撮像装置
【課題】撮像装置において、振動等により基板上に設けられた電子部品が筐体に接触してショートする場合があり、基板の筐体近傍に電子部品を配置することが出来ない。
【解決手段】撮影光学系1を保持する保持部材21と、前記保持部材21に接合し、前記撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子411及び接続用の第1コネクタ412が設けられた第1基板41と、前記第1コネクタ412に接続する第2コネクタ422及び電子部品42eが設けられた第2基板42と、前記第1基板41及び前記第2基板42の周囲を囲んで前記保持部材21に固定されるシールドケース5と、を有する撮像装置Aであって、前記第2基板42は、前記シールドケース5と接合する接合部42aを有し、前記第2基板42に設けられた前記電子部品42eのうち、少なくとも前記シールドケース5の前記接合部42a近傍の前記電子部品42fが、非導電性材料により被覆されている。
【解決手段】撮影光学系1を保持する保持部材21と、前記保持部材21に接合し、前記撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子411及び接続用の第1コネクタ412が設けられた第1基板41と、前記第1コネクタ412に接続する第2コネクタ422及び電子部品42eが設けられた第2基板42と、前記第1基板41及び前記第2基板42の周囲を囲んで前記保持部材21に固定されるシールドケース5と、を有する撮像装置Aであって、前記第2基板42は、前記シールドケース5と接合する接合部42aを有し、前記第2基板42に設けられた前記電子部品42eのうち、少なくとも前記シールドケース5の前記接合部42a近傍の前記電子部品42fが、非導電性材料により被覆されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラ、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等に用いられる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮影用のレンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子とで構成された撮像装置が知られている。
【0003】
この様な撮像装置は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、あるいは自動車の車体の外部や車室内に取り付けられる車載カメラ、屋外の監視カメラ等に用いられている。
【0004】
車載カメラや監視カメラとして用いられる撮像装置では、多くの場合、電磁波対策のために撮像素子や電子部品が設けられた基板を囲う様にシールドケースを設けて構成される。
【0005】
例えば特許文献1では、外装を構成する筐体と、前記筐体の前部に組み込まれ撮影光学系を構成するレンズと、前記筐体の内部に設けられた前記撮影光学系によって導かれた被写体像を撮像する撮像素子と、前記筐体の内部に配設され前記撮像素子が搭載されたプリント配線基板とを含んで構成される撮像装置であって、前記プリント配線基板は、前記筐体に設けられた支持壁に接着剤で取着されている。
【0006】
この様な構成によれば、撮像素子が搭載されたプリント配線基板を支持壁に接着剤で取着するため、レンズに対する撮像素子の位置決めの自由度を大きく確保できるといった効果が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、特に車載カメラや監視カメラとして用いられる撮像装置では、小型化及び高機能化が求められており、基板上に電子部品を設ける範囲を拡大して電子部品を数多く実装する必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る撮像装置の構成では、振動等により基板上に設けられた電子部品が筐体に接触してショートする場合があり、基板の筐体近傍には電子部品を配置することが出来ないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、撮影光学系を保持する保持部材と、前記保持部材に接合し、前記撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子及び接続用の第1コネクタが設けられた第1基板と、前記第1コネクタに接続する第2コネクタ及び電子部品が設けられた第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の周囲を囲んで前記保持部材に固定されるシールドケースと、を有する撮像装置であって、前記第2基板は、前記シールドケースと接合する接合部を有し、前記第2基板に設けられた前記電子部品のうち、少なくとも前記シールドケースの前記接合部近傍の前記電子部品は、非導電性材料により被覆されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、基板上に設けられた電子部品のうち、基板とシールドケースとの接合部近傍の電子部品が非導電性材料により被覆されているため、振動等により電子部品がシールドケースに接触してもショート等により部品が破損することがない。
【0011】
したがって、基板上に電子部品を数多く実装できるため、撮像装置の小型化及び高機能化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る撮像装置の外観を示す斜視図
【図2】実施形態に係る撮像装置を接続コードの後方から見た斜視図
【図3】実施形態に係る撮像装置から後側ケース及び接続コードを取り外した状態の斜視図
【図4】実施形態に係る撮像装置から後側ケース及び接続コードを取り外した状態の断面図
【図5】実施形態に係る撮像装置の前側ケースに第1基板を固定したものを斜め後方から見た斜視図
【図6】実施形態に係る撮像装置の前側ケースを斜め後方から見た斜視図
【図7】実施形態に係る撮像装置の後側ケースの内側の構造を示す斜視図
【図8】実施形態に係る撮像装置の第1基板及び第2基板を示す分解斜視図
【図9】実施形態に係る撮像装置のシールドケースの斜視図
【図10】実施形態に係る撮像装置のシールドケースの分解斜視図
【図11】実施形態に係る撮像装置の接合用凸部と接合用開口部との接合前の状態を示す要部斜視図
