説明

放電管及び該放電管を備えた発光装置

【課題】本発明は、ハンダを用いることなく、電極に接続することができるコネクタを有する放電管及び該放電管を備える発光装置を得る。
【解決手段】本発明の放電管2は、筒状のガラスバルブ8と、所定の半径を有する電極9と、該電極9に接続可能なコネクタ10と、を備え、電極9は、ガラスバルブ8の長手方向に沿って所定の長さを有して径大となる径大部12を備え、該径大部12は、コネクタ10を掛止する第1の掛止部14と、コネクタ10を接触させる接触部15とを有し、コネクタ10は、電極9を内部に挿入可能な筒形状のコネクタ本体16と、電極9がコネクタ本体16の筒心方向に挿入される状態で電極9の第1の掛止部14を掛止する第2の掛止部17と、コネクタ本体16と電極9の接触部15とを電気的に接続する接続部18と、を備えるという構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射治療・予防装置やストロボ装置などの発光装置の光源として用いられる放電管及び該放電管を備えた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光装置は、光を照射して疾患の罹患を予防し又は罹患時の当該疾患の症状を軽減する光照射治療・予防装置や、被写体に光を照射するストロボ装置などとして利用されている。発光装置は、光源としての放電管と、該放電管の発光を制御するための発光制御回路と、を備える。放電管は、希ガスが封入された筒状のガラスバルブと、該ガラスバルブの両端部に封着された一対の電極と、を備える。放電管と発光制御回路とは、リード線を介して接続されている。そして、リード線の放電管側の接点は、電極に接続されている。この電極とリード線との接続箇所は、当該電極とリード線とを確実に接合させるとともに、電気的に確実に通電させるために、ハンダにより溶着される(特許文献1〜3参照)。更に、この接続箇所は、熱収縮チューブで被覆され、電極とリード線との密着性を高めている(特許文献3 段落0060及び図7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09− 90481号公報
【特許文献2】特開2002−164021号公報
【特許文献3】特開2009−238553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、放電管が繰り返し発光されたり、連続して発光されたりすると、発光により発生する熱は、放電管の電極とリード線とを接続するハンダに蓄積されて高温になる。このような条件で放電管を使用し続けると、ハンダが高温な状態が続き、ハンダは溶解しやすくなる。そして、そのハンダが溶解することにより、電極とリード線との結合は緩む。
【0005】
従って、本発明は、かかる事情に鑑み、ハンダを用いることなく、電極に接続することができるコネクタを有する放電管及び該放電管を備える発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放電管は、希ガスが封入された筒状のガラスバルブと、該ガラスバルブの少なくとも一端部からガラスバルブの長手方向に沿って突出し、所定の半径を有する電極と、該電極に接続可能なコネクタと、を備える放電管であって、電極は、ガラスバルブの長手方向に沿って所定の長さを有して径大となる径大部を備え、該径大部は、電極の半径方向に段差を形成する段差部と、電極の半径方向における周面と、を有し、段差部は、コネクタを掛止する第1の掛止部を有し、周面は、コネクタを接触させる接触部を有し、コネクタは、電極を内部に挿入可能な筒形状のコネクタ本体と、電極がコネクタ本体の筒心方向に挿入される状態で電極の第1の掛止部を掛止する第2の掛止部と、コネクタ本体と電極の接触部とを電気的に接続する接続部と、を備えるという構成を有している。
【0007】
かかる構成によれば、コネクタが電極に挿入されることにより、電極は、当該コネクタのコネクタ本体の内部に嵌め込まれる。このとき、コネクタの第2の掛止部は、当該コネクタ本体の筒心方向から挿入された電極の第1の掛止部を掛止し、これによって当該電極はコネクタに確実に接合される。コネクタの接続部は、電極の接触部と接触して、当該電極をコネクタに電気的に確実に通電できるように接続される。例えば、リード線などがコネクタに接続されている場合であれば、放電管は、ハンダで電極にリード線と接続されることなく、コネクタを介して電極にリード線を接続させることができる。更に、電極は、径大部が設けられることにより増加した当該電極の体積分に相当する熱容量を増加させ、及び、増加した当該電極の表面積に相当する放熱効率を増加させて、発熱しにくくすることもできる。
