説明

撮像装置

【課題】AF画素の画素値を画素位置に応じて補正することにより、フォーカス精度を向上させる。
【解決手段】 撮像装置は、焦点検出に用いる画素を含み画素がマトリクス状に配列された撮像素子と、上記焦点検出に用いる画素の画素位置に応じた受光量の差を補正するための補正情報を格納する補正用メモリと、上記補正情報を読み出して上記焦点検出に用いる画素の画素値を補正する補正部と、上記補正部によって補正された画素値を用いて焦点検出を行う焦点検出部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮影機能付き携帯機器(撮像装置)は、オートフォーカス機能を有するものが多い。この種の撮像装置には、画像構成のための撮像用画素(通常画素)以外に、焦点検出用の画素(以下、AF画素という)を内蔵した撮像素子を採用して、瞳分割位相差法によりオートフォーカスを行うものがある。この手法では、瞳を左右方向に分割し、左、右それぞれの瞳を透過した光束を別々に受光する撮像部を有するAF画素を撮像素子に構成する必要がある。これらの各種AF画素による画像信号に対する演算(以下、AF演算、相関演算という)によって、ピント合わせのためのAF信号を生成してピント合わせを行うことにより、高速なオートフォーカスが可能である。
【0003】
しかし、オートフォーカス性能を高くするためには、撮像素子内に比較的多くのAF画素を配置する必要があり、AF画素部分の画像信号の欠落によって、撮像画像の画質が劣化するという欠点がある。
【0004】
そこで、特許文献1においては、通常画素を利用して、AF画素の画素値を推定する手法を採用することで、AF画素の画素数を低減する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2007−155929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で提案されているAF画素の画素値を推定する手法は、同一被写体部位からの光の光電変換により、(通常画素の画素値):(AF画素の画素値)= 2:1となる場合のみ成り立つ手法である。
上記、関係式を満たさない場合は、相関演算に基づくフォーカス精度が低下する。
【0007】
さらに、撮像素子の各画素上には、被写体からの光を効率よく受光部に導くためのオンチップレンズが採用されている。このオンチップレンズは、撮像素子の周辺光量の低下を抑制するために、撮像素子の位置に応じて面頂が偏心している。この偏心によって、同一種類のAF画素であっても、画素位置に応じて受光領域が変化し、各AF画素を用いたAF演算に基づくフォーカス精度が低下する。
【0008】
また、撮像素子においては、受光部の周辺部では、撮影レンズの瞳にケラレが生じる場合がある。このケラレは、画素位置に応じて変化することから、各AF画素を用いたAF演算に基づくフォーカス精度は一層低下する。
【0009】
なお、特許文献1の提案では、AF信号の生成に通常画素を用いる。ところが、通常画素は、撮影レンズの瞳のケラレによる受光量が画素位置に応じて大きく変化することから、特許文献1の提案では、このケラレの影響によるフォーカス精度の低下が著しいという欠点がある。
【0010】
本発明は、上記問題点を鑑みて、通常画素とAF画素の画素値の比率に応じて相関演算に使用する信号を補正することにより、フォーカス精度を向上させることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る撮像装置は、焦点検出に用いる画素を含み画素がマトリクス状に配列された撮像素子と、上記焦点検出に用いる画素の画素位置に応じた受光量の差を補正するための補正情報を格納する補正用メモリと、上記補正情報を読み出して上記焦点検出に用いる画素の画素値を補正する補正部と、上記補正部によって補正された画素値を用いて焦点検出を行う焦点検出部と、を具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通常画素とAF画素の画素値の比率に応じて相関演算に使用する信号を補正することにより、フォーカス精度を向上させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置を含むカメラを示すブロック図。
【図2】瞳分割位相差法を説明するための説明図。
【図3】AF画素の構造を示す断面図。
【図4】撮像部22における画素配列の一例を示す説明図。
【図5】AF画素の画素位置とその位置における受光領域との関係を説明するための説明図。
【図6】AF画素の画素位置とその位置における受光領域との関係を説明するための説明図。
【図7】AF画素の画素位置とその位置における受光領域との関係を説明するための説明図。