【図12】実施形態に係る撮像装置の第2基板の電子部品の実装範囲を説明する図
【図13】実施形態に係る撮像装置の接合用凸部と接合用開口部との接合後の状態を示す要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
<撮像装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置Aの外観構成図である。図示した様に、撮像装置Aは撮影光学系1と、アウタケース2と、接続コード3とを有する。
【0014】
アウタケース2は、撮影光学系1を収容して保持する前側ケース(保持部材)21と、後述する第1基板41及び第2基板42を収容する後側ケース22とに前後方向に分割されている。なお、図中に示す矢印FRは撮像装置Aによる撮像方向であり、矢印RRはその反対方向である。また、矢印FR方向を前方、矢印RR方向を後方と称する。
【0015】
本実施形態に係る撮像装置Aは、例えば、車両後部のバンパやナンバプレート周辺等に設置されて、車両後方の斜め下方を撮像する様に取り付けられる車載カメラとして用いられる。この撮像装置Aの撮像画像は、撮像フレーム毎に図外の車載コンピュータに送信され、車室内に設置された図外の液晶ディスプレイ装置等に表示される。
【0016】
なお、車載カメラの使用例としてはこれに限らず、車両前方を撮像して障害物検知等に使用することもできる。また、本発明は車載カメラに限定されるものではなく、デジタルカメラやビデオカメラ、監視カメラ等にも適用可能である。
【0017】
図2に、撮像装置Aを接続コード3の後方から見た図を示す。図示した様に、撮像装置Aの後側ケース22の後面22aには、撮像装置Aを図外の車体にネジ留めするのに使用するネジ穴22b,22cと、接続コード3を後側ケース22にネジ留めするのに使用するネジ穴22d,22eとが形成されている。
【0018】
図3は、撮像装置Aから後側ケース22及び接続コード3を取り外した状態を示す図であり、図4はその断面図である。
【0019】
前側ケース21は、例えば樹脂によって形成された部材であり、図4に示す様に、撮影光学系1を保持している。この撮影光学系1は、本実施形態では6枚のレンズ11〜16で構成されている。また、前側ケース21の後側には、第1基板41が接合されている。
【0020】
第1基板41には、前面側にイメージセンサ411が保持されている。イメージセンサ411は、CCDやCMOS等の固体撮像素子であり、撮影光学系1によって結像される像を光電変換し、画像信号として外部(例えば、車載コンピュータ)に出力する。
【0021】
図5は、図3に示した前側ケース21に第1基板41を固定したものを斜め後方から見た斜視図である。
【0022】
図示した様に、第1基板41は略矩形に形成されており、その対角に位置する二箇所の隅部に、凹状に形成された略円弧状の凹部41a,41bが形成されている。また、第1基板41は、後面側にコンデンサや抵抗等の電子部品41eが実装されると共に、後述する第2基板42に接続するための第1コネクタ412が設けられている。
【0023】
また、前側ケース21には凹部41a,41bに対応して、同様に凹部21a,21bが形成されており、凹部41aと凹部21a、凹部41bと凹部21bでそれぞれ形成する円筒側面状の空間は、前側ケース21と後側ケース22とを、図示しない2本のネジで留める際にネジが貫通するための空間として用いられる。
【0024】
次に、第1基板41を前側ケース21に固定する構成について説明する。
【0025】
図6は、前側ケース21を斜め後方から見た斜視図である。図示した様に、前側ケース21には、外周を囲む略四角形筒状の外周壁211と、この外周壁211との間に略四角形の挿入溝216を形成して立設された4枚の支持壁212a,212b、212c、212dと、これらの支持壁212a,212b,212c,212dの内側に配置された略円筒状の鏡筒部213とが一体に設けられている。
【0026】
また、支持壁212aと支持壁212bとの間のコーナー部及び支持壁212cと支持壁212dとの間のコーナー部には、詳細な図示は省略するが、それぞれ縦溝214が形成されている。各支持壁212a,212b,212c,212dは、撮影光学系1の光軸と直交する平面状に延在された後端面215を備えている。
【0027】
第1基板41は、撮影光学系1によって導かれた被写体像が、イメージセンサ411の撮像面の中央に結像される様に撮影光学系1の光軸方向及び光軸と直交する方向に位置調整された状態で、後端面215に固定されている。この第1基板41の前側ケース21に対する固定は、接着剤による接合でなされると共に、部分的に固定用部材23を介して接合されている(図3、図4参照)。なお、ネジ留め等を行わずに接着剤を用いるのは、サイズや重量を増加させないためである。
【0028】
また、固定用部材23は、紫外線を透過する材質によって略L次断面形状に形成されており、前側ケース21の支持壁212b、212dに形成された凹部212eに収まる様に接着される。
【0029】
さらに、固定用部材23と第1基板41及び前側ケース21との接着には、紫外線硬化型接着剤が用いられ、それ以外の第1基板41の接続には、熱硬化型接着剤が用いられている。
【0030】
次に、撮像装置Aの後側部分の構成について説明する。
【0031】
図7は、本実施形態に係る撮像装置Aの後側ケース22の内側の構造を示す斜視図である。
【0032】
後側ケース22の内側には、シールドケース5が設けられている。このシールドケース5は、電磁波を遮蔽するもので、金属製の筐体あるいは樹脂製の筐体の内部を金属膜で覆ったものが用いられている。
【0033】
シールドケース5の内側には、第1基板41及び第2基板42が設けられている。
【0034】
図8に、第1基板と第2基板の分解斜視図を示す。
【0035】
図8に示した様に、第2基板42は、その前面側に第2コネクタ422が設けられており、この第2コネクタ422を第1基板41の第1コネクタ412に接続させることで、両者が電気的に接続されている。なお、第2基板42の後面側には、複数の電子部品42eが設けられている。第2基板42はシールドケース5に接合され、シールドケース5は前側ケース21に組み付けられて接合される。
<第2基板とシールドケースとの接合構造>
次に、第2基板42のシールドケース5に対する接合構造を説明するにあたり、まずシールドケース5について説明する。
【0036】
