説明

改質ユニットおよび燃料電池システム

【課題】簡素な構造で熱効率のよい改質ユニットおよび燃料電池システムを提供する。
【解決手段】本発明の改質ユニット400は、径の異なる筒状の第一筒部材801ないし第三筒部材803を有し、第一筒部材801の内周面および第二筒部材802の外周面間と、第三筒部材803の内周側とのいずれか一方にCO変成触媒が充填されたCO変性器810が区画され、いずれか他方にCO選択酸化触媒またはメタネーション触媒が充填されたCO選択酸化器830またはメタネーション器が区画され、第二筒部材802の内周面および第三筒部材803の外周面間に、燃焼器151から生じる燃焼ガスの略全量を流通させる熱処理手段820が設けられたことを特徴とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素燃料を含有する原料ガスをバーナーの燃焼ガスにより加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質ユニットおよびこの改質ユニットを備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化水素原料を含有する原料ガスを水素ガスを含有する改質ガスに改質する改質ユニットが知られている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1に記載のものは、原料ガスを水蒸気改質する改質触媒を充填する改質触媒層の外側に、改質ガス中の一酸化炭素(CO)を変成するCO変成触媒を充填したCO変成触媒層を配置している。さらに、CO変成触媒層の外側には、改質ガス中のCOを二酸化炭素(CO2)に酸化するCO選択酸化触媒を充填したCO選択酸化触媒層を配置し、多重管構造のユニット構成が採られている。
また、特許文献2に記載のものは、一酸化炭素変成器と一酸化炭素除去器との間に断熱材等を設置し伝熱を抑制し、一酸化炭素変成器および一酸化炭素除去器のそれぞれに電気ヒーターを設けた構成が採られている。
さらに、特許文献3に記載のものは、CO変成器とCO選択酸化器とを別体として水平方向で並べて配列し、CO変成器とCO選択酸化器とにそれぞれ電気ヒーター等を設けた構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3808743号
【特許文献2】特開2003−187849号公報
【特許文献3】特開2008−189500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような従来の構成では、改質触媒層とCO変成触媒層との間に断熱材が設けられており、起動時にCO変成触媒層等を昇温させるために、これらそれぞれを加熱する必要があり、装置構成が複雑になり、装置の小型化や製造コストの低減への障害となるおそれがある。
さらに、特許文献3のようにCO変成器とCO選択酸化器とが別体の従来の構成では、CO変成器およびCO選択酸化器を水平方向で並べて配列するため、改質ユニット内に空隙が多く生じることとなり、さらに、CO変成器およびCO選択酸化器のそれぞれに電気ヒーター等を各々設ける必要があるため、改質ユニット全体のコンパクト化の障害となるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、簡素な構造で熱効率のよい改質ユニットおよび燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に記載の改質ユニットは、炭化水素燃料を含有し水蒸気が混合された原料ガスを、燃焼器により加熱した改質触媒と接触させて水素ガス(H2)を主成分とする改質ガスを生成する改質器と、この改質器で生成した前記改質ガスが供給され前記改質ガス中の一酸化炭素(CO)をCO変成触媒により二酸化炭素(CO2)に変成するCO変成器と、このCO変成器で処理された前記改質ガスが供給され前記改質ガス中に残留するCOをCO選択酸化触媒によりCO2に酸化させるCO選択酸化器またはCOをメタネーションさせるメタネーション器と、を備えた改質ユニットであって、筒状の第一筒部材と、この第一筒部材の内径より外径が径小の筒状で、前記第一筒部材の内周側に同軸上に配置された第二筒部材と、この第二筒部材の内径より外径が径小の筒状で、前記第二筒部材の内周側に同軸上に配置された第三筒部材と、を有し、前記第一筒部材の内周面および前記第二筒部材の外周面間と、前記第三筒部材の内周側とのいずれか一方に前記CO変成触媒が充填されたCO変性層が区画され、いずれか他方に前記CO選択酸化触媒またはメタネーション触媒が充填されたCO選択酸化層またはメタネーション層が区画され、前記第二筒部材の内周面および前記第三筒部材の外周面間に、前記燃焼器から生じる燃焼ガスの略全量を流通させる熱処理手段が設けられたことを特徴とした。
【0007】
本発明では、前記熱処理手段は、前記CO変成層から前記CO選択酸化層または前記メタネーション層への熱輻射を抑制する輻射防止板を備えた構成であることが好ましい。
本発明では、前記輻射防止板は、略筒状に形成され、前記燃焼ガスの流路中に前記CO変成層と前記CO選択酸化層または前記メタネーション層との間を区画する状態に配設された構成であることが好ましい。
本発明では、前記輻射防止板の軸方向の端部を、所定の間隙を介して保持する保持具が設けられた構成であることが好ましい。
本発明では、前記第三筒部材の内径より外径が小径の筒状で、前記第三筒部材の内周側に同軸上に配置された第四筒部材を設け、前記第一筒部材の内周面および前記第二筒部材の外周面間に前記CO変成層が区画され、前記第三筒部材の内周面および前記第四筒部材の外周面間に前記CO選択酸化層または前記メタネーション層が区画され、前記第四筒部材の内周面側に前記水蒸気の原料となる水と前記燃焼ガスとを流通させて熱交換させる熱交換手段が設けられ、前記第四筒部材の内周面に沿って前記熱交換手段を流通する前記水が流通される構成であることが好ましい。
【0008】
本発明に記載の燃料電池システムは、本発明に記載の改質ユニットと、酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、前記改質ユニットで生成された前記改質ガスおよび前記酸素含有気体供給手段により供給される前記酸素含有気体を利用して発電する燃料電池と、を具備したことを特徴とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、燃焼器から生じる燃焼ガスの略全量を流通させる熱処理手段が設けられているので、例えば、起動時において、燃焼ガスより温度が低いCO変成層とCO選択酸化層とを加熱するために燃焼ガスを利用することができる。このため、電気ヒーターを必要とせず簡素な構成とすることができ、装置の小型化や製造コストを低減することができる。さらに、電気ヒーターを用いないため、一次エネルギー換算でのエネルギー消費を抑えることもできる。
また、定常運転中においては、燃焼ガスより温度が高いCO変成層を冷却するために燃焼ガスを利用することができるため、触媒の冷却むらを少なく温度制御することができる。また、CO変成層からCO選択酸化層への熱輻射によるCO変成層での過度の温度低下やCO選択酸化層での過熱などの不都合も抑制できる。このため、CO変成層とCO選択酸化層との間に燃焼ガスの略全量を流通させる熱処理手段を設けた簡素な構造で、CO変成器およびCO選択酸化器を適切な温度に調整できる。
したがって、改質ユニット400は、起動時・運転時において、燃焼ガスを熱媒体として有効に利用することができ、エネルギー消費を抑えてランニングコストを削減したり、熱の有効利用により起動時間を短縮したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】前記燃料電池システムにおける改質ユニットの概略構成を示す側面断面図である。
【図3】前記改質ユニットの燃焼室部の概略構成を示す側面断面図である。
【図4】前記改質ユニットの改質部の概略構成を示す側面断面図である。
【図5】前記改質ユニットの改質器の一部を示す拡大した側面断面図である。
【図6】前記改質ユニットのガス熱交換部の一部を示す拡大した側面断面図である。
【図7】前記改質容器の第一改質器部材に取り付けられた保護管取付片部を示す平面図である。
【図8】前記ガス熱交換部の第一円筒部材と第二円筒部材との組み付け状態を示す平面図である。
【図9】前記改質ユニットのボイラを示す平面図である。
【図10】前記改質ユニットのボイラを示す一部を切り欠いた側面図である。
【図11】前記改質ユニットのCO除去部を示す平面図である。
【図12】前記CO除去部を示す底面図である。
【図13】前記改質ユニットのCO除去部を示す側面断面図である。
【図14】前記CO除去部の一部を示す拡大した側面断面図である。
【図15】CO変成器とCO選択酸化器との接続部を示す拡大した側面断面図である。
【図16】前記CO除去部の排ガスクーラーを示す側面断面図である。
【図17】前記CO除去部の排ガスクーラーを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔燃料電池システムの構成〕
以下、本発明の燃料電池システムに係る一実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、本発明の改質ユニットを備えた燃料電池システムの構成を例示するが、燃料電池システムに利用する構成に限らず、例えば水素ガス製造装置などとして、改質ユニット単独の構成とするなどしてもよい。また、水蒸気が混合される原燃料として、液化石油ガスや都市ガスなどの気体状の炭化水素燃料を用いる構成を例示するが、これに限らず、例えば灯油などの液体燃料を用いて水蒸気を混合し原料ガスを調製する構成など、各種炭化水素燃料を利用する構成にも適用できる。さらに、家庭用のシステム構成を例示するが、例えば集合住宅用や各種店舗などに利用される比較的に大型のシステム構成にも適用できる。
図1は、本実施形態における燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。なお、図1は、説明の都合上、改質ユニットの構成をそれぞれ別ブロック状に示す。
【0012】
(全体構成)
図1において、100は燃料電池システムで、この燃料電池システム100は、炭化水素燃料を含む原燃料を、水素を主成分とする改質ガスに水蒸気改質し、混入するCOを除去した燃料ガスを用いて、燃料電池としての燃料電池スタック200により発電させるシステムである。
ここで、原燃料としては、例えば、メタノール、ジメチルエーテル、メタンを主体とする天然ガス、この天然ガスを主成分とする都市ガス、天然ガス等を原料とする合成燃料、さらには液化石油ガス(LPG)、ナフサ、灯油などの石油系炭化水素などを利用できる。
【0013】
燃料電池システム100は、原燃料を供給する配管である流通経路を構成する原燃料供給手段110を有している。この原燃料供給手段としては、例えば設置させるボンベやタンクなどの原燃料貯蔵手段10から原燃料を供給させる構成など、炭化水素燃料を含む原燃料を供給するいずれの構成にも適用できる。
