説明

撮像装置

【課題】特定の被写体が所望の領域に収まっているかファインダを見ずに確認可能とする。
【解決手段】撮像装置は、例えば、人などの被写体像を撮像して撮像画像を生成する撮像部と、前記撮像部により生成された前記撮像画像の特定の被写体を認識する被写体認識部と、前記被写体認識部の認識に基づいて、前記特定の被写体が前記撮像画像における予め定められた領域にあるか否かをユーザに対して触覚的に通知する触覚通知部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ストロボの充電等の撮影準備が完了すると、完了した旨をユーザに通知する撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2003−262899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ユーザは、特定の被写体が所望の領域に収まっているか否かを見つつ撮像しなければならないといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、被写体像を撮像して撮像画像を生成する撮像部と、前記撮像部により生成された前記撮像画像の特定の被写体を認識する被写体認識部と、前記被写体認識部の認識に基づいて、前記特定の被写体が前記撮像画像における予め定められた領域にあるか否かをユーザに対して触覚的に通知する触覚通知部とを備える撮像装置を提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】撮像装置の前面図である。
【図2】撮像装置の後面図である。
【図3】撮像装置10の制御系を説明するブロック図である。
【図4】撮像装置10の主制御処理を説明するフローチャートである。
【図5】ノールック処理(S14)を説明するフローチャートである。
【図6】ノールック処理(S14)の初期処理(S20)を説明するフローチャートである。
【図7】ノールック処理(S14)の被写体認識処理(S22)を説明するフローチャートである。
【図8】ノールック処理(S14)の触覚通知処理(S24)を説明するフローチャートである。
【図9】ノールック処理(S14)の記憶処理(S26)を説明するフローチャートである。
【図10】振動部の配置を変更した撮像装置の前面図である。
【図11】振動部の配置を変更した撮像装置の後面図である。
【図12】別の振動部の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、撮像装置の前面図である。図2は、撮像装置の後面図である。図1に矢印で示すように、撮像装置を操作するユーザから見て上下左右を、撮像装置の上下左右とする。また、ユーザから見て前方であって、被写体が存在する方向を撮像装置の前方向とする。
【0009】
図1及び図2に示すように、撮像装置10は、筐体12と、レンズ部14と、撮像部16と、レリーズスイッチ18と、表示部20と、モード設定部22と、タッチパネル24と、振動部26とを備える。
【0010】
筐体12は、中空の略直方体形状に形成されている。筐体12は、撮像装置10の各構成を収容または保持する。
【0011】
レンズ部14は、筐体12の前面に取りつけられている。レンズ部14は、複数のレンズを有する。レンズ部14は、前後方向に伸縮する。これにより、レンズ部14は、被写体を拡大縮小するズーム機能を有するとともに、被写体に焦点を合わせる合焦機能を有する。
【0012】
撮像部16は、レンズ部14の光軸上であって、レンズ部14の後方に配置されている。撮像部16は、筐体12の内部に収容されている。撮像部16は、被写体像を撮像して、電気信号の撮像画像を生成して出力する。
【0013】
レリーズスイッチ18は、筐体12の上面に、下方へ押圧可能に支持されている。ユーザがレリーズスイッチ18を押圧することにより、撮像部16によって受光されている被写体像が記憶される。
【0014】
表示部20は、筐体12の後面に配置されている。表示部20は、液晶画像表示装置、有機EL表示装置等を有する。表示部20は、撮像部16によって生成されている撮像画像(いわゆる、スルー画像)、及び、既に記憶されている撮像画像等を表示する。
【0015】
モード設定部22は、前後方向に延びる回転軸の周りに回動可能に、筐体12に支持されている。ユーザは、モード設定部22によって、通常モード、ノールックモード等を設定する。ノールックモードとは、ユーザが表示部20を見ずに特定の被写体である特定被写体を撮影する場合に選択されるモードである。通常モードとは、ノールックモード以外の複数のモードを含み、ユーザが表示部20等によって特定被写体を見つつ、撮影するモードである。