【図8】AF画素の画素位置とその位置における受光領域との関係を説明するための説明図。
【図9】受光量補正用メモリ27に記憶されているテーブルを説明するための説明図。
【図10】図1中のボディ制御部24の具体的な構成を示すブロック図。
【図11】第1の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図12】第2の実施の形態において採用されるボディ制御部の具体的な構成の一例を示すブロック図。
【図13】受光量補正用メモリ17に格納される情報を説明するための説明図。
【図14】受光量補正用メモリ27に格納される情報を説明するための説明図。
【図15】第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置を含むカメラを示すブロック図である。
【0016】
図1において、デジタルカメラ11は、交換レンズ12と、カメラボディ13と、から構成され、交換レンズ12はマウント部14によりカメラボディ13に装着される。
【0017】
交換レンズ12は、レンズ制御部30、レンズ駆動部16、絞り駆動部15、ズーミング用レンズ18、固定レンズ19、フォーカシング用レンズ20、及び、絞り21を備えている。レンズ制御部30は、マイクロコンピューターとメモリなどの周辺部品から成り、フォーカシング用レンズ20と絞り21の駆動制御、絞り21、ズーミング用レンズ18およびフォーカシング用レンズ20の状態検出、並びに、ボディ制御部24に対するレンズ情報の送信とカメラ情報の受信などを行う。
【0018】
絞り駆動部15は、レンズ制御部30を介して、ボディ制御部24からの信号に基づいて、絞り21の開口径を制御する。また、レンズ駆動部16は、レンズ制御部30を介して、ボディ制御部24からの信号に基づいて、ズーミング用レンズ18、フォーカシング用レンズ20を駆動する。
【0019】
本実施の形態においては、交換レンズ12には、受光量補正用メモリ17が設けられている。受光量補正用メモリ17には、AF画素等の受光量を画素位置に応じて補正するためのレンズ側の情報、例えば、Fナンバー、ズーム状態、フォーカスレンズの位置等のレンズ側補正情報を記憶する。レンズ制御部30は、受光量補正用メモリ17に記憶されているレンズ側補正情報を読み出してボディ制御部24に送信することができるようになっている。
【0020】
カメラボディ13は撮像部22、ボディ制御部24、液晶表示部駆動回路25、液晶表示部26、メモリカード29などを備えている。撮像部22は、例えば後述する図4等の画素配列を有する受光部を有している。即ち、受光部には、画素が2次元状に配列されており、交換レンズ12の予定結像面に配置されて交換レンズ12により結像される被写体像を撮像する。撮像部22の受光部の所定の焦点検出位置にはAF画素が配列される。
【0021】
ボディ制御部24はマイクロコンピューターとメモリなどの周辺部品から構成され、撮像部駆動回路28を介して、撮像部22からの画像信号の読み出し、画像信号の補正、交換レンズ12の焦点調節状態の検出、レンズ制御部30からのレンズ情報の受信とカメラ情報(デフォーカス量)の送信、デジタルカメラ全体の動作制御などを行う。ボディ制御部24とレンズ制御部30は、マウント部14の電気接点部23を介して通信を行い、各種情報の授受を行う。
【0022】
液晶表示部駆動回路25は、液晶表示部26を駆動する。撮影者は液晶表示部26によって撮影された画像を観察することができる。メモリカード29はカメラボディ13に脱着可能であり、画像信号を格納記憶する可搬記憶媒体である。
【0023】
交換レンズ12を通過して撮像部22上に形成された被写体像は、撮像部22により光電変換され、その出力はボディ制御部24へ送られる。ボディ制御部24は、撮像部22の出力に基づいて生成した画像データをメモリカード29に格納するとともに、画像信号を液晶表示部駆動回路25へ送り、液晶表示部26に画像を表示させる。
【0024】
カメラボディ13には不図示の操作部材(シャッターボタン、焦点検出位置の設定部材など)が設けられており、これらの操作部材からの操作状態信号をボディ制御部24が検出し、検出結果に応じた動作(撮像動作、焦点検出位置の設定動作、画像処理動作)の制御を行う。
【0025】
レンズ制御部30は、レンズ情報をフォーカシング状態、ズーミング状態、絞り設定状態、絞り開放F値などに応じて変更する。具体的には、レンズ制御部30は、レンズ18及びフォーカシング用レンズ20の位置と絞り21の絞り位置をモニターし、モニター情報に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからモニター情報に応じたレンズ情報を選択する。レンズ制御部30は、受信したレンズ駆動量に基づいてフォーカシング用レンズ20をレンズ駆動部16のモーター等の駆動源により合焦点へと駆動する。
