説明

映像再生装置

【課題】二次元映像の再生と三次元映像の再生とをユーザに違和感を与えることなくスムーズに切り替えることが可能な映像再生装置を得る。
【解決手段】映像信号処理部16は、第1デコーダ13から入力された二次元の映像信号S3に対する第1の信号処理と、第2デコーダ15から入力された三次元の映像信号S6に対する第2の信号処理とを切り替えて実行する。制御部20は、第1バッファ12が空になったタイミングに基づいて、第1の信号処理から第2の信号処理に切り替えるタイミングを制御し、第2バッファ14が空になったタイミングに基づいて、第2の信号処理から第1の信号処理に切り替えるタイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像再生装置に関し、特に、二次元映像及び三次元映像を切り替えて再生可能な映像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、入力された映像信号が二次元映像の映像信号であるか三次元映像の映像信号であるかを検知し、その検知結果に基づいて眼鏡の液晶シャッタのスイッチングを制御することにより、二次元映像及び三次元映像を切り替えて再生する映像再生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−336729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような二次元映像及び三次元映像を切り替えて再生可能な映像再生装置においては、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える際に、ストリームの切り替えと映像処理の切り替えとのタイミングが同期しないことにより、二次元映像の後尾部分が途切れる場合や、三次元映像の先頭部分が二次元で再生される場合がある。例えば、二次元映像のストリームから三次元映像のストリームに切り替わっていないうちに、二次元映像用の処理が三次元映像用の処理に切り替えられた場合には、二次元映像の後尾部分が途切れる。また例えば、二次元映像のストリームから三次元映像のストリームへの切り替えが完了しているにも拘わらず、二次元映像用の処理が三次元映像用の処理に切り替えられない場合には、三次元映像の先頭部分が二次元で再生される。三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える場合にも同様の現象が発生することがあり、ユーザにとって非常に違和感がある。切り替えタイミングの前後にブラックアウトを挿入する(つまり画面全体に黒色を表示する)ことによって切り替え時の粗を隠すことは可能であるが、根本的な解決にはならない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、二次元映像及び三次元映像を切り替えて再生可能な映像再生装置において、二次元映像の再生と三次元映像の再生とをユーザに違和感を与えることなくスムーズに切り替えることが可能な映像再生装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る映像再生装置は、二次元映像及び三次元映像を切り替えて再生可能な映像再生装置であって、二次元映像の第1のストリームを一時的に記憶する第1のバッファと、三次元映像の第2のストリームを一時的に記憶する第2のバッファと、前記第1のバッファから入力された前記第1のストリームをデコードすることにより、第1の映像信号を出力する第1のデコーダと、前記第2のバッファから入力された前記第2のストリームをデコードすることにより、第2の映像信号を出力する第2のデコーダと、前記第1のデコーダから入力された前記第1の映像信号に対する第1の信号処理と、前記第2のデコーダから入力された前記第2の映像信号に対する第2の信号処理とを切り替えて実行する信号処理部と、前記信号処理部における前記第1の信号処理と前記第2の信号処理との切り替えを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1のバッファが空になったタイミングに基づいて、前記第1の信号処理から前記第2の信号処理に切り替えるタイミングを制御し、前記第2のバッファが空になったタイミングに基づいて、前記第2の信号処理から前記第1の信号処理に切り替えるタイミングを制御することを特徴とするものである。
【0007】