【0016】
タッチパネル24は、表示部20の表面に設けられている。ユーザは、タッチパネル24を介して、種々の情報を入力する。例えば、ユーザは、ノールックモードにおいて、特定被写体を捉える被写体領域の位置及び大きさを設定する。
【0017】
振動部26は、右上振動部30と、右下振動部32と、左上振動部34と、左下振動部36とを有する。右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36は、それぞれ筐体12の異なる場所である四隅に配置されている。ここでいう四隅とは、前方から見て、筐体12を上下左右の四分割した各領域のいずれかのことである。右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36は、圧電素子を含む。これにより、右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36は、電圧が印加されると、振動する。
【0018】
図3は、撮像装置10の制御系を説明するブロック図である。図3に示すように、撮像装置10は、制御部40と、システムメモリ42と、メインメモリ44と、二次記憶媒体46と、レンズ駆動部48と、音声出力部50とを更に備える。
【0019】
制御部40は、CPUを含み撮像装置10の制御全般を司る。制御部40は、モード判定部52と、表示制御部54と、音声制御部56と、被写体認識部58と、触覚通知部60と、記憶処理部62とを有する。
【0020】
モード判定部52は、モード設定部22から入力されるモード情報に基づいて、複数の撮影モードのうち、選択されたモードを判定する。例えば、モード判定部52は、通常モードが設定されているか、ノールックモードが設定されているかを判定する。モード判定部52は、ノールックモードが設定されていると判定すると、その旨を、表示制御部54、音声制御部56及び被写体認識部58に出力する。
【0021】
表示制御部54は、撮像部16によって生成されている撮像画像、二次記憶媒体46に格納されている画像情報に基づいて、表示部20に画像を表示する。また、表示制御部54は、モード判定部52がノールックモードと判定すると、表示部20における画像表示を停止して、撮像画像を表示させない。
【0022】
音声制御部56は、レリーズスイッチ18が操作された場合のレリーズの音等の音声を、音声出力部50を介して出力する。また、音声制御部56は、モード判定部52がノールックモードと判定すると、音声出力部50を停止させて、レリーズスイッチ18が操作されてもレリーズの音を出力させない。
【0023】
被写体認識部58は、タッチパネル24を介して入力された領域情報に基づいて、撮像画像における被写体領域を設定する。被写体領域は、予め定められた領域の一例である。尚、ユーザが被写体領域を入力しない場合、被写体認識部58は、例えば、撮像素子68の中央部の領域を自動的に被写体領域として設定してもよい。被写体認識部58は、撮像部16によって生成された撮像画像の特定被写体を認識して、特定被写体が撮像画像に含まれるか否かを判定する。例えば、特定被写体が人の場合、被写体認識部58は、顔認識によって、特定被写体の有無を判定する。
【0024】
被写体認識部58は、撮像画像に特定被写体ありと判定すると、レンズ駆動部48を駆動させて、レンズ部14を特定被写体に合焦させる。更に、被写体認識部58は、特定被写体が被写体領域にあるか否かを判定する。被写体認識部58は、特定被写体が被写体領域から外れている場合、特定被写体が被写体領域のいずれの方向に外れているかを認識する。そして、被写体認識部58は、外れている方向を方向情報としてメインメモリ44に格納する。被写体認識部58は、特定被写体が被写体領域にあるが、特定被写体の大きさが被写体領域と異なる場合、レンズ駆動部48を駆動させて、レンズ部14をズームさせることにより、特定被写体を被写体領域と略同じ大きさにする。
【0025】
