説明

普通型コンバイン

【課題】本発明は、扱胴の後端部を除く内部空間にほぼ全長に亘って吸引風を発生させることによって、フィーダ入口付近の塵埃を軽減させるとともに、脱穀負荷が良好に軽減されるようにすることにある。
【解決手段】脱穀装置5の扱胴16を、周方向に複数間隔を隔てて配設して前後の支持部材に支持させた扱胴フレーム47に扱歯48を備えたフレーム式扱胴に構成して、扱胴16の後端部における扱胴軸15と扱胴フレーム47との間に遠心方向に起風する羽根71を設け、以ってフィーダ入口付近の塵埃をフィーダ13内の経路を通して扱胴16内に吸引するとともに、扱胴16のほぼ全長に亘る内部空間Sに吸引風を発生させて、塵埃や比重の軽い脱穀処理物を後方に排出されるように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈り取った作物全体を脱穀処理する普通型コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、普通型コンバインとして、走行機体の前方に作物を刈り取る刈取部8を備え、刈取部8の後方に刈り取った作物を搬送するフィーダ(搬送装置9)と、該フィーダ9によって搬送された作物を脱穀処理する脱穀装置18と、脱穀処理された作物を回収する作物回収部(グレンタンク)とを備え、脱穀装置18の扱室36内で扱胴軸(駆動軸34)の前後軸心周りで回転する扱胴(スクリューロータ64)を、円筒状の胴部69に多数の孔69aを形成した目抜き鉄板と胴部外周にスクリュー羽根67とを備えて構成し、扱胴内部における扱胴軸34に後方に起風する羽根68を設けたコンバインが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
普通型コンバインでは、オーガによって刈り取られた作物をフィーダの入り口に寄せてフィーダに送るので、フィーダ入口付近で茎葉や、茎葉に付着した土が浮遊して搭乗運転部周りの環境を悪化する要因となっていたが、特許文献1の発明では、扱胴軸34に設けられた羽根68によって、フィーダ内に吸引風が生じ、これによってフィーダ入口の環境が改善されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−141047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものでは、羽根68によって、扱胴(スクリューロータ64)の胴部69に形成された多数の小さな目抜き孔69aから、小さな穀粒以外の塵埃などが吸い込まれるが、特許文献1のものには羽根68が扱室の前部から中間部までの扱胴(スクリューロータ64)(扱胴の前半部)の内部にしか設けられていないので、扱室後半部では起風羽根68による風圧によって、脱穀中に塵埃などの脱穀処理物が扱胴(スクリューロータ64)の複数のラスプバー26の間から扱胴外方に出るのでそれが脱穀負荷となり、改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、扱胴の後端部を除く内部空間にほぼ全長に亘って吸引風を発生させることによって、フィーダ入口付近の塵埃を軽減させるとともに、脱穀負荷が良好に軽減される普通型コンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔第1発明の構成〕
第1発明は、走行機体の前方に作物を刈り取る刈取部を備え、前記刈取部の後方に刈り取った作物を搬送するフィーダと、該フィーダによって搬送された作物を脱穀処理する脱穀装置と、脱穀処理された作物を回収する作物回収部とを備えている普通型コンバインにおいて、前記脱穀装置の扱室内で前後軸心周りで回転する扱胴を、扱胴軸の前後に装着した支持部材と、該前後の支持部材に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームと、前記各扱胴フレームに扱胴の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯とを備えて構成し、前記扱胴軸の後端部における該扱胴軸と扱胴フレームとの間に遠心方向に起風する遠心羽根を設けてある。
【0008】
〔第1発明の作用〕
第1発明によれば、扱胴を、周方向に複数間隔を隔てて配設して前後の支持部材に支持させた扱胴フレームに扱歯を備えた扱胴(フレーム式扱胴)に構成して、扱胴軸の後端部における扱胴フレームの内部(扱胴軸と扱胴フレームとの間)に遠心方向に起風する遠心羽根を設けたことによって、扱胴の後端部を除く扱胴フレームで囲まれる扱胴の内部空間の略全長に亘って起風する吸引風によって扱胴の周囲環境の塵埃や軽い藁屑などの脱穀処理物を扱室の内部空間内に吸引しながら、穀稈や穀粒などが混在した脱穀処理物に対して、扱胴フレームや扱歯の打撃や梳き込みなどによる脱穀処理が施される。
又、遠心羽根の起風によって、扱室前方側の空気を後方に吸引移送することになるので、フィーダの始端部の塵埃が吸引され、フィーダの始端部近傍の、オーガによって寄せ集められてフィーダに掻き込まれる搬送穀稈の搬送に伴い発生する塵埃がフィーダ内に吸引される。これによって、オーガの掻き込みによって発生する塵埃の飛散が軽減され、その結果、搭乗運転部の周りに塵埃が浮遊するのを抑制することができる。
