放電ランプ点灯装置及び照明器具、照明システム
【課題】製造コストを抑えつつケースの小型化と回路部品の熱による劣化を抑制する。
【解決手段】複数の発熱部品60がそれぞれねじ62によって第1結合片80にねじ止めされることにより、これら複数の発熱部品60と第1結合片80とが熱的に結合される。一方、第2結合片81が被伝熱部品61の天面と接触することにより、第2結合片81と被伝熱部品61とが熱的に結合される。故に、発熱部品60で生じる熱が結合部材8によって被伝熱部品61に伝導(伝熱)されるため、発熱に伴う発熱部品60の温度上昇を抑えることができ、その結果、製造コストを抑えつつケース7の小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することができる。
【解決手段】複数の発熱部品60がそれぞれねじ62によって第1結合片80にねじ止めされることにより、これら複数の発熱部品60と第1結合片80とが熱的に結合される。一方、第2結合片81が被伝熱部品61の天面と接触することにより、第2結合片81と被伝熱部品61とが熱的に結合される。故に、発熱部品60で生じる熱が結合部材8によって被伝熱部品61に伝導(伝熱)されるため、発熱に伴う発熱部品60の温度上昇を抑えることができ、その結果、製造コストを抑えつつケース7の小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプを点灯するための放電ランプ点灯装置及び、放電ランプ点灯装置を用いた照明器具、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプを点灯するための安定器には、鉄心に銅線が巻設されてなる銅鉄型安定器の他に、半導体スイッチング素子を用いた電子安定器がある。この種の電子安定器(放電ランプ点灯装置)は、半導体スイッチング素子を含む回路部品がプリント配線板に実装され、当該プリント配線板が金属製のケースに収納されて構成されている(例えば、特許文献1,2参照)。また、特許文献1,2記載の従来例においては、放熱板や熱伝導度が高い樹脂を介して半導体スイッチング素子などの能動部品が発する熱をケースに伝導させて放熱させる構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−67930号公報
【特許文献2】特開2007−180012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では電子安定器の小型化に伴ってケースの表面積も縮小されてきており、上述のように回路部品の発する熱がケースに伝導される放熱構造の場合、ケースの放熱能力が低下してケースの表面温度が上昇する傾向にある。ここで、電子安定器(ケース)の表面温度には上限値(例えば、蛍光灯安定器においては135℃以下)が規定されており、上述のようにケースの小型化に伴う放熱能力の低下によって、ケースの表面温度が前記上限値を超えてしまう虞がある。なお、特許文献2記載の従来例では、ケースの表面に放熱フィンが設けられることで小型化に伴う放熱能力の低下を補っているが、放熱フィンが設けられることでケースの製造コストが上昇するという問題や、ケースの小型化が阻害されるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、製造コストを抑えつつケースの小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放電ランプ点灯装置は、回路部品が実装されたプリント配線板が相対的に熱伝導性のよいケース内に収納されてなる放電ランプ点灯装置において、前記回路部品のうちで相対的に発熱量の多い回路部品と、相対的に発熱量の少ない回路部品又は前記ケースとを熱的に結合させる結合部材を備えることを特徴とする。
【0007】
この放電ランプ点灯装置において、前記相対的に発熱量の少ない回路部品が受動部品であることが好ましい。
【0008】
この放電ランプ点灯装置において、前記相対的に発熱量の少ない回路部品が機構部品であることが好ましい。
【0009】
この放電ランプ点灯装置において、前記結合部材が金属製であることが好ましい。
【0010】
この放電ランプ点灯装置において、前記結合部材から前記相対的に発熱量の少ない回路部品への伝熱経路に、弾性を有する熱伝導性樹脂材が設けられることが好ましい。
【0011】
この放電ランプ点灯装置において、前記熱伝導性樹脂材は、前記相対的に発熱量の少ない回路部品と前記結合部材の間に挿入されることが好ましい。
【0012】
この放電ランプ点灯装置において、熱伝導性を有する熱伝導性充填材が前記ケース内に充填されることが好ましい。
【0013】
この放電ランプ点灯装置において、前記ケースは、前記熱伝導性充填材との間に空気層が形成されるとともに、当該空気層を介して前記熱伝導性充填材と熱的に結合される前記結合部材が設けられることが好ましい。
【0014】
本発明の照明器具は、請求項1〜8の何れかの放電ランプ点灯装置と、当該放電ランプ点灯装置並びに放電ランプを保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の照明システムは、請求項9の照明器具を備えて点灯制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の放電ランプ点灯装置及び照明器具、照明システムは、製造コストを抑えつつケースの小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る放電ランプ点灯装置の実施形態1を示し、(a)はケース蓋を外した状態の平面図、(b)は断面図である。
【図2】同上の回路構成図である。
【図3】同上の動作説明用の波形図である。
【図4】同上の断面図である。
【図5】本発明に係る放電ランプ点灯装置の実施形態2を示す断面図である。
【図6】同上の別の構成を示す断面図である。
【図7】本発明に係る放電ランプ点灯装置の実施形態3を示す断面図である。
【図8】同上の別の構成を示す断面図である。
【図9】同上のさらに別の構成を示す断面図である。
【図10】同上の別の回路構成図である。
【図11】同上のさらに別の回路構成図である。
【図12】同上のさらにまた別の回路構成図である。