触覚通知部60は、被写体認識部58の認識に基づいて、特定被写体が撮像画像における被写体領域にあるか否かをユーザに対して振動によって通知する。尚、振動による通知は、触覚的な通知の一例である。具体的には、触覚通知部60は、特定被写体が被写体領域にある場合、右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36のいずれをも振動させない。これにより、触覚通知部60は、特定被写体が被写体領域にあることをユーザに通知する。また、触覚通知部60は、特定被写体が被写体領域にない場合、被写体認識部58から入力された方向情報に基づいて、振動部26の右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36のうち、いずれか少なくとも1個の圧電素子に電圧を印加して振動させる。これにより、触覚通知部60は、特定被写体が被写体領域にないこと、及び、特定被写体が被写体領域のいずれの方向に外れているかをユーザに通知する。触覚通知部60は、振動部26の振動状態を記憶処理部62に出力する。振動状態とは、振動停止時間を含む。
【0026】
記憶処理部62は、レリーズスイッチ18が操作されたと判定すると、振動部26から入力された振動状態に基づいて、振動が減衰したか否かを判定する。例えば、記憶処理部62は、二次記憶媒体46に格納されている振動部26の停止時間から減衰時間経過したか否かによって、振動部26の減衰を判定する。尚、減衰時間の一例は、1秒である。記憶処理部62は、振動が減衰したと判定すると、撮像画像を二次記憶媒体46に記憶させる。
【0027】
システムメモリ42は、不揮発性記録媒体、及び、読出専用記録媒体の少なくとも一方を含む。システムメモリ42は、制御部40が読み出して実行するファームウエア等を電力の供給なしに保持する。
【0028】
メインメモリ44は、RMAを含む。メインメモリ44は、制御部40が画像情報等を一時的に格納する制御部40の作業領域として機能する。
【0029】
二次記憶媒体46は、フラッシュメモリカード等の不揮発性記憶素子を備えた媒体等が適用される。二次記憶媒体46は、筐体12から着脱可能に取り付けられる。二次記憶媒体46には、撮像画像情報が格納される。
【0030】
レンズ駆動部48は、制御部40からの駆動信号に基づいて、レンズ部14を伸縮駆動させる。これにより、レンズ部14は、被写体に合焦、または、被写体をズームする。
【0031】
撮像部16は、撮像素子駆動部66と、撮像素子68と、A/D変換部70と、画像処理部72とを有する。撮像素子駆動部66は、撮像素子68を特定の撮像間隔で駆動させる。撮像素子68は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、または、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の光電変換素子を有する。撮像素子68は、撮像間隔で被写体像を光電変換して、画像信号をA/D変換部70へと出力する。A/D変換部70は、撮像素子68から入力されたアナログの画像信号を、離散化したデジタルの撮像画像として画像処理部72へと出力する。画像処理部72は、撮像画像を補正、圧縮等の処理を実行して制御部40の表示制御部54、被写体認識部58、及び、記憶処理部62に出力する。
【0032】
図4は、撮像装置10の主制御処理を説明するフローチャートである。図4に示すように、主制御処理では、制御部40のモード判定部52が、モード設定部22から入力されたモード情報に基づいて、ノールックモードか否かを判定する(S10)。モード判定部52は、ノールックモードが選択されていないと判定すると(S10:No)、通常処理を実行させる(S12)。これにより、ユーザは、表示部20に表示された特定被写体を見つつ撮影する。一方、モード判定部52が、ノールックモードが選択されていると判定すると(S10:Yes)、モード判定部52は、その旨を表示制御部54、音声制御部56及び被写体認識部58に出力して、ノールック処理が実行される(S14)。
【0033】
図5は、ノールック処理(S14)を説明するフローチャートである。ノールック処理では、制御部40は、初期処理(S20)、被写体認識処理(S22)、触覚通知処理(S24)、記憶処理(S26)を順に実行する。
【0034】
図6は、ノールック処理(S14)の初期処理(S20)を説明するフローチャートである。図6に示すように、初期処理では、被写体認識部58が、撮像画像を取得する(S30)。具体的には、被写体認識部58は、撮像部16の撮像素子68によって撮像した被写体像を含む撮像画像を取得する。表示制御部54は、表示部20を停止する(S32)。尚、表示部20に画像が表示されていない場合、その非表示状態が継続する。これにより、表示部20は、撮像部16によって撮像された画像を表示しない。次に、音声制御部56は、音声出力部50を停止する(S34)。これにより、音声出力部50は、レリーズスイッチ18が操作されてもレリーズの音を出力しない。
