説明

文字板

【課題】照明ムラを改善するために生地板の背後に装備される網点印刷体が光輝される指標内に写り込むことがない文字板を提供すること。
【解決手段】光透過性材料で形成された意匠部5を有した生地板31と、意匠部5の周囲を覆うように生地板31の背面に印刷形成された遮光性の意匠枠37と、意匠部5の照明ムラを改善するために生地板31の背後に配置される網点印刷体41とを備え、該網点印刷体41の背後からの光照射によって、意匠部5を生地板31の前面側に光輝させる文字板7において、生地板31の背面側に入射光を拡散する光拡散板を配置し、この光拡散板の背面に網点印刷体41を形成したことで、網点印刷体41が光輝される指標3,4内に写り込むことを防止して、見栄えを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両等に搭載される速度計などの表示装置に使用されて、該表示装置内の目盛や文字などの意匠部を光輝表示する文字板に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、車両に搭載される速度計に使用される文字板の従来例を示したものである。なお、この種の技術は、下記特許文献1にも記載されている。
図4に示した文字板101は、光透過性材料(透明材料)で目盛や文字などの指標103により構成される意匠部105aを有した生地板105と、この生地板105の表面に積層処理される所定の光透過率のスモーク層107と、生地板105の背後に適宜離間距離Lを隔てて配置される光拡散板109とを備えている。
【0003】
生地板105の背面には、意匠部105aの周囲を覆うように、遮光性の意匠枠111が印刷形成されている。この意匠枠111は、不透明な黒色インク等の印刷により形成されている。
【0004】
図示の指標103は、数字の「4」である。
【0005】
生地板105は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂などの光透過性のある材料で形成されている。
【0006】
意匠部105aを構成する指標103は、生地板105の背面領域で、意匠枠111を印刷しない領域に、光透過性のインク等によって所定色(例えば、白色)の着色層113を形成することで、所望の発色を得るようにしている。
意匠部105aの発色は、着色層113の着色を変更することで、任意色に変更することができる。
【0007】
上記の意匠部105aを構成している指標103は、光拡散板109の背後に配置される不図示の光源からの光照射によって光輝される。
生地板105の表面に設けられたスモーク層107は、光源からの光照射が無いときに、指標103を見えにくくすることにより、光源消灯時における意匠性を向上させるものである。
【0008】
上記の文字板101では、意匠部105aの照明ムラを改善するために、生地板105の背後に、不透明なインク等による網点印刷体115が備えられる。
従来の場合、上記網点印刷体115は、意匠枠111と同様に、生地板105の背面に直接印刷されている。
【0009】
【特許文献1】特開2008−139087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記の文字板101では、光源からの光照射によって指標103が光輝される時には、意匠枠111と同一階層に印刷されている網点印刷体115自体の黒点像115aが、指標103内に写ってしまい、指標103の見栄えが低下するという問題があった。
【0011】
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、照明ムラを改善するために生地板の背後に装備される網点印刷体の像が光輝される指標内に写ることがなく、網点印刷体の写り込みによる見栄えの低下が生じない文字板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 光透過性材料により目盛や文字などの指標を形成された意匠部を有した生地板と、
前記意匠部の周囲を覆うように前記生地板の背面に印刷形成された遮光性の意匠枠と、
前記意匠部の照明ムラを改善するために前記生地板の背後に配置される網点印刷体とを備え、
当該網点印刷体の背後から光を照射することにより、前記意匠部が前記生地板の前面側に向けて光輝される文字板であって、
前記生地板の背面側に、入射光を拡散する光拡散板が配置され、当該光拡散板の背面に前記網点印刷体が形成されたことを特徴とする文字板。
【0013】
(2) 前記光拡散板は、空隙を介して前記生地板の背面側に配置されていることを特徴とする前記(1)に記載の文字板。
【0014】
上記(1)の構成によれば、意匠部の指標を光照射によって前記生地板の前面側に光輝させるときには、網点印刷体を透過する照明により発生する網点印刷体自体の黒点像は、光拡散板における拡散作用により拡散消滅するため、照明ムラを改善するために生地板の背後に装備される網点印刷体の像が光輝される指標内に写ることがなくなる。
従って、上記の文字板を使用する表示装置等では、網点印刷体によって意匠部の照明ムラを抑えて、意匠部の指標をムラ無く光輝させることができ、その一方、網点印刷体の写り込みによって指標の見栄えが低下することを無くして、見栄えの良い指標の表示が実現できる。
【0015】
上記(2)の構成によれば、光拡散板が、空隙を介して前記生地板の背面側に配置されていることにより、光拡散板から生地板に達する光の拡散効果がより向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による文字板によれば、照明ムラを改善するために生地板の背後に装備される網点印刷体の像が光輝される指標内に写ることがなくなり、網点印刷体の像の写り込みによる見栄えの低下を防止して、見栄えの良い指標の表示を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る文字板の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る文字板を使用した表示装置の一実施の形態の正面図、図2は図1に示した表示装置の縦断面図、図3(a)は図1に示した文字板のB部の拡大図、図3(b)は(a)のC−C断面図である。
【0018】