第1の態様に係る映像再生装置によれば、二次元映像の第1のストリームを受信している場合には、第1のストリームは第1のバッファに一時的に記憶される。この場合、第1のデコーダは、第1のバッファから入力された第1のストリームをデコードすることにより第1の映像信号を出力し、信号処理部は、第1のデコーダから入力された第1の映像信号に対して第1の信号処理を実行する。また、三次元映像の第2のストリームを受信している場合には、第2のストリームは第2のバッファに一時的に記憶される。この場合、第2のデコーダは、第2のバッファから入力された第2のストリームをデコードすることにより第2の映像信号を出力し、信号処理部は、第2のデコーダから入力された第2の映像信号に対して第2の信号処理を実行する。そして、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える場合には、制御部は、第1のバッファが空になったタイミングに基づいて、第1の信号処理から第2の信号処理に切り替えるタイミングを制御する。また、三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える場合には、制御部は、第2のバッファが空になったタイミングに基づいて、第2の信号処理から第1の信号処理に切り替えるタイミングを制御する。従って、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える場合には、第1のバッファが空になったことによって第1のストリームの終了を簡易に検出することができ、その結果、第1の信号処理から第2の信号処理に切り替えるタイミングを適切に制御することが可能となる。また、三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える場合には、第2のバッファが空になったことによって第2のストリームの終了を簡易に検出することができ、その結果、第2の信号処理から第1の信号処理に切り替えるタイミングを適切に制御することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る映像再生装置は、第1の態様に係る映像再生装置において特に、前記制御部は、前記第1のバッファが空になった時点から、前記第1のデコーダにおけるデコードの所要時間が経過した時点で、前記第1の信号処理から前記第2の信号処理に切り替え、前記第2のバッファが空になった時点から、前記第2のデコーダにおけるデコードの所要時間が経過した時点で、前記第2の信号処理から前記第1の信号処理に切り替えることを特徴とするものである。
【0009】
第2の態様に係る映像再生装置によれば、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える場合には、制御部は、第1のバッファが空になった時点から、第1のデコーダにおけるデコードの所要時間が経過した時点で、第1の信号処理から第2の信号処理に切り替える。これにより、第1のストリームの最後尾までデコードが完了してから第2の信号処理への切り替えが行われるため、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える場合に、第1のストリームの後尾の再生が途切れるという事態を回避することが可能となる。また、三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える場合には、制御部は、第2のバッファが空になった時点から、第2のデコーダにおけるデコードの所要時間が経過した時点で、第2の信号処理から第1の信号処理に切り替える。これにより、第2のストリームの最後尾までデコードが完了してから第1の信号処理への切り替えが行われるため、三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える場合に、第2のストリームの後尾の再生が途切れるという事態を回避することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る映像再生装置は、第1又は第2の態様に係る映像再生装置において特に、前記制御部は、前記第1のバッファが空になると、前記第1のストリームの終了を示す情報を前記第1のデコーダに入力し、前記第2のバッファが空になると、前記第2のストリームの終了を示す情報を前記第2のデコーダに入力することを特徴とするものである。
【0011】
第3の態様に係る映像再生装置によれば、制御部は、第1のバッファが空になると、第1のストリームの終了を示す情報(End of stream等のコード情報等)を第1のデコーダに入力する。これにより、第1のストリームが終了したことを第1のデコーダに明示的に通知することができ、第1のデコーダはデコード処理を終了することが可能となる。また、制御部は、第2のバッファが空になると、第2のストリームの終了を示す情報を第2のデコーダに入力する。これにより、第2のストリームが終了したことを第2のデコーダに明示的に通知することができ、第2のデコーダはデコード処理を終了することが可能となる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る映像再生装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る映像再生装置において特に、前記映像再生装置が受信したストリームのうち、前記第1のストリームを前記第1のバッファに入力し、前記第2のストリームを前記第2のバッファに入力する振分部をさらに備えることを特徴とするものである。
