説明

暖房機の制御装置

【課題】 所定の残油量以下となったときに室温を維持しながら燃焼時間を延長可能にした暖房機の燃焼制御装置に関する。
【解決手段】 燃料を貯える油受皿3と、油受皿3の燃料をバーナ2に供給する燃料ポンプ4とを設け、室内温度検出手段6と温度設定手段5との出力に基づいて燃料ポンプ4を制御してバーナ2の燃焼量を可変する燃焼制御手段8を備える。油受皿3内の油量を検出する残油量検出手段9と、残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出時に作動して残り燃焼時間をカウントするタイマ手段10と、残り燃焼時間の変更を指示する燃焼時間選択手段11と、タイマ手段10のカウント中に燃焼時間選択手段11の出力で作動してバーナ2の燃焼量を保持する燃焼量保持手段12と、保持されたバーナ2の燃焼量と残り燃焼時間から新たな残り燃焼時間を算出する燃焼時間演算手段13を備え、算出した残り燃焼時間をタイマ手段10のカウント時間に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は暖房機の残油量検出手段が燃料切れを検出してから消火するまでの燃焼制御に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にストーブやファンヒーターなどの石油燃焼器は、カートリッジタンクが枠体内の下部に配置した油受皿に装着されており、油受皿内の燃料が燃焼部で使われるとカートリッジタンク内に空気が流入し、使われた分の燃料がカートリッジタンクから油受皿に供給される。カートリッジタンクが空になると油受皿内の油面が低下し、油受皿内の燃料が無くなると燃料切れによって消火するものである。
【0003】
従来このような石油燃焼器では、燃料切れで消火する前に油受皿内の燃料が所定量以下になったときに作動する給油警告装置を備えており、残油量検出手段が所定の残油量を検出すると、ランプやブザーなどで給油の必要性を使用者に知らせるものである。また、給油作業をすぐに行えないときのために給油延長機能を備えており、給油延長スイッチを操作するとバーナの燃焼量が小燃焼に切り換って燃料消費量を少なくすることができ、残油量検出手段が所定の残油量を検出してから燃料切れで燃焼が停止するまでの時間を延長できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平1−29421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献の構造では、給油延長の操作を行うと室温や燃焼状態に関係なくバーナの燃焼量が強制的に小燃焼に変更されてしまうため、運転開始直後の室温が設定温度より低いときには部屋を暖めることができなくなり寒い思いをすることになる。また、室温が設定温度まで上昇した後でも、小燃焼では暖房能力が不足するような場合には室温が低下して暖房感が得られなくなり、寒く感じることがあり、このため残りの燃焼時間は長くできても快適な暖房ができなくなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の課題を解決するもので、枠体1内にバーナ2と、バーナ2に供給する燃料を貯える油受皿3と、該油受皿3内の燃料をバーナ2へ供給する燃料ポンプ4とを設け、室内温度を設定する温度設定手段5と、室内温度を検出する室内温度検出手段6と、運転スイッチ7の出力に基づいてバーナ2の運転の制御を行う燃焼制御手段8とを設け、
該燃焼制御手段8は温度設定手段5と、室内温度検出手段6の出力に基づいてバーナ2の燃焼量を可変すると共に、前記油受皿3内の油量を検出する残油量検出手段9と、該残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出した時に作動して残り燃焼時間をカウントするタイマ手段10とを設け、該タイマ手段10がカウントアップした出力で前記バーナ2の燃焼を停止する暖房機の制御装置において、前記燃焼制御手段8には残り燃焼時間の変更を指示する燃焼時間選択手段11と、前記バーナ2の燃焼量を保持する燃焼量保持手段12と、バーナ2の燃焼量に基づいて残り燃焼時間を算出する燃焼時間演算手段13とを備え、前記燃焼量保持手段12は前記燃焼時間選択手段11の出力で前記バーナ2の燃焼量を保持すると共に、前記燃焼時間演算手段13は前記燃焼量保持手段12が作動した時のタイマ手段10の残りカウント時間と前記バーナ2の燃焼量に基づいて残り燃焼時間を算出し、算出した残り燃焼時間を前記タイマ手段10のカウント時間に設定することを特徴とする。