【0035】
図7は、ノールック処理(S14)の被写体認識処理(S22)を説明するフローチャートである。図7に示すように、被写体認識処理では、被写体認識部58は、ユーザがタッチパネル24を介して入力された領域情報に基づいて、撮像画像における被写体領域の位置及び大きさを設定する(S40)。次に、被写体認識部58は、特定被写体が撮像画像にあるか否かを判定するとともに、特定被写体がある場合、特定被写体が被写体領域内に収まっているか否かを判定する(S42)。
【0036】
被写体認識部58は、特定被写体が被写体領域内に収まっていると判定すると(S42:Yes)、レンズ部14を駆動させて特定被写体に合焦させるとともに、フラグFに「0」を設定する(S44)。尚、特定被写体の大きさが被写体領域の大きさと異なる場合、被写体認識部58は、レンズ駆動部48を駆動させて、レンズ部14をズームさせることにより、特定被写体を被写体領域と略同じ大きさにしてもよい。一方、被写体認識部58は、特定被写体が被写体領域内に収まっていないと判定すると(S42:No)、フラグFに「1」を設定する(S46)。被写体認識部58は、特定被写体が被写体領域のいずれの方向に外れているかを認識して、外れている方向を方向情報としてメインメモリ44に格納する(S48)。
【0037】
図8は、ノールック処理(S14)の触覚通知処理(S24)を説明するフローチャートである。図8に示すように、触覚通知処理では、触覚通知部60は、フラグFが「1」か否かを判定する(S50)。触覚通知部60は、フラグFが「0」であると判定すると(S50:No)、これは被写体領域内に特定被写体が収まっていることを意味するので、振動部停止処理を実行する。振動部停止処理では、触覚通知部60は、振動部26を停止するとともに、停止時間を含む振動情報を二次記憶媒体46に格納する(S52)。尚、振動部26が既に停止している場合、停止状態が維持される。
【0038】
一方、触覚通知部60は、フラグFが「1」であると判定すると(S50:Yes)、メインメモリ44に格納されている方向情報を取得する(S54)。触覚通知部60は、方向情報に基づいて、振動部26の右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36のいずれかの圧電素子に電圧を印加して、いずれかを振動駆動させる(S56)。例えば、触覚通知部60は、方向情報に基づいて、特定被写体が被写体領域から右上方向に外れていると判定すると、右上振動部30を振動させる。また、触覚通知部60は、方向情報に基づいて、特定被写体が被写体領域から上方向に外れていると判定すると、右上振動部30及び左上振動部34を振動させる。これにより、ユーザは、表示部20等を見ることなく、特定被写体を捉えることができる。
【0039】
図9は、ノールック処理(S14)の記憶処理(S26)を説明するフローチャートである。次に、記憶処理部62は、レリーズスイッチ18が操作されたか否かを判定する(S60)。記憶処理部62は、レリーズスイッチ18が操作されたと判定すると(S60:Yes)、フラグFが「0」か否かを判定する(S62)。記憶処理部62は、フラグFが「0」と判定すると(S62:Yes)、振動部26が減衰したか否かを判定する(S64)。記憶処理部62は、振動部26が減衰したと判定するまでステップS64を繰り返す。記憶処理部62は、振動部26が減衰したと判定すると(S64:Yes)、撮像画像を二次記憶媒体46に記憶させる(S66)。尚、記憶処理部62が、ステップS60において、レリーズスイッチ18が操作されていないと判定した場合(S60:No)、及び、ステップS62において、フラグFが「1」であると判定した場合(S62:No)、初期処理が実行される。
【0040】
上述したように撮像装置10では、被写体認識部58が特定被写体を認識して、その認識に基づいて、触覚通知部60がユーザに対して被写体領域にあるか否かを通知する。これにより、ユーザは、ノールック撮影において、表示部20を見ることなく、特定被写体を被写体領域に収めて撮像することができる。また、ユーザは、ローアングル及びハイアングルの撮影等の表示部20を見ることができない場合でも、容易に特定被写体を撮影できる。
【0041】
また、撮像装置10では、被写体認識部58は、特定被写体が被写体領域のいずれの方向に外れているかを認識して、その方向を方向情報として二次記憶媒体46に格納する。触覚通知部60は、方向情報に対応させて振動部26の右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36のいずれかを振動させる。これにより、ユーザは、特定被写体が被写体領域のいずれの方向に外れているかを認識することができる。このため、ユーザは、迅速にかつ正確に特定被写体を被写体領域に収めることができる。
