説明

時刻補正システム、表示装置、及び撮像装置

【課題】補正された時刻(正確な時刻)に基づいて、正確な撮影時刻補正を行なうことが可能な時刻補正システムを提供する。
【解決手段】外部からの電波信号を用いて補正した時刻を示す特殊表示を表示する表示装置10と、その特殊表示を撮影し、且つ、撮影された画像に撮像装置の現在時刻(撮影時刻)を対応付けて記憶させる撮像装置20と、その撮影された画像から特殊表示が示す時刻を読み出し、読み出した時刻に基づいて、画像に対応付けられた撮影時刻を補正する補正装置30とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された画像に対応付けられた時刻を正確に補正する時刻補正システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラなどの電子機器には時計回路が備えられており、この時計回路に基づく現在時刻は、撮影した画像の撮影時刻を示すタイムスタンプとして利用されている。このタイムスタンプを用いることによって撮影の後日に撮影画像を確認する際に、撮影した時点の時刻(撮影時刻)を把握することが可能となる。
【0003】
ところで、デジタルカメラに設けられた時計回路に基づく現在時刻は、経時的にかつ不可避的に誤差が生じてしまうため、撮影した画像に対応付けられた時刻(タイムスタンプ)が正確でない場合が発生してしまうことが知られている。このため、より正確なタイムスタンプを画像とともに記録できる技術が様々に提案されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1(特開2001?197342号公報)に開示された撮像装置では、撮影された画像データより時刻情報を認識し、この時刻情報に基づいてタイムスタンプデータを修正することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001?197342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された撮像装置は、撮影された画像データより時刻情報を認識しているが、認識方法としては、撮影された画像に写っている時計がアナログ表示であれば、12時方向を基準として短針、長針の角度を認識する、また、デジタル表示であれば、所定長のデジタル数字列を認識処理している。
【0007】
しかるに、アナログ表示やデジタル表示は、一般的に用いられている時刻の表示形態である。このため、一般的に用いられている時刻の表示形態を認識した場合、正確でない時刻を含む(正確でない時刻が写った)撮影画像から時刻を認識してしまう恐れがある。この場合、正確でない時刻に基づいてタイムスタンプデータを修正してしまうため、結果的に、タイムスタンプデータを正確な時間に修正することが不可能である。
【0008】
また、上記特許文献1には、撮影された画像より認識した時刻をユーザが微調整することも開示されているが、微調整するためには、撮影された画像に写っている時刻がどの程度ずれているのかを認識しなければならず、その上、そのズレを入力しなければならないという手間も生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、外部からの時刻情報を用いて補正した時刻を示す特殊表示の表示を行ない、その特殊表示を撮影し、その撮影した画像から時刻を読み出し、読み出した時刻に基づいて、撮影した画像に対応付けて記憶された撮影時刻を補正することができる時刻補正システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、外部から時刻情報を受信する受信部と、表示部と、前記時刻情報に基づいて時刻補正される計時部と、前記計時部が時刻補正されてからの時間に基づき前記計時部の時刻の信頼性を判定し、前記信頼性が高い場合、前記計時部の時刻を示す特殊表示を前記表示部に表示する制御部と、を備えた表示装置と、撮像部と、現在時刻を計測する第2の計時部と、前記撮像部が撮像した撮像画像に前記撮像部が撮像したときの撮影時刻として前記第2の計時部より計測された現在時刻を対応付けて記憶する記憶部と、を備える撮像装置と、前記撮影画像及び当該撮影画像に対応付けられた撮影時刻を記憶する第2の記憶部と、前記特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻と当該特殊表示が示す時刻との差分に基づき前記第2の記憶部に記憶された撮像時刻を補正する第2の制御部と、を備えた補正装置と、からなることを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記補正装置は、前記表示装置あるいは前記撮像装置と一体的に構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項3にかかる発明は、外部から時刻情報を受信する受信部と、表示