説明

暖房便座装置

【目的】 節電効果が向上する便器の提供を目的とする。
【構成】 便蓋4および便座3をそれぞれ開閉し得る電動開閉装置を備え、かつ便座3内にヒーターを内装した便器において、前記便座3内のヒーター温度を下げて節電する場合に操作される節電スイッチがONされた時に、自動的に便蓋4を閉じるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、便蓋および便座を電動で開閉可能な便器に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来、便座内にヒーターを内装し、ヒーターに通電することにより便座を暖房するように構成された便器が存在し、ヒーターには使用しない場合にも通電されているため、電気が無駄に使用されてしまうという問題点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、便座からの放熱を少なくし、節電効果を上げることのできる便器を提供せんことを目的とし、その第1の要旨は、便蓋および便座をそれぞれ開閉し得る電動開閉装置を備え、かつ前記便座内にヒーターを内装してなる暖房便座において、前記ヒーターの温度を下げて節電する場合に操作される節電スイッチがONされた時に、前記便蓋が電動開閉装置を介し自動的に閉じるように制御する制御装置を備えていることである。
【0004】また、第2の要旨は、ヒーターを内装した便座と局部洗浄用ノズルへ温水を供給する温水タンクの少なくとも一方を備えているとともに、前記便座上に開閉可能に配設される便蓋を備えた暖房便座において、前記便蓋が閉じている時には、前記便座と前記温水タンクの少なくとも一方の温度を下げるように制御する制御装置を備えていることである。
【0005】また、第3の要旨は、ヒーターを内装した便座と局部洗浄用ノズルへ温水を供給する温水タンクの少なくとも一方を備えているとともに、前記便座上に開閉可能に配設される便蓋を備えた暖房便座において、前記便蓋および便座の両者が開いている時には、前記便座と前記温水タンクの少なくとも一方の温度を下げるように制御する制御装置を備えていることである。
【0006】
【作用】前記第1の要旨において、通常、節電スイッチがONされた場合には、便座内のヒーターの設定温度が下げられて節電されるものであるが、この節電スイッチに連動させて、節電スイッチがONされた時に自動的に便蓋が閉じられるように構成したことにより、便座上に便蓋が自動的に閉じられて、便蓋が便座からの放熱を防ぎ、便座の冷えを防いで節電効果を向上させることができる。
【0007】また、前記第2の要旨において、便蓋が閉じている状態をセンサー等により検知し、この場合には自動的に便座内のヒーターの設定温度を下げ、局部洗浄装置付き便器の場合は、さらに温水タンク内のヒーターの温度を下げるように制御して、便器が使用されていない状態での節電効果を向上させることができる。
【0008】また、前記第3の要旨において、便蓋および便座の両者が開いている時には、自動的に便座内のヒーターの設定温度を下げ、局部洗浄装置付き便器の場合は、さらに温水タンク内のヒーターの温度を下げるように制御して、男性の小便中等における便器の節電効果を向上させることができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、便器全体の斜視構成図であり、便器本体1の上面後部には便座ボックス2が固設されており、この便座ボックス2に開閉可能に便座3と便蓋4が配設されており、便座ボックス2の後方にはロータンク5が立設されており、このロータンク5からの洗浄水が便座ボックス2の左側部内に内装された温水タンク部2A内に供給される構造となっており、この温水タンク部2A内のヒーターで加温されて温水となり、局部洗浄用のノズル8から温水が噴出される構造となっている。また、便座ボックス2には便座3上に用便者が着座した状態を検知する着座センサー7が設けられている。また、トイレの壁面等にはリモコン9が取付けられており、リモコン9の下部には前記便器本体1側へ操作信号を発する発信部9aが設けられている。
【0010】前記便座3および便蓋4は、図2に示すように、電動開閉ユニット10に設けられた便蓋用モーター11と便座用モーター12によりそれぞれ開閉できる構造となっており、便座3および便蓋4は別個に開閉でき、その開閉状態は図3に示すように、便座ボックス2内に設けられた便蓋位置センサー13及び図示しない便座位置センサー28でそれぞれ検知できるものとなっている。
【0011】即ち、図4に便蓋4の開閉状態を略図で示すように、便蓋位置センサー13は例えば磁気センサーで構成されており、便蓋4の軸15に連結された前記便蓋用モーター11により駆動される便蓋駆動ギア16の外側に固定状に配置されており、便蓋駆動ギア16側には被検知体14が設けられており、この被検知体14の位置を前記位置センサー13が検知して、便蓋4の開閉状態を検知できるものとなっている。なお、便座3についても便蓋4と同様な構造となっている。
