普通形コンバイン
【課題】脱穀部の穀物取込性を向上させて脱穀性能を安定維持させうる普通形コンバインを提供する。
【解決手段】刈取部にフィーダハウスを介し脱穀部を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウスと脱穀部の入口間に配設する入口供給板の前部傾斜をフィーダハウスの底板より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板の後部を扱胴に向け下り傾斜に形成したことを特徴とする。
【解決手段】刈取部にフィーダハウスを介し脱穀部を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウスと脱穀部の入口間に配設する入口供給板の前部傾斜をフィーダハウスの底板より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板の後部を扱胴に向け下り傾斜に形成したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
刈取部で刈取った稲、麦、豆類など穀物をフィーダハウスを介し脱穀部に全量投入して脱穀処理する普通形コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀部より右外側に運転操作部や穀物タンクやエンジンルームなどが並置する状態に設けられていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、各部の構成部材も多く部品点数が増加したり重量が増大して機体が複雑且つ大型化するという不都合があった。またこのため脱穀部の一部を開放してこの内部点検を行う内部点検作業なども容易には行えず極めて作業性の悪いものであった。
【0004】
また軸流型扱胴を有コンバインにあっては、フィーダハウスと脱穀部入口間の入口供給板の傾斜がフィーダハウスの底板の傾斜より通常大きいため、扱胴に対する穀物の取込性が悪かった。また扱胴で取込みきれなかった扱室内の穀物がフィーダハウス側に戻るという不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって本発明は、刈取部にフィーダハウスを介し脱穀部を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウスと脱穀部の入口間に配設する入口供給板の前部傾斜をフィーダハウスの底板より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板の後部を扱胴に向け下り傾斜に形成して、フィーダハウスから脱穀部内への穀物の受継ぎ供給をスムーズ且つ確実なものとさせて、脱穀部入口での穀物の取込性を向上させるものである。
【0006】
さらに、入口供給板の上方に扱胴からの穀稈の飛び出しを防止する穀稈戻り防止板を設けて、扱胴で取込みきれなかった穀物が入口供給板の上方よりフィーダハウス側に飛び出るのを確実に防止して、穀物の取込性を向上させるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、刈取部(18)にフィーダハウス(21)を介し脱穀部(4)を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウス(21)と脱穀部(4)の入口間に配設する入口供給板(115)の前部傾斜をフィーダハウス(21)の底板(21a)より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板(115)の後部を扱胴(6)に向け下り傾斜に形成したものであるから、フィーダハウス(21)から脱穀部(4)内への穀物の受継ぎ供給をスムーズ且つ確実なものとさせて、脱穀部(4)入口での穀物の取込性を向上させることができるものである。
【0008】
さらに、入口供給板(115)の上方に扱胴(5)からの穀稈の飛び出しを防止する穀稈戻り防止板(116)を設けたものであるから、扱胴(5)で取込みきれなかった穀物が入口供給板(115)の上方よりフィーダハウス(21)側に飛び出るのを確実に防止して、穀物の取込性を向上させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)をトラックフレーム(3)に装備する機台、(4)は機体の進行方向に対し軸芯を直交させる大径及び小径2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)や選別部である揺動選別盤(7)などを備える脱穀部、(8)は脱穀部(4)の後部上方に配備して揚穀筒(9)を介して取出す脱穀部(4)の穀粒を貯留する穀物タンク、(10)は穀物タンク(8)内の穀粒を取出す上部搬出オーガ、(11)は穀物タンク(8)の後方に配備してエンジン(12)を内設するエンジンルーム、(13)は運転席(14)及び操向ハンドル(15)などを運転台(16)に備えて脱穀部(4)の前部上方に配設する運転操作部、(17)は運転台(16)の左右両側に配備する左右の作業者乗降用ステップ、(18)は脱穀部(4)の下部前方に油圧昇降シリンダ(19)を介し昇降可能に装備する刈取部である。
【0010】
そして、前記刈取部(18)は、未刈り穀稈を取入れる穀物刈取ヘッダー(20)と、該ヘッダー(20)の後部略中央に連結させて刈取穀稈を脱穀部(4)に送給するフィーダハウス(21)によって構成すると共に、未刈り穀稈掻込み用リール(22)と、往復駆動型刈刃(23)と、穀稈掻込オーが(24)とを前記穀物ヘッダー(20)に備え、前記フィーダハウス(21)を運転台(16)の下方で運転台(16)中央の運転席(14)より左側に偏位して配設させ、前記ヘッダー(20)に取込まれる刈取穀稈をフィーダハウス(21)に内設する供給チェンコンベア(25)を介し脱穀部(4)の左側に送り込んで脱穀処理するように構成している。
【0011】
図4乃至図6に示す如く、前記脱穀部(4)の前部上方に左右幅の広い扱室(26)を形成し、該扱室(26)の前後に同一軸芯高さで左右幅略一杯に大径及び小径のスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)の扱胴軸(27)(28)を進行方向に対し直交させて支持させ、前記フィーダハウス(21)からの刈取穀稈を扱室(26)左側の扱口(29)より扱室(26)内に全量投入するように構成している。
【0012】
また、前記第1及び第2扱胴(5)(6)の下側に第1及び第2受網(30)(31)を張設すると共に、これら受網(30)(31)の下方に揺動選別盤(7)を備えるもので、第1受網(30)の下方に位置させる第1フィードパン(32)と、該フィードパン(32)の後端に設ける篩い線(33)と、篩い線(33)下方に設ける第2フィードパン(34)と、第2フィードパン(34)後方に連設するチャフシーブ(35)と、チャフシーブ(35)の前部下方に張設するグレンシーブ(36)と、一番及び二番流穀板(37)(38)とを揺動選別盤(7)に備え、前側を前揺動アーム(39)と駆動アーム(40)に後側を後揺動アーム(41)に連結支持させて、前後方向に選別盤(7)を揺動駆動するように構成している。
【0013】
さらに、前記第1フィードパン(32)の下方に配設してチャフシーブ(35)及びグレンシーブ(36)方向に選別風を送給する唐箕(42)と、グレンシーブ(36)からの穀粒を受取って揚穀筒(9)に送出する一番樋(43)及び一番コンベア(44)と、二番流穀板(41)からの還元物を二番還元装置である二番還元筒(45)に送出する二番樋(46)及び二番コンベア(47)と、揺動選別盤(7)の後端を臨ませる三番口(48)とを備え、一番樋(43)の穀粒をタンク(8)に、また二番樋(46)の還元物を第1フィードパン(32)に送出するように構成している。
【0014】
また、脱穀部(4)を構成する左右側板(4a)(4b)間に穀物タンク(8)やエンジン(11)を形成するもので、穀物タンク(8)やエンジン(11)の左右側壁を脱穀部(4)の外枠を構成する左右側板(4a)(4b)で兼用させて、脱穀部(4)・穀物タンク・エンジンルームなどこれら全体としての支持強度などを向上させるように構成している。
【0015】
そして図7乃至図9に示す如く、前記左側板(4a)外側に突出させる第1及び第2扱胴軸(27)(28)間をプーリ(49)(50)及びベルト(51)を介し連動連結させ、エンジン(12)の出力軸(52)と第2扱胴軸(28)間に配設するカウンタ軸(53)に、プーリ(54)(55)及びベルト(56)を介し出力軸(52)を左側板(4a)外側で連動連結させると共に、前記第2扱胴軸(28)にプーリ(57)(58)及びベルト(59)を介しカウンタ軸(53)を連動連結させて、第1及び第2扱胴(5)(6)を図4に示す如く側面視反時計方向(同一方向)に回転させるように構成している。
【0016】
また、前記揺動選別盤(7)の揺動駆動軸(60)に第1扱胴軸(27)をプーリ(61)(62)及びベルト(63)を介し、また前記供給チェンコンベア(25)の駆動軸(64)にプーリ(65a)(65b)及びベルト(65c)を介し第1扱胴軸(27)をそれぞれ左側板(4a)外側で連動連結して、選別盤(7)の駆動と、コンベア(25)及びコンベア(25)を介する刈取部(18)の駆動を行うように構成している。
