説明

断裁装置及び画像形成装置

【課題】 断裁装置の断裁刃の刃面に帯電等により付着した断裁屑を確実に掻き落とし、シート束に付着したり、装置内部に侵入して動作不良を起こすことを防止する。
【解決手段】 断裁装置の断裁刃の刃面に溝を設けて溝に掻き落とし部材を入り込ませて掻き落とすことにより、断裁屑の付着力が大きいときでも断裁刃から断裁屑を掻き落とすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断裁装置及び画像形成装置に関し、特にシートあるいは複数枚のシートからなるシート束に断裁処理を施す断裁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のシートを束ねたシート束からなる冊子を所定の断裁位置まで搬送して断裁する断裁装置において、冊子の端部を切り揃える際の断裁代が小さい場合、断裁屑が静電気により断裁刃(とくに刃先部分)に付着することがあった。
【0003】
このような断裁刃に付着した断裁屑は、屑収集部に収集されず、何らかのタイミングで断裁刃から剥がれて冊子の搬送経路に落下し、落下した断裁屑が装置内に侵入し、装置の動作不良を引き起こすことがあった。
【0004】
また、搬送経路に落下し、搬送される冊子に付着して冊子積載部に搬送される可能性がある。このため、積載された冊子の見栄えが低下し、また、冊子から断裁屑を取り除くといった不必要な作業が発生していた。
【0005】
この対策として、回転するパドルを断裁刃に押し当てて断裁刃から断裁屑を除去する方法が考えられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−331091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のパドルによる断裁屑の除去だと、パドルと断裁屑の間に発生する摩擦による掻き落とし力よりも、断裁刃と断裁屑の付着力の方が大きい場合、パドルを断裁刃に押し当てて回転するだけでは十分に断裁屑を除去することができないおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、断裁屑の断裁刃への付着力が大きい場合でも確実に断裁屑を除去することのできる断裁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願は、シートあるいはシート束を断裁する断裁装置において、断裁方向に延びる溝を有し、前記断裁方向に移動してシートあるいはシート束を断裁する断裁刃と、前記断裁刃の溝に入り込み、断裁屑を掻き落とす掻き落とし部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、断裁刃に断裁屑が付着しても断裁刃の溝に掻き落とし部材を入り込ませて掻き落とすので、断裁屑を断裁刃から引き剥がし、確実に断裁屑を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る断裁装置を備えた画像形成装置を説明する図。
【図2】上記断裁装置を説明する図。
【図3】上記断裁装置のトリム部を説明する図。
【図4】上記断裁装置のトリム部を説明する斜視図。
【図5】上記断裁装置の断裁刃を説明する図。
【図6】上記画像形成装置の制御ブロック図。
【図7】上記断裁装置の制御ブロック図。
【図8】上記断裁装置の断裁動作を説明するフローチャート。
【図9】上記断裁装置の断裁動作を説明する図。
【図10】上記断裁装置の断裁動作を説明する図。
【図11】上記断裁装置の断裁動作を説明する図。
【図12】上記断裁装置の断裁刃を説明する図。
【図13】断裁処理前後のシート束を示す図。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る断裁装置を説明する図。
【図15】上記断裁装置の制御ブロック図。
【図16】上記断裁装置の断裁動作を説明する図。
【図17】上記断裁装置の断裁動作を説明する図。
【図18】上記断裁装置の断裁動作を説明する図。
【図19】上記断裁装置の断裁動作を説明するフローチャート。
【図20】本発明の他の実施形態に係る断裁装置の断裁動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るシート処理装置を備えた画像形成装置としての複写装置1000の内部構造を示す断面図である。複写装置1000は、原稿給送部100、イメージリーダ部200及びプリンタ部300、折り処理部400、フィニッシャ500、中綴じ製本部800、インサータ900等を有する。上記折り処理部400、中綴じ製本部800、インサータ900等は、オプションとして装備することができる。
【0014】