【図13】(a)〜(c)は本発明に係る照明器具の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、メタルハライドランプや高輝度放電ランプ(HIDランプ)などの高圧放電ランプを点灯する点灯装置(電子安定器)に本発明の技術思想を適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明の技術思想が適用可能な放電ランプ点灯装置は、高圧放電ランプ用のものに限定されず、例えば、蛍光ランプなどの低圧放電ランプや無電極放電ランプなどの高圧放電ランプ以外の放電ランプを点灯する点灯装置全般に適用可能である。
【0019】
(実施形態1)
本実施形態の放電ランプ点灯装置Aの回路構成を図2に示す。本実施形態の放電ランプ点灯装置Aは、ダイオードブリッジDBと、昇圧チョッパ回路1と、降圧チョッパ回路2と、共振回路3と、昇圧チョッパ制御回路4と、降圧チョッパ制御回路5とを備えている。商用交流電源100から供給される交流電力がダイオードブリッジDBで全波整流されて昇圧チョッパ回路1に入力される。昇圧チョッパ回路1は、電界効果トランジスタからなるスイッチング素子Q1と、チョークコイルCH1と、ダイオードD1と、平滑コンデンサC2とを有し、ダイオードブリッジDBから入力される脈流電圧を所望の直流電圧に昇圧することで力率を改善するものである。但し、昇圧チョッパ回路1については従来周知であるから、回路構成及び動作についての詳細な説明は省略する。
【0020】
降圧チョッパ回路2は、電界効果トランジスタからなる4つのスイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q5と、チョークコイルCH2と、コンデンサC4とを有している。2つのスイッチング素子Q2,Q3の直列回路と、残り2つのスイッチング素子Q4,Q5の直列回路とが昇圧チョッパ回路1の出力端間に互いに並列接続されている。そして、スイッチング素子Q2,Q3の接続点とスイッチング素子Q4,Q5の接続点との間にチョークコイルCH2とコンデンサC4の直列回路が接続されている。さらに、コンデンサC4と並列に、共振回路3と放電ランプ(HIDランプ)200が直列に接続されている。共振回路3は、放電ランプ200に直列接続されるオートトランス(単巻変圧器)ATと、オートトランスATのタップと昇圧チョッパ回路1の低電位側の出力端の間に挿入されたコンデンサC3とを具備している。
【0021】
昇圧チョッパ制御回路4は、昇圧チョッパ回路1の出力電圧(平滑コンデンサC2の両端電圧)Vdcを検出するとともに、検出される出力電圧Vdcが所望の電圧レベルとなるように昇圧チョッパ回路1のスイッチング素子Q1をスイッチング制御する。また降圧チョッパ制御回路5は、降圧チョッパ回路2の出力電圧、すなわち、放電ランプ200に印加されるランプ電圧に基づいて放電ランプ200の状態を検出し、放電ランプ200の状態に応じて降圧チョッパ回路2の4つのスイッチング素子Q2〜Q5をスイッチング制御する。
【0022】
例えば放電ランプ200の安定点灯時には、降圧チョッパ制御回路5は、対角の位置に配置されたスイッチング素子Q3,Q4のペアをオフさせた状態でスイッチング素子Q2,Q5のペアをオン/オフさせる期間と、スイッチング素子Q2,Q5のペアをオフさせた状態でスイッチング素子Q3,Q4のペアをオン/オフさせる期間とを比較的低い周波数で交番させている。そして、前者の期間では、降圧チョッパ制御回路5はスイッチング素子Q2をオンさせた状態でスイッチング素子Q5を比較的高い周波数でオン/オフさせ、また後者の期間ではスイッチング素子Q3をオンさせた状態でスイッチング素子Q4を比較的高い周波数でオン/オフさせている。
【0023】
次に、本実施形態の放電ランプ点灯装置Aにより放電ランプ200が不点灯(消灯)状態から安定点灯状態に至るまでの動作を、図3を参照して説明する。なお、図3は放電ランプ200が不点灯状態から安定点灯状態に至るまでの各部の波形図である。
【0024】
先ず、放電ランプ200が不点灯状態で図示しない点灯スイッチが投入されると、昇圧チョッパ制御回路4および降圧チョッパ制御回路5が制御動作を開始し、昇圧チョッパ制御回路4は、スイッチング素子Q1をスイッチング制御することによって昇圧チョッパ回路2を動作させて昇圧された直流電圧Vdcを出力する。
【0025】
降圧チョッパ制御回路5は、先ず絶縁破壊モードで動作を開始し、共振回路3の共振周波数付近で、スイッチング素子Q2,Q5の組がオンになり、且つ、スイッチング素子Q3,Q4の組がオフになる期間と、スイッチング素子Q2,Q5の組がオフになり、且つ、スイッチング素子Q3,Q4の組がオンになる期間とを交互に設けて共振回路3を共振させる。このとき、オートトランスATの一次巻線n1に発生する共振電圧が一次巻線(分路巻線)n1と直列巻線n2との巻線比で昇圧されて放電ランプ200の電極間に印加されて放電ランプ200が絶縁破壊を起こす。
【0026】
上述の絶縁破壊モードにおいて放電ランプ200が絶縁破壊を起こす(始動する)と、放電ランプ200がグロー放電し、その後アーク放電に至る。なお、放電ランプ200が絶縁破壊を起こすと、放電ランプ200に電流(ランプ電流)が流れ始めるとともにランプ電圧が大きく低下する。
【0027】
降圧チョッパ制御回路5は、ランプ電圧の絶対値が所定値Vth以下まで低下して放電ランプ200が始動(絶縁破壊)したと判断すれば、対角の位置に配置されたスイッチング素子Q3,Q4のペアをオフさせた状態でスイッチング素子Q2,Q5のペアをオン/オフさせる期間と、スイッチング素子Q2,Q5のペアをオフさせた状態でスイッチング素子Q3,Q4のペアをオン/オフさせる期間とを比較的低い周波数(例えば数十Hz〜数百Hz)で交番させる。さらに降圧チョッパ制御回路5は、前者の期間ではスイッチング素子Q2をオンさせた状態でスイッチング素子Q5を比較的高い周波数でオン/オフさせ、後者の期間ではスイッチング素子Q3をオンさせた状態でスイッチング素子Q4を比較的高い周波数でオン/オフさせる。これにより、数十Hz〜数百Hzの矩形波交流電圧が降圧チョッパ回路2から放電ランプ200に印加される。このとき、放電ランプ200のガラスバルブ内の温度とともに、ランプ電圧が徐々に上昇し、数分後にはランプ電圧が略一定の安定状態となり、この状態でアーク放電が継続することにより、放電ランプ200が安定点灯状態となる。
