説明

昇降運動用踏み台

【課題】 高さを調整可能な範囲を広くしつつも、不使用時における収納スペースが嵩むことなく、また高さ調整に係る部品等の紛失を抑制することができる昇降運動用踏み台を提供する。
【解決手段】 昇降運動用踏み台10は、底部四隅に補高脚取付部15を設けた台本体11と、該補高脚取付部15に1個のみ又は2個以上が積み重ねられた状態で嵌着される所定個の補高脚とからなり、該台本体11の底部には更に該補高脚取付部15に所定個の補高脚を取り付けた状態で、残余の補高脚を保持する補高脚保持部19が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降運動に使用する踏み台に関するものであり、より詳しくは、使用者に応じて高さを調整可能にした昇降運動用踏み台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者の介護予防、肥満者のダイエットなどを目的とし、昇降運動用踏み台を使用した踏み台昇降運動が盛んに行われている。このような昇降運動用踏み台として、例えば特許文献1に記載の昇降運動用踏台は、木製踏台の底面の両端部に直方体状の木製角材片が取り付けられており、該木製角材片の向きを変えて木製踏台に取り付けることによって高さを調整している。また特許文献2に記載の昇降運動用踏台は、積み重ね可能な複数の台からなり、これら台を積み重ねる個数を変えて高さを調整している。また特許文献3に記載の踏み台は、脚部に嵌入しうる高さ調整手段を備えており、該高さ調整手段を必要に応じた個数だけ順次積み重ねて高さを調整している。
【特許文献1】実用新案登録第3097917号公報
【特許文献2】特開平10−192445号公報
【特許文献3】特開平9−313641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の踏み台においては、高さを調整可能な範囲が狭い、不使用時に収納のためのスペースが嵩む、使用していない高さ調整手段を紛失してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、高さを調整可能な範囲を広くしつつも、不使用時における収納スペースが嵩むことなく、また高さ調整に係る部品等の紛失を抑制することができる昇降運動用踏み台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の昇降運動用踏み台の発明は、底部四隅に補高脚取付部を設けた台本体と、該補高脚取付部に嵌着される所定個の補高脚とからなり、該所定個の補高脚は、必要に応じて1個のみ又は2個以上が積み重ねられた状態で該補高脚取付部に嵌着されるとともに、該台本体の底部には更に該補高脚取付部に所定個の補高脚を取り付けた状態で、残余の補高脚を保持する補高脚保持部が設けられていることを要旨とする。
上記構成によれば、所定個の補高脚が台本体の補高脚取付部に嵌着されることにより、高さ調整可能な範囲を広くすることができる。また、補高脚の積み重ねによって高さ調整を行うため、踏み台の不使用時に収納スペースが嵩みにくく、さらに使用していない残余の補高脚は、補高脚保持部に保持することができる。このため、残余の補高脚用に別の収納スペースを設ける必要がなく、収納スペースの軽減を図ることができるとともに、残余の補高脚が紛失することを抑制することができる。なお、上記の「補高脚取付部に嵌着される所定個の補高脚」という記載においては、所定個に0個を含むものとする。すなわち、補高脚取付部に嵌着される0個の補高脚とは、該台本体の該補高脚取付部に該補高脚を取り付けない状態を指している。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の昇降運動用踏み台の発明において、該補高脚は、挿入筒部と、該挿入筒部の下側に拡径形成されている収納筒部と、該収納筒部の下側に更に拡径形成されている脚筒部とからなり、該挿入筒部の上端には係合フランジが突設されており、該収納筒部の内側上部には該係合フランジが係合する係合スリットが形成されており、該収納筒部の下縁から内側上部には該補高脚の挿入筒部の係合フランジを該係合スリットに導入する縦凹溝が形成されており、上段の補高脚の収納筒部内に下段の補高脚の挿入筒部を挿入して、該挿入筒部の係合フランジを該上段の補高脚の収納筒部の係合スリットに係合するとともに、該上段の補高脚の脚筒部内に該下段の補高脚の収納筒部を嵌着することによって、上段と下段の補高脚が積み重ねられて連結され、該補高脚取付部は、該補高脚の挿入筒部を挿入するスリーブであり、該スリーブには該補高脚の挿入筒部の係合フランジが係合する係合段部と、該係合フランジを該スリーブ下縁から該係合段部に導く縦凹溝が設けられており、該補高脚保持部は、スリーブ体又はリング体であり、該補高脚保持部がスリーブ体の場合には該補高脚の挿入筒部の係合フランジが係合する係合段部が設けられており、該補高脚保持部がリング体の場合にはリング体の上縁に該補高脚の挿入筒部の係合フランジが係合されるとともに、該スリーブ体又はリング体には該係合フランジを該スリーブ体又は該リング体の下縁から該係合段部又は該リング体の上縁に導く縦凹溝が設けられていることを要旨とする。