図1に示すように、原稿給送部100のトレイ1001上には、ユーザから見て通常向きで、且つ、フェイスアップ状態(画像が形成されている面が上向きの状態)で原稿がセットされているものとし、原稿の綴じ位置は、原稿の左端部に位置するものとする。トレイ1001上にセットされた原稿は、原稿給送部100により先頭頁から順に1枚ずつ左方向(図の矢印方向)、即ち、綴じ位置を先端にして搬送される。そして、更に原稿は、湾曲したパスを介してプラテンガラス102上を図中左方向から右方向へ搬送され、その後排紙トレイ112上に排出される。なお、この際、スキャナユニット104は、所定の位置に保持された状態にあり、スキャナユニット104上を原稿が左から右へと通過することにより原稿の読取処理が行われる。上述した読み取り方法を原稿流し読みとする。原稿がプラテンガラス102上を通過する際、原稿は、スキャナユニット104のランプ103により照射され、その原稿からの反射光がミラー105,106,107、レンズ108を介してイメージセンサ109に導かれる。
【0015】
なお、原稿給送部100により搬送した原稿をプラテンガラス102上に一旦停止させ、その状態でスキャナユニット104を左から右へと移動させることにより原稿の読取処理を行うこともできる。この読み取り方法を原稿固定読みとする。原稿給送部100を使用しないで原稿の読み取りを行わせる場合、ユーザは、原稿給送部100を持ち上げ、プラテンガラス102上に原稿をセットする。この場合、上述した原稿固定読みが行なわれる。
【0016】
イメージセンサ109により読み取られた原稿の画像データは、所定の画像処理が施されて露光制御部110へ送られる。露光制御部110は、画像信号に応じたレーザ光を出力する。レーザ光は、ポリゴンミラー110aにより走査されながら感光体ドラム111上に照射される。感光体ドラム111上には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。
【0017】
感光体ドラム111上に形成された静電潜像は、現像器113により現像され、トナー像として可視化される。一方、記録紙は、カセット114、115、手差し給紙部125、両面搬送パス124の何れかから転写部116へ搬送される。そして、可視化されたトナー像が転写部116において記録紙に転写される。感光体ドラム111、現像器113、及び転写部116は画像形成部を構成する。転写後の記録紙は、定着部177にて定着処理が施される。
【0018】
そして、定着部177を通過した記録紙を切替部材121により一旦パス122に導き、記録紙の後端が切替部材121を抜けた後に、スイッチバックさせ、切替部材121により排出ローラ118へ搬送する。そして、排出ローラ118により記録紙をプリンタ部300から排出する。これによりトナー像が形成された面を下向きの状態(フェイスダウン)でプリンタ部300から排出できる。これを反転排紙と称する。
【0019】
フェイスダウンで記録紙を機外に排出することにより、先頭頁から順に画像形成処理を行う場合、例えば、原稿給送部100を使用して画像形成処理を行う場合や、コンピュータからの画像データに対する画像形成処理を行う場合に頁順序を揃えることができる。
【0020】
また、シートの両面に画像形成処理を行う場合は、シートを定着部177からまっすぐ排出ローラ118へと導き、シートの後端が切替部材121を抜けた直後にシートをスイッチバックし、切替部材121によりさらに両面搬送パスへと導く。
【0021】
次に、折り処理部400及びフィニッシャ500の構成について、図1、図2を参照ながら説明する。
【0022】
折り処理部400は、プリンタ部300から排出されたシートを導入し、フィニッシャ500側に導くための搬送パス131を有する。搬送パス131上には、搬送ローラ対130及び排出ローラ対133が設けられている。また、排出ローラ対133の近傍に設けられた切替部材135は、搬送ローラ対130により搬送されたシートを折りパス136またはフィニッシャ500側に導くためのものである。
【0023】
シートの折り処理を行う場合、切替部材135を折りパス136側に切り替え、シートを折りパス136に導く。折りパス136に導かれたシートは、折りローラ140まで搬送され、Z型に折り畳まれる。一方、折り処理を行わない場合は、切替部材135をフィニッシャ500側に切り替え、プリンタ部300から排出されたシートを、搬送パス131を介して、直接送り込む。
【0024】
折りパス136を搬送されたシートは、ストッパ137に先端を突き当てることで形成されるループが、折りローラ140,141により折られる。この折り曲げ部を、上方のストッパ143に突き当てることで形成された部ループを、折りローラ141,142により更に折ることで、シートは、Z折りされる。このZ折りシートは、搬送パス145を介して搬送パス131に送られ、排出ローラ対133により下流側に付設されたフィニッシャ500に排出される。なお、折り処理部400による折り処理動作は選択的に行われる。
【0025】
フィニッシャ500は、折り処理部400を介して搬送されたプリンタ部300から取り込んだ複数のシートを整合して、1つのシート束として束ねる処理、シート束をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、ソート処理、ノンソート処理等を行う。