【0013】
第4の態様に係る映像再生装置によれば、振分部は、映像再生装置が受信したストリームのうち、第1のストリームを第1のバッファに入力し、第2のストリームを第2のバッファに入力する。これにより、二次元映像の第1のストリームを受信している場合には、当該第1のストリームを正しく第1のバッファに記憶させることができ、三次元映像の第2のストリームを受信している場合には、当該第2のストリームを正しく第2のバッファに記憶させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二次元映像及び三次元映像を切り替えて再生可能な映像再生装置において、二次元映像の再生と三次元映像の再生とを、ユーザに違和感を与えることなくスムーズに切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る映像配信システムの全体構成を示す図である。
【図2】STBの構成を簡略化して示すブロック図である。
【図3】STBが通信ネットワークから受信したストリームの一部を示す図である。
【図4】バッファのパケット蓄積量を示すタイミングチャートである。
【図5】三次元映像の映像信号を再生する場合の処理を示す図である。
【図6】STBが通信ネットワークから受信したストリームの一部を示す図である。
【図7】バッファのパケット蓄積量を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る映像配信システム1の全体構成を示す図である。図1に示すように映像配信システム1は、サーバ2と、当該サーバ2とIP(Internet Protocol)ネットワーク等の通信ネットワーク3を介して接続される、映像再生装置としてのSTB(Set Top Box)4と、液晶表示装置等のテレビ5と、三次元映像のコンテンツを視聴するためにユーザが装着する眼鏡7とを備えて構成されている。サーバ2は、例えば、地上デジタル放送やBSデジタル放送の放送波を受信して、そのトランスポートストリーム(TS:Transport Stream)を通信ネットワーク3を介して再送信するための映像配信装置である。眼鏡7は、左眼8L及び右眼8Rを有している。なお、STB4の機能がテレビ5に内蔵されていてもよい。
【0018】
サーバ2は、通信ネットワーク3を介してSTB4にコンテンツのトランスポートストリーム(以下「ストリーム」と称す)を送信する。STB4は、受信したストリームに対してデコード等の処理を行って、当該処理後の映像信号をテレビ5に送信することにより、テレビ5において映像を再生する。STB4は、テレビ5において二次元映像を再生可能であるとともに、三次元映像を再生することも可能である。三次元映像のコンテンツを視聴する場合には、ユーザは眼鏡7を装着することができる。
【0019】
図2は、STB4の構成を簡略化して示すブロック図である。図2に示すように、STB4は、TS受信部10、振分部11、第1バッファ12、第1デコーダ13、第2バッファ14、第2デコーダ15、映像信号処理部16、映像信号送信部17、眼鏡制御部18、制御信号送信部19、及び制御部20を備えている。なお、第1バッファ12及び第2バッファ14は、必ずしも物理的に別のバッファである必要はなく、物理的には単一のバッファの記憶領域を区分することによって、第1バッファ12及び第2バッファ14として使用してもよい。もちろん、第1バッファ12と第2バッファ14とで物理的に別のバッファを使用してもよい。
【0020】
図3は、STB4が通信ネットワーク3から受信したストリームS0の一部を示す図である。図3には、ストリームS0のうち、二次元映像のコンテンツから三次元映像のコンテンツに切り替わる点の前後部分のストリームを示している。二次元映像のストリームにはトランスポートパケット(以下「パケット」と称す)P01〜P05が含まれ、三次元映像のストリームにはパケットP06〜P10が含まれる。パケットP05は二次元映像のコンテンツの最後尾のパケットであり、パケットP06は三次元映像のコンテンツの先頭のパケットである。STB4は、図3に示したパケットP01〜P10をこの順に連続して受信する。
【0021】
図4は、STB4が二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える際の、第1バッファ12及び第2バッファ14の各々のパケット蓄積量を示すタイミングチャートである。特性K1は第1バッファ12のパケット蓄積量を示しており、特性K2は第2バッファ14のパケット蓄積量を示している。
【0022】
以下、図2〜4を参照して、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える際のSTB4の処理について説明する。
【0023】
TS受信部10は、図3に示したストリームS0を、サーバ2から通信ネットワーク3を介して受信する。ストリームS0は、TS受信部10から振分部11に入力される。