部と、前記時刻情報に基づいて時刻補正される計時部と、前記計時部が時刻補正されてからの時間に基づき前記計時部の時刻の信頼性を判定し、前記信頼性が高い場合、前記計時部の時刻を示す特殊表示を前記表示部に表示する制御部と、撮像時刻が対応付けられた撮像画像を受信する第2の受信部と、を備え、前記制御部は、前記特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻と当該特殊表示が示す時刻との差分に基づき前記第2の受信部が受信した撮影画像に対応付けられた撮像時刻を補正することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項4にかかる発明は、撮像部と、現在時刻を計測する計時部と、前記撮像部が撮像した撮像画像に前記撮像部が撮像したときの撮像時刻として前記計時部より計測された現在時刻を対応付けて記憶する記憶部と、外部から受信した時刻情報に基づいて補正された計時部の時刻の信頼性が高い場合に表示される特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻と当該特殊表示が示す時刻との差分に基づき前記記憶部に記憶された撮像時刻を補正する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる発明においては、外部からの時刻情報を用いて補正した時刻を示す特殊表示を表示する表示装置と、撮影された画像に撮像装置の現在時刻(撮影時刻)を対応付けて記憶させる撮像装置と、その撮影された画像から特殊表示で表示された時刻を読み出し、読み出した時刻と当該特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻との差分に基づいて、撮影時刻を補正する補正装置とから構成する。
【0015】
このような構成によれば、特殊表示が示す時刻(補正された正確な時刻)に基づいて、撮影時刻が補正されるため、正確な撮影時刻補正を行なうことが可能となる。
【0016】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記補正装置は、前記表示装置あるいは前記撮像装置と一体的に構成される。これにより、個別に補正装置を設けることなく、表示装置あるいは撮像装置において、特殊表示が示す時刻(補正された正確な時刻)に基づく正確な撮影時刻補正を行なうことが可能となる。
【0017】
請求項3にかかる発明においては、外部からの時刻情報を用いて補正した時刻を示す特殊表示を表示する表示装置において、撮像時刻が対応付けられた撮像画像を受信し、その撮像画像に含まれる特殊表示が示す時刻と当該特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻との差分に基づき受信した撮像時刻を補正する。これにより、表示装置において、特殊表示が示す時刻(補正された正確な時刻)に基づく正確な撮影時刻補正を行なうことが可能となる。
【0018】
請求項4にかかる発明においては、撮像装置において、撮像した撮像画像に含まれる特殊表示(外部から受信した時刻情報に基づいて補正された計時部の時刻の信頼性が高い場合に表示される特殊表示)が示す時刻と当該特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻との差分に基づき撮像時刻を補正する。これにより、撮像装置において、特殊表示が示す時刻(補正された正確な時刻)に基づく正確な撮影時刻補正を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例にかかる時刻補正システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例にかかる表示装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例にかかる表示装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本実施の実施例にかかる表示装置の表示形態を説明するための図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかる表示装置の要部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例にかかる撮像装置の要部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例にかかる撮像装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施例にかかる補正装置の要部構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施例にかかる補正装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施例にかかる時刻補正システムの動作手順示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための時刻補正システムを例示するものであって、本発明をこの時刻補正システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例にかかる時刻補正システム1の全体構成を示すブロック図である。