【0007】
また、前記燃焼制御手段8には燃焼中の一定時間ごとに前記バーナ2の燃焼量を記憶する燃焼量記憶手段14と、該燃焼量記憶手段14の燃焼量データから補正燃焼量データを算出する燃焼量補正手段15とを設け、前記燃焼量補正手段15は前記燃焼時間選択手段11の出力で作動して、該燃焼量記憶手段14に記憶された複数の燃焼量データに基づいて補正燃焼量データを算出し、前記燃焼量保持手段12は燃焼量補正手段15の補正燃焼量データを前記バーナ2の燃焼量として保持する構成としたから、燃料切れでバーナ2が停止するまでの間も室温と燃焼状態に対応した燃焼量で燃焼でき、室温の低下を防ぐものである。
【0008】
また、前記燃焼制御手段8には前記バーナ2の燃焼量を変更する燃焼量設定手段16を備え、該燃焼量設定手段16は、前記燃焼量保持手段12で保持された燃焼量を任意の燃焼量へ変更する構成としたから、残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出した後、使用者が希望するバーナ2の燃焼量と残り燃焼時間とを選択することができるものである。
【0009】
また、前記燃焼制御手段8は前記残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出すると、前記バーナ2における最大燃焼量より低い燃焼量を上限として制御を行う構成としたから、燃焼量が選択されたとき、必ず燃焼時間を延長することができるものである。
【発明の効果】
【0010】
残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出するとタイマ手段10がカウントを開始し、タイマ手段10がカウントアップした出力でバーナ2の燃焼が停止する構成であり、このタイマ手段10のカウント中に燃焼時間選択手段11から信号出力があると、燃焼量保持手段12がバーナ2の燃焼量を保持し、燃焼時間演算手段13がタイマ手段10の残りカウント時間と保持されたバーナ2の燃焼量に基づいて残り燃焼時間を算出し、この算出された残り燃焼時間をタイマ手段10のカウント時間として設定する構成としたから、保持された燃焼量によって残り燃焼時間の長さは変化するが、快適性を維持したまま、残りの燃焼時間を最大限延長することができるものとなった。
【0011】
また、燃焼制御手段8には燃焼中の一定時間ごとにバーナ2の燃焼量を記憶する燃焼量記憶手段14と、燃焼量記憶手段14の燃焼量データに基づいて補正燃焼量データを算出する燃焼量補正手段15とを備え、燃焼量選択手段11からの信号によって前記燃焼量保持手段12がバーナ2の燃焼量を燃焼量補正手段15で算出された補正燃焼量データに変更して保持する構成としたから、残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出する前の燃焼状態から、室温の維持に最適な燃焼量が選択されるものとなり、室温の変化を抑えて快適な暖房を維持できるものとなった。
【0012】
また、燃焼制御手段8にはバーナ2の燃焼量を変更する燃焼量設定手段16を備え、燃焼量設定手段16によって前記燃焼量保持手段12で保持された燃焼量を変更して任意の燃焼量が選択できるようにしたから、燃焼時間選択手段11の信号で残り燃焼時間が変更された後に、室温の維持を優先するか、残り時間の延長を優先するかを選択することができるものとなった。
【0013】
また、燃焼制御手段8は残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出した後はバーナ2の燃焼量の上限が最大燃焼量より低い燃焼量となるように変更するので、燃焼時間選択手段11からの信号によって必ず燃焼時間が延長されるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施例を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例を示す暖房機の断面図である。
【図3】この発明の燃焼量と残り燃焼時間の変化を示すタイムチャートである。
【図4】この発明の実施例を示すフローチャートである。
【図5】この発明の他の実施例を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施例を示す暖房機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例を示す図によってこの発明を説明すると、1は暖房機の枠体、2は枠体1内に配置したバーナ、17は燃焼用空気が送られる風胴、18は風胴17内に配置された有底筒形のポット、18aはポット18の側壁に設けた小径空気孔であり、前記バーナ2の本体は風胴17とポット18によって構成している。19はポット18内に燃焼空気を供給するための燃焼用送風機であり、前記燃焼用送風機19によって圧送された燃焼用空気は風胴17に送られ、小径空気孔18aの位置と大きさにより適切に制御されてポット18内に供給される。