図9はシールドケース5の斜視図であり、図10はシールドケース5の分解斜視図である。
【0037】
図9,10に示す様に、シールドケース5は、ケース底面部51、ケース筒部52、ケース上面部53を備えている。
【0038】
ケース筒部52は、図示した様に概略直方体の筒状に形成されている。そして、このケース筒部52の前側端部に四角枠状のケース底面部51が装着され、一方、ケース筒部52の後側端部に四角枠状のケース上面部53が装着される。
【0039】
なお、ケース筒部52は、1枚の略長方形の薄板を、4箇所の角部52b,52c,52d,52eで折り曲げ、その両端を角部52bに隣り合う位置に設けられた接合部52gで接合させて、4枚の側壁521,522,523,524を備えた略四角形の筒状に形成されている。
【0040】
このシールドケース5は、前側ケース21の外周壁211と支持壁212a〜212dとの間に形成された挿入溝216に、ケース筒部52を差し込んだ状態で、前側ケース21に接着等で固定される。
【0041】
第2基板42は、シールドケース5のケース筒部52の内側に、第2基板42の外周とケース筒部52とが直接接することなく、両者の間に後述する空間SP1及び隙間SP2を介在させた状態で、接合部材6を介してケース筒部52に接合されている。以下で、この接合構造の詳細について説明する。
【0042】
図8に示した様に、第2基板42の外周の4辺の少なくとも1カ所には、接合用凸部42aが第2基板42の外周方向に突出して形成されている。本実施形態では、接合用凸部42aは、第2基板42の3辺に形成されている(図8にはそのうちの2つが表れている)が、4辺の全てに形成するのが望ましい。
【0043】
図11に、第2基板42の接合用凸部42aとケース筒部52の接合用開口部52aとの接合前の状態を示す。
【0044】
ケース筒部52は、その内周が、第2基板42の外周よりも大きな寸法に形成され、ケース筒部52の内周と第2基板42の外周との間に空間SP1が形成されている。そして、ケース筒部52の四角筒状のケース筒部52を形成する4枚の側壁521〜524のうちの側壁524を除く側壁521〜523において、第2基板42を第1基板41に接続させた時に、第2基板42の接合用凸部42aの基板外周方向に対向する位置に、四角形の接合用開口部52aが開口されている。
【0045】
ケース筒部52の側壁521〜523に形成される接合用開口部52aは、前後方向寸法が第2基板42の厚さ寸法よりも大きな寸法に形成されていると共に、前後方向に直交する矢印SDで示す幅方向の寸法が、接合用凸部42aの幅寸法よりも大きな寸法に形成されている。すなわち、第2基板42を第1基板41に接続させ、且つ、シールドケース5を前側ケース21に固定した状態では、図11に示した様に、接合用凸部42aは、接合用開口部52aからケース筒部52の外側に僅かに突出すると共に、接合用凸部42aと接合用開口部52aとの間には、前後方向及び幅方向に隙間SP2が存在する様に形成されている。
【0046】
前述したケース筒部52の内周と第2基板42の外周との寸法差(空間SP1の寸法)、および接合用開口部52aと接合用凸部42aとの寸法差(隙間SP2の寸法)は、第2基板42が予め設定された可能範囲で移動しても、相互に接触して干渉することが無い寸法に設けられている。
【0047】
すなわち、第1基板41は、前側ケース21の撮影光学系1に対して良好な結像が得られる様に位置調整されるものであり、その可動範囲が予め設定されている。したがって、第1基板41に両コネクタ412,422を介して接続される第2基板42も、第1基板41に応じて可動範囲が設定される。
【0048】
そのため、第1基板41が設定された可動範囲内で前側ケース21に対して相対移動するのに伴って、第2基板42が設定された可動範囲内で移動しても前側ケース21に固定されたシールドケース5のケース筒部52と干渉することが無いように、上述の寸法差(空間SP1及びSP2)が設定されている。
【0049】
なお、本実施形態では、第2基板42の4辺の寸法が20×20(mm)、厚みが1(mm)、接合用凸部42aの幅が3(mm)であり、接合用開口部52aの幅を5×5(mm)に形成しているが、この大きさは、前述した可動範囲や第2基板42、シールドケース5等の寸法精度、実装精度等を考慮して適宜設定することができる。
【0050】
図12に、第2基板42の電子部品42e,42fの実装範囲を説明する図を示す。
【0051】
第2基板42は、第1基板41のコネクタ412とコネクタ422を介して接続されており、第1基板の可動範囲内で第1基板41と共に位置が変動し得る。
【0052】
そのため、第2基板42とシールドケース5との間には空間SP1及びSP2が設けられているが、振動等により第2基板42の位置が変動した場合に、第2基板42とシールドケース5又は第2基板42上の電子部品42eとシールドケース5とが接触することがある。
【0053】
したがって、第2基板42のシールドケース5近傍又は接合用凸部42a上に配置された電子部品42eがシールドケース5に接触してショートするおそれがあるため、第2基板42の端部には電子部品42eを配設することができなかった。
【0054】
しかしながら、本実施形態に係る撮像装置Aでは、第2基板42に設けられた電子部品42eのうち、少なくとも接合用凸部42a近傍の電子部品42fを非導電性材料で被覆している。そのため、第2基板42の端部、特にシールドケース5に接合される接合用凸部42a上に電子部品42fを配設することが可能になり、振動等により電子部品42fがシールドケース5と接触した場合であっても、ショートして部品が破損することを回避することができる。
【0055】
接合用凸部42a近傍の電子部品42fには、予め非導電性材料により被覆することもできるが、後述する第2基板42とシールドケース5との接合時に非導電性の接合部材により被覆することも可能である。第2基板42とシールドケース5との接合時に電子部品42fを被覆することにより、電子部品42fを予め被覆する工程を省くことができるため好適である。
【0056】
なお、非導電性材料を第2基板42の回路パターンを保護するためにコーティングしても良く、シールドケース5の接合用開口部52a周辺にコーティングしても良い。シールドケース5の第2基板42と接合されるフランジ52fや、接合用開口部52aの周辺部を非導電性材料で被覆しておくことにより、第2基板42上の電子部品42fと接触することによりショートして破損するのをより確実に防止することができる。
