(x軸)に対して略直交し、第1の取付部11を通る基準面200の近傍に配置されている。より詳細には、Wi−Fiモジュール40の処理回路42は、基準面200と交差して配置されている。また、Wi−Fiモジュール40において、アンテナ43は、処理回路42よりも前方に配置されている。つまり、アンテナ43は、基準面200よりも前方に配置されている。言い換えると、アンテナ43は、第1の取付部11よりも前方に配置されている。勿論、Wi−Fiモジュール40全体が、基準面200よりも前方に配置されていてもよい。
【0028】
なお、Wi−Fiモジュール40は、基準面200よりもレンズ鏡筒31の開口部側若しくは基準面200の近傍に配置されていればよく、レンズユニット30の右側に限られない。例えば、レンズユニット30の上側または下側であってもよい。ただし、レンズユニット30の左側においては、基準面200付近にはヒンジ4が存在するため、Wi−Fiモジュール40を配置できない。したがって、Wi−Fiモジュール40は、本体ケース1の左側面とレンズユニット30との間の空間以外に配置されていればよい。
【0029】
以上のように、本実施の形態にかかる撮像装置100の構成によれば、Wi−Fiモジュール40のアンテナ43が、基準面200より前方に配置されている。言い換えると、アンテナ43は、第1の取付部11(グリップベルト10の端部)よりも前方に配置されている。このとき、ユーザの手は、第1の取付部11よりも前方部分を把持することはない。そのため、ユーザの手が、アンテナ43を覆うことを防止できる。したがって、Wi−Fiモジュール40の通信品質の低下を防止することができる。
【0030】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更及び組み合わせをすることが可能である。例えば、Wi−Fiモジュール40は必ずしも基準面200より前方に配置される必要はなく、基準面200の近傍であればよい。基準面200近傍であれば、ユーザの手がアンテナ43に被る部分は少なく、通信品質の低下を防止できる。
【符号の説明】
【0031】
1 本体ケース
2 フロントカバー
3 モニタ部
4 ヒンジ
5 レンズ
6 グリップ部
7 突片
8 操作部
10 グリップベルト
11 第1の取付部
12 第2の取付部
21 レンズバリア
30 レンズユニット
31 レンズ鏡筒
40 Wi−Fiモジュール
41 基板
42 処理回路
43 アンテナ
50 制御基板
61 バッテリカバー
70 バッテリ
80 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に設けられたアンテナと、前記基板に設けられ前記アンテナが送受信する信号を処理する処理回路と、を有する通信モジュールと、
レンズ鏡筒を有するレンズユニット及び前記通信モジュールを格納する筐体と、
前記筐体の第1の側面に設けられた第1の取付部から前記筐体の前記レンズ鏡筒の開口部側と反対側に設けられた第2の取付部まで延在するグリップベルトと、
を備え、
前記レンズ鏡筒の光軸に対して略直交し、前記第1の取付部を通る基準面よりも前記レンズ鏡筒の開口部側若しくは前記基準面の近傍に、前記通信モジュールが配置されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記アンテナは、前記処理回路よりも前記レンズ鏡筒の開口部側に配置され、
前記処理回路は、前記基準面よりも前記レンズ鏡筒の開口部側若しくは前記基準面の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記筐体の前記第1の側面と対向する第2の側面に、開閉可能に設けられた表示部をさらに備え、
前記通信モジュールは、前記第2の側面と前記レンズユニットとの間の空間以外に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記筐体の前記第1の側面と前記第2の側面との間の幅を変化させるための段差部が、前記第1の側面に設けられ、
前記筐体は、前記段差部の前記レンズ鏡筒の開口部側に設けられた幅広部と、前記段差部の前記レンズ鏡筒の開口部側と反対側に設けられた幅狭部と、を有し、
前記通信モジュールは、前記幅広部に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記アンテナは、前記レンズ鏡筒の側方に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記筐体の前記レンズ鏡筒の開口部側と反対側に設けられた操作部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115646(P2013−115646A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260629(P2011−260629)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】