説明

放送受信装置

【課題】受信状態の良否に応じて放送信号の増幅率を調整することができる放送受信装置を提供する。
【解決手段】デジタル放送波を受信し、放送信号として後段回路に伝送する受信部と、該放送信号を増幅する増幅部と、前記受信状態の良否を判断する判断部と、該判断の結果に応じて前記増幅における増幅率を調整する増幅率調整部と、を備えた放送受信装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送波を受信する放送受信装置に関し、特に、放送信号を増幅させるものに関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の発展やデジタル放送の一般化に伴い、携帯型のデジタル放送受信装置(以下、単に「放送受信装置」と称す)の開発も進んでいる。例えば特許文献1によると、受信状況の良否を検出するとともに、この検出結果に応じてアンテナの向きの調整等を行うものが開示されている。
【0003】
また放送受信装置においては、放送局からの距離や放送波に対する障害物の有無などによって、受信状態の良否が大きく異なる。特に放送受信装置が、移動体端末に組み込まれているような場合には、装置自身の移動に伴って受信状態が刻々と変化することも多い。
【0004】
その一方で放送受信装置では、受信したデジタル放送信号に対する復調処理(スライスによる2値化処理など)を行うにあたり、放送信号の振幅レベルが小さ過ぎると適切に処理がなされない虞がある。そこで通常、受信された放送信号はアンプによって増幅され、復調処理が適切になされるように配慮されている。
【特許文献1】特開2001−359003号公報
【特許文献2】特開昭64−32503
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先述の通り、放送受信装置における受信状況の良否は種々の要因によって変動するため、受信状態が悪い場合(特に電界強度が小さくなる場合)も想定される。このような場合は、通常よりも放送信号の振幅が小さくなり、適切な復調処理などが妨げられるおそれがある。ただしかかる場合であっても、放送信号の増幅率が十分に大きく設定されていれば、このような不具合を回避できる可能性が高い。
【0006】
しかし一般的に放送信号の増幅処理においては、その増幅率を大きくする程、消費される電力も増大する。そのため増幅率が常に大きく設定されているものでは、受信状況が比較的良好な場合(放送信号の増幅率が比較的小さくても復調処理が可能)であっても大きな電力が消費されることとなる。このような事態は電力の無駄に繋がり、特に移動体端末のように省電力化が重要である場合には、大きな問題である。
【0007】
つまり増幅率(受信品質)の向上と省電力化とはトレードオフの関係にあるため、増幅率は、受信状態の良否に応じて極力過不足の無いように設定されることが好ましい。そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、受信状態の良否に応じて放送信号の増幅率を調整し得る、放送受信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る放送受信装置は、デジタル放送の放送波を受信し、放送信号として後段回路に伝送する受信部と、該放送信号を増幅する増幅部と、前記受信状態の良否を判断する判断部と、該判断の結果に応じて前記増幅における増幅率を調整する増幅率調整部と、を備えた構成(第1の構成)としている。
【0009】
本構成によれば、受信状態の良否(例えば放送波における電界強度の強弱)に応じて、放送信号の増幅率を調整させることが可能となる。そのため、受信状態が良い場合には、増幅率を比較的小さくすることで省電力を重視し、逆に受信状態が良くない場合には、増幅率を比較的大きくすることで信号の品質確保を重視するといったことが容易となる。
【0010】
また上記第1の構成において、前記判断部は、前記増幅された放送信号の振幅状態が所定の基準水準より大きいか否かを検出し、該検出結果に基づいて、前記受信状態の良否を判断する構成(第2の構成)としてもよい。
【0011】
一般に放送信号の受信状態が良い場合は、放送波の電界強度は比較的高いことから、受信される放送信号の振幅も大きいと推察される。また逆に受信状態が悪い場合は、放送信号の振幅は小さいと推察される。そのため本構成によれば、受信状態の良否を判断することが可能となる。
【0012】
また本構成では、増幅された放送信号の振幅状態が基準水準より大きいか否かにより受信状態の良否を判断する。そのため、例えば増幅後の放送信号に復調などの処理を施す場合、この処理が適切になされるか否かの境界を基準水準とすることにより、当該処理の可否に対応して受信状態の良否を判断することが可能となる。
【0013】
また上記第2の構成において、前記増幅された放送信号を復調し、該復調により得られた情報に基づいて、映像または音響の出力を行うものであるとともに、該映像または音響の品質は、前記増幅率が大きいほど向上するものであって、前記基準水準は、該映像または音響の品質が、所定水準となるときの前記振幅状態として定められている構成(第3の構成)としてもよい。