【0026】
図2は、シート処理装置の本発明に係る要部を説明する図である。
図2に示すように、フィニッシャ500は、折り処理部400を介して搬送されたシートを装置内部に取り込むための搬送パス520が有り、搬送パス520には、複数の搬送ローラ対が設けられている。
【0027】
搬送パス520の途中にはパンチユニット530が設けられており、パンチユニット530は必要に応じて動作を行い、搬送されるシートの後端部に穴あけ(穿孔)処理を行う。
【0028】
搬送パス520の終端に設けられた切替部材513は、シート搬送方向下流に繋がれた上排紙パス521と下排紙パス522とにシートの搬送経路を切り替えるものである。上排紙パス521は、上スタックトレイへの排紙を行う。一方、下排紙パス522は、処理トレイ550への排紙を行う。処理トレイ550に排出されるシートは順次整合処理されながら束状に収容され、操作部1からの設定に応じて、仕分け処理やステイプル処理が行われる。その後、処理が行われたシート束は束排紙ローラ対551によりスタックトレイ700、701に排出される。
【0029】
なお、上述したステイプル処理はステイプラ560により行われるものであり、ステイプラ560はシート搬送方向と直交する幅方向に移動可能となっており、シートの任意の位置にステイプルすることができる。スタックトレイ700、701は鉛直方向の上下に移動可能に構成されており、上側のスタックトレイ701は上排紙パス521と処理トレイ550からのシートを、また、下側のスタックトレイ700は、処理トレイ550からのシートを受け取ることができる。このようにして、スタックトレイ700、701には大量のシートを積載することができ、積載されたシートはその後端を鉛直方向の上下に伸びる後端ガイド710に規制されて整列される。
【0030】
図2に示されるインサータ900は、ユーザによりインサートトレイ901、902にセットされたシートを、プリンタ部300を通さずに、スタックトレイ701、スタックトレイ700、排出トレイ850のいずれかに給送するためのものである。インサートトレイ901、902上に積載されたシート束は、1枚ずつ順次分離され、所望のタイミングで搬送パス520に合流する。
【0031】
次に、中綴じ製本部800の構成を説明する。
図2に示すように、下排紙パス522の途中に設けられた切替部材514により、図中右側に切り替えられたシートは、排紙パス523を通過して、中綴じ製本部800へ送られる。シートは入口ローラ対801に受け渡され、サイズに応じてソレノイドにより動作する切替部材802により搬入口を選択されて、中綴じ製本部800の収納ガイド803内に搬入さる。搬入されたシートは滑りローラ804により先端が可動式の位置決め部材805に接するまで搬送される。入口ローラ対801と滑りローラ804はモータM1により駆動される。また、収納ガイド803の途中位置には、収納ガイド803を挟んで対向配置されたステイプラ820が設けられている。ステイプラ820は、針を突き出すドライバー820aと突き出された針を折り曲げるアンビル820bとに分割されている。なお、位置決め部材805は、シート搬入時において、シートのシート搬送方向の中央部が、このステイプラ820の綴じ位置になる位置で停止する。位置決め部材805は、モータM2の駆動を受けて移動自在であり、シートサイズに応じて停止位置を変える。
【0032】
ステイプラ820のシート搬送方向下流には、折りローラ対810a,810bが設けられており、折りローラ対810a,810bのニップの対向位置には、突き出し部材830が設けられている。この突き出し部材830は、収納ガイド803から退避した位置をホームポジションとしていて、モータM3の駆動により収納されたシート束に向けて突き出すことにより、折りローラ対810a,810bのニップにシート束を押し込みながら折り畳むものである。突き出し部材830はその後、再びホームポジションに戻る。なお、折りローラ対810間には、不図示のバネによりシート束に折り目付けをするのに充分な圧がかけられている。折り目付けされたシート束は、第1搬送ローラ対811a、811b、第2搬送ローラ対812a、812bを介して、排出トレイ850に排出される。第1搬送ローラ対811、及び第2搬送ローラ対812にも充分な圧がかけられ、折り目付けされたシート束にさらに圧をかけながら搬送、停止させる。
【0033】
折りローラ対810、第1搬送ローラ対811、第2搬送ローラ対812は、同一のモータM4(不図示)により等速回転する。
【0034】
また、ステイプラ820で綴じられたシート束を折り畳む場合は、ステイプル処理終了後に、シート束のステイプル位置が折りローラ対810のニップ位置にくるように、位置決め部材805を、ステイプル処理位置から所定距離降下させる。これによりステイプル処理を施した位置を中心にしてシート束を折り畳むことができる。
【0035】