【0057】
この様に、少なくとも第2基板42の接合用凸部42a近傍の電子部品42fに非導電性材料を被覆することにより、電子部品を実装できる範囲を拡大することができるため、より多くの電子部品を実装できる。したがって、撮像装置Aの小型化及び高機能化を実現することが可能になる。
【0058】
図13に、第2基板42の接合用凸部42aとケース筒部52の接合用開口部52aとの接合後の状態を示す。
【0059】
第2基板42とケース筒部52との接合は、図13に示す接合部材6によって、第2基板42の接合用凸部42aと、接合用開口部52aの前縁部に形成したフランジ52fとを接合させることでなされている。
【0060】
接合部材6には、非導電性材料を用いており、例えば、エポキシ、シリコーン、アクリル等の樹脂からなる接着剤や溶剤系の接着材等を用いることができる。また、これらの中でも、紫外線硬化型や常温硬化型の接着剤が好ましい。さらに、第1基板41と接続する第2基板の第2コネクタ422等への負荷を軽減するためにも、硬化後に軟らかい材料であることが好ましい。
【0061】
接合部材6として非導電性材料を用いることで、接合時に接合部材6が第1基板41や第2基板42上やシールドケース5の内部に広がってしまった場合でも、電気を通すことがなく、ショートするおそれがない。
<撮像装置の組み付け>
次に、撮像装置Aの組み付け作業の手順について説明する。
【0062】
まず、撮影光学系1を保持させた前側ケース21に、第1基板41を固定する。次に、図示しない治具で支持した状態で撮像を行い、撮影光学系1によって導かれた被写体像が、イメージセンサ411の撮像面の中央に結像される様に撮影光学系1の光軸方向及び光軸と直交する方向に治具で第1基板41の位置調整を行う。位置調整終了後に、接着剤により第1基板41と前側ケース21とを接合する。
【0063】
続いて、第2基板42の接合用凸部42aを接合用開口部52a内に挿入し、第2基板42の外周をシールドケース5の内周に対して離間させて余裕を持たせた状態のケース筒部52を、第1基板41を固定した前側ケース21に対して後方から装着させる。
【0064】
この状態で第2基板42の第2コネクタ422を、第1基板41の第1コネクタ412に接続させることで、第2基板42を第1基板41で支持する。
【0065】
シールドケース5は、ケース筒部52の前端部を、前側ケース21の挿入溝216に挿入して位置決めした後、接着剤により接合する。
【0066】
この時点で、シールドケース5のケース筒部52と第2基板42との間には寸法差に基づいて十分な空間SP1が確保されており、接合用凸部42aと接合用開口部52aとの間には隙間SP2が確保されている。このため、シールドケース5を前側ケース21に対して位置決めする一方で、第1基板41の可動範囲内で第2基板42が動いても、第2基板42とケース筒部52とは干渉することが無く、第1コネクタ412と第2コネクタ422との間に負荷を与えることなく接続できる。
【0067】
次に、第2基板42の接合用凸部42aと、接合用開口部52aのフランジ52fとを、接合部材6によりケース筒部52の外側から接合する。
【0068】
この時、上述した様に非導電性材料である接合部材6によりケース筒部52と第2基板42を接合すると共に、第2基板42の接合用凸部42a近傍の電子部品42fを同時に被覆することもできる。電子部品42f等を予め非導電性材料で被覆しておくことも可能であるが、第2基板42とケース筒部52との接合時に併せて電子部品42fの被覆を行うことで、電子部品42fの被覆工程を省き、製造工程を簡略化できる。また、電子部品42fを被覆する非導電性材料と、シールドケース5と第2基板42との非導電性の接合部材を同一材料とすることで、異なる種類の材料を用いる必要がなくなるため、製造コストを下げることが可能である。
【0069】
第2基板42とケース筒部52との接続後に、シールドケース5を後側ケース22で覆い、さらに、前側ケース21と後側ケース22とを接合し、接続コード3を第2基板42に接続することで、撮像装置Aの組み付けが完了する。
<まとめ>
以上説明した様に、本実施形態に係る撮像装置Aは、第2基板42に設けられた電子部品42eのうち、少なくとも接合用凸部42a近傍の電子部品42fが非導電性材料で被覆されている。したがって、振動等により第2基板42の位置が変動し、例えば接合用凸部42a近傍の電子部品42fがシールドケース5と接触した場合であっても電子部品42fがショートして破損することがない。
【0070】
そのため、第2基板42に電子部品を配設できる範囲を拡大することができ、より多くの電子部品の実装が可能になるため、撮像装置Aの小型化及び高機能化に大きく貢献することができる。
【0071】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 撮影光学系
5 シールドケース
6 非導電性材料
21 保持部材
41 第1基板
42 第2基板
42a 接合用凸部(接合部)
42e,42f 電子部品
411 イメージセンサ(撮像素子)
412 第1コネクタ
422 第2コネクタ
A 撮像装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2008−33010号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラ、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等に用いられる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮影用のレンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子とで構成された撮像装置が知られている。
【0003】
この様な撮像装置は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、あるいは自動車の車体の外部や車室内に取り付けられる車載カメラ、屋外の監視カメラ等に用いられている。
【0004】
車載カメラや監視カメラとして用いられる撮像装置では、多くの場合、電磁波対策のために撮像素子や電子部品が設けられた基板を囲う様にシールドケースを設けて構成される。