【0017】
また、前記右側板(4b)外側に突出させる第2扱胴軸(28)に、一番及び二番コンベア(44)(47)のコンベア軸(44a)(47a)間に配設するカウンタ軸(66)をプーリ(67)(68)及びベルト(69)を介し連動連結させ、前記唐箕(42)の唐箕駆動軸(70)にプーリ(71)(72)及びベルト(73)を介しカウンタ軸(64)を連動連結させると共に、前記コンベア軸(44a)(47a)にプーリ(74)(75)(76)及びベルト(77)を介しカウンタ軸(64)を連動連結させて、右側板(4b)の外側で唐箕(42)と一番及び二番コンベア(44)(47)の各駆動を行うように構成している。
【0018】
さらに、前記揺動選別盤(7)の後端下方に前記走行クローラ(2)の走行駆動部であるミッションケース(78)を設け、該ミッションケース(78)の入力軸(79)にプーリ(80)(81)及びベルト(82)を介し、また前記穀物タンク(8)の底部排出オーガ(83)にプーリ(84)(85)及びベルト(86)を介しエンジン(12)の出力軸(52)を左側板(4a)外側で連動連結させて走行と穀物タンク(8)内の穀粒排出を行うように構成している。なお(87)はテンション式脱穀クラッチ、(88)はテンション式刈取クラッチである。
【0019】
そして前記一番及び二番コンベア(44)(47)に連動連結する揚穀筒(9)及び二番還元筒(45)を左側板(4a)外側に配設すると共に、前記底部排出オーガ(83)と上部排出オーガ(10)間に介設する縦排出オーガ(89)を右側板(4a)外側に配設して、機体の左右バランスの安定と駆動系の簡素化を図るように構成している。
【0020】
図10乃至図13にも示す如く、前記第1及び第2扱胴(5)(6)は選別盤(7)を内設する脱穀部(4)下側の左右側板(4a)(4b)間より脱穀巾の広い脱穀部(4)上側の左右側板(4a)(4c)間に内設するもので、左右側板(4a)(4c)間巾と略等しい長さの円筒形胴部(90)(91)に螺旋方向の異なる螺旋羽根(92)(93)を巻装し、胴部(90)(91)の右端及び左端の羽根(92)(93)非形成部に、円周方向に等間隔(θ=120゜)に3枚の板状排稈羽根(94)(95)を取付けて、第1扱胴(5)では扱口(29)から投入される穀稈を右方向終端の排稈口である連通樋(96)に横送りすると共に、連通樋(96)で排稈羽根(94)によって第1扱胴(5)からの排稈を第2扱胴(6)に受継ぎ、第2扱胴(6)では受継いだ排稈を左方向に横送りして、左横送り終端の排稈口(97)より後方に排稈を排出させるように構成している。なお脱穀部(4)上側の左右側板(4a)(4c)間巾は、下側の左右側板(4a)(4c)より連通樋(96)の巾分大とさせたものである。
【0021】
また、前記螺旋羽根(92)(93)の非搬送面側で円周方向に略等間隔(第1扱胴(5)α=45゜、第2扱胴(6)α=60゜)に先端が山形状の扱歯(98)(99)をボルト(100)を介し取外し自在に固定させるもので、扱歯(98)(99)の先端山形部を左右非対称の立上り角度の緩やかな緩扱歯面(98a)(99a)と、立上り角度の急な急扱歯面(98b)(99b)に形成して、前記扱歯(98)(99)を表裏逆取付けすることによって脱穀性能を小或いは大に調節可能とさせるように構成している。
【0022】
図11、図12にも示す如く、前記受網(30)(31)は略半円状の中央で分割して、第1扱胴(5)と第2扱胴(6)の隙間を介し上方よりこれら網(5)(6)の着脱を容易に可能とさせるもので、左右側板(4a)(4b)間を連結する前後横フレーム(101a)(101b)の補強部材(102a)(102b)の下側当面に、第1及び第2受網(30)(31)の前端及び後端の網枠(103a)(104a)上側面を、補強部材(102a)(102b)に固定する位置制御部材である位置規制ピン(105)(106)を介し連結させると共に、第1及び第2扱胴(5)(6)間の中央仕切フレーム(101c)上に第1及び第2受網(30)(31)後端及び前端の略門形の網枠(103b)(104b)端面を当接支持させるように構成している。前記網枠(103b)(104b)は受網(30)(31)の左右巾一杯に横フレーム(101c)上に支持させて、受網(30)(31)が変形するなどの不都合を防止している。
【0023】
また前記第1及び第2受網(30)(31)分割側の分割端面網枠(103c)(103d)及び(104c)(104d)は、網枠(103d)(104c)に固定する係合ピン(107)(108)を介し係脱自在に連結させて、第1及び第2受網(30)(31)の容易な2分割或いは一体結合を図って、これら受網(30)(31)の第1及び第2扱胴(5)(6)間の隙間を介する上方よりの着脱作業を容易とさせるように構成している。
【0024】
前記受網(30)(31)は左右側板(4a)(4b)巾間に張設すると共に、右側板(4b)より外側に一定巾を有して底面が目無しの連通樋(96)を設けるもので、第1受網(30)の接線方向で第2扱胴軸(28)より下方向に向かう角度に連通樋(96)の平滑樋体(96a)を傾斜させて、第1扱胴(5)から第2扱胴(6)への排稈の受継ぎを良好とさせるように構成している。
【0025】
また前記第2受網(31)の左端の一部を開口して排稈口(97)を開成すると共に、該排稈口(97)に後方に下り傾斜の排稈樋(109)を設けて、該排稈樋(109)を受網(31)の一部として構成して該受網(31)の補強する一方、受網(31)の着脱時には排稈樋(109)の同時着脱を行うように構成している。
【0026】
さらに前記第2受網(31)の枠体(104)後方部には、第2扱胴(6)の遠心力で受網(31)を通し後方に飛散する穀粒を下方に落下案内する飛散防止ガイド(110)を設けるもので、遠心力で後方に飛散する穀粒を直接的に機外に放出することなくガイド(110)に衝突させ選別盤(7)上に落下させて、ロスのない効率良好な穀粒の回収を図ると共に、第2受網(31)の補強部材を防止ガイド(110)として有効に活用するように構成している。
【0027】
図10に示す如く、前記第1及び第2扱胴(5)(6)の螺旋羽根(92)(93)の終端は連通樋(96)及び排稈口(97)より一定寸法(A)(B)内側に臨ませ、連通樋(96)と排稈口(97)とに羽根(92)(93)をラップさせて、排稈の受継ぎや排出を確実に行わせるように構成している。
【0028】
図14、図15に示す如く、連通樋(96)に対し、第1受網(30)を一定寸法(C)高く、また第2受網(31)を一定寸法(E)低く設けると共に、第2扱胴(6)の入口部となる連通樋(96)部の螺旋羽根(93)の直径(D2)を他部の螺旋羽根(93)の直径(D1)より小(D1>D2)に形成して、稈の刺りなど解消させたこれら扱胴(5)(6)での穀稈の流れのスムーズな脱穀作業を可能とさせるように構成している。
【0029】
また前記第1及び第2扱胴(5)(6)の送り始端となる左端及び右端と左右側板(4a)(4c)間に、胴部(90)(91)端部を外側より覆う胴部(90)(91)より大径の皿形の稈巻付防止板(111)(112)を左右側板(4a)(4c)に固設すると共に、第1及び第2扱胴(5)(6)の送り終端となる右端及び左端と左右側板(4a)(4c)間に、胴部(90)(91)端部の内径側に外径部を投入させる胴部(90)(91)より小径の鍔付皿形の稈巻付防止板(113)(114)を左右側板(4a)(4c)に固設して、左右側板(4a)(4c)と第1及び第2扱胴(5)(6)の隙間に穀粒のささり込みのない良好な脱穀処理を行うように構成している。
【0030】
図16に示す如く、前記扱口(29)に設ける穀稈入口供給板(115)はフィーダハウス(21)の底板(21a)の傾斜角(φ1)より小さな傾斜角(φ2)を有する供給面(115a)を中間に形成すると共に、供給板(115)の後端供給面(115b)に若干の下り傾斜角(φ3≒5゜)を有して第1受網(30)の入口側に連設させて、扱口(29)での穀稈の取込性を向上させるように構成している。
【0031】
また前記入口供給板(115)の上方で扱室(26)内側に下り傾斜面(116a)を有する穀稈戻り防止板(116)を設けて、第1扱胴(5)に取込みされなかった穀稈が扱口(29)より前方に飛び出るのを防止するもので、戻り防止板(116)の扱口(29)の供給巾と同一巾に設けると共に、傾斜面(116a)の傾斜を入口供給板(115)の最上部(115c)より扱胴(5)側に向う傾斜に形成して、フィーダハウス(21)から脱穀部(4)への穀稈の供給を確実に行わせるように構成している。
【0032】
図12、図17、図18に示す如く、前記排稈羽根(94)(95)の3枚のうちの1つと螺旋羽根(92)(93)の終端の取付位置とを一致させて、螺旋羽根(92)(93)から排稈羽根(94)(95)への排稈の連続的な流れを助長させて排稈の排出性を向上させるように構成している。
【0033】