【0042】
撮像装置10では、右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36が筐体12の四隅に配置されている。これにより、撮像装置10は、ユーザに特定被写体の方向をより精度よく通知できる。
【0043】
撮像装置10では、振動部26の振動によって、特定被写体が被写体領域内にあるか否かをユーザに通知している。これにより、ノールックモードにおいて、特定被写体はその通知に気づきにくい。このため、特定被写体が緊張することを低減できるので、ユーザは特定被写体の自然な表情等を撮影できる。
【0044】
撮像装置10では、ノールックモードにおいて、音声制御部56が、音声出力部50のレリーズの音の出力を停止している。また、振動部26は、ほとんど音を出すことなく振動可能な圧電素子を含む。これにより、特定被写体は撮影されていることに気づかないので、ユーザは、より特定被写体の自然な表情等を撮影できる。
【0045】
撮像装置10では、ノールックモードにおいて、表示制御部54が表示部20を停止させている。これにより、撮像装置10は、電力消費を低減できる。
【0046】
撮像装置10では、記憶処理部62が、振動部26による振動が減衰した場合に、撮像画像を二次記憶媒体46に格納する。これにより、撮像装置10では、振動によって画質の低下した撮像画像が格納されることを抑制できる。
【0047】
上述した実施形態の一部を変更した実施形態について説明する。
【0048】
4個の右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36のうち、1個だけ、例えば、右上振動部30のみを筐体12に設けてもよい。この場合、ステップS56において、触覚通知部60は、右上振動部30を振動させることによって、特定被写体が被写体領域内にあるか否かのみを通知するようにしてもよい。例えば、触覚通知部60は、特定被写体が被写体領域内にある場合、右上振動部30を振動させてもよい。逆に、特定被写体が被写体領域内にない場合、右上振動部30を周期的に振動させて、特定被写体が被写体領域内に収まったら振動を停止させてもよい。右上振動部30を周期的に振動させる一例は、2回/秒である。
【0049】
また、右上振動部30のみを筐体12に設けた場合、ステップS56において、触覚通知部60は、特定被写体の有無、及び、被写体領域に対する特定被写体の外れている方向に対応させて、右上振動部30を複数の振動パターンによって制御してもよい。例えば、特定被写体が被写体領域の左方向に外れている場合、触覚通知部60は、細かい2回の振動を1セットとして、右上振動部30を周期的に振動させる。一方、特定被写体が被写体領域の右方向に外れている場合、触覚通知部60は、細かい3回の振動を1セットとして、右上振動部30を周期的に振動させる。また、上下方向に関しても、それぞれの振動パターンを設定する。更に、触覚通知部60は、特定被写体が被写体領域から外れている距離に対応させて、右上振動部30の振動の大きさ等を変更させてもよい。これにより、撮像装置10は、1個の右上振動部30によって、ユーザに特定被写体の位置及びどれだけ外れているかを通知できる。
【0050】
4個の右上振動部30、右下振動部32、左上振動部34、及び、左下振動部36を筐体12に設けた場合でも、複数の振動パターンによってこれらを振動させてもよい。例えば、触覚通知部60が、右上振動部30を細かい2回の振動を1セットとして周期的に振動させ、左上振動部34を細かい3回の振動を1セットとして周期的に振動させるように構成してもよい。これにより、触覚通知部60は、振動させる振動部の位置及び振動パターンによって、ユーザに特定被写体の位置を通知するので、より確実にユーザに特定被写体の位置を通知できる。
【0051】
振動部を1個だけにする場合、既に撮像装置10に搭載されている駆動機構を振動部として機能させてもよい。例えば、光学式手振れ防止機構によって、振動を発生させて、ユーザに通知してもよい。また、触覚通知部60は、手振れ等による振動が生じている場合、振動部26を振動させてユーザにその旨を通知してもよい。更に、被写体認識部58は、特定被写体と撮像素子68との間に障害物、例えば、ユーザの指等の有無を判定してもよい。そして、被写体認識部58が障害物ありと判定すると、触覚通知部60は、振動部26を振動させて、その旨を通知してもよく、記憶処理部62は、レリーズスイッチ18が操作されても、撮像画像を二次記憶媒体46への格納を禁止してもよい。