そして、この原燃料供給手段110には、脱硫装置300が接続されている。
【0014】
脱硫装置300は、原燃料供給手段110から供給される原燃料中の硫黄分を、例えば0.01ppm以下まで除去する。
この脱硫装置300は、図示しない脱酸素手段と、脱硫器310と、などを備えている。なお、脱硫装置300としては、原燃料として灯油などの液状のものが用いられる場合には、脈流防止のために気相分を分離する気液分離装置を脱硫器310の下流側に設けるなどしてもよい。
【0015】
脱酸素手段は、原燃料供給手段110から脱硫器310までの原燃料の流通経路中に混入する酸素を除去するものである。
この脱酸素手段は、脱酸素剤が充填された脱酸素容器を備えている。脱酸素剤としては、例えば、鉄粉粒物や多価アルコール化合物、フェノール化合物、不飽和油脂、銅粉粒物、ニッケル粉粒物などの酸素を吸着する酸素吸着剤などが用いられる。
脱硫器310は、脱酸素手段に接続され、混入する酸素が除去された原燃料を脱硫処理する。この脱硫器310は、脱硫剤が充填された図示しない脱硫容器を備えている。
脱硫剤としては、例えば鉄、ニッケル、銅、コバルト、マンガンから選ばれる少なくとも一種の金属を含む安定化された脱硫剤、特にニッケルが好ましい。なお、脱硫器310は、原燃料として灯油などの液状のものが用いられる場合、効率よく脱硫処理するために電気ヒーターなどの加熱手段を脱硫容器に設けてもよい。
【0016】
そして、脱硫装置300の脱硫器310には、改質ユニット400が接続されている。
改質ユニット400は、詳細は後述するが、原料ガスを水素リッチな改質ガスとしての燃料ガスに水蒸気改質する。
この改質ユニット400は、水蒸気混合器140と、熱交換装置160と、改質器620と、CO変成器810と、CO選択酸化器830と、を備えている。
【0017】
水蒸気混合器140は、脱硫器310における脱硫容器から流出する脱硫処理後の原燃料に水蒸気を混合する。
この水蒸気混合器140には熱交換装置160が接続され、熱交換装置160から供給される水蒸気を脱硫器310から流出する脱硫処理後の原燃料と混合させる。原燃料として灯油などの液状のものが用いられる場合、過熱蒸気の熱により原燃料を気化させ原料ガスとするようにしてもよい。
【0018】
改質器620は、内部に図示しないルテニウム(Ru)系触媒やニッケル(Ni)系触媒などの改質触媒が充填され、燃焼器としてのバーナーユニット151を備えている。
バーナーユニット151は、脱硫装置300の上流側で分岐する原燃料供給手段110から原燃料が供給されるとともに、後述する燃料電池スタック200から排出される燃料ガスが供給される。そして、バーナーユニット151は、送気ブロワー170から供給される空気により、原燃料および燃料ガスの少なくともいずれか一方を燃焼させ、脱硫され水蒸気が混合された原料ガスを、水素リッチの燃料ガスに水蒸気改質する。
このバーナーユニット151の燃焼による高温の燃焼ガスは、改質器620を加温し、熱交換により冷やされ、適宜外気中に排気される。
熱交換装置160には、純水181を貯留する純水タンク180が搬送ポンプ182を有した給水経路183を介して接続され、純水タンク180から純水181が供給される。そして、熱交換装置160は、供給される純水181により改質器620から排気される燃焼ガスを冷却させるとともに水蒸気を生成させ、生成した水蒸気を水蒸気混合器140へ供給させる。なお、純水タンク180は、蒸留水などの不純物を含まない純水181を貯留し、例えば水道水などが浄化されて適宜給水される構成が設けられていてもよい。
【0019】
CO変成器810は、改質器620に直列状に接続され、改質器620から流出する水素リッチの改質ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)を変成する。
CO選択酸化器830は、CO変成器810に直列状に接続され、改質ガス中に含まれるCOを二酸化炭素(CO2)に酸化させ、改質ガス中のCOを除去する。
なお、CO変成器810およびCO選択酸化器830は、改質器620と一体構成としてもよい。さらには、水蒸気混合器140および熱交換装置160をも一体構成としてもよい。また、CO変成器810およびCO選択酸化器830の他、COを吸着除去するなどの装置を設けるなどしてもよい。
これら原燃料供給手段110から改質ユニット400までの構成が、燃料ガス製造装置500として構成される。
【0020】
改質ユニット400には燃料電池スタック200が接続され、改質ユニット400で原料ガスを水蒸気改質してCOが除去された改質ガスである燃料ガスを燃料電池スタック200へ供給する。
燃料電池スタック200は、水素と酸素とを反応させて直流電力を発生させる。この燃料電池スタック200は、例えば固体高分子型燃料電池で、正極201と、負極202と、正極201および負極202間に配設された図示しない高分子電解質膜と、を備えた燃料電池セルの集合体である。そして、正極201側には、例えば図示しない加湿器で加湿された空気が供給され、負極202側には、例えば図示しない加湿器を介して加湿された水素リッチの燃料ガスが供給される。そして、燃料ガスの水素と空気中の酸素とが反応して水(純水181)が生成されるとともに、正極201および負極202間に直流電力が発生する。なお、燃料電池スタック200としては、加湿されずに空気や燃料ガスが供給されて発電する構成なども適用できる。
そして、負極202側は、上述したように改質器620のバーナーユニット151に接続され、余った水素分をバーナーユニット151の燃料として供給する。また、正極201側には、分離器185が接続されている。この分離器185には、正極201側から反応に利用された空気が供給され、気相分の空気と液相分の水(純水181)とに分離する。なお、分離した空気は、外気に排気される。そして、分離器185には、純水タンク180が接続され、分離した水(純水181)を純水タンク180へ供給する。
【0021】
また、燃料電池スタック200には、冷却装置187が設けられている。この冷却装置187は、燃料電池スタック200に付設された熱回収装置187Aが設けられている。この熱回収装置187Aには、ポンプ187Bおよび熱交換器187Cを備えた循環経路187Dを介して純水タンク180が接続されている。
この循環経路187Dは、ポンプ187Bの駆動により、熱回収装置187Aと純水タンク180との間で純水181を循環させ、発電に伴って発熱する燃料電池スタック200を冷却させるとともに熱を回収する。
熱交換器187Cは、循環され熱回収装置187Aで熱を回収した純水181と、例えば水道水などと熱交換させる。この熱交換により温められた水道水は、例えばお風呂などの他の設備に直接供給されて有効利用される。なお、水道水との熱交換の他、熱交換により得られる熱から発電させるなど、他の設備などに有効利用してもよい。
【0022】
そして、燃料電池システム100は、システム全体の動作を制御する図示しない制御装置を備えている。
この制御装置は、原燃料の供給量制御、改質器620のバーナーユニット151の燃焼制御、熱交換装置160で水蒸気を生成させるための純水181の供給量制御や温度管理、発電量の管理などを実施する。
【0023】
(改質ユニット)
次に、上述した燃料電池システム100における改質ユニット400の構成を詳細に説明する。
図2は、前記燃料電池システムにおける改質ユニットの概略構成を示す側面断面図である。図3は、前記改質ユニットの燃焼室部の概略構成を示す側面断面図である。図4は、前記改質ユニットの改質部の概略構成を示す側面断面図である。図5は、前記改質ユニットの改質器の一部を示す拡大した側面断面図である。図6は、前記改質ユニットのガス熱交換部の一部を示す拡大した側面断面図である。図7は、前記改質容器の第一改質器部材に取り付けられた保護管取付片部を示す平面図である。図8は、前記ガス熱交換部の第一円筒部材と第二円筒部材との組み付け状態を示す平面図である。図9は、前記改質ユニットのボイラを示す平面図である。図10は、前記改質ユニットのボイラを示す一部を切り欠いた側面図である。図11は、前記改質ユニットのCO除去部を示す平面図である。図12は、前記CO除去部を示す底面図である。図13は、前記改質ユニットのCO除去部を示す側面断面図である。図14は、前記CO除去部の一部を示す拡大した側面断面図である。図15は、CO変成器とCO選択酸化器との接続部を示す拡大した側面断面図である。図16は、前記CO除去部の排ガスクーラーを示す側面断面図である。図17は、前記CO除去部の排ガスクーラーを示す底面図である。
【0024】
改質ユニット400は、上述したように、水蒸気混合器140と、熱交換装置160と、改質器620と、CO変成器810と、CO選択酸化器830と、を備えた一体構成である。
また、熱交換装置160は、ボイラ650と、排ガスクーラー840と、を備えている。
そして、改質ユニット400は、図2に示すように、ユニット本体部400Aと、このユニット本体部400Aを覆う図示しない断熱部と、を備えている。また、ユニット本体部400Aは、改質装置としての改質部600と、配管部700と、CO除去部800と、にて構成されている。そして、ユニット本体部400Aは、燃料電池システム100を収容する図示しないケース体の底部に載置固定されるCO除去部800に対して、鉛直方向における上方に配管部700を介して改質部600が一体的に連結されて構成される。
【0025】
改質部600は、原料ガスを水蒸気改質するもので、改質外装ケース610を備えている。この改質外装ケース610は、上下面を開口する円筒状の円筒ケース611と、この円筒ケース611の上面を略覆って一体に取り付けられる上部ケース612と、円筒ケース611の下面を略覆って一体に取り付けられる支持台座部613と、を備えている。円筒ケース611は、略円筒形状の部材であり、例えば鋼板などにて略円筒状に形成、より具体的には管材である鋼板の板巻き管を用いて形成されている。上部ケース612は、円筒ケース611の上面側内周に嵌合挿入された略平板環状に形成され、内周縁側に後述するバーナーユニット151が取り付けられて、円筒ケース611の上面側を閉塞する。支持台座部613は、円筒ケース611の下端内周に嵌合挿入された略平板環状に形成され、改質部600と配管部700との間を連通する配管や後述するガス熱交換部640が突設されている以外には空隙がなく、改質部600と配管部700とを分離遮断している。
【0026】
そして、改質外装ケース610内には、改質器620、ガス熱交換部640と、ボイラ650と、が配設されている。
改質器620は、燃焼室部621と、バーナーユニット151と、改質容器622と、保護カバー623と、を備えている。
改質容器622は、図2、図4および図5に示すように、内周側にバーナーユニット151が取り付けられる燃焼室部621が配設される有底円筒状に構成されている。そして、改質容器622の軸方向の一端側である下端部にはガス熱交換部640が一体的に設けられ、改質容器622の内周側には改質容器622の内周面を覆う状態に保護カバー623が設けられている。さらに、ガス熱交換部640の外周側には、ボイラ650が配設されている。