【0005】
例えば特許文献1では、外装を構成する筐体と、前記筐体の前部に組み込まれ撮影光学系を構成するレンズと、前記筐体の内部に設けられた前記撮影光学系によって導かれた被写体像を撮像する撮像素子と、前記筐体の内部に配設され前記撮像素子が搭載されたプリント配線基板とを含んで構成される撮像装置であって、前記プリント配線基板は、前記筐体に設けられた支持壁に接着剤で取着されている。
【0006】
この様な構成によれば、撮像素子が搭載されたプリント配線基板を支持壁に接着剤で取着するため、レンズに対する撮像素子の位置決めの自由度を大きく確保できるといった効果が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、特に車載カメラや監視カメラとして用いられる撮像装置では、小型化及び高機能化が求められており、基板上に電子部品を設ける範囲を拡大して電子部品を数多く実装する必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る撮像装置の構成では、振動等により基板上に設けられた電子部品が筐体に接触してショートする場合があり、基板の筐体近傍には電子部品を配置することが出来ないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、撮影光学系を保持する保持部材と、前記保持部材に接合し、前記撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子及び接続用の第1コネクタが設けられた第1基板と、前記第1コネクタに接続する第2コネクタ及び電子部品が設けられた第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の周囲を囲んで前記保持部材に固定されるシールドケースと、を有する撮像装置であって、前記第2基板は、前記シールドケースと接合する接合部を有し、前記第2基板に設けられた前記電子部品のうち、少なくとも前記シールドケースの前記接合部近傍の前記電子部品は、非導電性材料により被覆されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、基板上に設けられた電子部品のうち、基板とシールドケースとの接合部近傍の電子部品が非導電性材料により被覆されているため、振動等により電子部品がシールドケースに接触してもショート等により部品が破損することがない。
【0011】
したがって、基板上に電子部品を数多く実装できるため、撮像装置の小型化及び高機能化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る撮像装置の外観を示す斜視図
【図2】実施形態に係る撮像装置を接続コードの後方から見た斜視図
【図3】実施形態に係る撮像装置から後側ケース及び接続コードを取り外した状態の斜視図
【図4】実施形態に係る撮像装置から後側ケース及び接続コードを取り外した状態の断面図
【図5】実施形態に係る撮像装置の前側ケースに第1基板を固定したものを斜め後方から見た斜視図
【図6】実施形態に係る撮像装置の前側ケースを斜め後方から見た斜視図
【図7】実施形態に係る撮像装置の後側ケースの内側の構造を示す斜視図
【図8】実施形態に係る撮像装置の第1基板及び第2基板を示す分解斜視図
【図9】実施形態に係る撮像装置のシールドケースの斜視図
【図10】実施形態に係る撮像装置のシールドケースの分解斜視図
【図11】実施形態に係る撮像装置の接合用凸部と接合用開口部との接合前の状態を示す要部斜視図
【図12】実施形態に係る撮像装置の第2基板の電子部品の実装範囲を説明する図
【図13】実施形態に係る撮像装置の接合用凸部と接合用開口部との接合後の状態を示す要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
<撮像装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置Aの外観構成図である。図示した様に、撮像装置Aは撮影光学系1と、アウタケース2と、接続コード3とを有する。
【0014】
アウタケース2は、撮影光学系1を収容して保持する前側ケース(保持部材)21と、後述する第1基板41及び第2基板42を収容する後側ケース22とに前後方向に分割されている。なお、図中に示す矢印FRは撮像装置Aによる撮像方向であり、矢印RRはその反対方向である。また、矢印FR方向を前方、矢印RR方向を後方と称する。
【0015】
本実施形態に係る撮像装置Aは、例えば、車両後部のバンパやナンバプレート周辺等に設置されて、車両後方の斜め下方を撮像する様に取り付けられる車載カメラとして用いられる。この撮像装置Aの撮像画像は、撮像フレーム毎に図外の車載コンピュータに送信され、車室内に設置された図外の液晶ディスプレイ装置等に表示される。
【0016】
なお、車載カメラの使用例としてはこれに限らず、車両前方を撮像して障害物検知等に使用することもできる。また、本発明は車載カメラに限定されるものではなく、デジタルカメラやビデオカメラ、監視カメラ等にも適用可能である。
【0017】
図2に、撮像装置Aを接続コード3の後方から見た図を示す。図示した様に、撮像装置Aの後側ケース22の後面22aには、撮像装置Aを図外の車体にネジ留めするのに使用するネジ穴22b,22cと、接続コード3を後側ケース22にネジ留めするのに使用するネジ穴22d,22eとが形成されている。
【0018】
図3は、撮像装置Aから後側ケース22及び接続コード3を取り外した状態を示す図であり、図4はその断面図である。
【0019】
前側ケース21は、例えば樹脂によって形成された部材であり、図4に示す様に、撮影光学系1を保持している。この撮影光学系1は、本実施形態では6枚のレンズ11〜16で構成されている。また、前側ケース21の後側には、第1基板41が接合されている。
【0020】
第1基板41には、前面側にイメージセンサ411が保持されている。イメージセンサ411は、CCDやCMOS等の固体撮像素子であり、撮影光学系1によって結像される像を光電変換し、画像信号として外部(例えば、車載コンピュータ)に出力する。
【0021】
図5は、図3に示した前側ケース21に第1基板41を固定したものを斜め後方から見た斜視図である。
【0022】