また、整合板対815は、折りローラ対810a,810bの外周面の外側を回り込みながら収納ガイド803に突き出した面を有し、収納ガイド803に収納されたシートを整合する。整合板対815は、モータM5の駆動を受けて、シートを挟みこむ方向に移動することによって、シートの幅方向の位置決めを行う。
【0036】
そして、前記第2搬送ローラ対812の下流には、排出トレイ850と空間的に重なってプレスユニット860が設けられている。このプレスユニット860は、プレスローラ対861を備え、プレスローラ対861によりシート束の折り目をニップし、シート束の折り目に沿って幅方向に移動することで、折り目を強化するものである。このようにして、複数枚のシートからなるシート束を折り畳んで冊子が形成される。
【0037】
次に、冊子の端部を断裁するトリマーユニット600について説明する。
【0038】
トリマーユニット600には、図2に示すように、シート搬送方向上流から順番に、第1搬送部610、第2搬送部620、トリム部630、第3搬送部640、第4搬送部650、排紙部660が配置されている。
【0039】
第1搬送部610は、中綴じ製本部800から折りシート束の下面を支持する下搬送ベルト611と、下搬送ベルト611の両側に配設されたサイドガイド612を備え、サイドガイド612が幅方向に動作することで、シート束の斜行を修正することができる。また、サイドガイド612にはシート束の開きを防止する押さえガイド614が配設されており、第2搬送部620にスムーズにシート束の受け渡しをできるようになっている。押さえガイド614のシート搬送方向上流および下流にはそれぞれ、シート束の有無を検知する第1入口センサ615、第1出口センサ616が配設されている。下搬送ベルト611の両側には搬送爪613が配設されている。搬送爪613は、シート搬送方向に移動が可能であり、第2搬送部に受け渡すために下搬送ベルト611と同じ速度で移動する。下搬送ベルト611とシート束との間にすべりが生じた場合は、搬送爪613がシート束のシート搬送方向上流端と接触し、シート束の上流端を押しながら確実に搬送する。
【0040】
次に、図3、図4を用いてトリム部630の構成について説明する。説明のため、第3搬送部付近のみの部品を示し、上側の搬送ベルト等を省略してある。
【0041】
第2、第3搬送部は、図3に示すように、一対の搬送ベルト621および622、645および646を備え、各搬送部の上下の搬送ベルトは、同一のモータによって駆動され、同一の搬送速度となるよう構成されている。第2搬送部620の挟持部ニップJのシート搬送方向下流には第2入口センサ623が配設され、第2搬送部に冊子が受け渡されたことを検知するようになっている。第3搬送部640には、出没可能で、シート搬送方向にも移動可能なストッパ641が配設されている。ストッパ641は、K部を回動中心としてカム642、648を介し、モータによって駆動され、搬送経路に対して突出、退避が可能である。また、ストッパ641はスライドブロック643に搭載され、スライドガイド644に沿って不図示のモータにより駆動される。そして、シート束のシート搬送方向長さやシート束の停止位置に応じて移動する。
【0042】
第4搬送部は、上下一対の搬送ベルト655および656を備え、これらの搬送ベルトは、同一のモータによって駆動され、同一の搬送速度で回転するように構成されている。この第4搬送部は、シート束を上方に搬送する。
【0043】
図4に示すように、トリム部630には、カッターユニット631が搬送経路と直交方向に移動可能に配設されている。カッターユニット631は不図示のモータによって駆動され、リンク637によって搬送面に垂直に上下動する。カッターユニット631には押さえ部材632、及び断裁刃としての上刃633が配設され、カッターユニット631が下降する際、押さえ部材632が先行してシート束に当接する。押さえ部材632は、不図示のバネによって搬送面に向かって付勢されており、カッターユニット631がさらに下降すると、押さえ部材632がシート束を挟持した状態でバネを撓めながら、今度は上刃633がシート束に当接する。さらに下降する上刃633とシート束を挟んで反対側に固定して設けられた固定刃としての下刃634によって、シート束を断裁することができる。
【0044】
さらに、上刃633の近傍には掻き落としブレード672が配設されている。図5に示すように、上刃633のテーパ部681(刃先682と段差部683に挟まれた部分)には上刃633が移動する断裁方向に延びる複数の溝671a〜dが設けられており、断裁動作時に掻き落としブレード672(図3)の先端が入り込むようになっている。そして、上刃633が上方に戻る際に、テーパ部681の溝671a〜dの中を段差部683から刃先682に向けて掻き落としブレード672が摺擦する。掻き落としブレード672は導電性の弾性体であり、テーパ部681に密着しやすく、帯電した断裁屑が付着しにくくなっている。このように、掻き落とし部材を弾性部材とすることで、断裁刃に確実に当てることができる。