また前記排稈羽根(94)(95)は、胴部(90)(91)に固設するブラケット(117)に回動軸(118)及び捩りバネ(119)を介し略L形の基端を回動自在に取付けて、常時は羽根(94)(95)の平坦作用面を胴部(90)(91)の放射方向に立設させ、稈詰りなどの発生時にはバネ(119)力に抗して羽根(94)(95)を回転方向とは反対側に最大90度の範囲内で傾動させて該羽根(94)(95)や扱胴(5)(6)の破損を防止するように構成している。
【0034】
図19、図20に示す如く、前記扱胴(5)(6)の扱胴軸(27)(28)を左右側板(4a)(4c)上部外側の左右補強部材(120)に支持するもので、該補強部材(120)の上面に扱胴軸(27)(28)が上方より挿入するU字形切欠(121)(122)を形成すると共に、扱胴軸(27)(28)を回転自在に支持するメタル軸受(123)(124)を前記補強部材(120)の切欠(121)(122)周辺部にボルト(125)を介し位置調節自在に一体固定させて、扱胴(5)(6)の支持強度の向上と扱胴(5)(6)の着脱の容易化を図るように構成している。
【0035】
図4、図11、図21に示す如く、前記運転台(16)を前回動支点である支点軸(126)を介して前方に回動自在に設けると共に、第1扱胴(5)の上半部を覆う側面視山形状の第1扱胴カバー(127)を後回動支点である支点軸(128)を介し後方に回動自在に設けて、扱室(26)の内部点検や第1扱胴の外部取出しなどを容易とさせるように構成している。
【0036】
図22にも示す如く、前記運転台(16)は、運転台(16)後方の横フレーム(101a)前面に固設する左右のブラケット(129)に、回転軸(130)を介しロックレバー(131)と一体に左右フック(132)を前後方向に回転自在に取付け、運転台(16)の後部支柱フレーム(133)後面に固設する左右水平支持台(134)の左右フックピン(135)に前記フック(132)を係合させて運転台(16)を水平姿勢で固定する一方、運転台(16)の後部左側方に臨ませる前記ロックレバー(131)を前方に回動操作するとき、フック(132)を係合解除させて運転台(16)の回動を可能とさせるように構成している。
【0037】
また前記第1扱胴カバー(127)は、脱穀部(4)の前側板(4d)で前記フック(132)取付位置より若干上方に固設する左右のフック取付台(136)に、各回動軸(137)を介し左右回動自在に左右フック(138)を取付け、運転台(16)の後部左側方に臨ませるロックレバー(139)を左フック(138)に固設し、左右フック(138)をロッド(140)を介し連動連結させると共に、扱胴カバー(127)前面の固着板(141)の左右フックピン(142)に前記フック(138)を係合させて、扱胴カバー(127)を閉固定するように構成している。
【0038】
そして、前記運転台(16)の前方回動操作後にあって、前記ロックレバー(139)を右回動操作し、フック(138)を係合解除させるとき、扱胴カバー(127)を開放自在とさせて、扱室(26)の内部点検などの容易化を図るように構成している。
【0039】
前記穀物タンク(8)は第2扱胴(6)の後方に配設するもので、穀物タンク(8)の安息角を有する斜面部である前底板(145)下方の略3角空間部(146)に第2扱胴(6)を配設すると共に、前記底部排出オーが(83)を前記第2扱胴軸(28)と略同じ高さ位置で平行にタンク(8)に設けて、余剰空間を利用した第2扱胴(6)のコンパクトな配置と、これら扱胴(6)やタンク(8)とエンジン(12)との駆動系の簡潔化を図るように構成している。
【0040】
さらに、前記穀物タンク(8)の後部に連設するエンジンルーム(11)の底板(147)と、穀物タンク(8)の底板(145)を脱穀部(4)の後部天板として利用するもので、穀物タンク(8)の後底板(145a)とエンジンルーム(11)の底板(147)前部間にシール部材(148)を介設して、穀物タンク(8)やエンジンルーム(11)の組立にバラツキがある場合でもエンジンルーム(11)の防塵性を確保して、脱穀部(4)内の排塵がエンジンルーム(11)内に侵入するのを防止するように構成している。
【0041】
前記左側板(4a)外側に配設する二番還元筒(45)上端の還元口(45a)は、第1及び第2扱胴(5)(6)間で揺動選別盤(7)の第1フィードパン(32)上方に臨ませて、漏下の多い第1扱胴(5)より後方に還元して一番コンベア(44)に有効に回収するように構成している。
【0042】
なお前記二番還元筒(45)を右側板(4b)外側に配設すると共に、還元口(45a)を前記連通樋(96)下方に配置して、連通樋(96)下方の余剰空間を有効利用したコンパクトな構成にすることも可能である。
【0043】
また、前記連通樋(96)を穀粒の漏下する網体で形成して、連通樋(96)での第1扱胴(5)から第2扱胴(6)への排稈受継中に穀粒の漏下を促進させ揺動選別盤(7)に回収させることも可能である。
【0044】
図22に示す如く、脱穀部(4)の機枠構成のうち第1及び第2扱胴(5)(6)を軸支する扱胴機枠(149)を設けると共に、脱穀部(4)の本体機枠(150)にスライドレール(151)を介して扱胴機枠(149)を左右方向にスライド自在に設けて、第1及び第2扱胴(5)(6)と一体に扱胴機枠(149)を脱穀部(4)の右外側に抜出すように設けることも可能とさせるものである。
【0045】
また図23に示す如く、第1及び第2扱胴(5)(6)の扱胴カバー(127)のうち左右一側のカバー(127a)を脱穀部(4)の本体機枠(150)に固定させ、他部のカバー(127b)をスライドレール(152)を介し左右他側外方にスライドさせてカバー(127b)を取外しするように設けて、カバー(127b)上方に構造物や障害物がある場合でも横方向にカバー(127b)を支障なく取出すことを可能とさせるものである。
【0046】
本実施例は上記の如く構成するものにして、刈取穀稈を脱穀する複数の扱胴(5)(6)を脱穀部(4)に備えた普通形コンバインにおいて、左右の脱穀側板(4a)(4b)間に運転操作部(13)、エンジンルーム(11)、穀物タンク(8)など他の作業構成部を配設したことによって、例えば穀物タンク(8)やエンジンルーム(11)の支持部材として機体の外枠を構成する脱穀側板(4a)(4b)を兼用させて、支持強度など低下させることなく有効に部品点数を削減して重量も低減させ、機体の左右全巾を縮小させて機体の小型軽量化を可能とさせることができる。
【0047】
また、走行駆動部(78)を機体後側に配設すると共に、揺動選別盤(7)の後端を走行駆動部(78)の上方まで延設させることによって、揺動選別盤(7)の影響を受けることのないミッションなど走行駆動部(78)の左右方向に対する自由な設置が可能となると共に、揺動選別盤(7)の後端上方を開放状態とさせた揺動選別盤(7)の自由な設置を可能とさせることができる。
【0048】
さらに、揺動選別盤(7)の後端上方にエンジンルーム(11)を配設して、揺動選別盤(7)の外側位置でエンジン(12)に走行駆動部(78)を連動連結させたことによって、揺動選別盤(7)の後端上方の余剰スペースにエンジンルーム(11)をコンパクトに配設して、エンジン(12)と走行駆動部(78)との駆動系も簡潔にして伝達効率良好なものとさせることができる。
【0049】
またさらに、扱胴(5)の上半部を覆う扱胴カバー(127)上方に運転操作部(13)を備え、運転操作部(13)を前回動支点(126)を中心として前方に回動自在に設けると共に、扱胴カバー(127)を後回動支点(128)を中心として後方に回動自在に設けたことによって、脱穀部(4)内の保守点検時などにあっては、運転操作部(13)を前側に回動させ、扱胴カバー(127)と後側に回動させるだけの簡単な操作によって扱胴(5)上方を開放状態とさせて、保守点検作業などの能率向上化を図ることができる。
【0050】
また、刈取部(18)にフィーダハウス(21)を介し脱穀部(4)を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウス(21)と脱穀部(4)の入口間に配設する入口供給板(115)の前部傾斜をフィーダハウス(21)の底板(21a)より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板(115)の後部を扱胴(6)に向け下り傾斜に形成したことによって、フィーダハウス(21)から脱穀部(4)内への穀物の受継ぎ供給をスムーズ且つ確実なものとさせて、脱穀部(4)入口での穀物の取込性を向上させることができる。
【0051】
さらに、入口供給板(115)の上方に扱胴(5)からの穀稈の飛び出しを防止する穀稈戻り防止板(116)を設けたことによって、扱胴(5)で取込みきれなかった穀物が入口供給板(115)の上方よりフィーダハウス(21)側に飛び出るのを確実に防止して、穀物の取込性を向上させることができる。
【0052】
またさらに、刈取穀稈を脱穀するスクリュ形扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、扱胴(5)(6)と脱穀部(4)の左右側板(4a)(4c)間に稈巻付き防止板(111)(113)、(112)(114)を介設したことによって、扱胴(5)(6)と脱穀部(4)の左右側板(4a)(4c)間との隙間に穀稈がささり込むなどの不都合を防止して、脱穀性能を安定維持させることができる。