【0014】
本構成によれば、放送内容についての映像出力または音響出力(両方を出力する場合も含む)を行うことが可能である。そして基準水準は、映像または音響の品質が所定水準となるときの振幅状態として定められているため、映像または音響の品質を所定水準以上に維持することが可能となる。なお所定水準としては、例えば、ユーザが不快感を抱かずに視聴できる範囲の下限とすればよい。
【0015】
また上記第2または第3の構成において、前記増幅率調整部は、前記振幅状態が前記基準水準より小さいときに、前記増幅率を大きくするように前記調整を行う構成(第4の構成)としてもよい。
【0016】
本構成によれば、受信状態の悪化により振幅状態が基準水準より小さくなっても、振幅状態が基準水準以上となるように調整される。そのため、振幅状態が基準水準以上となるように維持される必要がある場合に、かかる要求に応えることが可能となる。
【0017】
また上記第2または第3の構成において、前記増幅率調整部は、互いに前記増幅率の異なる複数のモードのうちの何れかが適用されて、前記調整を行うものであるとともに、前記振幅状態が前記基準水準より大きくなる範囲であって前記増幅率が最も小さい前記モードを探索し、該モードを前記増幅率調整部に適用する、最適化処理を行う構成(第5の構成)としてもよい。
【0018】
本構成によれば、最適化処理により、放送信号の振幅状態を一定以上に確保しつつも、増幅処理に係る消費電力を極力抑えることが可能となる。
【0019】
また上記第5の構成において、前記最適化処理は、前記増幅率調整部に、前記モードを前記増幅率の小さいものから順に仮適用する第1処理と、該仮適用のなされた各状態について、前記検出を実行する第2処理と、前記第2処理において前記振幅状態が前記基準水準より大きいと判断された段階で、前記仮採用のなされているモードを、前記増幅率調整部に適用する第3処理と、を含む構成(第6の構成)としてもよい。
【0020】
本構成によれば、最適化処理の実行にあたり、現状に対して増幅率が大き過ぎるモードについては、第2処理を省略することが可能となる。そのため、最適化処理を効率よく実行することが可能となる。
【0021】
また内部装置への電源供給のON/OFF、または前記放送信号におけるチャンネルの切替がなされる、上記第5または第6の構成に係る放送受信装置であって、前記最適化処理は、少なくとも、前記電源供給がONに切替わったとき、または前記チャンネルの切替がなされたときに行われる構成(第7の構成)としてもよい。
【0022】
電源供給がONに切替わったとき、またはチャンネルの切替がなされたときは、受信状態が大きく変動する可能性が高いと考えられる。しかし本構成によれば、このように受信状態が変動した場合であっても、最適化処理により増幅率が適切に調整される。
【0023】
また上記第1から第7の何れかの構成において、前記増幅率の調整を、外部からの指示に基づいて実行させることが可能である構成(第8の構成)としてもよい。
【0024】
本構成によれば、例えば何らかの都合により、増幅率をある特定の値に調整したい場合であっても、外部からそのようにする旨の指示を与えることにより、かかる要求に応えることができる。
【0025】
また上記第8の構成において、前記受信状態の良否に応じた表示を行う表示部を設けた構成(第9の構成)としてもよい。本構成によれば、ユーザが受信状態の良否を参照しながら、増幅率を調整するための指示を与えることが可能となる。
【0026】
また上記第1から第9の何れかの構成に係る放送受信装置を備えた構成(第10の構成)の移動体端末であれば、デジタル放送を受信可能であるとともに、上記の何れかの構成に係る利益を享受することができる。
【発明の効果】
【0027】
上述したように本発明に係る放送受信装置によれば、受信状態の良否に応じて、放送信号の増幅率を調整させることが可能となる。そのため、受信状態が良い場合には、増幅率を比較的小さくすることで省電力を重視し、逆に受信状態が良くない場合には、増幅率を比較的大きくすることで信号の品質確保を重視するといったことが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施形態として、図1に示す構成のデジタル放送受信装置(放送受信装置)を挙げて、以下に説明する。本図のように放送受信装置1は、アンテナ11、RF回路12、放送信号処理部13、出力部14、電源部15、増幅率調整部16、制御部17、および操作部18などを備えている。また放送受信装置1は、例えば移動体端末(携帯電話など)に備えられて使用される。
【0029】
アンテナ11は、デジタル放送に係る放送局からの放送波を受信して、これを放送信号として後段の回路に伝送する。
【0030】
RF回路12は、アンテナ11側から伝送される放送信号に対して、増幅処理や中間周波数信号への変換処理などを行い、後段の放送信号処理部13に伝送する。RF回路12の詳細な構成について、図2を参照しながら説明する。本図のようにRF回路12は、RF可変増幅回路21、ミキサー回路22、および局部発振回路23などを備えている。