【0028】
本実施形態の放電ランプ点灯装置Aは、図1に示すようにプリント配線板6に多数の回路部品(スイッチング素子Q1〜Q5やチョークコイルCH1,CH2、オートトランスAT、コンデンサC2〜C4、昇圧チョッパ制御回路4、降圧チョッパ制御回路5など)が実装されて構成される。そして、このプリント配線板6は扁平な矩形箱形のケース7内に収納される。ケース7は、一面が開口する矩形箱形のケースボディ70と、ケースボディ70の開口端を閉塞するケース蓋71とで構成されている。なお、ケースボディ70及びケース蓋71は、熱伝導性が良好である材料、例えば、アルミなどの金属材料で形成されることが好ましい。
【0029】
ここで、プリント配線板6に実装された回路部品のうち、相対的に発熱量の多い回路部品(以下、「発熱部品」と呼ぶ。)60と、相対的に発熱量の少ない回路部品(以下、「被伝熱部品」と呼ぶ。)61とが結合部材8によって熱的に結合されている。なお、発熱部品60は、例えば、昇圧チョッパ回路1に使用されているスイッチング素子Q1や、降圧チョッパ回路2に使用されているスイッチング素子Q2〜Q5などの能動部品である。また、被伝熱部品61は、例えば、チョッパチョークCH1,CH2やオートトランスATなどの受動部品である。
【0030】
結合部材8は、発熱部品60が熱的に結合される第1結合片80と、被伝熱部品61が熱的に結合される第2結合片81とが金属製の板材によって一体に形成されてなる。第1結合片80は矩形平板状に形成され、発熱部品60のねじ挿通孔60Aに挿通されたねじ62と螺合するねじ孔(図示せず)が設けられている。すなわち、図1に示すように複数の発熱部品60がそれぞれねじ62によって第1結合片80にねじ止めされることにより、これら複数の発熱部品60と第1結合片80とが熱的に結合される。一方、第2結合片81が被伝熱部品61の天面と接触することにより、第2結合片81と被伝熱部品61とが熱的に結合される。
【0031】
而して、発熱部品60で生じる熱が結合部材8によって被伝熱部品61に伝導(伝熱)されるため、発熱に伴う発熱部品60の温度上昇を抑えることができ、その結果、製造コストを抑えつつケース7の小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することができる。また、発熱部品60の発する熱が結合部材8を介して被伝熱部品61に伝熱されることにより、発熱部品60と被伝熱部品61のそれぞれの使用可能な上限温度までの余裕度の略均一化が図れる。ここで、発熱部品60と被伝熱部品61の使用可能な温度範囲が異なっているため、発熱部品60と被伝熱部品61の配置に応じてケース7内部での温度分布を制御し、各部品60,61の性能を熱劣化させずに最大限に発揮させることができる。さらに、発熱部品60の発する熱がケース7に直接伝わらないため、ケース7の温度上昇が抑制される。
【0032】
なお、発熱部品は半導体スイッチング素子に限定されるものではなく、巻線や抵抗などであってもよいし、被伝熱部品は、チョッパチョークCH1,CH2やオートトランスATなどの巻線部品に限定されるものではなく、抵抗やコンデンサなどであってもよい。また、結合部材8と発熱部品60との固定方法はねじ止めに限定されるものではなく、ばね性を有する部材で形成されたクリップなどの固定手段で固定される方法でも構わない。さらに、被伝熱部品61と結合部材8とを熱的に結合する方法として、単に密着させる以外に前記クリップを用いて固定したり、粘着性を有するテープで固定したり、あるいは弾性を有するリング状の部材で挟持させる方法などであっても構わない。またさらに、スイッチング素子を被伝熱部品61とし、チョッパチョークCH1,CH2やオートトランスATなどを発熱部品60としてもよい。
【0033】
ところで、図4に示すように結合部材8の第2結合片81と被伝熱部品61の天面との間に弾性を有する熱伝導性樹脂材82が設けられても構わない。このような構成であれば、結合部材8(第2結合片81)から受ける力が熱伝導性樹脂材82によって緩和されるため、被伝熱部品61や被伝熱部品61とプリント配線板6との半田接合部が受けるストレスが低減され、半田クラックの防止が図れる。また、熱伝導性樹脂材82が絶縁性を有していれば、被伝熱部品61と結合部材8との電気的な絶縁を確保することもできる。
【0034】
(実施形態2)
本実施形態の放電ランプ点灯装置Aの断面図を図5に示す。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
本実施形態における結合部材8は、図5に示すように第2結合片81が回路部品ではなく、弾性を有する熱伝導性樹脂材83を介してケース蓋71に接している。つまり、本実施形態においては発熱部品60の発する熱が結合部材8と熱伝導性樹脂材83を介してケース蓋71に伝熱される。
【0036】
ここで、ケースボディ70とケース蓋71とは、密着しつつも若干の隙間が生じている。そして、この隙間に形成される空気層によってケースボディ70とケース蓋71との間の熱伝導度が低下する。さらに、発熱部品60が実装されたプリント配線板6はケースボディ70の底側、つまり、ケース蓋71から遠い側に配置されるので、ケース7内部においても発熱部品60とケース蓋71との間に空気層が存在している。したがって、結合部材8と熱伝導性樹脂材83を介して発熱部品60の発する熱がケース蓋71に伝えられても、前記空気層によって結合部材8以外の経路からの熱伝導が抑えられているので、ケース蓋71の温度上昇が抑制されることになる。また、弾性を有する熱伝導性樹脂材83がケース蓋71と第2結合片81との間に設けられているため、ケース蓋71から受ける力が熱伝導性樹脂材83によって緩和され、発熱部品60とプリント配線板6との半田接合部が受けるストレスが低減されて半田クラックの防止が図れる。
【0037】
但し、ケース7の構造は本実施形態のものに限定されず、種々の構造のケースにおいて、他の部位よりも相対的に温度が低くなる部位に、結合部材8を介して発熱部品60が熱的に結合されればよい。また、ケースを構成する材料についても金属製に限定されず、熱伝導性及び熱放射性が良好な材料であればよい。