【0008】
また、請求項2記載の発明において、径大部は、電極の突出方向に長尺な円柱形状を有し、該円柱形状における段差部に第1の掛止部を有し、円柱形状における周面に接触部を有する構成を有することが好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、電極は、円柱形状に設けられることにより増加した当該電極の体積分に相当する熱容量を増加させ、及び、増加した当該電極の表面積に相当する放熱効率を増加させて、発熱しにくくすることができる。
【0010】
また、請求項3記載の発明において、接続部は、電極の接触部と接触した状態において弾性変形することによって接触部に押圧されるように、コネクタ本体の内方に突出して構成される構成を有することが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、コネクタが電極に挿入されることにより、電極は、コネクタ本体の内方に突出した接続部に接触される。コネクタの接続部は、電極の接触部に弾性変形した状態で接触している。よって、コネクタの接続部が電極の接触部に押圧された状態となるため、電極は、コネクタに電気的に確実に通電できるように接続することができる。
【0012】
また、請求項4記載の発明において、径大部は、電極の半径方向の内側に凹んだ凹部を備える構成を有することが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、電極は、凹部が設けられたことにより増加した電極の表面積に相当する放熱効率を増加させて、発熱しにくくすることができる。
【0014】
また、本発明の発光装置は、前述の放電管を備えるという構成を有している。
【発明の効果】
【0015】
本発明の放電管及び該放電管を備える発光装置は、ハンダを用いることなく、電極に接続することができるコネクタを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る光照射治療・予防装置の制御回路図
【図2】同実施形態に係る光照射治療・予防装置の外観図
【図3】同実施形態に係る放電管の断面図
【図4】同実施形態に係る放電管の電極部分の拡大斜視図
【図5】同実施形態に係るコネクタの断面図
【図6】同実施形態に係る放電管の電極にコネクタが接続された状態にある図3のA部の拡大断面図
【図7】(a)〜(c)は、他の実施形態に係る電極の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る発光装置について、光照射治療・予防装置を例に、図面を参酌しつつ、説明する。まず、同実施形態に係る光照射治療・予防装置について、図1〜図6を参酌しつつ説明する。同実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、主に、炎症性疾患の罹患を予防し又は罹患時の当該疾患の症状を軽減する予防治療を受ける被治療者や、炎症性疾患を抑制することにより炎症性疾患の治療を受ける被治療者(患者)などの治療を受けるために当該装置を使用する使用者に光を照射する発光装置の一例である。
【0018】
同実施形態に係る光照射治療・予防装置1は、図1に図示する光照射治療・予防装置の制御回路図に示されているように、被写体に対して光を放射する放電管2と、該放電管2から放射される放射光を被写体に向けて反射する反射部材3と、放電管2から放射される放射光のうち波長が特定の範囲内の放射光を透過させる波長透過手段4と、放電管2の発光を制御する発光制御手段5と、放電管2及び発光制御手段5に電気を供給する電源供給手段6と、放電管2、反射部材3、波長透過手段4、発光制御手段5及び電源供給手段6を収納するとともに、波長透過手段4から透過された透過光を使用者の予防したい部位又は罹患した部位(特定部位)に照射可能な構造を有する装置本体7(図2参照)と、を備える。
【0019】
放電管2は、炎症性サイトカインの産生を抑制するために使用者の生体の予防したい部位又は罹患した部位に照射する光源となる。放電管2は、例えば、キセノン放電管などの閃光放電管である。本実施形態では、この放電管2をキセノン放電管とする例を説明する。
【0020】
放電管2は、図3に示すように、希ガスが封入された筒状のガラスバルブ8と、該ガラスバルブ8の少なくとも一端部に設けられ、所定の半径を有する電極9,9と、該電極9,9に接続可能なコネクタ10,10と、を備える。
【0021】
