説明

放射線検出回路、放射線検出器および放射線検査装置

【課題】 低コストの放射線検出回路、放射線検出器および放射線検査装置を提供する。
【解決手段】 放射線検出回路10は、2つの検出素子D1、D2が接続された差動増幅器11と、波形整形回路12と、コンスタントフラクション・ディスクリミネーター(CFD)13と、極性弁別器14と、検出データ生成回路15等から構成される。放射線検出回路10は、2つの検出素子D1、D2からのガンマ線の入射に起因する検出信号を差動増幅器11に供給する。放射線検出回路10は、一方の検出素子D1からの検出信号の極性を正、他方の検出素子D2からの検出信号の極性を負として、下流側を1系統とし、検出データ生成回路15がこの極性に応じてガンマ線が入射した検出素子D1、D2を識別し、検出素子番号とガンマ線の入射時刻データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出回路、放射線検出器および放射線検査装置に関し、特に、被検体内にある放射性同位元素からのガンマ線を検出する放射線検出回路、放射線検出器および放射線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の精密情報が得られる装置としてポジトロン断層撮影(PET)装置がある。PET装置を用いた診断方法は、まず、ポジトロン(陽電子)核種で標識された検査用薬剤を、注射や吸入等により被検体の体内に導入する。体内に導入された検査用薬剤は、検査用薬剤に応じた機能を有する特定の部位に蓄積される。例えば、糖類の検査用薬剤を用いた場合、ガン細胞等の新陳代謝の盛んな部位に選択的に蓄積される。このとき、検査用薬剤のポジトロン核種から陽電子が放出され、放出された陽電子と周囲の電子とが結合して消滅する際に2つのガンマ線が互いに約180度の方向に放出される。そこで、この2つのガンマ線を被検体の周りに配置したガンマ線検出器により同時検出し、コンピュータ等で処理することにより被検体における放射性同位元素の分布画像データを取得する。精密診断装置として用いられるCTスキャン(コンピュータ断層撮影)装置が体内の病変等の構造情報が得られるのに対し、PET装置は、被検体の体内の機能情報が得られるため、様々な難病の病理解明が可能である。
【0003】
ポジトロン核種から互いに約180度の方向に放出される2つのガンマ線の放射は無指向性であるため、検出効率を向上し検査時間を短縮するため、ガンマ線検出器は被検体を360度囲むように配置される。
【0004】
また、ガンマ線検出器へのガンマ線の入射位置に基づいて、被検体内の陽電子が消滅した位置を特定するので、入射位置を精確に検出できることが望ましい。入射位置を精確に検出するためには、シンチレータとフォトマルチプライアとのセルや半導体検出素子等のガンマ線検出素子の小型化すればよい。さらに小型化に合わせて多数のガンマ線検出素子が必要になる(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
ガンマ線検出素子の各々には、ガンマ線検出素子からの検出信号を増幅する前置増幅器や、波形整形回路、増幅された検出信号からガンマ線の入射時刻を決定するためのタイムピックオフ回路からなる検出回路が接続される。
【特許文献1】特開平11−344568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前置増幅器やその後段の波形整形回路等は、ガンマ線検出素子の数に応じて必要になる。そのため、ガンマ線検出素子を増やすほど、前置増幅器やその後段の波形整形回路等を増加する必要がある。その結果、検出回路が搭載されるICチップの回路構成が煩雑となり、ICチップのコストが増大する。ひいては、PET装置のコストが増大する。特に被検体が人体の場合はガンマ線検出素子が莫大な数になり、PET装置のコストも大幅に増大するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、低コストの放射線検出器および放射線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、ガンマ線を検出する検出素子が接続される放射線検出回路であって、2つの検出素子が電気的に接続され、検出素子の各々から供給される検出信号の差動増幅信号を出力する差動増幅器と、前記差動増幅信号の各々の極性の信号成分に基づいて、ガンマ線が入射した検出素子を識別すると共にガンマ線の入射時刻を測定する検出データ生成部とを備えることを特徴とする放射線検出回路が提供される。
【0009】
本発明によれば、放射線検出回路の入力部である一つの差動増幅器に2つの検出素子が接続され、2つの検出素子の各々から供給される検出信号が処理される。差動増幅信号の各々の極性の信号成分に基づいて、ガンマ線が入射した検出素子が識別されると共に、ガンマ線が入射した入射時刻が測定される。したがって、本発明は、従来の各検出素子毎に増幅器を設けた放射線検出回路と比較して増幅器の数を半減できる。その結果、低コストの放射線検出回路が実現できる。また、検出素子当たりの検出回路の回路素子数を低減でき、多数の検出回路を設ける場合に回路の煩雑さが軽減される。なお、検出データ生成部により測定されるガンマ線の入射時刻は、ガンマ線が検出素子に実際に入射した時刻に所定の時間を加えた時刻でもよく、さらにガンマ線の実際の入射時刻が推定された時刻でもよい。