【0016】
3はポット18に供給する燃料を貯える油受皿、3aは油受皿3の上面に設けた開口部、3bは開口部3aに設けた開閉軸、20は油受皿3に燃料を補給するカートリッジタンク、20aはカートリッジタンク20の給油口、20bは給油口20aに着脱自在に取り付けた給油キャップを兼ねた口金弁であり、燃料の入ったカートリッジタンク20の口金弁20bを下向きにして油受皿3の開口部3aに装着すると、開閉軸3bが口金弁20bを押上げ、カートリッジタンク20の燃料が油受皿3内に供給される。
【0017】
4は油受皿3の上面に取付けた燃料ポンプ、21は燃料ポンプ4とポット18との間に設けた燃料パイプ、22はポット18内に伸ばした燃料パイプ21の先端部で構成する送油ノズルであり、前記燃料ポンプ4によって吸い上げられた燃料は燃料パイプ21を通って送油ノズル22からポット18の底面に滴下される。
【0018】
23はポット18の側壁からポット18の底面と間隔を介して取付けた予熱兼用の点火ヒータ、24はポット18内に設置された助燃部材、25はポット18の上方に配置された燃焼室であり、ポット18内に供給された燃料は点火ヒータ23や燃焼熱で高温となっているポット18の底面で気化して初期燃焼を開始しながら小径空気孔18aから供給される燃焼用空気と助燃部材24の働きで混合し、ポット18の上方の燃焼室25内で完全燃焼するものである。
そして、燃焼によって燃料が使用されて油受皿3内の油面が低下すると口金弁20bからカートリッジタンク20内に空気が入り、代わりに燃料が油受皿3に流出することで油受皿3内を一定油面に保持している。
【0019】
26は枠体1を前後に貫通して燃焼室25を取り囲むように配置された送風経路、27は送風経路26の後方に設置された対流用送風機、28は送風経路26の前方に設置された吹出口であり、前記燃焼室25は送風経路26内に開口し、その燃焼室25で完全燃焼した燃焼ガスは送風経路26に送られ、前記対流用送風機27によって取り込まれた室内空気と燃焼ガスとが送風経路26内で混合され、温風となって吹出口28から吹出すものである。
【0020】
8は暖房機の運転を制御するマイクロコンピュータを内装した燃焼制御手段、7は暖房機の運転・停止を指示する枠体1の操作部に配置した運転スイッチであり、運転スイッチ7の運転/停止信号が燃焼制御手段8へ送られ、燃焼制御手段8はこの運転スイッチ7の信号に基づいて燃焼用送風機19・燃料ポンプ4・点火ヒータ23・対流用送風機27の入/切などを指示して暖房機の運転を制御する。
【0021】
5は枠体1の操作部に配置した使用者が希望する温度を設定する温度設定手段、6は枠体1に設置された温度センサで構成する室内温度検出手段、29は燃料ポンプ4と燃焼用送風機19を駆動する燃焼量可変機構であり、燃焼制御手段8は温度設定手段5で設定された温度データと、室内温度検出手段6で検出される現在の室内温度データを比較し、室内温度が設定温度を維持するようにバーナ2の燃焼量を決定して燃焼量可変機構29に燃焼量データを送り、燃焼量可変機構29は燃料ポンプ4に働きかけバーナ2に供給する燃料流量を可変すると共に、燃焼用送風機19に働きかけて燃料流量とバランスする空気量が送られるように回転数を可変して制御する。
【0022】
9は油受皿3内に取付けたフロートスイッチやレベルセンサで構成する残油量検出手段、10は残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出したときにカウントを開始するタイマ手段、30は残油量検出手段9からの信号によってランプやブザーなどで燃料切れを知らせる報知手段であり、カートリッジタンク20が空になって油受皿3内の油量が低下して残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出すると切換信号を出力し、この信号によって報知手段30が作動して燃料切れを予告すると共に、タイマ手段10が残り燃焼時間のカウントを開始する。
このタイマ手段10には初期のカウント時間として、残油量検出手段9が作動するときの残油量Aでバーナ2が最大燃焼量で燃焼したときの燃焼可能時間が予め設定されており、このタイマ手段10がカウントアップするとバーナ2の燃焼を停止するように設定されており、バーナ2が最大燃焼量で燃焼を継続しても油受皿3内の燃料が完全になくなる前に燃料ポンプ4を停止するので、燃料ポンプ4が空打ちを起こさないようにしている。