【0009】
吸引風を起こす場合は回転軸心方向に起風する軸流ファンの方が効果的であるが、軸流ファンを扱室後端近くである扱胴軸の後端部に設けると、ファンによる風が後壁に当たって乱流が生じ、ファンの前方に良好な吸引風が発生しない。
第1発明によれば、扱胴軸の後端部に遠心羽根を設けてあるので、吸引風が後壁に沿って扱胴の径方向に流れて、吸引風が後壁に当たることによる乱流が発生し難い。これにより、吸引風を良好に発生させながら、扱歯によって脱穀された脱穀処理物とともに、遠心羽根によって吸引された脱穀処理物も扱室後端の排稈口から良好に排出することができ、全体としての脱穀性能を向上させることができる。
【0010】
〔第1発明の効果〕
第1発明によれば、フィーダ内及び扱室内に作物搬送方向に起風された風力によって処理対象物を作物搬送方向に送るよう補助することができるので、フィーダ内及び扱室内で処理対象物を停滞させることなく良好に脱穀処理を行うことができるに至った。
【0011】
又、扱胴をフレーム式扱胴とした上で、扱胴軸の後端部に遠心方向に起風する遠心羽根を設けたので、扱胴の後端部を除く扱胴の内部空間の略全長に亘って吸引風が発生するので、細かい塵埃だけでなく、軽い藁屑などの脱穀処理物が扱胴の内部空間に吸引されて後方に搬送されるとともに、脱穀処理物を良好に排出でき、脱穀負荷を軽減しながら良好な脱穀処理を行うことができるに至った。
【0012】
〔第2発明の構成〕
第2発明は、第1発明の構成において、前記遠心羽根を前記扱胴軸に取付けてある。
【0013】
〔第2発明の作用効果〕
第2発明によれば、遠心羽根の径を扱胴フレームに達するまでの範囲内で、所望の寸法に製作することができる。
【0014】
〔第3発明の構成〕
第3発明は、第1発明または第2発明の構成において、前記遠心羽根とは別に、前記扱胴軸の前後方向中間部に、前記扱胴軸の後方に向けて起風する中間羽根を設けてある。
【0015】
〔第3発明の作用効果〕
第3発明によれば、扱胴の後端部に設けた遠心羽根とともに、扱胴の内部空間に設けた羽根とで、扱胴内に作物搬送方向に向かう風を効果的に起風させることができ、これによって、塵埃や軽い藁屑を良好に扱胴後方に移送して扱室外に排出することができる。
【0016】
〔第4発明の構成〕
第4発明は、第3発明の構成において、前記中間羽根を、前記扱胴軸の前後方向に複数配設し、前に位置する前記中間羽根よりも後に位置する前記中間羽根を、起風力が大きいものに構成してある。
【0017】
〔第4発明の作用効果〕
第4発明によれば、扱胴によって脱粒された後の扱室内の排出されるべき脱穀処理物が扱室内に停滞することなく効果的に作物搬送方向に搬送されるとともに、後方ほど起風力が大きくしてあるので、扱室後半部の排出されるべき脱穀処理物を速やかに排稈口に移送することができるに至った。
【0018】
〔第5発明の構成〕
第5発明は、第3発明または第4発明の構成において、前記扱胴軸の前後方向中間部に前記扱胴フレームを支持する中間支持部材を配設し、前記中間支持部材に、該中間支持部材に形成した孔を通して後方に起風する羽根を形成し、この羽根が前記中間羽根として機能するように構成してある。
【0019】
〔第5発明の作用効果〕
第5発明によれば、中間支持部材は扱胴フレームの前後中間部を支持するものであるから、扱胴が前後に長い場合であっても、扱胴フレームの振動(振幅)が抑制されるので、扱歯と扱胴外周の構成部材との間隔が近接していても扱胴を干渉させることなく、良好に回転させることができる。又、中間支持部材に、中間支持部材に形成した孔を通して後方に起風する中間羽根を形成してあるので、中間支持部材を中間羽根の支持部材として兼用することができる。これにより、扱胴フレームを安定して支持させながら、中間羽根を中間支持部材に形成して扱胴の部品点数を削減できるに至った。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】全稈投入型コンバインの全体左側面図である。
【図2】全稈投入型コンバインの全体平面図である。
【図3】全稈投入型コンバインの全体右側面図である。
【図4】脱穀装置の縦断側面図である。
【図5】脱穀装置の前端部の構成を示す一部縦断正面図である。
【図6】脱穀装置の前後中間部の構成を示す一部縦断正面図である。
【図7】扱胴の平面図である。
【図8】遠心羽根を示す縦断正面図である。
【図9】オーガ底板を示す一部破断平面図である。
【図10】オーガ底板の多孔板の取付構造を示す縦断側面図である。
【図11】1番回収部の樋状体の取付構造を示す縦断側面図である。
【図12】1番回収部の樋状体の取付構造を示す一部縦断正面図である。
【図13】1番回収部の樋状体の構造を示す平面展開図である。
【図14】排藁切断用チョッパの一部縦断側面図である。
【図15】排藁切断用チョッパの回転刃の変速機構を示す一部縦断背面図である。
【図16】別実施の形態を示す脱穀装置の縦断側面図である。
【図17】別実施の形態を示す扱胴の前後中間部の一部縦断正面図である。
【図18】別実施の形態を示す脱穀装置の縦断側面図である。
【図19】別実施の形態を示す全稈投入型コンバインの全体平面図である。
【図20】別実施の形態を示す作物回収部の搬送装置の一部縦断背面図である。
【図21】別実施の形態を示す作物回収部の搬送装置の一部縦断側面図である。