【0026】
本実施の形態においては、カメラボディ13には、受光量補正用メモリ27が設けられている。受光量補正用メモリ27には、AF画素等の受光量を画素位置に応じて補正するための本体側補正情報が記憶されている。例えば、受光量補正用メモリ27には、本体側補正情報として、画素位置に応じた受光量補正係数αのテーブルがFナンバー毎に記憶されている。ボディ制御部24は、交換レンズ12のメモリ17から読み出したレンズ側補正情報と、受光量補正用メモリ27から読み出した本体側補正情報とを基に、フォーカス制御に用いる画素の画素値を補正するための受光量補正係数αを画素位置に応じて取得する。ボディ制御部24は、撮像部22からAF画素等の画素値を読み出すと共に、読み出した画素値を受光量補正係数αを用いて画素位置に応じて補正した後、補正後の画素値を用いて瞳分割位相差法に基づいて所定の焦点検出エリアにおけるデフォーカス量を算出してAF信号として出力する。このAF信号がレンズ制御部30に供給され、レンズ制御部30は、AF信号に基づきレンズ駆動量を算出し、このレンズ駆動量によってレンズ駆動部16を制御して、ピント合わせを行うようになっている。
【0027】
次に、図2乃至図9を参照してAF画素値を補正するためにメモリ17,27に格納する情報について説明する。図2は瞳分割位相差法を説明するための説明図である。
【0028】
被写体の1点31から各光路を介して撮像装置に入射する光学像は撮影レンズ32によって撮像素子33の入射面に結像する。なお、図2のx方向は水平方向であり、z方向は撮影レンズ32の光軸方向であり、y方向(紙面垂直方向)は垂直方向である。図2においては、撮像素子33の各枠によって画素を示している。AF検出用の画素(AF画素)として2つの撮像部(例えば、R撮像部とL撮像部)を構成し、各光路を例えば右方向と左方向とに分割して、即ち、射出瞳を左右方向に分割して、右側の瞳を透過した光束(右光)と、左側の瞳を透過した光束(左光)とを、R撮像部とL撮像部とにそれぞれ入射する。例えば、撮影レンズ32の光軸に対してR,L撮像部を偏心させることで、右光と左光とを各R,L撮像部にそれぞれ入射させることができる。
【0029】
ピントが合っている場合には、同一画素のR,L撮像部には被写体の同一点からの光が入射する。従って、水平方向に配置したAF検出用の複数のR撮像部によって得られる画像信号と複数のL撮像部によって得られる画像信号とは同一となる。ピントがずれると、図2(a)に示すように、被写体の同一点からの光は、ピントのずれ量に応じてずれた位置のR撮像部とL撮像部とに入射する。従って、水平方向に配置したAF検出用の複数のR撮像部によって得られる画像信号と複数のL撮像部によって得られる画像信号とは位相がずれ、位相のずれ量はピントのずれ量に対応する。R,L撮像部によって得られる画像信号同士の位相差に基づいて、ピント調整用のレンズを駆動することで、オートフォーカスを実現することができる。
【0030】
なお、図2(a)は読み出し回路をAF画素と通常画素とで共通化するために、画素にR,L撮像部の両方を構成することなく、R撮像部のみを有する画素(以下、R画素という)とL撮像部のみを有する画素(以下、L画素という)によってAF画素を構成した例を示している。
【0031】
更に、図2(b)は、R画素を省略し、AF画素としてL画素のみを用いると共に、複数の通常画素(以下、N画素ともいう)の画素値とL画素の画素値との差分によってR画素(以下、仮想R画素という)を推定し、複数の仮想R画素によって得られる画像信号の位相とL撮像部によって得られる画像信号の位相とを比較することで、ピントのずれ量を求める例を示している。
【0032】
更に、図2(c)は、R画素を省略し、AF画素としてL画素のみを用いて、N画素によって得られる画像信号の位相とL撮像部によって得られる画像信号の位相とを比較することで、ピントのずれ量を求める例を示している。
【0033】
なお、焦点検出に用いるN画素としては、AF画素に最も近接した緑画素の少なくとも1つを利用する方法が考えられる。また、撮像画像の出力時には、AF画素位置の画素値として、AF画素の近接緑画素の画素値の平均値を用いてもよい。更に、AF画素位置の画素値としては、周辺画素のパターン判別を含む画素補間処理によって算出してもよい。
【0034】
ところで、撮像画像に横線が多い場合には、ピントがずれていてもL,R撮像部によって夫々得られる画像が一致することが考えられる。この場合には、射出瞳を例えば上下に分割して、上側の瞳を透過した光束と、下側の瞳を透過した光束とを、夫々受光するU撮像部とD撮像部とを構成すればよい。そして、複数のU撮像部によって得られる画像信号の位相と、複数のD撮像部によって得られる画像信号の位相とを比較することで、ピントのずれ量を検出して、ピント合わせが可能である。