【0024】
ストリームS0に含まれる各パケットには、それが二次元映像のコンテンツのパケットであるか三次元映像のコンテンツのパケットであるかを区別するための識別情報が付与されている。当該識別情報は例えばPID(Packet Identifier)の一部として記述されており、振分部11は、入力された各パケットに付与されているPIDに基づいて、各パケットが二次元映像のコンテンツのパケットであるか三次元映像のコンテンツのパケットであるかを判別する。
【0025】
図3に示したストリームS0の例では、振分部11には、まず二次元映像のコンテンツに関するパケットP01〜P05がこの順に入力される。振分部11は、パケットP01〜P05がいずれも二次元映像のコンテンツのパケットであると判別し、これらのパケットP01〜P05(ストリームS1)を第1バッファ12に順に入力する。
【0026】
図4を参照して、時刻T01において、ストリームS1の最後尾のパケットP05が第1バッファ12に入力される。時刻T01の時点では、第1バッファ12には、予め設定された目標蓄積量A1のパケットがすでに蓄積されている。パケットP05以降は第1バッファ12には新たなパケットは入力されないため、第1バッファ12のパケット蓄積量は徐々に減少する。そして、時刻T02において最後尾のパケットP05が第1バッファ12から出力されることにより、第1バッファ12は空(empty)となる。
【0027】
第1バッファ12から出力されたパケットP01〜P05(ストリームS2)は、第1デコーダ13に入力される。第1デコーダ13は、ストリームS2をデコードすることにより、二次元映像の映像信号S3を出力する。映像信号S3は、第1デコーダ13から映像信号処理部16に入力される。図4を参照して、時刻T02から、第1デコーダ13によるデコードの所要時間が経過した時刻T03において、ストリームS2の最後尾のパケットP05のデコードが完了する。
【0028】
映像信号処理部16は、入力された映像信号S3に対して、二次元映像の再生を行うための所定の信号処理(例えば、それが二次元の映像信号であることを示すVSI(Vendor Specific Information)を挿入する処理)を行うことにより、映像信号S7を出力する。映像信号S7は、映像信号処理部16から映像信号送信部17に入力される。
【0029】
映像信号送信部17は、入力された二次元映像の映像信号S7をテレビ5に向けて送信し、これにより、テレビ5において二次元映像が再生される。
【0030】
振分部11には、パケットP01〜P05の後にパケットP06〜P10が入力される。振分部11は、パケットP06〜P10がいずれも三次元映像のコンテンツのパケットであると判別し、これらのパケットP06〜P10(ストリームS4)を第2バッファ14に順に入力する。
【0031】
図4を参照して、時刻T01の時点では第2バッファ14は空であり、時刻T01の直後から第2バッファ14へのパケットの蓄積が開始される。それ以降、第2バッファ14のパケット蓄積量は徐々に増加し、時刻T04において、予め設定された目標蓄積量A2のパケットの蓄積が完了すると、パケットP06〜P10が第2バッファ14から順に出力される。第2バッファ14から出力されたパケットP06〜P10(ストリームS5)は、第2デコーダ15に入力される。第2デコーダ15は、ストリームS5をデコードすることにより、三次元映像の映像信号S6を出力する。映像信号S6は、第2デコーダ15から映像信号処理部16に入力される。
【0032】
映像信号処理部16は、入力された映像信号S6に対して、三次元映像の再生を行うための所定の信号処理(例えば、それが三次元の映像信号であることを示すVSIを挿入する処理や、テレビが三次元映像の再生に対応していない場合に三次元の映像信号を二次元の映像信号に変換する処理)を行うことにより、映像信号S7を出力する。映像信号S7は、映像信号処理部16から映像信号送信部17に入力される。
【0033】
映像信号送信部17は、入力された三次元映像の映像信号S7をテレビ5に向けて送信し、これにより、テレビ5において三次元映像が再生される。
【0034】
図5は、三次元映像の映像信号S7を再生する場合の処理を示す図である。三次元映像の再生を行う場合には、人間の両眼視差を反映した左視用映像と右視用映像とが所定の周期(例えば1/60秒周期)で交互に表示される。図5に示した例では、第0フレームの左視用映像F0L、第0フレームの右視用映像F0R、第1フレームの左視用映像F1L、第1フレームの右視用映像F1R、第2フレームの左視用映像F2L、第2フレームの右視用映像F2R、第3フレームの左視用映像F3L、第3フレームの右視用映像F3R、・・・が、この順にテレビ5の表示画面に表示される。
【0035】