【0031】
かかる構成により、放送信号はRF可変増幅回路21で増幅された後、ミキサー回路22において局部発振回路23からの局部発振信号と加算されることで、中間周波数信号に変換される。またRF可変増幅回路21は、後述する増幅率設定情報を受けるようになっており、この情報に応じて放送信号の増幅における増幅率(以下、単に「増幅率」と称する)が変動するものとなっている。
【0032】
より具体的には、増幅率が最も高い状態である「モードA」、その次に増幅率が高い状態である「モードB」、および増幅率が最も低い状態である「モードC」の3個の処理モードが用意されており、これらのうちの何れかが設定される。なお以下、モードCからモードAに近づく(増幅率が上がる)ほど、「ランクが上がる」と表現する。
【0033】
そしてこれらのモードが切替えられることにより増幅率が変動する。なおミキサー回路22および局部発振回路23も同じく増幅率設定情報を受けるようになっており、この情報に応じた適切な処理を行う。これにより、RF可変増幅回路21における増幅率が変動しても、中間周波数信号の生成に支障が生じないようになっている。
【0034】
なおRF回路12は、電源部15から供給される電力により作動する。そして増幅率を大きくするほど、増幅に必要な電力は増大するため、RF回路12を作動させるために必要な消費電力は増大する。そのためRF回路12では、増幅率が大きくなるほど(モードCからモードAとなるにつれて)、消費電力も大きくなる一方、逆に増幅率が小さくなるほど(モードAからモードCとなるにつれて)、消費電力は小さく抑えられようになっている。消費電力が小さく抑えられるほど、放送内容の視聴可能時間を延ばすことが可能となる。
【0035】
図1に戻り、放送信号処理部13は、RF回路12から入力される中間周波数信号を復調し、ベースバンド信号に変換する。これにより、デジタル放送に係る情報が取得される。なお復調は、スライス処理(入力波形とスライスレベルとの比較結果により、2値化信号を得る)などを通じて行われる。そのため放送波の受信状態が悪く、その振幅が小さい場合には、これを補う程度に十分に放送信号が増幅されていない限り、復調処理においてエラーが多発するおそれがある。また放送信号処理部13は、RF回路12で増幅された放送信号の振幅を監視しており、その結果を振幅情報として、継続的に増幅率調整部16へ伝送する。
【0036】
出力部14は、例えば音響発生装置(スピーカ)や映像表示装置(ディスプレイ)などからなり、上述した復調により得られた情報に基づいて、放送内容(映像および音響)を出力する。そのため復調の安定性が良い程(例えば、エラーの発生頻度が小さい程)、映像および音響の品質は向上する。
【0037】
また電源部15は、充電池などから構成されており、放送受信装置1内部の各装置に電力を供給する。なおこの電力供給は、操作部18を通じて、自在にON/OFFが切替えられるものとなっている。
【0038】
増幅率調整部16は、所定の振幅判断を実行し、この検出に基づいて先述した増幅率設定情報を生成して、RF回路12に伝送する。なお振幅判断や増幅率設定情報の生成過程については、改めて説明する。
【0039】
制御部17は、放送受信装置1内でなされる各処理を制御する。また操作部18は、例えばボタンスイッチやリモコン信号受信部等を備えており、ユーザが放送受信装置1に各種指示を与えるためのインターフェースとして機能する。この各種指示は、電源部15による電源供給のON/OFFの切替、後述する増幅率調整処理における自動/手動の切替、手動選択時における増幅率の設定、受信チャンネルの切替などを含む。
【0040】
以上に説明した構成により、放送受信装置1は、デジタル放送の放送波を受信し、さらに放送信号に増幅・復調処理を施して、放送内容に係る映像や音響を出力させることが可能となっている。また放送波の受信中などに、受信状態の良否に応じて、放送信号に対する増幅率を調整する処理(増幅率調整処理)を行うことが可能となっている。次にこの増幅率調整処理の内容について説明する。
【0041】
増幅率調整処理の流れを図3に示す。まず制御部17は、操作部18において、増幅率調整処理が自動あるいは手動の何れで行われるように設定されているかを判断する(ステップS11)。そして手動で行われるように設定されている場合は(ステップS11の手動)、ユーザが、増幅率の調整を自在に実行できるようにする。
【0042】
より具体的には、操作部18を通じてユーザによって指示されている処理モード(あるいは増幅率)を検出し、この検出結果を増幅率調整部16に伝える。そして増幅率調整部16は、この結果に基づいて増幅率設定情報を生成し、RF回路12に伝える。RF回路12では、この増幅率設定情報に基づいて、ユーザの指示に対応した処理モードが設定される(ステップS12)。
【0043】
一方、ステップS11の処理において、自動で行われるように設定されている場合は(ステップS11の自動)、受信状態の良否に応じて、増幅率が自動的に設定されるようにする。
【0044】