【0023】
31は枠体1の操作部に配置した表示部であり、表示部31には通常の運転中は設定温度と室内温度を表示しており、残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出してタイマ手段10がカウント中は残り燃焼時間を表示する構成となっており、燃料切れまでの時間を知らせることができる。
ところで、使用者が残りの燃焼時間が少なくなってきたことに気がついても、すぐに給油作業を行えないときがある。このような場合に暖房機の運転が継続できるようにするため、給油延長機能を備えたものがあり、従来は残油量検出手段9が残油量Aを検出後のタイマ手段10のカウント中に給油延長機能を有効にすると、燃焼制御手段8がバーナ2の燃焼量を強制的に最小燃焼に変更して、燃料切れで消火するまでの時間を延長できるようにしていた。
【0024】
しかしながら、従来の給油延長機能は室温に関係なくバーナ2の燃焼量を最小燃焼量に変更するため、暖房機の運転開始直後など室内がまだ暖まっていないときは室温が低いまま上昇しなくなってしまい、また、室温が設定温度付近まで上昇しているときでも部屋の広さに対して燃焼量が不足するときは室温が低下してしまうため、暖房感が得られなくなってしまうことがある。このため、燃焼時間を長くすることはできても、室内の快適性が犠牲になってしまうものであった。
【0025】
この発明は、暖房能力の低下を抑えながら、燃焼時間の延長を可能にする給油延長機能を提案するもので、11はタイマ手段10がカウントする残り燃焼時間の変更を指示する燃焼時間選択手段であり、燃焼時間選択手段11は操作部に備えたスイッチで構成している。12は燃焼時間選択手段11の信号で作動して燃焼量可変機構29に働きかけて燃料ポンプ4の流量と燃焼用送風機19の回転数の変更を停止してバーナ2の燃焼量を保持する燃焼量保持手段であり、残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出してタイマ手段10がカウントを開始し、そのタイマ手段10のカウント中にスイッチからなる燃焼時間選択手段11が操作されて燃焼量保持手段12が作動すると燃焼量可変機構29が燃料ポンプ4と燃焼量送風機19の変更動作を停止してバーナ2の燃焼量に保持する。
【0026】
13はタイマ手段10の残りカウント時間と燃焼量保持手段12によって保持された燃焼量データを入力する燃焼時間演算手段であり、燃焼時間演算手段13は燃焼時間選択手段11が操作されたときのタイマ手段10の残り燃焼時間と、燃焼量保持手段12で保持されたバーナ2の燃焼量に基づいて、残りの燃焼時間を算出し、新たに算出した残り燃焼時間をタイマ手段10のカウント時間に設定すると共に、表示部31に表示される残り燃焼時間を書き換える。
【0027】
燃料ポンプ4の流量は燃焼量ごとに設定されており、燃料ポンプ4の流量から単位時間あたりの燃料消費量が算出できるものである。この実施例では、各燃焼量の単位時間あたりの燃料消費量を算出して、最大燃焼量の燃料消費量と比較して初期の残り燃焼時間をn倍した値を残り燃焼時間として設定する構成であり、例えば、最大燃焼量の燃料消費量を0.5L/hであり、大燃焼量、小燃焼量、最小燃焼量の燃料消費量が、0.2L/h、0.12L/h、0.06L/hとなっているときは、大燃焼量、小燃焼量、最小燃焼量のnにはそれぞれ2倍、4倍、8倍という値が設定されている。このnの値はバーナ2の最大発熱量と変更される燃焼量の大きさに基づき機種ごとに設定されている。
【0028】
図3(a)の実施例では、タイマ手段10の初期のカウント時間が10分に設定されたものであり、残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出するとタイマ手段10がカウントを開始し、カウントを開始してから3分後に燃焼時間選択手段11が操作されると、燃焼量保持手段12が作動してバーナ2の燃焼量を保持する。このときのバーナ2の燃焼量が大燃焼量であれば、タイマ手段10の残りカウント時間7分を2倍した14分がタイマ手段10の新たなカウント時間となる。また、バーナ2の燃焼量が小燃焼量のときは28分、最小燃焼量のときは56分となり、タイマ手段10の残りカウント時間を新たに算出された時間に変更し、バーナ2は燃焼量保持手段12で保持された燃焼量のまま燃焼して、変更後のカウント時間が経過するとバーナ2の燃焼を停止する。