【0053】
また、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、第1及び第2扱胴(5)(6)外周の螺旋羽根(92)(93)の終端を各排稈口(96)(97)内まで延設させたことによって、第1扱胴(5)から第2扱胴(6)への穀稈の受継ぎ供給や、第2扱胴(6)からの穀稈の排出を良好とさせることができる。
【0054】
さらに、第1及び第2扱胴(5)(6)の螺旋羽根(92)(93)終端に複数の板状排稈羽根(94)(95)を回動自在に連設させたことによって、螺旋羽根(92)(93)終端での排稈を促進させると共に、排稈詰まりによる排稈羽根(92)(93)や扱胴(5)(6)の変形や破損を防止することができる。
【0055】
またさらに、螺旋羽根(92)(93)終端に排稈羽根(94)(95)の1つの取付位置を一致させたことによって、螺旋羽根(92)(93)から排稈羽根(94)(95)への穀物の流れをスムーズで連続的なものとさせて扱胴(5)(6)からの排稈効果を向上させることができる。
【0056】
また、刈取穀稈を脱穀するスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、脱穀部(4)の左右側板(4a)(4b)の連結補強部材(102a)(102b)に位置規制部材(105)(106)を介し、第1及び第2扱胴(5)(6)の受網(30)(31)一端側を支持させたことによって、連結補強部材(102a)(102b)で受網(30)(31)の強度を確保すると共に、位置規制部材(105)(106)によって受網(30)(31)の適正な取付けを行うことができる。
【0057】
さらに、第1扱胴(5)と第2扱胴(6)間で左右側板(4a)(4c)間を連結する中央仕切フレーム(101c)に受網(30)(31)の他端側を支持させたことによって、左右側板(4a)(4c)や受網(30)(31)の変形を有効に防止して、脱穀性能を安定維持させることができる。
【0058】
またさらに、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、脱穀部(4)の左右側板(4a)(4c)の補強部材(120)に第1及び第2扱胴(5)(6)の軸受部材(123)(124)を取外し自在に固定させたことによって、脱穀部(4)の左右側板(4a)(4c)に対する軸受部材(123)(124)と一体の扱胴(5)(6)の容易な着脱作業が行えると共に、軸受部材(123)(124)も補強部材とさせた左右側板(4a)(4c)の強度向上を図ることができる。
【0059】
また、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、穀物タンク(8)の底板斜面部(145)の下方空間部(146)に第2扱胴(6)を配備させたことによって、穀物タンク(8)の余剰スペースを有効利用して第2扱胴(6)のコンパクトな配置を行うことができる。
【0060】
さらに、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、穀物タンク(8)とこの後方のエンジンルーム(11)の底板(147)間にシール部材(148)を介設して、エンジンルーム(11)を密閉に設けたことによって、穀物タンク(8)の底板(145)とエンジンルーム(11)の底板(147)を脱穀部(4)の天板として有効利用して機体構成の簡潔化と重量の軽減化などを図ることができる。
【0061】
またさらに、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、第1扱胴(5)前方の運転台(16)と第1扱胴(5)の扱胴カバー(127)を固定する運転台(16)及び扱胴カバー用ロックレバー(131)(139)を、運転台(16)後方に設けたことによって、運転台(16)位置よりロックレバー(131)(139)を有効に操作して、運転台(16)や扱胴カバー(127)のロックやロック解除を可能とさせて扱胴(5)などの保守点検を至便とさせることができる。
【0062】
さらに、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、第1扱胴(5)と第2扱胴(6)の穀稈受継ぎ部を目無し状の連通樋(96)で形成したことによって、第1扱胴(5)から第2扱胴(6)へ穀稈をスムーズに受継ぎ供給させて脱穀性能の安定維持を図ることができる。
また、第1及び第2扱胴(5)(6)下方の選別幅一杯に第1及び第2受網(30)(31)を張設すると共に、選別幅の外側に連通樋(96)を配設したことによって、全選別幅の受網(30)(31)によって有効に穀粒の漏下を促進させて脱穀効率を向上させることができる。
【0063】
さらに、第1受網(30)上面より一定高さ低く連通樋(96)の受継面を配設したことによって、第1受網(30)から連通樋(96)への穀稈受継ぎ時に、稈ささりなどのないスムーズな稈受継ぎを可能とさせることができる。
【0064】
またさらに、第2受網(31)上面より一定高さ高く連通樋(96)の受継面を配設したことによって、連通樋(96)から第2受網(31)への穀稈受継ぎ時に、稈ささりなどのないスムーズな稈受継ぎを可能とさせることができる。
【0065】
また、第2受網(31)上の穀稈を外側に排出する排稈口(97)を第2受網(31)に開設したことによって、第2受網(31)上の排稈のスムーズな排出を促進させると共に、排稈口(97)に受網(31)と一体的に設ける排稈樋(109)などを受網(31)の補強部材とさせて、受網(31)の取付強度を向上させることができる。
【0066】
さらに、第1及び第2受網(30)(31)を円周方向に分割して、第1及び第2扱胴(5)(6)間の上方よりこれら受網(30)(31)の着脱を行うように構成したことによって、受網を小形軽量体のものに分割してその取扱いを容易とさせると共に、第1及び第2扱胴(5)(6)の上方間よりこれらの着脱作業を集中的に行って保守点検作業の能率向上化を図ることができる。
【0067】
またさらに、第1及び第2扱胴(5)(6)間で選別部(7)上方に二番還元装置(45)の還元口(45a)を臨ませたことによって、穀粒ロスなど低減させ、穀粒の回収効率を高めて、脱穀性能を向上させることができる。
【0068】
また、連通樋(96)を穀粒の漏下可能な網体で形成したことによって、受網(30)(31)と連通樋(96)の網体とで漏下を促進させ、穀粒ロスを低減させて、脱穀性能を向上させることができる。
【0069】
さらに、第1及び第2扱胴(5)(6)を機体の左右側方に抜出し自在に設けたことによって、第1及び第2扱胴(5)(6)上方の構築物や障害物に影響されることのない第1及び第2扱胴(5)(6)の容易な外部取出を行って、広いスペース部でこれら扱胴(5)(6)や受網(30)(31)の調整や保守点検などの各種作業を可能とさせることができて、脱穀性能を安定維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】コンバインの全体正面図である。
【図4】脱穀部の断面側面図である。
【図5】脱穀部の断面平面図である。
【図6】脱穀部の断面正面図である。
【図7】脱穀駆動系の左側面説明図である。
【図8】脱穀駆動系の右側面説明図である。
【図9】全駆動系の説明図である。
【図10】扱胴部の平面説明図である。
【図11】扱胴部の側面説明図である。
【図12】連通樋部の側面説明図である。
【図13】第2扱胴部の側面説明図である。
【図14】第2扱胴部の背面説明図である。
【図15】第1扱胴部の正面説明図である。
【図16】扱口部の側面説明図である。
【図17】扱胴の展開説明図である。
【図18】排稈羽根部の説明図である。
【図19】左側板部の側面説明図である。
【図20】扱胴の軸受部の説明図である。
【図21】運転操作部の側面説明図である。
【図22】ロック部の正面説明図である。
【図23】扱胴の横スライド構成を示す説明図である。
【図24】扱胴カバーの横スライド構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
(4) 脱穀部
(4a)(4b) 側板
(5)(6) 扱胴
(7) 揺動選別盤
(8) 穀物タンク
(11) エンジンルーム
(12) エンジン
(13) 運転操作部
(21) フィーダハウス
(21a) 底板
(78) ミッションケース(走行駆動部)
(115) 入口供給板
(127) 扱胴カバー
【技術分野】
【0001】
刈取部で刈取った稲、麦、豆類など穀物をフィーダハウスを介し脱穀部に全量投入して脱穀処理する普通形コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀部より右外側に運転操作部や穀物タンクやエンジンルームなどが並置する状態に設けられていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、各部の構成部材も多く部品点数が増加したり重量が増大して機体が複雑且つ大型化するという不都合があった。またこのため脱穀部の一部を開放してこの内部点検を行う内部点検作業なども容易には行えず極めて作業性の悪いものであった。