ガラスバルブ8は、例えば、硼珪酸ガラス等の硬質ガラスで形成されており、封入されているガスに電子が衝突することで発生する光を外部に放射する。ガラスバルブ8は、円筒形状に形成されており、その長手方向L1の両端部に電極9,9の一部を内包させた状態で両端部を密閉している。
【0022】
電極9は、金属材料を棒状に形成したものである。電極9は、ガラスバルブ8の両端部に設けられている。一方の電極9は、カソード電極(陰極)であり、他方の電極9は、アノード電極(陽極)である。各電極9,9は、所定の半径を有する長尺状の軸部11と、ガラスバルブ8の長手方向L1に沿って所定の長さを有して径大となる径大部12と、を備える。
【0023】
軸部11は、ガラスバルブ8の端部に当該軸部11の一端部を内包するとともに、当該軸部11の他方をガラスバルブ8の端部から外側に突出して形成されている。軸部11は、ガラスバルブ8の端部からガラスバルブ8の長手方向L1に突出する。なお、カソード電極9は、ガラスバルブ8の内部に位置する一端部に焼結金属体13を取り付けている。
【0024】
径大部12は、図3及び図4に示すように、電極の半径方向に段差を形成する段差部S1と、電極9の半径方向L2における周面S2と、を有する。段差部S1は、軸部11の周面と径大部12の周面S2との間に位置する、軸部11の半径方向における端面である。段差部S1には、コネクタ10を掛止する第1の掛止部14が設けられる。周面S2には、コネクタ10を接触させる接触部15が設けられる。具体的には、径大部12は、電極9がガラスバルブ8の一端部から当該ガラスバルブ8の長手方向L1に突出する突出方向(以下、長手方向と同じ符号L1を用いて説明する)に長尺な円柱形状を有し、該円柱形状の長手方向(電極9の突出方向L1)における段差部に第1の掛止部14を有し、円柱形状における(円)周面に接触部15を有する。すなわち、径大部12は、軸部11の軸心方向(本実施形態では、電極9の突出方向L1と一致)に直交する方向に軸部11が径大した部分を指す。また、径大部12は、軸部11の軸心方向の中途部に設けられる。すなわち、径大部12は、ガラスバルブ8の端部との間に隙間ができるように、ガラスバルブ8の端部と離間する軸部11上の位置に設けられる。
【0025】
コネクタ10は、図3,図5及び図6に示すように、電極9を内部に挿入可能な筒形状のコネクタ本体16と、電極9がコネクタ本体16の筒心方向L3に挿入される状態で電極9の第1の掛止部14を掛止する第2の掛止部17,…と、コネクタ本体16と電極9の接触部15とを電気的に接続する接続部18,…と、を備える。
【0026】
コネクタ本体16は、両端部が開放された筒部19と、該筒部19の一方の端部に設けられ、電極9を挿入するための第1の開口部20と、他方の端部に設けられ、リード線を挿入するための第2の開口部21と、を備える。筒部19及び第1の開口部20の径は、電極9の軸部11及び径大部12の両方が挿入可能な大きさを有する。第2の開口部21の径は、リード線が挿入可能な大きさを有している。
【0027】
第2の掛止部17,…は、第1の開口部20側に設けられ、コネクタ本体16の内方に突出して形成される。具体的には、第2の掛止部17,…は、コネクタ本体16の筒部19からコネクタ本体16の半径方向L4に対して第1の開口部20から第2の開口部21に向かう方向に傾斜させて突出させている。第2の掛止部17,…は、コネクタ本体16の内周方向に沿って1箇所以上に設けられており、好ましくは、コネクタ本体16の内周方向に均等に3〜4箇所に設けられている。また、第2の掛止部17,…は、弾性変形可能にも構成されている。
【0028】
よって、第2の掛止部17,…は、電極9を第1の開口部20から挿入するとき、軸部11及び径大部12によってコネクタ本体16側に折り曲げられるように弾性変形するため、軸部11及び径大部12を挿入可能な通路が確保されている。すなわち、第2の掛止部17,…は、電極9にコネクタ本体16を挿入することを許容する。
【0029】
更に、径大部12が第2の掛止部17,…よりも第2の開口部21側に挿入されると、弾性変形していた第2の掛止部17,…は、コネクタ本体16の内方に突出していた元の状態に復帰する(又は、軸部11に当接するまで内方に突出した状態に復帰する)。そして、電極9がコネクタ本体16の内側に挿入されたあと、電極9からコネクタ本体16を引き抜く方向にコネクタ本体16が作用するとき、第2の掛止部17,…は、径大部12の第1の掛止部14,…で掛止される。すなわち、第2の掛止部17,…は、電極9からコネクタ本体16を引き抜かれることを規制する。
【0030】