【0010】
前記検出データ生成部は、前記差動増幅信号の極性を検出し、その極性を示す極性弁別信号を出力する極性弁別器と、前記差動増幅信号の各々の極性の信号成分からガンマ線の入射事象を検出し、検出パルスを生成する入射タイミング検出回路と、前記極性弁別信号により検出素子を識別すると共に、前記検出パルスによりガンマ線の入射時刻を決定する検出データ生成回路と、を有する構成としてもよい。放射線検出回路をこのような構成とすることで、2つの検出素子のうちいずれの検出素子にガンマ線が入射したかを識別でき、検出素子の情報とガンマ線の入射時刻の情報とを出力することができる。
【0011】
本発明の他の観点によれば、ガンマ線を検出する検出素子と、上記いずれかの放射線検出回路とを備える放射線検出器であって、前記2つの検出素子は、互いに離隔して配置されることを特徴とする放射線検出器が提供される。
【0012】
本発明によれば、放射線検出器は上記の放射線検出回路と同様の効果を有する。さらに本発明の放射線検出器は、互いに離隔して配置された2つの検出素子が、放射線検出回路の一つの差動増幅器に接続されるので、一つのガンマ線が同時にこれらの2つの検出素子に入射することがない。したがって、本発明の放射線検出器は、2つの検出素子から供給された検出信号同士が互いに打ち消し合うことを回避できるため、入射したガンマ線を確実に検出できる。
【0013】
本発明のその他の観点によれば、ガンマ線を検出する検出素子と、上記いずれかの放射線検出回路とを備える放射線検出器であって、前記2つの検出素子は、互いに干渉しないことを特徴とする放射線検出器が提供される。
【0014】
本発明によれば、放射線検出器は上記の放射線検出回路と同様の効果を有する。さらに本発明の放射線検出器は、互いに干渉しない2つの検出素子が、放射線検出回路の一つの差動増幅器に接続されるので、2つの検出素子から供給された検出信号同士が互いに打ち消し合うことを回避できる。したがって、本発明の放射線検出器は入射したガンマ線を確実に検出できる。なお、「互いに干渉しない2つの検出素子」とは、一つのガンマ線の入射により2つの検出素子の各々に同時に検出信号が誘起されないよう状態の2つの検出素子をいう。このような2つの検出素子としては、互いに離隔して配置されている2つの検出素子や、下記の場合のように互い隣接しない2つの信号取出電極が一つの差動増幅器に接続される一つの検出素子の場合も含まれる。
【0015】
前記検出素子は、一の端面をガンマ線が入射する入射面とする板状の半導体結晶体と、前記半導体結晶体の厚さ方向に直交する第1の主面および第2の主面の各々にバイアス電圧が印加される第1の電極部および第2の電極部と、を有し、前記第1の電極部は、第1の面を略覆う金属膜からなり、前記第2の電極部は、第2の面に入射面に沿って略等間隔で配列された複数の検出信号取出電極からなり、前記検出信号取出電極が前記差動増幅器に電気的に接続されてなる構成としてもよい。このような構成にすることで、増幅器の数を低減し、放射線検出回路の回路素子数を低減することで、検出素子に近接して放射線検出回路を設けることができる。ひいては、半導体検出素子を密に配列することができるので、放射線検出器の検出効率および空間分解能の向上を図れる。さらに放射線検出器の小型化も図れる。
【0016】
また、前記第2の電極部はn個の検出信号取出電極を有し、前記n個の検出信号取出電極のうち、互いに隣接しない2つの検出信号取出電極が一つの前記差動増幅器に電気的に接続されてなる構成としてもよい。ただしnは3以上の整数である。このように互いに隣接しない2つの検出信号取出電極を一つの前記差動増幅器に電気的に接続することで、一方の検出信号取出電極に近接する入射面に入射したガンマ線が、他方の検出信号取出電極に影響を与えることを回避できる。 本発明のその他の観点によれば、放射性同位元素を含む被検体の周囲に該被検体を囲むように配置され、該放射性同位元素から発生するガンマ線を検出する、上記いずれかの放射線検出器を有する検出手段と、前記検出手段から取得した検出データに基づいて前記放射性同位元素の被検体内における分布情報を取得する情報処理手段と、を備える放射線検査装置が提供される。
【0017】
本発明によれば、上記の放射線検出器を備えているので低コストの放射線検査装置が実現できる。さらに、放射線検出器の検出効率および空間分解能に優れる高性能な放射線検査装置が実現できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2つの検出素子を差動増幅器に接続することで、前置増幅器の数を低減でき、さらに、検出回路を構成する他の回路素子も低減できる。したがって、低コストの放射線検出回路、放射線検出器および放射線検査装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図面を参照しつつ実施の形態を説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出回路のブロック図である。なお、図1は検出素子を合わせて示している。