【図22】別実施の形態での穀粒タンクを示し、(a)は穀粒タンクが通常状態での背面図、(b)は穀粒タンクを上昇させた状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、稲や麦などを収穫対象とする全稈投入形コンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、角パイプ鋼材などで形成した走行機体を構成する車体フレーム1に、エンジン2や図外の変速装置などを搭載し、車体フレーム1の下部に、変速装置などを介して伝達されるエンジン2からの動力で駆動される左右一対のクローラ式走行装置3を装備し、車体フレーム1の前部に、収穫対象の植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取部4を昇降揺動可能に連結している。車体フレーム1の横一側部である左半部に、刈取部4からの刈取穀稈に対して脱穀処理を施すとともに、その脱穀処理で得られた脱穀処理物に対して選別処理を施す脱穀装置5を搭載している。車体フレーム1の横他側部である右半部に、脱穀装置5からの穀粒を貯留するとともに、その貯留した穀粒の袋詰めを可能にする作物回収部としての袋詰装置6を搭載し、車体フレーム1における袋詰装置6の前方箇所に搭乗運転部7を形成して構成されている。
【0022】
左右のクローラ式走行装置3は、搭乗運転部7に備えた操縦レバー8の左右方向への揺動操作に基づいて、それらが等速駆動されることで直進状態を現出し、それらが差動することで旋回状態を現出するように構成されている。
【0023】
図1〜図3に示すように、刈取部4は、車体の走行に伴って、その前部左右両端に装備したデバイダ9が植立穀稈を収穫対象の植立穀稈と収穫対象外の植立穀稈とに梳き分け、その前部上方に配備した回転リール10が、左右のデバイダ9で梳き分けられた収穫対象の植立穀稈を後方に向けて掻き込み、その底部に装備したバリカン形の切断機構11が収穫対象の植立穀稈の株元側を切断し、切断機構11の後方に配備したオーガ12が、切断機構11による切断後の刈取穀稈を左右方向の所定箇所に寄せ集めるとともに、その所定箇所において後方に向けて送り出し、その所定箇所から脱穀装置5の前上部にわたる搬送コンベヤからなるフィーダ13が、オーガ12からの刈取穀稈を脱穀装置5に向けて搬送するように構成されている。又、操縦レバー8の前後方向への揺動操作に基づいて、車体フレーム1とフィーダ13とにわたって架設した油圧式の昇降シリンダ54が伸縮作動することで、脱穀装置5とフィーダ13との連結点を支点にして昇降揺動し、その昇降揺動で、植立穀稈に対する切断機構11の高さ位置を変更する刈り高さ調節を行えるように構成されている。
【0024】
図4〜図6に示すように、脱穀装置5は、その上部に形成した扱室14に、刈取穀稈の搬送方向に沿って架設した前後向きの扱胴軸15の軸心Q周りに回転する扱胴16を配備し、その扱胴16の下方に、扱胴16の下部側を下方から覆う正面視U字状に形成された受網17を装備し、脱穀装置5の作物搬送方向下手側端部となる受網17の後方に排稈口18を形成し、受網17の下方に揺動選別機構19を設け、その揺動選別機構19の前下方に唐箕20を配備し、揺動選別機構19の前部側下方に1番回収部21を形成し、揺動選別機構19の後部側下方に2番回収部22を形成し、揺動選別機構19の後方に排出口23を形成し、扱胴16の上部側を上方から覆う天板24を備えて構成されている。
【0025】
扱室14は、扱胴16を覆う受網17や天板24などによって区画形成され、その前端下方部位に供給口25が形成され、その供給口25にフィーダ13の後端部が接続され、そのフィーダ13で搬送された刈取穀稈の全体が脱穀処理物として供給口25から投入供給される。
【0026】
扱胴16は、その扱胴軸15が脱穀装置5の前壁26と後壁27とにわたって回転可能に架設され、唐箕20などを介して伝達されるエンジン2からの動力で、扱胴軸15を支点にして正面視右回りに回転駆動されることで、扱室14に供給された刈取穀稈に対して脱穀処理を施して、穀粒の単粒化を促しながら、その刈取穀稈を作物搬送方向下手側となる後方に向けて搬送する。
【0027】
受網17は、格子状に形成されたコンケーブ受網であり、扱室14に供給された刈取穀稈を受け止めて、刈取穀稈に対する扱胴16の脱穀処理を補助し、その脱穀処理で得られた単粒化穀粒や枝梗付き穀粒、あるいは、脱穀処理で発生した稈屑などを下方の揺動選別機構19に向けて漏下させる一方で、脱粒穀稈などの揺動選別機構19への漏下を防止する。
【0028】
揺動選別機構19は、カム式の駆動機構28によって前後方向に揺動駆動されるシーブケース29の上部に、粗選別用のグレンパン30とチャフシーブ31とストローラック32とを、その順にシーブケース29の前側から配備し、シーブケース29の下部に、精選別用のグレンパン33とグレンシーブ34とを、その順にシーブケース29の前側から配備して構成されている。そして、単粒化穀粒や稈屑などが混在する状態で受網17から漏下した選別処理物を、上部のグレンパン30やチャフシーブ31あるいはストローラック32で受け止めて、篩い選別による粗選別処理を施し、かつ、単粒化穀粒や枝梗付き穀粒などが混在する状態でチャフシーブ31から漏下した選別処理物を、下部のグレンパン33やグレンシーブ34で受け止めて、篩い選別による精選別処理を施して、選別処理物を、1番物としての単粒化穀粒と、2番物としての枝梗付き穀粒や稈屑などの混在物と、3番物としての稈屑などの塵埃とに選別する。