【0027】
燃焼室部621は、バーナーユニット151の燃焼により改質器620を加熱させるもので、図2および図3に示すように、例えば鋼板などにて、改質外装ケース610の上部ケース612の内周側に嵌合挿入される円筒状に形成された燃焼筒部621Aを有している。この燃焼筒部621Aの外周面には、細長鋼材にて中心軸に対して螺旋状に配設された螺旋流部621A1が一体的に設けられている。この螺旋流部621A1は、燃焼筒部621Aの内周面に当接することなく、かつ、後述する保護カバー623の内周面と燃焼筒部621Aの外周面との間を流通するバーナーユニット151の燃焼ガスが、中心軸に対して螺旋状に流通する状態に形成されている。
また、燃焼筒部621Aには、軸方向の一端となる上端側の所定の位置に、エンボス加工などにより内方に向けて膨出する状態に位置決めダボ621Bが設けられている。また、燃焼筒部621Aの軸方向の一端となる上端には、外方に向けて鍔状に一連に突出する支持フランジ621Cが設けられている。この支持フランジ621Cには、取付ボルト621Dが挿通されるボルト挿通孔621Eが開口形成されている。
また、燃焼室部621には、火炎整流部621Fが一体的に設けられている。この火炎整流部621Fは、外径が燃焼筒部621Aの内径と略同寸法で、燃焼筒部621Aの上端側に位置して溶接などにより一体的に取り付けられる取付円筒部621F1を有している。また、取付円筒部621F1の軸方向における一端となる下端には、先端側にしたがって次第に径小となる漏斗状の整流筒部621F2が一連に設けられている。そして、火炎整流部621Fは、燃焼筒部621Aの位置決めダボ621Bにて位置決めされ、取付円筒部621F1が溶接などにより燃焼筒部621Aの内周側の所定の位置に一体的に取り付けられている。
【0028】
バーナーユニット151は、例えば、図2に示すように、鋳造形成されたバーナー本体部661と、原燃料や燃料電池スタック200の負極202から排出される未利用の水素を含むオフガスを燃焼させて火炎を生成する複数の図示しない燃焼口を有するバーナー部662と、を有している。
バーナー本体部661には、送気ブロワ170から供給される空気が一次空気として導入される第一空気導入部661Aと、供給される空気が二次空気として導入される図示しない第二空気導入部と、オフガスを導入して燃焼させるオフガス導入部661Bと、などが設けられている。また、第一空気導入部661Aには原燃料が供給される燃料供給管661Cが接続され、供給された原燃料は一次空気と混合されてバーナー本体部661に供給されて燃焼される。
そして、バーナーユニット151は、バーナー本体部661に鍔状に設けられた取付フランジ661Eが、燃焼室部621の支持フランジ621Cにさらに重なる状態に支持されて、取付ボルト621Dが螺着される。この状態で、改質外装ケース610の上端部が閉塞されて、一体的にバーナーユニット151が配設される。
なお、バーナーユニット151の取付状態は、バーナー部662の下端部が、燃焼室部621の火炎整流部621Fの整流筒部621F2内に略位置するとともに、改質容器622の上端部に略対応する位置となっている。
【0029】
保護カバー623は、バーナーユニット151の燃焼ガスによる改質容器622の部分的な過熱を防止しつつ、所定の温度分布で改質容器622を加熱させるもので、図2に示すように、有底円筒状に形成された改質容器622の内周側を覆うように、有底円筒状に形成されている。
この保護カバー623は、バーナーユニット151の燃焼ガスが当たるので、耐熱性および耐蝕性に優れたステンレス鋼板などにて形成される。そして、保護カバー623は、外径が改質容器622の内径より径小の円筒保護管部623Aを有している。この円筒保護管部623Aの下端縁には、この円筒保護管部623Aの下端面を閉塞する保護底部623Bが一連に設けられている。さらに、円筒保護管部623Aの軸方向の他端である上端縁には、外方に向けて折曲され、さらに下端側に向けて折曲されて改質容器622の上端部を覆う状態に取り付けられる保護端部623Cが設けられている。
そして、保護カバー623の保護底部623Bの下面と改質容器622との間には、断熱部材624が設けられている。
そして、バーナーユニット151で燃焼された燃焼ガスは、燃焼室部621と保護カバー623との間を上方に向けて流通して改質容器622の上部を回って改質容器622と円筒ケース611との間を下方に向けて流通する。
【0030】
改質容器622は、改質触媒が充填されて原料ガスを水蒸気改質するもので、図2、図4および図5に示すように、有底円筒状に構成されている。すなわち、改質容器622は、径寸法が異なり同軸上に位置する略筒状の第一改質器部材622A、第二改質器部材622Bおよび第三改質器部材622Cを備えた三重管構造を有し、内側から第一改質器部材622A、第二改質器部材622B、第三改質器部材622Cの順に配置されて構成されている。
第一改質器部材622Aは、図4および図5に示すように、略円筒状の第一改質筒部622A1と、この第一改質筒部622A1の軸方向の一端である下端に一連に設けられ第一改質筒部622A1の下端面を閉塞する改質底板部622A2とを有し、有底円筒状に形成されている。
第二改質器部材622Bは、内径が第一改質筒部622A1の外径より径大の略円筒状の第二改質筒部622B1と、この第二改質筒部622B1の軸方向の一端縁である下端縁に内方に向けてフランジ状に突出し、内周縁にガス熱交換部640が一体に連設される第二改質フランジ部622B2とを有し、略円筒状に形成されている。この第二改質フランジ部622B2には、エンボス加工などにより上方に向けて膨出する状態に位置決めダボ部622B3が設けられている。
第三改質器部材622Cは、内径が第二改質筒部622B1の外径より径大の略円筒状の第三改質筒部622C1と、この第三改質筒部622C1の軸方向の下端縁に内方に向けてフランジ状に突出し、内周縁にガス熱交換部640が一体に連設される第三改質フランジ部622C2とを有し、略円筒状に形成されている。
【0031】
そして、改質容器622には、図2、図4および図5に示すように、第一改質器部材622Aの第一改質筒部622A1の上端外周縁と、第三改質器部材622Cの第三改質筒部622C1の上端内周縁との間に連設する改質リング端板622Dが設けられている。
この改質リング端板622Dには、外周縁および内周縁がそれぞれ同方向に屈曲されて接合屈曲部622D1が設けられ、改質リング端板622Dは第一改質筒部622A1および第三改質筒部622C1に面接合する状態に断面U字状に形成されている。この改質リング端板622Dにより、第一改質器部材622Aおよび第三改質器部材622Cの上端部が連結されて、保護カバー623の保護端部623Cにて覆われる改質容器622の上端部を閉塞する。
なお、改質リング端板622Dには、図示しない温度センサーを配設するためのセンサー保護管622Eが貫通されるセンサー配設孔622D2が設けられている。
【0032】
また、改質容器622には、第一改質器部材622Aの第一改質筒部622A1の上端部の外周面に設けられ、第二改質器部材622Bの第二改質筒部622B1の上端部の内周面に向けて鍔状に突出し、第一改質器部材622Aと第二改質器部材622Bとの間を略閉塞する上部改質仕切部材622Fが設けられている。
この上部改質仕切部材622Fは、図4および図5に示すように、第一改質器部材622Aの第一改質筒部622A1の外周面に内周面が取り付けられる環状の取付管部622F1と、この取付管部622F1の下端縁が外方に向けて鍔状に折曲形成され、先端縁が第二改質筒部622B1の内周面に熱膨張によるクリアランスを考慮した間隙を介して対向する上部仕切鍔部622F2と、を有している。そして、上部仕切鍔部622F2には、改質ガスが流通可能に複数のガス流通孔622F3が開口形成されている。
さらに、上部改質仕切部材622Fの上部仕切鍔部622F2には、センサー保護管622Eが貫通されるセンサー貫通孔622F4が設けられている。
また、改質容器622には、図4および図7に示すように、第一改質器部材622Aの第一改質筒部622A1の外周面に位置して、センサー保護管622Eが貫通されるセンサー挿通孔622E1を有し、センサー保護管622Eを保持する保護管取付片部622E2が複数設けられている。
なお、センサー保護管622Eを設ける代わりに、例えば、温度センサーを第一改質器部材622Aあるいは第二改質器部材622Bに貼り付ける構成としてもよい。
【0033】
さらに、改質容器622には、図2、図4および図5に示すように、第二改質器部材622Bの第二改質フランジ部622B2に取り付けられ、上方である第一改質器部材622Aに向けて円筒状に突出する状態に、下部改質仕切部材622Gが設けられている。
この下部改質仕切部材622Gは、図4〜図6に示すように、内径が第一改質筒部622A1の外径より熱膨張などのクリアランスを考慮した寸法分径大の仕切筒部622G1と、この仕切筒部622G1の軸方向の一端側が内方に向けてフランジ状に突出し第二改質フランジ部622B2に溶接などにより取り付けられる仕切取付フランジ部622G2とを有した略円筒状に形成されている。
さらに、この下部改質仕切部材622Gには、仕切筒部622G1から仕切取付フランジ部622G2に連続する湾曲する部分に、原料ガスが流通可能な原料ガス流通孔622G3が複数開口形成されている。この原料ガス流通孔622G3は、仕切筒部622G1と第一改質筒部622A1とのクリアランスを流通する流通抵抗より小さい流通抵抗で、良好に原料ガスが流通するように形成されている。
なお、仕切取付フランジ部622G2には、第二改質フランジ部622B2の位置決めダボ部622B3が係合する仕切位置決め孔部622G4が設けられている。
【0034】
そして、改質容器622には、第一改質器部材622Aの改質底板部622A2と、下部改質仕切部材622Gと、ガス熱交換部640とにより、ガス熱交換部640からの原料ガスが流入する原料ガス流入室622H1が区画されている。また、改質容器622には、第一改質器部材622Aの第一改質筒部622A1と、第二改質器部材622Bの第二改質筒部622B1と、上部改質仕切部材622Fと、下部改質仕切部材622Gとにより、改質触媒が充填される改質室622H2が区画形成されている。さらに、改質容器622には、第二改質器部材622Bの第二改質筒部622B1と、第三改質器部材622Cの第三改質筒部622C1と、改質リング端板622Dと、第一改質筒部622A1の第一改質筒部622A1と、上部改質仕切部材622Fと、ガス熱交換部640とにより、改質ガスが流通する改質ガス流路622H3が区画形成されている。