上記構成によれば、高さ調整のために補高脚同士を連結する場合、一方の係合フランジが他方の係合スリットに係合するため、補高脚同士をしっかりと連結することができる。また、係合フランジを係合スリットに導入する縦凹溝が形成されているため、補高脚同士の連結を簡易に行うことができる。また、補高脚取付部には、補高脚の係合フランジが係合する係合段部と、該係合フランジを該係合段部に導く縦凹溝が設けられているため、台本体に補高脚を簡易かつしっかりと連結することができる。また、補高脚保持部をスリーブ体又はリング体とし、スリーブ体の係合段部又は該リング体の上縁に係合フランジが係合され、さらに該係合フランジを該係合段部又は該リング体の上縁に導く縦凹溝を設けたことにより、台本体に残余の補高脚を簡易かつしっかりと保持することができるため、補高脚を台本体に保持したまま、昇降運動用踏み台を使用して踏み台運動を行うことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高さを調整可能な範囲を広くしつつも、不使用時における収納スペースが嵩むことなく、また高さ調整に係る部品等の紛失を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の昇降運動用踏み台を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、昇降運動用踏み台10(以下、「踏み台10」と略して記載する)は、長板状をなす台本体11と、該台本体11の四隅に取り付けられた複数の補高脚12とからなる。 図2に示すように、台本体11は、足を載せる踏み板11aと、該踏み板11aの下面周縁に立設された周壁11bとを備える浅皿状に形成されている。該台本体11の底部四隅には、第1取付筒13がそれぞれ設けられており、該第1取付筒13内にスリーブ14が固定されることにより、上記補高脚12を該台本体11に取り付けるための補高脚取付部15が形成されている。また、該踏み板11aの下面には、複数の補強梁16が突設されており、これら補強梁16は台本体11を補強している。これら補強梁16の間には、スリーブ体17がそれぞれ設けられており、該スリーブ体17によって補高脚保持部19が形成されている。そして、残余の補高脚12が生じた場合には、該補高脚保持部19を用いて該残余の補高脚12を台本体11に保持することができるようになっている。
なお、補強梁16は、補高脚保持部19を形成するスリーブ体17に繋がるのみならず、補高脚取付部15を形成する第1取付筒13にも繋がっている。このため、補強梁16、補高脚取付部15及び補高脚保持部19は、これら全体で台本体11を好適に補強している。また一方、補高脚保持部19は、補強梁16の間において、これら補強梁16によって好適に支持されている。
【0009】
図3(a)は、台本体11を短手方向に沿って破断した場合における補高脚取付部15の断面図であり、図3(b)は、台本体11を長手方向に沿って破断した場合における補高脚取付部15の断面図である。該補高脚取付部15を形成するスリーブ14は、台本体11の踏み板11a側となる一端が閉塞された筒状に形成されている。該スリーブ14の閉塞された一端には、外方へ向かって接続部21が突設されている。また、該接続部21と対応する位置において、踏み板11aの下面には接続突起22が突設されている。そして、該接続突起22に該接続部21が接続されることにより、該スリーブ14は、第1取付筒13内に固定されている。
該スリーブ14内には、開口された他端部が他箇所に較べて拡径されることにより、係止段差部23が形成されている。該スリーブ14内において、一端部の内周面には係合段部24が突設されている。該係合段部24は、平面視で円弧状をなすように形成されており、合わせて一対が該スリーブ14内で互いに対向するように設けられている。そして、これら係合段部24の間には、縦凹溝25が設けられている。また、係合段部24の上面には、係止凹溝24aが形成されている。
【0010】