【0029】
このように、選択されたバーナ2の燃焼量が大きいときは残り燃焼時間が若干短くなるが、バーナ2は室温の維持に最適な燃焼量で燃焼を続けるから、バーナ2の燃焼量が不足することがなく室温を維持できるものとなり、快適な室温を維持しながら最大限燃焼時間を延長することができるものとなった。
【0030】
また、燃焼時間選択手段11が操作されたときは、バーナ2の燃焼量が最大燃焼量よりも低い大燃焼量が上限となるように設定しており、燃焼量保持手段12はバーナ2の燃焼量が最大燃焼量のときは、一つ下の大燃焼量に変更してから燃焼量を保持する。タイマ手段10の初期のカウント時間はバーナ2が最大燃焼量で燃焼したときの燃焼時間が設定されているから、燃焼時間選択手段11が操作されたときにバーナ2の燃焼量を最大燃焼量よりも低い燃焼量に変更することで、タイマ手段10の残りカウント時間が必ず延長されるものとなり、燃焼時間の延長を希望するユーザーの要望に確実に応えることができるものとなった。
【0031】
また、燃焼時間選択手段11が操作されるタイミングが燃焼量変更のタイミングと重なったときや、室温が安定していないときに燃焼時間選択手段11が操作されるときは、バーナ2の燃焼量が室温の維持に必要となる燃焼量とは異なる燃焼量に保持されることがあり、バーナ2の燃焼量が不足して室温が低下したり、バーナ2の燃焼量が大きく室温が上がりすぎてしまうことがある。
【0032】
14は暖房機の運転中の一定時間ごとにバーナ2の燃焼量を記憶する燃焼量記憶手段、15は燃焼量記憶手段14で記憶された燃焼量データに基づいて補正燃焼量データを算出する燃焼量補正手段であり、燃焼量補正手段15は残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出してタイマ手段10がカウントを開始し、タイマ手段10のカウント中に燃焼時間選択手段11が操作されると作動し、残油量検出手段9が作動する直前の複数の燃焼量記憶手段14の記憶データから平均の燃焼量データを算出して燃焼量保持手段12に出力する。そして、燃焼量保持手段12はこの信号を受けて燃焼量可変機構29に働きかけて燃焼量の変更を指示し、バーナ2の燃焼量を燃焼量補正手段15で算出された補正燃焼量データに変更して保持する。
図3(b)の実施例では、燃焼量記憶手段14が10分ごとにバーナ2の燃焼量を記憶しており、燃焼量補正手段15が作動したときは、その直前の3回分の燃焼量記憶手段14の記憶データに基づいて補正燃焼量を算出するものであり、この実施例では3回分の記憶データが(イ)小燃焼量、(ロ)小燃焼量、(ハ)大燃焼量であるから補正燃焼量が小燃焼量に設定される。また、この場合もバーナ2の燃焼量の上限を最大燃焼量より低い大燃焼量に設定しており、平均の燃焼量データが最大燃焼量のときは補正燃焼量を大燃焼量に設定するようになっている。
【0033】
このため、燃焼時間選択手段11が操作されるタイミングと燃焼量変更のタイミングが重なったときや、室温が安定していないときでも、燃焼時間選択手段11が操作される直前の室温に対応した燃焼量の変化の状態に基づいて、室温の維持に最適なバーナ2の燃焼量に保持できるから、確実に快適な暖房を維持しながら燃焼時間を延長することが可能になった。
【0034】
また、燃焼時間選択手段11が操作されてタイマ手段10のカウント時間が変更されたときにおいて、ユーザーの好みや室温の状態によっては、残りの燃焼時間を長くしたいとか、バーナ2の燃焼量を上げたいといった要求がある。
16は燃焼量保持手段12で保持されたバーナ2の燃焼量を任意に変更可能にする燃焼量変更手段であり、燃焼量設定手段16は燃焼時間選択手段11の信号によって作動して燃焼量可変機構29に働きかけて燃焼量の変更を指示する。
【0035】
実施例では、残油量検出手段9が所定の残油量Aを検出してタイマ手段10がカウント開始し、タイマ手段10のカウント中に燃焼時間選択手段11が操作されるとバーナ2の燃焼量が保持されると共に、保持されたバーナ2の燃焼量に基づいてタイマ手段10の残り燃焼時間が変更される。その後再び燃焼時間選択手段11が操作されると燃焼量設定手段16が作動して燃焼量可変機構29に燃焼量の変更を指示し、燃焼量保持手段12で保持されたバーナ2の燃焼量が変更され、変更された燃焼量にあわせてタイマ手段10の残り燃焼時間も変更される。また、燃焼量設定手段16は燃焼時間選択手段11を操作するごとに作動して燃焼量が順番に変更可能になっており、バーナ2の燃焼量を低く変更すれば残り燃焼時間が長くなり、バーナ2の燃焼量を高く変更すれば燃焼時間が短くなるものである。