【0035】
図3はこのようなAF画素の構造を示す断面図である。図3は撮像素子の画素の開口部を光電変換領域の中心に対して偏心させることによって射出瞳を分割する例を示している。図3は撮像素子の1画素の構造を示している。
【0036】
画素41は、最上部から、順に、マイクロレンズ42、マイクロレンズ42を形成するための平面を構成するための平滑層43、色画素の混色防止のための遮光膜44、色フィルタ層をのせる表面を平らにするための平滑層45、及び、光電変換領域49が配置されている。さらに、画素41においては、遮光膜44が、光電変換領域49の中心47から外側に偏心した開口部48、カラーフィルタ50を有している。
【0037】
このように、図3に示す例では、画素41の開口部48を光電変換領域49の中心に対して偏心させている。光線L41は、光電変換領域49中の例えばL撮像部のみに入射することから、射出瞳が分割される。
【0038】
なお、図3では、画素の開口部を偏心させることで射出瞳を分割させる例を示したが、射出瞳を分割する手法としては種々の方法を採用することができる。例えば、オンチップレンズを偏心させることによって射出瞳を分割してもよく、DML(デジタルマイクロレンズ)を用いて射出瞳を分割する方法を採用してもよい。
【0039】
図4は撮像部22における画素配列の一例を示す説明図である。
【0040】
本実施の形態においては、画素配列としてベイヤー配列を採用する例について説明する。図4においてBは青色のフィルタが配置された青色の画素を示し、Rは赤色のフィルタが配置された赤色の画素を示し、Gは緑色のフィルタが配置された緑色の画素を示し、斜線部は、AF画素を示している。なお、図4は受光部の一部の領域のみを示している。
【0041】
図4に示すように、ベイヤー配列では、水平及び垂直2×2画素を単位として同一の配列が繰り返される。即ち、2×2画素のうち斜めに青と赤の画素が配置され、残りの斜めの2画素には緑の画素が配置される。斜線部にて示す画素L1〜L8はL画素である。このように、AF画素は、受光部内の適宜の位置に配置される。
【0042】
図5乃至図8はAF画素の画素位置とその位置における受光領域との関係を説明するための説明図である。
【0043】
図5乃至図8は対象画素の受光部上での位置(アドレス)を(x,y)で示し、撮影レンズの光軸を通る画素(以下、軸上の画素という)のアドレスを(0,0)とする。図5乃至図8において、楕円領域はAF画素(L画素)の瞳面上での受光可能領域を示し、破線円は対象画素が軸上の画素の場合の撮影レンズの瞳、即ち軸上のN画素の瞳面での受光可能領域51を示している。また、×印は、撮影レンズの光軸の位置54を示している。
【0044】
なお、図5乃至図8において、AF画素の受光可能領域を示す楕円領域内の模様は、受光面への入射光の強度分布を模式的に示したものであり、楕円領域の中央ほど入射強度が高く、楕円の短軸方向周辺ほど入射強度が低く、同一線上では入射強度が等しいことを示している。このような入射光の強度分布は、光の回折等によって生じ、絞り、焦点距離、画素構造等の光学的な構造によって決まる分布となる。
【0045】
図5は対象画素が軸上の画素である場合の例を示している。この場合の、受光可能領域51(撮影レンズの瞳)は、×印にて示す撮影レンズの光軸の位置54を中心とした円形状であるのに対し、AF画素の受光可能領域53は、楕円形である。
【0046】
上述したように、AF画素は部分的に入射強度が低下するが、N画素は入射強度は変化せず、撮影レンズの瞳を通る光束全てを受光できる。なお、軸上のAF画素においては、撮影レンズの光軸の位置54とAF画素のオンチップレンズ面頂を瞳に投影した位置とは、一致している。
【0047】
図6乃至図8は対象画素が撮影レンズの光軸を通る位置からずれた画素(以下、軸外の画素という)の例を示している。図6は対象画素がy方向にずれたアドレス(0,l)である軸外の画素の例を示している。この場合には、ビネッティングの影響等により、受光部上の位置に応じた射出瞳、即ち、軸外のN画素の瞳面上での受光可能領域52yは、軸上のN画素の瞳面での受光可能領域51に比べて、y方向にケラレが生じている。
【0048】
また、上述したように、光軸の位置54以外の位置の画素のオンチップレンズの面頂は、シェーディング対策のために、画素の中心軸から偏心している。その結果、撮影レンズの光軸の位置54とAF画素のオンチップレンズ面頂を瞳に投影した位置54yとは、一致せず、y方向にズレが発生する。この結果、アドレス(0,l)のAF画素の受光可能領域53yは、AF画素が光軸上の位置54に存在する場合の受光可能領域53よりもy方向にずれる。
【0049】