眼鏡制御部18は、眼鏡7の左眼8L及び右眼8Rの各々に組み込まれた液晶シャッタを制御するための制御信号S8を、制御信号送信部19に入力する。制御信号送信部19は、制御信号S8を眼鏡7に向けて無線送信する。図5に示すように、三次元映像の再生を行う場合には、各フレームの左視用映像F0L,F1L,F2L,F3L,・・・をテレビ5に表示するタイミングに同期して、眼鏡7の左眼8Lが透光状態(ON)、右眼8Rが遮光状態(OFF)とされ、各フレームの右視用映像F0R,F1R,F2R,F3R,・・・をテレビ5に表示するタイミングに同期して、眼鏡7の右眼8Rが透光状態(ON)、左眼8Lが遮光状態(OFF)とされる。
【0036】
図2,4を参照して、制御部20は、第1バッファ12のパケット蓄積量を常に監視している。そして、時刻T02において第1バッファ12が空になったことを検出すると、その検出時点(時刻T02)から、第1デコーダ13によるデコードの所要時間が経過した時点(時刻T03)において、制御信号S9を映像信号処理部16に入力する。これにより、映像信号処理部16が実行する信号処理の内容を、二次元映像の再生を行うための上記信号処理から、三次元映像の再生を行うための上記信号処理に切り替える。
【0037】
また、制御部20は、時刻T03(又はその直後)において、ストリームS2の終了を示すストリームエンドコードS10(End of stream等のコード情報等)を第1デコーダ13に入力することにより、ストリームS2の終了を第1デコーダ13に明示的に通知する。
【0038】
図6は、STB4が通信ネットワーク3から受信したストリームS0の一部を示す図である。図6には、ストリームS0のうち、三次元映像のコンテンツから二次元映像のコンテンツに切り替わる点の前後部分のストリームを示している。三次元映像のストリームにはパケットP21〜P25が含まれ、二次元映像のストリームにはパケットP26〜P30が含まれる。パケットP25は三次元映像のコンテンツの最後尾のパケットであり、パケットP26は二次元映像のコンテンツの先頭のパケットである。STB4は、図6に示したパケットP21〜P30をこの順に連続して受信する。
【0039】
図7は、STB4が三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える際の、第1バッファ12及び第2バッファ14の各々のパケット蓄積量を示すタイミングチャートである。特性K3は第1バッファ12のパケット蓄積量を示しており、特性K4は第2バッファ14のパケット蓄積量を示している。
【0040】
以下、図2,6,7を参照して、三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える際のSTB4の処理について説明する。
【0041】
TS受信部10は、図6に示したストリームS0を、サーバ2から通信ネットワーク3を介して受信する。ストリームS0は、TS受信部10から振分部11に入力される。
【0042】
図6に示したストリームS0の例では、振分部11には、まず三次元映像のコンテンツに関するパケットP21〜P25がこの順に入力される。振分部11は、パケットP21〜P25がいずれも三次元映像のコンテンツのパケットであると判別し、これらのパケットP21〜P25(ストリームS4)を第2バッファ14に順に入力する。
【0043】
図7を参照して、時刻T11において、ストリームS4の最後尾のパケットP25が第2バッファ14に入力される。時刻T11の時点では、第2バッファ14には、目標蓄積量A2のパケットがすでに蓄積されている。パケットP25以降は第2バッファ14には新たなパケットは入力されないため、第2バッファ14のパケット蓄積量は徐々に減少する。そして、時刻T12において最後尾のパケットP25が第2バッファ14から出力されることにより、第2バッファ14は空となる。
【0044】
第2バッファ14から出力されたパケットP21〜P25(ストリームS5)は、第2デコーダ15に入力される。第2デコーダ15は、ストリームS5をデコードすることにより、三次元映像の映像信号S6を出力する。映像信号S6は、第2デコーダ15から映像信号処理部16に入力される。図7を参照して、時刻T12から、第2デコーダ15によるデコードの所要時間が経過した時刻T13において、ストリームS5の最後尾のパケットP25のデコードが完了する。
【0045】
映像信号処理部16は、入力された映像信号S6に対して、三次元映像の再生を行うための所定の信号処理を行うことにより、映像信号S7を出力する。映像信号S7は、映像信号処理部16から映像信号送信部17に入力される。
【0046】
映像信号送信部17は、入力された三次元映像の映像信号S7をテレビ5に向けて送信し、これにより、テレビ5において三次元映像が再生される。
【0047】
振分部11には、パケットP21〜P25の後にパケットP26〜P30が入力される。振分部11は、パケットP26〜P30がいずれも二次元映像のコンテンツのパケットであると判別し、これらのパケットP26〜P30(ストリームS1)を第1バッファ12に順に入力する。
【0048】