【0004】
また軸流型扱胴を有コンバインにあっては、フィーダハウスと脱穀部入口間の入口供給板の傾斜がフィーダハウスの底板の傾斜より通常大きいため、扱胴に対する穀物の取込性が悪かった。また扱胴で取込みきれなかった扱室内の穀物がフィーダハウス側に戻るという不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって本発明は、刈取部にフィーダハウスを介し脱穀部を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウスと脱穀部の入口間に配設する入口供給板の前部傾斜をフィーダハウスの底板より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板の後部を扱胴に向け下り傾斜に形成して、フィーダハウスから脱穀部内への穀物の受継ぎ供給をスムーズ且つ確実なものとさせて、脱穀部入口での穀物の取込性を向上させるものである。
【0006】
さらに、入口供給板の上方に扱胴からの穀稈の飛び出しを防止する穀稈戻り防止板を設けて、扱胴で取込みきれなかった穀物が入口供給板の上方よりフィーダハウス側に飛び出るのを確実に防止して、穀物の取込性を向上させるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、刈取部(18)にフィーダハウス(21)を介し脱穀部(4)を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウス(21)と脱穀部(4)の入口間に配設する入口供給板(115)の前部傾斜をフィーダハウス(21)の底板(21a)より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板(115)の後部を扱胴(6)に向け下り傾斜に形成したものであるから、フィーダハウス(21)から脱穀部(4)内への穀物の受継ぎ供給をスムーズ且つ確実なものとさせて、脱穀部(4)入口での穀物の取込性を向上させることができるものである。
【0008】
さらに、入口供給板(115)の上方に扱胴(5)からの穀稈の飛び出しを防止する穀稈戻り防止板(116)を設けたものであるから、扱胴(5)で取込みきれなかった穀物が入口供給板(115)の上方よりフィーダハウス(21)側に飛び出るのを確実に防止して、穀物の取込性を向上させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)をトラックフレーム(3)に装備する機台、(4)は機体の進行方向に対し軸芯を直交させる大径及び小径2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)や選別部である揺動選別盤(7)などを備える脱穀部、(8)は脱穀部(4)の後部上方に配備して揚穀筒(9)を介して取出す脱穀部(4)の穀粒を貯留する穀物タンク、(10)は穀物タンク(8)内の穀粒を取出す上部搬出オーガ、(11)は穀物タンク(8)の後方に配備してエンジン(12)を内設するエンジンルーム、(13)は運転席(14)及び操向ハンドル(15)などを運転台(16)に備えて脱穀部(4)の前部上方に配設する運転操作部、(17)は運転台(16)の左右両側に配備する左右の作業者乗降用ステップ、(18)は脱穀部(4)の下部前方に油圧昇降シリンダ(19)を介し昇降可能に装備する刈取部である。
【0010】
そして、前記刈取部(18)は、未刈り穀稈を取入れる穀物刈取ヘッダー(20)と、該ヘッダー(20)の後部略中央に連結させて刈取穀稈を脱穀部(4)に送給するフィーダハウス(21)によって構成すると共に、未刈り穀稈掻込み用リール(22)と、往復駆動型刈刃(23)と、穀稈掻込オーが(24)とを前記穀物ヘッダー(20)に備え、前記フィーダハウス(21)を運転台(16)の下方で運転台(16)中央の運転席(14)より左側に偏位して配設させ、前記ヘッダー(20)に取込まれる刈取穀稈をフィーダハウス(21)に内設する供給チェンコンベア(25)を介し脱穀部(4)の左側に送り込んで脱穀処理するように構成している。
【0011】
図4乃至図6に示す如く、前記脱穀部(4)の前部上方に左右幅の広い扱室(26)を形成し、該扱室(26)の前後に同一軸芯高さで左右幅略一杯に大径及び小径のスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)の扱胴軸(27)(28)を進行方向に対し直交させて支持させ、前記フィーダハウス(21)からの刈取穀稈を扱室(26)左側の扱口(29)より扱室(26)内に全量投入するように構成している。
【0012】
また、前記第1及び第2扱胴(5)(6)の下側に第1及び第2受網(30)(31)を張設すると共に、これら受網(30)(31)の下方に揺動選別盤(7)を備えるもので、第1受網(30)の下方に位置させる第1フィードパン(32)と、該フィードパン(32)の後端に設ける篩い線(33)と、篩い線(33)下方に設ける第2フィードパン(34)と、第2フィードパン(34)後方に連設するチャフシーブ(35)と、チャフシーブ(35)の前部下方に張設するグレンシーブ(36)と、一番及び二番流穀板(37)(38)とを揺動選別盤(7)に備え、前側を前揺動アーム(39)と駆動アーム(40)に後側を後揺動アーム(41)に連結支持させて、前後方向に選別盤(7)を揺動駆動するように構成している。
【0013】
さらに、前記第1フィードパン(32)の下方に配設してチャフシーブ(35)及びグレンシーブ(36)方向に選別風を送給する唐箕(42)と、グレンシーブ(36)からの穀粒を受取って揚穀筒(9)に送出する一番樋(43)及び一番コンベア(44)と、二番流穀板(41)からの還元物を二番還元装置である二番還元筒(45)に送出する二番樋(46)及び二番コンベア(47)と、揺動選別盤(7)の後端を臨ませる三番口(48)とを備え、一番樋(43)の穀粒をタンク(8)に、また二番樋(46)の還元物を第1フィードパン(32)に送出するように構成している。
【0014】
また、脱穀部(4)を構成する左右側板(4a)(4b)間に穀物タンク(8)やエンジン(11)を形成するもので、穀物タンク(8)やエンジン(11)の左右側壁を脱穀部(4)の外枠を構成する左右側板(4a)(4b)で兼用させて、脱穀部(4)・穀物タンク・エンジンルームなどこれら全体としての支持強度などを向上させるように構成している。
【0015】
そして図7乃至図9に示す如く、前記左側板(4a)外側に突出させる第1及び第2扱胴軸(27)(28)間をプーリ(49)(50)及びベルト(51)を介し連動連結させ、エンジン(12)の出力軸(52)と第2扱胴軸(28)間に配設するカウンタ軸(53)に、プーリ(54)(55)及びベルト(56)を介し出力軸(52)を左側板(4a)外側で連動連結させると共に、前記第2扱胴軸(28)にプーリ(57)(58)及びベルト(59)を介しカウンタ軸(53)を連動連結させて、第1及び第2扱胴(5)(6)を図4に示す如く側面視反時計方向(同一方向)に回転させるように構成している。
【0016】
また、前記揺動選別盤(7)の揺動駆動軸(60)に第1扱胴軸(27)をプーリ(61)(62)及びベルト(63)を介し、また前記供給チェンコンベア(25)の駆動軸(64)にプーリ(65a)(65b)及びベルト(65c)を介し第1扱胴軸(27)をそれぞれ左側板(4a)外側で連動連結して、選別盤(7)の駆動と、コンベア(25)及びコンベア(25)を介する刈取部(18)の駆動を行うように構成している。
【0017】
また、前記右側板(4b)外側に突出させる第2扱胴軸(28)に、一番及び二番コンベア(44)(47)のコンベア軸(44a)(47a)間に配設するカウンタ軸(66)をプーリ(67)(68)及びベルト(69)を介し連動連結させ、前記唐箕(42)の唐箕駆動軸(70)にプーリ(71)(72)及びベルト(73)を介しカウンタ軸(64)を連動連結させると共に、前記コンベア軸(44a)(47a)にプーリ(74)(75)(76)及びベルト(77)を介しカウンタ軸(64)を連動連結させて、右側板(4b)の外側で唐箕(42)と一番及び二番コンベア(44)(47)の各駆動を行うように構成している。
【0018】
さらに、前記揺動選別盤(7)の後端下方に前記走行クローラ(2)の走行駆動部であるミッションケース(78)を設け、該ミッションケース(78)の入力軸(79)にプーリ(80)(81)及びベルト(82)を介し、また前記穀物タンク(8)の底部排出オーガ(83)にプーリ(84)(85)及びベルト(86)を介しエンジン(12)の出力軸(52)を左側板(4a)外側で連動連結させて走行と穀物タンク(8)内の穀粒排出を行うように構成している。なお(87)はテンション式脱穀クラッチ、(88)はテンション式刈取クラッチである。
【0019】
そして前記一番及び二番コンベア(44)(47)に連動連結する揚穀筒(9)及び二番還元筒(45)を左側板(4a)外側に配設すると共に、前記底部排出オーガ(83)と上部排出オーガ(10)間に介設する縦排出オーガ(89)を右側板(4a)外側に配設して、機体の左右バランスの安定と駆動系の簡素化を図るように構成している。