【0052】
ユーザが、タッチパネル24等を介して、振動部26の振動の大きさ及び振動パターンを変更できるように構成してもよい。
【0053】
上述の実施形態では、レリーズスイッチ18が操作された場合に、撮像画像を二次記憶媒体46に格納するように構成したが、記憶処理部62が、レリーズスイッチ18の操作以外で、撮像画像を格納するように構成してもよい。例えば、ノールックモードにおいて、記憶処理部62は、特定被写体が被写体領域に収まったと判定すると、ユーザの操作なしに、撮像画像を二次記憶媒体46に格納してもよい。また、記憶処理部62は、特定被写体が被写体領域に収まり、かつ、特定被写体が笑顔になったと判定すると、ユーザの操作なしに、撮像画像を二次記憶媒体46に格納してもよい。この場合、撮像画像は、1コマずつ格納してもよく、複数コマを連続的に格納してもよい。
【0054】
上述の実施形態では、モード設定部22がノールックモードに操作された場合に、モード判定部52はノールックモードと判定したが、モード設定部22の操作以外で、ノールックモードと判定するように構成してもよい。例えば、筐体12の後面の表示部20の近傍に補助撮像素子を設けて、補助撮像素子がユーザを撮像していない場合、即ち、ユーザが表示部20を見ていない場合、モード判定部52は、ノールックモードと判定して、ノールック処理を実行させてもよい。
【0055】
図10は、振動部の配置を変更した撮像装置の前面図である。図11は、振動部の配置を変更した撮像装置の後面図である。図10及び図11に示すように、撮像装置110は、筐体112と、レンズ部114と、振動部126と、表示部120とを備える。
【0056】
筐体112は、右前面に一体的に形成されたグリップ部113を有する。グリップ部113は、前方に突出するように設けられている。グリップ部113は、上下方向に延びるように形成されている。これにより、ユーザは、手でグリップ部113を覆うことにより、筐体112を安定して保持することができる。
【0057】
振動部126は、筐体112に収容された4個の右上振動部130、右下振動部132、左上振動部134、及び、左下振動部136を有する。右上振動部130、右下振動部132、左上振動部134、及び、左下振動部136は、グリップ部113の四隅のそれぞれに配置されている。これにより、右上振動部130、右下振動部132、左上振動部134、及び、左下振動部136は、グリップ部113を把持するユーザに振動をより確実に伝達できる。
【0058】
図12は、別の振動部の全体構成図である。振動部226は、モータ227と、回転軸229と、半円部材231とを備える。半円部材231の重心は、回転軸229と異なる位置に配置されている。これにより、回転軸229及び半円部材231は、モータ227によって回転駆動されると、筐体12、112が振動する。この結果、撮像装置10、110は、ユーザに振動を伝達することができる。この振動部226は、上述の右上振動部30、130、右下振動部32、132、左上振動部34、134、及び、左下振動部36、136の代わりに配置してもよく、いずれかの位置に配置してもよい。
【0059】
尚、撮像装置10及び撮像装置110のいずれにおいても、振動部の構成、個数及び配置は適宜変更してよい。また、振動以外の方法で、ユーザに特定被写体の情報を伝達してもよい。例えば、フィルム状の部材に凹凸を形成して、その凹凸によって、特定被写体の有無または特定被写体の方向等の情報を伝達してもよい。更に、熱等によって、特定被写体の情報を伝達してもよい。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0061】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0062】
