説明

曲り同軸カテーテル

【課題】
主要部と、先端部と、U字状基端部とを有し、基端部は主要部から延びかつ取入れおよび出口チューブが該基端部に接続される接合部で終端する同軸デュアルルーメンカテーテルを提供する。
【解決手段】
内側チューブが接続部からカテーテルの先端部へ延びて帰りルーメンを画成するとともに、主要部および基端部において外側チューブとそれぞれ結合して取入れルーメンを画成する。内側チューブは、主要部において使用される第1の外側チューブの壁厚と比較して薄壁に形成され、基端部において使用される第2の外側チューブは第1の外側チューブよりも大きい横断面積を有する。取入れおよび出口チューブが主要部と略並行して主要部の一方の側へ延びる基端構造体も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液透析治療において使用する同軸デュアルルーメンカテーテル(co-axial dual lumen catheter)、より特定すると、頸静脈に配置するカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析治療は、種々の組み合わせと構成のカテーテルを使用して1960年代の初期以来、開発されてきた。最も初期の治療は、同じ静脈内に2本の針を使用して行なわれたか、これは、その後、一定の期間所定の場所に置かれる2本のフレキシブルなカテーテルを使用した英国のシャルドン博士(Dr.Shaldon)による先駆的な研究へと発展した。切り口を2つつくるよりも1つの切り口を使用する方が好ましいことが、何人かの開業医により認識されたが、これは、その後、デュアルフローカテーテルに関する技術の開発につながった。2つの基本的なタイプがある。試みようとした第1のタイプは、帰りルーメンを包囲する取入れルーメンを有する同軸カテーテルてあった。この一例がヨーロッパ特許公報第0025704A1号において見受けられるが、この公報には、細長くかつ先端を有するように形成されるとともに、ルーメンに対する接続を行なう基端構造体を備えたダブルルーメン同軸カテーテルが記載されている。
【0003】
別の方法は、ルーメンがD字状になるように、互いに接続された個々のチューブにおいてあるいは内部の隔壁により分割される1本のチューブにおいて並列のルーメンを使用するものである。かかる構造は多くの外科医に人気を博したが、それでも欠点があった。最も顕著な欠点は、ルーメンが並行しているので、取入れ開口をカテーテルの一方の側にしなければならないことである。その結果、開口での吸引を行なうと、カテーテルが血管の壁の方向へ引っ張られ、流れが止まってしまう傾向がある。従って、医者を呼んで、血液が再び流れるまでカテーテルを回転させてカテーテルを動かさなければならない。並列構造は、2つのルーメンを押出しにおいて同時に形成することができるので、製造上有利である。かくして、同軸構造を犠牲にして並列D字状ルーメンを有する装置の活発な開発が行なわれたが、1つのより最近の例がヨーロッパ特許公報第0346613A1号に見受けられる。この特許の構造は、永続的に曲げられた接続チューブを備えることにより並列ルーメン構造の有用性を高めるものである。
【0004】
並列構造には本質的な欠点があるので、適宜の同軸装置の開発における関心が再度高まってきた。これは、特に、取入れルーメンがカテーテルの壁の任意の部分において開口を有することができるからである。
【0005】
血液透析カテーテルは、一般に、鎖骨下静脈または頸静脈に挿入される。カテーテルの基端(即ち、外)部は患者の動きを有意に妨害することなく患者に対して容易にテープづけすることができるという主な理由から、患者が受け入れることができるという点で、鎖骨下静脈が一層望ましいことがわかった。しかしながら、頸部への配置はカテーテルの基端部が患者の耳の近くで上方へ突出する傾向があるから基端部が患者にとって刺激となるが、頸部配置は静脈の狭窄が少ないので、外科医の間で好意的に受け止められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、特に頸静脈に配置され、上方に突出する基端部を最小にした同軸カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の観点の一つにおいては、本発明は、基端および先端を有しかつ第1の外側チューブを備えた主要部と、前記先端に配設された先端部と、前記主要部の前記基端に取着された先端と基端とを有しかつ第2の外側チューブを備えたU字状基端部と、基端部の基端に取着された接続部と、第1と第2の外側チューブの内部に遊嵌されて延びかつ先端部と接続部に固定されて帰りルーメンを画成するとともに、第1および第2の外側チューブと組み合わされて環状の取入れルーメンを画成する内側チューブと、接続部に取着された取入れおよび出口ルーメンとを備え、チューブは主要部と並行して主要部の一方の側へ延びるとともに取入れおよび帰りルーメンに結合されており、内側チューブは第1の外側チューブの壁厚と比較して薄壁に形成され、第2の外側チューブは第1の外側チューブよりも大きい横断面積を有することを特徴とする同軸デュアルルーメンカテーテルを提供するものである。