接続部18,…は、第2の掛止部17,…よりも第2の開口部21側に設けられ、第2の掛止部17,…と同様に、コネクタ本体16の内方に突出して形成される。すなわち、接続部18,…は、電極9の接触部15と接触した状態において弾性変形することによって接触部15,…に押圧されるようにコネクタ本体16の内方に突出して構成される。
【0031】
反射部材3は、放電管2を内部に収納するとともに、放電管2から放射された光を放射する開口を有し、放電管2から放射された光を反射してその開口から外部に照射する。
【0032】
波長透過手段4は、放電管2から放射された放射光の、1以上の特定の波長、又は、1以上の特定範囲の波長の放射光のみを透過する光学フィルタである。本実施形態に係る光学フィルタは、特定範囲の波長(帯)の放射光のみを選択的に透過するバンドパスフィルタ(干渉フィルタ)である。
【0033】
発光制御手段5は、放電管2の発光条件の設定を受け付けるとともに自己診断及びその自己診断結果に対応する機能を有する発光制御部と、その動作状態を表示する動作表示手段と、を備える。
【0034】
発光制御部は、具体的には、放電管2を1回又は複数回に分けて閃光発光させたり、所定の発光間隔で発光制御させたり、複数回に分けて閃光発光させる場合は、更に、放電管2が放射する放射エネルギーを所定の放射エネルギー以下に抑えて閃光発光させるなどの様々な発光パターンで放電管2を発光制御する。
【0035】
動作表示手段は、照射可能状態を表示する照射状態表示用LEDや、故障が発生していることを報知して使用者に警告する警告用LED、次の照射可能状態になるまでの待ち時間を表示する待ち時間表示用ディスプレイ(7セグメントディスプレイ)などを備える。
【0036】
電源供給手段6は、図1に示すように、放電管2の発光エネルギーを蓄える蓄電手段22と、該蓄電手段22を充電する充電回路23と、蓄電手段22に電気を供給する電源部24と、該電源部24のオン・オフを切り替える電源スイッチ25(図2も参照)と、を備える。
【0037】
装置本体7は、図2に示すように、少なくとも一つの開口を有する略直方体形状に形成されており、放電管2、反射部材3、波長透過手段4、発光制御手段5、電源供給手段6などを内蔵させるケーシングである。この装置本体7は、一方の面(以下、「前面」と称する)に形成された開口部26から使用者の手を挿入して、手の甲に特定範囲の波長の光を照射するための台である載置部27と、該載置部27内で照射される照射光が開口部26から漏れることを防止する漏光防止手段28と、放電管2等で高温となる内部を冷却するための冷却手段29と、持ち運ぶために把持する取手30と、を備える。
【0038】
次に、本発明の実施形態に係る光照射治療・予防装置1において、放電管2の電極9にコネクタ10を接続する方法について説明する。なお、前述のとおり、電極9,9は、ガラスバルブ8の両端部に一体に固定されている。そして、コネクタ10は、第2の開口部21からコネクタ本体16の内部にリード線が挿入された後にかしめられることにより、第2の開口部21にリード線が電気的に接続された状態で固定されている。よって、電極9は、コネクタ10を接続することにより、リード線に接続することができる。
【0039】
コネクタ10が電極9にコネクタ本体16の第1の開口部20からコネクタ本体16(筒部19)の内部に挿入されると、電極9は、まず、第2の掛止部17,…に接触する。第2の掛止部17,…は、コネクタ本体16の内方に突出していた状態から、軸部11及び径大部12により押されることにより、コネクタ本体16の内周面に沿うように押し曲げられた状態に弾性変形する。よって、コネクタ10には、軸部11及び径大部12を挿入可能な通路が確保されるため、電極9は、コネクタ10の内部に挿入することができる(コネクタ10を電極9に挿入されることを許容する)。
【0040】
コネクタ10が更に電極9に挿入されて、第2の掛止部17,…が径大部12よりも第2の開口部21側に到達すると、径大部12によりコネクタ本体16側に押し曲げられていた第2の掛止部17,…は、径大部12による押圧から開放されて、その第2の掛止部17の復元力によりコネクタ本体16の内方に突出していた元の状態に復帰する。よって、電極9からコネクタ本体16を引き抜く方向にコネクタ本体16が作用した場合であっても、第2の掛止部17は、径大部12の第1の掛止部14で掛止されるため、電極9からコネクタ本体16を引き抜けないようにすることができる(コネクタ10を電極9から引き抜かれることを規制する)。
【0041】