【0045】
また、カッターユニット631の下方には屑箱635が配置され、カッターユニット631によって断裁された屑を収納する。
【0046】
また、カッターユニット631の下降に合わせて断裁屑の屑箱635への通過経路を開閉するシャッター625がカッターユニット631に設けられている。そして、カッターユニット631の断裁動作時には、シート束の搬送領域外に設けられたカム636によってシャッター625が押され、支点Qを中心として第2搬送部のシート搬送方向下流で回動する。シャッター625は、カム636で押されていないときは、不図示のねじりコイルバネによって付勢され、搬送ベルト622と下刃634を繋ぐ搬送ガイドとなり、断裁屑の屑箱635への通過経路を閉鎖している。
【0047】
シート搬送方向の最下流に排紙部660が配置され、第4搬送部650によって搬送されてくるシート束を積載する。
【0048】
図6は、複写装置1000のブロック図である。CPU回路部150は、CPU(不図示)を有する。そして、ROM151に格納された制御プログラム及び操作部1の設定に従い、原稿給送制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、プリンタ制御部301、折り処理制御部401、フィニッシャ制御部501、外部I/F203を制御する。そして、原稿給送制御部101は原稿給送部100を、イメージリーダ制御部201はイメージリーダ部200を、プリンタ制御部301はプリンタ部300を制御する。さらに、折り処理制御部401は折り処理部400を、フィニッシャ制御部501はフィニッシャ500、中綴じ製本部800、インサータ900を、トリマー制御部601はフィニッシャ制御部501からの指令に基づきトリマーユニット600を制御する。
【0049】
操作部1は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー、設定状態を表示するための表示部等を有し、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力する。そして、CPU回路部150からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
【0050】
RAM152は、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部I/F203は、複写装置1000と外部のコンピュータ204とのインタフェースであり、コンピュータ204からのプリントデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部202へ出力する。また、イメージリーダ制御部201から画像信号制御部202へは、イメージセンサ(不図示)で読み取った原稿の画像が出力される。プリンタ制御部301は、画像信号制御部202からの画像データを露光制御部(不図示)へ出力する。
【0051】
次に、本実施の形態のトリマーユニット600におけるシート断裁動作について、シート束の流れと共に各部の動作を説明する。
【0052】
図7はトリマー制御部601のブロック図であり、トリマー制御部601は各駆動モータを制御するようになっている。以下、トリマーユニット600における断裁動作を、図8のフローチャートに沿って説明する。
【0053】
プレスユニット860で折り強化されたシート束は、搬送が再開され、トリマーユニット600の第1搬送部610へ受け渡される。第1搬送部610の下搬送ベルト611が駆動モータM11(図7)によって回転し、シート束を搬送し、第1出口センサ616でシート束を検知した後、搬送を一旦停止する。その後、搬送経路の両側に配設されたサイドガイド612が駆動モータM12により駆動されて整合動作を行う。その後、第1搬送部の上流に配置された搬送爪613と下搬送ベルト611によって、シート束の搬送が再開される。搬送爪613は駆動モータM13で駆動される。そして、第2搬送部620の挟持部ニップJに配設された第2入口センサ623でシート束を検知すると搬送爪613は搬送上流に退避する。
【0054】
シート束のシート搬送方向下流端は第2搬送部620から、トリム部630を通過し、第3搬送部640へと搬送される(STEP1)。第2、第3搬送部の搬送ベルトは駆動モータM14で駆動される。
【0055】
第3搬送部640では、搬送されるシート束のサイズ、断裁量に応じて駆動モータM16により所定位置にストッパ641が停止し、駆動モータM17により予め搬送経路上に突出している。そして、搬送されたシート束のシート搬送方向下流端は、ストッパ641に当接して停止し、シート検知センサ647によって検知される(STEP2)。
【0056】