【0021】
図1を参照するに、第1の実施の形態に係る放射線検出回路10は、2つの検出素子D1、D2が接続された差動増幅器11と、波形整形回路12と、コンスタントフラクション・ディスクリミネーター13(以下、「CFD」と称する。)と、極性弁別器14と、検出データ生成回路15等から構成される。
【0022】
放射線検出回路10は2つの検出素子D1、D2が電気的に接続され、2つの検出素子D1、D2の各々からガンマ線の入射に起因する検出信号が供給される。2つの検出素子D1、D2は、互いに干渉しないよう配置されていることが好ましい。上述したように、「互いに干渉しない」とは、一つのガンマ線の入射により2つの検出素子の各々に同時に検出信号が誘起されない配置の場合をいう。このような場合としては、2つの検出素子D1、D2が離隔して配置されている場合や、後に示す図6の半導体検出素子で検出信号取出し用の電極のうち、互いに隣接しない2つの電極に接続される場合である。この具体的な態様については、第2の実施の形態において詳述する。
【0023】
また、検出素子D1、D2は、シンチレータとフォトマルチプライアの組み合わせでもよく、半導体検出素子でもよい。
【0024】
差動増幅器11は、非反転入力端子に一方の検出素子D1が接続され、反転入力端子に他方の検出素子D2が接続される。また、差動増幅器11の出力側は、並列接続された抵抗およびキャパシタを介して、非反転入力端子および反転入力端子の各々に接続されている。差動増幅器11は、一方の検出素子D1からの検出信号を極性をそのままにして増幅し、他方の検出素子D2からの検出信号を極性を反転して増幅する。検出素子D1、D2の各々からの検出信号が時間的に近接し、互いに重なる場合については図3において説明する。
【0025】
波形整形回路12は、差動増幅器11から受けた検出信号を処理し易い波形に整形する。波形整形回路12は、例えば、抵抗およびキャパシタからなる受動フィルタや、これにオペアンプを加えた能動フィルタから構成される。波形整形回路12は、その構成に特に制限はなく、ハイパスフィルタ、あるいはローパスフィルタ、あるいはハイパスフィルタとローパスフィルタの組み合わせからなる。ハイパスフィルタおよびローパスフィルタの次数は適宜選択されが、回路製作が容易な点では、1次〜5次の範囲に設定されることが好ましい。
【0026】
CFD13は、波形整形回路12からの検出信号に基づいてガンマ線の入射時刻から所定の時間後に検出パルスを出力する。
【0027】
図2は、CFDの一例を示すブロック図である。図2を図1と合わせて参照するに、CFD13は、波形整形回路12の出力信号を分圧する抵抗R1、R2と、波形整形回路12の出力信号を所定の時間だけ遅延する遅延回路21と、差動増幅器22と、ゼロクロス検出回路23等からなる。
【0028】
CFD13は、波形整形回路12の出力信号を分圧して波高値(例えば元の波高値の1/5の波高値)が低下した信号を差動増幅器22の反転入力端子に供給する。一方、CFD13は、波形整形回路12の出力信号を、所定の時間だけ遅延し差動増幅器22の非反転入力端子に供給する。差動増幅器22は、その出力信号が、波形整形回路12の出力信号の立上がりの波高値にはほとんど依存しない所定の時間(立上がり開始からの時間)にゼロクロス点が生じる。そのゼロクロス点をゼロクロス検出回路23が検出し、検出したタイミングに合わせて検出パルスを検出データ生成回路15に出力する。
【0029】
なお、CFD13の代わりに公知のタイムピックオフ回路(検出素子D1、D2にガンマ線が入射した事象のタイミングを検出する回路)を用いてもよい。タイムピックオフ回路としては、コンスタントフラクション回路や、波形整形回路12の出力信号の立上がり開始時刻を検出するリーディングエッジタイミング回路が挙げられる。
【0030】
図1に戻り、極性弁別器14は、波形整形回路12の出力信号の極性を検出しその極性を示す極性弁別信号を出力する。極性弁別器14は、例えば、波形整形回路12の出力信号の極性が正の場合は“High”、負の場合は“Low”の極性弁別信号を出力する。
【0031】
検出データ生成回路15は、CFD13からの検出パルスを受けた時刻を測定し入射時刻データとする。具体的には、検出データ生成回路15は、図示を省略するが、クロック回路、カウンタ回路、ラッチ回路等を有する。カウンタ回路は、クロック回路から所定の周波数のクロック信号を受け、クロック信号に基づいて時刻データを生成する。そして、カウンタ回路は検出パルスを受けた時点の時刻データをラッチ回路に記録する。時刻データは、ビット数に特に制限はないが、例えば48ビットで、最下位の1ビットが例えば30n〜100n秒程度の時間幅に相当するように設定される。
【0032】
また、検出データ生成回路15は、極性弁別信号の“High”または“Low”により、いずれの検出素子D1、D2にガンマ線が入射したのかを識別し、検出素子D1、D2の各々に割り当てられた検出素子番号を記録する。そして、検出データ生成回路15は、検出素子番号と入射時刻データとを検出データとして情報処理部に出力する。情報処理部では、同時計数処理およびポジトロン核種RIの位置の画像データを再生成する処理等を行う。情報処理部については第2の実施の形態において説明する。
【0033】