【0038】
ところで、図6に示すように結合部材8の第2結合片81は、ケース蓋71だけでなく、チョッパチョークCH1,CH2やオートトランスATなどの被伝熱部品61と熱伝導性樹脂材83を介して熱的に結合されても構わない。また、シリコーンやウレタンのように絶縁性及び耐熱性を有し且つ熱伝導度の高い熱伝導性樹脂がケース7内に充填されてもよい。
【0039】
(実施形態3)
本実施形態の放電ランプ点灯装置Aの断面図を図7に示す。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態では、熱伝導性を有する熱伝導性充填材84がケースボディ70内に充填されるとともに、熱伝導性充填材84とケース蓋71とが結合部材8によって熱的に結合されている。結合部材8は、例えば、帯状の金属板からなり、ケース蓋71の内側天面からケースボディ70の底面に向かって垂下され、その下端部分が熱伝導性充填材84内に埋め込まれている。
【0041】
而して、発熱部品60の発する熱が熱伝導性充填材84を介してケースボディ70に伝わり、ケースボディ70の温度が上昇するが、実施形態2で説明したようにケースボディ70とケース蓋71の間に存在する空気層により、ケースボディ70からケース蓋71へは熱が伝わりにくくなっている。そこで、熱伝導性充填材84に伝わった熱が結合部材8を介してケース蓋71に伝わることにより、ケースボディ70の温度上昇を抑えつつ発熱部品60の発する熱をケース7全体から放熱させることができる。但し、結合部材8の端部は必ずしも熱伝導性充填材84に埋め込まれていなくてもよく、図8に示すように熱伝導性充填材84の表面に接触していても構わない。あるいは、図9に示すように結合部材8の端部が、弾性を有する熱伝導性樹脂材83を介して熱伝導性充填材84の表面に接触していても構わない。
【0042】
ところで、実施形態1〜3の放電ランプ点灯装置Aの回路構成は、図2に示したものに限定されず、例えば、図10〜図12に示すような回路構成であっても構わない。図10に示す回路構成は、図2に示す回路構成に対して極性反転型の降圧チョッパ回路2が通常の降圧チョッパ回路と極性反転回路に分離されるとともに、放電ランプ200に始動用の高圧パルスを印加する始動パルス発生回路が設けられている。同様に、図11に示す回路構成は、図2に示す回路構成に対して極性反転型の降圧チョッパ回路2が通常の降圧チョッパ回路と極性反転回路に分離されている。また、図12に示す回路構成は、図2に示す回路構成に対して降圧チョッパ回路2のスイッチング素子Q2,Q3がコンデンサに置き換えられた、いわゆるハーフブリッジ式の降圧チョッパ回路が設けられている。但し、図10〜図12に示した各回路構成は従来周知であるから、動作説明等については省略する。
【0043】
(実施形態4)
本発明に係る照明器具の実施形態を図13に示す。図13(a)〜(c)に示す照明器具は、何れも実施形態1〜3の何れかの放電ランプ点灯装置Aと、ランプソケット(図示せず)が収納された器具本体150と、放電ランプ点灯装置Aとランプソケットを接続する電源ケーブル151とを共通に備え、ランプソケットに装着される放電ランプ(HIDランプ)200に、放電ランプ点灯装置Aから電源ケーブルを介して電力が供給される。
【0044】
これらの照明器具は、実施形態1〜3の何れかの放電ランプ点灯装置Aが用いられることにより、製造コストを抑えつつケース(放電ランプ点灯装置A)の小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することができる。なお、図13(a)に示す照明器具はダウンライトであり、同図(b),(c)に示す照明器具は、配線ダクトレール160に移動自在に取り付けられる照明器具である。
【0045】
さらに、これらの照明器具を用いて、各照明器具の点灯制御を行う照明システムを構築すれば、照明システムとしても上記と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0046】
A 放電ランプ点灯装置
6 プリント配線板
7 ケース
8 結合部材
60 発熱部品(相対的に発熱量の多い回路部品)
61 被伝熱部品(相対的に発熱量の少ない回路部品)
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプを点灯するための放電ランプ点灯装置及び、放電ランプ点灯装置を用いた照明器具、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプを点灯するための安定器には、鉄心に銅線が巻設されてなる銅鉄型安定器の他に、半導体スイッチング素子を用いた電子安定器がある。この種の電子安定器(放電ランプ点灯装置)は、半導体スイッチング素子を含む回路部品がプリント配線板に実装され、当該プリント配線板が金属製のケースに収納されて構成されている(例えば、特許文献1,2参照)。また、特許文献1,2記載の従来例においては、放熱板や熱伝導度が高い樹脂を介して半導体スイッチング素子などの能動部品が発する熱をケースに伝導させて放熱させる構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−67930号公報
【特許文献2】特開2007−180012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では電子安定器の小型化に伴ってケースの表面積も縮小されてきており、上述のように回路部品の発する熱がケースに伝導される放熱構造の場合、ケースの放熱能力が低下してケースの表面温度が上昇する傾向にある。ここで、電子安定器(ケース)の表面温度には上限値(例えば、蛍光灯安定器においては135℃以下)が規定されており、上述のようにケースの小型化に伴う放熱能力の低下によって、ケースの表面温度が前記上限値を超えてしまう虞がある。なお、特許文献2記載の従来例では、ケースの表面に放熱フィンが設けられることで小型化に伴う放熱能力の低下を補っているが、放熱フィンが設けられることでケースの製造コストが上昇するという問題や、ケースの小型化が阻害されるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、製造コストを抑えつつケースの小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放電ランプ点灯装置は、回路部品が実装されたプリント配線板が相対的に熱伝導性のよいケース内に収納されてなる放電ランプ点灯装置において、前記回路部品のうちで相対的に発熱量の多い回路部品と、相対的に発熱量の少ない回路部品又は前記ケースとを熱的に結合させる結合部材を備えることを特徴とする。