時刻補正システム1は、表示装置10と、被写体とともに表示装置10を撮影する撮像装置20と、無線通信機能を介してこの撮像装置20と接続される補正装置30を有してなる。なお、撮像装置20と補正装置30との間の通信方式は無線通信でも有線通信でもよく、記憶媒体(SDなど)にデータを記憶し、ユーザが他の装置(補正装置30/表示装置10)に移してもよい。
【0022】
図2は、本発明の実施例にかかる表示装置10の要部構成を示すブロック図である。表示装置10は、制御部11、GPS受信機12、時刻記憶部13、表示部14、画像データ記憶部15を備えて構成される。
【0023】
制御部11は、CPU11a、ROM11bおよびRAM11cを備えて構成されており、ROM11bおよび/またはRAM11cに記憶された制御プログラムをCPU11aが実行することにより、下記に説明する各部の動作を制御・統括する。また、制御部11は、計時部12bが時刻補正されてからの時間に基づき計時部12bの時刻の信頼性を判定し、当該信頼性が高い場合、計時部12bの時刻を示す特殊表示を表示部14に表示させる表示制御手段として機能する。
【0024】
GPS受信機12は、受信部12a、計時部12b、演算部12cおよびアンテナ12dを備えて構成されている。受信部12aは、アンテナ12dを介して時刻情報を含む電波信号を受信し、復調・増幅するための増幅器やA/Dコンバータなどを備えており、本実施例における表示装置10においてGPS受信機12は、地球上空を周回している複数(例えば4つ)のGPS衛星からの時刻情報を含む電波信号を所定の時間間隔で受信するためのものである。
【0025】
計時部12bは、時刻を計時するものであり、一般的な水晶発振器を用いた時計(クオーツ時計)で構成されている。計時部12bによって計時される時刻は経時とともに誤差を生じる可能性があるため、演算部12cにより補正される。
【0026】
演算部12cは、受信部12aにより受信された電波信号に含まれている時刻情報に基づき、GPS衛星の原子時計と内蔵時計(計時部12b)との時刻差(時刻誤差)を算出し、この時刻差に基づき計時部12bを補正する。なお、計時部12bが電子時計であれば、受信した時刻情報の時刻に計時部12bを補正する。
【0027】
GPS衛星の電波信号に基づいて時刻補正を行なう方法には、次の二つが考えられる。一つの方法は、4つ以上のGPS衛星から受信した電波信号に含まれる時刻情報に基づいて計時部12bを補正する。この場合、4つ以上のGPS衛星から電波信号を受信できなければ時刻補正が行えないが、正確な時刻に補正することができる(例えば特開平8?15463号参照)。もう一つの方法は、少なくとも1つのGPS衛星から受信した電波信号に含まれる時刻情報に基づいて計時部12bを補正する。すなわち、受信した時刻情報が示す時刻に計時部12bを補正する。この場合、1つのGPS衛星のみで時刻補正が行なえるので、計時部12bの時刻が大きくずれているときは有効だが、GPS衛星から受信した時刻には送信時間分のずれが生じているため、誤った時刻に補正される可能性がある。
【0028】
このため、GPS衛星からの電波信号を用いた時刻補正は、基本的に4つ以上のGPS衛星からの電波信号を用いて行なわれているので、以下の説明においては、4つのGPS衛星からの電波信号を用いて計時部12bの補正を行なう場合について説明する。
【0029】
計時部12bにおける時刻は、定期的に、例えば1秒毎に制御部11へ出力される。ここで、受信部12aにより4つのGPS衛星からの電波信号が受信できれば、演算部12cにより補正された直後の時刻が正確な時刻として制御部11へ出力され、長期間4つのGPS衛星からの電波信号が受信できないときは、かなり前に補正された計時部12bの正確ではない時刻が制御部11へ出力されることになる。ここで、制御部11へ時刻が出力される際に、当該時刻が補正した直後の時刻か否かを示す識別情報も含めてもよい。
【0030】
また、GPS受信機12は、時刻を制御部11へ出力する際に、受信部12aが現在何個のGPS衛星から電波信号を受信しているかを示す情報(受信レベル情報)も制御部11へ出力する。制御部11は、GPS受信機12から定期的に出力された計時部12bの時刻とともに受信した受信レベル情報に基づいて、4つのGPS衛星から電波信号を受信しているときの時刻をGPS受信機12から受信すると、その時刻を時刻記憶部13に記憶させる。
【0031】