原料ガス流入室622H1と改質室622H2とは、下部改質仕切部材622Gの原料ガス流通孔622G3により連通し、原料ガス流入室622H1に流入した原料ガスは、改質室622H2へ流通する。また、改質室622H2と改質ガス流路622H3とは、上部改質仕切部材622Fのガス流通孔622F3により連通し、改質室622H2で原料ガスが水蒸気改質されて生成する改質ガスが改質ガス流路622H3を流通し、再びガス熱交換部640に流入する。
なお、改質器620は、バーナーユニット151の燃焼ガスにより加熱される改質容器622の改質室622H2は、原料ガスが流入する下端が上端より多少温度が低い温度分布で加熱されコーキングを防止しつつ改質室622H2の軸方向の全域で効率よく改質処理できるように、燃焼室部621、バーナーユニット151および改質容器622が形成されている。また、改質容器622は、円筒形状に限らず、多角筒形状や楕円筒形状、星形筒形状などとしてもよい。
【0035】
ガス熱交換部640は、原料ガスと改質ガスとの熱交換をするもので、図2、図4〜図6に示すように、改質容器622と同軸上で、かつ、改質容器622の鉛直下方に配設される。
このガス熱交換部640は、径寸法が異なり同軸上に位置する第一円筒部材642A、第二円筒部材642Bおよび第三円筒部材642Cを備えた三重管構造を有し、内側から第一円筒部材642A、第二円筒部材642B、第三円筒部材642Cの順に配置されて構成されている。
【0036】
第一円筒部材642Aは、軸方向の一端となる下端側が開放する断面逆U字状で、図4、図6および図8に示すように、円筒状の第一円筒部642A1と、この第一円筒部642A1の軸方向における他端側となる上端に一連に設けられ第一円筒部642A1の上端面を閉塞する円筒天板部642A2とを有し、有天円筒状に形成されている。
円筒天板部642A2の上面略中央には、上方に向けて折曲され、改質ユニット400の組立時に改質容器622の第一改質器部材622Aの改質底板部622A2に当接して支持する改質器ストッパ642A3が設けられている。この改質器ストッパ642A3により、改質容器622の原料ガス流入室622H1が区画形成される。
【0037】
第二円筒部材642Bは、断面U字の有底円筒状で、第一円筒部642A1の外径より内径が大きい円筒状の第二円筒部642B1と、この第二円筒部642B1の軸方向の下端に一連に設けられ第二円筒部642B1の下端面を閉塞する円筒底板部642B2とを有している。
そして、円筒底板部642B2には、水蒸気混合器140に接続して水蒸気混合器140から水蒸気が混合された原料ガスが流通する原料ガス供給管642Dを貫通する原料ガス供給貫通孔642B5が設けられている。この原料ガス供給管642Dから供給される原料ガスは、第二円筒部材642Bと第一円筒部材642Aとにより囲まれた空間、すなわち原料ガス流入空間642E1に流入する。
また、第二円筒部642B1には、下端側に位置してエンボス加工などにより内方に向けて膨出する支持ダボ部642B3が、周方向で6等分する6箇所に設けられている。これら支持ダボ部642B3は、第一円筒部材642Aの下端縁が当接して第一円筒部材642Aを支持可能に膨出形成されている。さらに、第二円筒部642B1には、支持ダボ部642B3の位置より上端側に位置して、エンボス加工などにより所定の高さ寸法で内方に向けて膨出する間隙ダボ部642B4が周方向で6等分する位置に設けられている。これら間隙ダボ部642B4は、支持ダボ部642B3に支持された第一円筒部642A1の外周面に当接し、第一円筒部642A1の外周面と第二円筒部642B1の内周面との間に所定の幅、例えば0.1mm以上10mm以下、本実施形態では0.5mmの間隙を形成させる。この隙間は、原料ガス流入空間642E1に連通し原料ガスが流通する原料ガス流路642E2となる。
ここで、この原料ガス流路642E2の隙間が0.1mmより狭くなると、第一円筒部642A1と第二円筒部642B1の熱膨張差により流路が閉塞するという不都合が生じるおそれがある。また、10mmより広くなると、第一円筒部642A1と第二円筒部642B1との間の隙間部分での差圧が小さくなり、周方向で偏流が生じるという不都合が生じるおそれがある。これらのことから、原料ガス流路642E2の隙間は、0.1mm以上10mm以下に設定することが好ましい。さらに、0.5mm以上2.0mm以下に設定することがより好ましい。
なお、支持ダボ部642B3および間隙ダボ部642B4は、周方向で6等分する位置に設ける構成に限らず、第一円筒部材642Aを確実に支持でき、周方向で均等な間隙を形成するいずれの数や形状で形成することができる。
そして、第二円筒部642B1の上端部は、改質容器622の第二改質フランジ部622B2の内周縁に連結され、原料ガス流路642E2は、改質容器622の原料ガス流入室622H1に連通する。
【0038】
第三円筒部材642Cは、断面U字の有底円筒状で、第二円筒部642B1の外径より内径が大きい円筒状の第三円筒部642C1と、この第三円筒部642C1の軸方向の下端に一連に設けられ第三円筒部642C1の下端面を閉塞する熱交換底板部642C2とを有している。
そして、第三円筒部642C1には、エンボス加工などにより内方に向けて所定の高さ寸法で膨出する隙間ダボ部642C3が周方向で6等分する位置に設けられている。これら隙間ダボ部642C3は、第二円筒部642B1の外周面に当接し、第二円筒部642B1の外周面と第三円筒部642C1の内周面との間に所定の幅、例えば0.1mm以上10mm以下、本実施形態では0.5mmの間隙を形成させる。
この第三円筒部642C1の上端部は、改質容器622の第三改質フランジ部622C2の内周縁に連結されている。そして、第二円筒部642B1の外周面と第三円筒部642C1の内周面との間は、改質容器622の改質ガス流路622H3に連通する改質ガス流通路642E3となる。この改質ガス流通路642E3の隙間は、0.1mmより狭くなると、第二円筒部642B1と第三円筒部642C1の熱膨張差により流路が閉塞するという不都合が生じるおそれがある。また、10mmより広くなると、第二円筒部642B1と第三円筒部642C1との隙間部分での差圧が小さくなり、周方向で偏流が生じるという不都合が生じるおそれがある。これらのことから、改質ガス流通路642E3の隙間は0.1mm以上10mm以下に設定することが好ましい。さらに、0.5mm以上2.0mm以下に設定することがより好ましい。
なお、隙間ダボ部642C3は、第二円筒部材642Bの支持ダボ部642B3および間隙ダボ部642B4と一致しない位置に設け、確実に第二円筒部材642Bに当接して所定の間隙の改質ガス流通路642E3を形成するように設ける。そして、隙間ダボ部642C3は、周方向で6等分する構成に限らず、第一円筒部材642Aを確実に支持でき、周方向で均等な間隙を形成する数や形状で形成すればよい。
また、熱交換底板部642C2には、改質ガス流出管642Fが貫通する改質ガス流出貫通孔642C4が設けられている。この改質ガス流出管642Fは、改質ガス流通路642E3と連通し、改質容器622からガス熱交換部640に流入し、原料ガス流路642E2を流通する原料ガスと熱交換させつつ改質ガス流通路642E3を流通する改質ガスを、ガス熱交換部640から流出させる。
また、第一円筒部材642A、第二円筒部材642B、第三円筒部材642Cは略コップ状に形成されているので、プレス成形で容易に製作でき、組み立ても容易で製造コストを低減できる。さらに、支持ダボ部642B3、間隙ダボ部642B4、隙間ダボ部642Cも内周側に突出する形状としているため、ダボ加工も容易にできる。
【0039】
改質部600のボイラ650は、詳細は後述するが、熱交換手段としての排ガスクーラー840からCO除去熱交換部850を介して加熱された水(純水181)を、バーナーユニット151の燃焼ガスとの熱交換により加熱して水蒸気を生成させる。このボイラ650は、図2、図9および図10に示すように、二重管構造に構成されている。このボイラ650は、純水181が流通される改質水内管651と、この改質水内管651を嵌挿する排気風路外管652と、を備えている。
排気風路外管652は、軸方向の一端が開放され、軸方向の他端が支持台座部613の熱交換孔613Aに溶接などにより嵌合固定され、円筒ケース611の内径より径小の所定の曲率半径で螺旋状に形成されている。すなわち、排気風路外管652は、支持台座部613の上面側および下面側を連通する状態に配設され、バーナーユニット151にて燃焼された燃焼ガスが、改質容器622の内周側から上端側を介して外周側を下方に向けて流通し、支持台座部613の上面側から排気風路外管652内を介して支持台座部613の下面側に流通する状態となっている。
改質水内管651は、軸方向の一端側が排気風路外管652の開放する一端から延出するとともに、軸方向の他端側が支持台座部613に接続する排気風路外管652の他端から延出する状態に、排気風路外管652内に同軸上に配設されている。なお、詳細は後述するが、純水181と燃焼ガスとの熱交換効率の点で、改質水内管651は略同軸上に排気風路外管652内に嵌挿されて配設することが好ましいが、同軸上に位置させるための配管やスペーサなどの別部材を設けるなどの点で、単に嵌挿して配設する構成でよい。そして、改質水内管651は、詳細は後述するが、熱交換により発生する水蒸気の流出側に相当する端部となる軸方向の一端側が、支持台座部613を貫通して支持台座部613の下面側に延出し、水蒸気混合器140に接続する状態に配設されている。なお、改質水内管651の支持台座部613の貫通部分は、略気密に溶接やロウ付けなどによりシールされる。また、改質水内管651における支持台座部613の下面側に延出する軸方向の他端側には、詳細は後述するが、改質水としての純水181が供給される排ガスクーラー840に接続するCO除去熱交換部850が接続され、改質水内管651内に排ガスクーラー840およびCO除去熱交換部850で熱交換により加熱された純水181が流通される。そして、ボイラ650は、改質水内管651に流通する純水181を排気風路外管652に流通する燃焼ガスと熱交換させて、水蒸気を生成する。
【0040】
改質ユニット400の配管部700は、図2に示すように、配管外装ケース710を備えている。この配管外装ケース710は、円筒状に形成されている。この配管外装ケース710は、軸方向の一端となる下端側にCO除去部800が嵌合挿入され、溶接やロウ付けなどにより一体的に連結される。また、配管外装ケース710は、軸方向の他端となる上端側に改質部600の支持台座部613の外周縁が嵌合挿入され、溶接やロウ付けなどにより一体的に連結される。
この配管外装ケース710には、脱硫器310における脱硫容器の流出口から流出する脱硫処理後の原燃料が流通する原燃料管720が貫通されている。この原燃料管720は、水蒸気混合器140に接続され、ボイラ650からの水蒸気が混合される。
また、配管外装ケース710には、CO除去部800から延出する排ガス管730が貫通され、改質ユニット400外へバーナーユニット151の燃焼ガスを排出させる。すなわち、配管外装ケース710の内周側は、ボイラ650におけるバーナーユニット151の燃焼ガスが流通する排気風路外管652の内周側に連通し、燃焼ガスが流入する。この燃焼ガスは、詳細は後述するが、配管外装ケース710に連結するCO除去部800に流通してさらに熱交換により冷却され、CO除去部800から排ガス管730を介して改質ユニット400外へ排ガスとして排気される。