図9は、シート束のシート搬送方向下流端がストッパ641に当接して停止した状態の図である。その後、第3搬送部の搬送ベルトが停止(STEP3)し、図10に示すように、トリム部630のカッターユニット631が駆動モータM18(図7)により下降を開始して、上刃633がシート束のシート搬送方向上流端を断裁加工する(STEP4)。図11は、上刃633による断裁部分を拡大した図である。カッターユニット631の下降に伴い、掻き落としブレード672がテーパ部681の溝671に入り込む。
【0057】
また、図10のように、上刃633に接続されたカム636でシャッター625が押されることで、シート束断裁前には断裁部から屑箱635までの断裁屑通過経路を開放している。カッターユニット631は、図10に示されるリンク637の可動領域最下点付近である下死点D付近で一旦停止する。その後、図9に示される初期位置(リンク637の可動領域最上点付近である上死点U)まで復帰し、図4に示される上死点検知センサ638で検知する(STEP5)ことにより停止する(STEP6)。
【0058】
カッターユニット631の下死点Dでの停止時間は、中綴じ製本部800で作成されるシート束の最小束内枚数における束間時間で間に合うように設定されている。カッターユニット631が下死点Dにおいて停止することにより、シャッター625の屑通過経路開放時間が確保され、断裁屑Gが確実に屑箱635に落下する。
【0059】
また、カッターユニット631が初期位置(上死点U)に復帰するに伴い、カム636がシャッター625から離れ、不図示のねじりコイルバネによりシャッター625が断裁屑通過経路を閉鎖する。
【0060】
さらに、図11に示すように、テーパ部681に付着した断裁屑GAは、上死点Uに上刃633が戻る際に溝671に入り込んだ掻き落としブレード672の先端によって上刃633から引き剥がされるように掻き落とされる。掻き落としブレード672は、シャッター625が閉まる前に断裁屑GAを掻き落とす位置に配設されている。
【0061】
そして、テーパ部681の溝671と掻き落としブレード672は、図12のように、上刃633の長手方向において、上刃633の端部よりも中央部に多く配設されている。これは、断裁屑GAの自重によって端部がぶら下がる傾向があるため、端部よりも中央部の方が、大きな掻き落とし力が必要だからである。このように、掻き落とし部材および断裁刃の溝を長手方向端部よりも長手方向中央に多く配設することで、断裁屑の付着しやすい長手方向中央の掻き落とし性能を向上させ、確実に断裁屑を除去することができる。
【0062】
また、溝671は、テーパ部681の刃先からの距離Yが2mm程度のところまで設けられている。これは、シート端部を断裁してきれいに仕上げるために必要な断裁量が通常2mm以上であることから決められている。また、断裁屑GAは、刃先に平行に付着することよりも斜めに付着する場合や弓なりに付着する場合が多いため、刃先から2mm程度のところまで溝671があれば、ほとんどの断裁屑GAが溝671にかかり、掻き落とせるためである。
【0063】
このように、ブレード状の掻き落とし部材を断裁刃の段差部から刃先に向かって当てるので掻き落とし部材の摺擦力に頼ることなく断裁屑を断裁刃から剥がすことができる。
【0064】
その後、ストッパ641は退避し(STEP7)、第3搬送部640の搬送が再開される(STEP8)。シート束は、第3搬送部640の下流に配設されている、第4搬送部650へ受け渡される。上述した断裁動作によって、図13(a)に示す断裁前のシート束が図13(b)に示す断裁後のシート束の形状に断裁加工される。
【0065】
第4搬送部650によって上方に搬送されたシート束は、排紙部660へ排出され、順次瓦積み状に重ねられていく。第4搬送部650によって排紙口を上部に配設することにより、ユーザのシート束の取り出し性が向上する。
【0066】
また、本実施の形態においては、掻き落としブレード672は固定であり、カッターユニット631の断裁時の上下動作により断裁屑を掻き落としているが、掻き落としブレード672をアクチュエータによって駆動してもよい。つまり、断裁屑の掻き落とし動作は、掻き落としブレード672とカッターユニット631が相対的な移動をすることによって行われる。
【0067】
(実施形態2)
次に、掻き落としブレードの代わりに回転パドルを用いて掻き落とす場合について第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0068】
図14は第2の実施形態におけるトリム部の詳細図である。トリム部630には、カッターユニット631が搬送経路と直交する方向に移動可能に配設されている。カッターユニット631は、モータM18(図7)によって駆動され、リンク637によって搬送面に垂直に上下動する。カッターユニット631には押さえ部材632、上刃633が配設され、カッターユニット631が下降する際、押さえ部材632が先行してシート束に当接する。押さえ部材632は、不図示のバネによって搬送面に向かって付勢されおり、カッターユニット631がさらに下降すると、押さえ部材632がシート束を挟持した状態でバネを撓めながら、今度は上刃633がシート束に当接する。さらに下降する上刃633と固定された下刃634によって、シート束を断裁することができる。