時刻記憶部13は、時間計測のためのものであり、例えば、4つのGPS衛星から電波信号を受信したときの時刻(計時部12bの時刻)を記憶しておく。制御部11は、GPS受信機12から定期的に出力される計時部12bの時刻(すなわち、現在時刻)と、時刻記憶部13に記憶されている時刻を比較することで、最後に4つのGPS衛星から電波信号を受信したときからの時間を算出する。
【0032】
この算出された時間は、計時部12bの時刻補正を行ってから経過した時間に相当するため、制御部11は、この経過時間Xが所定時間に達していないと、計時部12bの時刻の信頼性が高いと判定してGPS受信機12から定期的に出力された計時部12bの時刻を示す特殊表示を表示部14に表示させる。一方、この経過時間Xが所定時間以上になると、計時部12bの時刻の信頼性が低くなったと判定してGPS受信機12から定期的に出力された計時部12bの時刻を表示部14に表示する際に、表示時刻の信頼性が低下していることをユーザが視認できる表示態様に変更して表示させる。すなわち、計時部12bの時刻を示す特殊表示を行なわない。
【0033】
なお、所定時間は、時刻補正しない場合において計時部12bの時刻が誤差を生ずる時間であることが好ましく、計時部12bの精度に応じて所定時間は変更されてもよい。
【0034】
また、経過時間Xが所定時間以上になる場合としては、表示装置10を長期間家庭内(建物内)のみで使用したため、電波信号が建物で遮断されGPS衛星からの電波信号を受信できない場合や、長期間表示装置10の電源をOFFしていたため(GPS受信機20に電源供給がなされないため)、GPS衛星からの電波信号を受信できない場合がある。(但し、電源OFF時もバックアップ電源により計時部12bによる時刻の計測は行なわれている)
表示部14は、GPS受信機12から定期的に出力された計時部12bの時刻を表示し、撮影装置20による被写体撮影時には、現在時刻(計時部12bの時刻)を示す特殊表示を表示する液晶表示パネルから構成される。
【0035】
制御部11は、最後に4つのGPS衛星から電波信号を受信したときの時刻と現在時刻とから算出された経過時間Xが所定時間に達していない場合には、GPS受信機12から定期的に出力された計時部12bの現在時刻を表示部14に表示する際に、表示時刻の信頼性が高いことをユーザが視認できる特殊表示として、例えば、現在時刻に『GPS』という文字を付加情報として合わせて表示させる。一方、算出された経過時間Xが所定時間以上の場合には、GPS受信機12から定期的に出力された計時部12bの時刻を表示部14に表示する際に、表示時刻の信頼性が低下していることをユーザが視認できるように、例えば、現在時刻を通常の黒文字から赤文字に変更して表示させる。なお、本実施例では、経過時間Xが所定時間以上の場合、すなわち、表示時刻(計時部12bの時刻)の信頼性が低下している場合においても、表示時刻の信頼性が低下していることをユーザが視認できるように表示させる例(例えば文字色の変更)を記載するが、表示時刻(計時部12bの時刻)の信頼性が低下している場合には、文字色の変更などを行わなくてもよい。
【0036】
画像データ記憶部15は、表示部14に表示される現在時刻を示す特殊表示を表示する際に用いられる付加情報、例えば、『GPS』、といった文字データ、時刻情報(計時部12bの時刻)を符号化した2次元バーコード、囲い線や下線といった図形データを記憶するためのものである。また、ゴシック文字といった文字の種類ごとのフォントデータを記憶してもよい。
【0037】
次に、以上のように構成される表示装置10の時刻表示処理について、図3のフローチャートおよび図4の説明図を用いて説明する。
【0038】
まず、GPS受信機12の演算部12cは、受信部12aによりGPS衛星からの電波信号を受信できたか否かを判定する(ステップS11)。受信部12aにより4つのGPS衛星からの電波信号を受信できたと判定された場合(ステップS11、YES)、演算部12cは、4つのGPS衛星から受信した電波信号に含まれる時刻情報に基づいて計時部12bの時刻を補正する(ステップS12)。
【0039】
ステップS12に続いて、GPS受信機12は、計時部12bにおける時刻と受信部12aが現在何個のGPS衛星から電波信号を受信しているかを示す受信レベル情報を、1秒毎に制御部11へ出力するので、ステップS12において演算部12cにより補正された直後の時刻が制御部11へ出力される。制御部11は、受信した受信レベル情報に基づいて、計時部12bの時刻が4つのGPS衛星から電波信号を受信したときの時刻であると判別し、その時刻を時刻記憶部13に記憶させることで経過時間Xの測定を開始する(ステップS13)。
【0040】
そして、制御部11は、受信した計時部12bの現在時刻の信頼性が高いため、特殊表示を表示部14に表示させ(ステップS14)、処理を終了する。ここで、特殊表示とは、図4(a1)に示すように、現在時刻『08:30』の下に『GPS』という文字を合わせて表示させる。また、図3(a2)に示すように、現在時刻『08:30』とともに、現在時刻の情報を符号化した2次元バーコードを表示させてもよい。さらに、現在時刻の情報を符号化した2次元バーコードのみを表示させてもよい。