【0008】
本発明のこれらのおよび他の観点は、図面を参照して一層良好に理解されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
先ず、図1について説明すると、図1には参照番号20により全体が示され、取入れ口22を介して血液を引き入れ、処理された血液を出口24を介して戻すのに有用な同軸カテーテルが示されている。取入れ口および出口は、チューブ28に示される装置30のような従来の装置を使用してクランプすることができ、かつ、それぞれのルエール(luer)コネクタ27、29において終端する一対のフレキシブルチューブ26、28を有している。チューブは、主要部37通じ、次いで、先端遷移部39において本体部に遭遇する先端部38に通じる基端遷移部36において先端部が終端するU字状基端部34の基端の接続部32において遭遇している。血液は、側部開口を介して引き入れられ、別の側部開口42と端部開口44を介して戻る。かかる構成とすることにより、チューブ26、28は、主要部37と略並行して延び、主要部の一方の側に位置している。
【0010】
図2に示すように、主要部37は、以下において説明するように、同じく基端部36を介して延びる内側チューブ48を内蔵する外側チューブ46を有している。従って、内側チューブ48は連続しており、主要部37の外側チューブ46の内側にある第1の部分と、基端部34の一部を形成する外側チューブ60の内側に位置する第2の部分とを有している。内側チューブ48は自由となっているが、以下において説明するように端部が取着されている。開口40は、図1に示すように、チューブ46と48との間に形成され、かつ、チューブ60と48との間で基端部に形成される取入れルーメン50に血液を供給する。血液は、内側チューブ48により画成される帰りルーメン52により戻される。U字状基端部34の基端に形成されている接続部32は、チューブ48、60をチューブ26、28に(以下において説明するように)接続しており、カテーテルは、カテーテルを従来の態様で患者の所定の個所に保持するウイング構造体54の形態をなす付属部材を配設することにより完成される。ウイング構造体はカテーテルに対して回転自在とし、テーパが形成されたスリーブ56と基端部34の先端とにより提供される長手方向の位置に配置するのが好ましい。これらの部材は、図3に関して以下において説明する遷移部36の素子を構成する。
【0011】
側部開口40と42は、カテーテルの周囲の任意の場所からカテーテルに対して流れが出入りすることができるようにカテーテルの周囲に配設することができる開口を例示するものである。従って、開口の幾つかが血管の壁との係合により閉塞されるようにカテーテルを配置すべき場合には、他の開口が実質的な流れを提供することになる。
【0012】
次に、カテーテルの製造における予備工程を示す図3について説明する。図3に示すように、外側チューブ46は、テーパのついたスリーブ56を介して延び、次いで、ウイング構造体54の管状中央部58を介して延び、基端部34の外側チューブ60の先端の内側で終端している。かかる構成の詳細は、集成の方法が説明されると明らかになるものである。
【0013】
予備段階として、外側チューブ46が適宜の従来の射出成形機内に配置され、スリーブ56をチューブの周囲に成形するために適宜位置決めする。材料は、スリーブがチューブ46の一体的な部分となるように相溶性の熱可塑性樹脂である。次に、外側チューブを図4に示す集成体において使用する。この工程においては、内側チューブ48は、先端部38の対応する部分70内で参照番号68により示される前端部を有している。これらの部材は、このように互いに嵌合するように当然に変形することができるが、図示のように、互いに極めて容易に、同時に極めて密接して互いに嵌合するようにこれらの部材に対して円形のチューブ材料が選択される。好ましい場合には、これらの部材は、適宜の接着剤を使用して互いに取着することができる。この工程が完了した後に、外側チューブ46が内側チューブ48の周囲に配置され、外側チューブの前端部72が先端部の部分70にオーバーラップする。従って、部分68、70および72は互いに共軸をなして配置される。この場合にも、接着剤を使用して集成体を固着することができる。
【0014】