【0069】
また、カッターユニット631の下方には屑箱635が配置され、カッターユニット631によって断裁された屑を収納する。
【0070】
また、カッターユニット631の下降に合わせて断裁屑の屑箱635への通過経路を開閉するシャッター625がカッターユニット631に設けられている。そして、カッターユニット631の断裁動作時には、シート束の搬送領域外に設けられたカム636によってシャッター625が押され、支点Qを中心として第2搬送部のシート搬送方向下流で回動する。シャッター625は、カム636で押されていないときは、不図示のねじりコイルバネによって付勢され、搬送ベルト622と下刃634を繋ぐ搬送ガイドとなり、屑箱635への屑の通過経路を閉鎖している。
【0071】
シャッター625の近傍には回転パドル673が配設されている。図5に示すように、上刃633のテーパ部681(刃先682と段差部683に挟まれた部分)には搬送経路と直交方向に複数の溝671a〜dが設けられており、回転パドル673の先端が入り込むように設けられている。そして、後述する駆動モータM20(図15)によってテーパ部681の溝671a〜dの中を段差部683から刃先682に向けて回転パドル673が摺擦しながら回転するようになっている。このため、回転パドル673は導電性の弾性体であり、テーパ部681に密着しやすく、帯電した断裁屑が付着しにくくなっている。このように、掻き落とし部材を弾性部材とすることで、断裁刃に確実に当てることができる。
【0072】
シート搬送方向の最下流に排紙部660が配置され、第4搬送部650によって搬送されてくるシート束を積載する。
【0073】
次に、第2の実施形態におけるトリマーユニット600におけるシート断裁動作についてシート束の流れと共に各部の動作を説明する。
【0074】
図15は第2の実施形態におけるトリマー制御部601のブロック図であり、各駆動モータを制御するようになっている。以下、トリマーユニット600における断裁動作を図19のフローチャートに沿って説明する。
【0075】
第1搬送部610から搬送されてきたシート束のシート搬送方向下流端は、第2搬送部620からトリム部630を通過し、第3搬送部640へと搬送される(STEP21)。第2、第3搬送部の搬送ベルトは駆動モータM14(図15)で駆動される。
【0076】
第3搬送部640では、搬送されるシート束のサイズ、断裁量に応じて駆動モータM16により所定位置にストッパ641が停止し、駆動モータM17により予め搬送経路に突出している。そして、シート束のシート搬送方向下流端はストッパ641に当接して停止し、シート検知センサ647によって検知される(STEP22)。図16は、シート束シート搬送方向下流端がストッパ641に当接して停止した状態の図である。
【0077】
その後、第3搬送部の搬送ベルトが停止(STEP23)し、図17のように、トリム部630のカッターユニット631が駆動モータM18により下降を開始して、上刃633がシート束のシート搬送方向上流端を断裁加工する(STEP24)。
【0078】
カッターユニット631の下降に伴い、上刃633に接続されたカム636でシャッター625が押されることで、シート束断裁前には断裁部から屑箱635までの断裁屑通過経路を開放する。
【0079】
また、上刃633の断裁部分を拡大した図18に示すように、カッターユニット631の下降に伴い、回転パドル673も駆動モータM20(図15)により図中矢印(反時計)方向に回転し(STEP25)、テーパ部681の溝671に入り込む。
【0080】
カッターユニット631は、図17のリンク637の可動領域最下点付近である下死点D付近で一旦停止した後、図16に示す初期位置(リンク637の可動領域最上点付近である上死点U)まで復帰する。回転パドル673は、カッターユニット631の断裁速度よりも速い速度で溝671への当接部が移動するように回転することで、掻き落とし回数、掻き落とし力を確保している。テーパ部681に付着した断裁屑GAは、上死点Uに上刃633が戻る前までに溝671に入り込んだ回転パドル673によって付着面から引き剥がされるように掻き落とされる。
【0081】
このように、掻き落とし部材を回転パドルとすることで、断裁動作中の掻き落し動作を複数回行うことができるので確実に断裁屑を除去することができる。
【0082】
また、断裁動作より掻き落とし部材回転速度を速くすることで、断裁動作中の掻き落し力を確保できるので確実に断裁屑を除去することができる。
【0083】
図4に示される上死点検知センサ638でカッターユニット631を検知する(STEP26)ことにより回転パドル673が停止(STEP27)し、カッターユニット631も停止する(STEP28)。
【0084】