【0029】
唐箕20は、ベルト式の伝動機構35を介して伝達されるエンジン2からの動力で、その支軸20Aを支点にして回転駆動されることで選別風を生起し、その選別風が、3つの風路R1〜R3を通って、受網17から漏下した選別処理物や、揺動選別機構19で選別される選別処理物などに向けて供給されることで、選別処理物に対して風力選別処理を施して、選別処理物から比重の小さい稈屑などを吹き分けて、作物搬送方向下手側の排出口23に向けて搬送する。
【0030】
1番回収部21は、唐箕20からの選別風でワラ屑などの塵埃が除去された状態で、揺動選別機構19のグレンシーブ34から漏下した単粒化穀粒を、1番物として回収し、回収した1番物を、その底部に左右向きに配備した1番スクリュー36で、その右端に連通接続した揚送コンベア37(図2参照)に向けて搬送する。
【0031】
2番回収部22は、揺動選別機構19のグレンシーブ34から漏下せずにグレンシーブ34の後端から流下した枝梗付き穀粒や稈屑などの混在物、及び、揺動選別機構19のストローラック32から漏下した枝梗付き穀粒や稈屑などの混在物を2番物として回収し、回収した2番物を、その底部に左右向きに配備した2番スクリュー38で、その右端に連通接続した2番還元機構39(図2参照)に向けて搬送する。
【0032】
揚送コンベア37は、1番スクリュー36で搬送された1番物を揚送して、袋詰装置6の上部に備えた穀粒タンク40に供給する(図1、図2参照)。2番還元機構39は、2番スクリュー38で搬送された2番物に対して再び脱穀処理を施す再処理部(図示せず)を備え、その再処理部による脱穀処理後の2番物を揚送して揺動選別機構19に還元する。
【0033】
排出口23は、受網17から漏下せずに排稈口18から流下する脱粒穀稈や、篩い選別処理や風力選別処理で揺動選別機構19の後方に選別搬送された稈屑などが後方の排藁切断用チョッパ72に排出されるように接続されている。
【0034】
前記扱胴16は、その前端部に装備した円錐台状の掻込部41と、その掻込部41の後端に連接した扱き処理部42とを備えて構成されている。掻込部41の外周面には、扱胴16の回転作動時に、供給口25から供給された刈取穀稈を後方の扱き処理部42に向けて掻き込み搬送する2枚の螺旋歯43が一体装備されている。
【0035】
扱き処理部42は、扱胴軸15の前部に一体装備したプレートからなる前部支持部材44、扱胴16の前後中間部に装備した孔開きプレートからなる中間支持部材45、扱胴軸15の後端部に一体装備したプレートからなる後部支持部材46、それらの支持部材44〜46によって、扱胴軸15に沿う前後向きの姿勢で、扱胴16の周方向に一定間隔を隔てて並ぶように支持された丸パイプ鋼材などからなる6本の扱胴フレーム47、及び、各扱胴フレーム47に、扱胴フレーム47から扱胴16の径方向外方に向けて突出する姿勢で、前後方向に所定間隔を隔てて並ぶように装備した複数の丸棒状の扱歯48などによって籠状に構成されている。
【0036】
つまり、扱胴16は、その外方に向けて突出する複数の扱歯48が、扱き処理部42の周方向と前後方向とに所定間隔を隔てて並ぶように整列配備され、又、扱き処理部42の内部空間Sが扱室14に連通して、その内部空間Sへの脱穀処理物の入り込みを許容するようになっている。
【0037】
図4、図7、図8に示すように、前記扱胴軸15の後端部における平面視で受網17よりも後方部分に、遠心方向に起風する遠心羽根71を設けてある。遠心羽根71は、扱胴軸15に放射状に所定ピッチで固着された複数のブラケット71aに着脱自在に螺合されており、この遠心羽根71は前後幅よりも径方向に長い矩形の平板状に形成されている。この遠心羽根71の起風力によって、脱穀された排藁を排稈口18より扱室14の外に放出するとともに、扱室上手側の空気、並びに、フィーダ13内の空気を吸引することができる。扱胴16の回転作動時には、遠心羽根71の起風に伴い扱胴16の周囲環境の塵埃や軽い藁屑などの脱穀処理物を内部空間S内に吸引しながら、穀稈や穀粒などが混在した脱穀処理物に対して、扱胴フレーム47や扱歯48の打撃や梳き込みなどによる脱穀処理を施すことになる。
【0038】
そして、前記遠心羽根71の起風によって、扱室内の空気を脱穀処理物の搬送方向(後方)に吸引することになるので、フィーダ13の始端部の塵埃が吸引され、フィーダ13の始端部近傍の、オーガ12によって寄せ集められてフィーダ13に掻き込まれる搬送穀稈の搬送に伴い発生する塵埃がフィーダ13内に吸引される。これによって、オーガ12の掻き込みによって発生する塵埃の飛散が軽減され、その結果、搭乗運転部7の周りに塵埃が浮遊するのを抑制することができる。
【0039】
扱き処理部42の内部空間Sが扱室14に連通することで、大量の刈取穀稈が脱穀処理物として扱室14に供給された場合であっても、扱き処理部42の内部空間Sを脱穀処理用の処理空間として有効利用することができるとともに、前記遠心羽根71によって、処理空間での脱穀処理物の滞留や処理空間の飽和を回避することができる。
【0040】