チューブ状の円筒形マンドレル74が、外側チューブ46内に嵌合しかつ内側チューブ48の周囲に嵌合するように形成されている。一般には、内側および外側チューブと先端部はいずれもポリウレタンであり、これらの材料の等級は、所望の物理的特性を提供するように選定される。例えば、軟質なチップ即ち先端(tip)が必要とされる場合には、適宜のジュロメータの材料が先端部38に提供される。当然のことであるが、カテーテルが挿入の際と所定の場所に配置されているときの双方において安定であるためには、十分な剛性が外側チューブ48に提供されなければならず、このためには適宜の等級が選定される。内側チューブは、一体化に必要とされるサイズを最小にする比較的軟質で薄い壁のポリウレタンから形成することができるように、圧潰から保護されるようにすべきである。更に、以下において説明するように、これにより、U字状基端部34の形成が容易になるとともに、カテーテルにおける流れに利用することができる空間を最大にすることが容易となる。
【0015】
中実の第2のマンドレル76が内側チューブを支持するように配設されており、このチューブはマンドレル74と76との間を延びている。マンドレル74は、丸く形成された端部を有するとともに、先端部38の部分70に対向して終端しており、一方、内側マンドレル66は、先端部38の中へ突出している。これにより、集成体と接触するように動くように操作することができる型78の2つの半分部分が占める空間に沿って支持を行なうことができる。
【0016】
型78は、部材68、70および72の材料を流動させるのに十分な熱と圧力の影響の下で、型の半分部分を図4に示す集成体と接触するように動かすことにより遷移部39を形成するのに使用される。これが行なわれると、構造体は冷却に供され、マンドレルが取り外される。この結果が図5に示されている。
【0017】
図5に示すように、取入れルーメン50は、遷移部39の盲管状端部壁80で終端している。取入れルーメン50は、外側チューブ46と外側チューブ48との間に形成され、開口40は遷移部39にすぐ隣接して設けられて、血液がルーメン50に流れ込むことができるようにしている。所望の場合には、より多くの開口を(図1に示すように)遷移部から更に離隔して配設することができるのは当然である。
【0018】
内側チューブ48に関して上記した帰りルーメン52は、遷移部39および先端部38を介して連続している。遷移部は取入れルーメン50を終端させ、先端部の外側面から主要部の外側面、特に、外側チューブ46の外側面へ滑らかに融合している。
【0019】
図5においては、3つの部材、即ち、内側チューブ46、外側チューブ48および先端部38が斜線を付することにより3つの独立した部材として示されている。これらの部材が遷移部39において遭遇する場合には、遷移部は材料が互いに対して流れ込む部分となり、成形後に部材の境界が不明瞭となるので、斜線の相違はなくされる。しかしながら、図4と図5とを比較すると、部材68と70は1つに融合し、部材70と72が融合することにより、遷移部36を形成している。好ましくは、これらの部材はいずれもポリウレタンであり、等級とサイズは軟質で柔軟な先端部と、より剛性のある外側チューブと、薄肉の内側チューブとを提供するような、所望の物理的特性を提供するように選定される。
【0020】
集成体が図4および図5に示すように成形された後は、先端部は従来の態様で変形され、テーパの付された先端82を端部開口44の周囲に形成する。
【0021】
次に、基端遷移部36が完成される。図3について説明すると、標準的なウイング構造体54は外側チューブ滑り嵌めされ、テーパ付きスリーブ56と係合される。次に、U字状基端部34の基端外側チューブ60が内側チューブ48(図3には図示せず)に滑り嵌めされ、チューブ46に係合される。チューブ60は、化学結合または熱シールにより、ウイング構造体が回転することができる位置において保持される。かかる集成を行なってから、チューブ60を曲げる。参照番号54は、ウイング構造体と同じ態様で配設することができるカフ(cuff)とすることもできる。
【0022】
集成体は、このようにして、カテーテルの基端遷移部36から先端部へかけて完成する。部分34の外側チューブ60は、上記したように先端遷移部39において終端しかつ固定される内側チューブ48の部分を含む。次の工程は、基端部34をU字状に形成するものである。そのため、図6において参照番号86で示されているフレキシブルなチューブ状マンドレルが内側チューブの周囲に嵌合されかつ外側チューブ60の内側に嵌装されている。このマンドレルは合成エラストマ材料、好ましくは、商標テフロン(TEFLON)が付されて販売されている材料から形成される。
【0023】