【0020】
図10乃至図13にも示す如く、前記第1及び第2扱胴(5)(6)は選別盤(7)を内設する脱穀部(4)下側の左右側板(4a)(4b)間より脱穀巾の広い脱穀部(4)上側の左右側板(4a)(4c)間に内設するもので、左右側板(4a)(4c)間巾と略等しい長さの円筒形胴部(90)(91)に螺旋方向の異なる螺旋羽根(92)(93)を巻装し、胴部(90)(91)の右端及び左端の羽根(92)(93)非形成部に、円周方向に等間隔(θ=120゜)に3枚の板状排稈羽根(94)(95)を取付けて、第1扱胴(5)では扱口(29)から投入される穀稈を右方向終端の排稈口である連通樋(96)に横送りすると共に、連通樋(96)で排稈羽根(94)によって第1扱胴(5)からの排稈を第2扱胴(6)に受継ぎ、第2扱胴(6)では受継いだ排稈を左方向に横送りして、左横送り終端の排稈口(97)より後方に排稈を排出させるように構成している。なお脱穀部(4)上側の左右側板(4a)(4c)間巾は、下側の左右側板(4a)(4c)より連通樋(96)の巾分大とさせたものである。
【0021】
また、前記螺旋羽根(92)(93)の非搬送面側で円周方向に略等間隔(第1扱胴(5)α=45゜、第2扱胴(6)α=60゜)に先端が山形状の扱歯(98)(99)をボルト(100)を介し取外し自在に固定させるもので、扱歯(98)(99)の先端山形部を左右非対称の立上り角度の緩やかな緩扱歯面(98a)(99a)と、立上り角度の急な急扱歯面(98b)(99b)に形成して、前記扱歯(98)(99)を表裏逆取付けすることによって脱穀性能を小或いは大に調節可能とさせるように構成している。
【0022】
図11、図12にも示す如く、前記受網(30)(31)は略半円状の中央で分割して、第1扱胴(5)と第2扱胴(6)の隙間を介し上方よりこれら網(5)(6)の着脱を容易に可能とさせるもので、左右側板(4a)(4b)間を連結する前後横フレーム(101a)(101b)の補強部材(102a)(102b)の下側当面に、第1及び第2受網(30)(31)の前端及び後端の網枠(103a)(104a)上側面を、補強部材(102a)(102b)に固定する位置制御部材である位置規制ピン(105)(106)を介し連結させると共に、第1及び第2扱胴(5)(6)間の中央仕切フレーム(101c)上に第1及び第2受網(30)(31)後端及び前端の略門形の網枠(103b)(104b)端面を当接支持させるように構成している。前記網枠(103b)(104b)は受網(30)(31)の左右巾一杯に横フレーム(101c)上に支持させて、受網(30)(31)が変形するなどの不都合を防止している。
【0023】
また前記第1及び第2受網(30)(31)分割側の分割端面網枠(103c)(103d)及び(104c)(104d)は、網枠(103d)(104c)に固定する係合ピン(107)(108)を介し係脱自在に連結させて、第1及び第2受網(30)(31)の容易な2分割或いは一体結合を図って、これら受網(30)(31)の第1及び第2扱胴(5)(6)間の隙間を介する上方よりの着脱作業を容易とさせるように構成している。
【0024】
前記受網(30)(31)は左右側板(4a)(4b)巾間に張設すると共に、右側板(4b)より外側に一定巾を有して底面が目無しの連通樋(96)を設けるもので、第1受網(30)の接線方向で第2扱胴軸(28)より下方向に向かう角度に連通樋(96)の平滑樋体(96a)を傾斜させて、第1扱胴(5)から第2扱胴(6)への排稈の受継ぎを良好とさせるように構成している。
【0025】
また前記第2受網(31)の左端の一部を開口して排稈口(97)を開成すると共に、該排稈口(97)に後方に下り傾斜の排稈樋(109)を設けて、該排稈樋(109)を受網(31)の一部として構成して該受網(31)の補強する一方、受網(31)の着脱時には排稈樋(109)の同時着脱を行うように構成している。
【0026】
さらに前記第2受網(31)の枠体(104)後方部には、第2扱胴(6)の遠心力で受網(31)を通し後方に飛散する穀粒を下方に落下案内する飛散防止ガイド(110)を設けるもので、遠心力で後方に飛散する穀粒を直接的に機外に放出することなくガイド(110)に衝突させ選別盤(7)上に落下させて、ロスのない効率良好な穀粒の回収を図ると共に、第2受網(31)の補強部材を防止ガイド(110)として有効に活用するように構成している。
【0027】
図10に示す如く、前記第1及び第2扱胴(5)(6)の螺旋羽根(92)(93)の終端は連通樋(96)及び排稈口(97)より一定寸法(A)(B)内側に臨ませ、連通樋(96)と排稈口(97)とに羽根(92)(93)をラップさせて、排稈の受継ぎや排出を確実に行わせるように構成している。
【0028】
図14、図15に示す如く、連通樋(96)に対し、第1受網(30)を一定寸法(C)高く、また第2受網(31)を一定寸法(E)低く設けると共に、第2扱胴(6)の入口部となる連通樋(96)部の螺旋羽根(93)の直径(D2)を他部の螺旋羽根(93)の直径(D1)より小(D1>D2)に形成して、稈の刺りなど解消させたこれら扱胴(5)(6)での穀稈の流れのスムーズな脱穀作業を可能とさせるように構成している。
【0029】
また前記第1及び第2扱胴(5)(6)の送り始端となる左端及び右端と左右側板(4a)(4c)間に、胴部(90)(91)端部を外側より覆う胴部(90)(91)より大径の皿形の稈巻付防止板(111)(112)を左右側板(4a)(4c)に固設すると共に、第1及び第2扱胴(5)(6)の送り終端となる右端及び左端と左右側板(4a)(4c)間に、胴部(90)(91)端部の内径側に外径部を投入させる胴部(90)(91)より小径の鍔付皿形の稈巻付防止板(113)(114)を左右側板(4a)(4c)に固設して、左右側板(4a)(4c)と第1及び第2扱胴(5)(6)の隙間に穀粒のささり込みのない良好な脱穀処理を行うように構成している。
【0030】
図16に示す如く、前記扱口(29)に設ける穀稈入口供給板(115)はフィーダハウス(21)の底板(21a)の傾斜角(φ1)より小さな傾斜角(φ2)を有する供給面(115a)を中間に形成すると共に、供給板(115)の後端供給面(115b)に若干の下り傾斜角(φ3≒5゜)を有して第1受網(30)の入口側に連設させて、扱口(29)での穀稈の取込性を向上させるように構成している。
【0031】
また前記入口供給板(115)の上方で扱室(26)内側に下り傾斜面(116a)を有する穀稈戻り防止板(116)を設けて、第1扱胴(5)に取込みされなかった穀稈が扱口(29)より前方に飛び出るのを防止するもので、戻り防止板(116)の扱口(29)の供給巾と同一巾に設けると共に、傾斜面(116a)の傾斜を入口供給板(115)の最上部(115c)より扱胴(5)側に向う傾斜に形成して、フィーダハウス(21)から脱穀部(4)への穀稈の供給を確実に行わせるように構成している。
【0032】
図12、図17、図18に示す如く、前記排稈羽根(94)(95)の3枚のうちの1つと螺旋羽根(92)(93)の終端の取付位置とを一致させて、螺旋羽根(92)(93)から排稈羽根(94)(95)への排稈の連続的な流れを助長させて排稈の排出性を向上させるように構成している。
【0033】
また前記排稈羽根(94)(95)は、胴部(90)(91)に固設するブラケット(117)に回動軸(118)及び捩りバネ(119)を介し略L形の基端を回動自在に取付けて、常時は羽根(94)(95)の平坦作用面を胴部(90)(91)の放射方向に立設させ、稈詰りなどの発生時にはバネ(119)力に抗して羽根(94)(95)を回転方向とは反対側に最大90度の範囲内で傾動させて該羽根(94)(95)や扱胴(5)(6)の破損を防止するように構成している。
【0034】
図19、図20に示す如く、前記扱胴(5)(6)の扱胴軸(27)(28)を左右側板(4a)(4c)上部外側の左右補強部材(120)に支持するもので、該補強部材(120)の上面に扱胴軸(27)(28)が上方より挿入するU字形切欠(121)(122)を形成すると共に、扱胴軸(27)(28)を回転自在に支持するメタル軸受(123)(124)を前記補強部材(120)の切欠(121)(122)周辺部にボルト(125)を介し位置調節自在に一体固定させて、扱胴(5)(6)の支持強度の向上と扱胴(5)(6)の着脱の容易化を図るように構成している。
【0035】
図4、図11、図21に示す如く、前記運転台(16)を前回動支点である支点軸(126)を介して前方に回動自在に設けると共に、第1扱胴(5)の上半部を覆う側面視山形状の第1扱胴カバー(127)を後回動支点である支点軸(128)を介し後方に回動自在に設けて、扱室(26)の内部点検や第1扱胴の外部取出しなどを容易とさせるように構成している。
【0036】