10 撮像装置 、 12 筐体 、 14 レンズ部 、 16 撮像部 、 18 レリーズスイッチ 、 20 表示部 、 22 モード設定部 、 24 タッチパネル 、 26 振動部 、 30 右上振動部 、 32 右下振動部 、 34 左上振動部 、 36 左下振動部 、 40 制御部 、 42 システムメモリ 、 44 メインメモリ 、 46 二次記憶媒体 、 48 レンズ駆動部 、 50 音声出力部 、 52 モード判定部 、 54 表示制御部 、 56 音声制御部 、 58 被写体認識部 、 60 触覚通知部 、 62 記憶処理部 、 66 撮像素子駆動部 、 68 撮像素子 、 70 A/D変換部 、 72 画像処理部 、 110 撮像装置 、 112 筐体 、 113 グリップ部 、 114 レンズ部 、 120 表示部 、 126 振動部 、 130 右上振動部 、 132 右下振動部 、 134 左上振動部 、 136 左下振動部 、 226 振動部 、 227 モータ 、 229 回転軸 、 231 半円部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して撮像画像を生成する撮像部と、
前記撮像部により生成された前記撮像画像の特定の被写体を認識する被写体認識部と、
前記被写体認識部の認識に基づいて、前記特定の被写体が前記撮像画像における予め定められた領域にあるか否かをユーザに対して触覚的に通知する触覚通知部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記被写体認識部は、前記撮像画像に前記特定の被写体が含まれるか否かを判定する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記被写体認識部は、前記特定の被写体が前記予め定められた領域のいずれの方向に外れているかを認識する
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
異なる場所に配置された複数の振動部を更に備え、
前記触覚通知部は、前記被写体認識部によって認識された前記特定の被写体の外れている方向を前記複数の振動部のいずれかを振動させることによってユーザに通知する
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記被写体認識部は、前記特定の被写体と前記撮像部との間の障害物の有無を判定して、
前記触覚通知部は、前記被写体認識部によって障害物ありと判定されると、その旨を通知する
請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記触覚通知部によって振動される4個の振動部と、
前記4個の振動部が四隅に配置された筐体と
を更に備える請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記触覚通知部によって振動される4個の振動部と、
前方に突出したグリップ部を有し、前記4個の振動部を収容する筐体と
を更に備え、
前記4個の振動部は、前記グリップ部の四隅に配置されている
請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記触覚通知部によって振動される振動部を更に備え、
前記触覚通知部は、複数の振動パターンによって前記振動部を振動させる
請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記被写体認識部が機能するノールックモードを含む複数の撮影モードのうち、選択されたモードを判定するモード判定部と、
前記撮像部によって生成された撮像画像を表示する表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部とを更に備え、
前記モード判定部によってノールックモードと判定されると、前記表示制御部は前記表示部に撮像画像を表示させない
請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記被写体認識部が機能するノールックモードを含む複数の撮影モードのうち、選択されたモードを判定するモード判定部と、
レリーズの音を出力する音声出力部と、
前記音声出力部を制御する音声制御部とを更に備え、
前記モード判定部によってノールックモードと判定されると、前記音声制御部は前記音声出力部にレリーズの音を出力させない
請求項1から9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記触覚通知部によって振動される圧電素子を含む振動部を更に備える
請求項1から10のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−9106(P2013−9106A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139703(P2011−139703)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】