図6に示すように、マンドレル86は、基端遷移部36に到達するまで押され、次いで、部分34が手で湾曲されて、参照番号87により概略示されているダイの中に嵌合される。このダイは、部分34を受けるようにチャンネル60を有し、ダイの同様の部分が第1の部分上で閉じて部分34を所望のU字形状にする。次に、ダイとカテーテルを約120℃(250°F)に加熱して内側チューブに新たな姿勢を取らせる。マンドレルはこの温度に耐えるものである。
【0024】
ダイにおいて冷却後、基端部34は、図1および図6に示すようにU字形状を有する。
【0025】
最後の工程は、基端部構造即ち接続部32を形成するものである。ここで、図7について説明する。内側および外側チューブ48、60を所要に応じてトリミングした後、従来の技術を使用する射出成形により接続部32を形成しようとする型(仮想線で図示)内に基端部34の基端を先ず配置する。部分34は、第1および第2のマンドレル94、96を使用して位置決めされる。マンドレル96は、収斂する略円錐状部100に融合する円筒部98を有しており、円錐状部100は該部分100に対して角度をなして形成された円筒状端部102に融合する。部分102は、内側チューブ48の基端内に締り嵌めしており、このチューブはマンドレル94、96により外側チューブ60と係合する位置に保持される。
【0026】
マンドレル94は、突起108で終端する収斂した略円錐状部106に融合する外側円筒部104を有している。この突起は、(以下において説明するように)横断面が略U字状をなしており、円錐状部106に対して角度をなして形成されている。
【0027】
マンドレル94の端部の突起108は、内側チューブ48が外側チューブ60の内面に対して保持されたときに提供される空間に嵌合する形状に形成されている。従って、突起は略U字形状を有している。突起108とマンドレル96の端部102との角度のずれにより、突起と端部102は基端部34に対して軸線方向に並行して延びている。円筒状部98と104は、取入れチューブ26と出口チューブ28の端部をマンドレルに収容することができるように軸線方向の主要部に対して十分に収斂しており、端部は接続部32が成形されたときに保持されるように型内に配置される。
【0028】
図7に示す集成体が完成すると、型が閉じられ、接続部32を形成するために射出が行なわれる。マンドレルはポリウレタンであるのが好ましいが、相溶性などの通常の要件が整えば、他の材料を使用することができる。
【0029】
マンドレルが取り除かれるが、材料には幾分柔軟性があるので、マンドレルは損傷をきたすことなく引っ張り出すことができる。
【0030】
図7に示す構造体は、カテーテルを介して得られる流れにおいて特に有意性を有している。これまでの同軸カテーテルとは異なり、取入れおよび帰りチューブ26、28が部分34と略直線をなしているので流れが線状を保持しようとする。これまでは、これらのチューブの一方が直線をなし、他方は接続部の側部を介して接続されていたので、流れは90度に近い有意の角度をなして通らなければならない場合があった。この種の方向の変更が生ずると血液の流れに乱流が生じて、血液に損傷を与える可能性があるので、これは特に望ましくない。血液の流路における圧力の変動は最小にすべきであることは十分に立証されており、本発明のこの構造体はかかる変動を制限する傾向がある。
【0031】
図7において「A」として示されている角度は、接続部32で遭遇するチューブ26と28との間の開き度を示す。かかる構成とすることにより、この角度は15乃至20度程度に保持することができ、30度よりも小さい角度に容易に保持される。かくして、カテーテルに対する流れは、部分34を基準に常に略軸線方向となる。これは、接続部32に遭遇する部分34の軸線を基準とするチューブ26、28のそれぞれの角度が30度以下の範囲の半分となるからである。
【0032】
好ましい実施例として示されているカテーテルは、本発明に従ってつくることができるカテーテルの代表的なものである。上記したように、先端を釣り合わせおよび/または挿入後に先端が撓んで、静脈に損傷を与えないようにするため、先端に軟質の材料を用いることが可能である。同時に、挿入が行なわれる際におよび使用中に取入れルーメン50が患者内に留まるように、先端と内側および外側チューブとの間の関係を保持するのに十分な剛性が遷移部にある。
【0033】
部材の割合は変えることができ、集成前にある程度の予備形成を行なうことが可能である。
【0034】