図7を参照して、時刻T11の時点では第1バッファ12は空であり、時刻T11の直後から第1バッファ12へのパケットの蓄積が開始される。それ以降、第1バッファ12のパケット蓄積量は徐々に増加し、時刻T14において、目標蓄積量A1のパケットの蓄積が完了すると、パケットP26〜P30が第1バッファ12から順に出力される。第1バッファ12から出力されたパケットP26〜P30(ストリームS2)は、第1デコーダ13に入力される。第1デコーダ13は、ストリームS2をデコードすることにより、二次元映像の映像信号S3を出力する。映像信号S3は、第1デコーダ13から映像信号処理部16に入力される。
【0049】
映像信号処理部16は、入力された映像信号S3に対して、二次元映像の再生を行うための所定の信号処理を行うことにより、映像信号S7を出力する。映像信号S7は、映像信号処理部16から映像信号送信部17に入力される。
【0050】
映像信号送信部17は、入力された二次元映像の映像信号S7をテレビ5に向けて送信し、これにより、テレビ5において二次元映像が再生される。
【0051】
図2,7を参照して、制御部20は、第2バッファ14のパケット蓄積量を常に監視している。そして、時刻T12において第2バッファ14が空になったことを検出すると、その検出時点(時刻T12)から、第2デコーダ15によるデコードの所要時間が経過した時点(時刻T13)において、制御信号S9を映像信号処理部16に入力する。これにより、映像信号処理部16が実行する信号処理の内容を、三次元映像の再生を行うための信号処理から、二次元映像の再生を行うための信号処理に切り替える。
【0052】
また、制御部20は、時刻T13(又はその直後)において、ストリームS5の終了を示すストリームエンドコードS10を第2デコーダ15に入力することにより、ストリームS5の終了を第2デコーダ15に明示的に通知する。
【0053】
このように本実施の形態に係るSTB4によれば、TS受信部10が二次元映像のストリームS1を受信している場合には、ストリームS1は第1バッファ12に一時的に記憶される。この場合、第1デコーダ13は、第1バッファ12から入力されたストリームS2をデコードすることにより映像信号S3を出力し、映像信号処理部16は、第1デコーダ13から入力された映像信号S3に対して、二次元映像の再生を行うための信号処理(以下「第1の信号処理」と称す)を実行する。また、TS受信部10が三次元映像のストリームS4を受信している場合には、ストリームS4は第2バッファ14に一時的に記憶される。この場合、第2デコーダ15は、第2バッファ14から入力されたストリームS5をデコードすることにより映像信号S6を出力し、映像信号処理部16は、第2デコーダ15から入力された映像信号S6に対して、三次元映像の再生を行うための信号処理(以下「第2の信号処理」と称す)を実行する。そして、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える場合には、制御部20は、第1バッファ12が空になったタイミングに基づいて、第1の信号処理から第2の信号処理に切り替えるタイミングを制御する。また、三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える場合には、制御部20は、第2バッファ14が空になったタイミングに基づいて、第2の信号処理から第1の信号処理に切り替えるタイミングを制御する。従って、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える場合には、第1バッファ12が空になったことによってストリームS1,S2の終了を簡易に検出することができ、その結果、第1の信号処理から第2の信号処理に切り替えるタイミングを適切に制御することが可能となる。また、三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える場合には、第2バッファ14が空になったことによってストリームS4,S5の終了を簡易に検出することができ、その結果、第2の信号処理から第1の信号処理に切り替えるタイミングを適切に制御することが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態に係るSTB4によれば、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える場合には、制御部20は、第1バッファ12が空になった時点(時刻T02)から、第1デコーダ13におけるデコードの所要時間が経過した時点(時刻T03)で、第1の信号処理から第2の信号処理に切り替える。これにより、ストリームS2の最後尾までデコードが完了してから第2の信号処理への切り替えが行われるため、二次元映像の再生から三次元映像の再生に切り替える場合に、ストリームS2の後尾部分の再生が途切れるという事態を回避することが可能となる。また、三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える場合には、制御部20は、第2バッファ14が空になった時点(時刻T12)から、第2デコーダ15におけるデコードの所要時間が経過した時点(時刻T13)で、第2の信号処理から第1の信号処理に切り替える。これにより、ストリームS5の最後尾までデコードが完了してから第1の信号処理への切り替えが行われるため、三次元映像の再生から二次元映像の再生に切り替える場合に、ストリームS5の後尾部分の再生が途切れるという事態を回避することが可能となる。