【0012】なお、図5に示すように、前記リモコン9の上面に開閉可能に設けられたカバー17を開けると、その内部には、自動開閉スイッチ18と節電スイッチ19が設けられており、自動開閉スイッチ18をONした状態では、前記図1の便座ボックス2の上面に設けられた人体検知センサー6が便器本体1の前に人が立った状態を検知した時に、自動的に便蓋用モーター11を作動させ、前記便蓋4を開くことができるものである。また、前記節電スイッチ19がONされた時には、前記便座3内に内装されている暖房用のヒーターの設定温度を下げるように制御され、かつ温水タンク部2A内の温水の設定温度を下げるように制御される構成となっている。
【0013】前記各主要部のブロック図を図6に示す。即ち、便座ボックス2内に組み込まれた制御回路(CPU)20は、人体検知センサー6が人体の存在を検知した時、この信号を受けて、便蓋開閉用モーター駆動回路21に信号を送り、便蓋開閉用モーター駆動回路21は、前記便蓋開閉用モーター11を駆動して、便蓋4を自動的に開かせる、また、CPU20には前記便蓋位置センサー13及び便座位置センサー28の信号が入力されており、また、CPU20は便座3内に内装されている便座ヒーター24の設定温度を決定するための暖房便座温度設定回路23に接続されており、さらに温水タンク2A内のヒーター26の温度設定用の温水温度設定回路25とも接続されている。
【0014】本例においては、前記リモコン9の節電スイッチ19がONされた時には、CPU20内では図7にフローチャートで示すような制御が行われるように構成されている。即ち、図7のS1(ステップ1)において、節電スイッチ19がONされたか否かが判断されて、ONされていることが判定された場合には、前記人体検知センサー6が人体の存在を検知しているか否かがS2(ステップ2)で判定され、人体を検知していない場合にはS3(ステップ3)において、T秒間の間トイレ内に誰もいないか否かが判定される。即ち、CPU20内で約5ないし6秒程度の秒数がカウントされ、5,6秒経過した後に、S4(ステップ4)において、CPU20から前記便蓋開閉用モーター駆動回路21に信号が出力され、便蓋開閉用モーター11が駆動され、便蓋4が自動的に閉じられるように制御する。なお、T秒間において、トイレ内に人がいることが人体検知センサー6により検知された時には、便蓋開閉用モーター駆動回路21への信号は出力されず、便蓋4は開いたままの状態を保持する。また、前記S2(ステップ2)で人体が検知され、かつS5(ステップ5)で便座3が閉じられていることが確認された場合は、用便中であるため、S6(ステップ6)で節電スイッチを自動的にOFF状態として、前記便座3内に内装されている暖房用のヒーター24の設定温度を上げ、かつ温水タンク部2A内の温水の設定温度を上げるように制御される。
【0015】即ち、図7のような制御は、節電スイッチ19がONされている時には、トイレ内に人が存在せず便器が使用されていない状態において、自動的に便蓋4を閉じて、便座3の上面を便蓋4により覆蓋し、便座3からの放熱を防ぐものであり、前記節電スイッチ19がON状態では、同時にCPU20から暖房便座温度設定回路23および温水温度設定回路25に対し、設定温度を下げるように指令信号が出力されるため、便座3の温度が下がり、かつ温水タンク部2Aの温度が下げられ節電効果を発揮する。
【0016】次に、前記CPU20では図8のフローチャートで示す制御も行われる。即ち、図8のS10(ステップ10)において、便蓋4が閉じられているか否かを判別する。これは便蓋位置センサー13からの信号により判別し、便蓋4が閉じられている場合には、S11(ステップ11)において、CPU20から暖房便座温度設定回路23および温水温度設定回路25に対し、設定温度を下げるように指令信号が出力される。なお、S10(ステップ10)で便蓋4が開いており、かつS14(ステップ14)で便座3が開いていることが確認された時は、男性が小便用に使用する状態であり、便座3と便蓋4は共に開いて接触しているので、便座3の放熱は便蓋4で防がれるため、S11(ステップ11)の節電動作を行う。次に、便蓋4を閉じた状態から便蓋4が自動または手動で開かれた時には、ステップ12において開かれた状態を判別し、さらにS15(ステップ15)で便座3が閉じていることを確認して、S13(ステップ13)において節電動作を解除する。即ち、便蓋4が開かれた時には、暖房便座温度設定回路23および温水温度設定回路25に対し、設定温度を上げるように指令信号が出力される。即ち、この状態では便蓋4が開かれ、かつ便座3が閉じられて、便器が使用状態であるため、便座3の温度およびノズル8から噴出される温水の温度を上げるのである。