図7は対象画素が撮影レンズの光軸を通る位置からx方向にずれたアドレス(k,0)である場合の例を示している。この場合には、対象画素がN画素である場合の瞳面上での受光可能領域52xは、軸上のN画素の瞳面での受光可能領域51に比べて、x方向にケラレが生じている。
【0050】
また、撮影レンズの光軸の位置54とAF画素のオンチップレンズ面頂を瞳に投影した位置54xとは、一致せず、x方向にズレが発生する。この結果、アドレス(k,0)のAF画素の受光可能領域53xは、AF画素が光軸上の位置54に存在する場合の受光可能領域53よりもx方向にずれる。
【0051】
図8は対象画素が撮影レンズの光軸を通る位置からx,y方向にずれたアドレス(k,l)である場合の例を示している。この場合には、対象画素がN画素である場合の瞳面上での受光可能領域52xyは、軸上のN画素の瞳面での受光可能領域51に比べて、x,y方向にケラレが生じている。
【0052】
また、撮影レンズの光軸の位置54とAF画素のオンチップレンズ面頂を瞳に投影した位置54xyとは、一致せず、x,y方向にズレが発生する。この結果、アドレス(k,l)のAF画素の受光可能領域53xyは、AF画素が光軸上の位置54に存在する場合の受光可能領域53よりもx,y方向にずれる。
【0053】
なお、上記図5乃至図8の楕円は、AF画素がL画素の場合の例を示している。AF画素としてL画素ではなく、右側瞳検出用画素(R画素),上側瞳検出用画素(U画素),下側瞳検出用画素(D画素)の場合にも、画素位置に応じて受光可能領域がシフトすることは明らかである。
【0054】
N画素については、N画素の瞳面上での受光可能領域51,52y,52x,52xyを透過した光束が、所定の入射強度で入射される。従って、N画素については、各画素位置において受光可能領域の面積に応じた受光量が得られる。
【0055】
一方、AF画素については、N画素の瞳面上での受光可能領域とAF画素の瞳面上での受光可能領域とを透過した光束を受光する。この光束は、上述したように、受光可能領域内の位置によって入射強度が異なる。従って、AF画素については、N画素の瞳面上での受光可能領域とAF画素の瞳面上での受光可能領域とが重なった領域において、入射光の強度分布に応じた光量を積分することで受光量が得られる。
【0056】
本実施の形態においては、図5乃至図8で説明したAF画素とN画素の画素位置に応じた受光量の変化に基づく画素位置毎の補正係数を用いて、各種画素の画素値を補正する。
【0057】
即ち、本実施の形態においては、画素位置(x,y)におけるL画素の受光量、N画素の受光量を夫々IL(x,y)、IN(x,y)とし、各受光量の比に基づいて受光量補正係数αを決定し、AF画素やN画素の画素値に受光量補正係数αを乗算することで、瞳分割位相差法において用いる画素値を補正するようになっている。
【0058】
なお、撮影レンズの射出瞳は、撮影レンズのFナンバーによっても変化する。また、Fナンバーは、ズーム状態やフォーカスレンズの位置によっても変化する。そこで、Fナンバー、ズーム状態、フォーカスレンズの位置に応じて、受光量補正係数αを変化させるようにしてもよい。なお、Fナンバーは受光素子上の位置に応じた射出瞳の面積に対応し、受光量に対する影響が最も大きい。そこで、例えばFナンバー毎に、受光量補正係数αを変化させるようにしてもよい。
【0059】
図9は受光量補正用メモリ27に記憶されているテーブルを説明するための説明図である。
【0060】
本実施の形態においては、ボディ制御部24は、計測によって求めた受光量補正係数αを受光量補正用メモリ27に与えて格納するようになっている。即ち、標準被写体を撮像して、AF画素及びN画素の各画素位置の受光量を求めるのである。この計測結果に従って、ボディ制御部24は、画素位置毎の受光量補正係数αを求めてテーブルを作成する。
【0061】
受光量補正用メモリ27には、画素位置(xy座標)に応じた受光量補正係数αのテーブルがFナンバー毎に記憶されている。各テーブルには、補正する画素の画素位置のアドレス(x,y)に対応した各受光量補正係数α(x,y)が記憶されている。図9の例では、x方向のn個の画素位置及びy方向のm個の画素位置のAF画素等に対応した受光量補正係数αが格納されていることを示している。
【0062】
受光量補正係数αのテーブルの値は、Fナンバー毎に異なり、図9では、1つのFナンバーについての受光量補正係数αのみを示している。また、受光量補正係数αは、受光部の全画素領域の全域に渡って、略均等の画素位置に対応して設定されていてもよく、受光部の全画素領域に設定されたAFエリア毎に、適宜の間隔の画素位置に対応して設けられていてもよい。また、受光部上の中央と周辺とで、異なる画素間隔の画素位置に対応して設定されていてもよい。
【0063】