【0041】
CO除去部800は、図2に示すように、CO変成器810と、熱処理手段820と、CO選択酸化器830と、排ガスクーラー840と、CO除去熱交換部850と、台座ケース860と、を備えている。
そして、改質外装ケース610と、配管外装ケース710と、CO変成器810の一部と、台座ケース860とにより、ユニット本体部400Aの外装ケースが構成される。
台座ケース860は、径寸法が配管外装ケース710と略同寸法の有底円筒状に形成され、開放する上端縁には、詳細は後述するが、CO変成器810が嵌合挿入され、溶接やロウ付けなどにより一体的に連結される。
【0042】
そして、CO除去部800は、図2、図13〜図15に示すように、径寸法が異なり同軸上に位置する略筒状の第一筒部材としての第一CO除去部材801、第二筒部材としての第二CO除去部材802、第三筒部材としての第三CO除去部材803、および第四筒部材としての第四CO除去部材804を備えた四重管構造を有し、外側から第一CO除去部材801、第二CO除去部材802、第三CO除去部材803、および第四CO除去部材804の順に配置されて構成されている。
そして、第一CO除去部材801の軸方向の両端縁と、第二CO除去部材802の軸方向の両端縁との間には、図2、図11〜図15に示すように、略平板環状の外周側端板805が連設され、第一CO除去部材801と第二CO除去部材802と外周側端板805とにより、円筒形状のCO変成器810が構成される。
また、第三CO除去部材803の軸方向の両端縁と、第四CO除去部材804の軸方向の両端縁との間には、略平板環状の内周側端板806が連設され、第三CO除去部材803と第四CO除去部材804と内周側端板806とにより、円筒形状のCO変成器810の内側に同軸上に位置する円筒形状のCO選択酸化器830が構成される。
さらに、第二CO除去部材802の軸方向の両端縁と、第三CO除去部材803の軸方向の両端縁との間には、架橋する状態に複数の保持具としての連結支持部材807が連結され、CO変成器810とCO選択酸化器830とが一体的に連結される。連結支持部材807には、第二CO除去部材802および第三CO除去部材803間の間隙を維持するスペーサ部807Aが一体に設けられている。そして、第二CO除去部材802および第三CO除去部材803間は、上端側が配管部700の配管外装ケース710内に連通し、下端側が台座ケース860内に連通する熱処理手段820が構成される。
なお、CO除去部800についても、円筒形に限らず、多角筒状や楕円筒状、星形筒状などとしてもよい。
【0043】
CO変成器810内には、図2、図13〜図15に示すように、軸方向の上部側と下部側とのそれぞれにCO変成区画板811が設けられている。これらCO変成区画板811は、第二CO除去部材802の外周面から、第一CO除去部材801の内周面に向けて鍔状に設けられ、改質ガスが流通可能に複数の孔が設けられている。これらCO変成区画板811により、CO変成器810内には、軸方向の下部から、ガス拡散領域812と、CO変成触媒が充填されたCO変成反応領域813と、ガス収束領域814とが、互いに改質ガスを流通可能に区画形成されている。
なお、CO変成区画板811と第一CO除去部材801の内周面との間には、熱膨張などのクリアランスが設けられている。
そして、CO変成器810には、ガス熱交換部640に連結された改質ガス流出管642Fが連結されている。この改質ガス流出管642Fは、CO変成器810の上端側の外周側端板805およびCO変成区画板811を貫通してガス拡散領域812に連通する状態に連結されている。
また、CO変成器810には、上端側の外周側端板805で改質ガス流出管642Fが貫通する位置とは略径方向の反対側に位置して、連絡管740の一端が連結されている。この連絡管740は、U字状に屈曲形成され、他端側がCO選択酸化器830の上端側の内周側端板806に連結されている。さらに、CO変成器810には、連結する連絡管740の一端内に同軸上に嵌合挿入する酸素混合気体供給手段としての空気導入管750が、上端側の外周側端板805の外周側から貫通する状態に設けられている。この空気導入管750は、図示しないブロワーなどが設けられ、酸素を含有する気体、例えば空気を連絡管740内に供給する。
そして、ガス熱交換部640から流出し改質ガス流出管642Fを流通する改質ガスは、CO変成器810のガス拡散領域812に流入され、CO変成反応領域813を流通して改質ガス中のCOが変成され、ガス収束領域814から連絡管740を介して、空気導入管750から供給される空気が混合されてCO選択酸化器830へ流通する。
また、CO変成器810には、CO変成反応領域813の下端側に位置して、CO除去熱交換部850を構成するCO変成冷却管851が配設されている。CO変成するシフト反応は、発熱反応であり、CO変成触媒により直ちに反応が進行することから、発熱反応により温度が高くなる傾向となるCO変成反応領域813の下端側である改質ガスが流通する上流側の領域に、CO変成冷却管851が配設される。このCO変成冷却管851は、詳細は後述するが、熱処理手段820を通ってボイラ650の改質水内管651に連結され、改質ガスとの熱交換により加熱された流通する水(純水181)をボイラ650に供給する。
さらに、CO変成器810には、ガス拡散領域812内の温度を測定する図示しない温度センサーを収容する温度センサー保護管815が配設されている。
【0044】
CO選択酸化器830は、CO変成器810と同様に、内部の軸方向の上部側と下部側とのそれぞれにCO選択酸化区画板831が設けられている。これらCO選択酸化区画板831は、第四CO除去部材804の外周面から、第三CO除去部材803の内周面に向けて鍔状に設けられ、改質ガスが流通可能に複数の孔が設けられている。これらCO選択酸化区画板831により、CO選択酸化器830内には、軸方向の上部から、連絡管740が連通する拡散領域832と、CO選択酸化触媒が充填されたCO選択酸化反応領域833と、収束領域834とが、互いに改質ガスを流通可能に区画形成されている。
なお、CO選択酸化区画板831と第三CO除去部材803の内周面との間には、熱膨張などのクリアランスが設けられている。
また、CO選択酸化器830には、下端側の端板806に、内部の収束領域834に連通する燃料ガス管760が連結されている。
そして、CO変成器810から空気導入管750より空気が混合されて連絡管740を流通する改質ガスは、CO選択酸化器830の拡散領域832内に流入し、CO選択酸化反応領域833を流通して改質ガス中のCOが二酸化炭素(CO2)に酸化され、改質ガス中のCOが除去され、燃料ガスとして燃料ガス管760から改質ユニット400外へ流出される。
また、CO選択酸化器830には、CO除去熱交換部850を構成するCO選択酸化冷却管852が配設されている。このCO選択酸化冷却管852は、CO選択酸化反応領域833に螺旋状に配設され、CO選択酸化反応領域833を冷却する。このCO選択酸化冷却管852は、螺旋ピッチが、改質ガスが流入する上部側が狭いピッチで、下部側が広いピッチとなるように配設されている。さらに、CO選択酸化冷却管852は、CO選択酸化反応領域833の径方向で略中央より外周側に変位して配設する。すなわち詳細は後述するが、CO選択酸化器830の内周側に排ガスクーラー840の純水流路845が位置し、CO選択酸化器830の外周側に温度が高いCO変成器810が位置するため、CO選択酸化器830内の径方向における中央より外周側に変位して配設して全体的にバランスよく冷却する構成となっている。このCO選択酸化冷却管852は、一端側が排ガスクーラー840に接続され、他端側がCO変成冷却管851に連結されている。そして、排ガスクーラー840で加熱された水(純水181)は、CO選択酸化冷却管852に流入し、CO選択酸化反応領域833を流通する改質ガスと熱交換により加熱され、連結するCO変成器810のCO変成冷却管851へ流出する。
【0045】
CO変成器810とCO選択酸化器830との間に設けられた熱処理手段820は、上述したように、上端側が配管部700の配管外装ケース710内に連通し、下端側が台座ケース860内に連通し、配管外装ケース710内に流入したバーナーユニット151の燃焼ガスが上端側から下端側の台座ケース860内に流通可能に形成されている。
この熱処理手段820には、CO除去部の径方向における略中央に位置して、軸方向にスリット821Aを有した平面視でC字状の輻射防止板821が設けられている。この輻射防止板821は、連結支持部材807のスペーサ部807Aに設けられた位置決め切り込み部807Bにて上端縁および下端縁が位置決め保持される。なお、位置決め切り込み部807Bは、熱膨張などを考慮したクリアランスを有して輻射防止板821を保持する状態に設けられている。なお、輻射防止板821は、自由端となるスリット821Aの縁近傍が、連結支持部材807のスペーサ部807Aの位置決め切り込み部807Bにより位置決め保持され、がたつかないように支持される。
そして、輻射防止板821のスリット821Aには、CO変成器810から延出するCO変成冷却管851の端部が熱処理手段820を軸方向で貫通する状態に配管され、ボイラ650に連結される。
そして、このボイラ650に連結するCO変成冷却管851と、このCO変成冷却管851に連結するとともに排ガスクーラー840に連結するCO選択酸化冷却管852とにより、CO除去熱交換部850が構成される。
【0046】
排ガスクーラー840は、給水経路183を介して純水181が供給され、バーナーユニット151の燃焼ガスと純水181とを熱交換させ、燃焼ガスを十分に冷却して排気させる。この排ガスクーラー840は、図2、図13、図16に示すように、有天円筒状に構成されている。
すなわち、排ガスクーラー840は、径寸法が異なり同軸上に位置する第一クーラー部材841、第二クーラー部材842および第三クーラー部材843を備えた三重管構造を有し、外側から第一クーラー部材841、第二クーラー部材842、第三クーラー部材843の順に配置されている。
【0047】
第一クーラー部材841は、軸方向の一端となる下端が開放する断面逆U字状で、円筒状の第一クーラー円筒部841Aと、この第一クーラー円筒部841Aの軸方向における他端側となる上端に一連に設けられ第一クーラー円筒部841Aの上端面を閉塞する第一クーラー天板部841Bとを有し、有天円筒状に形成されている。
そして、第一クーラー円筒部841Aの下端部には、第一クーラー円筒部841Aより径大に段差状のクーラー段差部841Cが一連に屈曲形成されている。このクーラー段差部841Cには、内周面に連通する状態で給水経路183が接続されている。なお、クーラー段差部841Cは、段差部分が湾曲する状態で屈曲形成されている。