【0007】
この放電ランプ点灯装置において、前記相対的に発熱量の少ない回路部品が受動部品であることが好ましい。
【0008】
この放電ランプ点灯装置において、前記相対的に発熱量の少ない回路部品が機構部品であることが好ましい。
【0009】
この放電ランプ点灯装置において、前記結合部材が金属製であることが好ましい。
【0010】
この放電ランプ点灯装置において、前記結合部材から前記相対的に発熱量の少ない回路部品への伝熱経路に、弾性を有する熱伝導性樹脂材が設けられることが好ましい。
【0011】
この放電ランプ点灯装置において、前記熱伝導性樹脂材は、前記相対的に発熱量の少ない回路部品と前記結合部材の間に挿入されることが好ましい。
【0012】
この放電ランプ点灯装置において、熱伝導性を有する熱伝導性充填材が前記ケース内に充填されることが好ましい。
【0013】
この放電ランプ点灯装置において、前記ケースは、前記熱伝導性充填材との間に空気層が形成されるとともに、当該空気層を介して前記熱伝導性充填材と熱的に結合される前記結合部材が設けられることが好ましい。
【0014】
本発明の照明器具は、請求項1〜8の何れかの放電ランプ点灯装置と、当該放電ランプ点灯装置並びに放電ランプを保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の照明システムは、請求項9の照明器具を備えて点灯制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の放電ランプ点灯装置及び照明器具、照明システムは、製造コストを抑えつつケースの小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る放電ランプ点灯装置の実施形態1を示し、(a)はケース蓋を外した状態の平面図、(b)は断面図である。
【図2】同上の回路構成図である。
【図3】同上の動作説明用の波形図である。
【図4】同上の断面図である。
【図5】本発明に係る放電ランプ点灯装置の実施形態2を示す断面図である。
【図6】同上の別の構成を示す断面図である。
【図7】本発明に係る放電ランプ点灯装置の実施形態3を示す断面図である。
【図8】同上の別の構成を示す断面図である。
【図9】同上のさらに別の構成を示す断面図である。
【図10】同上の別の回路構成図である。
【図11】同上のさらに別の回路構成図である。
【図12】同上のさらにまた別の回路構成図である。
【図13】(a)〜(c)は本発明に係る照明器具の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、メタルハライドランプや高輝度放電ランプ(HIDランプ)などの高圧放電ランプを点灯する点灯装置(電子安定器)に本発明の技術思想を適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明の技術思想が適用可能な放電ランプ点灯装置は、高圧放電ランプ用のものに限定されず、例えば、蛍光ランプなどの低圧放電ランプや無電極放電ランプなどの高圧放電ランプ以外の放電ランプを点灯する点灯装置全般に適用可能である。
【0019】
(実施形態1)
本実施形態の放電ランプ点灯装置Aの回路構成を図2に示す。本実施形態の放電ランプ点灯装置Aは、ダイオードブリッジDBと、昇圧チョッパ回路1と、降圧チョッパ回路2と、共振回路3と、昇圧チョッパ制御回路4と、降圧チョッパ制御回路5とを備えている。商用交流電源100から供給される交流電力がダイオードブリッジDBで全波整流されて昇圧チョッパ回路1に入力される。昇圧チョッパ回路1は、電界効果トランジスタからなるスイッチング素子Q1と、チョークコイルCH1と、ダイオードD1と、平滑コンデンサC2とを有し、ダイオードブリッジDBから入力される脈流電圧を所望の直流電圧に昇圧することで力率を改善するものである。但し、昇圧チョッパ回路1については従来周知であるから、回路構成及び動作についての詳細な説明は省略する。
【0020】
降圧チョッパ回路2は、電界効果トランジスタからなる4つのスイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q5と、チョークコイルCH2と、コンデンサC4とを有している。2つのスイッチング素子Q2,Q3の直列回路と、残り2つのスイッチング素子Q4,Q5の直列回路とが昇圧チョッパ回路1の出力端間に互いに並列接続されている。そして、スイッチング素子Q2,Q3の接続点とスイッチング素子Q4,Q5の接続点との間にチョークコイルCH2とコンデンサC4の直列回路が接続されている。さらに、コンデンサC4と並列に、共振回路3と放電ランプ(HIDランプ)200が直列に接続されている。共振回路3は、放電ランプ200に直列接続されるオートトランス(単巻変圧器)ATと、オートトランスATのタップと昇圧チョッパ回路1の低電位側の出力端の間に挿入されたコンデンサC3とを具備している。
【0021】
昇圧チョッパ制御回路4は、昇圧チョッパ回路1の出力電圧(平滑コンデンサC2の両端電圧)Vdcを検出するとともに、検出される出力電圧Vdcが所望の電圧レベルとなるように昇圧チョッパ回路1のスイッチング素子Q1をスイッチング制御する。また降圧チョッパ制御回路5は、降圧チョッパ回路2の出力電圧、すなわち、放電ランプ200に印加されるランプ電圧に基づいて放電ランプ200の状態を検出し、放電ランプ200の状態に応じて降圧チョッパ回路2の4つのスイッチング素子Q2〜Q5をスイッチング制御する。
【0022】