【0041】
一方、ステップS11において、受信部12aにより4つ以上のGPS衛星からの電波信号を受信できていないと判定された場合(ステップS11、NO)、制御部11は、GPS受信機12から定期的に出力される計時部12bの時刻(すなわち、現在時刻)と、時刻記憶部13に記憶されている時刻を比較することで、計時部12bの時刻補正を行ってからの経過時間Xが所定時間以上になったか否かを判定する(ステップS15)。
【0042】
経過時間Xが所定時間以上になったと判定された場合(ステップS15、YES)、制御部11は、計時部12bの時刻の信頼性が低くなったと判定してGPS受信機12から定期的に出力された計時部12bの現在時刻を表示部14に表示する際に、表示時刻の信頼性が低下していることをユーザが視認できる表示態様に変更して表示させ(ステップS16)、処理を終了する。ここでの表示態様は、図3(b1)に示すように、現在時刻『08:30』を通常の黒文字とは異なる色の文字(図面では網目文字で表現)に変更して表示させる。また、図3(b2)に示すように、現在時刻『08:30』にした下線を表示させたり、図3(b3)に示すように、現在時刻『08:30』の下に『非時刻補正』という文字を合わせて表示させたりしてもよい。
【0043】
一方、ステップS15において、経過時間Xが所定時間以上に達していないと判定された場合(ステップS15、NO)、制御部11は、受信した計時部12bの現在時刻を示す特殊表示のままで表示部14表示させてステップS14へ進む。
【0044】
なお、計時部12bの時刻を示す特殊表示は、時間の経過とともに変化する。すなわち、特殊表示とは、計時部12bの時刻を示しているため、計時部12bの時刻が変われば(新たにGPS受信機12から計時部12bの時刻が出力されれば)、その時刻を示す特殊表示が表示される。例えば、特殊表示が時刻の情報を符号化した2次元バーコードであって、計時部12bの時刻が1秒毎に出力される場合であれば、表示する2次元バーコードは1秒毎に変化する。また、特殊表示が、現在時刻の文字列『08:30』の下に『GPS』という文字を合わせて表示させる場合であれば、現在時刻の文字列が出力された計時部12bの時刻に応じて変化する。
【0045】
なお、上記実施例では、GPS受信機12から定期的に出力された計時部12bの時刻が補正された時刻であると判定する一例として、GPS受信機12から計時部12bの時刻とともに出力される受信レベル情報に基づき、4つのGPS衛星から電波信号を受信しているときの時刻を補正された時刻と判定する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、GPS受信機12から定期的に出力された計時部12bの時刻とともに時刻補正を行なったことを示す識別情報を受信できる場合は、制御部11は、その識別情報を受信したときの時刻を補正された時刻と判定し、時刻記憶部13に記憶させるようにしてもよい。
【0046】
また、表示装置10内(但し、GPS受信機12の外部)にもう1つ時計を設け、その時計をGPS受信機12から出力される時刻に補正するように構成してもよい。この場合、制御部11は、表示装置10内の時計とGPS受信機12から出力される時刻とが大きく異なる場合に時刻補正がなされたと判定し、そのときの時刻を時刻記憶部13に記憶すればよい。
【0047】
さらに、上記実施例で説明したようなGPS衛星からの電波信号に限らず、電波時計の電波信号に基づいて時刻補正を行なってもよい。この場合には、独立行政法人情報通信研究機構の日本標準時グループが管理運営を行なっている標準電波信号に含まれる時刻に計時部12bを合わせればよい。
【0048】
図5は、本発明の他の実施例にかかる表示装置10’の要部構成を示す図であり、電波時計の電波信号に基づいて時刻補正を行なうものである。図5に示す表示装置10’において、図1の表示装置10と異なる点は、図1の受信部12a、制御部11に代わりに受信部12a’、制御部11’をそれぞれ備えた点である。受信部12a’ 、制御部11’を除いた、その他の各構成要素は、図1に示す表示装置10の構成と同様であり、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明は重複するため省略する。
【0049】
受信部12a’は、アンテナ12dを介して電波時計の電波信号を受信し、復調・増幅するための増幅器やA/Dコンバータなどを備えている。
【0050】
制御部11’は、受信部12a’により受信された電波信号に含まれている時刻情報に基づき、計時部12bを補正し、補正した時刻を時刻記憶部13に記憶させる。そして、制御部11’は、計時部12bの時刻と、時刻記憶部13に記憶されている時刻を比較することで、最後に計時部12bが補正されたときからの経過時間Xを算出する。