【0017】なお、図8の制御では、前記節電スイッチ19のON,OFF操作とは無関係に、便蓋4および便座3の開閉状態に基づいて、便座3および温水タンク部2Aの温度制御が行われる。したがって、便蓋4が閉じているか、又は便蓋4と便座3が共に開かれている状態では、常に便座3と温水タンク部2Aの温度が下げられて節電されることとなり、無駄な電力の消費を抑えることができる。
【0018】
【発明の効果】本発明は、便蓋および便座をそれぞれ開閉し得る電動開閉装置を備え、かつ前記便座内にヒーターを内装してなる暖房便座において、前記ヒーターの温度を下げて節電する場合に操作される節電スイッチがONされた時に、前記便蓋が電動開閉装置を介し自動的に閉じるように制御する制御装置を備えていることにより、節電スイッチがONされた時には自動的に便蓋が閉じられて、便蓋により便座の上面を覆蓋し、便座からの放熱を防ぎ、節電効果をより向上させることができる。
【0019】また、ヒーターを内装した便座と局部洗浄用ノズルへ温水を供給する温水タンクの少なくとも一方を備えているとともに、前記便座上に開閉可能に配設される便蓋を備えた暖房便座において、前記便蓋が閉じている時には、前記便座と前記温水タンクの少なくとも一方の温度を下げるように制御する制御装置を備えていることにより、便蓋が閉じている場合には自動的に便座内のヒーターの設定温度を下げ、局部洗浄装置付便器の場合は、さらに温水タンク内のヒーターの温度を下げるように制御して、便器が使用されていない状態での節電効果を向上させることができる。
【0020】また、ヒーターを内装した便座と局部洗浄用ノズルへ温水を供給する温水タンクの少なくとも一方を備えているとともに、前記便座上に開閉可能に配設される便蓋を備えた暖房便座において、前記便蓋および便座の両者が開いている時には、前記便座と前記温水タンクの少なくとも一方の温度を下げるように制御する制御装置を備えていることにより、便蓋および便座の両者が開いている時には、自動的に便座内のヒーターの設定温度を下げ、局部洗浄装置付便器の場合は、さらに温水タンク内のヒーターの温度を下げるように制御して、男性の小便中等における便器の節電効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】便器全体の斜視構成図である。
【図2】便座および便蓋の開閉装置の概略構成斜視図である。
【図3】便器の側面構成図である。
【図4】便蓋の開閉状態を示す概略側面構成図である。
【図5】リモコンの上部カバーを開いた状態の要部斜視構成図である。
【図6】制御系統の概略ブロック図である。
【図7】節電スイッチがONされた場合の制御内容を示すフローチャート図である。
【図8】便蓋が閉じられた時の制御内容を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 便器本体
2 便座ボックス
2A 温水タンク部
3 便座
4 便蓋
6 人体検知センサー
9 リモコン
11 便蓋開閉用モーター
12 便座開閉用モーター
13 便蓋位置センサー
19 節電スイッチ
20 CPU(制御装置)
21 便蓋開閉用モーター駆動回路
23 暖房便座温度設定回路
25 温水温度設定回路
28 便座位置センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 便蓋および便座をそれぞれ開閉し得る電動開閉装置を備え、かつ前記便座内にヒーターを内装してなる暖房便座において、前記ヒーターの温度を下げて節電する場合に操作される節電スイッチがONされた時に、前記便蓋が電動開閉装置を介し自動的に閉じるように制御する制御装置を備えていることを特徴とする暖房便座装置。
【請求項2】 ヒーターを内装した便座と局部洗浄用ノズルへ温水を供給する温水タンクの少なくとも一方を備えているとともに、前記便座上に開閉可能に配設される便蓋を備えた暖房便座において、前記便蓋が閉じている時には、前記便座と前記温水タンクの少なくとも一方の温度を下げるように制御する制御装置を備えていることを特徴とする暖房便座装置。
【請求項3】 ヒーターを内装した便座と局部洗浄用ノズルへ温水を供給する温水タンクの少なくとも一方を備えているとともに、前記便座上に開閉可能に配設される便蓋を備えた暖房便座において、前記便蓋および便座の両者が開いている時には、前記便座と前記温水タンクの少なくとも一方の温度を下げるように制御する制御装置を備えていることを特徴とする暖房便座装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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