例えば放電ランプ200の安定点灯時には、降圧チョッパ制御回路5は、対角の位置に配置されたスイッチング素子Q3,Q4のペアをオフさせた状態でスイッチング素子Q2,Q5のペアをオン/オフさせる期間と、スイッチング素子Q2,Q5のペアをオフさせた状態でスイッチング素子Q3,Q4のペアをオン/オフさせる期間とを比較的低い周波数で交番させている。そして、前者の期間では、降圧チョッパ制御回路5はスイッチング素子Q2をオンさせた状態でスイッチング素子Q5を比較的高い周波数でオン/オフさせ、また後者の期間ではスイッチング素子Q3をオンさせた状態でスイッチング素子Q4を比較的高い周波数でオン/オフさせている。
【0023】
次に、本実施形態の放電ランプ点灯装置Aにより放電ランプ200が不点灯(消灯)状態から安定点灯状態に至るまでの動作を、図3を参照して説明する。なお、図3は放電ランプ200が不点灯状態から安定点灯状態に至るまでの各部の波形図である。
【0024】
先ず、放電ランプ200が不点灯状態で図示しない点灯スイッチが投入されると、昇圧チョッパ制御回路4および降圧チョッパ制御回路5が制御動作を開始し、昇圧チョッパ制御回路4は、スイッチング素子Q1をスイッチング制御することによって昇圧チョッパ回路2を動作させて昇圧された直流電圧Vdcを出力する。
【0025】
降圧チョッパ制御回路5は、先ず絶縁破壊モードで動作を開始し、共振回路3の共振周波数付近で、スイッチング素子Q2,Q5の組がオンになり、且つ、スイッチング素子Q3,Q4の組がオフになる期間と、スイッチング素子Q2,Q5の組がオフになり、且つ、スイッチング素子Q3,Q4の組がオンになる期間とを交互に設けて共振回路3を共振させる。このとき、オートトランスATの一次巻線n1に発生する共振電圧が一次巻線(分路巻線)n1と直列巻線n2との巻線比で昇圧されて放電ランプ200の電極間に印加されて放電ランプ200が絶縁破壊を起こす。
【0026】
上述の絶縁破壊モードにおいて放電ランプ200が絶縁破壊を起こす(始動する)と、放電ランプ200がグロー放電し、その後アーク放電に至る。なお、放電ランプ200が絶縁破壊を起こすと、放電ランプ200に電流(ランプ電流)が流れ始めるとともにランプ電圧が大きく低下する。
【0027】
降圧チョッパ制御回路5は、ランプ電圧の絶対値が所定値Vth以下まで低下して放電ランプ200が始動(絶縁破壊)したと判断すれば、対角の位置に配置されたスイッチング素子Q3,Q4のペアをオフさせた状態でスイッチング素子Q2,Q5のペアをオン/オフさせる期間と、スイッチング素子Q2,Q5のペアをオフさせた状態でスイッチング素子Q3,Q4のペアをオン/オフさせる期間とを比較的低い周波数(例えば数十Hz〜数百Hz)で交番させる。さらに降圧チョッパ制御回路5は、前者の期間ではスイッチング素子Q2をオンさせた状態でスイッチング素子Q5を比較的高い周波数でオン/オフさせ、後者の期間ではスイッチング素子Q3をオンさせた状態でスイッチング素子Q4を比較的高い周波数でオン/オフさせる。これにより、数十Hz〜数百Hzの矩形波交流電圧が降圧チョッパ回路2から放電ランプ200に印加される。このとき、放電ランプ200のガラスバルブ内の温度とともに、ランプ電圧が徐々に上昇し、数分後にはランプ電圧が略一定の安定状態となり、この状態でアーク放電が継続することにより、放電ランプ200が安定点灯状態となる。
【0028】
本実施形態の放電ランプ点灯装置Aは、図1に示すようにプリント配線板6に多数の回路部品(スイッチング素子Q1〜Q5やチョークコイルCH1,CH2、オートトランスAT、コンデンサC2〜C4、昇圧チョッパ制御回路4、降圧チョッパ制御回路5など)が実装されて構成される。そして、このプリント配線板6は扁平な矩形箱形のケース7内に収納される。ケース7は、一面が開口する矩形箱形のケースボディ70と、ケースボディ70の開口端を閉塞するケース蓋71とで構成されている。なお、ケースボディ70及びケース蓋71は、熱伝導性が良好である材料、例えば、アルミなどの金属材料で形成されることが好ましい。
【0029】
ここで、プリント配線板6に実装された回路部品のうち、相対的に発熱量の多い回路部品(以下、「発熱部品」と呼ぶ。)60と、相対的に発熱量の少ない回路部品(以下、「被伝熱部品」と呼ぶ。)61とが結合部材8によって熱的に結合されている。なお、発熱部品60は、例えば、昇圧チョッパ回路1に使用されているスイッチング素子Q1や、降圧チョッパ回路2に使用されているスイッチング素子Q2〜Q5などの能動部品である。また、被伝熱部品61は、例えば、チョッパチョークCH1,CH2やオートトランスATなどの受動部品である。
【0030】
結合部材8は、発熱部品60が熱的に結合される第1結合片80と、被伝熱部品61が熱的に結合される第2結合片81とが金属製の板材によって一体に形成されてなる。第1結合片80は矩形平板状に形成され、発熱部品60のねじ挿通孔60Aに挿通されたねじ62と螺合するねじ孔(図示せず)が設けられている。すなわち、図1に示すように複数の発熱部品60がそれぞれねじ62によって第1結合片80にねじ止めされることにより、これら複数の発熱部品60と第1結合片80とが熱的に結合される。一方、第2結合片81が被伝熱部品61の天面と接触することにより、第2結合片81と被伝熱部品61とが熱的に結合される。
【0031】
而して、発熱部品60で生じる熱が結合部材8によって被伝熱部品61に伝導(伝熱)されるため、発熱に伴う発熱部品60の温度上昇を抑えることができ、その結果、製造コストを抑えつつケース7の小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することができる。また、発熱部品60の発する熱が結合部材8を介して被伝熱部品61に伝熱されることにより、発熱部品60と被伝熱部品61のそれぞれの使用可能な上限温度までの余裕度の略均一化が図れる。ここで、発熱部品60と被伝熱部品61の使用可能な温度範囲が異なっているため、発熱部品60と被伝熱部品61の配置に応じてケース7内部での温度分布を制御し、各部品60,61の性能を熱劣化させずに最大限に発揮させることができる。さらに、発熱部品60の発する熱がケース7に直接伝わらないため、ケース7の温度上昇が抑制される。
【0032】