さらに、第一クーラー円筒部841Aには、エンボス加工などにより所定の高さ寸法で内方に向けて膨出する第一クーラーダボ部841Dが、周方向で6等分する位置に設けられている。これら第一クーラーダボ部841Dは、第二クーラー部材842の外周面に当接し、第一クーラー部材841の内周面と第二クーラー部材842の外周面との間に所定の幅、例えば0.1mm以上10mm以下、本実施形態では0.5mmの間隙となる純水流路845を区画形成する。
ここで、この純水流路845の隙間が0.1mmより狭くなると、第一クーラー円筒部841Aと後述する第二クーラー円筒部842Aの熱膨張差により流路が閉塞するという不都合が生じるおそれがある。また、10mmより広くなると、第一クーラー円筒部841Aと第二クーラー円筒部842Aとの間の隙間部分での差圧が小さくなり偏流が生じるという不都合が生じるおそれがある。これらのことから、純水流路845の隙間は、0.1mm以上10mm以下に設定することが好ましい。
なお、純水流路845の隙間は、流通する純水181の安定した沸騰を実現させるためには、純水181の流速をより速くすることが好ましいが、純水流路845の隙間を小さくすると純水流路845の圧力損失が大きくなり、搬送ポンプ182の動力損失が大きくなる。このため、0.5mm以上2.0mm以下に設定することがより好ましい。
また、純水流路845の隙間は、後述する排ガス排出流路847よりも小さい方が好ましい。これは、燃焼ガスの流量よりも純水181の流量が少ないため、純水流路845を排ガス排出流路847より狭くして純水181の流速を速くすることで、良好な熱交換性能を得ることができるためである。
また、第一クーラー天板部841Bには、CO選択酸化器830から延出するCO選択酸化冷却管852の端部が接続されるクーラードーム部841Eが設けられている。このクーラードーム部841Eは、CO選択酸化冷却管852の端部を第一クーラー部材841の内面側に連通する状態で接続するための水接続フランジ841E1が設けられている。
さらに、第一クーラー天板部841Bには、上方に向けて円筒状に突出し、排ガス管730が第一クーラー部材841の内面側に連通する状態で接続されるガス接続フランジ841Fが設けられている。
【0048】
第二クーラー部材842は、軸方向の一端となる下端が開放する断面逆U字状で、円筒状の第二クーラー円筒部842Aと、この第二クーラー円筒部842Aの軸方向における他端側となる上端に一連に設けられ第二クーラー円筒部842Aの上端面を閉塞する第二クーラー天板部842Bとを有し、有天円筒状に形成されている。
そして、第二クーラー円筒部842Aの下端縁には、外周側に段差としてフランジ状に突出し、第一クーラー円筒部841Aのクーラー段差部841Cの下端縁に連結されるクーラー連結フランジ842Cが設けられている。このクーラー連結フランジ842Cと、第一クーラー円筒部841Aのクーラー段差部841Cと、第二クーラー円筒部842Aとにより、給水経路183および純水流路845に連通する純水滞留部846が区画形成される。そして、給水経路183から供給される純水181は、純水滞留部846に流入し、純水流路845を通って、CO選択酸化冷却管852に流通する。
なお、純水滞留部846は、クーラー段差部841Cの段差部分が湾曲する状態で屈曲形成されているので、純水滞留部846に流入した純水181はクーラー段差部841Cの湾曲する内面により比較的に円滑に純水流路845に流入され、気泡が発生しても抜けやすい形状となっているため、脈流が生じることを抑制することができる。また、純水滞留部846は、この純水滞留部846内の純水181の全量が水蒸気となった場合に、改質容器622、CO変成器810およびCO選択酸化器830内を水蒸気でパージできる量の純水181を滞留可能な容積に形成されている。
さらに、第二クーラー円筒部842Aには、エンボス加工などにより所定の高さ寸法で内方に向けて膨出する第二クーラーダボ部842Dが、周方向で6等分する位置に設けられている。これら第二クーラーダボ部842Dは、第三クーラー部材843の外周面に当接し、第二クーラー部材842の内周面と第三クーラー部材843の外周面との間に所定の幅、例えば0.1mm以上10mm以下、本実施形態では1mmの間隙となる排ガス排出流路847を区画形成する。
ここで、この排ガス排出流路847の隙間が0.1mmより狭くなると、第二クーラー円筒部842Aと後述する第三クーラー円筒部843Aの熱膨張差により流路が閉塞したり、すすの発生により閉塞したりするなどの不都合が生じるおそれがある。また、10mmより広くなると、第二クーラー円筒部842Aと第三クーラー円筒部843Aとの間の隙間部分での差圧が小さくなり、周方向で偏流が生じるという不都合が生じるおそれがある。これらのことから、排ガス排出流路847の隙間は、0.1mm以上10mm以下に設定することが好ましい。さらに、0.5mm以上2.0mm以下に設定することがより好ましい。
なお、第一クーラーダボ部841Dおよび第二クーラーダボ部842Dは、互いに一致しない軸方向で異なる位置に設けられ、純水流路845が確実に区画形成されているようになっている。そして、これら第一クーラーダボ部841Dおよび第二クーラーダボ部842Dは、上述した支持ダボ部642B3、間隙ダボ部642B4および隙間ダボ部642C3と同様に、周方向で6等分する構成に限らず、周方向で均等な隙間を形成するいずれの数や形状で形成することができる。
また、第二クーラー天板部842Bには、エンボス加工などにより、第一クーラー天板部841Bの水接続フランジ841E1に向けて膨出する整流ダボ部842Eが設けられている。この整流ダボ部842Eは、純水流路845を流通する純水181が蒸発しきれずに液相のままクーラードーム部841E内に流れ込んだ際に、容積拡張による淀みを防止し、不安定な沸騰を防止する形状、すなわち、クーラードーム部841E内の容積が大きくならないように形成されている。
さらに、第二クーラー天板部842Bには、ガス接続フランジ841Fに対応して、上方に向けて円筒状に突出し、ガス接続フランジ841Fに嵌合挿入して排ガス管730が嵌合挿入されて連結される排ガス管接続部842Fが設けられている。
また、第二クーラー円筒部842Aの下端側内周面には、支持部材842Gが設けられている。この支持部材842Gは、図12、図13、図16、図17に示すように、平面視でC字環状に形成され、第二クーラー円筒部842Aの下端側内周面に取り付けられるリング取付部842G1と、このリング取付部842G1の上端縁に周方向で略3等分する位置で内方に向けて突出形成され、第三クーラー部材843を載置支持する支持舌片部842G2と、を有している。なお、図17は、説明の都合上、第二クーラー部材842を省略する。
【0049】
第三クーラー部材843は、軸方向の一端となる下端が開放する断面逆U字状で、円筒状の第三クーラー円筒部843Aと、この第三クーラー円筒部843Aの軸方向における他端側となる上端に一連に設けられ第三クーラー円筒部843Aの上端面を閉塞する第三クーラー天板部843Bとを有し、有天円筒状に形成されている。
また、第三クーラー天板部843Bの上面略中央には、上方に向けて折曲されたクーラーストッパ843Cが設けられている。このクーラーストッパ843Cは、第二クーラー天板部842Bの下面に当接することで、第二クーラー天板部842Bとの間に所定の間隙が確保されるようになっている。
また、第一クーラー部材841、第二クーラー部材842、第三クーラー部材843は略コップ状に形成されているので、プレス成形で容易に製作でき、組み立ても容易で製造コストを低減できる。さらに、第一クーラーダボ部841D、第二クーラーダボ部842Dも内周側に突出する形状としているため、ダボ加工も容易にできる。
【0050】
そして、排ガスクーラー840には、図11、図13〜図15に示すように、第一クーラー部材841の第一クーラー天板部841Bの周縁部から外周方向に向けて鍔状に突出する閉塞連結板848が設けられている。この閉塞連結板848は、外周縁がCO選択酸化器830の内周側端板806に重畳して接合され、排ガスクーラー840とCO選択酸化器830とが一体的に連結される。この閉塞連結板848と、CO選択酸化器830の内周側端板806と、CO変成器810の外周側端板805とにより、CO除去部800と配管部700とが区画され、配管部700内は、熱処理手段820を介して台座ケース860内に連通する。そして、第三クーラー部材843が支持部材842Gに載置支持された状態では排ガス排出流路847の下端側は開放して台座ケース860内に連通する。このことにより、台座ケース860から排ガス排出流路847に流入したバーナーユニット151の燃焼ガスは、外周側に位置する純水流路845を流通する純水181との熱交換により十分に冷却され、排ガス管730から排ガスとして排気される。
【0051】
〔燃料電池システムの動作〕
次に、上述した燃料電池システム100における動作について説明する。なお、本実施形態では、天然ガスなどの気体状の原燃料を主要原料として用いて燃料電池スタック200で発電させる構成を例示する。
【0052】
(起動(発電)動作)
まず、制御装置が発電要求に関する信号を取得すると、バーナーユニット151に原燃料および空気を供給して改質器620を加熱する。なお、起動する前は、改質器620、CO変成器810およびCO選択酸化器830内には、気体状の原燃料が封入されている。
このバーナーユニット151による燃焼ガスは、燃焼室部621の燃焼筒部621Aを加熱し、燃焼筒部621Aの下端から燃焼筒部621Aおよび保護カバー623の内周側を上方に向けて螺旋状に改質容器622の上部に流通し、保護カバー623を加熱する。さらに、燃焼ガスは、改質容器622の外周面と改質外装ケース610の内周面との間を下方に向けて流通する。このようにして、加熱された燃焼室部621と燃焼筒部621Aとからの輻射熱および燃焼ガスにより、改質容器622が加熱される。この改質容器622の加熱は、燃焼ガスが直接改質容器622に接触しないので、燃焼ガス流による温度のばらつきが生じにくく、改質容器622は安定して加熱される。なお、保護カバー623のバーナーユニット151に対向し過熱しやすい保護底部623Bには、断熱部材624が設けられており、改質器620に流入する原料ガスの異常過熱を防止している。
そして、バーナーユニット151の燃焼ガスは、改質容器622の下方に流れ込み、ガス熱交換部640の外周面を加熱するとともに、ボイラ650の排気風路外管652内に流れ込み、配管部700内に流れ込む。そして、配管部700に流れ込んだ燃焼ガスは、CO除去部800の熱処理手段820を流通して台座ケース860内に流入する。この熱処理手段820を燃焼ガスが流通する際、外周側に位置するCO変成器810および内周側に位置するCO選択酸化器830を加熱する。熱処理手段820に全量の燃焼ガスが流通するので、CO変成器810およびCO選択酸化器830は、電気ヒーターなどを用いることなく、比較的に早く加熱できる。