即ち、受光量補正係数αは、焦点検出に必要な全ての画素位置に対応して設定してもよく、AFエリア毎に1つの受光量補正係数αを設定してもよい。或いは、周辺のエリアでは、焦点検出に必要な画素毎に受光量補正係数αを設定し、中央のエリアではエリアに1つだけ受光量補正係数αを設定してもよい。
【0064】
受光量補正係数αとしては、AF画素とN画素との受光量の比を用いることができる。例えば、AF画素としてL画素を用いた場合には、アドレス(x,y)におけるL画素の画素値をL(x,y)とし、アドレス(x+1,y+1)におけるN画素の画素値をN(x+1,y+1)とし、アドレス(x,y)における仮想R画素の画素値をR(x,y)として、α(x,y)=IL(x,y)/IN(x,y)。さらに、R(x,y)R(x,y)=α(x,y)・N(x+1,y+1)としてもよい。
【0065】
図10は図1中のボディ制御部24の具体的な構成を示すブロック図である。
【0066】
撮像部駆動回路28からの撮像信号は信号処理部61を介して撮像信号取得部62に入力される。像信号取得部62は、撮像信号のうち通常画素に基づく信号を表示画像構成部63に出力する。表示画像構成部63は、入力された信号に基づいて表示用の画像を生成して液晶表示部駆動回路25に出力する。液晶表示部駆動回路25によって液晶表示部26の表示画面上に撮像画像が表示される。また、記録画像構成部64は、像信号取得部62から通常画素に基づく信号が与えられ、AF画素を補間して、記録画像を生成する。この記録画像は、メモリーカード29に供給されて格納される。
【0067】
一方、像信号取得部62は、焦点検出に用いるAF画素及びN画素の信号をα算出部65に出力する。α算出部65は、撮像部22において所定の標準被写体を撮像している場合に、焦点検出に用いる各AF画素及びN画素の信号の受光量と各画素位置との情報に基づいて、各画素位置毎に受光量補正係数αを算出してテーブル生成部66に出力する。テーブル生成部66には、後述する制御部68を介してFナンバーの情報も入力されており、テーブル生成部66は、図9に示す受光量補正係数αのテーブルを生成する。このテーブルは受光量補正用メモリ27に供給されて格納される。
【0068】
実使用時には、制御部68は交換レンズ12のレンズ制御部30からFナンバーの情報を読み出して演算部/相関演算部67に与える。また、演算部/相関演算部67には、像信号取得部62から焦点検出に用いるAF画素及びN画素の信号が与えられる。演算部/相関演算部67は、Fナンバーの情報に基づいて受光量補正用メモリ27に記憶されているテーブルを選択し、選択したテーブルからAF画素及びN画素の画素位置に応じた受光量補正係数αを読み出して、AF画素又はN画素の画素値を補正する。
【0069】
演算部/相関演算部67は、補正したAF画素及びN画素の画素値を用いて、瞳分割位相差法の演算を行ってデフォーカス量を算出する。演算部/相関演算部67は、求めたデフォーカス量に基づくAF信号を制御部68に出力する。制御部68は、AF信号をレンズ制御部30に与える。
【0070】
次にこのように構成された実施の形態の動作について図11のフローチャートを参照して説明する。図11はオートフォーカス制御を示している。
【0071】
撮像装置11に電源が投入された場合や交換レンズが交換された場合には、ボディ制御部24は、ステップS11において、交換レンズ12のレンズ制御部30から受光量補正用メモリ17に記憶されているレンズ側補正情報を読み出す。
【0072】
次に、ボディ制御部24は、撮影モードが指示されたか否かを判定する。撮影モードが指示されていない場合には、ボディ制御部24はズーム操作が行われたか否かを判定する(ステップS13)。ズーム操作が行われと、レンズ制御部30は、レンズ駆動部16に対してズーム制御を行う。また、レンズ制御部30は、ズームに関する情報、Fナンバーに関する情報等をレンズ側補正情報としてボディ制御部24に送信する(ステップS15)。こうして、ボディ制御部24は、更新されたレンズ側補正情報を取得する(ステップS11)。
【0073】
撮影モードが指示されると、ボディ制御部24は、ステップS21において、撮像部22からの画像信号に基づいて、液晶表示部26に撮像画像(スルー画)をライブビュー表示させる。
【0074】
次のステップS22において、ボディ制御部24は、撮像部22から焦点検出に用いるAF画素、N画素の画素値を読み出す。また、ボディ制御部24は、各画素の画素位置に対応した受光量補正係数αを受光量補正用メモリ27から読み出し(ステップS23)、AF画素、N画素の画素値を受光量補正係数αを用いて補正する(ステップS24)。
【0075】
ボディ制御部24は、補正したAF画素、N画素を用いて、デフォーカス量を求めピント合わせを行うためのAF信号を生成する(ステップS25)。このAF信号がレンズ制御部30に供給されて、ピント合わせが行われる。