なお、発熱部品は半導体スイッチング素子に限定されるものではなく、巻線や抵抗などであってもよいし、被伝熱部品は、チョッパチョークCH1,CH2やオートトランスATなどの巻線部品に限定されるものではなく、抵抗やコンデンサなどであってもよい。また、結合部材8と発熱部品60との固定方法はねじ止めに限定されるものではなく、ばね性を有する部材で形成されたクリップなどの固定手段で固定される方法でも構わない。さらに、被伝熱部品61と結合部材8とを熱的に結合する方法として、単に密着させる以外に前記クリップを用いて固定したり、粘着性を有するテープで固定したり、あるいは弾性を有するリング状の部材で挟持させる方法などであっても構わない。またさらに、スイッチング素子を被伝熱部品61とし、チョッパチョークCH1,CH2やオートトランスATなどを発熱部品60としてもよい。
【0033】
ところで、図4に示すように結合部材8の第2結合片81と被伝熱部品61の天面との間に弾性を有する熱伝導性樹脂材82が設けられても構わない。このような構成であれば、結合部材8(第2結合片81)から受ける力が熱伝導性樹脂材82によって緩和されるため、被伝熱部品61や被伝熱部品61とプリント配線板6との半田接合部が受けるストレスが低減され、半田クラックの防止が図れる。また、熱伝導性樹脂材82が絶縁性を有していれば、被伝熱部品61と結合部材8との電気的な絶縁を確保することもできる。
【0034】
(実施形態2)
本実施形態の放電ランプ点灯装置Aの断面図を図5に示す。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
本実施形態における結合部材8は、図5に示すように第2結合片81が回路部品ではなく、弾性を有する熱伝導性樹脂材83を介してケース蓋71に接している。つまり、本実施形態においては発熱部品60の発する熱が結合部材8と熱伝導性樹脂材83を介してケース蓋71に伝熱される。
【0036】
ここで、ケースボディ70とケース蓋71とは、密着しつつも若干の隙間が生じている。そして、この隙間に形成される空気層によってケースボディ70とケース蓋71との間の熱伝導度が低下する。さらに、発熱部品60が実装されたプリント配線板6はケースボディ70の底側、つまり、ケース蓋71から遠い側に配置されるので、ケース7内部においても発熱部品60とケース蓋71との間に空気層が存在している。したがって、結合部材8と熱伝導性樹脂材83を介して発熱部品60の発する熱がケース蓋71に伝えられても、前記空気層によって結合部材8以外の経路からの熱伝導が抑えられているので、ケース蓋71の温度上昇が抑制されることになる。また、弾性を有する熱伝導性樹脂材83がケース蓋71と第2結合片81との間に設けられているため、ケース蓋71から受ける力が熱伝導性樹脂材83によって緩和され、発熱部品60とプリント配線板6との半田接合部が受けるストレスが低減されて半田クラックの防止が図れる。
【0037】
但し、ケース7の構造は本実施形態のものに限定されず、種々の構造のケースにおいて、他の部位よりも相対的に温度が低くなる部位に、結合部材8を介して発熱部品60が熱的に結合されればよい。また、ケースを構成する材料についても金属製に限定されず、熱伝導性及び熱放射性が良好な材料であればよい。
【0038】
ところで、図6に示すように結合部材8の第2結合片81は、ケース蓋71だけでなく、チョッパチョークCH1,CH2やオートトランスATなどの被伝熱部品61と熱伝導性樹脂材83を介して熱的に結合されても構わない。また、シリコーンやウレタンのように絶縁性及び耐熱性を有し且つ熱伝導度の高い熱伝導性樹脂がケース7内に充填されてもよい。
【0039】
(実施形態3)
本実施形態の放電ランプ点灯装置Aの断面図を図7に示す。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態では、熱伝導性を有する熱伝導性充填材84がケースボディ70内に充填されるとともに、熱伝導性充填材84とケース蓋71とが結合部材8によって熱的に結合されている。結合部材8は、例えば、帯状の金属板からなり、ケース蓋71の内側天面からケースボディ70の底面に向かって垂下され、その下端部分が熱伝導性充填材84内に埋め込まれている。
【0041】
而して、発熱部品60の発する熱が熱伝導性充填材84を介してケースボディ70に伝わり、ケースボディ70の温度が上昇するが、実施形態2で説明したようにケースボディ70とケース蓋71の間に存在する空気層により、ケースボディ70からケース蓋71へは熱が伝わりにくくなっている。そこで、熱伝導性充填材84に伝わった熱が結合部材8を介してケース蓋71に伝わることにより、ケースボディ70の温度上昇を抑えつつ発熱部品60の発する熱をケース7全体から放熱させることができる。但し、結合部材8の端部は必ずしも熱伝導性充填材84に埋め込まれていなくてもよく、図8に示すように熱伝導性充填材84の表面に接触していても構わない。あるいは、図9に示すように結合部材8の端部が、弾性を有する熱伝導性樹脂材83を介して熱伝導性充填材84の表面に接触していても構わない。
【0042】
ところで、実施形態1〜3の放電ランプ点灯装置Aの回路構成は、図2に示したものに限定されず、例えば、図10〜図12に示すような回路構成であっても構わない。図10に示す回路構成は、図2に示す回路構成に対して極性反転型の降圧チョッパ回路2が通常の降圧チョッパ回路と極性反転回路に分離されるとともに、放電ランプ200に始動用の高圧パルスを印加する始動パルス発生回路が設けられている。同様に、図11に示す回路構成は、図2に示す回路構成に対して極性反転型の降圧チョッパ回路2が通常の降圧チョッパ回路と極性反転回路に分離されている。また、図12に示す回路構成は、図2に示す回路構成に対して降圧チョッパ回路2のスイッチング素子Q2,Q3がコンデンサに置き換えられた、いわゆるハーフブリッジ式の降圧チョッパ回路が設けられている。但し、図10〜図12に示した各回路構成は従来周知であるから、動作説明等については省略する。
【0043】
(実施形態4)
本発明に係る照明器具の実施形態を図13に示す。図13(a)〜(c)に示す照明器具は、何れも実施形態1〜3の何れかの放電ランプ点灯装置Aと、ランプソケット(図示せず)が収納された器具本体150と、放電ランプ点灯装置Aとランプソケットを接続する電源ケーブル151とを共通に備え、ランプソケットに装着される放電ランプ(HIDランプ)200に、放電ランプ点灯装置Aから電源ケーブルを介して電力が供給される。
【0044】