カッターユニット631の下死点Dでの停止時間は、中綴じ製本部800で作成されるシート束の最小束内枚数における束間時間で間に合うように設定されている。カッターユニット631が下死点Dにおいて停止することにより、シャッター625の断裁屑通過経路の開放時間が確保され、断裁屑GAが確実に屑箱635に落下する。また、カッターユニット631が初期位置(上死点U)に復帰するのに伴い、カム636がシャッター625から離れ、不図示のねじりコイルバネによりシャッター625が断裁屑通過経路を閉鎖する。
【0085】
その後、ストッパ641は退避し(STEP29)、第3搬送部640の搬送が再開される(STEP30)。
【0086】
シート束は、第3搬送部640の下流に配設されている、第4搬送部650へ受け渡される。上述の断裁動作によって、図13に示す(a)断裁前のシート束が(b)断裁後のシート束の形状に断裁加工される。
【0087】
上述した制御に限らず、断裁動作時のフローチャート図20のように、回転パドル673の掻き落とし動作をカッターユニット631の断裁動作の下死点D付近で一旦停止したときにすべての掻き落とし動作を行ってもよい(STEP44〜STEP50)。この場合、上刃633と下刃634が最大量オーバーラップしており、上刃633から掻き落とされた断裁屑が下刃634の刃先に付着しにくくなる。
【0088】
このように、断裁可動刃と固定刃が最大量オーバーラップした位置、すなわち、シート束の断裁が完了した位置で掻き落とすことで確実に断裁屑を除去することができる。
【符号の説明】
【0089】
600 トリマーユニット
610 第1搬送部
611 下搬送ベルト
612 サイドガイド
613 搬送爪
614 押さえガイド
615 第1入口センサ
616 第1出口センサ
620 第2搬送部
621、622搬送ベルト対
623 第2入口センサ
625 シャッター
630 トリム部
631 カッターユニット
633 上刃
634 下刃
635 屑箱
636 カム
637 リンク
638 上死点検知センサ
640 第3搬送部
641 ストッパ
645、646 搬送ベルト対
647 シート検知センサ
650 第4搬送部
660 排紙部
671 溝
672 掻き落としブレード
673 回転パドル
681 テーパ部
682 刃先
683 段差部
G、GA 断裁屑
J 搬送ベルト対ニップ入口
K 回動中心
S ステイプル針
T シート束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートあるいはシート束を断裁する断裁装置において、
断裁方向に延びる溝を有し、前記断裁方向に移動してシートあるいはシート束を断裁する断裁刃と、
前記断裁刃の溝に入り込み、断裁屑を掻き落とす掻き落とし部材と、
を備えたことを特徴とする断裁装置。
【請求項2】
前記掻き落とし部材はブレードであり、
前記ブレードは、前記断裁刃の溝に当接するように配設されることを特徴とする請求項1に記載の断裁装置。
【請求項3】
前記断裁刃と前記ブレードが相対的に動くことにより断裁屑を掻き落とすことを特徴とする請求項2に記載の断裁装置。
【請求項4】
前記掻き落とし部材は、回転パドルであり、
前記回転パドルは、前記断裁刃の溝に当接するように配設されることを特徴とする請求項1に記載の断裁装置。
【請求項5】
前記断裁刃の断裁速度よりも前記回転パドルの回転速度が速いことを特徴とする請求項4に記載の断裁装置。
【請求項6】
前記断裁刃は、断裁されるシートあるいはシート束を挟んで設けられた固定刃とともに断裁動作を行い、
前記断裁動作において前記断裁刃と前記固定刃が最大量オーバーラップした位置で前記回転パドルを回転させることを特徴とする請求項4または5に記載の断裁装置。
【請求項7】
前記掻き落とし部材は、弾性部材であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の断裁装置。
【請求項8】
前記掻き落とし部材は、導電性を有することを特徴とする請求項7に記載の断裁装置。
【請求項9】
前記掻き落とし部材は、前記断裁刃の刃先に向かって断裁屑を掻き落とすことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の断裁装置。
【請求項10】
前記断裁刃は、前記断裁刃の長手方向端部よりも中央部に溝を多く配設することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の断裁装置。
【請求項11】
シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成されたシートを断裁する請求項1から10のいずれか1項に記載の断裁装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−11272(P2011−11272A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155678(P2009−155678)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】