図3(A)〜(F)は図1に示す放射線検出回路の動作を説明するための図である。図3(A)〜(F)を、図1および図2と合わせて参照しつつ放射線検出回路の動作を説明する。
【0034】
図3(A)に示すように、ガンマ線γ1、γ2が2つの検出素子D1、D2の各々に異なる時刻に入射したとする。入射したガンマ線は光電変換により検出素子D1、D2には検出信号が生じる。ここでは、検出信号は正極性であるとする。
【0035】
図3(B)に示すように、差動増幅器の出力は、実線で示すように検出素子D1からの検出信号が正極性で、検出素子D2からの検出信号が負極性となる。また、参考のため破線で示すように、検出素子D1からの検出信号のテイル部は次の検出素子D2からの検出信号と重なっている。特に検出素子にCdTeを用いた場合、検出素子D1、D2の各々からの検出信号のテイル部はゆっくりと減衰するため、一方の検出素子D1に続けて2つのガンマ線が入射した場合は、同極性の2つの検出信号が重なる、いわゆるパイルアップ現象が生じる。差動増幅器11は、パイルアップ現象が生じると飽和し易くなり、検出信号からCFD13においてゼロクロス点が得られなくなる。すなわち、ガンマ線の入射時刻の決定ができなくなる。
【0036】
しかし、放射線検出回路10では、一方の検出素子D1にガンマ線γ1が入射して、続いて他方の検出素子D2にガンマ線γ2が入射すると、差動増幅器12では逆極性の検出信号がたし合わされるので、パイルアップ現象を抑制できる。そうすると、それぞれの検出信号に基づいてガンマ線の入射時刻の決定ができる。
【0037】
図3(C)に示すように、波形整形回路12の出力は、例えば2つのピークの各々がシャープにすなわちピーク幅が狭くなる。すなわち、2つのピークが互いに分離されるようになる。
【0038】
図3(D)に示すように、CFD13の出力は、波形整形回路12の各々のピークに対応する検出パルスが出力される。なお、2つの検出パルスは、ガンマ線の入射時刻に対して、後から入射した検出素子D2に由来する検出パルスが時間的に後方にシフトする傾向がある。しかし、検出パルスの時刻を決定する時刻データの時間幅は30n秒〜100n秒程度あり、このシフト時間は時刻データの時間幅よりも小さいため支障にはならない。
【0039】
また、図3(E)に示すように、極性弁別器14の出力は、図3(C)に示す波形整形回路12の出力の波高値の極性に対応して、検出素子D1からの検出信号に対応する時間では“High”に、検出素子D2からの検出信号に対応する時間では“Low”になる。
【0040】
図3(F)に示すように、検出データ生成回路15の出力は、図3(E)の極性弁別器14の出力の極性に対応する検出素子番号と、図3(D)に示すCFD13の出力信号に対応する入射時刻データからなる検出データが順次出力される。このようにして、放射線検出回路10は、一つの差動増幅器11に接続された2つの検出素子D1、D2に入射したガンマ線γ1、γ2の入射時刻データを検出素子と対応付けて情報処理部に出力する。
【0041】
本実施の形態によれば、一つの放射線検出回路10の差動増幅器11に2つの検出素子D1、D2が接続されるので、従来の各検出素子毎に前置増幅器を設けた放射線検出回路と比較して前置増幅器の数を半減できる。したがって、低コストの放射線検出回路が実現できる。
【0042】
さらに、本実施の形態によれば、2つの検出素子D1、D2からの2系統の検出信号を一系統の波形整形回路12およびCFD13により処理するので、従来の各検出素子毎に放射線検出回路を設けた場合と比較して、検出素子1個当たりに必要な放射線検出回路の回路素子数を低減できる。したがって、いっそう低コストの放射線検出回路が実現できる。
【0043】
なお、放射線検出回路10の全体あるいはその大部分はICチップ(第2の実施の形態の図8に示す。)、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)に搭載される。このようなICチップは、差動増幅器11や波形整形回路12のようなアナログ回路と、検出データ生成回路15のようなデジタル回路が混載される。かかる混載ICチップについては、アナログ回路の設計が設計用のCADの不整備等の理由で比較的難しい。またアナログ回路は雑音に弱いため特別の雑音設計が必要となる。しかし、放射線検出回路10は、検出素子1個当たりの増幅器(差動増幅器)の数が半減されているので、ICチップの回路設計が容易になる。また、ICチップ上でのアナログ回路とデジタル回路とを分離するためのスペースが確保できるため、雑音対策がし易くなる。
【0044】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るPET装置の構成を示すブロック図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0045】
図4を参照するに、PET装置30は、被検体Sの周囲に配置され、ガンマ線を検出する検出器311〜314と、検出器311〜314からの検出データを処理し、得られた被検体Sの体内のポジトロン核種RIの位置の画像データを再生成する情報処理部35と、画像データを表示等する表示部36と、被検体Sや検出器311〜314の移動等の制御を行う制御部37と、情報処理部35や制御部37に指示を送る端末や画像データを出力するプリンタ等からなる入力部38等から構成される。