更に、扱胴16の回転作動時には、扱室14の始端部では螺旋歯43の回転によってフィーダ13内の空気を供給口25に向けて吸引するように作用し、この作用と前記遠心羽根71により扱室内の空気を後方に送る作用との相乗効果によってフィーダ13内の空気を扱室16内にスムーズに流入するようになり、これによって、フィーダ13始端部のオーガ12によって発生する塵埃をフィーダ13を通して扱室16内へ良好に吸引できるとともに、脱穀処理物の作物方向下手側への搬送をより速やかに行える。
【0041】
即ち、供給口25から吸引される空気は、供給口25に接続されたフィーダ13の内部を通るものであり、そのフィーダ13は、オーガ12の掻込み部に連通するものであることから、扱胴16の回転作動時には、螺旋歯43と遠心羽根71の回転による吸引作用で、刈取回収部での刈取処理や回収処理で発生した稈屑などの塵埃も、外気とともに、刈取回収部の搬出口(フィーダ13の掻込み部)からフィーダ13の内部空間及び供給口25を介して、扱胴16の周囲や扱き処理部42の内部空間Sに流入することになる。その結果、刈取回収部での稈屑などの付着堆積や舞い上がりを抑制することができ、その付着堆積に起因した刈取穀稈の搬送不良や、その舞い上がりに起因した作業環境及び視界性の低下などを抑制することができる。
【0042】
そして、遠心羽根71を扱胴16内部における扱胴16の後端部に設けたので、後端部を除く内部空間Sの略全長に亘って、空気を扱胴16の内部空間Sに向けて吸引力が作用するので、フィーダ13から吸引された塵埃や比重の軽い藁屑などは、内部空間Sを通って扱室後端部で扱胴の内部空間Sから扱室外の排出されることとなるので、良好に脱穀負荷の軽減を図ることができるようになった。
【0043】
前記各支持部材44〜46の外形は、扱胴軸15を中心とする円形で、外周側における扱胴軸15からの等距離の位置に扱胴フレーム47がボルト連結されている。図6に示すように、中間部の支持部材45は、扱胴軸15から扱胴フレーム47に向かう支持部45aを残して、通風用の孔56を形成してある。
【0044】
つまり、各支持部材44〜46の外周側に、その周方向に一定間隔を隔てて並ぶ状態に6本の扱胴フレーム47を配備して、扱胴16の胴径を大きくするようにしているのであり、これによって、扱胴16に対する刈取穀稈の巻き付きを防止することができる。
【0045】
各扱胴フレーム47には、扱歯48が、その前後方向に一定ピッチPで並ぶ状態に、かつ、扱胴フレーム47の前端から最前の扱歯48の中心までの距離L1と、扱胴フレーム47の後端から最後の扱歯48の中心までの距離L2とを、交互に半ピッチ(=1/2P)だけ異ならせた状態で取付けられている。
【0046】
各扱歯48のうち、扱胴フレーム47の前側2本と後側2本の扱歯48は、扱胴フレーム47に着脱可能にナット止めされており、中間部の扱歯48は扱胴フレーム47に着脱不能に溶接されている。
【0047】
図4〜図6に示すように、天板24は、扱歯先端の回転軌跡Kに略沿って湾曲する湾曲部24A、その湾曲部24Aの前後両端に位置する半円状の縦壁部24B、及び、湾曲部24Aの左右に位置する一直線状の側縁部24C、などを備え、扱胴16の上部側を上方から覆う閉状態と、扱胴16の上部側を開放する開状態とに、左側の側縁部24Cに備えた複数のヒンジ24Dを支点にした開閉揺動操作が可能となるように構成されている。右側の側縁部24Cには、天板24を閉状態で固定する複数のボルト24Eが備えられている。
【0048】
湾曲部24Aの内面には、扱胴16の回転作動に伴って、扱室14の上部に搬送された脱穀処理物を作物搬送方向下手側に向けて案内する複数の送塵弁49が、前後方向に所定間隔を隔てて並ぶように固定装備されている。複数の送塵弁49のうち、最前の送塵弁49Aは、左右中間部から左側の側縁部24Cまで円弧状に形成され、他の送塵弁49Bは、左右の側縁部24Cにわたる円弧状に形成されている。
【0049】
左右の側縁部24Cには、湾曲部24Aの内面と受網17の内縁とに連なる案内面を有するように形成された鋼板製の継目部材50が着脱可能にボルト連結されている。つまり、受網17と天板24との継ぎ目に位置することにより脱穀処理物との接触が激しくなって摩耗し易い継目部材50を着脱可能に構成したことで、その継目部材50を天板24に一体形成した場合のように、継目部材50の摩耗によって天板24の全体を交換する、といった手間や経済的な不利を招くことなく、継目部材50の摩耗に対する処置を適切に行える。
【0050】
各扱歯48の先端と各送塵弁49の下縁との間には、送塵弁49による脱穀処理物の案内を良好にするために小さいクリアランスが設定されている。又、各扱歯48の先端と受網17の内縁との間には、単粒化穀粒の受網17からの漏下を促進させるために、各扱歯48の先端と各送塵弁49の下縁との間に設定したクリアランスよりも大きいクリアランスが設定されている。
【0051】
図4、図5、図7に示すように、脱穀装置5の前壁26と受網17との間には、供給口25から供給された刈取穀稈を受け止めて、扱胴16の掻込部41による刈取穀稈の掻き込み搬送を補助する搬送補助部材51が配備されている。搬送補助部材51は、扱胴16の下部側を下方から覆う正面視略U字状にボルト連結される2つのプレート51Aによって構成され、脱穀装置5の前壁26や脱穀装置5の上部に前後向きに配備した左右一対の支持フレーム52に着脱可能にボルト連結されている。