【0036】
このため、表示部31に表示される残りの燃焼時間を確認しながら燃焼時間選択手段11を操作することで、使用者が残りの燃焼時間を選択することが可能となる。燃焼時間選択手段11を操作して残りの燃焼時間が変更された後に、室温の維持よりも給油までの残りの燃焼時間の延長を優先したいときは燃焼量を下げて時間を長く変更し、室温の維持を優先したいときは残りの燃焼時間を短くして燃焼量を上げることができるから、使い勝手が向上できるものとなった。
【0037】
また、燃焼時間選択手段11によってバーナ2の燃焼量とタイマ手段10の残り燃焼時間が選択できるときも、バーナ2の燃焼量の上限を最大燃焼量より低い大燃焼量に設定したから、燃焼時間選択手段11によってバーナ2の燃焼量が変更されたときも、タイマ手段10の残り燃焼時間は燃焼時間選択手段11が操作される前の残り燃焼時間よりも必ず長くなるから、給油の手配までの時間を確実に延長することができるものである。
【符号の説明】
【0038】
1 枠体
2 バーナ
3 油受皿
4 燃料ポンプ
5 温度設定手段
6 室内温度検出手段
7 運転スイッチ
8 燃焼制御手段
9 残油量検出手段
10 タイマ手段
11 燃焼時間選択手段
12 燃焼量保持手段
13 燃焼時間演算手段
14 燃焼量記憶手段
15 燃焼量補正手段
16 燃焼量設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体(1)内にバーナ(2)と、バーナ(2)に供給する燃料を貯える油受皿(3)と、該油受皿(3)内の燃料をバーナ(2)へ供給する燃料ポンプ(4)とを設け、
室内温度を設定する温度設定手段(5)と、室内温度を検出する室内温度検出手段(6)と、運転スイッチ(7)の出力に基づいてバーナ(2)の運転の制御を行う燃焼制御手段(8)とを設け、
該燃焼制御手段(8)は温度設定手段(5)と、室内温度検出手段(6)の出力に基づいてバーナ(2)の燃焼量を可変すると共に、
前記油受皿(3)内の油量を検出する残油量検出手段(9)と、該残油量検出手段(9)が所定の残油量Aを検出した時に作動して残り燃焼時間をカウントするタイマ手段(10)とを設け、
該タイマ手段(10)がカウントアップした出力で前記バーナ(2)の燃焼を停止する暖房機の制御装置において、
前記燃焼制御手段(8)には残り燃焼時間の変更を指示する燃焼時間選択手段(11)と、
前記バーナ(2)の燃焼量を保持する燃焼量保持手段(12)と、バーナ(2)の燃焼量に基づいて残り燃焼時間を算出する燃焼時間演算手段(13)とを備え、
前記燃焼量保持手段(12)は前記燃焼時間選択手段(11)の出力で前記バーナ(2)の燃焼量を保持すると共に、
前記燃焼時間演算手段(13)は前記燃焼量保持手段(12)が作動した時のタイマ手段(10)の残りカウント時間と前記バーナ(2)の燃焼量に基づいて残り燃焼時間を算出し、算出した残り燃焼時間を前記タイマ手段(10)のカウント時間に設定することを特徴とする暖房機の制御装置。
【請求項2】
前記燃焼制御手段(8)には燃焼中の一定時間ごとに前記バーナ(2)の燃焼量を記憶する燃焼量記憶手段(14)と、該燃焼量記憶手段(14)の燃焼量データから補正燃焼量データを算出する燃焼量補正手段(15)とを設け、
前記燃焼量補正手段(15)は前記燃焼時間選択手段(11)の出力で作動して、前記燃焼量記憶手段(14)に記憶された複数の燃焼量データに基づいて補正燃焼量データを算出し、
前記燃焼量保持手段(12)は燃焼量補正手段(15)の補正燃焼量データを前記バーナ(2)の燃焼量として保持することを特徴とする請求項1に記載した暖房機の制御装置。
【請求項3】
前記燃焼制御手段(8)には前記バーナ(2)の燃焼量を変更する燃焼量設定手段(16)を備え、該燃焼量設定手段(16)は前記燃焼量保持手段(12)で保持された燃焼量を任意の燃焼量に変更することを特徴とする請求項2に記載した暖房機の制御装置。
【請求項4】
前記燃焼制御手段(8)は前記残油量検出手段(9)が所定の残油量Aを検出したときは、前記バーナ(2)の最大燃焼量より低い燃焼量を上限として制御を行うことを特徴とする請求項1から3に記載した暖房機制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−99581(P2011−99581A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253018(P2009−253018)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】