代表的な実施例においては、構造体において使用される種々のチューブはポリウレタンである。外側チューブ46は、ジュロメータが65Dの硬質ポリウレタンである。これは、内径が3.175mmで、外径が3.734mmである。先端部もまた65Dであり、内径は1.727mm、外径は2.667mmである。内側チューブは、壁厚が0.19mmで、図3に示す集成体の中に嵌装される寸法に形成された65Dジュロメータのポリウレタンであり、チューブ60は外側チューブ46の外側に嵌合される。チューブ60は、壁厚が約1.31mmで、硬度が85Aジュロメータであり、湾曲を保持するとともによじれの危険性を最少にするのに十分良好なメモリ特性をチューブに提供することができる。
【0035】
このカテーテルは先行技術の欠点を克服するものである。先ず、この構造体は、内側チューブが主要部37の内側の剛性のある外側チューブ46により保護されるとともに、U字状基端部34の内側で保護されるので、内側チューブを薄壁とすることができる。この部分は、耐曲げ性を発揮することができるように横断面を大きくかつ剛性を高くするように形成されるとともに、曲げ力が加わったときによじれの可能性が少なくなるように横断面を大きくすることによりモジュラスを高めるように形成される。かかる構成とすることにより、内側チューブ48は保護され、従って、大きな耐よじれ性を発揮する必要がないので、薄肉にすることができるという点で有意である。更に、薄肉の軟質内側チューブは主要部37において占める横断面空間が最小となるので、同軸カテーテルのこの部分は横断面が一層小さくなり、挿入が容易となるという利点も得られる。更に別の特徴として、カテーテルが頸静脈に配置されたときに構造体を付属部材36を越えて上方へ延びるのを最小にすることができるという点が挙げられる。これは、患者の心理にとって特に重要である。更に、取付けはカテーテルが切り口を出る個所で行なわれるので、接続などを行なうためのチューブの操作によりカテーテルが移動されあるいは動かされる可能性を少なくすることができる。
【0036】
構造体を本発明の範囲内で変えることができるものである。特に、先端部にテーパを形成する必要はなく、ある場合には(条件により)カテーテルの先端を閉じることができる。更に、先端遷移部は、ウイング構造体20の代わりにカフを用いて配設することができる。これらの付属部材はいずれも、有利に使用することができる。
【0037】
本発明は、請求の範囲の記載の範囲内であらゆる変更を行なうことができるものであり、上記した実施例に制限されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
カテーテルは、頸静脈アクセスによる透析に有用である。かかる部位においては、取入れおよび出口チューブは下方に位置し、従って、接続を患者の耳から離れて行なうことができるから、一層許容することができるアクセスを行なうことができる。更に、カテーテルの部材のサイズと構成を上記のようにすることにより、患者の頸静脈の所定の場所においてカテーテルを使用する際に通常露出されるカテーテルの部分のよじれによる流れの遮断の可能性を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の好ましい実施例に係るカテーテルの側面図である。
【図2】図1の2−2線拡大断面図である。
【図3】図2と同じ尺度即ちスケールの図1の3−3線拡大断面図である。
【図4】カテーテルの先端部を製造する手順を示す概略図である。
【図5】カテーテルの先端部を製造する手順を示す概略図である。
【図6】カテーテルのU字状基端部の製造における工程を示す、図2よりも小さいスケールの断面図である。
【図7】カテーテルの基端に配設された接続部と、該接続部の構成および形成方法の双方とを示す図2と同じスケールの部分断面図である。
【符号の説明】
【0040】
20 同軸カテーテル
22 取入れ口
24 出口
26 フレキシブルチューブ
27 ルエールコネクタ
28 フレキシブルチューブ
29 ルエールコネクタ
30 クランプ装置
32 接続部
34 基端部
36 遷移部
38 基端部
40 側部開口
42 側部開口
44 端部開口
46 外側チューブ
48 内側チューブ
50 取入れルーメン
52 帰りルーメン
54 ウイング構造体
56 スリーブ
58 中央部
60 外側チューブ
68 前端部
70 先端部の部分
72 前端部
74 マンドレル
76 マンドレル
78 型
80 端部壁
82 テーパ付き先端
86 マンドレル
94 第1のマンドレル
96 第2のマンドレル
98 円筒部
100 円錐状部
102 端部
104 円筒部
106 円錐状部