【0052】
図4、図6、図7に示すように、受網17は、同一形状に形成された4つの受網部材53によって構成され、左右の支持フレーム52に着脱可能にボルト連結されている。
【0053】
図4に示す粗選別用のチャフシーブ31は、単一の選別プレートで構成され、その作物搬送方向下手側ほど上方に位置する後上がりの傾斜姿勢でシーブケース29にボルト連結されている。
【0054】
図4及び図7に示すように、扱胴16は、その後端に位置する扱歯48Aが、受網17の後端よりも後方に位置して排稈口18に臨むようになっている。つまり、扱胴16の後端においては、受網17が存在しないことで、その周囲に比較的大きい空間が形成された状態となっており、これによって、扱胴後端の扱歯48Aに脱粒穀稈が絡み付いていたとしても、その脱粒穀稈は、扱胴16の回転に伴う遠心力で、その扱歯48Aの先端から抜け出るようになり、結果、扱胴16の後端での扱歯48Aに対する引っ掛かりに起因した脱粒穀稈の滞留を効果的に抑制することができ、脱粒穀稈の排稈口18からの放出を促進させることができる。
【0055】
図9、図10に示すように、前記オーガ12の底板57に、幅方向に3つの開口58を形成し、開口58を覆う状態で底板57の下側に多孔板59を配設してある。多孔板59は、稲麦、粟稗、豆類など収穫物の大きさに合わせて、孔の大きさ・形状の異なる複数種の多孔板59を用意してあり、収穫作物によって選定して底板57に付け替え可能に構成してある。
【0056】
底板57の裏面における開口58の後に差込み用受板60を固設してあり、多孔板59の前端部には固定用の通し棒61を挿通する孔62を形成してある。通し棒61の一端には、ボルト挿通孔63を形成したブラケット64を固定してある。底板57の裏面の中央部2箇所に、通し棒61を挿通する孔を形成したブラケット65を固定し、底板57の左右端部に通し棒61を挿通する孔とボルト66を螺合する雌螺子を形成したブラケット67を固定してある。
多孔板59を取り替えるときは、ボルト66を外して、通し棒61を抜き取り、多孔板59を前方に引くと、多孔板59が受板60から外れる。多孔板59を取り付けるときは逆の手順で行う。
【0057】
図11〜図13に示すように、1番回収部21及び2番回収部22には、左右方向に5ミリ幅の板面と5ミリ幅の孔とが交互になるように10ミリピッチで多数の孔を形成した多孔板製の固定樋状体68と摺動樋状体69を上下に重ねて設け、摺動樋状体69を作物搬送方向に移動操作自在にガイドレール70に支持し、摺動樋状体69を固定するボルト70aを設け、1番、2番回収部21,22の底板を盲板状と全開した多孔状とに亘って連続的に切換え自在で、土を排出する孔の大きさを幅0〜5ミリの範囲で調節自在に構成して、収穫対象にかかわらず回収ロスと残留土を少なくするようにしてある。これによって、多孔板を交換することなく、豆、麦、稲などの収穫物に応じて所望の大きさの孔に設定することができる。
【0058】
脱穀装置5の後には、扱室14から排出された排藁(脱穀処理物)を細断する細断装置であるチョッパー72を備えている。図4、図14に示すように、扱室14の終端に至った排藁をチョッパー72に落下供給する案内面73を備え、チョッパー72により排藁を細断排出するように構成し、チョッパー72からの排藁を左右に拡散放出する姿勢と、非拡散放出する姿勢とに任意に切替え自在な複数のガイド羽根74を左右に並設してある。
【0059】
前記チョッパー72を、駆動回転される多数の回転刃75と、受け刃台76に対して回動自在な左右軸77aに固定した多数の受け刃77とで形成し、受け刃77の一つにワイヤーハーネス84を連結して、受け刃77を図14の実線で示す切断作用姿勢と二点鎖線で示す非作用姿勢とに切り換えられるようにしてある。
【0060】
図15に示すように、チョッパー72の回転軸78の一端には回転速度を2段に切換え可能な変速機構79を備えてある。回転軸78の断面は正六角形で形成されている。変速機構79は、回転軸78にベアリング80を介して遊転自在に外嵌された低速プーリ81と高速プーリ82を回転軸78に軸心方向に摺動可能に嵌合されたシフター83を低速プーリ81か高速プーリ82に噛合わせることで高低に変速するように構成されている。シフター83には、搭乗運転部7に備えた図示しない変速レバーに連係したワイヤーハーネス84を介して操作されるアーム部材85が係合されている。前記受け刃77に連結したワイヤーハーネス84もアーム部材85と共に変速レバーに連係されており、脱穀処理物を細断して圃場に放出するときは、ガイド羽根74を広角で排出されるようにセットし、変速レバーを高速側に操作すると、受け刃77が図14に示す二点鎖線の非作用姿勢から実線で示す切断作用姿勢に姿勢変更されるとともに、変速機構79のシフター83が低速ピーリ81から高速プーリ82と係合するように切り換わって、受け刃77と回転刃75との協働で扱室14から排出された脱穀処理物が高速で細断される。
脱穀処理物を細断しないで回収するときは、ガイド羽根74を収集側にセットし、変速レバーを低速側に切り換えることにより、受け刃77を非作用姿勢に姿勢変更するとともに、回転刃75が低速に切り換わり、案内面73上に排出された脱穀処理物が受け刃台76上まで流下してきたときに、チョッパー72の回転刃75で細断されることなく、強制搬送して圃場に放出される。