これらの照明器具は、実施形態1〜3の何れかの放電ランプ点灯装置Aが用いられることにより、製造コストを抑えつつケース(放電ランプ点灯装置A)の小型化と回路部品の熱による劣化を抑制することができる。なお、図13(a)に示す照明器具はダウンライトであり、同図(b),(c)に示す照明器具は、配線ダクトレール160に移動自在に取り付けられる照明器具である。
【0045】
さらに、これらの照明器具を用いて、各照明器具の点灯制御を行う照明システムを構築すれば、照明システムとしても上記と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0046】
A 放電ランプ点灯装置
6 プリント配線板
7 ケース
8 結合部材
60 発熱部品(相対的に発熱量の多い回路部品)
61 被伝熱部品(相対的に発熱量の少ない回路部品)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路部品が実装されたプリント配線板が相対的に熱伝導性のよいケース内に収納されてなる放電ランプ点灯装置において、前記回路部品のうちで相対的に発熱量の多い回路部品と、相対的に発熱量の少ない回路部品又は前記ケースとを熱的に結合させる結合部材を備えることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
【請求項2】
前記相対的に発熱量の少ない回路部品が受動部品であることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項3】
前記相対的に発熱量の少ない回路部品が機構部品であることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項4】
前記結合部材が金属製であることを特徴する請求項1〜3の何れか1項に記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項5】
前記結合部材から前記相対的に発熱量の少ない回路部品への伝熱経路に、弾性を有する熱伝導性樹脂材が設けられることを特徴とする請求項4記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項6】
前記熱伝導性樹脂材は、前記相対的に発熱量の少ない回路部品と前記結合部材の間に挿入されることを特徴とする請求項5記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項7】
熱伝導性を有する熱伝導性充填材が前記ケース内に充填されることを特徴とする請求項6記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項8】
前記ケースは、前記熱伝導性充填材との間に空気層が形成されるとともに、当該空気層を介して前記熱伝導性充填材と熱的に結合される前記結合部材が設けられることを特徴とする請求項7記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかの放電ランプ点灯装置と、当該放電ランプ点灯装置並びに放電ランプを保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。
【請求項10】
請求項9の照明器具を備えて点灯制御を行うことを特徴とする照明システム。
【請求項1】
回路部品が実装されたプリント配線板が相対的に熱伝導性のよいケース内に収納されてなる放電ランプ点灯装置において、前記回路部品のうちで相対的に発熱量の多い回路部品と、相対的に発熱量の少ない回路部品又は前記ケースとを熱的に結合させる結合部材を備えることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
【請求項2】
前記相対的に発熱量の少ない回路部品が受動部品であることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項3】
前記相対的に発熱量の少ない回路部品が機構部品であることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項4】
前記結合部材が金属製であることを特徴する請求項1〜3の何れか1項に記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項5】
前記結合部材から前記相対的に発熱量の少ない回路部品への伝熱経路に、弾性を有する熱伝導性樹脂材が設けられることを特徴とする請求項4記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項6】
前記熱伝導性樹脂材は、前記相対的に発熱量の少ない回路部品と前記結合部材の間に挿入されることを特徴とする請求項5記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項7】
熱伝導性を有する熱伝導性充填材が前記ケース内に充填されることを特徴とする請求項6記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項8】
前記ケースは、前記熱伝導性充填材との間に空気層が形成されるとともに、当該空気層を介して前記熱伝導性充填材と熱的に結合される前記結合部材が設けられることを特徴とする請求項7記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかの放電ランプ点灯装置と、当該放電ランプ点灯装置並びに放電ランプを保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。
【請求項10】
請求項9の照明器具を備えて点灯制御を行うことを特徴とする照明システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−64411(P2012−64411A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207050(P2010−207050)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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