図示した様に、第1基板41は略矩形に形成されており、その対角に位置する二箇所の隅部に、凹状に形成された略円弧状の凹部41a,41bが形成されている。また、第1基板41は、後面側にコンデンサや抵抗等の電子部品41eが実装されると共に、後述する第2基板42に接続するための第1コネクタ412が設けられている。
【0023】
また、前側ケース21には凹部41a,41bに対応して、同様に凹部21a,21bが形成されており、凹部41aと凹部21a、凹部41bと凹部21bでそれぞれ形成する円筒側面状の空間は、前側ケース21と後側ケース22とを、図示しない2本のネジで留める際にネジが貫通するための空間として用いられる。
【0024】
次に、第1基板41を前側ケース21に固定する構成について説明する。
【0025】
図6は、前側ケース21を斜め後方から見た斜視図である。図示した様に、前側ケース21には、外周を囲む略四角形筒状の外周壁211と、この外周壁211との間に略四角形の挿入溝216を形成して立設された4枚の支持壁212a,212b、212c、212dと、これらの支持壁212a,212b,212c,212dの内側に配置された略円筒状の鏡筒部213とが一体に設けられている。
【0026】
また、支持壁212aと支持壁212bとの間のコーナー部及び支持壁212cと支持壁212dとの間のコーナー部には、詳細な図示は省略するが、それぞれ縦溝214が形成されている。各支持壁212a,212b,212c,212dは、撮影光学系1の光軸と直交する平面状に延在された後端面215を備えている。
【0027】
第1基板41は、撮影光学系1によって導かれた被写体像が、イメージセンサ411の撮像面の中央に結像される様に撮影光学系1の光軸方向及び光軸と直交する方向に位置調整された状態で、後端面215に固定されている。この第1基板41の前側ケース21に対する固定は、接着剤による接合でなされると共に、部分的に固定用部材23を介して接合されている(図3、図4参照)。なお、ネジ留め等を行わずに接着剤を用いるのは、サイズや重量を増加させないためである。
【0028】
また、固定用部材23は、紫外線を透過する材質によって略L次断面形状に形成されており、前側ケース21の支持壁212b、212dに形成された凹部212eに収まる様に接着される。
【0029】
さらに、固定用部材23と第1基板41及び前側ケース21との接着には、紫外線硬化型接着剤が用いられ、それ以外の第1基板41の接続には、熱硬化型接着剤が用いられている。
【0030】
次に、撮像装置Aの後側部分の構成について説明する。
【0031】
図7は、本実施形態に係る撮像装置Aの後側ケース22の内側の構造を示す斜視図である。
【0032】
後側ケース22の内側には、シールドケース5が設けられている。このシールドケース5は、電磁波を遮蔽するもので、金属製の筐体あるいは樹脂製の筐体の内部を金属膜で覆ったものが用いられている。
【0033】
シールドケース5の内側には、第1基板41及び第2基板42が設けられている。
【0034】
図8に、第1基板と第2基板の分解斜視図を示す。
【0035】
図8に示した様に、第2基板42は、その前面側に第2コネクタ422が設けられており、この第2コネクタ422を第1基板41の第1コネクタ412に接続させることで、両者が電気的に接続されている。なお、第2基板42の後面側には、複数の電子部品42eが設けられている。第2基板42はシールドケース5に接合され、シールドケース5は前側ケース21に組み付けられて接合される。
<第2基板とシールドケースとの接合構造>
次に、第2基板42のシールドケース5に対する接合構造を説明するにあたり、まずシールドケース5について説明する。
【0036】
図9はシールドケース5の斜視図であり、図10はシールドケース5の分解斜視図である。
【0037】
図9,10に示す様に、シールドケース5は、ケース底面部51、ケース筒部52、ケース上面部53を備えている。
【0038】
ケース筒部52は、図示した様に概略直方体の筒状に形成されている。そして、このケース筒部52の前側端部に四角枠状のケース底面部51が装着され、一方、ケース筒部52の後側端部に四角枠状のケース上面部53が装着される。
【0039】
なお、ケース筒部52は、1枚の略長方形の薄板を、4箇所の角部52b,52c,52d,52eで折り曲げ、その両端を角部52bに隣り合う位置に設けられた接合部52gで接合させて、4枚の側壁521,522,523,524を備えた略四角形の筒状に形成されている。
【0040】
このシールドケース5は、前側ケース21の外周壁211と支持壁212a〜212dとの間に形成された挿入溝216に、ケース筒部52を差し込んだ状態で、前側ケース21に接着等で固定される。
【0041】
第2基板42は、シールドケース5のケース筒部52の内側に、第2基板42の外周とケース筒部52とが直接接することなく、両者の間に後述する空間SP1及び隙間SP2を介在させた状態で、接合部材6を介してケース筒部52に接合されている。以下で、この接合構造の詳細について説明する。
【0042】
図8に示した様に、第2基板42の外周の4辺の少なくとも1カ所には、接合用凸部42aが第2基板42の外周方向に突出して形成されている。本実施形態では、接合用凸部42aは、第2基板42の3辺に形成されている(図8にはそのうちの2つが表れている)が、4辺の全てに形成するのが望ましい。
【0043】
図11に、第2基板42の接合用凸部42aとケース筒部52の接合用開口部52aとの接合前の状態を示す。
【0044】
ケース筒部52は、その内周が、第2基板42の外周よりも大きな寸法に形成され、ケース筒部52の内周と第2基板42の外周との間に空間SP1が形成されている。そして、ケース筒部52の四角筒状のケース筒部52を形成する4枚の側壁521〜524のうちの側壁524を除く側壁521〜523において、第2基板42を第1基板41に接続させた時に、第2基板42の接合用凸部42aの基板外周方向に対向する位置に、四角形の接合用開口部52aが開口されている。
【0045】
ケース筒部52の側壁521〜523に形成される接合用開口部52aは、前後方向寸法が第2基板42の厚さ寸法よりも大きな寸法に形成されていると共に、前後方向に直交する矢印SDで示す幅方向の寸法が、接合用凸部42aの幅寸法よりも大きな寸法に形成されている。すなわち、第2基板42を第1基板41に接続させ、且つ、シールドケース5を前側ケース21に固定した状態では、図11に示した様に、接合用凸部42aは、接合用開口部52aからケース筒部52の外側に僅かに突出すると共に、接合用凸部42aと接合用開口部52aとの間には、前後方向及び幅方向に隙間SP2が存在する様に形成されている。