より具体的には、まず増幅率調整部16は、放送信号処理部13から受取った振幅情報に基づいて、放送信号(RF回路12により増幅処理のなされたもの)の振幅状態が、所定の基準水準より大きいかどうかの判断(以下、「振幅判断」と称する)を行う。この判断は、例えば直近の所定時間内に、この放送信号が基準値よりも大きかった時が存在するかどうかの検出(存在する場合は、基準水準より大きいとみなす)を通じて実現されうる。
【0045】
なおこの基準水準は、出力される映像および音響の品質が、所定水準(例えば、ユーザが不快感を抱かずに視聴できる範囲の下限)となるときの放送信号の振幅状態として予め定められたものである。そのため、放送信号の振幅状態が基準水準より小さい場合は、映像および音響の品質は悪く、逆に大きい場合は、映像および音響の品質は良くなる。
【0046】
ステップS13の処理の結果、基準水準より小さいと判断されたときは、現状より処理モードを1ランク上げるように増幅率設定情報を生成し、RF回路12に伝送する。RF回路12はこの増幅率設定情報を受けて、処理モードを更新する(ステップS14)。その後、再度ステップS11の処理に戻る。
【0047】
またステップS13の処理の結果、基準水準より大きいと判断されたときは、次に最適化処理を実行すべきタイミングが到来しているか否かを判断する(ステップS15)。そして到来していないと判断されたときは、ステップS11の処理に戻る一方、到来していると判断されたときは、最適化処理を実行(ステップS16)した後にステップS11の処理に戻る。
【0048】
ここで最適化処理について説明する。最適化処理は、現時点での受信状態に対して最適となる処理モードを探索し、設定するための処理である。つまり放送信号が一定以上の(基準水準より大きい)振幅状態となる程度に増幅率を確保しつつ、RF回路12での消費電力を極力小さくすることができる処理モードの適用を実現するものである。この最適化処理の流れについて、図4を参照しながら以下に説明する。
【0049】
まずRF回路12に、増幅率が最低である処理モード(ここではモードC)を仮適用(試験的に適用)する(ステップS21)。そしてこの状態で、先述した振幅判断を実行する(ステップS22)。その結果、放送信号の振幅が基準水準より小さいと判断された場合は、更に増幅率を大きくする必要があると考えられる。そこで現状より1ランク上げた処理モードを仮適用することとし(ステップS23)、再度ステップS22の処理を実行する。
【0050】
また一方、ステップS22の処理において、放送信号の振幅が基準水準より大きいと判断された場合は、その段階で仮設定されている処理モードを正式な処理モードとして設定し(ステップS24)、一連の最適化処理を終了する。以上に説明した最適化処理により、現在における受信状態の良否に応じて最も適切な処理モードが適用されることとなる。例えば、現状の受信状態ではモードBまたはモードA(ただし省電力の点でモードBに劣る)で対応可能である場合、モードCやモードAが適用されてしまう状況を回避することができる。
【0051】
なお最適化処理の手法としては、上述したものの他、増幅率が最も大きい処理モードから順に振幅判断を実行するようにしてもよい。また例えば、全ての処理モードを仮適用するとともにその各々について振幅判断を実行し、その結果に基づいて、放送信号の振幅状態が基準水準より大きかった範囲内で増幅率が最小であった処理モードを検知し、正式に適用するものとしても良い。
【0052】
また最適化処理を実行するタイミングとしては、例えば所定の時間間隔とするなど、種々の態様が採用され得る。なお、電源部15による電源供給をONに切替えた時や、受信チャンネルを切替えた時には、これまでとは受信状態が大きく変化している可能性が高いと考えられる。そのため、少なくともこれらの時には、最適化処理を実行するようにしておくのが好ましい。
【0053】
また放送受信装置1においては、デジタル放送の受信状態の良否を表示してユーザに知らせるための表示装置を備えておくことが好ましい。このようにしておけば、手動による増幅率の調整(ステップS12)を、かかる表示を参照しながら実行することが可能となり、利便性が向上する。
【0054】
また本実施形態では、最適化処理(比較的処理負担が大きいと考えられる)が頻繁に実行されることによる処理負担の増大を避けるため、ステップS13〜S15の処理(比較的処理負担が小さいと考えられる)については、恒常的に実行することで信号品質を極力確保することとしながらも、最適化処理については、所定のタイミングの到来時にのみ実行するようにしている。しかし最適化処理を恒常的に実行するものとしても構わず、この場合は、ステップS13〜S15の処理を省略しても、本実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0055】
以上までに説明した通り、本実施形態の放送受信装置は、デジタル放送波を受信し、放送信号として後段回路に伝送するアンテナ11等と、この放送信号を増幅するRF回路12と、受信状態の良否を判断し、該判断の結果に応じて増幅率を調整する増幅率調整部16等を備えている。そのため、受信状態の良否に応じて、放送信号の増幅率を調整させることが可能となっている。
【0056】