【0076】
このように本実施の形態においては、画素位置に応じた受光量補正係数αを用いて、焦点検出に用いるN画素の画素値、AF画素の画素値の少なくとも一方を補正するようになっている。受光部上の位置に応じて、射出瞳のケラレ、オンチップレンズの偏心、瞳面におけるAF画素の入射光の強度強度分布等に相違があることから、AF画素及びN画素の受光量は画素位置に応じて変化する。受光量補正係数αはこの変化を補正するものであり、受光量補正係数αを記憶するテーブルを用いることで、AF画素及びN画素の画素値を補正して、高精度のフォーカス制御を行うことができる。
【0077】
なお、上記実施の形態においては、Fナンバー等が可変の例を説明したが、Fナンバー等が固定の固定レンズを採用した場合には、受光量補正用メモリ17を省略してもよい。
【0078】
また、上記実施の形態においては、標準被写体の撮像によって計測した受光量に基づいて受光量補正係数を算出して受光量補正用メモリに記憶させる例について説明したが、既知のカメラの構造から受光量補正係数αが既に求められている場合には、受光量補正係数αの算出部は不要であり、既知の受光量補正係数αを格納する受光量補正用メモリのみを備えていればよい。
【0079】
(第2の実施の形態)
図12は第2の実施の形態において採用されるボディ制御部の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図12において図10と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。また、図13及び図14は夫々受光量補正用メモリ17,27に格納される情報を説明するための説明図である。
【0080】
第1の実施の形態においては、ボディ制御部24において、測定値を用いて受光量補正係数αを求め、これにより、テーブルを作成して受光量補正用メモリ27に記憶させる例を示した。これに対し、本実施の形態は、演算処理によって受光量補正係数αを求めるボディ制御部71を採用した点が第1の実施の形態と異なる。
【0081】
本実施の形態においては、交換レンズ12の受光量補正用メモリ17には、レンズ側補正情報β(x,y)として、図5乃至図8の符号51,52y,52x,52xyに対応する射出瞳の情報、即ち、ケラレの情報が格納されている。図13に示すように、レンズ側補正情報β(x,y)は、Fナンバー毎に、画素位置に対応して設けられる。なお、レンズ側補正情報βをFナンバー毎に設ける例を示したが、ズーム状態やフォーカス状態に応じてレンズ側補正情報βを設けてもよい。
【0082】
一方、カメラボディ13の受光量補正用メモリ27には、AF画素の入射光の強度分布に関する情報及びオンチップの偏心によるAF画素の受光可能領域の情報に基づいて生成される本体側補正情報が格納されている。図14に示すように、本体側補正情報γ(x,y)は、Fナンバー毎に、画素位置に対応して設けられる。なお、本体側補正情報γも、レンズ側補正情報βに応じて、ズーム状態やフォーカス状態毎に設定してもよい。
【0083】
ボディ制御部71は、例えば、Fナンバーに基づいて受光量補正用メモリ17のテーブルを選択し、選択したテーブルのレンズ側補正情報βをレンズ制御部30を介して読み込む。また、ボディ制御部71は、Fナンバーに基づいて受光量補正用メモリ27のテーブルを選択し、選択したテーブルの本体側補正情報γを読み込む。
【0084】
ボディ制御部71は、α算出部72aを有している。α算出部72aは、レンズ側補正情報βと本体側補正情報γとの演算によって、受光量補正係数αを求める。例えば、α算出部72aは、本体側補正情報γとして、非対称性に基づく補正係数が設定されている場合には、画素位置に対応するレンズ側補正情報βと非対称性に基づく補正係数との乗算によって、受光量補正係数αを求めることができる。
【0085】
なお、α算出部72aは、本体側補正情報γとして、AF画素の入射光の強度分布に関する情報及びオンチップの偏心によるAF画素の受光可能領域の情報が記憶されている場合には、これらの情報と射出瞳の形状に関する情報とを用いた積分処理によって、受光量補正係数αを求めてもよい。
【0086】
ボディ制御部71は、α算出部72aが算出した受光量補正係数αを用いて、各画素位置のAF画素、N画素の画素値を補正し、補正した画素値を用いて焦点検出を行う。
【0087】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図15のフローチャートを参照して説明する。図15において図11と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。
【0088】