図1及び図2に示した表示装置1は、車両に搭載されてその車両の走行速度の表示を行う速度計であり、円形に形成されてその外周縁の円周方向に速度表示用の指標3,4からなる意匠部5を有した文字板7と、この文字板7の表面に沿って回動して意匠部5の指標3,4を指示する指針9と、文字板7の意匠部5の周囲を縁取るように文字板7の表面側に装備される装飾リング11と、文字板7及び装飾リング11をその背面側から支持するケース13と、文字板7及び指針9及び装飾リング11の前方を覆うようにケース13の前面側に取り付けられる表ガラス15と、ケース13の背面側に取り付けられた回路基板17と、この回路基板17上に装備されて指針9の回動量を制御する内機(ムーブメント)19と、文字板7に対向する回路基板17上に装備されて文字板7に照明光を照射する光源21と、回路基板17や内機19を覆うようにケース13の背面側に取り付けられる裏カバー23とで構成されている。
【0019】
ケース13には、文字板7を取り付けるための円形の窪み13aや、光源21の出射する光を文字板7側に配光する反射部13bが一体形成されている。
【0020】
意匠部5を構成している指標3は、速度表示用の目盛である。また、指標4は、目盛に対応した速度を示す数値文字である。
【0021】
本実施形態の文字板7は、図3に示すように、前述の意匠部5を有した生地板31と、この生地板31の表面に積層処理される所定の光透過率のスモーク層33と、生地板31の背後に適宜離間距離Lを隔てて配置される光拡散板35とを備えている。
【0022】
生地板31の背面には、意匠部5を構成している指標3,4の周囲を覆うように、遮光性の意匠枠37が印刷形成されている。この意匠枠37は、不透明な黒色インク等の印刷により形成されている。
【0023】
図3(a)に示した指標4は、数字の「4」である。
【0024】
生地板31は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂などの光透過性のある材料で形成されている。
【0025】
意匠部5を構成している指標3,4は、生地板31の背面領域で、意匠枠37を印刷しない領域に、光透過性のインク等によって所定色(例えば、白色)の着色層39を形成することで、所望の発色を得るようにしている。
意匠部5の発色は、着色層39の着色を変更することで、任意色に変更することができる。
【0026】
上記の意匠部5に形成した指標3,4は、光拡散板35の背後に配置された光源21からの光照射によって光輝される。
【0027】
生地板31の表面に設けられたスモーク層33は、光源21からの光照射が無いときに、指標3,4を見えにくくすることにより、光源21の消灯時における表示装置1の意匠性を向上させるものである。
【0028】
上記の文字板7では、意匠部5を構成している各指標3,4の照明ムラを改善するために、生地板31の背後に、不透明なインク等による網点印刷体41が備えられている。
そして,本実施形態の場合、上記網点印刷体41は、光拡散板35の背面に印刷されている。光拡散板35は、光源21からの入射光を拡散させる上で必要な光学特性を備えた半透明な板材である。また、光拡散板35は、生地板31から空隙を介して配置されている。すなわち、光拡散板35は、指標3,4を提供する着色層39から適宜離間距離sを隔てて配置されている。光拡散板35が、生地板31の着色層39から距離sを隔てて配置されていることにより、光拡散板35から生地板31に達する光の拡散効果がより向上する。
【0029】
以上に説明した文字板7では、光源21からの意匠部5の指標3,4を光照射によって生地板31の前面側に光輝させるときには、網点印刷体41を透過する照明により発生する網点印刷体41自体の黒点像は、光拡散板における拡散作用により拡散消滅するため、照明ムラを改善するために生地板31の背後に装備される網点印刷体41の像が光輝される指標3,4内に写ることがなくなる。
従って、上記の文字板7を使用する表示装置1では、網点印刷体41によって意匠部5の照明ムラを抑えて、意匠部5の指標3,4をムラ無く光輝させることができ、その一方、網点印刷体41の写り込みによって指標3,4の見栄えが低下することを無くして、見栄えの良い指標3,4の表示が実現できる。
【0030】
なお、本発明の文字板が使用される表示装置は、上記実施形態に示した速度計に限らない。
例えば、車両に搭載されるタコメータや、燃料残量計、水温計などの各種の表示装置における文字板に使用することで、これらの表示装置の見栄えを向上させることができ、また車両に搭載される表示装置以外でも、光輝させる意匠部を有する各種の文字板に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る文字板を使用した表示装置の一実施の形態の正面図である。
【図2】図1に示した表示装置の縦断面図である。
【図3】(a)図1に示した文字板のB部の拡大図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図4】(a)従来の文字板の正面図、(b)のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 表示装置
3 指標
4 指標
5 意匠部
7 文字板
9 指針
11 装飾リング
13 ケース
15 表ガラス
17 回路基板
21 光源
23 裏カバー
31 生地板
33 スモーク層
35 光拡散板
39 着色層
41 網点印刷体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性材料により目盛や文字などの指標を形成された意匠部を有した生地板と、
前記意匠部の周囲を覆うように前記生地板の背面に印刷形成された遮光性の意匠枠と、
前記意匠部の照明ムラを改善するために前記生地板の背後に配置される網点印刷体とを備え、
当該網点印刷体の背後から光を照射することにより、前記意匠部が前記生地板の前面側に向けて光輝される文字板であって、
前記生地板の背面側に、入射光を拡散する光拡散板が配置され、当該光拡散板の背面に前記網点印刷体が形成されたことを特徴とする文字板。
【請求項2】
前記光拡散板は、空隙を介して前記生地板の背面側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の文字板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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