図22にも示す如く、前記運転台(16)は、運転台(16)後方の横フレーム(101a)前面に固設する左右のブラケット(129)に、回転軸(130)を介しロックレバー(131)と一体に左右フック(132)を前後方向に回転自在に取付け、運転台(16)の後部支柱フレーム(133)後面に固設する左右水平支持台(134)の左右フックピン(135)に前記フック(132)を係合させて運転台(16)を水平姿勢で固定する一方、運転台(16)の後部左側方に臨ませる前記ロックレバー(131)を前方に回動操作するとき、フック(132)を係合解除させて運転台(16)の回動を可能とさせるように構成している。
【0037】
また前記第1扱胴カバー(127)は、脱穀部(4)の前側板(4d)で前記フック(132)取付位置より若干上方に固設する左右のフック取付台(136)に、各回動軸(137)を介し左右回動自在に左右フック(138)を取付け、運転台(16)の後部左側方に臨ませるロックレバー(139)を左フック(138)に固設し、左右フック(138)をロッド(140)を介し連動連結させると共に、扱胴カバー(127)前面の固着板(141)の左右フックピン(142)に前記フック(138)を係合させて、扱胴カバー(127)を閉固定するように構成している。
【0038】
そして、前記運転台(16)の前方回動操作後にあって、前記ロックレバー(139)を右回動操作し、フック(138)を係合解除させるとき、扱胴カバー(127)を開放自在とさせて、扱室(26)の内部点検などの容易化を図るように構成している。
【0039】
前記穀物タンク(8)は第2扱胴(6)の後方に配設するもので、穀物タンク(8)の安息角を有する斜面部である前底板(145)下方の略3角空間部(146)に第2扱胴(6)を配設すると共に、前記底部排出オーが(83)を前記第2扱胴軸(28)と略同じ高さ位置で平行にタンク(8)に設けて、余剰空間を利用した第2扱胴(6)のコンパクトな配置と、これら扱胴(6)やタンク(8)とエンジン(12)との駆動系の簡潔化を図るように構成している。
【0040】
さらに、前記穀物タンク(8)の後部に連設するエンジンルーム(11)の底板(147)と、穀物タンク(8)の底板(145)を脱穀部(4)の後部天板として利用するもので、穀物タンク(8)の後底板(145a)とエンジンルーム(11)の底板(147)前部間にシール部材(148)を介設して、穀物タンク(8)やエンジンルーム(11)の組立にバラツキがある場合でもエンジンルーム(11)の防塵性を確保して、脱穀部(4)内の排塵がエンジンルーム(11)内に侵入するのを防止するように構成している。
【0041】
前記左側板(4a)外側に配設する二番還元筒(45)上端の還元口(45a)は、第1及び第2扱胴(5)(6)間で揺動選別盤(7)の第1フィードパン(32)上方に臨ませて、漏下の多い第1扱胴(5)より後方に還元して一番コンベア(44)に有効に回収するように構成している。
【0042】
なお前記二番還元筒(45)を右側板(4b)外側に配設すると共に、還元口(45a)を前記連通樋(96)下方に配置して、連通樋(96)下方の余剰空間を有効利用したコンパクトな構成にすることも可能である。
【0043】
また、前記連通樋(96)を穀粒の漏下する網体で形成して、連通樋(96)での第1扱胴(5)から第2扱胴(6)への排稈受継中に穀粒の漏下を促進させ揺動選別盤(7)に回収させることも可能である。
【0044】
図22に示す如く、脱穀部(4)の機枠構成のうち第1及び第2扱胴(5)(6)を軸支する扱胴機枠(149)を設けると共に、脱穀部(4)の本体機枠(150)にスライドレール(151)を介して扱胴機枠(149)を左右方向にスライド自在に設けて、第1及び第2扱胴(5)(6)と一体に扱胴機枠(149)を脱穀部(4)の右外側に抜出すように設けることも可能とさせるものである。
【0045】
また図23に示す如く、第1及び第2扱胴(5)(6)の扱胴カバー(127)のうち左右一側のカバー(127a)を脱穀部(4)の本体機枠(150)に固定させ、他部のカバー(127b)をスライドレール(152)を介し左右他側外方にスライドさせてカバー(127b)を取外しするように設けて、カバー(127b)上方に構造物や障害物がある場合でも横方向にカバー(127b)を支障なく取出すことを可能とさせるものである。
【0046】
本実施例は上記の如く構成するものにして、刈取穀稈を脱穀する複数の扱胴(5)(6)を脱穀部(4)に備えた普通形コンバインにおいて、左右の脱穀側板(4a)(4b)間に運転操作部(13)、エンジンルーム(11)、穀物タンク(8)など他の作業構成部を配設したことによって、例えば穀物タンク(8)やエンジンルーム(11)の支持部材として機体の外枠を構成する脱穀側板(4a)(4b)を兼用させて、支持強度など低下させることなく有効に部品点数を削減して重量も低減させ、機体の左右全巾を縮小させて機体の小型軽量化を可能とさせることができる。
【0047】
また、走行駆動部(78)を機体後側に配設すると共に、揺動選別盤(7)の後端を走行駆動部(78)の上方まで延設させることによって、揺動選別盤(7)の影響を受けることのないミッションなど走行駆動部(78)の左右方向に対する自由な設置が可能となると共に、揺動選別盤(7)の後端上方を開放状態とさせた揺動選別盤(7)の自由な設置を可能とさせることができる。
【0048】
さらに、揺動選別盤(7)の後端上方にエンジンルーム(11)を配設して、揺動選別盤(7)の外側位置でエンジン(12)に走行駆動部(78)を連動連結させたことによって、揺動選別盤(7)の後端上方の余剰スペースにエンジンルーム(11)をコンパクトに配設して、エンジン(12)と走行駆動部(78)との駆動系も簡潔にして伝達効率良好なものとさせることができる。
【0049】
またさらに、扱胴(5)の上半部を覆う扱胴カバー(127)上方に運転操作部(13)を備え、運転操作部(13)を前回動支点(126)を中心として前方に回動自在に設けると共に、扱胴カバー(127)を後回動支点(128)を中心として後方に回動自在に設けたことによって、脱穀部(4)内の保守点検時などにあっては、運転操作部(13)を前側に回動させ、扱胴カバー(127)と後側に回動させるだけの簡単な操作によって扱胴(5)上方を開放状態とさせて、保守点検作業などの能率向上化を図ることができる。
【0050】
また、刈取部(18)にフィーダハウス(21)を介し脱穀部(4)を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウス(21)と脱穀部(4)の入口間に配設する入口供給板(115)の前部傾斜をフィーダハウス(21)の底板(21a)より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板(115)の後部を扱胴(6)に向け下り傾斜に形成したことによって、フィーダハウス(21)から脱穀部(4)内への穀物の受継ぎ供給をスムーズ且つ確実なものとさせて、脱穀部(4)入口での穀物の取込性を向上させることができる。
【0051】
さらに、入口供給板(115)の上方に扱胴(5)からの穀稈の飛び出しを防止する穀稈戻り防止板(116)を設けたことによって、扱胴(5)で取込みきれなかった穀物が入口供給板(115)の上方よりフィーダハウス(21)側に飛び出るのを確実に防止して、穀物の取込性を向上させることができる。
【0052】
またさらに、刈取穀稈を脱穀するスクリュ形扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、扱胴(5)(6)と脱穀部(4)の左右側板(4a)(4c)間に稈巻付き防止板(111)(113)、(112)(114)を介設したことによって、扱胴(5)(6)と脱穀部(4)の左右側板(4a)(4c)間との隙間に穀稈がささり込むなどの不都合を防止して、脱穀性能を安定維持させることができる。
【0053】
また、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、第1及び第2扱胴(5)(6)外周の螺旋羽根(92)(93)の終端を各排稈口(96)(97)内まで延設させたことによって、第1扱胴(5)から第2扱胴(6)への穀稈の受継ぎ供給や、第2扱胴(6)からの穀稈の排出を良好とさせることができる。
【0054】
さらに、第1及び第2扱胴(5)(6)の螺旋羽根(92)(93)終端に複数の板状排稈羽根(94)(95)を回動自在に連設させたことによって、螺旋羽根(92)(93)終端での排稈を促進させると共に、排稈詰まりによる排稈羽根(92)(93)や扱胴(5)(6)の変形や破損を防止することができる。
【0055】
またさらに、螺旋羽根(92)(93)終端に排稈羽根(94)(95)の1つの取付位置を一致させたことによって、螺旋羽根(92)(93)から排稈羽根(94)(95)への穀物の流れをスムーズで連続的なものとさせて扱胴(5)(6)からの排稈効果を向上させることができる。
【0056】
また、刈取穀稈を脱穀するスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、脱穀部(4)の左右側板(4a)(4b)の連結補強部材(102a)(102b)に位置規制部材(105)(106)を介し、第1及び第2扱胴(5)(6)の受網(30)(31)一端側を支持させたことによって、連結補強部材(102a)(102b)で受網(30)(31)の強度を確保すると共に、位置規制部材(105)(106)によって受網(30)(31)の適正な取付けを行うことができる。