図4(a)は、台本体11を短手方向に沿って破断した場合における補高脚保持部19の断面図であり、図4(b)は、台本体11を長手方向に沿って破断した場合における補高脚保持部19の断面図である。該補高脚保持部19を形成するスリーブ体17は、台本体11の踏み板11a下面から筒状に延設されている。また、該補高脚保持部19においては、該踏み板11aを貫通するようにしてスリット19aが形成されるとともに、スリット19aの下縁が該スリーブ体17の上縁を超えて内面まで達することにより、該スリーブ体17の内面に係合段部24が設けられている。さらに、該係合段部24の上面には、係止凹溝24aが形成されている。加えて、該補高脚保持部19内には、該スリーブ体17の周壁が他箇所に較べて薄肉とされることにより、縦凹溝25が設けられている。
【0011】
図5(a),(b)は、補高脚12を台本体11の長手方向から見た状態の正面図とその断面図であり、図5(c),(d)は、補高脚12を台本体11の短手方向から見た状態の正面図とその断面図である。
該補高脚12は、挿入筒部30と、該挿入筒部30の下側に拡径形成されている収納筒部31と、該収納筒部31の下側に更に拡径形成されている脚筒部32とからなる。該挿入筒部30の上端には、係合フランジ33が突設されている。該収納筒部31の上面において、該挿入筒部30の周縁で係合フランジ33に相対する二箇所からは、該収納筒部31の内周に切欠き部が設けられることにより、係合スリット34が形成されている。そして、これら係合スリット34の間には、縦凹溝25が形成されている。さらに、脚筒部32の下端には、合成ゴム等からなる滑止めキャップ35が装着されている。また、係合フランジ33の下面には、係止突部33aが突設されるとともに、係合スリット34の内底面上において、該係止突部33aと対応する位置には係止凹溝34aが形成されている。
【0012】
図6(a)に示すように、補高脚12を補高脚取付部15に取り付ける場合、まず係合フランジ33を縦凹溝25に合わせるようにして、挿入筒部30をスリーブ14下縁から挿入した後、該挿入筒部30の上縁をスリーブ14の内面に押し当てつつ、該補高脚12を回動させる。すると、図6(b)に示すように、係合フランジ33は、縦凹溝25から係合段部24に導かれ、該係合段部24に係合されるとともに、係合フランジ33の係止突部33aが係合段部24の係止凹溝24aに入り込むことにより、補高脚12が補高脚取付部15に取り付け固定される。
なお、係止突部33a及び係止凹溝24aにより、補高脚取付部15に対する補高脚12の回動が抑制されている。従って、踏み台昇降運動時の衝撃、振動などによって補高脚12が任意に回動し、補高脚取付部15から外れやすくなることを抑制することができる。また、係止段差部23に収納筒部31の上面が当接され、さらにスリーブ14の下縁に脚筒部32上面が当接されることにより、台本体11から加わる加重を補高脚12によって好適に受けることができる。
【0013】
図7(a)に示すように、複数の補高脚12を積み重ねる場合、上段の補高脚12の収納筒部31内に下段の補高脚12の挿入筒部30を挿入する。このとき、該挿入筒部30の係合フランジ33は、該収納筒部31の縦凹溝25を通過させる。そして、図7(b)に示すように、該下段の補高脚12を回動させると、該挿入筒部30の係合フランジ33が上段の補高脚12の収納筒部31の係合スリット34に係合し、係合フランジ33の係止突部33aが係合スリット34の係止凹溝34aに入り込んで、上下の補高脚12同士が連結定される。
なお、係止突部33a及び係止凹溝34aの係合関係は、連結された上下一対の補高脚12において、一方が他方に対して任意に回動することを抑制し、補高脚12同士の連結が解除されることを抑制している。
【0014】
図8(a)に示すように、残余の補高脚12を補高脚保持部19に保持させる場合、まず係合フランジ33を縦凹溝25に合わせるようにして、挿入筒部30をスリーブ体17の下縁から挿入した後、該補高脚12を回動させる。すると、図8(b)に示すように、係合フランジ33が縦凹溝25から係合段部24に導かれて該係合段部24に係合されることにより、補高脚12が補高脚保持部19に保持される。また、係合フランジ33の係止突部33aは、係合段部24の係止凹溝34aに入り込み、補高脚保持部19に対する補高脚12の回動を抑制する。
従って、残余の補高脚12は、台本体11とともに保管されるようになっており、該残余の補高脚12の紛失を防止することができ、さらに該残余の補高脚12の保管のためのスペースを確保する必要がない。また、補高脚保持部19は、複数個が設けられており(図2参照、この実施形態では16個)、踏み台10の高さ調整に必要とされる十分な個数の補高脚12を保持することが可能である。さらに、係止突部33a及び係止凹溝24aによって補高脚保持部19に対する補高脚12の回動が抑制されているため、該補高脚保持部19に補高脚12を保持したまま踏み台昇降運動を行っても、該運動時の衝撃、振動などによって補高脚12が任意に回動し、補高脚保持部19から脱落することを抑制することができる