さらに、台座ケース860内に流入したバーナーユニット151の燃焼ガスは、排ガスクーラー840の排ガス排出流路847を流通して排ガス管730から排ガスとして排気される。なお、排ガス排出流路847を流通する際に、仮にすすや結露などが発生しても、排ガス排出流路847が1mmの間隙であることから、すすや結露した水滴は下方に落下し、長期間運転しても排ガス排出流路847は閉塞しない。
【0053】
そして、制御装置は、改質容器622が所定温度に達したら、すなわち改質触媒の種類と原燃料の種類に応じて定まる改質触媒上で原燃料がコーキングし始める温度(例えば400℃)より低く、かつ水蒸気の凝縮温度より高い温度(水の供給を開始する制御温度となる例えば350℃)になったと推定された時点で、搬送ポンプ182を駆動させて純水タンク180に貯留する純水181を、給水経路183から改質ユニット400に供給する処理をする。
すなわち、改質容器622内には気体状の原燃料が封入されており、400℃以上に達すると、コーキングが生じるおそれがある。このため、コーキングが生じる前に気体状の原燃料を水蒸気でパージする必要がある。
【0054】
この制御装置の処理により、供給される純水181は、熱交換装置160の排ガスクーラー840の純水滞留部846に流入し、クーラー段差部841Cの湾曲する曲面により比較的に円滑に純水流路845に流れ込み、CO選択酸化冷却管852へ流れる。この流通の際、台座ケース860内から排ガスクーラー840の排ガス排出流路847を流通するバーナーユニット151の燃焼ガスとの熱交換により、燃焼ガスを冷却しつつ加熱される。
そして、CO選択酸化冷却管852に流れ込んだ純水181は、熱処理手段820により加熱されるCO選択酸化器830にてさらに加熱され、CO変成冷却管851に流れ込む。さらに、CO変成冷却管851に流れ込んだ純水181は、熱処理手段820により加熱されるCO変成器810にてさらに加熱される。また、CO変成冷却管851からボイラ650の改質水内管651に流入するまでに、熱処理手段820を流通し、この熱処理手段820を流通するバーナーユニット151の燃焼ガスとさらに熱交換される。
【0055】
ボイラ650の改質水内管651に流入した純水181は、上述したボイラ650の排気風路外管652を流通するバーナーユニット151の燃焼ガスとの熱交換により、燃焼ガスを冷却しつつ加熱され、過熱蒸気となる。
そして、このボイラ650で生成された水蒸気は、水蒸気混合器140を介してガス熱交換部640の原料ガス流入空間642E1に流入し、原料ガス流路642E2から改質容器622の原料ガス流入室622H1、改質室622H2および改質ガス流路622H3に順次流れる。さらに、改質容器622の改質ガス流路622H3を流通する水蒸気は、ガス熱交換部640の改質ガス流通路642E3を流通し、改質ガス流出管642Fを介してCO変成器810に供給される。このCO変成器810に供給された水蒸気は、ガス拡散領域812、CO変成反応領域813およびガス収束領域814を順次流れ、連絡管740を介してCO選択酸化器830に供給される。このCO選択酸化器830に供給された水蒸気は、拡散領域832、CO選択酸化反応領域833および収束領域834を順次流れ、燃料ガス管760を介して改質ユニット400外、すなわち燃料電池スタック200へ流入する。このようにして、原料ガスが水蒸気でパージされ、コーキングが防止される。
水の供給量が所定量、すなわち水の供給によって発生した水蒸気が改質器622をパージするのに十分な量(例えば5mL)に達したら水の供給を一旦停止する。このとき、CO変成器810が水蒸気の凝縮温度以下の場合は、配管642Fで水蒸気が凝縮されCO変成器810下部の流入室812に貯まることとなり、CO変成器810が濡れることがない。なお、水の供給を停止する前にCO変成器810が水蒸気の凝縮温度以上であることが温度センサー等により確認できれば、水の供給を停止しなくともよい。
【0056】
また、制御装置は、純水181を改質ユニット400へ供給処理をするとともに、原燃料貯蔵手段10に貯蔵する原燃料を原燃料供給手段110へ供給させる処理をする。そして、原燃料は、脱硫装置300の脱硫器310で脱硫処理される。
そして、制御装置は、改質容器622の改質室622H2、CO変成器810およびCO選択酸化器830の温度が各々所定の温度に達したことを検出すると、脱硫処理後の原燃料を原燃料供給手段110から改質ユニット400に供給する。さらに、制御装置は、CO変成器810に設けられた空気導入管750より連絡管740に空気を供給させる。
原燃料供給手段110から供給された原燃料は、原燃料管720から水蒸気混合器140に流入し、ボイラ650から供給される水蒸気と混合され、原料ガス供給管642Dを介してガス熱交換部640の原料ガス流入空間642E1に流入し、原料ガス流路642E2を介して改質容器622の原料ガス流入室622H1に流入する。そして、原料ガスは、原料ガス流入室622H1から改質室622H2を流通して水蒸気改質され、改質ガスとして改質ガス流路622H3を流通し、ガス熱交換部640の改質ガス流通路642E3を流通する。この改質ガス流通路642E3を流通する際、原料ガス流路642E2を流通する水蒸気が混合された原料ガスと熱交換し、原料ガスを加熱する。そして、ガス熱交換部640の改質ガス流通路642E3を流通する改質ガスは、改質ガス流出管642Fを介してCO変成器810に供給される。
【0057】
ここで、熱交換装置160は、純水181を排ガスクーラー840からCO除去熱交換部850のCO選択酸化冷却管852およびCO変成冷却管851を順次経由して加熱した後にボイラ650にて水蒸気を生成させている。
このため、ボイラ650の出口では過熱蒸気となっており、改質容器622で原燃料と水蒸気とが混合した原料ガスの状態となり、良好な改質処理が得られる。
【0058】
CO変成器810に流入した改質ガスは、CO変成器810のガス拡散領域812に流入され、CO変成反応領域813を流通して改質ガス中のCOが変成される。そして、COが変成された改質ガスは、ガス収束領域814から連絡管740を介して、空気導入管750から供給される空気が混合され、CO選択酸化器830の拡散領域832内に流入し、CO選択酸化反応領域833を流通して改質ガス中のCOが二酸化炭素(CO2)に酸化され、改質ガス中のCOが除去されて、燃料ガスとして燃料ガス管760から燃料電池スタック200へ供給される。
ここで、CO変成器810にて改質ガス中のCOを変成する際、およびCO選択酸化器830によるCOの選択酸化時では、発熱反応であり、特にCO変成では比較的に大きな発熱反応となる。そして、CO変成時の発熱は、熱処理手段820の輻射防止板により、CO選択酸化器830に伝熱されることを抑制しつつ、熱処理手段820を流通する燃焼ガスと熱交換されて、過熱が防止される。
そして、燃料電池スタック200に供給された燃料ガスは、燃料電池スタック200の負極202側に供給される。なお、この燃料ガスの燃料電池スタック200への流入の際、必要に応じて例えば加湿器などにて適宜加湿してもよい。この負極202側に供給された燃料ガスの水素は、必要に応じて適宜加湿されて燃料電池スタック200の正極201側に供給された空気中の酸素と反応して水を生成するとともに、正極201および負極202間に直流電力を発生させる。
なお、負極202側の余った水素を含む燃料ガスは、例えばバーナーユニット151に供給されて燃焼される。
【0059】
(停止動作)
また、運転を停止する場合には、制御装置は原燃料の供給を停止して純水181の供給のみを継続するとともに、バーナーユニット151の燃焼を停止する。供給される純水181により、上述した起動時の水蒸気のパージと同様、水蒸気が流通されてパージされる。この水蒸気の流通により、各部位は迅速に冷却される。
そして、水蒸気が凝縮する温度になる前に純水181の供給を停止する。この後、パージした水蒸気が凝縮して内圧が外気圧より低下する前に、脱硫処理後の原燃料を再び供給し、水蒸気を原燃料でパージし、運転が停止される。
【0060】
(緊急停止動作)
一方、例えば電力トラブルなど制御装置が制御できない状態となって緊急停止する場合では、電磁弁などにより原燃料の供給が自動的に遮断されるとともに、純水181の供給も停止されることとなる。そして、バーナーユニット151の燃焼も停止する。
この状態では、熱交換装置160の経路中の純水181、特に液体の状態である純水滞留部846および純水流路845の純水181の流動が停止する。このため、純水181は、周囲の余熱により直ちに水蒸気となる。この生成する水蒸気は、体積が同質量の液相の純水181に比して極めて大きいので、流路全体で残留する原料ガスは水蒸気でパージされ、コーキングは防止される。なお、水蒸気の凝縮により流路内が大気圧より負圧とならないように、最終的に原燃料や不活性ガスなどを充填する構成を設けておくとよい。
【0061】
[燃料電池システムの作用効果]
上述したように、上記一実施形態の改質ユニット400では、バーナーユニット151から生じる燃焼ガスの略全量を流通させる熱処理手段820が設けられているので、例えば、起動時において、燃焼ガスより温度が低いCO変成器810とCO選択酸化器830とを加熱するために燃焼ガスを利用することができる。この起動時には、改質処理用の水が供給されていないため、ボイラ650で温度低下せずに高温のままの燃焼ガスが熱処理手段820を流通し、燃焼ガスより温度が低いCO変成器810とCO選択酸化器830とを加熱することができる。このため、電気ヒーターを必要とせず簡素な構成とすることができ、改質ユニット400の小型化や製造コストを低減することができる。さらに、電気ヒーターを用いないため、一次エネルギー換算でのエネルギー消費を抑えることもできる。
また、定常運転中においては、燃焼ガスより温度が高いCO変成器810を冷却するために燃焼ガスを利用することができるため、触媒の冷却むらを少なく温度制御することができる。この定常運転中は、改質処理用の水が供給されているため、ボイラ650で温度低下した燃焼ガスが熱処理手段820を流通し、燃焼ガスより温度が高いCO変成器810とCO選択酸化器830とを冷却することができる。また、CO変成器810からCO選択酸化器830への熱輻射によるCO変成器810での過度の温度低下やCO選択酸化器830での過熱などの不都合も抑制できる。このため、CO変成器810とCO選択酸化器830との間に燃焼ガスの略全量を流通させる熱処理手段820を設けた簡素な構造で、CO変成器810およびCO選択酸化器830を適切な温度に調整できる。
したがって、改質ユニット400は、起動時・運転時において、燃焼ガスを熱媒体として有効に利用することができ、エネルギー消費を抑えてランニングコストを削減したり、熱の有効利用により起動時間を短縮したりすることができる。
【0062】
さらに、熱処理手段820に輻射防止板821を設けている。
このため、簡素な構造で、運転時にCO変成器810からCO選択酸化器830への輻射熱を低減させることができ、CO変成器810の過度な温度低下を抑制でき、エネルギー効率を向上できる。
【0063】
また、輻射防止板821は、略筒状に形成され、燃焼ガスの流路中にCO変成層813およびCO選択酸化層833との間を区画する状態に配設されている。