【0046】
検出器311〜314は、予め被検体Sにポジトロン核種RIで標識化された検査用薬剤を導入し、被検体Sから放出されるガンマ線γa、γbを検出する。検出器311〜314は、各々、半導体検出素子41と放射線検出回路10とが設けられた複数の検出基板34からなる。半導体検出素子41は被検体Sに面するように配置され、ポジトロン核種RIからの陽電子の消滅の際に同時に発生する2つのガンマ線γa、γbを検出する。2つのガンマ線γa、γbは、互いに略180度をなして放出されるので、被検体Sを挟んで対向する検出器31の半導体検出素子41に入射する。ガンマ線γa、γbが入射した2つの半導体検出素子41の各々は、ガンマ線γa、γbの光電変換により生じる電気信号(検出信号)を放射線検出回路10に送出する。
【0047】
放射線検出回路10は、第1の実施の形態において説明したように、検出信号から、ガンマ線γa、γbが入射した半導体検出素子41の電極を識別すると共に、入射時刻を測定する。そして、放射線検出回路10は、入射時刻と、ガンマ線γa、γbを検出した半導体検出素子41の電極番号(さらには半導体検出素子番号)を検出データとして情報処理部35に送出する。なお、放射線検出回路10は第1の実施の形態に係る放射線検出回路と同様に構成されている。
【0048】
情報処理部35では、検出データに基づいてコインシデンス検出および画像再生成アルゴリズムによる画像データの再生成を行う。コインシデンス検出は、入射時刻が略一致する2つ以上の検出データがある場合、それらの検出データを有効と判定し、コインシデンス情報とする。また、コインシデンス検出は、ガンマ線入射時刻が一致しない検出データを無効と判定し破棄する。そしてコインシデンス情報と、コインシデンス情報に含まれる電極番号や半導体検出素子番号と、これに対応する半導体検出素子41の位置情報等から所定の画像再生成アルゴリズム(例えば、期待値最大化(Expectation Maximization)法)に基づいて画像データを再生成する。表示部36は、入出力部38の要求に応じて再生成された画像データを表示する。
【0049】
以上の構成および動作により、PET装置30は、被検体Sの体内に選択的に位置するポジトロン核種RIからのガンマ線を検出し、ポジトロン核種RIの分布状態の画像データを再生成する。次に半導体検出素子の具体例を説明する。
【0050】
図5は、検出器を構成する第1例の半導体検出素子の斜視図である。図5を参照するに、第1例の半導体検出素子41は、薄板状の半導体結晶体42と、厚さ方向(X軸方向)に直交する面の各々に形成された電極43、441〜446からなる。半導体検出素子41は、半導体結晶体42の端面(X−Z面)の一方がガンマ線の入射面41aとなっている。なお、ガンマ線は、略Y方向に入射するとする。
【0051】
半導体結晶体42は、その材料としては、例えば、エネルギーが511keVのガンマ線に有感なテルル化カドミウム(CdTe)、Cd1-xZnxTe(CZT)、臭化タリウム(TlBr)などが挙げられる。CdTeは漏れ電流を低減する点でCl(塩素)をドープしたものでもよい。半導体結晶体42は、例えば、厚さ(X軸方向)が約0.5mm、奥行き(Y軸方向)が約10mm、幅(Z軸方向)が約10mm程度の寸法を有する。半導体結晶体42は幅が長いほど、ガンマ線の入射面21aの面積が広がるので好ましいが、製造容易性等の製造上の都合により5mm〜30mmの範囲に設定されることが好ましい。
【0052】
電極43は、半導体結晶体42の厚さ方向(X軸方向)に直交する一つの面を略覆う金属膜からなる。半導体結晶体42がCdTeからなる場合で、正極のバイアス電圧Vbを印加する設定のときは、電極43をInとする。これにより電極43とCdTeとの間にショットキー接合を形成する。バイアス電圧Vbは、直流電圧で例えば60V〜1000Vに設定する。
【0053】
電極441〜446は、電極43が設けられた面と対向する面に設けられる。電極441〜446は、ストライプ状であり、厚さ(X軸方向)が約1mm、奥行き(Y軸方向)が半導体結晶体42の奥行き(Y軸方向)と略同等の長さ、幅(Z軸方向)が約0.3mmの幅を有する。また、電極441〜446のZ軸方向の間隔L1は、約0.5mm程度に設定される。間隔L1および幅は、小さいほど、ガンマ線の検出位置精度が向上し、その結果検出器の空間分解能が向上するが、間隔L1は0.25mm〜1.5mmの範囲に設定されることが好ましい。
【0054】