【0061】
〔別実施形態〕
(1)扱胴16としては、各扱胴フレーム47に、丸棒鋼材、角棒鋼材、角パイプ鋼材、アングル材、又はチャンネル材などを採用したものであってもよい。
【0062】
(2)扱胴16において、扱胴フレーム47の装備数量は種々の変更が可能であり、例えば、8本の扱胴フレーム47を装備するようにしてもよい。
【0063】
(3)扱胴フレーム47を支持する支持部材を、プレートで構成する他、パイプ材や角材で枠組みしたものであってもよい。
【0064】
(4)扱歯48として、角棒鋼材や丸パイプ材などを採用するようにしてもよく、又、くの字状に屈曲形成されたものを採用するようにしてもよい。
【0065】
(5)図4、図6に示すように、中間支持部材45には、通風用の孔56を形成してあるだけであるが、この中間支持部材45に代えて、図16、図17に示すように、中間支持部材45に中間羽根86を形成してもよい。図16、図17に示すように、中間支持部材45に通風用の孔56を形成する際に生じる板状の部分を折り曲げることで羽根86が一体形成されている。これにより、扱胴後端部の遠心羽根71と羽根86とで、塵埃や軽い脱穀処理物を吸引しながら、内部空間Sに入り込んだ脱穀処理物を後方に移送し、羽根86で扱室14の外に排出される。この場合、中間支持部材45を前後方向に複数設けて、この複数の中間支持部材45のそれぞれに中間羽根86を形成してもよい。
【0066】
(6)図18に示すように、扱胴軸15の中間部において前後に所定間隔を隔てて複数(例えば、3つ)の中間羽根87,88,89を配設して、前に位置する羽根87よりも後に位置する羽根89を、大径に形成して、後方ほど起風力が大きいものに設定してもよい。この場合、中間羽根87,89を、中間羽根88と同様に、中間支持部材45に形成するように構成してもよく、また、中間羽根の数は、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0067】
(7)羽根71,86〜89は、扱胴軸15のみに取り付けてもよいし、扱胴軸15と扱胴フレーム47とに亘って取り付けてもよい。羽根を扱胴軸15と扱胴フレーム47の両者に亘って取り付けた場合は、羽根71,86〜89が扱胴フレーム47の支持部材を兼ねることになり、扱胴が長い場合に別途支持部材を取り付けることを省略でき、生産性が向上する。
【0068】
(8)前記実施の形態では、作物回収部として袋詰装置6を設けたが、袋詰装置6に代えて、図19〜図21に示すように、グレンタンク90を備えてもよい。このグレンタンク90は、脱穀装置5の1番物を揚送するバケットコンベア91の前後の脱穀装置5側の空間を利用して、タンク上部分90Aを脱穀装置5側に拡幅できるようにしてある。タンク上部分90Aは、円弧状の天板部分90aと、前後壁部分90bと側壁部分90cとを備え、回動支点X周りに図示しないモータで、図20に示す開き姿勢とグレンタンク90の内側側壁90dに沿う閉じ姿勢とに揺動できるように構成されている。
【0069】
又、1番回収部21で回収された1番物は、バケットコンベア91で揚送され、バケットコンベア91からスクリューコンベア92を介して、スクリューケース93の外周面に形成した開口94からタンク内に収容される。前記開口94は、スライド式の蓋95で開閉できるようにしてある。蓋95の一側縁には図示しないラックを形成し、ラックに係合するピニオン108を図示しない電動モータに対するスイッチ操作で回転させて、蓋95を左右方向にスライド移動させることによって開閉するように構成してある。
前記スクリューコンベア92の外端は、差込み式のビス止めによって装着できる蓋96aと排出筒96bとに付替えられるように構成してある。
【0070】
1番回収部21のスクリュー36、バケットコンベア91のバケット91a及びスクリューコンベア92のスクリュー92aは、互いに連動して駆動するように構成してある。収穫作業時には、図示しない脱穀クラッチ及び1番スクリュー36に対するクラッチを入り操作しておくと、1番回収部21のスクリュー36、バケットコンベア91のバケット91a及びスクリューコンベア92のスクリュー92aが駆動して収穫物がグレンタンク90に回収される。
【0071】
グレンタンク90の内側側壁90dの下端部には、バケットコンベア91に通じる開口98と、この開口98を開閉するシャッタ99が設けられている。シャッタ99は、シャッタ99の一側縁に形成した図示しないラックに係合するピニオン109を図示しない電動モータに対するスイッチ操作で回転させることで、上下させて開閉できるように構成してある。グレンタンク90の底板90eは、前記シャッタ99側が下位となるように傾斜しているとともに、左右方向においてもシャッタ99が位置する側に向けて傾斜させてある。
【0072】