【0055】
また、本実施の形態に係るSTB4によれば、制御部20は、第1バッファ12が空になると、ストリームS2の終了を示すストリームエンドコードS10を第1デコーダ13に入力する。これにより、ストリームS2が終了したことを第1デコーダ13に明示的に通知することができ、第1デコーダ13はデコード処理を終了することが可能となる。また、制御部20は、第2バッファ14が空になると、ストリームS5の終了を示すストリームエンドコードS10を第2デコーダ15に入力する。これにより、ストリームS5が終了したことを第2デコーダ15に明示的に通知することができ、第2デコーダ15はデコード処理を終了することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態に係るSTB4によれば、振分部11は、STB4がサーバ2から受信したストリームS0のうち、二次元映像のストリームS1を第1バッファ12に入力し、三次元映像のストリームS4を第2バッファ14に入力する。これにより、二次元映像のストリームS1を受信している場合には、当該ストリームS1を正しく第1バッファ12に記憶させることができ、三次元映像のストリームS4を受信している場合には、当該ストリームS4を正しく第2バッファ14に記憶させることができる。
【0057】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
4 STB
5 テレビ
10 TS受信部
11 振分部
12 第1バッファ
13 第1デコーダ
14 第2バッファ
15 第2デコーダ
16 映像信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元映像及び三次元映像を切り替えて再生可能な映像再生装置であって、
二次元映像の第1のストリームを一時的に記憶する第1のバッファと、
三次元映像の第2のストリームを一時的に記憶する第2のバッファと、
前記第1のバッファから入力された前記第1のストリームをデコードすることにより、第1の映像信号を出力する第1のデコーダと、
前記第2のバッファから入力された前記第2のストリームをデコードすることにより、第2の映像信号を出力する第2のデコーダと、
前記第1のデコーダから入力された前記第1の映像信号に対する第1の信号処理と、前記第2のデコーダから入力された前記第2の映像信号に対する第2の信号処理とを切り替えて実行する信号処理部と、
前記信号処理部における前記第1の信号処理と前記第2の信号処理との切り替えを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1のバッファが空になったタイミングに基づいて、前記第1の信号処理から前記第2の信号処理に切り替えるタイミングを制御し、前記第2のバッファが空になったタイミングに基づいて、前記第2の信号処理から前記第1の信号処理に切り替えるタイミングを制御する、映像再生装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1のバッファが空になった時点から、前記第1のデコーダにおけるデコードの所要時間が経過した時点で、前記第1の信号処理から前記第2の信号処理に切り替え、前記第2のバッファが空になった時点から、前記第2のデコーダにおけるデコードの所要時間が経過した時点で、前記第2の信号処理から前記第1の信号処理に切り替える、請求項1に記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のバッファが空になると、前記第1のストリームの終了を示す情報を前記第1のデコーダに入力し、前記第2のバッファが空になると、前記第2のストリームの終了を示す情報を前記第2のデコーダに入力する、請求項1又は2に記載の映像再生装置。
【請求項4】
前記映像再生装置が受信したストリームのうち、前記第1のストリームを前記第1のバッファに入力し、前記第2のストリームを前記第2のバッファに入力する振分部をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一つに記載の映像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−222428(P2012−222428A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83399(P2011−83399)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】