また、電極441〜446はガンマ線の入射により生じた検出信号を取出すための電極である。各々の電極441〜446は、放射線検出回路(図6において詳述する。)に接続される。このように電極441〜446をZ軸方向に配置することで、半導体結晶体42の入射面41aに入射したガンマ線のZ軸方向の位置が特定される。すなわち、半導体結晶体42中に入射したガンマ線γbは光電変換によりそのエネルギーに応じた数の電子正孔対(電荷)を形成する。そして、半導体結晶体42には、電極441〜446に対して電極43が正電圧となるようにバイアス電圧Vbが印加されている。このバイアス電圧Vbよる電界によって、電子は電極43に移動し、正孔は入射位置にもっとも近接した電極441〜446のいずれかに移動し検出信号として取出される。例えば、図3に示すように、ガンマ線γbが電極442付近に入射した場合は、電極442から検出信号が取出される。検出信号は放射線検出回路に送出され、ガンマ線γbの入射時刻と共に、電極442が位置情報として検出データになる。なお、ガンマ線γbが、例えば電極442と電極443との間付近の入射面41aに入射した場合は、電極442および電極443の両方に検出信号が現れる。この場合は、図4に示す情報処理部35により、電極442と電極443との間に入射したもの、あるいは、電極442および電極443のうち、検出信号の出力値が高い方の電極に入射したものとして処理される。
【0055】
図6は、第2の実施の形態に係るPET装置の検出器のブロック図である。図6は、一つの半導体検出素子41と放射線検出回路10を示している。半導体検出素子41に設けられた6個の電極441〜446に対して3個の放射線検出回路10が接続されるが、説明の便宜のため、差動増幅器112、113に接続される放射線検出回路10を省略して示している。
【0056】
図6を参照するに、検出器31は、半導体検出素子41と、放射線検出回路10からなる。半導体検出素子41は、図5に示す半導体検出素子と同様の構成を有し、検出信号取出用として6個の電極441〜446を有している。放射線検出回路10は、図1に示す放射線検出回路10と同様の構成を有する。
【0057】
半導体検出素子41と放射線検出回路10は以下のように接続されている。すなわち、一つの差動増幅器111〜113の非反転入力端子、反転入力端子の各々には、互いに隣接しない電極が接続される。例えば、半導体検出素子41の電極441と、電極442および電極443を挟んで位置する電極444とが各々、差動増幅器111の非反転入力端子、反転入力端子に接続される。さらに、電極442と、電極445とが各々、差動増幅器112の非反転入力端子、反転入力端子に接続され、電極443と、電極446とが各々、差動増幅器113の非反転入力端子、反転入力端子に接続される。なお、上述した電極の組み合わせの例は一例であり、互いに隣接しない2つの電極の他の組み合わせでもよいことはいうまでもない。
【0058】
このように互いに隣接しない2つの電極441〜446を一つの差動増幅器111〜113に接続することで、一つのガンマ線の入射により差動増幅器111〜113の非反転入力端子および反転入力端子に同時に検出信号が入力されて差動増幅器111〜113により検出信号が互いに打ち消されることを回避する。したがって、検出器31はガンマ線の入射を確実に検出できる。
【0059】
さらに、かかる電極441〜446と放射線検出回路10の差動増幅器との接続は、電極441〜446が6個のみならず、n個(nは3以上の整数)の場合に適用できる。
【0060】
さらに、半導体検出素子41と差動増幅器111〜113との接続は、図6に示す態様に限定されず、例えば、一つの差動増幅器に異なる半導体検出素子の一つの電極をそれぞれ接続してもよい。なお、第1例の半導体検出素子の代わりに次に説明する第2例の半導体検出素子を用いてもよい。
【0061】
図7は、第2例の半導体検出素子の斜視図である。第2例の半導体検出素子は、正電圧のバイアスを印加する電極側から検出信号を取出す場合である。なお、半導体検出素子と座標軸との関係を図6と同様に設定する。
【0062】
図7を参照するに、第2例の半導体検出素子46は、薄板状の半導体結晶体42と、厚さ方向(X軸方向)に直交する面の各々に形成された電極431〜436、44からなる。半導体結晶体47は、図5に示す半導体結晶体42と同様の材料からなる。
【0063】
半導体結晶体47は、電極431〜436側の面には、Y軸方向に沿って凹部47aが形成されている。隣接する凹部47aと凹部47aとの間の半導体結晶体47の表面(凸部の表面)には電極431〜436が形成されている。Z軸方向の電極431〜436の間隔L2は約0.5mm程度に設定される。間隔L2は小さいほどガンマ線の検出位置精度が向上し、その結果、検出器31の空間分解能が向上するが、0.25mm〜1.5mmの範囲に設定されることが好ましい。
【0064】
また、半導体結晶体47は、図3に示す半導体結晶42とほぼ同じ大きさを有する。凹部47aが設けられている部分の厚さ(凹部47aの底面から対向する面までの距離)は、0.2mm〜0.9mmの範囲に設定することが好ましい。
【0065】
電極431〜436はInからなり、正電圧のバイアス電圧Vbが抵抗を介して接続されると共に放射線検出回路に接続される。
【0066】
電極44は、半導体結晶体42の一面を略覆うように設けられた、例えばPtからなる金属膜である。電極44は接地されるかあるいは負電圧電源と接続される。
【0067】
第2例の半導体検出素子46は、第1例の半導体検出素子と同様の機能を有する。さらに、第2例の半導体検出素子46は、電極431〜436間に凹部47aを設けることで、ガンマ線の入射により発生した電子を第1例の半導体検出素子の正孔の場合よりも一つの電極に集中させることができる。したがって、第2例の半導体検出素子46は、第1例の半導体検出素子の場合よりも検出信号がより大きな電荷量あるいは出力電圧を有するようになる。したがって、検出信号のS/N比が向上し、例えば入射時刻がより精確に決定できるようになる。