なお本実施形態では、受信状態の良否は、RF回路12で増幅された放送信号の振幅状態に基づいて判断されているが、増幅される前の放送信号の振幅状態に基づくものとしても良く、またその他の手法を採用してもよい。例えば、放送信号の復調処理における安定性(エラーの発生頻度の高低)を監視しておき、この安定性が所定の基準水準よりも良いか否かを検出することにより、受信状態の良否を判断するようにしてもよい。またユーザによる放送内容の視聴が可能な程度に映像・音響の出力がなされているかを検出することで、受信状態の良否を判断するようにしてもよい。
【0057】
また本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、移動体デジタル放送受信装置などの分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係る、放送受信装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、RF回路の構成図である。
【図3】増幅率調整処理に関する流れ図である。
【図4】最適化処理に関する流れ図である。
【符号の説明】
【0060】
11 アンテナ
12 RF回路(増幅部)
13 信号処理部(復調部)
14 出力部
15 電源部
16 増幅率調整部
17 制御部
18 操作部
21 RF可変増幅回路
22 ミキサー回路
23 局部発振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送の放送波を受信し、放送信号として後段回路に伝送する受信部と、
該放送信号を増幅する増幅部と、
前記受信状態の良否を判断する判断部と、
該判断の結果に応じて前記増幅における増幅率を調整する増幅率調整部と、
を備えたことを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記判断部は、
前記増幅された放送信号の振幅状態が所定の基準水準より大きいか否かを検出し、該検出結果に基づいて、前記受信状態の良否を判断することを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記増幅された放送信号を復調し、該復調により得られた情報に基づいて、映像または音響の出力を行うものであるとともに、該映像または音響の品質は、前記増幅率が大きいほど向上するものであって、
前記基準水準は、
該映像または音響の品質が、所定水準となるときの前記振幅状態として定められていることを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記増幅率調整部は、
前記振幅状態が前記基準水準より小さいときに、前記増幅率を大きくするように前記調整を行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記増幅率調整部は、互いに前記増幅率の異なる複数のモードのうちの何れかが適用されて、前記調整を行うものであるとともに、
前記振幅状態が前記基準水準より大きくなる範囲であって前記増幅率が最も小さい前記モードを探索し、該モードを前記増幅率調整部に適用する、最適化処理を行うことを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記最適化処理は、
前記増幅率調整部に、前記モードを前記増幅率の小さいものから順に仮適用する第1処理と、
該仮適用のなされた各状態について、前記検出を実行する第2処理と、
前記第2処理において前記振幅状態が前記基準水準より大きいと判断された段階で、前記仮採用のなされているモードを、前記増幅率調整部に適用する第3処理と、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の放送受信装置。
【請求項7】
内部装置への電源供給のON/OFF、または前記放送信号におけるチャンネルの切替がなされる請求項5または請求項6に記載の放送受信装置であって、
前記最適化処理は、
少なくとも、前記電源供給がONに切替わったとき、または前記チャンネルの切替がなされたときに行われることを特徴とする放送受信装置。
【請求項8】
前記増幅率の調整を、外部からの指示に基づいて実行させることが可能であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の放送受信装置。
【請求項9】
前記受信状態の良否に応じた表示を行う表示部を設けたことを特徴とする請求項8に記載の放送受信装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れかに記載の放送受信装置を備えたことを特徴とする移動体端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−199430(P2008−199430A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34227(P2007−34227)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】