その一方で、コネクタ10の接続部18は、径大部12によりコネクタ本体16の内周面に沿うように弾性変形されるため、径大部12の接触部15に押圧された状態となる。よって、リード線を介してコネクタ10に流れる電流は、接続部18を介して電極9の接触部15に流すことができる。
【0042】
このようにして、コネクタ10が電極9に挿入されることにより、電極9は、当該コネクタ10のコネクタ本体16の内部に嵌め込まれる。このとき、コネクタ10の第2の掛止部17は、当該コネクタ本体16の筒心方向L3から挿入された電極9の第1の掛止部14を掛止し、これによって当該電極9はコネクタ10に確実に接合される。コネクタ10の接続部18は、電極9の接触部15と接触して、当該電極9をコネクタ10に電気的に確実に通電できるように接続される。すなわち、リード線がコネクタ10に接続されているため、放電管2は、ハンダで電極9にリード線と接続されることなく、コネクタ10を介して電極9にリード線を接続させることができる。
【0043】
更に、電極9は、円柱形状に設けられることにより増加した当該電極9の体積分に相当する熱容量を増加させ、及び、増加した当該電極9の表面積に相当する放熱効率を増加させて、発熱しにくくなる。よって、放電管2が発熱することにより、ガラスバルブ8に封入される希ガスがガラスバルブ8の内部で膨張して、ガラスバルブ8の内部のガス圧が高まり、放電管2が発光しにくくなるのを抑制することができる。
【0044】
また、電極9は、コネクタ10が電極9に挿入されることにより、コネクタ本体16の内方に突出した接続部18に接触される。コネクタ10の接続部18は、電極9の接触部15に弾性変形した状態で接触している。よって、コネクタ10の接続部18が電極9の接触部15に押圧された状態となるため、電極9は、コネクタ10に電気的に確実に通電できるように接続することができる。
【0045】
なお、本発明に係る放電管及び発光装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0046】
例えば、上記実施形態に係る光照射治療・予防装置1において、手に照射する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、炎症性サイトカインの産生の抑制を予防したい他の生体の部位又は罹患した他の生体の部位に照射するようにしてもよく、その生体の部位は、肩や腰、足、全身などどのような場所に照射されるような場合であってもよい。また、人間に照射する場合に限定されるものではなく、人間以外の動物などの生体に対し、治療のために光を当該特定部位に照射するようにしてもよい。これらの場合は、本実施形態に係る光照射治療・予防装置1の構造に限定されず、適宜、照射する生体の特定部位に適した構造とすることを妨げるものではない。
【0047】
また、上記実施形態に係る放電管2において、径大部12が軸部11の1箇所に設けられる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、径大部は、電極9の突出方向L1の軸部11上の複数箇所に設けられていてもよい。
【0048】
また、上記実施形態に係る放電管2において、径大部12が予め電極9に形成されている例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、径大部は、軸部と別体であって、当該軸部に挿通可能な孔を有する環状部材であり、当該径大部を軸部に溶接等で固定することにより電気的に接続されて形成されていてもよい。また、径大部は、軸部の外周に沿って取り付け可能な1又は複数の扇状部材であり、当該径大部を軸部に沿って溶接等で固定することにより電気的に接続されて形成されてもよい。また、図7(a)に示すように、径大部31は、軸部11を電極9の突出方向L1から圧力を加えてその一部を電極9の半径方向L2に径大(突出)させて形成されてもよい。この径大部31における第1の掛止部32は、軸部11から半径方向L2に突出し、最も半径方向L2から離間した部分より軸部11側の範囲の部分であり、接触部33は、軸部11から半径方向L2に最も突出した部分である。これらの径大部は、電極の表面積を軸部のみの場合と比べて増加させてその放熱面積を増加させ、又は、電極の体積を軸部のみの場合と比べて増加させてその熱容量を増加させることによって、放熱効率の向上に寄与する。よって、放電管2が発熱することにより発光しにくくなるのを抑制することができる。
【0049】