【0068】
第2例の半導体検出素子46は、第1例の半導体検出素子と同様の効果、すなわち、半導体検出素子の一単位の小型化を図れる。さらに、第2例の半導体検出素子46は、第1例の半導体検出素子よりも検出信号のS/N比を向上できる。
【0069】
なお、図5に示す電極441〜446および図7に示す電極431〜436では、電極が6本の場合を示しているが、6本に限定されず、2本〜5本でもよく、7本以上、例えば10本あるいは20本でもよい。その際、差動増幅器には互いに隣接しない電極が接続される。
【0070】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るPET装置の検出器の要部断面図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0071】
図8を参照するに、検出器31は、検出基板34がX軸方向に積層されて構成される。検出基板34は、半導体検出素子41と、ICチップ51、配線基板52等からなる。半導体検出素子41は、図5に示す第1例の半導体検出素子41である。
【0072】
検出基板34は、配線基板52の先端部52a上に半導体検出素子41が設けられている。さらに、検出基板34は、半導体検出素子41の基部側にICチップ51が設けられる。
【0073】
配線基板52は、例えば、単板のセラミック基板や、多層セラミック基板、多層プリント配線板(例えば、ガラス布エポキシ樹脂積層板やガラス布ポリイミド樹脂積層板)からなる。配線基板52には、半導体検出素子41を接合あるいはワイヤボンディングをするための電極パッド53、56と、ICチップ51を接合するための電極パッド58と、配線(不図示)が設けられている。
【0074】
半導体検出素子41は、電極441〜446が電極パッド53に接合部54を介して接合され、電気的に接続される。また、電極43は導電線55により電極パッド56に電気的に接続されている。
【0075】
ICチップ51は、図示されないが、図6に示す検出回路31が搭載されている。ICチップ51は、配線基板51の電極パッド58と、例えばはんだバンプにより接合される。ICチップ51は、半導体検出素子41と配線基板51の配線(不図示)を介して電気的に接続される。この接続は、図6に示す差動増幅器111〜113と、半導体検出素子41の各電極441〜446とが、図6で示したのと同様の接続態様である。
【0076】
このように、半導体検出素子41と放射線検出回路を搭載したICチップ51とにより検出基板34を構成することで、半導体検出素子41の入射面41aの面積を維持しつつ検出器31の小型化を図ることができる。また、ICチップ51の高さを半導体検出素子41の高さとほぼ同等あるいはそれ以下にしてもよく、検出基板34のX軸方向の厚さを低減してもよい。このようにしてさらに検出基板34をX軸方向に密に積層することで、検出基板34間のデッドスペースを低減しガンマ線の検出効率を向上できる。またこれと同時に検出器31の空間分解能を向上できる。
【0077】
なお、詳細な図示は省略するが、例えば、図8に示す2つのICチップを一つにして、ICチップの放射線検出回路の一つの差動増幅器に、一方の検出基板34の半導体検出素子41の電極441〜446の一つと、他方の検出基板34の半導体検出素子41の電極441〜446の一つをそれぞれ接続してもよい。
【0078】
さらに、一つの差動増幅器に接続する半導体検出素子41の電極を図4に示す互いに異なる検出器311〜312、例えば検出器311と検出器312から選択した半導体検出素子の電極を接続してもよい。ただし、この場合、2つの半導体検出素子の入射面を結んだ仮想線が被検体Sを切らないように半導体検出素子を選択することが好ましい。このようにすることで同時に発生した一対のガンマ線の各々が、選択された2つの半導体検出素子に同時に入射して、このガンマ線の入射事象が検出不能となることを回避する。
【0079】
また、図8では第1例の半導体検出素子41を用いた例を挙げたが、第1例の半導体検出素子の代わりに第2例の半導体検出素子を用いてもよい。この場合、第2例の半導体検出素子は、図7に示す電極431〜436と配線基板52の電極パッド53とを接合することが好ましい。また、図8では、2枚の検出基板34を示したが、一つの検出器に設けられる検出基板34の数は特に限定されない。
【0080】
本実施の形態によれば、放射線回路10は、第1の実施の形態に係る放射線検出回路と同様の効果(低コスト)を有する。したがって、検出器31およびPET装置30の低コスト化を図ることができる。さらに、検出素子として半導体検出素子41、46を用いて、放射線検出回路をICチップ51に搭載することで、検出基板34の薄板化が可能である。これにより、検出基板34を密に積層して検出器31の検出効率および空間分解能の向上を図れ、小型化も図れる。
【0081】
以上本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上述した第2の実施の形態では、PET装置を例に説明したが、本発明は、SPECT(単一光子放射形コンピュータ断層撮影)装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出回路のブロック図である。