【0051】
さらに、制御部11’は、経過時間Xが所定時間に達していないと、計時部12bの時刻の信頼性が高いと判定して計時部12bの時刻を示す特殊表示を表示部14に表示させる。一方、経過時間Xが所定時間以上になると、計時部12bの時刻の信頼性が低くなったと判定して計時部12bの時刻を表示部14に表示する際に、表示時刻の信頼性が低下していることをユーザが視認できる表示態様に変更して表示させる。
【0052】
さらに、上記実施例では、GPS衛星、又は、おおたかどや山標準電波送信所、はがね山標準電波送信所(日本の標準時刻送信所)から送信された電波信号は、鉄筋等の建物内や、ノイズの発生源が近くにある場合、受信することが困難となり、正確な時刻補正を行なうことができない。このため、外部からの時刻情報の受信は、有線あるいは無線を介してインターネットから行なってもよい。
【0053】
次に、撮像装置20の構成および動作について説明する。図6は、本発明の実施例にかかる撮像装置20の要部構成を示すブロック図である。撮像装置20は、制御部21、撮像部22、計時部23、撮像データ記憶部24、通信I/F25を備えて構成される。
【0054】
制御部21は、内部に記憶された制御プログラムを実行することにより、下記に説明する各部の動作を制御・統括する。
【0055】
撮像部22は、画像撮像素子としてCCDを用いたCCDカメラであり、CCDは撮影レンズユニットにより結像された被写体の光像(光学情報)をR(赤)・G(緑)・B(青)の色成分の画像データに光電変換して出力する。なおCCDは、タイミングジェネレーターにより駆動されることにより、例えば絞りや露光時間の制御等が行われる。撮像部22により得られた撮影画像は、撮像データ記憶部24に記録される。
【0056】
計時部23は、時刻を計時するものであり、一般的な水晶発振器を用いた時計(クオーツ時計)で構成されている。計時部23によって計時される時刻は撮影時刻として撮影画像と対応付けて撮像データ記憶部24に記録される。
【0057】
撮像データ記憶部24は、撮像部22により撮影された撮影画像と計時部23により計時された撮影時刻(現在時刻)とを対応付けて記憶するものである。
【0058】
通信I/F25は、撮像データ記憶部24に記憶された撮影画像と撮影時刻とを含む画像データを補正装置30との間での通信を行なうインタフェースである。
【0059】
次に、以上のように構成される撮像装置20の撮影処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
まず、撮像部22は、制御部21の制御により、ユーザからの撮影指示があると被写体の撮影を行なう(ステップS21)。本実施例においては、表示装置10の表示部14に特殊表示された現在時刻(図4参照)を撮影する。
【0061】
制御部21は、ステップS21において撮影された撮影画像と、計時部23において計時された現在時刻(撮影時刻)とを対応付けて撮像データ記憶部24に記憶させ(ステップS22)、処理を終了する。
【0062】
次に、補正装置30の構成および動作について説明する。図8は、本発明の実施例にかかる補正装置30の要部構成を示すブロック図である。補正装置30は、制御部31、画像データ記憶部32、通信I/F33を備えて構成される。
【0063】
制御部31は、内部に記憶された制御プログラムを実行することにより、下記に説明する各部の動作を制御・統括する。また、制御部31は、撮影画像に含まれる特殊表示を認識し、認識結果に基づいて撮影画像の撮影時刻を補正する補正手段として機能する。
【0064】
画像データ記憶部32は、撮影画像に含まれる特殊表示を認識処理するためのテンプレートを記憶するためのものである。このテンプレートは、表示装置10の画像データ記憶部15に記憶された付加情報、例えば、『GPS』、といった文字データ、時刻情報を符号化した2次元バーコード、囲い線や下線といった図形データに対応するものである。
【0065】
制御部31は、このテンプレートを用いてパターンマッチング処理等を行なうことにより特殊表示を認識する。例えば、特殊表示が現在時刻の文字列『08:30』の下に『GPS』という文字を合わせて表示させる場合であれば、テンプレート『GPS』を用いて『GPS』という文字が撮影画像に含まれている撮影画像を特定し、『GPS』という文字の上(所定範囲上)にある文字列『08:30』を認識することで、特殊表示が示す時刻(8時30分)を特定する。
【0066】
通信I/F33は、撮像装置20との間での通信を行ない、撮像装置20の撮像データ記憶部24に記憶された撮影画像と撮影時刻とを含む画像データを取得するためのインタフェースである。
【0067】
なお、補正装置30は、記憶部(図示せず)を備えており、通信I/F33を介して取得した画像データ(撮影画像及び撮影時刻を含む)を記憶する。なお、この記憶部は、補正装置30に取り付け取り外し可能であってもよい。すなわち、SDなどの半導体メモリで構成されてもよい。