【0046】
前述したケース筒部52の内周と第2基板42の外周との寸法差(空間SP1の寸法)、および接合用開口部52aと接合用凸部42aとの寸法差(隙間SP2の寸法)は、第2基板42が予め設定された可能範囲で移動しても、相互に接触して干渉することが無い寸法に設けられている。
【0047】
すなわち、第1基板41は、前側ケース21の撮影光学系1に対して良好な結像が得られる様に位置調整されるものであり、その可動範囲が予め設定されている。したがって、第1基板41に両コネクタ412,422を介して接続される第2基板42も、第1基板41に応じて可動範囲が設定される。
【0048】
そのため、第1基板41が設定された可動範囲内で前側ケース21に対して相対移動するのに伴って、第2基板42が設定された可動範囲内で移動しても前側ケース21に固定されたシールドケース5のケース筒部52と干渉することが無いように、上述の寸法差(空間SP1及びSP2)が設定されている。
【0049】
なお、本実施形態では、第2基板42の4辺の寸法が20×20(mm)、厚みが1(mm)、接合用凸部42aの幅が3(mm)であり、接合用開口部52aの幅を5×5(mm)に形成しているが、この大きさは、前述した可動範囲や第2基板42、シールドケース5等の寸法精度、実装精度等を考慮して適宜設定することができる。
【0050】
図12に、第2基板42の電子部品42e,42fの実装範囲を説明する図を示す。
【0051】
第2基板42は、第1基板41のコネクタ412とコネクタ422を介して接続されており、第1基板の可動範囲内で第1基板41と共に位置が変動し得る。
【0052】
そのため、第2基板42とシールドケース5との間には空間SP1及びSP2が設けられているが、振動等により第2基板42の位置が変動した場合に、第2基板42とシールドケース5又は第2基板42上の電子部品42eとシールドケース5とが接触することがある。
【0053】
したがって、第2基板42のシールドケース5近傍又は接合用凸部42a上に配置された電子部品42eがシールドケース5に接触してショートするおそれがあるため、第2基板42の端部には電子部品42eを配設することができなかった。
【0054】
しかしながら、本実施形態に係る撮像装置Aでは、第2基板42に設けられた電子部品42eのうち、少なくとも接合用凸部42a近傍の電子部品42fを非導電性材料で被覆している。そのため、第2基板42の端部、特にシールドケース5に接合される接合用凸部42a上に電子部品42fを配設することが可能になり、振動等により電子部品42fがシールドケース5と接触した場合であっても、ショートして部品が破損することを回避することができる。
【0055】
接合用凸部42a近傍の電子部品42fには、予め非導電性材料により被覆することもできるが、後述する第2基板42とシールドケース5との接合時に非導電性の接合部材により被覆することも可能である。第2基板42とシールドケース5との接合時に電子部品42fを被覆することにより、電子部品42fを予め被覆する工程を省くことができるため好適である。
【0056】
なお、非導電性材料を第2基板42の回路パターンを保護するためにコーティングしても良く、シールドケース5の接合用開口部52a周辺にコーティングしても良い。シールドケース5の第2基板42と接合されるフランジ52fや、接合用開口部52aの周辺部を非導電性材料で被覆しておくことにより、第2基板42上の電子部品42fと接触することによりショートして破損するのをより確実に防止することができる。
【0057】
この様に、少なくとも第2基板42の接合用凸部42a近傍の電子部品42fに非導電性材料を被覆することにより、電子部品を実装できる範囲を拡大することができるため、より多くの電子部品を実装できる。したがって、撮像装置Aの小型化及び高機能化を実現することが可能になる。
【0058】
図13に、第2基板42の接合用凸部42aとケース筒部52の接合用開口部52aとの接合後の状態を示す。
【0059】
第2基板42とケース筒部52との接合は、図13に示す接合部材6によって、第2基板42の接合用凸部42aと、接合用開口部52aの前縁部に形成したフランジ52fとを接合させることでなされている。
【0060】
接合部材6には、非導電性材料を用いており、例えば、エポキシ、シリコーン、アクリル等の樹脂からなる接着剤や溶剤系の接着材等を用いることができる。また、これらの中でも、紫外線硬化型や常温硬化型の接着剤が好ましい。さらに、第1基板41と接続する第2基板の第2コネクタ422等への負荷を軽減するためにも、硬化後に軟らかい材料であることが好ましい。
【0061】
接合部材6として非導電性材料を用いることで、接合時に接合部材6が第1基板41や第2基板42上やシールドケース5の内部に広がってしまった場合でも、電気を通すことがなく、ショートするおそれがない。
<撮像装置の組み付け>
次に、撮像装置Aの組み付け作業の手順について説明する。
【0062】
まず、撮影光学系1を保持させた前側ケース21に、第1基板41を固定する。次に、図示しない治具で支持した状態で撮像を行い、撮影光学系1によって導かれた被写体像が、イメージセンサ411の撮像面の中央に結像される様に撮影光学系1の光軸方向及び光軸と直交する方向に治具で第1基板41の位置調整を行う。位置調整終了後に、接着剤により第1基板41と前側ケース21とを接合する。
【0063】
続いて、第2基板42の接合用凸部42aを接合用開口部52a内に挿入し、第2基板42の外周をシールドケース5の内周に対して離間させて余裕を持たせた状態のケース筒部52を、第1基板41を固定した前側ケース21に対して後方から装着させる。
【0064】
この状態で第2基板42の第2コネクタ422を、第1基板41の第1コネクタ412に接続させることで、第2基板42を第1基板41で支持する。
【0065】
シールドケース5は、ケース筒部52の前端部を、前側ケース21の挿入溝216に挿入して位置決めした後、接着剤により接合する。
【0066】
この時点で、シールドケース5のケース筒部52と第2基板42との間には寸法差に基づいて十分な空間SP1が確保されており、接合用凸部42aと接合用開口部52aとの間には隙間SP2が確保されている。このため、シールドケース5を前側ケース21に対して位置決めする一方で、第1基板41の可動範囲内で第2基板42が動いても、第2基板42とケース筒部52とは干渉することが無く、第1コネクタ412と第2コネクタ422との間に負荷を与えることなく接続できる。