【図2】コンスタントフラクション・ディスクリミネーターのブロック図である。
【図3】(A)〜(F)は、図1に示す放射線検出回路の動作を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るPET装置の構成を模式的に示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係るPET装置の検出器を構成する第1例の半導体検出素子の斜視図である。
【図6】第2の実施の形態に係るPET装置の検出器のブロック図である。
【図7】第2例の半導体検出素子の斜視図である。
【図8】検出器の要部断面図である。
【符号の説明】
【0083】
10 放射線検出回路
11 差動増幅器
12 波形整形回路
13 コンスタントフラクション・ディスクリミネーター(CFD)
14 極性弁別器
15 検出データ生成回路
21 遅延回路
22 差動増幅器
23 ゼロクロス検出回路
31、311〜314 検出器
34 検出基板
35 情報処理部
36 表示部
37 制御部
38 入出力部
41、46 半導体検出素子
42、47 半導体結晶体
43、431〜436、44、441〜446 電極
51 ICチップ
52 配線基板
53、56、58 電極パッド
1、D2 検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガンマ線を検出する検出素子が接続される放射線検出回路であって、
2つの検出素子が電気的に接続され、検出素子の各々から供給される検出信号の差動増幅信号を出力する差動増幅器と、
前記差動増幅信号の各々の極性の信号成分に基づいて、ガンマ線が入射した検出素子を識別すると共にガンマ線の入射時刻を測定する検出データ生成部とを備えることを特徴とする放射線検出回路。
【請求項2】
前記検出データ生成部は、
前記差動増幅信号の極性を検出し、その極性を示す極性弁別信号を出力する極性弁別器と、
前記差動増幅信号の各々の極性の信号成分からガンマ線の入射事象を検出し、検出パルスを生成する入射タイミング検出回路と、
前記極性弁別信号により検出素子を識別すると共に、前記検出パルスによりガンマ線の入射時刻を決定する検出データ生成回路と、を有することを特徴とする請求項1記載の放射線検出回路。
【請求項3】
ガンマ線を検出する検出素子と、請求項1または2の放射線検出回路とを備える放射線検出器であって、
前記2つの検出素子は、互いに離隔して配置されることを特徴とする放射線検出器。
【請求項4】
ガンマ線を検出する検出素子と、請求項1または2の放射線検出回路とを備える放射線検出器であって、
前記2つの検出素子は、互いに干渉しないことを特徴とする放射線検出器。
【請求項5】
前記検出素子は、
一の端面をガンマ線が入射する入射面とする板状の半導体結晶体と、
前記半導体結晶体の厚さ方向に直交する第1の主面および第2の主面の各々にバイアス電圧が印加される第1の電極部および第2の電極部と、を有し、
前記第1の電極部は、第1の面を略覆う金属膜からなり、
前記第2の電極部は、第2の面に入射面に沿って略等間隔で配列された複数の検出信号取出電極からなり、
前記検出信号取出電極が前記差動増幅器に電気的に接続されてなることを特徴とする請求項3または4記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記第2の電極部は、第2の面が略平坦であり、隣接する検出信号取出電極が離隔して配置されてなることを特徴とする請求項5記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記第2の電極部は、第2の面が入射面に沿って略等間隔に設けられた複数の凹部を有し、隣接する凹部間に検出信号取出電極が設けられてなることを特徴とする請求項5記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記第2の電極部はn個の検出信号取出電極を有し、
前記n個の検出信号取出電極のうち、互いに隣接しない2つの検出信号取出電極が一つの前記差動増幅器に電気的に接続されてなることを特徴とする請求項5〜7のうち、いずれか一項記載の放射線検出器(nは3以上の整数である)。
【請求項9】
放射性同位元素を含む被検体の周囲に該被検体を囲むように配置され、該放射性同位元素から発生するガンマ線を検出する、請求項3〜8のうち、いずれか一項記載の放射線検出器を有する検出手段と、
前記検出手段から取得した検出データに基づいて前記放射性同位元素の被検体内における分布情報を取得する情報処理手段と、を備える放射線検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−300551(P2006−300551A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118523(P2005−118523)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】