【0068】
次に、以上のように構成される補正装置30の補正処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
まず、制御部31は、画像データ記憶部32に記憶されたテンプレートを用いて、通信I/F33を介して撮像装置20から取得した画像データに含まれる撮影画像から特殊表示を認識する(ステップS31)。次に、制御部31は、ステップS31において認識した特殊表示が示す時刻と、撮像装置20から取得した当該特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻との差分を算出する(ステップS32)。
【0070】
そして、制御部31は、ステップS32において算出した差分に基づき、記憶部(図示せず)に記憶された撮影画像のうち時刻補正を行なっていない撮影画像の撮影時刻を補正し(ステップS33)、補正した撮影時刻と当該撮影時刻に対応付けられた撮影画像を含む画像データに補正済みのフラグを立てて(ステップS34)、処理を終了する。
【0071】
なお、撮影時刻を補正した撮影画像のデータと補正済みフラグは、通信I/F33を介して撮像装置20へ送信し、撮像装置20の撮像データ記憶部25へ再び記憶させてもよいし、補正装置30内の補正画像データ記憶部(図示せず)に記憶させてもよい。
【0072】
なお、画像データに補正済みのフラグを立てる理由について、説明を行なう。
【0073】
すなわち、ステップS32において算出した差分に基づいて、記憶部(図示せず)に記憶された他の画像データ(特殊表示を含む撮影画像(撮影画像に特殊表示が写っている撮影画像)を含まない画像データ、すなわち、ユーザが撮影したい被写体や風景などが撮影画像に含まれる画像データ)に含まれる撮影時刻を時刻補正する際(例えば、差分が20分であれば、撮影時刻を20分ずらす補正)に、通信I/F33を介して特殊表示を含む撮影画像(撮影画像に特殊表示が写っている撮影画像)を含む画像データを取得するたびに、全ての画像データに含まれる時刻補正を行なってしまうと、例えば、1度時刻補正した撮影時刻を再度時刻補正してしまう恐れがある。例えば、撮影時刻を20分ずらす補正をした(正確な時刻に補正した)後に、再度、撮影時刻を20分ずらす補正をしてしまい、撮影時刻が正確でなくなってしまう。
【0074】
そのため、一度補正した撮影時刻を含む画像データに補正済みフラグを立てておけば、次回、通信I/F33を介して特殊表示を含む撮影画像(撮影画像に特殊表示が写っている撮影画像)を含む画像データを取得して時刻補正する場合おいて、補正済みフラグが立っていない画像データのみを補正することが可能となる。
【0075】
次に、以上のように構成される時刻補正システム1の動作手順について。図10のシーケンス図を用いて説明する。
【0076】
まず、表示装置10において、GPS衛星からの電波信号を受信する(シーケンスSQ01)と、電波信号に含まれる時刻情報に基づいて計時部12bの時刻を補正する(シーケンスSQ02)。そして、撮像装置20による被写体の撮影に際に、表示部14に現在時刻を示す特殊表示を表示する(シーケンスSQ032)。なお、計時部12bの時刻の信頼性が高い場合は、常に表示部14に特殊表示を表示しても良いが、これに限ることはなく、ユーザが時刻補正のために、特殊表示を撮影したい場合に、操作部(図示せず)を操作して、特殊表示の表示指示を行ってもよい。この場合においても、計時部12bの時刻の信頼性が低ければ、表示部14に特殊表示は表示されない。
【0077】
続いて、撮像装置20において、表示装置10の表示部14に特殊表示を撮影する(シーケンスSQ04)と、撮影された撮影画像と、計時部23において計時された現在時刻(撮影時刻)とを対応付けて撮像データ記憶部24に記憶する(シーケンスSQ05)。
【0078】
そして、補正装置30において、通信I/F33を介して撮像装置20から取得した撮影画像から特殊表示が示す時刻を認識する((シーケンスSQ06)と、時刻補正を行なっていない撮影画像の撮影時刻を、認識した時刻と特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻との差分に基づいて撮影時刻を補正する(シーケンスSQ07)。
【0079】
以上説明したように、本発明の実施例にかかる時刻補正システムによれば、特殊表示が示す時刻(補正された正確な時刻)に基づいて、撮影画像に対応付けられた撮影時刻が補正されるため、正確な撮影時刻補正を行なうことが可能となる。
【0080】