このため、簡素な構造の輻射防止板821を用いることで、CO変成器810からCO選択酸化器830へ伝わる輻射熱は、輻射防止板を介して伝わることになるため、その量を低減することができる。
【0064】
そして、輻射防止板821が連結支持部材807で支持され、上端に適量の空間を設けている
このため、輻射防止板821は温度変化に伴う膨張収縮を自在に行え、変形することがない。
【0065】
また、第一CO除去部材801が改質ユニット400の外部に露出している。
このため、第一CO除去部材801を改質ユニット400の筐体として利用することができる。このため、改質ユニット400の構造をより簡素なものとすることができ、小型化や製造性の向上が容易に得られ、製造コストも低減できる。
【0066】
さらに、第四CO除去部材804の内周面に沿って排ガスクーラー840の純水流路845を純水181が流通する構成としている。
このため、この流通する純水181を第三CO除去部材803の内周面および第四CO除去部材804の外周面間に区画されたCO選択酸化器830の冷却水として利用することができる。このため、簡素な構造でCO選択酸化器830をより均一に冷却することができ、CO選択酸化器の触媒の性能を発揮させることができるとともに、製造コストおよびランニングコストを削減できる。
【0067】
また、本実施形態の燃料電池システムでは、改質ユニット400で生成した改質ガスと、ブロワーなどから供給される酸素含有気体である空気とにより、燃料電池にて発電する。
このことにより、効率よく安定して発電できる小型の燃料電池システム100の構成を提供でき、家庭用として利用することが容易にでき、利用の拡大が容易に得られる。
【0068】
[変形例]
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
【0069】
すなわち、本発明の改質ユニット400としては、上述したように、燃料電池システム100に利用する形態で説明したが、燃料電池システム100に利用する例えば水素ガス製造装置などとして、適用してもよい。
また、ユニット構成としては、上述したように、水蒸気混合器140、熱交換装置160、改質器620、CO変成器810、CO選択酸化器830の全てを組み込む構成に限られない。例えば、CO除去部800は、改質部600と別体としたり、CO変成器810やCO選択酸化器830をそれぞれ別体構成としたりするなど、各構成を適宜組み合わせたユニット構成としてもよい。なお、上述した改質ユニット400の一体構成とすることは、熱効率の点で有効である。
さらに、CO変成器810およびCO選択酸化器830を同軸の多層構造に構成したが、上下方向に構成とするなどしてもよい。なお、小型化の点で、上述した同軸の多層構造に構成とすることで、小型化の点で有効である。
また、CO選択酸化器830を設けて説明したが、例えば、CO選択酸化器830に代えて、改質ガス中に残留するCOをメタネーションするメタネーション器を設けてもよい。
【0070】
そして、純水181を貯留する純水滞留部846を排ガスクーラー840に設けて説明したが、純水滞留部846は、熱交換装置160の最上流側で液相の水が存在する位置にあればよいもので、例えば、排ガスクーラー840のない改質ユニットの場合は、CO除去部水冷手段850の上流側等に設けてもよい。
また、純水滞留部846を二重管構造に設ける構成に限らず、例えば部分的に径が太い管を純水流路845としたときの径が太い部分を純水滞留部846とするなどしてもよい。
【0071】
さらに、純水滞留部846の容積としては、純水181および水蒸気が流通する全経路における水蒸気が充填される空間部分の容積と同じ体積の水蒸気を発生できる容積として説明したが、他の領域、例えばCO選択酸化冷却管852などの水蒸気混合器140までの純水181の流路に流れる純水181から発生する水蒸気分も考慮した容積に設定してもよい。
すなわち、家庭用の燃料電池システム100の場合には、水蒸気が1〜2L程度で水蒸気パージでき、この程度の水蒸気を得るための純水181は数mLでよい。
そして、純水滞留部846の内面が湾曲する形状としているが、流速等との関係で、脈流が防止される形状であれば、段差部分を湾曲に形成しなくてもよい。
【0072】
また、水蒸気のパージ後、水蒸気が凝縮して大気圧より負圧となる状態で気相の原燃料を供給してパージする構成を例示したが、例えば電磁弁などを用いて、負圧が維持されるようにしてもよい。
さらに、負圧対策として、例えば運転時に別途燃料ガスを貯溜しておき、負圧となるときに燃料ガスを供給するなど、各種負圧対策を実施してもよい。
【0073】
そして、CO変成器810およびCO選択酸化器830として、CO変成区画板811およびCO選択酸化区画板831を設けて、CO変成反応領域813およびCO選択酸化反応領域833の上下に空間を形成したが、例えばCO変成区画板811およびCO選択酸化区画板831を設けず、空間部分にアルミナやシリカやムライトなど、熱や水分、改質ガスに対して安定なセラミックスである各種無機酸化物の球体や粒状物などを充填して改質ガスが拡散、収束されるようにしてもよい。なお、このような場合には、水蒸気パージによる凝縮の水滴が触媒に付着しない容積分の空隙を有するように設計することが好ましい。
【0074】
さらに、熱処理手段820は、輻射防止板821を供えているが、これに限らない。なお、輻射防止板821を備える構成では、簡素な構造で輻射熱を低減する点で有効である。
そして、輻射防止板821は、筒状に形成されているが、これに限らない。なお、この構成では、簡素な構造で輻射熱を低減する点で有効である。
また、輻射防止板821の端部に間隔を介して連結支持部材807が設けられているが、これに限らない。なお、この構成では、輻射防止板821の変形防止の点において有効である。
【0075】
また、熱交換装置160として、ボイラ650、排ガスクーラー840にて構成したが、この構成に限らず、これらのいずれか1つもしくは組み合わせとしてもよい。
さらに、ガス熱交換部640を設けなくてもよい。
【0076】
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、灯油などの液体燃料や液化石油ガスなどの気体燃料など、炭化水素燃料を含有する原料ガスを用いて、改質触媒中でバーナーによる加熱で水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質処理に利用できる。特に、燃料電池システムの燃料電池の発電に利用する水素ガスの製造に利用できる。
【符号の説明】
【0078】
100…燃料電池システム
200…燃料電池スタック
800…CO除去部
801…第一CO除去部材
802…第二CO除去部材
803…第三CO除去部材
804…第四CO除去部材
807…連結支持部材
810…CO変成器
813…CO変成層としてのCO変性反応領域
820…熱処理手段
821…輻射防止板
830…CO選択酸化器
833…CO選択酸化層としてのCO選択酸化反応領域
840…排ガスクーラー
845…純水流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素燃料を含有し水蒸気が混合された原料ガスを、燃焼器により加熱した改質触媒と接触させて水素ガス(H2)を主成分とする改質ガスを生成する改質器と、この改質器で生成した前記改質ガスが供給され前記改質ガス中の一酸化炭素(CO)をCO変成触媒により二酸化炭素(CO2)に変成するCO変成器と、このCO変成器で処理された前記改質ガスが供給され前記改質ガス中に残留するCOをCO選択酸化触媒によりCO2に酸化させるCO選択酸化器またはCOをメタネーションさせるメタネーション器と、を備えた改質ユニットであって、
筒状の第一筒部材と、
この第一筒部材の内径より外径が径小の筒状で、前記第一筒部材の内周側に同軸上に配置された第二筒部材と、
この第二筒部材の内径より外径が径小の筒状で、前記第二筒部材の内周側に同軸上に配置された第三筒部材と、を有し、
前記第一筒部材の内周面および前記第二筒部材の外周面間と、前記第三筒部材の内周側とのいずれか一方に前記CO変成触媒が充填されたCO変性層が区画され、いずれか他方に前記CO選択酸化触媒またはメタネーション触媒が充填されたCO選択酸化層またはメタネーション層が区画され、前記第二筒部材の内周面および前記第三筒部材の外周面間に、前記燃焼器から生じる燃焼ガスの略全量を流通させる熱処理手段が設けられた
ことを特徴とした改質ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の改質ユニットにおいて、
前記熱処理手段は、前記CO変成層から前記CO選択酸化層または前記メタネーション層への熱輻射を抑制する輻射防止板を備えた
ことを特徴とした改質ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の改質ユニットにおいて、
前記輻射防止板は、略筒状に形成され、前記燃焼ガスの流路中に前記CO変成層と前記CO選択酸化層または前記メタネーション層との間を区画する状態に配設された
ことを特徴とした改質ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の改質ユニットにおいて、
前記輻射防止板の軸方向の端部を、所定の間隙を介して保持する保持具が設けられた
ことを特徴とした改質ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の改質ユニットにおいて、
前記第三筒部材の内径より外径が小径の筒状で、前記第三筒部材の内周側に同軸上に配置された第四筒部材を設け、
前記第一筒部材の内周面および前記第二筒部材の外周面間に前記CO変成層が区画され、
前記第三筒部材の内周面および前記第四筒部材の外周面間に前記CO選択酸化層または前記メタネーション層が区画され、
前記第四筒部材の内周面側に前記水蒸気の原料となる水と前記燃焼ガスとを流通させて熱交換させる熱交換手段が設けられ、
前記第四筒部材の内周面に沿って前記熱交換手段を流通する前記水が流通される
ことを特徴とした改質ユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の改質ユニットと、
酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、
前記改質ユニットで生成された前記改質ガスおよび前記酸素含有気体供給手段により供給される前記酸素含有気体を利用して発電する燃料電池と、を具備した
ことを特徴とした燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−136868(P2011−136868A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298206(P2009−298206)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】