また、上記実施形態に係る放電管2において、電極9は、ガラスバルブ8の長手方向L1に沿って所定の長さを有して径大となる径大部12を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、径大部は、電極の半径方向の内側に凹んだ凹部を備えていてもよい。具体的には、図7(b)に示すように、凹部34は、円柱状に形成された円柱部に対して、当該円柱部の長手方向L1に沿って一端部から他端部まで連続して形成された1以上の溝であってもよい。また、図7(c)に示すように、凹部35は、円柱状に形成された円柱部に対して、周方向に連続して形成された1以上の溝であってもよい。また、凹部は、径大部の表面(段差部又は周面)の一部に形成された(有底の)穴や、(貫通した)孔であってもよい。これらの凹部は、電極の表面積を径大部及び軸部のみの場合と比べて増加させてその放熱面積を増加させる。よって、放電管2が発熱することにより、発光しにくくなるのを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る放電管及び発光装置は、希ガスが封入された筒状のガラスバルブと、該ガラスバルブの少なくとも一端部からガラスバルブの長手方向に沿って突出し、所定の半径を有する電極と、該電極に接続可能なコネクタと、を備える放電管であって、電極は、ガラスバルブの長手方向に沿って所定の長さを有して径大となる径大部を備え、該径大部は、電極の半径方向に段差を形成する段差部と、電極の半径方向における周面と、を有し、段差部は、コネクタを掛止する第1の掛止部を有し、周面は、コネクタを接触させる接触部を有し、コネクタは、電極を内部に挿入可能な筒形状のコネクタ本体と、電極がコネクタ本体の筒心方向に挿入される状態で電極の第1の掛止部を掛止する第2の掛止部と、コネクタ本体と電極の接触部とを電気的に接続する接続部と、を備える構成を有することによって、ハンダを用いることなく、電極に接続することができるコネクタを有することが必要な用途にも適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 光照射治療・予防装置(発光装置)
2 放電管
8 ガラスバルブ
9 電極
10 コネクタ
11 軸部
12 径大部(円柱部)
14 第1の掛止部
15 接触部
16 コネクタ本体
17 第2の掛止部
18 接続部
19 筒部
20 第1の開口部
21 第2の開口部
L1 (ガラスバルブの)長手方向((電極の)突出方向)
L2 (電極の)半径方向
L3 (コネクタ本体の)筒心方向
L4 (コネクタ本体の)半径方向
S1 (径大部の)段差部(円柱部の端面)
S2 (径大部の)周面(円柱部の周面)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
希ガスが封入された筒状のガラスバルブと、該ガラスバルブの少なくとも一端部からガラスバルブの長手方向に沿って突出し、所定の半径を有する電極と、該電極に接続可能なコネクタと、を備える放電管であって、電極は、ガラスバルブの長手方向に沿って所定の長さを有して径大となる径大部を備え、該径大部は、電極の半径方向に段差を形成する段差部と、電極の半径方向における周面と、を有し、段差部は、コネクタを掛止する第1の掛止部を有し、周面は、コネクタを接触させる接触部を有し、コネクタは、電極を内部に挿入可能な筒形状のコネクタ本体と、電極がコネクタ本体の筒心方向に挿入される状態で電極の第1の掛止部を掛止する第2の掛止部と、コネクタ本体と電極の接触部とを電気的に接続する接続部と、を備えることを特徴とする放電管。
【請求項2】
径大部は、電極の突出方向に長尺な円柱形状を有し、該円柱形状における段差部に第1の掛止部を有し、円柱形状における周面に接触部を有する請求項1に記載の放電管。
【請求項3】
接続部は、電極の接触部と接触した状態において弾性変形することによって接触部に押圧されるように、コネクタ本体の内方に突出して構成される請求項1又は請求項2に記載の放電管。
【請求項4】
径大部は、電極の半径方向の内側に凹んだ凹部を備える請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の放電管。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の放電管を備えたことを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−37830(P2013−37830A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171577(P2011−171577)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】