なお、上記実施例では、時刻補正システムの一例として、補正装置30を表示装置10や撮像装置20とは個別に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、補正装置30を表示装置10あるいは撮像装置20と一体的に構成してもよい。ここで、補正装置30を表示装置10と一体的に構成した場合には、表示装置10の画像データ記憶部15と補正装置30の画像データ記憶部32とが重複するため一方が不要となる。すなわち、表示装置10が、通信I/F33を備え、通信I/F33を介して取得した画像データに含まれる撮影画像に特殊表示が含まれる場合、当該特殊表示が示す撮影時刻と当該特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻との差分を算出し、当該差分に基づき通信I/F33を介して取得した画像データに含まれる撮影時刻を補正する。
【0081】
また、補正装置30を撮像装置20と一体的に構成した場合には、撮像装置20と補正装置30との通信に必要な通信I/F25および通信I/F33が不要となる。すなわち、撮像装置20が、画像データ記憶部32を備え、撮影した撮影画像に特殊表示が含まれる場合、当該特殊表示が示す撮影時刻と当該特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻との差分を算出し、当該差分に基づき撮像データ記憶部24に記憶された撮影時刻を補正する。
また、補正装置30を撮像装置20と一体的に構成した場合には、ステップS32において算出した差分(特殊表示から認識した時刻と、当該特殊表示が含まれる撮影画像に対応付けられた撮影時刻との差分)に基づいて、撮像装置20が備える計時部23の時刻を補正することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1・・・時刻補正システム
10、10’・・・表示装置
11、11’、21、31・・・制御部
12・・・GPS受信機
12a、12a’・・・受信部
12b、23・・・計時部
12c’・・・演算部
12d・・・アンテナ
12・・・時刻記憶部
14・・・表示部
15、32・・・画像データ記憶部
20・・・撮像装置
22・・・撮像部
24・・・撮像データ記憶部
25、33・・・通信I/F
30・・・補正装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から時刻情報を受信する受信部と、表示部と、前記時刻情報に基づいて時刻補正される計時部と、前記計時部が時刻補正されてからの時間に基づき前記計時部の時刻の信頼性を判定し、前記信頼性が高い場合、前記計時部の時刻を示す特殊表示を前記表示部に表示する制御部と、を備えた表示装置と、
撮像部と、現在時刻を計測する第2の計時部と、前記撮像部が撮像した撮像画像に前記撮像部が撮像したときの撮影時刻として前記第2の計時部より計測された現在時刻を対応付けて記憶する記憶部と、を備える撮像装置と、
前記撮影画像及び当該撮影画像に対応付けられた撮影時刻を記憶する第2の記憶部と、前記特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻と当該特殊表示が示す時刻との差分に基づき前記第2の記憶部に記憶された撮像時刻を補正する第2の制御部と、を備えた補正装置と、
からなることを特徴とする時刻補正システム。
【請求項2】
前記補正装置は、前記表示装置あるいは前記撮像装置と一体的に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時刻補正システム。
【請求項3】
外部から時刻情報を受信する受信部と、
表示部と、
前記時刻情報に基づいて時刻補正される計時部と、
前記計時部が時刻補正されてからの時間に基づき前記計時部の時刻の信頼性を判定し、前記信頼性が高い場合、前記計時部の時刻を示す特殊表示を前記表示部に表示する制御部と、
撮像時刻が対応付けられた撮像画像を受信する第2の受信部と、を備え、
前記制御部は、前記特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻と当該特殊表示が示す時刻との差分に基づき前記第2の受信部が受信した撮影画像に対応付けられた撮像時刻を補正することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
撮像部と、
現在時刻を計測する計時部と、
前記撮像部が撮像した撮像画像に前記撮像部が撮像したときの撮像時刻として前記計時部より計測された現在時刻を対応付けて記憶する記憶部と、
外部から受信した時刻情報に基づいて補正された計時部の時刻の信頼性が高い場合に表示される特殊表示を含む撮影画像に対応付けられた撮影時刻と当該特殊表示が示す時刻との差分に基づき前記記憶部に記憶された撮像時刻を補正する制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−117869(P2012−117869A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266345(P2010−266345)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】