図15のフローは、図11のステップS23のα読み出し処理に代えて、ステップS31の本体側補正情報読み出し処理及びステップS32のα算出処理を設けた点が図11のフローと異なる。
【0089】
ボディ制御部71は、ステップS11のレンズ情報取得処理において、レンズ側補正情報を読み出す。また、ボディ制御部71はステップS31において、本体側補正情報を読み出す。ボディ制御部71のα算出部71aは、ステップS32において、レンズ側補正情報と本体側補正情報を用いて、受光量補正係数αを算出する。
【0090】
他の作用は第1の実施の形態と同様である。
【0091】
このように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態においては、レンズ側に設けた受光量補正用メモリと本体側に設けた受光量補正用メモリに夫々レンズ側補正情報及び本体側補正情報を記憶させ、これらの情報を基に受光量補正係数αを求めており、予め受光量補正係数αを求めておく必要がないという利点を有する。
【0092】
なお、上記実施の形態においては、画素位置に応じて受光量補正係数αを求める例について説明したが、軸上の画素であっても、例えばFナンバーが変化することによって受光量は変化するので、Fナンバー毎に受光量補正係数αを設定し、この受光量補正係数αのテーブルを用いて、軸上の画素の画素値を補正するようにしてもよい。
【0093】
この場合のテーブルも、本体側の受光量補正用メモリに格納する。また、受光量補正係数αの値は、例えば、白色の均等拡散面を各Fナンバーで撮影した場合の、L画素の画素値とN画素の画素値とから算出することができる。また、この場合には、受光量補正係数αをレンズデータと撮像素子のデータから算出することも可能である。また、Fナンバーに限らず、ズーム状態やフォーカスレンズの位置に対応した受光量補正係数αを設定してもよい。
【0094】
なお、上記各実施の形態においては、焦点検出にAF画素のみを用いる場合にも適用可能であり、画素位置に応じて上述した手法によりAF画素の画素値を補正して、高精度のフォーカス制御を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0095】
10…本体回路部、11…信号処理及び制御部、14…撮像部、14a…受光部、14b…垂直アナログ加算回路、14c…水平デジタル加算回路、14d…AF用メモリ、17…記録再生部、18…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点検出に用いる画素を含み画素がマトリクス状に配列された撮像素子と、
上記焦点検出に用いる画素の画素位置に応じた受光量の差を補正するための補正情報を格納する補正用メモリと、
上記補正情報を読み出して上記焦点検出に用いる画素の画素値を補正する補正部と、
上記補正部によって補正された画素値を用いて焦点検出を行う焦点検出部と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記補正情報は、上記画素位置に応じた射出瞳の形状、上記画素位置に応じた焦点検出に用いる画素の受光可能領域の形状及び上記受光可能領域の入射光強度分布に基づいて生じる上記受光量の差を補正するための情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記補正情報は、上記画素位置に応じた受光量の比の情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記補正情報は、上記撮像素子に被写体像を結像させるためのレンズに関する情報に対応して設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
上記レンズに関する情報を上記補正部に送信するレンズ部
を具備したことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記補正用メモリは、上記画素位置に応じた焦点検出に用いる画素の受光可能領域の形状及び上記受光可能領域の入射光強度分布に基づく補正情報を保持し、
上記補正部は、上記レンズ部から取得した上記レンズに関する情報と、上記補正用メモリに記憶されている上記補正情報とに基づいて、上記焦点検出に用いる画素の画素値を補正する
を具備したことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−21615(P2013−21615A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155120(P2011−155120)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】