【0057】
さらに、第1扱胴(5)と第2扱胴(6)間で左右側板(4a)(4c)間を連結する中央仕切フレーム(101c)に受網(30)(31)の他端側を支持させたことによって、左右側板(4a)(4c)や受網(30)(31)の変形を有効に防止して、脱穀性能を安定維持させることができる。
【0058】
またさらに、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、脱穀部(4)の左右側板(4a)(4c)の補強部材(120)に第1及び第2扱胴(5)(6)の軸受部材(123)(124)を取外し自在に固定させたことによって、脱穀部(4)の左右側板(4a)(4c)に対する軸受部材(123)(124)と一体の扱胴(5)(6)の容易な着脱作業が行えると共に、軸受部材(123)(124)も補強部材とさせた左右側板(4a)(4c)の強度向上を図ることができる。
【0059】
また、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、穀物タンク(8)の底板斜面部(145)の下方空間部(146)に第2扱胴(6)を配備させたことによって、穀物タンク(8)の余剰スペースを有効利用して第2扱胴(6)のコンパクトな配置を行うことができる。
【0060】
さらに、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、穀物タンク(8)とこの後方のエンジンルーム(11)の底板(147)間にシール部材(148)を介設して、エンジンルーム(11)を密閉に設けたことによって、穀物タンク(8)の底板(145)とエンジンルーム(11)の底板(147)を脱穀部(4)の天板として有効利用して機体構成の簡潔化と重量の軽減化などを図ることができる。
【0061】
またさらに、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、第1扱胴(5)前方の運転台(16)と第1扱胴(5)の扱胴カバー(127)を固定する運転台(16)及び扱胴カバー用ロックレバー(131)(139)を、運転台(16)後方に設けたことによって、運転台(16)位置よりロックレバー(131)(139)を有効に操作して、運転台(16)や扱胴カバー(127)のロックやロック解除を可能とさせて扱胴(5)などの保守点検を至便とさせることができる。
【0062】
さらに、刈取穀稈を脱穀する2つのスクリュ形第1及び第2扱胴(5)(6)を備えた普通形コンバインにおいて、第1扱胴(5)と第2扱胴(6)の穀稈受継ぎ部を目無し状の連通樋(96)で形成したことによって、第1扱胴(5)から第2扱胴(6)へ穀稈をスムーズに受継ぎ供給させて脱穀性能の安定維持を図ることができる。
また、第1及び第2扱胴(5)(6)下方の選別幅一杯に第1及び第2受網(30)(31)を張設すると共に、選別幅の外側に連通樋(96)を配設したことによって、全選別幅の受網(30)(31)によって有効に穀粒の漏下を促進させて脱穀効率を向上させることができる。
【0063】
さらに、第1受網(30)上面より一定高さ低く連通樋(96)の受継面を配設したことによって、第1受網(30)から連通樋(96)への穀稈受継ぎ時に、稈ささりなどのないスムーズな稈受継ぎを可能とさせることができる。
【0064】
またさらに、第2受網(31)上面より一定高さ高く連通樋(96)の受継面を配設したことによって、連通樋(96)から第2受網(31)への穀稈受継ぎ時に、稈ささりなどのないスムーズな稈受継ぎを可能とさせることができる。
【0065】
また、第2受網(31)上の穀稈を外側に排出する排稈口(97)を第2受網(31)に開設したことによって、第2受網(31)上の排稈のスムーズな排出を促進させると共に、排稈口(97)に受網(31)と一体的に設ける排稈樋(109)などを受網(31)の補強部材とさせて、受網(31)の取付強度を向上させることができる。
【0066】
さらに、第1及び第2受網(30)(31)を円周方向に分割して、第1及び第2扱胴(5)(6)間の上方よりこれら受網(30)(31)の着脱を行うように構成したことによって、受網を小形軽量体のものに分割してその取扱いを容易とさせると共に、第1及び第2扱胴(5)(6)の上方間よりこれらの着脱作業を集中的に行って保守点検作業の能率向上化を図ることができる。
【0067】
またさらに、第1及び第2扱胴(5)(6)間で選別部(7)上方に二番還元装置(45)の還元口(45a)を臨ませたことによって、穀粒ロスなど低減させ、穀粒の回収効率を高めて、脱穀性能を向上させることができる。
【0068】
また、連通樋(96)を穀粒の漏下可能な網体で形成したことによって、受網(30)(31)と連通樋(96)の網体とで漏下を促進させ、穀粒ロスを低減させて、脱穀性能を向上させることができる。
【0069】
さらに、第1及び第2扱胴(5)(6)を機体の左右側方に抜出し自在に設けたことによって、第1及び第2扱胴(5)(6)上方の構築物や障害物に影響されることのない第1及び第2扱胴(5)(6)の容易な外部取出を行って、広いスペース部でこれら扱胴(5)(6)や受網(30)(31)の調整や保守点検などの各種作業を可能とさせることができて、脱穀性能を安定維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】コンバインの全体正面図である。
【図4】脱穀部の断面側面図である。
【図5】脱穀部の断面平面図である。
【図6】脱穀部の断面正面図である。
【図7】脱穀駆動系の左側面説明図である。
【図8】脱穀駆動系の右側面説明図である。
【図9】全駆動系の説明図である。
【図10】扱胴部の平面説明図である。
【図11】扱胴部の側面説明図である。
【図12】連通樋部の側面説明図である。
【図13】第2扱胴部の側面説明図である。
【図14】第2扱胴部の背面説明図である。
【図15】第1扱胴部の正面説明図である。
【図16】扱口部の側面説明図である。
【図17】扱胴の展開説明図である。
【図18】排稈羽根部の説明図である。
【図19】左側板部の側面説明図である。
【図20】扱胴の軸受部の説明図である。
【図21】運転操作部の側面説明図である。
【図22】ロック部の正面説明図である。
【図23】扱胴の横スライド構成を示す説明図である。
【図24】扱胴カバーの横スライド構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
(4) 脱穀部
(4a)(4b) 側板
(5)(6) 扱胴
(7) 揺動選別盤
(8) 穀物タンク
(11) エンジンルーム
(12) エンジン
(13) 運転操作部
(21) フィーダハウス
(21a) 底板
(78) ミッションケース(走行駆動部)
(115) 入口供給板
(127) 扱胴カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取部にフィーダハウスを介し脱穀部を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウスと脱穀部の入口間に配設する入口供給板の前部傾斜をフィーダハウスの底板より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板の後部を扱胴に向け下り傾斜に形成したことを特徴とする普通形コンバイン。
【請求項2】
入口供給板の上方に扱胴からの穀稈の飛び出しを防止する穀稈戻り防止板を設けたことを特徴とする請求項1記載の普通形コンバイン。
【請求項1】
刈取部にフィーダハウスを介し脱穀部を連設させた普通形コンバインにおいて、フィーダハウスと脱穀部の入口間に配設する入口供給板の前部傾斜をフィーダハウスの底板より緩傾斜に形成すると共に、入口供給板の後部を扱胴に向け下り傾斜に形成したことを特徴とする普通形コンバイン。
【請求項2】
入口供給板の上方に扱胴からの穀稈の飛び出しを防止する穀稈戻り防止板を設けたことを特徴とする請求項1記載の普通形コンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−180887(P2006−180887A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52393(P2006−52393)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【分割の表示】特願平10−64264の分割
【原出願日】平成10年2月27日(1998.2.27)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【分割の表示】特願平10−64264の分割
【原出願日】平成10年2月27日(1998.2.27)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【Fターム(参考)】
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