108 突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端および先端を有しかつ第1の外側チューブ(46)を備えた主要部(37)と、先端に配設された先端部(38)と、内側チューブ(48)と、接続部(32)に取着された取入れおよび出口チューブ(22、24)とを備えた同軸デュアルルーメンカテーテルにおいて、主要部の前記基端に取着された先端と接続部に取着された基端とを有しかつ第1の外側チューブよりも大きい横断面を有する第2の外側チューブ(60)を有するU字状基端部(34)と、第1と第2の外側チューブ(46、60)の内部に遊嵌されて延びかつ先端部と接続部に固定されて帰りルーメン(52)を画成するとともに第1および第2の外側チューブと組み合わされて環状の取入れルーメン(50)を画成する内側チューブ(48)とを備え、取入れおよび出口チューブ(22、24)は主要部(37)と略並行して主要部の一方の側へ延びるとともに取入れおよび帰りルーメン(50、52)にそれぞれ結合されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
内側チューブ(48)は第1の外側チューブ(46)の壁厚と比較して薄壁に形成され、第2の外側チューブ(60)は改良された耐よじれ性を提供するようにかつ最小の耐よじれ性を有する薄壁の内側チューブを保護するように第1の外側チューブよりも大きい横断面積を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
カテーテルを患者に固定するように前記基端に配設された付属部材(54)を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
付属部材は回転自在のウイングであることを特徴とする請求項2または3に記載のカテーテル。
【請求項5】
付属部材はカフであることを特徴とする請求項2または3に記載のカテーテル。
【請求項6】
第1の外側チューブ(46)には取入れルーメン(50)へアクセスすることができる取入れ開口(40)が配設され、先端部(38)は主要部(37)よりも小さい横断面に形成されかつ少なくとも1つの開口(42、44)を有することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項7】
第1の外側チューブ(46)には取入れルーメン(50)へアクセスすることができる取入れ開口(40)が配設され、先端部(38)は主要部(37)よりも小さい横断面に形成されかつ少なくとも1つの開口(42、44)を有しており、しかもカテーテルは主要部(37)の先端に配設された遷移部(39)を更に備え、遷移部(39)は内側部(48)と、先端部(38)と、第1の外側部(46)とのオーバーラップ部に提供される材料から形成され、内側チューブは第1の外側チューブの内側に位置する先端部の内側に配置され、内側チューブは遷移部において先端部の内方へ滑らかに融合しかつ外側チューブは遷移部で終端する取入れルーメン(50)とともに先端部の内方へ滑らかに融合し、先端部は帰りルーメン(52)の連続部を形成しかつ帰りルーメンは前記端部開口(44)で終端することを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項8】
内側チューブ(48)、第1および第2の外側チューブ(46、60)並びに先端部(38)は円形横断面を有することを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項9】
先端部(38)の直径は内側チューブ(48)の直径よりも大きくかつ第1の外側チューブ(46)の直径よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項10】
10.内側チューブ(48)と外側チューブ(46)は取入れルーメン(50)が終端する位置で半径方向に互いに離隔していることを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項11】
取入れおよび出口チューブ(26、28)が接続部(32)から主要部(37)と略並行して主要部の一方の側へ延び、取入れチューブと出口チューブ間の開き角は約30度よりも小さく接続部の両側へ略等しく離隔していることを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−178720(P2008−178720A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106805(P2008−106805)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【分割の表示】特願2004−38995(P2004−38995)の分割
【原出願日】平成5年12月22日(1993.12.22)
【出願人】(502017009)ヴァス−カス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】