【0015】
なお、補高脚保持部19は、上記実施形態のような構成とすることに限らず、例えばスリーブ体17内に磁石を固定して補高脚保持部19を形成するとともに、補高脚12にも磁石を取り付け、これら磁石の磁力によって補高脚保持部19に補高脚12を保持してもよい。また、スリーブ体17内にリング体を嵌め込むことにより、補高脚保持部19を形成してもよい。この場合、補高脚12の係合フランジ33は、リング体の上縁に係合されることとなる。また、縦凹溝25は、リング体の周壁の一部を薄肉とすることで設けられる。また、上記踏み台10においては、補高脚取付部15に補高脚12を嵌着することなく、全ての補高脚12を補高脚保持部19に保持してもよい。つまり、補高脚取付部15に嵌着する補高脚12の個数を0個としてもよく、この場合の踏み台10の高さが最も低い状態となる。また、補高脚取付部15に嵌着する補高脚12の個数を0個とする場合、該補高脚取付部15に滑止めキャップ35のみを取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】昇降運動用踏み台の概略構成を示す斜視図。
【図2】台本体を示す底面図。
【図3】(a),(b)は補高脚取付部を示す断面図。
【図4】(a),(b)は補高脚保持部を示す断面図。
【図5】(a),(b)は補高脚を示す正面図及びその断面図、(c),(d)は補高脚を示す側面図及びその断面図。
【図6】(a),(b)は補高脚取付部に補高脚を取り付ける状態を示す断面図。
【図7】(a),(b)は補高脚同士を連結する状態を示す断面図。
【図8】(a),(b)は補高脚保持部に補高脚を保持する状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0017】
10 踏み台
11 台本体
12 補高脚
14 スリーブ
15 補高脚取付部
17 スリーブ体
19 補高脚保持部
24 係合段部
25 縦凹溝
30 挿入筒部
31 収納筒部
32 脚筒部
33 係合フランジ
34 係合スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部四隅に補高脚取付部を設けた台本体と、該補高脚取付部に嵌着される所定個の補高脚とからなり、該補高脚は、必要に応じて1個のみ又は2個以上が積み重ねられた状態で該補高脚取付部に嵌着されるとともに、
該台本体の底部には更に該補高脚取付部に所定個の補高脚を取り付けた状態で、残余の補高脚を保持する補高脚保持部が設けられていることを特徴とする昇降運動用踏み台。
【請求項2】
該補高脚は、挿入筒部と、該挿入筒部の下側に拡径形成されている収納筒部と、該収納筒部の下側に更に拡径形成されている脚筒部とからなり、
該挿入筒部の上端には係合フランジが突設されており、該収納筒部の内側上部には該係合フランジが係合する係合スリットが形成されており、該収納筒部の下縁から内側上部には該補高脚の挿入筒部の係合フランジを該係合スリットに導入する縦凹溝が形成されており、上段の補高脚の収納筒部内に下段の補高脚の挿入筒部を挿入して、該挿入筒部の係合フランジを該上段の補高脚の収納筒部の係合スリットに係合するとともに、該上段の補高脚の脚筒部内に該下段の補高脚の収納筒部を嵌着することによって、上段と下段の補高脚が積み重ねられて連結され、
該補高脚取付部は、該補高脚の挿入筒部を挿入するスリーブであり、該スリーブには該補高脚の挿入筒部の係合フランジが係合する係合段部と、該係合フランジを該スリーブ下縁から該係合段部に導く縦凹溝が設けられており、
該補高脚保持部は、スリーブ体又はリング体であり、該補高脚保持部がスリーブ体の場合には該補高脚の挿入筒部の係合フランジが係合する係合段部が設けられており、該補高脚保持部がリング体の場合にはリング体の上縁に該補高脚の挿入筒部の係合フランジが係合されるとともに、該スリーブ体又はリング体には該係合フランジを該スリーブ体又は該リング体の下縁から該係合段部又は該リング体の上縁に導く縦凹溝が設けられている請求項1に記載の昇降運動用踏み台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−275418(P2007−275418A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107826(P2006−107826)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)