【0067】
次に、第2基板42の接合用凸部42aと、接合用開口部52aのフランジ52fとを、接合部材6によりケース筒部52の外側から接合する。
【0068】
この時、上述した様に非導電性材料である接合部材6によりケース筒部52と第2基板42を接合すると共に、第2基板42の接合用凸部42a近傍の電子部品42fを同時に被覆することもできる。電子部品42f等を予め非導電性材料で被覆しておくことも可能であるが、第2基板42とケース筒部52との接合時に併せて電子部品42fの被覆を行うことで、電子部品42fの被覆工程を省き、製造工程を簡略化できる。また、電子部品42fを被覆する非導電性材料と、シールドケース5と第2基板42との非導電性の接合部材を同一材料とすることで、異なる種類の材料を用いる必要がなくなるため、製造コストを下げることが可能である。
【0069】
第2基板42とケース筒部52との接続後に、シールドケース5を後側ケース22で覆い、さらに、前側ケース21と後側ケース22とを接合し、接続コード3を第2基板42に接続することで、撮像装置Aの組み付けが完了する。
<まとめ>
以上説明した様に、本実施形態に係る撮像装置Aは、第2基板42に設けられた電子部品42eのうち、少なくとも接合用凸部42a近傍の電子部品42fが非導電性材料で被覆されている。したがって、振動等により第2基板42の位置が変動し、例えば接合用凸部42a近傍の電子部品42fがシールドケース5と接触した場合であっても電子部品42fがショートして破損することがない。
【0070】
そのため、第2基板42に電子部品を配設できる範囲を拡大することができ、より多くの電子部品の実装が可能になるため、撮像装置Aの小型化及び高機能化に大きく貢献することができる。
【0071】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 撮影光学系
5 シールドケース
6 非導電性材料
21 保持部材
41 第1基板
42 第2基板
42a 接合用凸部(接合部)
42e,42f 電子部品
411 イメージセンサ(撮像素子)
412 第1コネクタ
422 第2コネクタ
A 撮像装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2008−33010号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を保持する保持部材と、
前記保持部材に接合し、前記撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子及び接続用の第1コネクタが設けられた第1基板と、
前記第1コネクタに接続する第2コネクタ及び電子部品が設けられた第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の周囲を囲んで前記保持部材に固定されるシールドケースと、
を有する撮像装置であって、
前記第2基板は、前記シールドケースと接合する接合部を有し、
前記第2基板に設けられた前記電子部品のうち、少なくとも前記接合部近傍の前記電子部品は、非導電性材料により被覆されている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記シールドケースの前記第2基板との接合部及び前記シールドケースの前記接合部の周辺部が、非導電性材料により被覆されている
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記シールドケースと前記第2基板とが、非導電性材料により接合されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記電子部品を被覆する前記非導電性材料と、前記シールドケースの前記接合部及び前記周辺部を被覆する前記非導電性材料と、前記シールドケースと前記第2基板とを接合する前記非導電性材料とが、同一の材料である
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項1】
撮影光学系を保持する保持部材と、
前記保持部材に接合し、前記撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子及び接続用の第1コネクタが設けられた第1基板と、
前記第1コネクタに接続する第2コネクタ及び電子部品が設けられた第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の周囲を囲んで前記保持部材に固定されるシールドケースと、
を有する撮像装置であって、
前記第2基板は、前記シールドケースと接合する接合部を有し、
前記第2基板に設けられた前記電子部品のうち、少なくとも前記接合部近傍の前記電子部品は、非導電性材料により被覆されている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記シールドケースの前記第2基板との接合部及び前記シールドケースの前記接合部の周辺部が、非導電性材料により被覆されている
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記シールドケースと前記第2基板とが、非導電性材料により接合されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記電子部品を被覆する前記非導電性材料と、前記シールドケースの前記接合部及び前記周辺部を被覆する前記非導電性材料と、前記シールドケースと前記第2基板とを接合する前記非導電性材料とが、同一の材料である
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−42359(P2013−42359A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177840(P2011−177840)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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