一番物をグレンタンク90に回収するときは、スクリューコンベア92の終端の開口の蓋96aをし、スイッチ操作でシャッタ99を閉じるとともに、スクリューケース93の蓋95を開けておく。グレンタンク90内が満杯状態となって収穫物をトラック等に回収するときは、スクリューコンベア92の終端の蓋96aを外して、排出筒96bと交換し、モータのスイッチ操作をしてシャッタ99を開くと共にスクリューケース93の開口94の蓋95を閉じる。この状態で脱穀装置5側の前記1番スクリュー用のクラッチを入り操作して、1番回収部21のスクリュー36、バケットコンベア91のバケット91a及びスクリューコンベア92のスクリュー92aが駆動して、グレンタンク90内の収穫物は、一番回収部21に流出することなく、収穫物はバケットコンベア91及びスクリューコンベア92により搬送されて排出筒96からトラックに移載される。
【0073】
(9)図1、図2に示す袋詰装置6は、走行機体に対して固定されたものであるが、袋詰装置6を次のように持上げ装置で持上げ移動して、袋詰装置6のタンク100内の収穫物を直接トラックに回収、又はトラックの荷台上で袋詰めするようにしてもよい。
【0074】
図22に示すように、穀粒タンク100の前後及び左右に枠組みされた枠組支柱101を立設するとともに、穀粒タンク100を枠台102に支持し、枠台100を枠組支柱101に取り付けた図示しない電動モータや電動シリンダを備えた昇降装置に昇降自在に支持させてある。枠組支柱101は、穀粒タンク100が昇降されるときに枠台102を案内する案内枠になっている。
【0075】
枠台102は、機体外方に引き出し枠104を引き出すことによって、機体横外方に伸ばすことができるようになっており、引き出した状態で、図示しない固定具で位置固定できるように構成してある。
穀粒タンク100は、前記引き出し枠104を兼ねるタンク枠105に固定されており、引き出し枠105は、駆動ローラ106の作動により枠台102に対して引き出し並びに固定可能に構成してある。
【0076】
図22(a)に示す収穫作業状態で収穫作業をしているときに、穀粒タンク100が満杯になると、昇降装置を操作して枠台102を上昇させるとともに、穀粒タンク100のタンク枠105を、モータを駆動して枠台102に対して機体外方に移動させて、枠台102が上昇した位置で停止させ、駆動ローラ106の駆動によりタンク枠105が枠台102の外端部に位置すると、図示しないリミットスイッチの作動により駆動ローラ106が停止して、穀粒タンク100は高所の機体外方に移動した位置になる。
この状態で、予めトラックの荷台を袋詰装置6のシュート107の下方に配置しておくことにより、穀粒タンク100内の穀粒をトラックに移載することができる。
【0077】
袋詰装置6及びグレンタンク90を作物回収部と総称する。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、稲麦収穫用として利用する普通型コンバインだけでなく、稗、粟、豆類を収穫するコンバインとしても利用できるものである。
【符号の説明】
【0079】
1 走行機体
4 刈取部
5 脱穀装置
6 作物回収部
13 フィーダ
14 扱室
15 扱胴軸
16 扱胴
24 天板
24C 側縁部
44 支持部材
45 中間支持部材
46 支持部材
47 扱胴フレーム
48 扱歯
56 孔
71 遠心羽根
86 中間羽根
87 中間羽根
89 中間羽根
K 回転軌跡
Q 前後軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前方に作物を刈り取る刈取部を備え、前記刈取部の後方に刈り取った作物を搬送するフィーダと、該フィーダによって搬送された作物を脱穀処理する脱穀装置と、脱穀処理された作物を回収する作物回収部とを備えている普通型コンバインにおいて、
前記脱穀装置の扱室内で前後軸心周りで回転する扱胴を、扱胴軸の前後に装着した支持部材と、該前後の支持部材に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームと、前記各扱胴フレームに扱胴の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯とを備えて構成し、
前記扱胴軸の後端部における該扱胴軸と扱胴フレームとの間に遠心方向に起風する遠心羽根を設けてある普通型コンバイン。
【請求項2】
前記遠心羽根を前記扱胴軸に取付けてある請求項1記載の普通型コンバイン。
【請求項3】
前記遠心羽根とは別に、前記扱胴軸の前後方向中間部に、前記扱胴軸の後方に向けて起風する中間羽根を設けてある請求項1または2記載の普通型コンバイン。
【請求項4】
前記中間羽根を、前記扱胴軸の前後方向に複数配設し、前に位置する前記中間羽根よりも後に位置する前記中間羽根を、起風力が大きいものに構成してある請求項3記載の普通型コンバイン。
【請求項5】
前記扱胴軸の前後方向中間部に前記扱胴フレームを支持する中間支持部材を配設し、前記中間支持部材に、該中間支持部材に形成した孔を通して後方に起風する羽根を形成し、この羽根が前記中間羽根として機能するように構成してある請求項3または4記載の普通型コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−220563(P2010−220563A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72275(P2009−72275)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】